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健康日本21推進全国連絡協議会

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Academic year: 2021

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開催日:平成 29 年 2 月 16 日(木)

場 所:BDK 会議室 8 階

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本抄録は、平成

29 年 2 月 16 日に開催

された「健康日本

21 推進全国連絡協議会」

19 回総会の特別講演の内容を取りま

とめたものです。

*本抄録では、スライド上での表示に関わらず、 年月は、西暦で統一をしております。

【特別講演】

特定健康診査・特定保健指導における

“保健指導の重要性”と健康日本 21

(第二次)について

保 険 者 に よ る

健診・保健指導

等 に 関 す る

検討会座長

(一財)日本公衆衛

生協会会長

多田羅 浩三

■進んでいる日本の医療と保健の体制 日本の医療は「何時でも、何処でも、誰でも利用 できる」という世界に例を見ない国民皆保険体制 を達成しています。また、平成になる前、昭和の頃 までは医薬分業が行われていなかったこともあり、 第一線の医師の経済力が強く、充実した診療体制 が確保されてきました。そして日本は内科、外科、 眼科、耳鼻科、婦人科などの専門医療が第一線に存 在しています。欧米では専門医療は基本として病 院に行かないと受けることができません。 次に保健事業についてですが、1982 年に老人保 健法の制定があり、「自助と連帯」のキャッチフレ ーズのもとに、高齢者自身が受診時に医療費の自 己負担をするということと、高齢者にかかった医 療費は各保険者の間で財政調整をするということ が、実施されました。そして同時に「予防に勝る治 療はない」という理念のもとに、市町村の保健事業 が発足し、基本健康診査とがん検診が行われるよ うになりました。 ■「元気に長生き」が課題 こうした充実した医療体制と保健事業のお陰で、 日本人の平均寿命は延び、1986 年に男女ともに世 界一の記録を達成しました。そうすると、次は「元 気で長生き」が課題になってきました。 しかし例えば 1989 年と 1999 年の喫煙率を比較 すると、20 歳代から 40 歳代では両年ともに 50% 以上であり、女性では増加があります。肥満者の割 合も増加しています。1992 年と 2000 年の基本健康 診査・がん検診の受診率を比較しても、ほとんど増 加はありません。健康増進に対する人々の関心の 薄さがわかります。結果、がん、心臓病、糖尿病な どの生活習慣病の患者数が増加しています。 全死因年齢調整死亡率について、1980 年と 2000 年を比較した場合、顕著に減少しており、これが平 均寿命の延長をつくっています。しかし、悪性新生 物の年齢調整死亡率は改善が見られません。 一方、国民医療費は、1980 年には約 12 兆円であ ったのが、2000 年に約 30 兆円になり、1年間に約 1兆円の増加がありました。人々の医療依存が 年々、進んでいます。平均寿命の延伸は、人々が元 気になったことの結果ではなく、人々の医療依存 が進み死ななくなっただけではないかということ で、「元気で長生き」とは程遠い現状です。 これらのことから浮かび上がってきた、現代の 医療の課題があります。現在の健康保険制度は症 状がなければ利用できません。しかし、多くの生活 習慣病は症状が現れてからでは手遅れです。だと すると、現在の健康保険では生活習慣病の増加に は的確に対応できないということになります。に もかかわらず、多くの人々は生活習慣の改善や健 診・がん検診に無関心です。結果、高齢化がそのま ま生活習慣病の増加、死亡率の増加をつくり、国民 医療費の高騰が続いている。医療と保健の体制は 立派だけれども、「元気で長生き」が達成されてい ない。これは非常に困った状況です。

