全国情報サービス産業企業年金基金
(確定給付企業年金の仕組み)
平成 29 年 11 月
ハンドブック
事業主の皆様へ
JJKは平成29年7月1日に厚生年金基金制度から確
定給付企業年金制度(企業年金基金)に移行して新たな
スタートを切りました。代行部分(国の厚生年金(報酬
比例部分)に相当)を国へ返上し、純粋に企業の福利厚
生・退職給付として活用できる企業年金制度となりまし
た。
企業年金の主な役割は「公的年金の補完」と言われ、
スリム化が進む国の年金のみでは余裕を持った老後生活
ができない所を企業年金で補う訳です。また、企業年金
に加入することで、事業主にとっては退職給付の計画的
な積立ができ、税制上の掛金の損金算入メリット等があ
ります。加入者にとっても事業主が負担する掛金のみで
年金・一時金の給付を受け取れる魅力があります。
企業年金基金の目的は「加入者・受給権者に対して確
実に給付を行うこと」です。この目的を達成するために、
「掛金徴収・給付支払管理」、「資産運用管理」、「制度
管理」が重要となります。
本紙では、事業主の皆様に、企業年金基金の仕組みに
ついて理解を深めていただくために、基本的な内容から
専門的な内容までを、図解しながらわかりやすくまとめ
てあります。なお、三菱UFJ信託銀行から資料提供等、
多大なサポートがあったことを申し添えます。
事業主の皆様の事業運営や企業年金運営の一助になれ
ばありがたく存じます。
目次
【企業年金基金の概要】 1 日本の年金制度の体系 5 2 企業年金基金の運営 理事会・代議員会 6 理事・代議員の選出 7 理事・代議員の責務 8 理事の受託者責任 9 経理区分 11 3 企業年金制度加入のメリット 12 4 退職給付との関係 13 5 企業年金基金の年間スケジュール 14 (ご参考)企業年金連合会 15 【企業年金基金の財政運営】 1 財政決算と財政再計算 17 2 財政決算 財政決算とは 18 貸借対照表 19 責任準備金の算定方法 20 財政均衡の考え方 21 (ご参考)経過措置:初回財政再計算までの取扱い 22 剰余・不足の要因 23 損益計算書 24 財政検証 25 継続基準の財政検証 26 非継続基準の財政検証 28 (ご参考)回復計画の策定による方法 31 3 財政再計算 財政再計算とは 32 計算基礎率の見直し 33 給与現価・給付現価 35 標準掛金の設定 36 繰越不足金の解消 37 財政悪化リスク相当額 38 リスク対応掛金の設定 40 2【企業年金基金の資産運用】 年金資産運用の目的 43 年金資産運用の特徴 1 2 運用の基本方針と運用指針 44 基金のガバナンス 45 運用商品の選定 46 3 資産運用の手順(プロセスの概要) 47 4 政策アセットミックス 48 5 リスク許容度(年金ALM分析) 49 6 実践ポートフォリオ 51 7 資産運用の評価 52 8 運用機関の評価 53 (ご参考)投資理論の基礎 54 【用語解説】 57 ※当資料では、以下の略語を使用しています。 法 : 確定給付企業年金法 令 : 確定給付企業年金法施行令 則 : 確定給付企業年金法施行規則 法令解釈通知:「確定給付企業年金制度について」平成14年3月29日年発0329008号 運用ガイドライン:「確定給付企業年金に係る資産運用関係者の役割及び責任に関する ガイドラインについて」平成14年3月29日年発第0329009号 事務連絡 : 平成17年10月1日付事務連絡 承認基準 :「確定給付企業年金の規約の承認及び認可の基準等について」 平成14年3月29日年企発第0329003号・年運発第0329002号 事業運営基準:「確定給付企業年金の規約の承認及び認可の基準等について」 (別紙2)確定給付企業年金の事業運営基準 平成14年3月29日年企発第0329003号・年運発第0329002号 利率告示 :「確定給付企業年金法施行規則第55条第1項第1号に規定する予定利率」 平成15年3月18日厚生労働省告示第99号 ※なお、当資料は平成28年12月末現在の法令等に基づいて作成しています。 【参考資料】当ハンドブックは、以下の資料や情報に基づき当基金が作成しました。 (1)三菱UFJ信託銀行:確定給付企業年金ハンドブック(制度・財政編) ①確定給付企業年金制度とは
目次
1.日本の年金制度の体系
日本の年金制度は、公的年金、企業年金及び個人年金等から
構成されます。
1. 公的年金 全ての国民に共通する国民年金(基礎年金、1階部分)と、サラリーマ ン・公務員等が加入する厚生年金保険(2階部分)があります。 2. 企業年金 確定給付企業年金、厚生年金基金、確定拠出年金があります。国民年金(老齢基礎年金)
【1階部分】全国民が加入す る公的年金 【2階部分】 民間サラリーマ ン・公務員等が 加入する公的年 金 【3階部分】 私的年金 (企業年金等)厚生年金保険
確定給付 企業年金 確定拠出年金 (企業型) 厚生年金基金 (代行部分) 第2号被保険者 自営業者等 第1号被保険者 第3号被保険者 国民年金基金 注.上図の他に、年金制度として、確定拠出年金(個人型:iDeCo)、年金払い退職給付が あります。 日本の年金制度 民間サラリーマンおよび公務員等 専業主婦等 【3階部分】 【2階部分】 【1階部分】 (企業年金等)裁 定 請 求
2.企業年金基金の運営:(1)理事会・代議員会
企業年金基金では、理事会や代議員会及び基金事務局の組織
が中心となり事業運営を行います。
