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日本における仕事満足度の決定要因に関する実証分析 正規雇用者と非正規雇用者の比較 馬欣欣 [ 要旨 ] 本稿では 2009 年に慶應義塾大学が実施した家計パネル調査 (KHPS2009) および仕事と生活の家計パネル調査 (JHPS2009) の個票データを用い サンプルの非ランダム性と同時決定の問

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(1)

KEIO/KYOTO JOINT

GLOBAL CENTER OF EXCELLENCE PROGRAM

Raising Market Quality-Integrated Design of “Market Infrastructure”

KEIO/KYOTO GLOBAL COE DISCUSSION PAPER SERIES

DP2009-023

日本における仕事満足度の決定要因に関する実証分析

―正規雇用者と非正規雇用者の比較

馬 欣欣

*

要旨 本稿では、2009 年に慶應義塾大学が実施した家計パネル調査(KHPS2009)、および仕事と生 活の家計パネル調査(JHPS2009)の個票データを用い、サンプルの非ランダム性と同時決定の問 題を考慮した上で、雇用者の仕事満足度の決定要因に与える影響に関する実証分析を行った。計 量分析から得られた主な結論は以下の通りである。第一に、全体的にみる(男女計)と、労働時 間が仕事満足度に有意な影響を与えていないが、男性正規雇用者の場合、労働時間の上昇ととも に仕事満足度が高くなる一方、男性非正規雇用者の場合、労働時間の増加とともに仕事満足が低 くなる傾向にある。第二に、賃金所得が男性正規雇用者、女性非正規雇用者の仕事満足度に影響 を与えており、賃金所得と仕事満足度に非線形の関係がある。第三に、個人属性の影響について は、健康者の場合、男女の正規雇用者と非正規雇用者とも、仕事満足度が高くなる。子供ありの 場合、女性非正規雇用者の仕事満足度が低くなる、第四に、仕事と職場の要因の影響については、 職業ごと、産業ごとに仕事満足度が異なる。また仕事の内容、仕事の量、仕事の権限、仕事の責 任、上司との関係、同僚との関係の変化が仕事満足度に大きな影響を与えている。第五に、仕事 満足度に就業形態間、性別間の差異が存在する。分析結果により、日本雇用者の仕事満足度が高 めるため、労働時間や仕事の内容、仕事の量、仕事の質などの問題を重視することは必要である ことを示された。 *馬 欣欣 慶應義塾大学先導研究センター研究員

KEIO/KYOTO JOINT GLOBAL COE PROGRAM

Raising Market Quality-Integrated Design of “Market Infrastructure” Graduate School of Economics and Graduate School of Business and Commerce,

Keio University

(2)

日本における仕事満足度の決定要因に関する実証分析

―正規雇用者と非正規雇用者の比較

欣欣  

[要旨] 本稿では、2009 年に慶應義塾大学が実施した家計パネル調査(KHPS2009)、および仕事と生 活の家計パネル調査(JHPS2009)の個票データを用い、サンプルの非ランダム性と同時決定の問 題を考慮した上で、雇用者の仕事満足度の決定要因に与える影響に関する実証分析を行った。 計量分析から得られた主な結論は以下の通りである。第一に、全体的にみる(男女計)と、労働時 間が仕事満足度に有意な影響を与えていないが、男性正規雇用者の場合、労働時間の上昇とと もに仕事満足度が高くなる一方、男性非正規雇用者の場合、労働時間の増加とともに仕事満足 が低くなる傾向にある。第二に、賃金所得が男性正規雇用者、女性非正規雇用者の仕事満足度 に影響を与えており、賃金所得と仕事満足度に非線形の関係がある。第三に、個人属性の影響 については、健康者の場合、男女の正規雇用者と非正規雇用者とも、仕事満足度が高くなる。子 供ありの場合、女性非正規雇用者の仕事満足度が低くなる、第四に、仕事と職場の要因の影響 については、職業ごと、産業ごとに仕事満足度が異なる。また仕事の内容、仕事の量、仕事の権 限、仕事の責任、上司との関係、同僚との関係の変化が仕事満足度に大きな影響を与えている。 第五に、仕事満足度に就業形態間、性別間の差異が存在する。分析結果により、日本雇用者の 仕事満足度が高めるため、労働時間や仕事の内容、仕事の量、仕事の質などの問題を重視する ことは必要であることを示された。 JEL 分類: I12 J21 J28 キーワード: 長時間労働 仕事の満足度 メンタルヘルス問題 仕事の量、仕事の質 ∗ 慶應義塾大学先導研究センター研究員 xxma613@sanken.keio.ac.jp 本稿を執筆するにあたり、慶應義塾大学経済研究科・商学研究科と京都大学経済研究所連携グロ ーパル COE プログラム「市場の高質化と市場のインフラの総合的設計」から研究助成を受けた。慶應 義塾大学商学部山本勳准教授に貴重な助言を頂いた。ここに記して深く感謝申し上げたい。残る誤り はすべて筆者の責任に帰する。

(3)

1.はじめに

労働者の仕事満足度は仕事を通じて国民生活の効用水準を反映する(Clark and Oswald 1994,1996; Clark 2001,2005; Van Praag and Ferrer-i-Carbonell 2004)。また、労働者の仕事満足 度は労働者の離職意向、組織へのコミットメント、さらに企業生産性・効率性の向上に関連する。

Lincoln and Kalleberg (1996)は労働者の仕事満足度が低くなるほど離職意向が高くなり、また組 織へのコミットメントが低下すると述べており、Mangiones and Quinn (1975)、Ostroff(1992)、Rogers etal.(1994)、Blanchflower and Oswald(1999)、Clark(2005)は、労働者の仕事満足度が高くなるほ ど、労働生産性が上昇し、企業生産性と顧客満足度が向上することを指摘している。したがって、 近年、経済学でのアプローチで雇用者の仕事満足度の決定要因に関する実証研究が多い。

仕 事 満 足 度 の 決 定 要 因 に 関 す る 実 証 分 析 に つ い て は 、 欧 米 で は 、 Clark and Oswald (1994,1996)、Clark (1996,1999,2001,2005)、Donohue and Heywood (2004)、Bender etal. (2005)、Long (2005)、Donohue and Heywood (2006)、Booth and van Ours (2008)は、賃金、 労働時間、職場属性、個人属性が労働者の仕事満足度に影響を与えることを示している。一方、 日本では、大竹(2004)、佐野・大竹(2007)は労働者の幸福度に関する実証分析を行ったが、 経済学のアプローチで仕事満足度に関する実証分析が少ない。日本では、近年、長時間労 働が問題視されており、長時間労働が日本雇用者のメンタルヘルスに有意な影響を与えることが 証明されている(馬 2009)。長時間労働が雇用者の仕事満足度に影響を与えると考えられるが、 それに関する実証分析が行われていない。また、1990 年代以後、非正規就業者の増加とともに、 正規雇用者と非正規雇用者間の賃金格差が拡大している(馬 2008a,2008b)。正規と非正規雇 用者は、余暇と仕事の嗜好が異なるため、仕事満足度の決定要因における就業形態間の差異が 存在すると考えられる。また、労働時間のみならず、仕事の量、仕事の質、職場の対人関係なども 雇用者の仕事満足度に影響を与えると考えられる。しかし、これらの要因を含む日本雇用者の仕 事満足度に関する実証分析が行われていない。 本稿では 2009 年に慶應義塾大学が実施した家計パネル調査(KHPS2009)および仕事と生活 の家計パネル調査(JHPS2009)の個票データを用い、サンプルの非ランダム性と同時決定の問題 を考慮した上で、日本雇用者の仕事満足度の決定要因に関する実証分析を行った。具体的にい えば、計量分析を通じて、第一に、欧米の先行研究で証明された賃金、労働時間、仕事・職場要 因、個人属性は日本雇用者の仕事満足度に影響を与えるか、第二に、仕事満足度の決定要因 における就業形態別、性別間の差異が存在するか、の問題を解明する。 以下では、第2節で先行研究を紹介し、第3節で分析の枠組みを説明する。第 4 節で用いたデ ータ、変数設定及び単純集計の結果について述べ、第5節分析結果を説明し、最後に本稿から 得られた結論および政策示唆をまとめる。

(4)

