1
下水道のいまをお知らせします
このレポートは、仙台市下水道事業が抱えるリスクを評価分析した結果について、年に一度、市民の 皆さまに報告し、下水道施設の現状や課題に対する理解を深めていただくことを目的に作成しています。 今回は、国の耐震対策指針の見直しに対応した「地震リスク」を新たに加えています。リスクとはいったい何?
リスクとは、下水道施設の不具合や浸水などにより生じる市民生活への影響のことです。汚水処理施 設の整備がほぼ完了している本市では、老朽化の進む施設の適切な保全や地震対策、浸水対策が大きな 課題となっています。そこで「管路リスク」、「設備リスク」、「浸水リスク」、「地震リスク」という 4 種 類のリスクを取り扱うこととし、それぞれのリスクの高さに応じた対策を実施することにしています。リスクを評価する方法は・・・
リスク評価は、平成 27 年度におけるリスクについて、下水道管の管路リスクや地震リスク(管路) ではスパン(マンホールとマンホールとの間の一区間)ごとに、ポンプ場や浄化センターの設備リスク や地震リスク(施設)では機器や施設ごとに、浸水リスクでは地区(約 100 ㍍四方)ごとに行います。 リスクは、不具合等が起こる「発生確率(施設の使用年数や劣化状態、浸水被害の回数など)」と、 不具合が起こった場合の「影響の大きさ(周辺人口や施設の能力、浸水被害の規模など)」との組み合わ せによって表します。 また、その高さは N(無視できる)、L(低)、M(中)、H(高)の「リスクレベル」や、0.1~100,000 点の「リスク点」を用いて表し、それぞれのリスクレベルに応じた「リスク対応」を定めています。平成 27 年度
仙台市下水道事業 リスクレポート
(平成 28 年 11 月)
リスク評価表 (使用年数,浸水回数など) 確率大 影響大 (周辺人口,浸水規模など) リスク点 リスク対応 リスクH(高) 5,000点~100,000点 工事・調査 リスクM(中) 50点~4,999点 計画策定 リスクL(低) 0.5点~49点 注意喚起 リスクN(無) 0.1点~0.4点 当面静観 リスクレベル リスク = 「発生確率」 × 「影響の大きさ」2
管路リスク・・・管路の老朽化のリスクです。
経年劣化による腐食や破損などにより管路に不具合が生じるかどうかを評価するリスクです。管路に 不具合が生じると、トイレが使えなくなったり、道路陥没の原因となることがあります。 破損した管路 管路の破損による道路陥没 リスク評価結果 ・ リスク評価は、下水道台帳の情報や改築工事・カメラ調査結果を基に行いました。 ・ リスクの高い管路を改築して、リスクレベルの割合及び平均リスク点の低減に努めましたが、経年 劣化によるリスクの高まりもあり、前年度から大きく変わらずリスクは中程度のままです。 ・ 今後、高度経済成長期に大量に建設した管路が一斉に目標耐用年数を超過していくことから、将来 を見通した計画的な改築を進める必要があります。 リスク低減に向けた主な対応 ・ 管路の改築 布設から 50 年を経過して老朽化した管路を中心に、開削による「布設替え」や非開削で管の 内側から新しい管を構築する「更生工法」による改築を行っています。 本管の布設替え 本管の更生 取付管の布設替え ※H25 は、H26 に評価方法を見直しているため、掲載していません。 リスクレベル割合の推移 平均リスク点の推移 92% 92% 3% 3% 1% 1% 4% 4% 0% 20% 40% 60% 80% 100% H26 H27H
M
L
N
3,056 2,855 0 1 10 100 1,000 10,000 100,000 H26 H273
設備リスク・・・設備の老朽化のリスクです。
経年劣化により浄化センターやポンプ場の設備が機能しなくなるかどうかを評価するリスクです。 設備の機能が停止すると、トイレが使えなくなったり、汚水が溢れて環境に悪影響を与える恐れがあ ります。 腐食した流入ゲート (汚水ポンプ場) 破損したしさ搬出機 (雨水ポンプ場) リスク評価結果 ・ リスク評価は、下水道台帳の情報や改築工事結果を基に行いました。 ・ リスクの高い設備を改築して、リスクレベルの割合及び平均リスク点の低減に努めましたが、経年 劣化によるリスクの高まりもあり、前年度から大きく変わらずリスクは高い状況のままです。 ・ 今後、東日本大震災時に復旧した設備も経年劣化していくことから、将来を見通した計画的な改築 を進める必要があります。 リスク低減に向けた主な対応 ・ 浄化センターやポンプ場の設備の改築 設置から概ね 20 年を経過して老朽化した機械設備や電気設備を中心に、「機器更新」や「長寿 命化対策(主要部品の交換)」による改築を行っています。 流入ゲートの更新 (霊屋ポンプ場) しさ搬出機の更新 (今泉雨水ポンプ場) ポンプの長寿命化対策 (広瀬川浄化センター) リスクレベル割合の推移 平均リスク点の推移 鋼材の腐食 ローラの破損 31% 39% 38% 40% 35% 36% 8% 6% 6% 21% 20% 20% 0% 20% 40% 60% 80% 100% H25 H26 H27H