1.確定給付企業年金には、事業主が運営主体となる「規約型」と企業年金 基金が運営主体となる「基金型」の2種類があります。JJKは総合型 制度であり、基金型(企業年金基金)を採用しました。 2.基金型では、企業とは別法人として設立された企業年金基金(以下「基 金」という)が、規約等に基づいて、信託銀行等と契約を結び、母体企 業の外で年金資金を管理・運用し、年金給付を行います。 信託契約・保険契約等 企 業 信託銀行 生命保険会社 農業協同組合連合会 等受給権者
掛 金 年金規約 労働組合等 事 業 主 支払指図 給 付執行機関
(理事長・理事) 理事会・代議員会 事務局 掛 金 基 金 年金資産の 管理・運用 理事長は、代議員会が成立しないとき、又は理事長において緊急を要すると 認めるときは、代議員会の議決を経なければならない事項で緊急に行う必要 があるものを処分することができる。 規約の変更 毎事業年度の予算 毎事業年度の事業報告及び決算 その他規約で定める事項 代議員会の議決を要する事項 (法第19条) 代議員会の招集及び代議員会に提出する議案 理事長の専決処分とされている事項 事業運営の具体的方針 常務理事及び運用執行理事の選任及び解任 理事会で決定すべき主要な事項 (事務連絡<参考2>企業年金基金規約例) 理事長専決処分できる場合 (令第12条) 62.企業年金基金の運営:(2)理事・代議員の選出
基金の構成(例)企業年金基金は、加入者・事業主の代表者で構成する代議員
と、代議員から選出された理事・監事により組織されます。
代議員 代議員会は代議員をもって組織する。 代議員の定数は偶数とし、その半数は事業主及び実施事業所に使用される者の うちから事業主が選出(選定代議員)し、他の半数は加入者において互選する (互選代議員)。 (法第18条) 理事の定数は偶数とし、その半数は選定代議員において互選(選定理事:事業 主側)し、他の半数は互選代議員において互選(互選理事:加入者側)する。 理事は理事長の定めるところにより、理事長を補佐して、積立金の管理及び運 用に関する基金の業務を執行することができる。 理事の定数は偶数とし、その半数は選定代議員において互選(選定理事:事業 理事 (法第21条、法第22条) 選定代議員(事業主側)である理事の中から理事が選挙する。 理事長は、基金を代表し、その業務を執行する。理事長に事故があるとき、又 は理事長が欠けたときは、選定理事(事業主側)のうちからあらかじめ理事長 が指定する者がその職務を代理し、又はその職務を行う。 選定代議員(事業主側)である理事の中から理事が選挙する。 理事長 (法第22条) 代議員会 (基金の意思決定機関) 理事会 (基金の執行機関) 理事長 選定理事 互選理事 監事( 基金の監査機関) 選定代議員 互選代議員 加入者側 事務局 常務理事 事務局長 部長・課長 庶務 徴収 給付 記録 事務職員 事業主側 (互選代議員)。2.企業年金基金の運営:(3)理事・代議員の責務
理事や代議員は、基金の業務について責任を持った対応が求
められます。
運用執行理事の選出にあたっては、基金の財政状況に精通し、管理運用業務を適 正に執行できる者であって基金の業務運営に熱意を有する者を充てること。 代議員会 代議員会は、基金の運営の重要事項を決定する議決機関であり、基金の運営の中 核を占めるものであることから、事業主や労働組合等の一部の専横を廃し、民主 的に運営される必要があること。 各実施事業所の事業主及び加入者の意思が適切に反映されるよう配慮すること。 監事 監事は基金の事業が長期にわたり健全に継続されるよう業務を監査する自己監査 機関として特に設けられた立法の趣旨を十分勘案して、監事制度の活用を図るこ と。 基金の業務を監査する。 監査の結果に基づき必要であると認めるときは、理事長または代議員会に意見を 提出することができる。 総括的事項 基金は、確定給付企業年金を実施するために特に設けられた法人であることから、 設立本来の目的を逸脱することなく、適切な運営に努めること。 運用執行理事の選出にあたっては、基金の財政状況に精通し、管理運用業務を適 運用執行理事の選出 (事業運営基準) (事業運営基準) (法第70条) (事業運営基準) 理事の行為準則 基金の理事は、法令、法令に基づいてする厚生労働大臣の処分、規約及び代議員 会の議決を遵守し、基金のため忠実にその業務を遂行しなければならない。 基金の理事の禁止行為 ①自己または当該基金以外の第三者の利益を図る目的をもって、資産管理運用契 z約を締結すること ②積立金の運用に関し特定の方法を指図すること 基金の理事が積立金の管理及び運用に関する業務についてその任務を怠ったとき は、その理事は、基金に対して損害賠償することになる。 基金は、この条の規定に違反した理事を、代議員会の議決を経て交代させること ができる。 (法第22条、事業運営基準) 82.企業年金基金の運営:(4)理事の受託者責任①
受託者責任は、結果責任ではなく、プロセス責任と説明責任
です。
善管注意義務 理事は、基金に対し、善良なる管理者の注意をもって職務を遂行する義務を負 う。 「自己の財産におけるのと同一の注意」「自己のためにするのと同一の注意」 より求められる能力水準は高い。 基金の理事等は常勤・非常勤の勤務形態や職責の内容に応じて求められる注意 水準が異なる。理事長や運用執行理事には「管理運用業務に精通している者が、 通常用いるであろう程度の注意」が求められる。 忠実義務 理事は、管理運用業務について、法令、厚生労働大臣の処分、規約及び代議員 会の議決を遵守し、基金のために忠実にその職務を遂行しなければならない。 理事は専ら加入者等の利益を考慮すべきであり、これを犠牲にして加入者等以 外(理事自身または第三者)の利益を図ってはならない。 (民法第644条、法第70条) 1. 基金と理事は委任関係にあり、理事は基金に対して受託者責任を負って います。 2. 受託者責任の基礎となるのは善管注意義務と忠実義務であり、具体的に は分散投資義務や資産構成の重視などが求められています。 3. 受託者責任は、運用成績の良し悪しを問うものではなく、意思決定のプ ロセスが合理的であるかを問うプロセス責任です。したがって、運用目 的を明確にした上で、合理的で説明可能な意思決定を行うことが必要と なります。 (民法第644条) (法第70条)2.企業年金基金の運営:(4)理事の受託者責任②