2.先行研究のサーベイ

まず、仕事満足度の決定要因に関する実証分析をサーベイする。欧米では、仕事満足度に関 する経済学の早期研究としては、Hamermesh(1977)、Freeman(1978)、Bartel(1981)などが挙げら れる。仕事の満足度の決定要因について、経済学の効用モデルに基づいて、順序ロジットモデル (あるいは順序プロビットモデル)を用いた実証分析から得られた主な結論は、以下の通りである。 第1に、賃金の影響である。賃金が高いほど、また賃金が上昇すれば仕事満足度が高くなる (Clark 1999)。賃金の相対水準、失業状況が仕事満足度にも影響を与える(Clark and Oswald 1994,1996)。

第2に、労働時間を含む就業状態の影響である。全体的に労働時間が長いほど、仕事満足度 が低くなるが、性別ごとに労働時間の影響が異なる。男性の場合、残業をしなければ、仕事満足 度が労働時間の上昇より高くなる一方、女性の場合、仕事満足度は、パートのほうがフルータイマ より高くなる(Clark 1996;Bender et al. 2005;Booth and Van Ours 2008)。Bender et al.(2005)は、 仕事の柔軟性があることが女性の仕事満足度を高め、これが仕事満足度の男女差異に影響を与 えることを示している。

第3に、個人属性の影響である。例えば、年齢の影響はU字型の関係にあり、つまり仕事満足 度は若年層、高年齢層が中年齢層より低いこと(Hunt and Saul 1975; Clark 1996; Clark, Oswald and Warr 1996)、仕事満足度は既婚者が未婚者より高いこと(Clark 1996)、健康状況が悪いほど、 仕事満足度が低くなること(Clark 1996 ;Gazioglu and Tansel 2006)、教育水準が高いほど、仕事 満足度が低くなること(Clark 1996;Clark and Oswald 1996;Bender and Heywood 2006)、教育訓 練を受けたことが、仕事満足度を高める効果を持つこと(Hamermesh1977;Gazioglu and Tansel 2006 ) が 示 さ れ て い る 。 ま た 、 Clark and Oswald 1996 ) 、 Clark (1997) 、 Sousa-Poza and Sousa-Poza(2000)、Sloane and Williams(2000)、Bender et al. (2005)、Donohue and Heywood (2006)は、性別ごとに仕事満足度の決定要因が異なる(gender gap in job satisfactions)を明示し ている。

第4に、仕事・職場要因の影響である。仕事のマッチング状況、職場の状況、産業、企業規模 ごとに仕事満足度が異なることが指摘されている(Flanagan, Strauss and Bartel 1981; Akerlof, Rose and Yellen 1988; Gazioglu and Tansel 2006)。

日本では、経済学でのアプローチで、労働者の仕事満足度に関する実証分析がほとんど 行われていない。以下では、日本における就業と幸福度に関する実証分析をまとめる。 大 竹(2004)は 2002 年に独自に行った「くらしの好みと満足度についてのアンケート」調査の個 票データ、および内閣府が実施した 1978 年から 1999 年にかけての 3 年ごとの時系列の個票 データ『国民生活選好度調査』を用い、多重回帰分析を行い、失業経験や失業不安は幸福 度を低くすることを示している。佐野・大竹(2007)は「大阪大学 COE 月次データ」と 2002 年に 独自に行った「くらしの好みと満足度についてのアンケート」を用い、20 歳以上の労働者を分

(5)

析対象にし、クロスセクション分析およびパネルデータの分析により、男女計でパート労働者 が負に有意であるが、男性でパートの効果が正で有意であり、女性では負であり、つまり、日 本の女性では、労働時間をコントロールしてもパート就業は正社員に比べて幸福度が低いこ とを示している。また、長労働時間は有意に幸福度を引き下がると指摘している。 日本に関する先行研究によれば、失業経験、就業形態、労働時間が日本労働者の幸福 度に影響を与えることが示されているが、仕事満足度の決定要因は明確ではない。本稿は、 日本雇用者の仕事満足度の決定要因に着目する実証分析である。

3.計量分析の方法

(1) 推定モデル 分析の手順としては、まず就業形態に関する多項ロジット分析を行い、DF モデル(Dubin and McFadden 1984)を用いてサンプルの非ランダムを修正した労働時間関数を推定する。次に経済 学の効用モデルに基づいて構造型の順序ロジットモデルを用い、仕事の満足度に関する分析を 行う。以下では、各モデルを定式化する。 まず、仕事満足度の決定要因に関する分析モデルを説明する。経済学的アプローチで労働者 の仕事満足度に関する先駆研究は Hamermesh(1977)である。Hamermesh(1977)によれば、労働 者の効用(utility あるいは well-being)は以下のように示される。

)

,

(

μ

υ

=

f

u

(1) ここで

u

は仕事の効用、

μ

は仕事以外の要因に関連する効用を示す。(1)式に基づいて、仕 事の効用は、(2)式のように拡張できる(Clark and Oswald 1996)。

)

,

,

,

(

y

h

i

j

f

u

=

(2) (2)式は、仕事の効用

u

は、賃金所得

y

(正の相関)、労働時間

h

(負の相関)、個人属性

i

(individual-specific characteristics)、仕事・職場属性

j

(workplace-specific characteristics)によ って決定されることを意味する。ただし、労働時間、賃金所得と仕事満足度における内生性の問 題が存在すると考えられる。この問題に対応するため、本稿では操作変数法を用いた分析を行う。 つまり、労働時間の予測値を用いている。また、賃金所得は昨年度の賃金所得を用いている。昨 年度の賃金所得と労働時間の予測値を示す満足度

u

は(3)式の通りである。

)

,

,

,

(

Wage

1

WT

i

j

f

u

=

t− (3) 労働時間の予測値を求めるため、労働時間関数の推定を行う。労働時間関数を推定する際に、

(6)

就業形態の選択によるサンプル・セレクション・バイアスの問題が存在すると考えられる。セレクショ ンの問題に対応するため、本稿では DF モデルを用いている1。以下では、DF モデルについて説 明する。まず、労働時間に関する OLS 推定式を(1)で示す。

ε

β

α

+

+

=

X

WT

(4) (1)式では、

WT

は週労働時間、

X

は労働時間に影響を与える各要因(例えば、学歴、年齢、 家族構成、職種、労働時間制度など)を示す。

α

は定数項、

ε

は誤差項である。 労働者が就業形態に関する選択集合

s

(非就業、正規就業、非正規就業)からある選択肢を 選択すると仮定する。個体がある選択肢

s

を選択する要因を

H

sとして表す。実際には労働者が 選択したある就業形態の労働時間しか観察できない。就業形態の選択を考慮しない推定に、就 業形態の選択によるセレクション・バイアスの問題が存在すると考えられる。DF モデルで、このよう なセレクション調整項を含む労働時間関数の推定式は(5)-1、(5)-2、(5)-3で示す。

))

Pr

1

/(

(Pr

Pr

ln

if if if f in n if

Z

WT

=

γ

+

λ

+

λ

p

ln

Pr

ip

+

λ

other

ln

Pr

iother

(Pr

iother

/(

1

Pr

iother

))

+

λ

no

ln

Pr

ino

(Pr

ino

/(

1

Pr

ino

))

(5)-1

))

Pr

1

/(

(Pr

Pr

ln

ip ip ip p in n p

Z

WT

=

γ

+

λ

+

λ

f

ln

Pr

if

+

λ

other

ln

Pr

iother

(Pr

iother

/(

1

Pr

iother

))

+

λ

no

ln

Pr

ino

(Pr

ino

/(

1

Pr

ino

))

(5)-2

))

Pr

1

/(

(Pr

Pr

ln

iother iother iother

other in

n other

Z

WT

=

γ

+

λ

+

λ

f

ln

Pr

if

+

λ

p

ln

Pr

ip

(Pr

ip

/(

1

Pr

ip

))

+

λ

no

ln

Pr

ino

(Pr

ino

/(

1

Pr

ino

))

(5)-3 仕事満足度(効用の水準)の決定要因に関する分析のモデルは、順序ロジット(あるいは順序 プロビット)モデルである。本稿では順序ロジットモデル(McKelvey and Zavonia 1975; Green 1993)を用いる。順序ロジットモデルの推定式は、(6)式の通りである。

)

Pr(

)

Pr(

=

m

=

k

m1

<

γ

1

Wage

t1

+

γ

2

WT

+

γ

3

Job

+

γ

4

Person

+

γ

n

Z

n

<

k

m (6)

1 従来の労働時間関数の推定では、就業している労働者の労働時間しか観察できないサンプル・セレ クション・バイアスの問題が注目されている。就業したかどうかによるセレクションの問題に対応するため、 ヘックマン二段階法が用いられる。ヘックマン二段階法を用いた労働時間関数の推定については、馬 (2009)を参照されたい。本稿では、正規就業、非正規就業、非就業の就業形態選択によるセレクショ ン・バイアスの問題に注目するため、DF 修正モデルを用いている。

