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( 高等部 )( 自立活動 )学習指導案

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Academic year: 2021

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理科(化学基礎)学習指導案 指導者 広島特別支援学校 教諭 木村 友泰 1 日時・場所 平成 28 年 12 月 22 日(木) 13:00~13:50 理科室 2 学部・学年・学級 高等部第2学年1組(Ⅰ類型 男子3名) 3 単元名 酸と塩基 4 単元設定の理由 ○ 単元観 本単元の目標は,酸と塩基の性質及び中和反応に関与する物質の量的関係を理解することで ある。中学校では,「酸・アルカリとイオン」で,酸とアルカリの性質や中和により水と塩が生 成すること,pH は7を中性として酸性やアルカリ性の強さを示していることについて学習して いる。学習指導要領では,観察,実験を通して探究することで学習内容を理解させていくこと, それらを日常生活や社会と関連付けて考察できるようにすることが求められている。 本単元では,中学校での既習事項を基に酸と塩基の定義を拡大させるとともに,水素イオン や水酸化物イオンの移動や濃度を酸と塩基の強弱や中和反応と関連付けて理解させる。その中 で,前単元「化学変化の量的関係」で学習している反応に関与する物質の量的関係を応用させ ることで,中和反応における量的関係について生徒に探究させることができる。また,酸と塩 基に関する実験には生徒にとって馴染みのある物質(食酢や洗剤など)を試料として用いるこ とが可能であり,生徒の興味・関心を引き出すとともに,化学と日常生活や社会との関連につ いて考えさせることをねらうことができる。さらに,酸と塩基の性質や pH に関する簡易的な定 性実験から中和滴定などの慎重な操作を要求される定量実験まで扱うことができ,基本的な実 験操作を幅広く学ばせることができる。 ○ 生徒観 本学級の生徒は肢体不自由を有しており,高等学校に準ずる教育課程で学習している。3名 とも地元の中学校から本校高等部に入学しており,生徒A及び生徒Cは大学進学を希望してい る。年度当初に行った授業に関するアンケートでは,理科の学習について生徒A及び生徒Cは 「嫌い(覚えることが多い,計算問題が苦手)」,生徒Bは「好き(実験が楽しい)」と回答して いる。また,理科の授業において期待していることとして,「苦手な化学式や化学反応式を覚え たい」「計算ミスを減らしたい」「実験の回数を増やしてほしい」などと記述している。これま での授業の様子などから,3名とも理科(理系分野)の学習には苦手意識をもっており,中学 校での学習内容の定着率も低い様子がうかがえる。しかし,観察,実験に対する関心は高く, 不慣れな実験操作や障害の状況によって難しい実験操作などにも,工夫して挑戦しようとする 姿勢が見られる。 生徒Aは,脳性麻痺による体幹機能障害がある。左半身の片麻痺であり,左下肢に短下肢装 具を装着,もしくはクラッチを使用することで,自力歩行で移動することができる。真面目な 性格であり,理科の勉強は「嫌い」とアンケートに答えているものの,課題や試験勉強につい ては丁寧に取り組むことができる。指示された課題に見通しをもつことができれば一人でやり とげることができるが,自分から課題を見付け,それに取り組むことは,まだ苦手であり,そ の力を育む必要がある。実験操作については,自分で工夫(左手を補助的に使用するなど)し,