理事の基本的な留意事項 分散投資義務 資産の運用にあたっては、投資対象の種類等について分散投資に努めなければ ならない。 資産構成の重視 資産の運用に当たっては、資産全体のリスク(収益率の変動)とリターン(収 益率)を考慮して、個々の資産の種類(株式、債券等)や商品の選択を行わな ければならない。 資産の特性等への配慮 資産の選択に当たっては、次の点に配慮しなければならない。 ①基金の目的との整合性 ②資産全体のリスクとリターンに与える影響 ③流動性 ④運用及び管理に必要な費用 ⑤受託機関の専門的能力の水準 資産状況の把握 基金全体の資産構成割合を時価で把握しなければならない。 情報開示の必要性 制度設計の弾力化や規制緩和を受けて、理事等の基金関係者の役割が高まって いる。関係者相互でのチェック機能や基金の現状に対する認識の共有化などを 図るため、加入者に対して情報開示を積極的に行うことが必要である。また、 受給権者に対しても加入者と同様に情報開示に努める必要がある。 《情報開示》 (令第46条、則第84条、運用ガイドライン) (則第87条) 理事 ・運用の基本方針及び運用指針 代議員会 ・運用結果 ・理事会における議事の状況 基金 加入者 ・基金の事業状況 ・積立金の運用収益又は運用損失及び 資産の構成割合その他積立金の運用の概況 ・運用の基本方針の概要等 102.企業年金基金の運営:(5)経理区分
基金の経理には、年金や一時金を支給するための「年金経
理」と、基金の事業運営に必要な経費をまかなう「業務経
理」があります。
《主な収入》 事務費掛金:事業主からの掛金 《主な支出》 事務費:業務運営に必要な経費 繰入金:年金経理や福祉事業会計に繰り入れる額 業務経理(業務会計) 《主な収入》 業務会計からの受入金 《主な支出》 事務費:福祉事業に必要な通信運搬費等 福祉施設費:福祉事業に必要な経費 雑支出:会館管理費、運営費等 業務経理(福祉事業会計) 《主な収入》 掛金等収入:事業主からの掛金 運用収益:資産運用の収益 《主な支出》 給付費:年金、一時金の支払い 運用報酬等:運用機関に支払う運用手数料 年金経理3.企業年金制度加入のメリット
年金制度は事業主・加入者の双方にメリットがあります。
優秀な人材の確保と定着率の向上が望め、業界の発展にも資する。 事業主、役員も厚生年金保険の被保険者であれば加入できる。 事業主負担掛金は全額税法上の損金として扱われ、節税効果が期待できる。 給付額は退職金の一部分とすることができ、その場合、資金負担の平準化効果 がある。 事業主負担掛金で老後生活の安定化が図れる。 企業年金は社外積立であり、資産が保全される。 年金給付は一時金給付と比較して、総受取額は多額となる。 脱退一時金を企業年金連合会へ移換すること等により、転職時にも企業年金間 の年金通算を行うことができる。 加入者・年金受給者には保養施設の利用料補助などのサービス提供を受けるこ とができる。 加入者のメリット 事業主のメリット ご参考.老後に必要な生活費 企業年金は加入者の老後の生活設計を支援する重要な役割を担っている。 支給開始年齢の 引き上げ (60歳⇒65歳) 公的年金 夫婦2人:約22万円 必要な生活費との差(約3万円) 60歳 65歳 必要な生活費 約25万円 注1.平成28年4月~平成29年3月の夫婦2人分の標準的な年金額(厚生労働省) 221,504円 注2.資料出所…「家計の金融行動に関する世論調査」(平成27年)金融広報中央委員会、「平成25 z 年度 生活保障に関する調査」生命保険文化センター、「平成28年度の年金額」厚生労働省 124.退職給付との関係
JJKからの給付を、退職金の内枠とするか外枠とするかは、
事業所ごとに選択できます。
事業所の退職金と基金の給付が別建てとな る方式。 基金の給付額は退職金の上乗せ給付となる。 事業所の退職金規程に基金の給付に関する 記載は不要。 基金から給付される一時金相当額を、事業 所の退職金から控除する方式。 事業所の退職金規程に基金の給付額を控除 する記載が必要。 内枠方式 外枠方式 JJKの給付額 事業所の退職金 事業所の退職金 JJKの給付額 退職金規程例: 第○条(基金からの給付の控除) 第△条の規定に関わらず、全国情報サービス産業企業年 金基金から年金または一時金が支給された場合には、当 該一時金相当額を差し引いた額を支給する。基金の年間スケジュールは、概ね次のとおりです。
5.企業年金基金の年間スケジュール
1.定例代議員会は、予算代議員会(1月)、決算代議員会(7月)の2回実 施します。 2.予算代議員会では、年金経理・業務経理の予算内容や規約変更等を議決 します。 3.決算代議員会では、事業報告、年金経理・業務経理の決算報告や規約変 更等を議決します。 4.財政再計算は、少なくとも5年に1回実施しますので、当該事業年度は再 計算代議員会を実施します。なお、JJKの初回財政再計算は平成33年 3月末基準で行います。 当年度 翌年度 14 4月 ~ 12月 1月 2月 3月 4月 ~ 7月 8月 ~ 12月 1月 2月 3月 4月 予 算 代 議 員 会 決 算 代 議 員 会 決 算 報 告 書 提 出 期 限 規 約 変 更 届 出 決 算 基 準 日 5 年 ご と に 財 政 再 計 算 《財政再計算》 ・初回:平成33年3月末 ・掛金の見直しを実施 (掛金は翌々年度4月から適用) 予 算 理 事 会 決 算 理 事 会 予 算 代 議 員 会 再 計 算 代 議 員 会 再 計 算 報 告 書 提 出 期 限 新 掛 金 適 用 予 算 理 事 会 再 計 算 理 事 会(ご参考)企業年金連合会