(7)

(6)式の記号を説明する。

m

は、順序づけの選択肢(例えば、本稿の

m

は、「非常に不満足= 1、やや不満足=2、どちらでもいえない=3、やや満足=4、非常に満足=5」のように設定する)。

1 − t

Wage

は昨年度の賃金所得、

WT

は労働時間の予測値、

Job

は職場属性、

Person

は個人

属性、

Z

はそれ以外の要因、

γ

1

γ

2

γ

3

γ

4

γ

nはぞれぞれの推定係数、

τ

は誤差項を示 す。 (2) データおよび変数設定の説明 本稿の分析では、2009 年に慶應義塾大学が実施した家計パネル調査(KHPS2009)、および仕 事と生活の家計パネル調査(JHPS2009)の個票データを用いる。KHPS は慶應義塾大学パネル データ設計・解析センターが、2004 年から 2009 年にかけて毎年1月末に実施した家計パネル調 査ある。KHPS は、層化 2 段無作為抽出によって、最初に (第 1 波) 日本全国を代表するように 選ばれた 4000 人に実施され、調査対象は 2004 年時点で満 20 歳から 69 歳の男女である。 KHPS2009 は KHPS の第6波の個票データである。JHPS は慶應義塾大学パネルデータ設計・解 析センターが、2009 年1月末に実施した仕事と生活の家計パネル調査の第1波の個票データで ある。JHPS は層化 2 段無作為抽出によって、日本全国を代表するように選ばれた 4022 人を対象 とし、調査対象は 2004 年時点で満 20 歳から 93 歳までの男女である。KHPS2009 およびJHPS2009 では、いずれも調査内容としては対象者の就業状況、仕事充実度・満足度、昨年度の賃金所得、 労働時間、仕事の量、仕事の質、労働時間制度などの幅広い質問が用意され、仕事満足度に関 する実証分析は可能である。また、本稿の分析では用いた変数については、KHPS2009 およびJ HPS2009 では同じような質問項目が設けられている。そのため、本稿では、サンプルの数を増や すため、二つの調査データを用いて分析を行う。以下では、変数の設定について説明する(表1 記述統計量の参照)。 ――― 表1の挿入――― まず、被説明変数について説明する。第一に、仕事満足度の順序カテゴリ変数の設定につい ては、「あなたの仕事充実度・満足度について昨年の同時期から変化したと感じますか」を利用し、 「増えた=3、変わらなかった=2、減った=1」のように被説明変数を設定した。 また、労働時間に関する分析では、「あなたの勤務時間についておうかがいします」の質問項 目に基づいて、週労働時間2の連続変数を設定した。 次に説明変数について説明する。第一に、労働時間については、短労働時間、普通の労働時 間、長労働時間の影響を比較するため、労働時間の推定値を用いて週労働時間のダミー変数(1 ~19 時間、20~29 時間、30~39 時間、40~49 時間、50~59 時間、60 時間以上の 6 種)を設定 2 JHPS の設問に基づいて設定した週労働時間は週残業時間を含めている。

(8)

した。1~19 時間、20~29 時間、30~39 時間は短労働時間グループ、40~49 時間は普通の労働 時間グループ、50~59 時間、60 時間以上は長労働時間グループを示す。 第二に、労働時間関数では、労働時間制度の効果を考察するため、勤務時間制度を普通の 勤務時間制度、フレックスタイム制、裁量労働制度、時間管理なし制度の 4 種のダミー変数に分 けて設定した。 第三に、仕事・職場属性に関する変数の設定を説明する。(1)仕事の内容、仕事の量、仕事の 質の影響を考察するため、それぞれの変数を設定した。仕事の内容(変わった=1、変わらなかっ た=0)に関するダミー変数を設定している。仕事の量については、自宅に持ち帰って行う仕事の 量、休日に仕事をする量の 2 種の変数を設定している。仕事の質については、仕事の責任、仕事 の権限3、上司との関係、同僚との関係4の 4 種の変数を設定した。(2)職種ダミー5、産業ダミー6 就業形態ダミー(正規雇用ダミー)7、企業規模ダミー8を設定している。 第四に、個人属性要因については、(1)年齢、年齢二乗、学歴ダミー(中卒、高卒、短大・高専 卒、大学・大学院卒、その他の学歴)、性別(女性ダミー)を説明変数として設定した。非勤労所得、 持ち家ダミーが就業選択に影響を与えるため、変数として設定した。(3)家族要因については、 同居家族人数、親との同居ダミー9、既婚ダミー、子供ありダミーを設定した。 第五に、地域により、人口規模および失業率の状況が異なると考えられる。こうしたマクロ環境 の要因をコントロールするため、地域ダミーを説明変数として用いている10 標本の選定について、本稿では、就業している雇用者の労働時間に関する分析に着目し、 年齢を 20~69 歳に限定する。週労働時間が 168 時間以上のサンプルを異常値として除外し、 3 仕事の責任と仕事の権限に関する変数設定については、JHPS 質問項目に基づいて、減ったダミー、 増えたダミー、変わらないダミーの 3 種をそれぞれ設定している。 4 上司との関係、同僚との関係に関する変数設定については、JHPS 質問項目に基づいて、改善した ダミー、悪化したダミー、変わらないダミーの 3 種をそれぞれ設定している。 5 職種ダミーについては、JHPS における「あなたが普段しているお仕事の内容は、つぎのどれですか」 の質問項目に基づいて設定している。具体的に、販売・サービス職ダミー、管理職ダミー、専門・技術 職ダミー、事務職ダミー、現場生産職ダミー、その他の産業ダミーの6種を設定している。 6 産業ダミーについては、JHPS における 「あなたが普段お仕事をしている企業・事業者の事業内容 は、つぎのどれですか」 の質問項目に基づいて、農林漁水産鉱業ダミー、建設業ダミー、製造業ダミ ー、小売・卸業・飲食業ダミー、金融・不動産業ダミー、運輸・通信情報産業ダミー、医療・福祉・教育 ダミー、他のサービス業ダミー、その他の産業ダミーの9種を設定している。 7 本稿では、雇用者のみに着目して分析するため、就業形態を正規雇用と非正規雇用の2種に分け ている。 8 企業規模については、JHPS における「あなたが普段お仕事をしている企業全体の企業規模は、つぎ のどれですか」の質問項目に基づいて、従業員人数が 1~4 人、5~29 人、30~99 人、100~499 人、 500 人以上、官公庁の 6 種に分けてそれぞれのダミー変数を設定している。 9 親との同居ダミーを JHPS における「親との居住状況について、次のように分類した場合、どれにあて はまりますか」の質問項目に基づいて、2 つの選択肢(「①親と同一建物で生計を共にしている(同居 世帯)、②親と同一建物で生計が別(準同居世帯))を選択した場合=1、その他=0 のように「親との 同居」のダミー変数を設定している。 10 KHPS と JHPS における地域ブロックに関する質問項目に基づいて、地域を北海道、東北、関東、中 部、近畿、中国、四国、九州の 8 種に分けてそれぞれのダミー変数を設定している。

(9)