M
L
N
8,827 8,864 9,558 0 1 10 100 1,000 10,000 100,000 H25 H26 H274
浸水リスク・・・大雨時のリスクです。
大雨に対してその地区が浸水するかどうかを評価するリスクです。浸水により家屋などに被害が生 じたり、道路が通行止めになる恐れがあります。 住宅地で発生した浸水被害 仙台駅前で発生した浸水被害 リスク評価結果 ・ リスク評価は、過去 10 年間の浸水被害実績やコンピュータによる浸水被害想定を基に行いました。 ・ リスクの高い地区の対策を進めて、リスクレベルの割合及び平均リスク点の低減に努めましたが、 局所的な短時間豪雨の発生などによるリスクの高まりもあり、前年度から大きく変わらずリスクは 中程度のままです。 ・ 市中心部など影響が大きい地区での浸水被害や、昨年 9 月の関東・東北豪雨時のような大規模浸水 被害の発生が今後も懸念されることから、自助・共助等の取組みを組み合わせた総合的な対策が必 要となります。 リスク低減に向けた主な対応 ・ 雨水排水施設の新規整備 「雨水管路や雨水ポンプ場の整備」、「雨水ポンプの増設」により浸水被害の低減を図っています。 ・ 自助・共助等の取組み 「土のう配布」、「止水板設置補助」、「浸水履歴マップの公開」により浸水被害の軽減を図ってい ます。(取組みの内容は 6 ページに掲載しています) 雨水管路の整備 (榴岡地区) 雨水ポンプの増設 (中野雨水ポンプ場) 土のう配布 リスクレベル割合の推移 平均リスク点の推移 67% 67% 66% 28% 28% 29% 4% 4% 4% 1% 1% 1% 0% 20% 40% 60% 80% 100% H25 H26 H27H
M
L
N
819 816 846 0 1 10 100 1,000 10,000 100,000 H25 H26 H275
地震リスク・・・地震時のリスクです。
【耐震対策指針の見直しに対応して新たに追加】 地震に対して管路やポンプ場・浄化センターの構造物(以下「施設」)が耐えられるかどうかを評価 するリスクです。管路や施設が壊れてしまうと、長期間トイレが使えなくなったり、道路が通行止めに なる恐れがあります。 液状化により浮上したマンホール ブロックがずれたマンホール内 リスク評価結果 ・ リスク評価は、下水道台帳の情報や耐震診断結果を基に管路と施設に分けて行いました。 ・ リスクの高い管路や施設の耐震化を進めて、リスクレベルの割合及び平均リスク点の低減に努めま したが、リスクは高い状況にあります。 ・ 防災拠点の排水を受け入れる管路や緊急輸送路※に埋設している管路などの「特に重要な幹線」や施 設の一部では、耐震性が低い状況にあるため早期に耐震化する必要があります。 リスク低減に向けた主な対応 ・ 重要な役割を担う管路の耐震化 「特に重要な幹線の改築」や南蒲生浄化センターへ送水している基幹幹線(第 1 南蒲生幹線・ 第 2 南蒲生幹線)の被災時におけるバックアップ機能を確保するための「第 3 南蒲生幹線の整備」 による耐震化を行っています。 ・ 重要な役割を担う施設の耐震化 同一施設内で行う設備リスクに対応する改築工事と一体的に「耐震補強工事」を行うなど効率 的かつ効果的に施設の耐震化を行っています。 特に重要な幹線の改築 (更生工法) 第 3 南蒲生幹線の整備 (シールド掘進機) 施設の耐震補強工事 (霊屋ポンプ場) ※ 地震直後から発生する緊急輸送を円滑に行うため、高速自動車国道、一般国道及びこれらを連絡する幹線道路と知事 が指定する防災拠点を相互に連絡する道路のこと。 リスクレベル割合(H27) 平均リスク点(H27) 51% 17% 50% 43% 21% 6% 12% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 管路 施設H
M
L
N
4,709 11,683 0 1 10 100 1,000 10,000 100,000 管路 施設6