企業年金連合会とは (企業年金連合会HPより要約: http://www.pfa.or.jp/) 企業年金連合会は、厚生年金保険法に基づき厚生年金基金の連合体として設 立され、平成16年の法改正により企業年金連合会となる。 厚生年金基金を短期間(通常10年未満)で脱退した人に対する年金給付を一 元的に行い、厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金といった企業 年金間の年金通算事業を行う。 年金給付を行う原資となる保有資産の安全かつ効率的な運用を行う。 企業年金に関する調査研究や会員に向けた情報発信等、企業年金の健全な発 展を図るために必要な支援事業を行う。 中途脱退者に関する事業 年金制度に関する調査、研究等の会員支援事業 企業年金の役職員向け研修事業 企業年金会員への相談事業 加入者への福祉事業 共同運用事業 企業年金連合会の業務 (企業年金連合会HP 、法第91条の18 )企業年金連合会
中途脱退者に 関する事業 調査・研究 研修事業 相談事業 福祉事業A社
B基金
・
・
確定給付企業年金
厚生年金 基金 確定拠出年金他の企業年金
業務支援等 共同運用事業1.財政決算と財政再計算
1.毎年の財政決算では、財政状況を把握し、積立状況を確認して年金財政の 検証を行います。 2.財政再計算では、毎年の財政決算の実績と計算基礎率の乖離を軌道修正す るため、計算基礎率・掛金を見直します(☞P33、34、36、37参照)。 3.財政再計算では、積立金の資産別時価残高等に基づいて、財政悪化リスク 相当額を算定します(☞P38、39参照)。企業年金基金は、財政決算を年に1回、財政再計算を少なく
とも5年に1回、実施する必要があります。
スケジュール 《財政決算》 (毎年実施) 財政検証 ・継続基準 ・非継続基準 《財政再計算》 (少なくとも5年に1回実施) 掛金の見直し ・基礎率見直し ・掛金再計算 ・財政悪化リスク相当額の算定 3/末 ~ 3/末 ~ 3/末 4月 ・・・ 3/末 ~ 3/末 4月 掛金を再計算し、 新しい掛金を適用 5年以内①事業報告書 以下の事項を記載する。 (a)加入者及び給付の種類ごとの受給権者に関する事項 (b)給付の支給状況及び掛金の拠出状況に関する事項 (c)積立金の運用に関する事項 (d)受託業務の委託先及びその委託の内容に関する事項 (e)企業年金基金の事業内容及びその実施状況に関する事項 ②決算報告書 (a)貸借対照表 :年金資産と給付債務を対比し、資産の過不足を把握する (b)損益計算書 :事業年度中に発生した収益・費用を把握する (c)積立金と責任準備金・最低積立基準額・積立上限額との比較 並びに積立金の積立てに必要となる掛金の額を示した書類 :年金資産の積立状況、責任準備金、最低積立基準額、積立上限額に関する 明細書
2.財政決算:(1)財政決算とは
毎年3月末日を基準日として、貸借対照表、損益計算書、積
立水準を確認する書類を作成し、年金財政が健全に推移して
いるか検証します。
1.毎年の財政決算では、財政状況を把握し、積立状況を確認して年金財政の 検証を行います。 2.貸借対照表・損益計算書により財政状況を把握します。 3.年金資産の積立状況を確認することで、年金財政が健全に推移することを 検証します(☞P25参照)。 4.事業及び決算に関する報告書は、事業年度終了後4ヶ月以内に厚生労働大 臣あてに提出します。 事業及び決算に関する報告書 (則第117条、承認基準4) スケジュール (法第100条、則第117条) 決算基準日 決算代議員会 人員確定 資産確定 提出期限 決算報告書 (規約変更届出 ) 決算報告書の ※ 掛金の変更が必要な場合 4/1 ~ 3/末 4月 5月 6月 7月 8月 9月 ~ 2月 3月 ※ 182.財政決算:(2)貸借対照表
貸借対照表では、年金資産と責任準備金を対比して、期末時
点における積立状態(年金資産の過不足)を把握します。
1.貸借対照表は、発生主義の会計処理により作成します。 2.年金資産は、純資産額(時価)とします。 3.責任準備金は、貸借対照表の負債勘定に計上します。 4.貸借対照表の欄外に、数理債務及び未償却過去勤務債務の額、財政悪化リスク 相当額、リスク充足額※を記載します。 貸借対照表の構成 繰越不足金 別途積立金 純資産額 責任準備金 年度初貸借対照表 ・掛金収入・給付支出 ・加入者、受給者の変動 ・運用損益 繰越不足金 別途積立金 純資産額 責任準備金 年度末貸借対照表 当年度不足金 当年度剰余金 期初時点では、当年度剰余金・当年 度不足金はともに 0 期末に当年度剰余金または当年度不足金が発生 または または または ※「積立金 + 掛金収入現価」のうち、通常予測給付現価を上回る額2.財政決算:(3)責任準備金の算定方法
責任準備金は基金を継続する上での積立目標額となります。