保険者による健診・保健指

導等に関する検討会

 座長

(一財)日本公衆衛生協会

 会長  多田羅 浩三

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■自らの健康状態の「自覚」が「責務」 わが国が、このような現状に直面していたころ、 アメリカで「Healthy People 2000」の発表があり ました。ここでは冠疾患や脳卒中による死亡率の 改善に対し、「自分の血圧値が正常か否かを述べる ことができる」、つまり正常か否か、「自覚」してい るという目標が掲げられ、自覚している者を 90% に増加させるという目標値が示されました。自分 自身の健康状態の「自覚」ということが目標に掲げ られたことは、まさに画期的なことです。 厚労省は、これに学び、2000 年に「健康日本 21」 を発表しました。健診受診により自分自身の健康 状態を「自覚」する、つまり Know your body とい うことが言われ、生活習慣の改善を進める、そのた め自らの「各論」をつくり「目標値」を設定する。 それを社会が支援するということが提起されまし た。 そして、2002 年に健康増進法が制定され、第1 条では「国民の健康の増進の重要性が著しく増大 していることにかんがみ」とされ、平均寿命世界一 の国で「健康の増進の重要性が増大」といわれまし た。第2条では「国民の責務」として「自らの健康 状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなけ ればならない」とされました。国民の「自覚」を法 律にしたことは、特記すべきことです。 2000 年と 2010 年を比較すると、全死因年齢調整 死亡率に並んで、悪性新生物の年齢調整死亡率も 減少していることが確認されました。「健康日本 21」、「健康増進法」の成果と思います。国民の健康 状態の「自覚」が進み、悪性新生物による死亡が減 少してきたということと思います。 ■「元気な病人」が増加し、医療費は高騰 ここで 2002 年に社会保障・人口問題研究所が、 2025 年には 75 歳以上の人口が 2,000 万人以上に なるという推計値を発表しました。しかも問題の 医療費の推移を見ると、依然として高騰が続いて いることが明らかになりました。GDP に対する国民 の医療費の割合はうなぎ登りです。これは、人々が 健診をうけて、リスクのある人たちが「要医療」と して、医療機関に紹介され、保健事業が医療依存と なり、多くの国民が「薬」から独立できない「元気 な病人」になっていることの結果ではないかと考 えられてきました。 こうして日本人は長寿になりましたが、2025 年 には医療費は 70 兆円、80 兆円にもなるのではない かと心配されました。いわゆる「25 年問題」です。 日本人は平均寿命世界一を達成しましたが、平 均寿命が延びれば延びるほど医療費が高騰すると いう深刻な事態に直面することになってきました。 基本健康診査や定期健康診断による疾病の早期発 見・早期治療は、患者を早期に医療につなげて死亡 を防ぐことには成功したが、多くの国民を「薬」か ら独立できない「元気な病人」にしていると、霞が 関は総括したと思います。 ■「早期発見・早期治療」から「予防」へ このような状況の中で、生活習慣病の「予防」と いう観点に立った画期的な知見を発表したのが、 大阪大学の松澤佑次教授です。松澤先生らが 1994 年に、内臓脂肪型肥満症は耐糖能異常や脂質代謝 異常と関連し、これらに高血圧症を合併した病態 を「内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)」 と名づけ、冠動脈疾患発症のハイリスク状態であ ると報告、そして 2005 年 4 月にメタボリックシン ドローム診断基準検討委員会より、メタボリック シンドローム評価基準が発表されました。 待っていたように、厚生労働省は 2005 年 10 月 に「医療制度構造改革試案」を発表し、その最初に 「予防重視と医療の質の向上・効率化のための新 たな取組」の項を設定して、「生活習慣病予防のた めの本格的な取組」として、「糖尿病・高血圧・高 脂血症の予防に着目した健診及び保健指導の充実 等」をあげ、そのため「国保及び被用者保険の医療 保険者に対し、40 歳以上の被保険者及び被扶養者 を対象とする、糖尿病等の予防に着目した健診及 び保健指導の事業を計画的に行うことを義務づけ る」としました。この試案の内容にそって、2006 年