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ある程度一人で行うことができるが,丁寧さが足りず,危ない場面が見られることもある。 生徒Bは,二分脊椎による体幹機能障害,膀胱・直腸障害及び水頭症がある。自走式車椅子 を自分で操作して移動しており,教室ではカットアウトテーブルを使用している。下半身はほ とんど感覚がなく,現在,臀部に褥瘡が生じているため,本人が意識して重心を移動させたり, 定期的にベッドに降りて学習を行ったりしている。中学校では,肢体不自由特別支援学級に在 籍しており,入学当初は学習全般に対して強い苦手意識をもっていたが,課題の提示の仕方(平 易なもの,少量であり短時間で取り組むことができるものなど)や,指導者が積極的に肯定的 な評価をするなど配慮して指導を行うことで,徐々にではあるが学習習慣が身に付き始めてい る。上肢には不自由がほぼないため,机上で行う実験操作に困難は生じないが,経験不足のた め戸惑う様子がよく見られる。困ったときに自分から質問するのは苦手であり,言葉掛けが必 要な場合もある。 生徒Cは,進行性筋ジストロフィーによる体幹機能障害,両上肢機能障害がある。電動車椅 子を自分で操作して移動しており,教室ではカットアウトテーブルを使用している。車椅子上 での重心の移動は,ある程度自力で行うことができ,疲労がたまると自分から支援を依頼し, 足を組んだりベッドに降りたりして休息している。入学当初は障害のため向上心が低く,物事 に前向きに取り組めない様子も見られたが,様々な学習や経験を積むことで将来の目標が定ま り,自分が必要である又は,やりたいと思ったことについては意欲的に取り組むことができる ようになった。上肢の移動が遅く握力が弱いため,マッチの火を付けたりねじを回したりする 操作などは苦手ではあるが,できるだけ一人でやってみようとする意欲が見られる。また,支 援が必要なときは積極的に依頼することができるが,過剰な支援を依頼することもある。 ○ 指導観 広特版学びの変革 IICE モデル(※1)を意識し,本単元を次の様に展開する。 I 興味 単元の 導入で,酸と塩基の中和反応による指示薬の変色を観察させる演示実験及び酸と塩基の性質を 調べる生徒実験を扱う。演示実験では,生徒の化学に対する「なぜ」という探究心を引き出し, この単元についての学習意欲を高めさせたい。 I 考え 本単元で理解すべき酸と塩基に関する 基礎的な知識や,中和反応に関する基本的な概念,法則を理解させる。その過程で,例えばア レーニウスの定義を拡張する必要性を考えさせたり,酸と塩基の強弱と水素イオン濃度,pH, 指示薬の変色との関係を整理させたりする活動を取り入れ,単なる知識伝達型の授業にならな いように気を付けたい。 C つながり 前単元「化学変化の量的関係」で学習した内容と本単元 で学習した中和に関する基本的な概念や法則を関連付けさせ,酸と塩基が過不足なく中和する ときの量的関係(酸の出しうる H+ の物質量=塩基の出しうる OH- の物質量)について見出させ たい。見出した量的関係を利用し,中和滴定によって濃度が分からない酸又は塩基の水溶液の 濃度を求める実験を行い,達成感を味わわせたい。 E 応用 食酢に含まれる酢酸の濃度を中和 滴定によって求めるという課題を提示し,仮説や実験方法を考えたり,実験を行い結果や考察 をまとめたりする探究活動を扱う。生徒の実態や理解度を考慮し,探究活動の一部を扱うなど, 生徒に過度な負担が掛からないように指導したい。 本時は単元の導入であり, I 興味 に重点を置いて授業を展開する。しかし,1時間の授業 の中でも, I 興味 演示実験, I 考え 生徒実験の説明, C つながり 生徒実験, E 応用 結 果のまとめ・発表,といった小さな IICE の流れを意識することで,メリハリをもたせるととも に生徒の主体的な学習を育むことを目指したい。導入の演示実験では,上述した生徒の化学に