1.責任準備金は将来の給付見込額(通常予測給付現価)から将来の掛金収 入見込み額(掛金収入現価)を控除した額に、財政悪化リスク相当額と リスク対応掛金等を用いて算定します。 2.財政悪化リスク相当額は、将来の財政悪化(20年に1度程度の確率で発 生する運用損失)に備えて算定する額です(☞P38、39参照)。また、 リスク対応掛金は、財政悪化リスク相当額の範囲内で拠出することが可 能です(☞P40、41参照)。 3.財政悪化リスク相当額は、経過措置により初回の財政再計算から算出し ます。なお、平成29年度財政決算から額を表示する必要がありますが、 当面は「0」となります(☞P22参照)。 責任準備金の算定方法 • 責任準備金= (通常予測給付現価+財政悪化リスク相当額) -(標準・特別掛金収入現価+リスク対応掛金収入現価+追加拠出可能額現価) • 追加拠出可能額現価は、財政悪化リスク相当額に対応するために追加的に拠出されるこ ととなる掛金の額の現価になり、「0から財政悪化リスク相当額の範囲」となります。 責任準備金 将来の給付額の現価 (通常予測給付現価) 標準掛金収入 (標準掛金収入現価) 特別掛金収入 (特別掛金収入現価) リスク対応掛金収入 (リスク対応掛金収入現価) 追加拠出可能額現価 財政悪化リスク相当額 数理債務 201.「リスク対応掛金」の拠出を可能とすることにより、あらかじめ給付に必 要な額以上の財源の手当てが可能になります。 2.財政均衡の状態に「幅」が設けられ、下図のように、積立金と掛金収入 現価(リスク対応掛金を含む)の合計が一定の範囲内であれば、「財政均 衡」の状態です。すなわち、財政均衡とは、積立剰余・積立不足ではな い状態を言います。
2.財政決算:(4)財政均衡の考え方
積立金と掛金収入現価(リスク対応掛金を含む)の合計が一
定の範囲内であれば、「財政均衡」の状態であると考えます。
この範囲内であれ ば財政均衡の状態 積立金(C) 積立金(C) 通常予測 給付現価(D) 財政悪化リスク 相当額(B) 積立金(C) 掛金収入現価 (A) (リスク対応掛金含む) 掛金収入現価(A) (リスク対応掛金含む) 掛金収入現価 (A) (リスク対応掛金含む) 実質的な不足金 財政均衡の考え方 積立金(C) 通常予測 給付現価(D) 財政悪化リスク 相当額(B) 掛金収入現価 (A) (リスク対応掛金含む) 財政均衡 (A)+(C)が、 の範囲内にある 状態を財政均衡の状態と考える 責任準備金(ご参考)経過措置:初回財政再計算までの取扱い
経過措置により、財政再計算を行うまでは財政悪化リスク
相当額は「0」となります。
1.経過措置により、財政再計算を行うまでは、財政悪化リスク相当額を計 算しないため、責任準備金は将来の給付見込額(通常予測給付現価)か ら将来の掛金収入見込み額(掛金収入現価)を控除した額になります。 2.同様に、財政再計算を行うまでは、財政均衡の考え方が異なります。 財政再計算を行うまでの責任準備金 • 責任準備金=通常予測給付現価-標準・特別掛金収入現価 財政状況の考え方の相違 • リスク対応掛金を拠出しない場合、財政状況の考え方は下表の通りとなります。 責任準備金 将来の給付額の現価 (通常予測給付現価) 標準掛金収入 (標準掛金収入現価) 特別掛金収入 (特別掛金収入現価) 数理債務 積立金 対比 財政状況 財政再計算を行うまで(経過措置) 財政再計算以降 積立不足 積立金<(通常予測給付現価-掛金収入現価) 積立金<(通常予測給付現価-掛金収入現価) 財政均衡 積立金 =(通常予測給付現価-掛金収入現価) ①積立金が(通常予測給付現価 -掛金収入現価)以上であり、 ②積立金が(通常予測給付現価 -掛金収入現価+財政悪化リス ク相当額)以下の場合、財政均 衡となる(幅があることに留意 が必要) 財政剰余 積立金 >(通常予測給付現価-掛金収入現価) 積立金が(通常予測給付現価-掛金収入現価+財政悪化リスク 相当額)を上回る場合 222.財政決算:(5)剰余・不足の要因
発生要因 一般的な影響 ①時価に基づく利差 時価資産の運用利回りについての予定(予定利率)と実績(時価ベース利回り)との差により生じる差損益 ②実質的な剰余金・不足金に かかる利息 実質的な剰余金の経過利息は剰余、実質的な不足金の経過利息は不足 ③諸経費 年金経理から支出した業務委託費、年金コンサルティング料、特別法人税、年金数理人費 ④他会計との収支 業務経理からの受入金は剰余、業務会計・福祉事業会計への繰入金は不足 ⑤特例掛金元利合計 (特例掛金を拠出した場合) 特例掛金を拠出した場合の拠出額及び利息相当分 ⑥特別・リスク対応掛金 収入見込差 掛金について、将来にわたって加入者数・給与が不変と の前提で収入を見込んだ場合、加入者数・給与が前年度 末と比較し増加すると剰余、減少すると不足 ⑦新規加入差 新規加入者の加入年齢の実績が予定を上回ると不足、下回ると剰余 ⑧昇給差 実際の昇給が予定昇給率を上回ると不足、下回ると剰余 ⑨追加拠出可能額現価の増減額 前年度決算時の値から算出した理論値より実績値が大きくなると剰余、小さくなると不足 ⑩その他 債務算定におけるその他の前提(予定脱退率、予定再評価率等)と実績との乖離によって生じる差損益毎年度の決算において、運用利回りや人員構成の変化等の実
績と計算基礎率の乖離が、剰余金・不足金の発生の要因とな
ります。
1. 毎年度の剰余金・不足金の発生要因は、下表のとおりです。 このうち、①~②は資産運用に関する差損益、⑥~⑧は加入者や給与の変動 に伴う差損益といえます。 2. 剰余金・不足金の発生要因の傾向を理解することは、今後の財政運営を把握 するのに有効です。 3. 責任準備金は、財政均衡の範囲内で変動します。このため、当年度剰余金/ 不足金の発生が抑制されますが、責任準備金の変動の影響(⑨追加拠出可能 額現価の増減額)を控除した実質的な剰余金・不足金(☞P21参照)を把握 することも重要です。 留意点 財政決算終了後、当年度剰余金の処分または当年度不足金の処理を行い、別途2.財政決算:(6)損益計算書