欠損値も除外する。以下では、データから観察されたものについて説明する。

4.データからみた仕事満足度の状況

表 2 は週労働時間別からみた仕事の満足度の分布を示している。正規雇用者において、週労 働時間が19 時間以下の場合(10.71%)に比べ、週労働時間が 19 時間以上の場合、労働時間の 増加とともに仕事満足度が高まった労働者の割合がやや多くなる。一方、非正規雇用者では、週 労働時間が 19 時間以下の場合(14.41%)に比べ、週労働時間が 40~49 時間(11.92%)、60 時 間以上(8.11%)の場合、仕事満足度が高まった労働者の割合が少なくなるが、週労働時間が 19 時間以下の場合に比べ、週労働時間が 50~59 時間(19.67%)の場合、仕事の満足度が増えた 確率が高い。正規雇用者と非正規雇用者の場合、いずれも労働時間の増加とともに仕事満足度 が低下していくとはいえず、労働時間と仕事の満足度は単純な線型な関係ではないことが示 され、ワーカホリックな人が存在することがうかがえる。 ――― 表2の挿入――― 表 3 は昨年度賃金所得別からみた仕事満足度の分布を示している。正規雇用者では、賃金所 得階層が高くなるほど、仕事満足度が高くなる傾向にある。一方、非正規雇用者では、100 万円 以下の場合、仕事満足度が高まった雇用者の割合が 16.46%で一番高い。100 万円以下のグル ープに比べ、100~200 万円、200~300 万円、300~400 万円の場合、仕事満足度が高まった雇 用者の割合がそれぞれ 13.51%、11.93%、7.78%で少なくなる。ただし、400~500 万円、600 万 円以上になると、仕事満足度が高まった雇用者の割合がそれぞれ 16.22%、17.14%と多くなる。 非正規雇用者の場合、賃金所得と仕事満足に二極化の関係があることがうかがえる。低賃金所 得と高賃金所得の両方のグループで仕事満足度が高い傾向にある。 ――― 表3の挿入――― 仕事の責任別からみた仕事満足度の分布を表 4 で表している。正規雇者と非正規雇用者にお いて、いずれも仕事責任が減った場合、仕事満足度が減った割合が多くなる(正規が 51.59%、 非正規が 50.00%)。一方、仕事責任が増えた場合、仕事満足度が増えた割合が少なくない(正 規が 28.41%、非正規が 38.25%)。仕事責任が増えるほど仕事満足度が高くなる傾向が見て取 れた。 ――― 表4の挿入――― 表 5 で職場の人間関係別からみた仕事満足度の分布を示している。正規と非正規雇用者の場 合、いずれも上司との関係が改善した場合、仕事満足度が高まった割合は正規が 51.74%、非正 規が 56.99%となっている。一方、上司との関係が悪化した場合、仕事満足度が減った割合は、

(10)

正規が 64.37%、非正規が 65.71%である。上司との関係が良くなるとともに、仕事満足度が高くな ることが示された。 ―――表5の挿入――― 以上のクロス集計により、労働時間、賃金所得、仕事責任、上司との関係別ごとに仕事 の満足度が異なることが示された。しかし、上記のクロス集計では、個人属性、家族要因、 職場要因、マクロ経済環境や制度要因などを統御しておらず、仕事満足度に関する厳密な 分析となっていない。以下では、内生性とセレクション・バイアスの問題を考慮した計量 分析を行い、仕事満足度の決定要因を明らかにした上で、仕事満足度における就業形態別・ 性別間の差異も検討する。

5. 計量分析の結果

仕事満足度の決定要因に関する分析結果を表 6 および表7で示している。表6で、雇用者全体、 正規雇用者、非正規雇用者の仕事満足度に関する分析結果をまとめており、表7では、男性正 規雇用者、女性正規雇用者、男性非正規雇用者、女性非正規雇用者の仕事満足度に関する分 析結果を示している。以下では、これらの分析結果について説明する。 まず、雇用者全体の仕事満足度に関する分析結果を検討する。分析結果より、以下のことが示さ れた。第一に、労働時間11の影響については、労働時間が仕事満足度に有意な影響を与えてい ない結果が得られた。 第二に、賃金の影響については、昨年度の賃金所得が 200~300 万円未満のグループに比べ、 100~200 万円未満のグループの場合、仕事満足度が高くなる。また、有意水準が 10%であるが、 200~300 万円未満のグループに比べ、400~500 万円未満のグループの場合、仕事満足度が低 くなる傾向にある。賃金所得の上昇とともに仕事満足度が高くなるとはいえず、欧米の先行研究と 異なる結果が得られた。 第三に、個人属性の影響を検討する。(1)健康の場合、仕事満足度が高くなり、Clark (1996)、 Gazioglu and Tansel (2006)に類似する結果が得られた。(2)年齢、教育水準、就業形態、性別、 子供の状況、住宅状況、時間選好性、危険回避度がいずれも仕事満足度に有意な影響を与え ていない。 第四に、仕事・職場要因の影響をみる。(1)有意水準が 10%であるが、現場生産職に比べ、技 術職の場合、仕事満足度が高くなる傾向にある。(2)製造業に比べ、情報・運輸業の場合、雇用 者の仕事満足度が低くなる。また、統計的な有意水準が 10%であるが、製造業に比べ、農漁林 水鉱業、建設業の場合、仕事満足度が低くなる傾向にある。(4)企業規模、組合が仕事満足度に 11 労働時間の推定値を用いている。労働時間関数については、後ろの附表 1-(1)、附表 1-(2)お よび附表 2 を参照されたい。

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有意な影響を与えていない。(5)持ち帰った仕事が変わらなかった場合に比べ、持ち帰った仕事 が減った場合、仕事満足度が低くなる。在宅勤務が増えると、仕事満足度が高くなる傾向にある。 (6)休日の仕事の量が変わらなかった場合に比べ、仕事の量が増えた場合、仕事満足度が高く なる。(7)仕事の責任が変わらなかった場合に比べ、仕事の責任が減った場合、仕事満足度が 低くなる。(8)仕事の権限が変わらなかった場合に比べ、仕事の権限が増えた場合、仕事満足度 が高くなる一方、仕事の権限が減った場合、仕事満足度が低くなる傾向にある。(9)上司との関 係が変わらなかった場合に比べ、上司との関係が改善した場合、仕事満足度が高くなる一方、上 司との関係が悪化した場合、仕事満足度が低くなる。(10)同僚との関係が変わらなかった場合に 比べ、同僚との関係が悪化した場合、仕事満足度が低くなる。 次に仕事満足度の決定要因における就業形態間の差異を検討する。第一に、労働時間の影 響については、正規雇用者、非正規雇用者において、いずれも労働時間が仕事満足度に与える 影響は、統計的に有意ではない。第二に、賃金の影響についてみる。正規雇用者の場合、昨年 度の所得が 200~300 万円未満のグループに比べ、300~400 万円の場合、仕事満足度が低くな る。一方、非正規雇用者の場合、昨年度の所得が 200~300 万円未満のグループに比べ、100~ 200 万円未満の場合、仕事満足度が高くなる。就業形態ごとに賃金が仕事満足度に与える影響 は異なることが示された。 第三に、個人属性の影響をみる。(1)統計的な有意水準が 10%であるが、正規雇用者では仕 事満足度は男性が女性より高くなる。一方、非正規雇用者において仕事満足度はで男性が女性 より低くなる傾向にある。就業形態ごとに性別が仕事満足度に与える影響が異なり、二つの効果 が相殺した結果、雇用者全体に関する分析では、性別が仕事満足度に有意な影響を与えていな い結果が得られたと考えられる。(2)正規雇用者において、持家、健康者の場合、仕事満足度が 高くなり、欧米の先行研究に似通る結果が得られた。一方、非正規雇用者の場合、持家および健 康がいずれも仕事満足度に有意な影響を与えていない。 第四に、仕事・職場要因の影響を検討する。(1)非正規雇用者において現場生産職に比べ、 技術職の場合、仕事満足度が高くなる。一方、正規雇用者の場合、職種が仕事満足度に有意な 影響を与えていない。(2)正規雇用者において、製造業に比べ、情報・運輸業、農漁林水鉱業の 場合、仕事満足度が低くなる。一方、非正規雇用者の仕事満足度における産業間の差異は顕著 ではない。(3)正規雇用者において、休日の仕事の量が変わらなかった場合に比べ、仕事の量 が増えた場合、仕事満足度が高くなる。一方、休日の仕事の量の変化が非正規雇用者の仕事満 足度に有意な影響を与えていない。(4)非正規雇用者では、仕事の責任が変わらなかった場合 に比べ、仕事の責任が減った場合、仕事満足度が低くなる。一方、仕事の責任が正規雇用者の 仕事満足度に有意な影響を与えていない。(5)正規雇用者、非正規雇用者において、いずれも 仕事の権限が変わらなかった場合に比べ、仕事の権限が増えた場合、仕事満足度が高くなる傾 向にある。また非正規雇用者では、仕事の権限が減った場合、仕事満足度が低くなる。(6)正規 雇用者、非正規雇用者において、いずれも上司との関係が変わらなかった場合に比べ、上司との