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対する「なぜ」を引き出し,今後の単元の学習に対する期待や意欲を高めることができるよう, 演示実験の見せ方や説明内容を工夫する。生徒実験では,生徒が意欲的に実験に取り組むこと ができるよう,酸と塩基の試料を3種類ずつ用意し,生徒に選ばせ分担させて実験を進める。 実験操作については,最低限必要な説明,支援に留めておくことで,自ら考え工夫して行うよ う促すとともに,自分から質問や支援を依頼しなければならない場を設定する。これらに取り 組む時間を十分に確保するため,事前の準備や事後の片付けは指導者が行う。結果のまとめや 発表は苦手としている生徒が多いため,授業プリントにはあらかじめ結果を記述する欄を設け ておき,実験結果を随時記録するよう言葉掛けを行い,生徒の様子を見て必要があれば授業プ リントに沿って発表するよう指示をする。 (※1)広特版学びの変革 IICE モデルとは,カナダで開発・実践されてきた ICE モデルに Interests の I を加えて,「I 興味」→「I 考え」→「C つながり」→「E 応用」の4段階に応用 したモデルである。「I 興味」では,生徒の興味・関心を引き出すことに重点を置き,学習意欲 や学習への目的意識を高めることを目指す。 5 単元の目標 ・酸と塩基の性質を理解することができる。また,酸,塩基の強弱と電離度の大小について理解 することができる。 ・水素イオン濃度と pH の関係を理解することができる。 ・中和反応に関する基本的な概念及び塩の性質について理解することができる。 ・中和反応に関与する物質の量的関係を理解することができる。 6 単元の評価規準 関心・意欲・態度 思考・判断・表現 観察・実験の技能 知識・理解 ・酸と塩基の性質に関 心をもち,意欲的に探 究しようとしている。 ・中和反応の量的関係 について関心をもち, 意欲的に探究しようと している。 ・中和滴定について関 心をもち,積極的に実 験操作を行おうとして いる。 ・酸と塩基の定義につ いて,その拡大の必要 性について考えて表現 している。 ・中和反応の過程にお ける水溶液中のイオン の変化について考え, 表現している。 ・中和反応の量的関係 について,化学変化の 量的関係から見出して いる。 ・食酢に含まれる酢酸 の濃度を求める方法に ついて考え,表現して いる。 ・駒込ピペットを正し く使用することができ る。 ・実験結果を的確に記 録することができる。 ・指示薬を使用して, 水溶液の pH を測定す ることができる。 ・中和滴定を行い,未 知濃度の酸又は塩基の 水溶液の濃度を求める ことができる。 ・酸と塩基の強弱と電 離度とを関連付けて理 解している。 ・水素イオン濃度と pH の関係について理解し ている。 ・中和反応と塩の生成, 塩とその水溶液の性質 について理解してい る。 ・中和反応の量的関係 について理解し,反応 にかかわるイオンの物 質量を求めることがで きる。

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7 指導計画〔全 12 時間〕 第1次 酸と塩基 2時間(本時1/2時間) 第2次 水素イオン濃度と pH 2時間 第3次 中和反応と塩の生成 2時間 第4次 中和反応の量的関係と中和滴定 6時間 8 本時の目標 ○ 全体の目標・・・酸と塩基の性質に関心をもち,意欲的に探究しようとする。(関心・意欲・ 態度) 駒込ピペットを正しく使用し,液体試薬を安全に扱うことができる。(観 察・実験の技能) 実験結果を的確に記録することができる。(観察・実験の技能) ○ 個々の目標 生徒 これまでの様子 個々の目標 A ・指示されたことに見通しをもつことがで きれば,一人でやりとげることができる。 ・左手を補助的に使用し,自分なりに工夫 して実験操作を行うことができるが,危険 な場面もみられる。 ・実験結果を必要に応じて記録することが できる。 ・酸と塩基の性質に関心をもち,一人で実 験操作をやりとげようとするなど,実験に 意欲的に取り組もうとする。 ・駒込ピペットを正しく使用し,液体試薬 を安全に扱うことができる。 ・実験結果を的確に記録することができる。 B ・経験不足のため,実験操作に戸惑うこと がよくあり,自分から質問するのは苦手で ある。 ・理解することができれば,正しい実験操 作を一人で行うことができる。 ・自分で実験結果を記録することは苦手で ある。 ・酸と塩基の性質に関心をもち,わからな いことがあれば積極的に質問するなど,実 験に意欲的に取り組もうとする。 ・駒込ピペットを正しく使用し,液体試薬 を安全に扱うことができる。 ・実験結果を記録することができる。 C ・興味,関心をもったことには意欲的に取 り組むことができ,必要な支援も依頼する ことができる。 ・自分なりに工夫して実験操作を行うこと ができる。 ・実験内容を理解し,結果を記録すること ができる。 ・酸と塩基の性質に関心をもち,必要な支 援は積極的に依頼するなど,実験に意欲的 に取り組もうとする。 ・必要な支援を受け,駒込ピペットを正し く使用し,液体試薬を安全に扱うことがで きる。 ・実験結果を的確に記録することができる。