1. 掛金収入・給付額支出の明細、運用収益・損失、責任準備金の増減等を a計上します。 主な勘定科目 負債 資産 貸借対照表(前年度末) 貸借対照表(当年度末)損益計算書では1年間の収益と費用の状況を把握します。
負債 資産 当年度剰余金 当年度不足金 給付額支出 掛金収入 運用収益 当年度不足金 当年度剰余金 責任準備金の 増加額 損益計算書 費用勘定 収益勘定 費用勘定 収益勘定 給付費 掛金等収入 運用損失 運用収益 責任準備金増加額 責任準備金減少額 繰越不足金処理金 別途積立金取崩金 当年度剰余金 当年度不足金 または または Ⅱ 資産の減少要因 または負債の増加要因 Ⅰ 資産の増加要因 または負債の減少要因 ⅠとⅡの差額 Ⅰ>Ⅱならば剰余金 Ⅰ<Ⅱならば不足金 ⇒貸借対照表上の当年度 剰余/不足と一致 242.財政決算:(7)財政検証
1.継続基準と非継続基準の2つの財政検証を行います。 2.継続基準は純資産額と「責任準備金」とを比較し、非継続基準は純資産額 と「最低積立基準額」を比較します。 3.財政検証の結果、積立不足があれば掛金の見直し等が必要となります。 財政検証の仕組み 財政決算 貸借対照表・損益計算書により財政状況を確認 財政検証 純資産額の積立状況が基準を満たしているかどうか検証 制度を継続する上で、積立 は計画通りに進んでいる か? 制度を継続する上で、積立 継続基準 制度を終了したと仮定して も、過去の加入期間に見合 う給付ができるか? 非継続基準 検証結果 積立不足がない 積立不足がある 順調な制度運営を継続 対応方法 掛金見直し等の対応が必要財政検証とは、財政決算時に純資産額の積立状況が基準を満
たしているかどうかを検証することです。
2.財政決算:(8)継続基準の財政検証①
継続基準の財政検証とは、純資産額が計画どおり積み立てら
れているかを検証するものです。
(法第61条) 1. 純資産額と責任準備金とを比較して、積立状況をチェックします。 2. 純資産額が責任準備金を下回っている場合、継続基準に抵触していること になります。 3. 継続基準に抵触している場合、不足額と許容繰越不足金を比較して、特別 掛金の見直しの有無を判断します。 A.純資産≧責任準備金 特別掛金の見直しは不要 (任意の特別掛金見直しは可能) 継続基準を充足 不足額(責任準備金-数理上資産額注) が許容繰越不足金の範囲内の場合 不足額(責任準備金-数理上資産額 注) が許容繰越不足金を上回る場合 特別掛金の見直しが必要 B.純資産<責任準備金 比較 =流動資産+固定資産(時価) -流動負債-支払備金 =(通常予測給付現価+財政悪化リスク相当額) -(掛金収入現価+追加拠出可能額現価) 純資産(時価) 責任準備金 継続基準の財政検証の判定 注JJKの場合、数理上資産額は純資産額と同額 注JJKの場合、数理上資産額は純資産額と同額 継続基準に抵触 262.財政決算:(8)継続基準の財政検証②
継続基準に抵触している場合、必要があれば、積立不足額を
償却するよう特別掛金を見直します。
(法第62条、則第56条) 1. 継続基準に抵触している場合、(数理上資産額+許容繰越不足金)と責任 準備金とを比較します。 2. 数理上資産額は財政検証に用いる資産額を意味しており、JJKでは時価 評価を採用しているため、純資産額と同額となります。 3. 許容繰越不足金は、不足金額の許容幅の意味であり、JJKでは「20年間 分の標準掛金額の予想額の現価×15%」と定めています。 4. 積立不足額が許容繰越不足金より大きい場合、財政再計算を行い、積立不 足額を解消するよう特別掛金を見直す必要があります。 積立不足額 比較 責任準備金 数理上資産額注 許容繰越不足金 図のように積立不足額が許容 繰越不足金より大きい場合、 積立不足額を解消するよう特 別掛金を見直す必要がある。 注JJKの場合、数理上資産額は 純資産額と同額2.財政決算:(9)非継続基準の財政検証 ①
1. 制度の終了を仮定した積立目標額(最低積立基準額)と純資産額とを比 較して、積立状況をチェックします。 2. 積立基準を充足しない場合には、追加拠出の計算をする必要があります。 3. 追加拠出の計算は、積立比率に応じた方法で行います(☞P30参照)。 なお、当分の間は回復計画の策定による方法も可能です(☞P31参照)。 (法第63条、則第58条、則第59条、則第63条・附則(平成24年1月31日)第4条) 非継続基準の予定利率 • 最低積立基準額の算定に使用する予定利率は、30年国債の直近5年平均利回り に基づき、厚生労働省告示により示される。 • 上記標準値に0.8~1.2を乗じた率を予定利率とすることが可能。 ただし、企業年金基金では代議員会での議決が必要。 最低積立基準額 純資産額 比較 責任準備金が年金制度の継続を前提とした積立目標額であ るのに対して、最低積立基準 額は年金制度の終了を仮定し た場合の積立目標額。非継続基準の財政検証とは、決算日時点で制度を終了すると
仮定した場合に、過去の加入者期間に見合った給付に必要な
純資産額が積み立てられているかを検証するものです。
標準的な退職年齢から現在までの期間 について割引計算 最低積立基準額 最低保全給付* 加入 現在 脱退 最低積立基準額の算定方法 * 給付改善を伴う最低保全給付(加入者部分のみ)は、 「最低保全給付×n/5」で評価する緩和措置で算定することが可能 (n:平成29年度「0」、平成30年度「1」、平成31年度「2」、 平成32年度「3」、平成33年度「4」、平成34年度以降「5」) 現時点までの加入者期間に 対応する予想給付額 282.財政決算:(9)非継続基準の財政検証 ②