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関係が改善した場合、仕事満足度が高くなる一方、上司との関係が悪化した場合、仕事満足度 が低くなる。(7)正規雇用者、非正規雇用者において、いずれも同僚との関係が変わらなかった 場合に比べ、同僚との関係が悪化した場合、仕事満足度が低くなる。また正規雇用者において、 同僚との関係が改善した場合、仕事満足度が高くなる。 最後に仕事満足度における性別間の差異を検討する。第一に、労働時間の影響をみる。正規 雇用者、非正規雇用者において、いずれも性別ごとに労働時間が仕事満足度に与える影響が異 なる。労働時間が女性の仕事満足度に有意な影響を与えていない。一方、男性の場合、統計的 な有意水準が 10%であるが、労働時間と仕事満足度に非線形の関係が存在することがうかがえ る。 第二に、賃金の影響については、賃金所得の影響における性別の差異が存在する。正規雇用 者では、賃金所得が 200~300 万円未満のグループに比べ、400 万円以上のグループの場合、 男性正規雇用者の仕事満足度が低くなるが、賃金所得が女性正規雇用者の仕事満足度に有意 な影響を与えていない。一方、非正規雇用者では、賃金所得が 200~300 万円未満のグループ に比べ、600 万円以上のグループの場合、女性非正規雇用者の仕事満足度が高くなるが、賃金 所得が男性非正規雇用者の仕事満足度に有意な影響を与えていない。 第三に、個人属性の影響をみる。(1)正規雇用者の場合、年齢の影響における性別の差異が 存在する。男性正規雇用者の場合、年齢の上昇とともに仕事満足度が高くなり、ある年齢を超え ると、年齢の上昇とともに仕事満足度が低下していく傾向にある。一方、年齢が女性正規雇用者 の仕事満足度に有意な影響を与えていない。(2)非正規雇用者の場合、子供ありの影響に男女 の差異が存在する。女性の場合、子供なしの場合に比べ、子供ありの場合、仕事満足度が低くな る。一方、子供の状況が男性の仕事満足度に有意な影響を与えていない。家庭の性別役割分業 が仕事満足度にも影響を与えることがうかがえる。男性に比べ、女性非正規雇用者が仕事と育児 の両立が困難であることが示された。(3)正規雇用者、非正規雇用者において、いずれも健康状 況が男性の仕事満足度に影響を与えており、健康者の場合、男性の仕事満足度が高くなる。一 方、健康状況が女性の仕事満足度に有意な影響を与えていない。 第四に、仕事・職場要因の影響を検討する。(1)非正規雇用者では、仕事の内容が変わらなか った場合に比べ、仕事の内容が変わった場合、女性の仕事満足度が高くなる。一方、仕事内容 の変化が男性の仕事満足度に有意な影響を与えていない。(2)非正規雇用者において、持ち帰 った仕事が変わらなかった場合に比べ、持ち帰った仕事が増えた場合、男性の仕事満足度が高 くなり、また持ち帰った仕事の量が減った場合、男性の仕事満足度が低くなる。一方、持ち帰った 仕事の量の変化が女性の仕事満足度に有意な影響を与えていない。(3)正規雇用者の場合、休 日の仕事の量が変わらなかった場合に比べ、仕事の量が増えた場合、男性の仕事満足度が高く なる。一方、休日の仕事の量の変化が女性の仕事満足度に与える影響は顕著ではない。(4)非 正規雇用者では、仕事の責任が変わらなかった場合に比べ、仕事の責任が減った場合、女性の 仕事満足度が低くなる。一方、仕事の責任が男性の仕事満足度に有意な影響を与えていない。

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(5)正規雇用者において、仕事の権限が変わらなかった場合に比べ、仕事の権限が増えた場合、 男性の仕事満足度が高くなる一方、仕事の権限が女性の仕事満足度に有意な影響を与えてい ない。非正規雇用者では、仕事の権限の影響における男女の差異が顕著ではない。(6)正規雇 用者、非正規雇用者において、上司との関係の影響における男女の差異が顕著ではない。男女 とも、上司との関係が変わらなかった場合に比べ、上司との関係が改善した場合、仕事満足度が 高くなる一方、上司との関係が悪化した場合、仕事満足度が低くなる。(7)正規雇用者、非正規 雇用者において、いずれも同僚との関係の影響における男女の差異が存在する。同僚との関係 が男性の仕事満足度に有意な影響を与える一方、同僚との関係が女性の仕事満足度に有意な 影響を与えていない。 ―――表6の挿入――― ―――表7の挿入―――

6.まとめ

本稿では、2009 年に慶應義塾大学が実施した家計パネル調査(KHPS2009)、および仕事と生 活の家計パネル調査(JHPS2009)の個票データを用い、サンプルの非ランダム性と同時決定の問 題を考慮した上で、雇用者仕事満足度の決定要因に与える影響に関する実証分析を行った。計 量分析から得られた主な結論は以下の通りである。 第一に、全体的にみると、労働時間が仕事満足度に有意な影響を与えていないが、男性の場 合、労働時間が仕事満足度に影響を与えており、男性正規雇用者の場合、労働時間の上昇とと もに仕事満足度が高くなる一方、男性非正規雇用者の場合、労働時間の増加とともに仕事満足 が低くなる傾向にある。 第二に、賃金所得が男性正規雇用者、女性非正規雇用者の仕事満足度に影響を与えており、 賃金所得と仕事満足度に非線形の関係がある。 第三に、個人属性の影響については、健康者の場合、男女の正規雇用者と非正規雇用者とも、 仕事満足度が高くなる。子供ありの場合、女性非正規雇用者の仕事満足度が低くなる。 第四に、仕事・職場要因の影響については、職業ごと、産業ごとに仕事満足度が異なる。また 仕事の内容、仕事の量、仕事の権限、仕事の責任、上司との関係、同僚との関係の変化が仕事 満足度に大きな影響を与えている。 第五に、仕事満足度に就業形態間、性別間の差異が存在することが確認された。 分析結果により、日本雇用者の仕事満足度を高めるため、労働時間や仕事の内容、仕事の量、 仕事の質などの問題を重視することは必要であることが示された。 最後に、本稿では、サンプルの非ランダム性と内生性の問題を考慮した上で、仕事の満 足度の決定要因に関する実証分析を行い、仕事の内容、仕事の量と仕事の質の影響も考察

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した。しかし、クロスセクションの分析で個体間の異質性の問題が残ると考えられる。こ れらの課題に関するパネルデータの分析は今後の課題としたい。

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表1記述統計量 変数名 平均値 標準偏差 最小値 最大値 仕事満足度 1.989 0.554 1 3 週労働時間 40 11 4 73 年齢 45 12 20 69 学歴の構成(%) 中卒 0.080 0.271 0 1 高卒 0.447 0.497 0 1 短大・高専卒 0.131 0.337 0 1 大卒・大卒以上 0.287 0.453 0 1 その他 0.055 0.228 0 1 昨年度年収の構成(%) 0~100万円未満 0.158 0.365 0 1 100~200万円未満 0.142 0.349 0 1 200~300万円未満 0.130 0.337 0 1 300~400万円未満 0.126 0.332 0 1 400~500万円未満 0.109 0.312 0 1 500~600万円未満 0.142 0.349 0 1 600~1000万円未満 0.192 0.427 0 1 1000万円以上 0.365 0.481 0 1 非正規就業 0.599 0.490 0 1 子供ありダミー 0.655 0.475 0 1 持家有り 0.772 0.420 0 1 健康 0.565 0.496 0 1 親との同居ダミー 0.216 0.411 0 1 双曲割引率 2.641 2.464 0 10 危険回避率 0.506 0.198 0 1 職種の構成(%) 販売職 0.137 0.344 0 1 サービス職 0.123 0.328 0 1 管理職 0.056 0.231 0 1 事務職 0.189 0.391 0 1 製造などの作業職 0.190 0.392 0 1 技術職 0.210 0.407 0 1 その他の職 0.095 0.293 0 1 産業の構成(%) 1.000 農漁林水鉱業 0.004 0.059 0 1 建設業 0.071 0.258 0 1 製造業 0.201 0.401 0 1 小売・飲食業 0.184 0.387 0 1 金融・不動産 0.061 0.240 0 1 情報・運輸業 0.109 0.312 0 1 医療・教育業 0.164 0.370 0 1 その他のサービス業 0.107 0.309 0 1 その他の産業 0.100 0.300 0 1