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6 月に「高齢者医療確保法」が制定され、2008 年 4 月に施行されました。 これによって、糖尿病等の「上流」にあるメタボ リックシンドロームを対象とすることによって、 薬に依拠せずに、糖尿病等の「予防」を目的とする 特定保健指導が実施されることになりました。特 定保健指導では、「薬を飲んでいる人は対象にしな い」というのが大きな特徴です。ここには国民皆保 険を背景に「薬」に依存しがちな国民が「薬」に依 拠せずに「上流」に挑戦し、「元気で長生き」を達 成して欲しいという法の精神が現れています。 ■腹囲測定で自発的健康づくりを始める メタボリックシンドロームの判断基準を、人々 が自ら測定できる「腹囲」にしたことは、とくに重 要なことだと思います。医師による血中アディポ ネクチンなどの検査ではなく、人々が自ら測定で きる「腹囲」を最優先にすることによって、画一的 な検査型の健康づくり、つまり「2 次予防」ではな く、人々の自発的測定から始まる「1 次予防」が可 能になりました。 わが国は 1961 年に国民皆保険体制を達成し、 1983 年には基本健康診査が始まり、2008 年には特 定健診・保健指導が発足し、Health for All に向 けて、ホップ、ステップ、ジャンプの発展を進めて きたといえます。 こうして世界に先んじて人々の自発的な健康づ くりの推進に向けた「保健指導」の制度が導入され ました。結果、市町村の保健事業として、全国で広 く実施されてきた基本健康診査は廃止されました。 大変な英断であったと思います。 ■予防と治療が協力する体制の構築に向けて 人々の疾病の予防を担う制度が具体的に発足し て、健診によって選定された対象者に薬からの独 立を前提とした保健指導を行い、生活習慣病を予 防するという理念に立った「公衆衛生の完成した ひとつの事業」が発足しました。そうである以上、 事業の実績を分析し、成果を明らかにする学問が 必要です。その学問は、「集団医学」と呼ばれるも のであると思います。 何故、「上流」に挑戦するのか。何よりも「上流」 であれば、薬による治療を必要とする状態でない からだといえます。薬を服用する者は保健指導の 対象にしません。リスク状態の早期発見を、医療で はなく、予防につなげる。これが特定検診・保健指 導実施の歴史的意義です。 現在の特定健診・保健指導では、健診と保健指導 の結果は、データヘルスとして全て保険者によっ て確保されています。だとすれば特定健診を受け た集団を「集団医学」の対象として位置づけて、対 象集団の生活習慣病の予防につながる、基本の属 性を明らかにしなければなりません。そしてその 成果をもとに、対象者に保健指導が行われ、生活習 慣病が予防される。こうして 21 世紀は、予防・集 団医学(collective medicine)が、治療・臨床医 学(clinical medicine)に並んで広く実践される時 代にならなければなりません。 ■「皆保険」を基盤に「皆保健」を 特定健診・保健指導の 2014 年度の実施状況を見 ると、保険者の総数は 3,386 団体です。 2012 年に「健康日本 21(第二次)」が始まりまし た。ここでは、「多様な主体による自発的取り組み や連携の推進」が謳われています。 データをもっているすべての保険者が自発的な 取り組みを行い、それを国、地方公共団体、そして ここにご出席の健康づくりを担う団体が支えるこ とが不可欠であると訴えたいと思います。 21 世紀には健康づくりが国民の課題ではなく、 国家の課題となりました。これは「2025 年問題」 があるからです。そして、「皆保険」を基盤に特定 健診・保健指導が始まり、「皆保健.」を目指す時代 になりました。特定健診は保険者が行いますが、保 健指導に関しては、ここにご出席の健康づくりを 担う団体に全面的に支えて欲しい、保険者による 保健指導の一端を担うことで「健康日本 21(第二 次)」を推進して欲しいとお願いして話しを終えた いと思います。ご清聴ありがとうございました。

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【資料編】

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無断複製を禁ず

平成 29 年 4 月

発 行:健康日本21推進全国連絡協議会

事務局:公益財団法人 健康・体力づくり事業財団

東京都港区東新橋2-6-10 大東京ビル7階

TEL:03-6430-9111 FAX:03-6430-9211

http://www.kenkounippon21.gr.jp/

健康日本21推進全国連絡協議会

第 19 回総会

特別講演抄録

参照

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