非継続基準に抵触した場合、積立不足を解消するための追加
拠出を計算することが必要です。
非継続基準の財政検証の判定 A. 「純資産額/最低積立基準額≧1.0」 B. 「0.9≦純資産額/最低積立基準額<1.0」 過去3事業年度で上記Aである 年度が何回あるか 1回以下 2回以上 C. 「純資産額/最低積立基準額<0.9」 追加拠出の計算は不要 追加拠出の計算は不要 追加拠出の計算が必要 1. 積立基準を充足する要件は次の2つのいずれかです。 ① 「純資産額/最低積立基準額」が 1.0以上の場合 ② 「純資産額/最低積立基準額」が 0.9以上 1.0未満であって、過去3 事業年度のうち、「純資産額/最低積立基準額」が1.0以上の事業年 度が2回以上ある場合 (法第63条、則第59条・附則第2条)積立不足額をもとに算定した額
2.財政決算:(9)非継続基準の財政検証 ③
追加拠出の計算が必要な場合、積立比率に応じた方法で掛金
の額を算出します。
1. 追加拠出する掛金の額は積立比率に応じて算出します。その結果、追加 拠出が必要となるケースでは、翌事業年度または翌々事業年度に特例掛 金を拠出することになります。 2. 下図の「②積立不足の償却額」は上限・下限がありますが、掛金引上げ が少ないケースは下限の場合です。 積立比率に応じた方法 積立不足の償却額(下図の【方法1】以上、【方法2】以下) ① 翌事業年度の最低積立基準額の 増加見込み額 ② 積立不足の償却額+
【A】 積立不足額 をもとに算 定した額 翌事業年度における【B】 資産の増加見込額※ 追加拠出の額 【A】-【B】 ※「掛金収入による資産の増加」、給付による資産 の減少」、「運用収益による資産の増加」を見込む。 翌事業年度に拠出する場合:下図の【方法1】以上、【方法2】以下で拠出 翌々事業年度に拠出する場合:下図【A】が【B】を上回る場合に、当該上回る 額を拠出 積立不足 を一括で 償却 【方法1】:下限 【方法2】:上限 1.0 0.9 0.8 積立比率(純資産額/最低積立基準額) 0.9~1.0の部分 ⇒ 15分の1償却 0.8~0.9の部分 ⇒ 10分の1償却 0.8未満の部分 ⇒ 5分の1償却 積 立不足~
30(ご参考)回復計画の策定による方法
回復計画の策定による方法とは、将来シミュレーションによ
り、一定期間内に非継続基準の積立要件を充足するような積
立計画を策定する方法です。
1.将来シミュレーションを行い、純資産額が翌々事業年度から7年以内に積 立基準を充足するかどうかを確認します。 2.将来シミュレーションには、計算基礎率を使用して予測した掛金収入・ 給付支出・最低積立基準額を用います。 3.現行の掛金で、7年以内に積立比率が1.0まで回復しない場合は、翌々事 業年度から追加拠出が必要になります。 4.追加拠出の方法としては、①特例掛金の設定②特別掛金の引き上げ等が あります。 5.回復計画の策定による方法は当分の間の財政検証においては使用可能で すが、その後は積立比率に応じた方法に一本化されます。 (則附則(平成24年1月31日)第4条) 回復計画策定期間 回復計画(例) ①掛金等収入 ②運用収益 ③給付費等支出 ④純資産額 ⑤最低積立基準額 ⑥積立比率(④/⑤) - 当年度末 - - ××× ××× 1.0未満 ▲ 基準に抵触 ××× X年度 (翌年度) ××× ××× ××× ××× ×.×× ××× X+1 年度 ××× ××× ××× ××× ×.×× ××× X+2 年度 ××× ××× ××× ××× ×.×× ××× X+7 年度 ××× ××× ××× ××× 1.0以上 ・・・・・・ ・・ 最低積立基準額の予測に用いる利率 次の①②のいずれか大きい率を上回らないこと。 ①当該事業年度末日の最低積立基準額の算定利率 ②翌事業年度末日の最低積立基準額の算定利率 純資産額の見通しに用いる利率 次の①~③のいずれか大きい率を上回らないこと。 ①当該事業年度末日の最低積立基準額の算定利率 ②翌事業年度末日の最低積立基準額の算定利率 ③直近5事業年度における運用利回りの実績の平均と予定利率のうち、いず 回復計画に用いる利率3.財政再計算:(1)財政再計算とは
財政再計算は、年金財政の長期的健全化を図るため、少なく
とも5年毎に行います。
スケジュール 1. 財政再計算では、毎年の財政決算における実績と計算基礎率の乖離を軌 道修正するため、財政計画(計算基礎率・掛金)を見直します。 2. 財政再計算では、以下のとおり、掛金の再算定を行います。 ①計算基礎率を見直し、新たな計算基礎率により標準掛金を算定します。 ②繰越不足金は解消することになり、この場合、未償却過去勤務債務の 償却期間を検討し、特別掛金を算定します。 ③財政悪化リスク相当額を算定し、その水準の範囲内で任意にリスク対 応掛金を拠出します。 3. 財政再計算報告書は、新掛金適用日の約1ヶ月前までに厚生労働大臣あ てに提出します。企業年金基金では、事前に代議員会の承認を得る必要 があります。 1.上記の定期的な財政再計算に加えて、以下に該当する場合にも財政再計算を行う必要があります。 (法第58条、則第50条) ①基金型企業年金の合併・分割 ②規約型企業年金・基金型企業年金相互間の移行 ③以下の場合で掛金額が変更となる場合 ア.前回の財政計算の基準日から、加入者数が著しく増減した場合 イ.加入者資格又は給付設計を変更する場合 ウ.事業所の給付の支給に関する権利義務を移転又は承継する場合 エ.過去勤務債務の予定償却期間を短縮又は償却割合を増加させる場合 オ.その他当該確定給付企業年金に係る事情に著しい変動があった場合 2.継続基準の財政検証により積立不足を解消するときにも財政再計算を行う必要があります。 (法第62条、則第57条) 財政再計算を行う年度は、下図のとおり、財政決算に引き続き財政再計算を行う。 再計算報告書の提出期限 再計算基準日 決算報告書 決算代議員会 決算報告書の提出期限 再計算報告書 新掛金の適用 3/末 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 再計算代議員会 323.財政再計算:(2)計算基礎率の見直し①