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(つづき) 変数名 平均値 標準偏差 最小値 最大値 企業規模の構成(%) 1~4人 0.055 0.227 0 1 5~29人 0.191 0.394 0 1 30~99人 0.167 0.373 0 1 100~499人 0.218 0.413 0 1 500人以上 0.291 0.454 0 1 官公庁 0.079 0.269 0 1 組合 0.247 0.432 0 1 仕事の内容が変わった 0.213 0.410 0 1 持ち帰った仕事の量の構成(%) 増えた 0.061 0.239 0 1 減った 0.053 0.225 0 1 変わらなかった 0.886 0.318 0 1 休日の仕事の内容の構成(%) 増えた 0.097 0.297 0 1 減った 0.089 0.285 0 1 変わらなかった 0.813 0.390 0 1 仕事の責任の構成(%) 増えた 0.326 0.469 0 1 減った 0.040 0.196 0 1 変わらなかった 0.633 0.482 0 1 仕事の権限の構成(%) 増えた 0.205 0.404 0 1 減った 0.051 0.219 0 1 変わらなかった 0.745 0.436 0 1 上司との関係の構成(%) 改善した 0.074 0.262 0 1 悪化した 0.053 0.225 0 1 変わらなかった 0.873 0.334 0 1 同僚との関係の構成(%) 改善した 0.074 0.261 0 1 悪化した 0.032 0.175 0 1 変わらなかった 0.895 0.307 0 1 県別有効求人倍率 0.916 0.308 0.36 1.61 地域の構成(%) 北海道 0.043 0.203 0 1 東北 0.063 0.242 0 1 関東 0.341 0.474 0 1 中部 0.183 0.386 0 1 近畿 0.180 0.384 0 1 中国 0.050 0.218 0 1 四国 0.030 0.171 0 1 九州 0.111 0.314 0 1 サンプルサイズ 2267 出所:JHPS2009、KHPS2009により筆者が計算。

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表2 週労働時間からみた仕事の満足度の状況 週労働時間 減った 変わらない 高まった 合計 正規雇用者 1~19時間 人数 48 227 33 308 % 15.58 73.70 10.71 100 20~29時間 人数 13 52 8 73 % 17.81 71.23 10.96 100 30~39時間 人数 39 164 23 226 % 17.26 72.57 10.18 100 40~49時間 人数 229 967 177 1,373 % 16.68 70.43 12.89 100 50~59時間 人数 108 457 97 662 % 16.31 69.03 14.65 100 60時間以上 人数 66 270 60 396 % 16.67 68.18 15.15 100 合計 人数 503 2,137 398 3,038 % 16.56 70.34 13.10 100 非正規雇用者 1~19時間 人数 53 327 64 444 % 11.94 73.65 14.41 100 20~29時間 人数 44 286 57 387 % 11.37 73.90 14.73 100 30~39時間 人数 38 200 53 291 % 13.06 68.73 18.21 100 40~49時間 人数 48 218 36 302 % 15.89 72.19 11.92 100 50~59時間 人数 14 35 12 61 % 22.95 57.38 19.67 100 60時間以上 人数 3 65 6 74 % 4.05 87.84 8.11 100 合計 人数 200 1,131 228 1,559 % 12.83 72.55 14.62 100 出所:表1と同じ。

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表3 賃金所得階層別からみた仕事満足度 昨年度賃金 減った 変わらない 高まった 合計 正規雇用者 1~100万円未満 人数 17 103 14 134 % 12.69 76.87 10.45 100 100~200万円未満 人数 41 176 36 253 % 16.21 69.57 14.23 100 200~300万円未満 人数 65 247 53 365 % 17.81 67.67 14.52 100 300~400万円未満 人数 81 325 67 473 % 17.12 68.71 14.16 100 400~500万円未満 人数 102 319 66 487 % 20.94 65.50 13.55 100 500~600万円未満 人数 33 122 18 173 % 19.08 70.52 10.40 100 600万円以上 人数 172 727 145 1,044 % 16.48 69.64 13.89 100 合計 人数 511 2,019 399 2,929 % 17.45 68.93 13.62 100 非正規雇用者 1~100万円未満 人数 67 476 107 650 % 10.31 73.23 16.46 100 100~200万円未満 人数 60 356 65 481 % 12.47 74.01 13.51 100 200~300万円未満 人数 44 148 26 218 % 20.18 67.89 11.93 100 300~400万円未満 人数 14 69 7 90 % 15.56 76.67 7.78 100 400~500万円未満 人数 6 25 6 37 % 16.22 67.57 16.22 100 500~600万円未満 人数 1 3 0 4 % 25.00 75.00 0.00 100 600万円以上 人数 5 24 6 35 % 14.29 68.57 17.14 100 合計 人数 197 1,101 217 1,515 % 13.00 72.67 14.32 100 出所:表1と同じ。

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表4 仕事の責任別からみた仕事満足度 仕事の責任 減った 変わらない 高まった 合計 正規雇用者 増えた 人数 231 603 331 1,165 % 19.83 51.76 28.41 100 減った 人数 65 46 15 126 % 51.59 36.51 11.90 100 変わらない 人数 271 1,641 112 2,024 % 13.39 81.08 5.53 100 合計 人数 567 2,290 458 3,315 % 17.10 69.08 13.82 100 非正規雇用者 増えた 人数 49 156 127 332 % 14.76 46.99 38.25 100 減った 人数 34 27 7 68 % 50.00 39.71 10.29 100 変わらない 人数 121 962 94 1,177 % 10.28 81.73 7.99 100 合計 人数 204 1,145 228 1,577 % 12.94 72.61 14.46 100 出所:表1と同じ。

(22)

表5 上司との関係別からみた仕事満足度 上司との関係 減った 変わらない 高まった 合計 正規雇用者 改善した 人数 26 85 119 230 % 11.3 36.96 51.74 100 悪化した 人数 112 48 14 174 % 64.37 27.59 8.05 100 変わらない 人数 422 2,136 323 2,881 % 14.65 74.14 11.21 100 合計 人数 560 2,269 456 3,285 % 17.05 69.07 13.88 100 非正規雇用者 改善した 人数 6 34 53 93 % 6.45 36.56 56.99 100 悪化した 人数 46 18 6 70 % 65.71 25.71 8.57 100 変わらない 人数 149 1,083 165 1,397 % 10.67 77.52 11.81 100 合計 人数 201 1,135 224 1,560 % 12.88 72.76 14.36 100 出所:表1と同じ。

(23)

表6 就業形態別の仕事満足度に関する分析結果     全体  正規雇用者   非正規雇用者 推定係数 z値 推定係数 z値 推定係数 z値 労働時間要因 労働時間の推定値(30~39時間) 0~19時間 0.048 0.17 (dropped) 0.262 0.78 20~29時間 -0.066 -0.34 -0.244 -0.20 0.007 0.03 40~49時間 -0.040 -0.22 -0.148 -0.66 0.097 0.29 50~59時間 0.145 0.67 0.011 0.04 0.384 0.61 60時間以上 0.705 1.06 1.213 1.58 -1.791 -1.24 賃金所得要因 昨年度賃金(200~300万円未満) 100万円未満 0.343 1.52 -0.240 -0.39 0.543 +1.78 100~200万円未満 0.405 * 2.09 0.609 + 1.79 0.587 * 2.07 300~400万円未満 0.110 0.64 0.041 ** 0.21 0.386 0.94 400~500万円未満 -0.342 + -1.87 -0.434 -2.20 0.538 0.93 500~600万円未満 -0.251 -1.51 -0.264 -1.56 -0.564 -0.48 600~1000万円未満 -0.073 -0.43 -0.174 -0.97 1.430 1.28 1000万円以上 -0.123 -0.44 -0.441 -1.51 2.093 1.58 個人属性要因 年齢 0.014 0.41 0.037 0.75 -0.057 -0.95 年齢二乗 0.000 -0.41 0.000 -0.78 0.001 1.01 学歴(高卒) 中卒 -0.022 -0.12 -0.054 -0.23 -0.020 -0.06 短大・高専卒 -0.199 -1.30 -0.191 -0.95 -0.294 -1.14 大卒・大卒以上 0.162 1.37 0.191 1.35 0.022 0.09 その他 0.171 0.79 0.251 0.89 0.079 0.21 非正規就業  0.060 0.32 男性 -0.044 -0.31 0.318 + 1.73 -0.529 +-1.87 子供あり 0.028 0.25 -0.095 -0.68 0.129 0.60 持家あり 0.195 1.57 0.320 * 2.01 0.025 0.11 健康 0.303 ** 3.08 0.396 ** 3.23 0.111 0.62 親との同居 0.089 0.72 0.156 1.02 -0.137 -0.58 双曲割引率 -0.006 -0.29 -0.027 -1.12 0.034 0.94 危険回避率 0.054 0.22 0.036 0.12 0.078 0.17 職場と仕事要因 職種(現場生産職) 販売職 0.099 0.54 0.170 0.74 0.042 0.12 サービス職 0.053 0.28 0.159 0.62 0.047 0.15 管理職 0.113 0.46 0.329 1.21 -0.789 -1.35 事務職 -0.155 -0.94 -0.198 -0.95 -0.300 -0.99 技術職 0.314 + 1.92 0.172 0.89 0.715 * 2.11 その他の職 0.266 1.33 0.069 0.27 0.538 1.50 産業(製造業) 農漁林水鉱業 -1.350 + -1.77 -3.088 * -2.29 -0.514 -0.45 建設業 -0.394 + -1.78 -0.456 + -1.79 -0.518 -1.02 小売・飲食業 -0.126 -0.70 -0.220 -0.94 -0.205 -0.63 金融・不動産 0.144 0.61 -0.020 -0.07 0.636 1.37 情報・運輸業 -0.552 ** -2.84 -0.497 * -2.19 -0.662 -1.54 医療・教育業 0.079 0.42 0.253 1.06 -0.229 -0.65 その他のサービス業 -0.173 -0.89 -0.100 -0.41 -0.470 -1.28 その他の産業 0.180 0.79 0.194 0.72 -0.083 -0.17