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9 準備物 教科書,授業プリント,酸性水溶液(塩酸・硫酸・食酢),塩基性水溶液(水酸化ナトリウム水 溶液・水酸化カルシウム水溶液・重そう水),試験管(12),ビーカー(2),三角フラスコ(1), 試験管立て(3),駒込ピペット(6),ガラス棒(6),赤色リトマス紙,青色リトマス紙,pH 試験紙,BTB 溶液,フェノールフタレイン溶液,安全めがね(4) 10 本時の学習過程 生徒の学習活動 指導上の留意点・個への配慮等 ( 課題,○支援) 評価規準 [観点] (評価方法) 導 入 あいさつ(1分) 単元について [I 興味] 演示実験(4分) 本時の目標を確認す る ○必要な支援(教材の移動,体位変換, 実験操作の補助など)は,生徒の依頼 に応じて行う。 本時から「酸と塩基」について学習す ることを伝える。塩基とは,アルカリ の定義よりも広い意味の言葉であるこ とをおさえる。 展 開 [I 考え] 実験の説明(5分) [C つながり] 生徒実験(30 分) 実物を用いて簡潔に説明する。 実験操作を図で板書しておく。 ○必要に応じて,駒込ピペットの正し い使い方を確認する(生徒A,生徒B)。 目標( 酸と塩基による指示薬の変色を調べる ) 三角フラスコに塩基の水溶液,2つのビーカーに BTB 溶液と酸の 水溶液にフェノールフタレイン溶液を加えたものをそれぞれ入 れておく。三角フラスコに BTB 溶液を加えた後,酸の水溶液を徐々 に加え,指示薬の変色の様子を観察させる。 実験に使用する試料を選ぶ。 実験を行い,酸,塩基それぞれの水溶液による指示薬の変色を調べる。 酸,塩基それぞれの水溶液について,指示薬(リトマス紙,pH 試 験紙,BTB 溶液,フェノールフタレイン溶液)の変色を調べる。

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安全に留意し,試料が皮膚などに付着 した場合はすぐに流水で洗い,必要に 応じて保健室で処置を依頼する。 ○生徒からの自発的な質問や支援の依 頼を促すため,危険な場合を除き,机 間指導はできるだけ様子の観察程度に 留める。 ○生徒の依頼に応じて,実験操作の支 援を行う。(生徒C) ○必要に応じて,記入場所や内容につ いて指導を行う。(生徒A,生徒B) 酸と塩基の性質に関心をも ち,意欲的に探究しようとし たか。[関心・意欲・態度] (行動観察) 駒込ピペットを正しく使用 し,液体試薬を安全に扱うこ とができたか。[観察・実験 の技能](行動観察) 実験結果を的確に記録する ことができたか。[観察・実 験の技能](プリントの記述) ま と め [E 応用] 結果の発表・まとめ (9分) あいさつ(1分) 発表内容を板書する。 実験結果から,酸と塩基の性質につい てまとめさせる。 実験結果をプリントに記入する。 実験結果を発表する。 実験結果をまとめ,考察する。

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11 教室配置図 教 卓 出入口 棚 流し台 黒 板

(Tは適宜机間指導を行う。)

参照

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