(24)

つづき     全体  正規雇用者   非正規雇用者 推定係数 z値 推定係数 z値 推定係数 z値 職場と仕事要因(つづき) 企業規模(1~4人) 5~29人 0.066 0.28 -0.078 -0.21 -0.053 -0.15 30~99人 0.149 0.62 -0.103 -0.28 0.091 0.25 100~499人 -0.223 -0.95 -0.523 -1.41 -0.250 -0.72 500人以上 -0.059 -0.25 -0.232 -0.62 -0.309 -0.88 官公庁 -0.218 -0.71 -0.610 -1.40 0.524 0.95 組合 0.022 0.17 0.011 0.08 0.414 1.17 仕事の内容が変わった 0.063 0.48 -0.023 -0.14 0.231 0.92 持ち帰った仕事(変わらなかった) 増えた 0.263 1.08 0.153 0.55 0.444 0.83 減った -0.563 * -2.14 -0.446 -1.54 -1.305 +-1.85 休日の仕事の量(変わらなかった) 増えた 0.509 * 2.54 0.473 * 2.14 0.616 1.22 減った -0.161 -0.79 -0.403 + -1.73 0.529 1.18 仕事の責任(変わらなかった) 増えた 0.109 0.76 -0.015 -0.09 0.378 1.38 減った -0.797 * -2.53 -0.549 -1.32 -1.089 * -2.07 仕事の権限(変わらなかった) 増えた 0.950 ** 5.92 0.915 ** 4.93 1.154 **3.43 減った -0.661 * -2.30 -0.221 -0.65 -1.538 **-2.76 上司との関係(変わらなかった) 改善した 1.341 ** 5.52 0.916 ** 3.21 2.544 **4.74 悪化した -2.115 ** -9.20 -1.871 ** -6.63 -2.821 **-6.60 同僚との関係(変わらなかった) 改善した 0.387 1.60 0.783 ** 2.67 -0.628 -1.28 悪化した -1.112 ** -3.74 -1.011 ** -2.89 -1.352 * -2.27 労働市場要因 県別有効求人倍率 -0.052 -0.21 -0.027 -0.09 -0.062 -0.13 地域(関東)  北海道 -0.136 -0.48 -0.135 -0.38 -0.227 -0.44  東北 0.078 0.33 -0.157 -0.55 0.549 1.14  中部 0.018 0.12 -0.005 -0.03 0.012 0.04  近畿 0.113 0.78 0.134 0.73 -0.108 -0.43  中国 0.192 0.84 0.418 1.51 -0.354 -0.81  四国 -0.236 -0.84 -0.372 -1.09 0.153 0.28  九州 0.173 0.80 0.213 0.80 0.027 0.07 _cut1 -1.112 0.900 -0.765 1.195 -3.132 1.584 _cut2 2.935 0.903 3.150 1.199 1.539 1.577 標本数 2267 1440 827 対数尤度 -1630.54 -1069.13 -513.19 PseudoR2 0.133 0.1254 0.216 出所:表1と同じ。 注:**、*、+は、有意水準1%、5%、10%を示す。

(25)

表7 就業形態別・男女別の仕事満足度に関する分析結果 男性正規  女性正規   男性非正規   女性非正規 推定係数 z値 推定係数 z値 推定係数 z値 推定係数 z値 労働時間要因 労働時間 -0.393 + -1.95 -0.029 -0.10 0.157 1.22 -0.021 -0.28 労働時間二乗 0.004 + 1.78 0.001 0.21 -0.003 +-1.74 0.001 0.47 賃金所得要因 昨年度賃金(200~300万円未満) 100万円未満 0.287 0.25 -0.024 -0.03 0.279 0.35 0.892 * 2.21 100~200万円未満 0.857 1.56 0.674 1.38 -0.387 -0.58 0.962 * 2.51 300~400万円未満 0.022 0.09 0.126 0.34 0.597 0.89 -0.654 -0.82 400~500万円未満 -0.634 ** -2.75 0.223 0.47 0.486 0.46 0.753 0.77 500~600万円未満 -0.325 + -1.85 0.699 1.24 -1.688 -0.85 0.152 0.06 600万円以上 -0.417 * -2.11 0.625 1.15 3.289 * 2.32 1.231 0.46 個人属性要因 年齢 0.147 * 2.24 -0.152 -1.53 0.030 0.18 -0.055 -0.72 年齢二乗 -0.002 * -2.26 0.002 1.41 0.000 0.00 0.000 0.57 学歴(高卒) 中卒 -0.200 -0.72 0.339 0.53 0.498 0.64 -0.036 -0.09 短大・高専卒 -0.319 -1.26 -0.124 -0.33 -1.247 -1.26 -0.262 -0.92 大卒・大卒以上 0.160 0.98 0.508 1.45 0.610 1.05 -0.079 -0.27 その他 0.479 1.34 0.440 0.80 2.116 * 2.05 -0.094 -0.21 子供あり -0.130 -0.80 0.443 1.23 -1.143 * -2.06 0.383 1.34 持家あり 0.265 1.45 0.438 1.04 0.372 0.69 -0.116 -0.44 健康 0.462 ** 3.25 0.250 0.84 0.994 * 2.01 0.069 0.32 親との同居 0.110 0.59 0.058 0.17 0.682 1.03 -0.251 -0.87 双曲割引率 -0.015 -0.55 -0.029 -0.44 -0.108 -1.16 0.083 1.80 危険回避率 -0.204 -0.59 1.108 1.40 1.139 1.05 0.398 0.67 職場と仕事要因 職種(現場生産職) 販売職 0.199 0.71 0.326 0.65 -0.429 -0.39 0.278 0.71 サービス職 0.266 0.90 0.549 0.88 0.336 0.34 0.320 0.86 管理職 0.407 1.33 0.177 0.23 -1.659 -0.81 -0.682 -1.01 事務職 -0.260 -1.02 -0.380 -0.77 -0.775 -0.79 -0.240 -0.67 技術職 0.443 + 1.93 -0.407 -0.99 1.328 1.20 0.537 1.39 その他の職 0.283 1.00 -0.006 -0.01 -1.059 -1.04 1.081 * 2.51 産業(製造業) 農漁林水鉱業 -38.167 0.00 -3.109 + -1.88 4.139 0.89 -0.331 -0.25 建設業 -0.139 -0.47 -1.243 -1.33 -0.212 -0.21 -1.548 + -1.68 小売・飲食業 -0.121 -0.45 -1.007 + -1.72 -0.220 -0.24 -0.360 -0.93 金融・不動産 -0.115 -0.32 -0.468 -0.82 0.139 0.1 1.074 + 1.94 情報・運輸業 -0.554 * -2.23 -1.475 + -1.89 0.252 0.26 -0.755 -1.34 医療・教育業 0.316 1.03 -0.043 -0.09 -1.168 -1.02 -0.021 -0.05 その他のサービス業 -0.013 -0.05 -0.785 -1.25 -1.282 -1.58 -0.101 -0.21 その他の産業 0.234 0.75 0.139 0.21 -0.244 -0.16 0.255 0.45

(26)

(つづき) 男性正規  女性正規   男性非正規   女性非正規 推定係数 z値 推定係数 z値 推定係数 z値 推定係数 z値 職場と仕事要因(つづき) 企業規模(1~4人) 5~29人 0.214 0.48 -0.705 -0.97 -1.407 +-1.66 0.607 1.41 30~99人 0.227 0.51 -0.806 -1.06 0.951 1.00 0.368 0.83 100~499人 -0.336 -0.76 -0.830 -1.10 -1.612 +-1.80 0.313 0.72 500人以上 -0.041 -0.09 -0.591 -0.80 -0.667 -0.75 -0.172 -0.38 官公庁 -0.592 -1.13 -1.070 -1.2 -2.352 -1.14 0.833 1.3 組合 -0.072 -0.42 -0.386 -1.02 1.063 0.98 0.488 1.18 仕事の内容が変わった 0.083 0.45 -0.293 -0.79 -1.113 +-1.67 0.817 ** 2.80 持ち帰った仕事(変わらなかった) 増えた 0.287 0.89 -0.134 -0.21 4.046 **2.73 0.009 0.01 減った -0.544 -1.60 0.157 0.25 -3.040 +-1.81 -0.886 -0.96 休日の仕事の量(変わらなかった) 増えた 0.522 * 2.08 0.322 0.58 -0.334 -0.26 0.573 0.97 減った -0.301 -1.14 -0.966 + -1.62 2.0031.87 0.522 0.92 仕事の責任(変わらなかった) 増えた -0.015 -0.08 0.194 0.49 -0.844 -1.04 0.599 + 1.90 減った -0.673 -1.32 -0.241 -0.3 0.036 0.03 -1.900 ** -2.79 仕事の権限(変わらなかった) 増えた 0.931 ** 4.34 0.564 1.34 2.295 * 2.51 1.078 ** 2.75 減った 0.053 0.13 -1.022 -1.42 -2.645 * -2.29 -2.108 ** -2.67 上司との関係(変わらなかった) 改善した 0.529 1.59 2.298 ** 3.51 8.312 **5.00 2.356 ** 3.5 悪化した -2.036 ** -6.50 -1.577 + -1.65 -5.108 **-4.42 -2.839 ** -5.3 同僚との関係(変わらなかった) 改善した 0.845 * 2.43 0.435 0.71 -5.060 **-3.40 -0.391 -0.69 悪化した -1.067 * -2.52 -0.640 -0.9 -3.299 +-1.69 -0.633 -0.88 県別有効求人倍率 -0.094 -0.27 1.259 + 1.67 -0.051 -0.04 0.024 0.04 地域(関東)  北海道 -0.254 -0.62 1.089 1.36 2.359 +1.65 -0.760 -1.21  東北 -0.450 -1.38 0.907 1.28 1.763 1.38 0.549 0.96  中部 -0.127 -0.59 0.485 1.21 -0.229 -0.31 0.088 0.25  近畿 0.000 0.00 0.915 + 1.91 1.527 * 1.99 -0.374 -1.27  中国 0.094 0.28 1.084 1.58 0.990 0.76 -0.451 -0.85  四国 -0.372 -0.89 0.193 0.28 2.392 +1.65 0.328 0.51  九州 0.006 0.02 1.883 ** 3.02 -0.450 -0.40 0.138 0.29 _cut1 -8.936 4.813 -2.804 6.791 0.588 4.476 -2.313 2.208 _cut2 -4.852 4.806 1.093 6.789 7.733 4.584 2.531 2.210 標本数 1135 305 223 604 対数尤度 -813.96 -225.90 -92.89 -363.26 PseudoR2 0.137 0.1842 0.480 0.225 出所:表1と同じ。 注:**、*、+は、有意水準1%、5%、10%を示す。

(27)

附表1-(1)就業形態の選択に関する分析結果(男性)    正規/非就業    非正規/非就業 推定係数 z値 推定係数 z値 年齢(30~39歳) 20~29歳ダミー -0.376 -0.36 0.141 0.13 40~49歳ダミー -0.557 -0.61 -0.498 -0.53 50~59歳ダミー -2.195 ** -2.76 -1.128 -1.37 60~60歳ダミー -4.549 ** -5.81 -1.405 + -1.76 学歴(高校卒)ダミー 中学卒ダミー -0.480 -1.16 -0.065 -0.16 短大・高専ダミー 0.068 0.13 -0.137 -0.26 大学・大学院ダミー 0.221 0.64 0.521 1.47 その他の学歴ダミー -0.001 0.00 0.628 0.76 子供ありダミー 0.487 + 1.66 -0.467 -1.58 親との同居ダミー -0.065 -0.19 0.034 0.10 非勤労所得 -0.064 * -2.17 -0.019 -0.70 2年前の所得(100万円以下) 100~200万円未満ダミー -0.109 -0.25 0.427 1.02 200~300万円未満ダミー 0.935 + 1.87 0.558 1.12 300~400万円未満ダミー 1.338 ** 2.74 0.687 1.40 400~500万円未満ダミー 1.842 ** 2.88 1.034 1.58 500~600万円未満ダミー 1.520 * 2.49 -0.046 -0.07 600~1000万円未満ダミー 1.345 ** 3.10 0.073 0.16 1000万円以上ダミー 2.921 ** 2.67 1.826 1.64 借金ありダミー 0.009 0.03 -0.230 + -0.76 貯蓄 0.006 0.56 -0.023 -1.88 有価証券 -0.025 -0.88 -0.015 + -0.49 持ち家ダミー 0.161 0.38 -0.269 -0.63 双曲割引率 0.045 0.68 0.086 1.28 危険回避率 -0.736 -1.06 -0.941 -1.34 家計簿つけるダミー 0.495 1.39 0.208 0.57 組合員ダミー 1.278 ** 2.94 -0.693 -1.39 県別有効求人倍率 -0.045 -0.06 -0.641 -0.85 地域(関東)  北海道 -0.919 -1.24 -1.810 * -2.42  東北 -0.781 -1.30 -1.564 * -2.52  中部 -0.786 + -1.87 -1.168 ** -2.71  近畿 -0.084 -0.19 -0.771 + -1.77  中国 -0.968 -1.59 -1.460 * -2.26  四国 0.262 0.30 -0.830 -0.92  九州 0.047 0.07 -0.456 -0.67 定数項 4.148 ** 3.39 4.241 ** 3.43 標本数 1582 対数尤度 -703.54 Prob>chi2 0.0000 PseudoR2 0.3163 出所:表1と同じ。 注:**、*、+は、有意水準1%、5%、10%を示す。

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附表1-(2) 就業形態の選択に関する分析結果(女性)    正規/非就業    非正規/非就業 推定係数 z値 推定係数 z値 年齢(30~39歳) 20~29歳ダミー -0.047 -0.13 -0.066 -0.19 40~49歳ダミー 0.572 * 2.38 0.887 ** 4.15 50~59歳ダミー 0.003 0.01 0.278 1.21 60~60歳ダミー -1.306 ** -3.99 -0.373 -1.44 学歴(高校卒)ダミー 中学卒ダミー 0.520 1.45 0.766 ** 2.70 短大・高専ダミー 0.332 1.40 0.086 0.41 大学・大学院ダミー 0.563 * 2.43 0.141 0.66 その他の学歴ダミー 0.769 * 2.16 0.217 0.66 子供ありダミー -2.494 ** -11.69 -1.456 ** -7.55 親との同居ダミー 0.515 * 2.19 0.040 0.18 非勤労所得 0.363 ** 12.08 0.401 ** 14.04 2年前の所得(100万円以下) 100~200万円未満ダミー 0.199 0.62 -0.187 -0.77 200~300万円未満ダミー 1.093 ** 3.11 -0.192 -0.65 300~400万円未満ダミー 0.306 0.94 -1.610 ** -5.67 400~500万円未満ダミー -0.239 -0.69 -1.566 ** -5.47 500~600万円未満ダミー -0.138 -0.38 -2.066 ** -6.00 600~1000万円未満ダミー -0.426 -1.33 -1.672 ** -6.47 1000万円以上ダミー -0.531 -1.14 -1.654 ** -4.41 借金ありダミー 0.191 1.01 0.170 1.00 貯蓄 0.004 0.49 -0.015 + -1.77 有価証券 -0.063 + -1.86 -0.072 * -2.29 持ち家ダミー -0.169 -0.75 -0.414 * -2.10 双曲割引率 -0.031 -0.77 0.036 1.06 危険回避率 0.241 0.50 0.145 0.34 家計簿つけるダミー -0.924 ** -4.22 -0.434 * -2.46 組合員ダミー 0.576 ** 2.90 -1.254 ** -5.73 県別有効求人倍率 -0.354 -0.79 -0.203 -0.51 地域(関東)  北海道 -0.062 -0.13 -0.472 -1.12  東北 0.639 1.50 -0.161 -0.40  中部 0.436 + 1.65 -0.040 -0.17  近畿 -0.399 -1.43 0.026 0.12  中国 0.452 1.11 -0.295 -0.80  四国 0.502 1.08 -0.271 -0.64  九州 0.150 0.40 -0.538 -1.60 定数項 -0.046 -0.07 1.379 * 2.38 標本数 1559 対数尤度 -1144.33 Prob>chi2 0.0000 PseudoR2 0.3075 出所:表1と同じ。 注:**、*、+は、有意水準1%、5%、10%を示す。

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