財政再計算においては、計算基礎率を見直します。
1.計算基礎率は、財政再計算ごとに定めます。ただし、現行の計算基礎率 (予定利率及び予定死亡率を除く)のうち継続して用いることが適切なも 0のについては継続して用いることができます。 2.主な計算基礎率としては、予定利率、予定死亡率、予定脱退率、予定昇 給指数等があり、過去の実績と将来の見込みに基づき設定します。 予定利率見直しの検討 年金資産の長期期待運用収益率を引き下げるような場合、予定利率の引下げを 検討する必要がある。 予定利率を引下げた場合、利差損発生リスクは低下するが、標準掛金は増加す る。 (注)予定利率の引下げとあわせて、年金換算率、据置利率等を引下げる場合は、 aaa給付減額となる(年金換算率、据置利率等は、計算基礎率ではなく、給付 aaa設計の一部であるため)。 計算基礎率の設定 財政再計算 過去の実績 計算基礎率 過去の財政運営 比較 新計算基礎率 財政再計算後の財政運営 実績に基づき 計算基礎率を見直す3.財政再計算:(2)計算基礎率の見直し②
計算基礎率は、過去の実績と将来の見込みに基づき設定しま
す。
1.計算基礎率は、将来の掛金収入・運用収益・給付支出を予測する前提条件 です。 (則第43条) 主な計算基礎率 計算基礎率 内容 予定利率 予想運用利回りであり、将来の給付・掛金収入等を現在 の価値に換算するために用いる利率 年金資産の長期期待収益率に基づき合理的に定めた率 予定利率は、下限予定利率※以上で定めること 予定死亡率 加入者・受給権者が死亡する傾向を性別及び年齢に応じ て定めた率 一般的には、厚生労働大臣によって定められた率(基準 死亡率)を使用する 予定脱退率 加入者が脱退する傾向を年齢ごとに定めた率 計算基準日前3年間の脱退の実績等から年齢ごとに算定 統計データの偶発的な歪みを是正し、安全性または将来 の動向予測等から必要な補整を行う 予定昇給指数 加入者の給与の昇給割合を年齢ごとに指数化したもの 計算基準日における加入者の年齢別の平均給与の実績等 に基づき算定 予定新規加入年齢 新規加入する加入者の年齢の見込み計算基準日前3年間の平均年齢等に基づき算定 予定再評価率・ 指標利率 キャッシュバランスプランにおける再評価率・指標利率 の見込み ※ 10年国債応募者利回りの直近1年平均と5年平均のいずれか低い率を勘案して 厚生労働大臣が定める率 343.財政再計算:(3)給与現価・給付現価
掛金算定には、計算基礎率に基づいて算出した給与現価・給
付現価を使用します。
1.給与現価は、加入者に将来支払われる給与額を予測して、計算基準日時 点まで予定利率で割引いて算出します。 2.給付現価は、加入者・受給者に将来支給される年金・一時金額を予測し て、計算基準日時点まで予定利率で割引いて算出します。 給与現価・給付現価の算出の仕組み 現価とは、給与・給付・掛金収入等を一時点で評価しているものであり、将来 の金額を現在の価格に換算したもの(割引の考え方) 給与現価の算出 ①30歳の加入者の給与現価(例) =30歳時の給与額 +31歳時の給与見込み額×31歳での在職率×(31歳から30歳までの割引率) +60歳時の給与見込み額×60歳での在職率×(60歳から30歳までの割引率) ②①の手順を加入者全員に対して行い、総給与現価を算出 給付現価の算出 ①30歳の加入者の給付現価(例) =30歳退職時の給付見込み額×30歳での脱退率 +31歳退職時の給付見込み額×31歳での脱退率×(31歳から30歳までの割引率) ・ ・ ・ ・ ・ <例>毎年100万円、5年支払いの場合の給付現価(予定利率2.5%の場合) 100万円 100万円 100万円 1年後 2年後 3年後 975,610円 現在価値に割り 戻 し 100万円 100万円 4年後 5年後 1年後100万円 の現在価値 951,814円 928,599円 905,951円 883,854円 2年後 〃 3年後 〃 4年後 〃 5年後 〃 給付現価 4,645,828円 100万円÷1.025 100万円÷1.0252 100万円÷1.0253 100万円÷1.0254 100万円÷1.0255 2.5%の利息収入を前提にすると、現 時点で 465万円あれば、今後5年間に おいて毎年100万円ずつ(総額 500万 円)支払うことが可能3.財政再計算:(4)標準掛金の設定
標準掛金は、加入者の将来期間に対応する給付に必要な掛金
です。
1. 標準掛金は、給付に要する費用のうち、加入者の将来期間の給付額を賄 うのに必要な掛金です。 2. 標準掛金は、予定利率による利息を見込んで、将来にわたって平準的に 計算されます。 3. 掛金の額は、加入者1人あたりの定額や給与に一定の割合を乗じる方法 などにより算定します。 (則第45条) 標準掛金率の算出の仕組み 標準掛金率は、給付現価を給与現価で除して算出する。 具体的な算出の仕組みは以下のとおり。 ①標準掛金は、加入者の将来期間に対応する給付を賄う掛金であり、 「将来期間の標準掛金の総額(の現在価値) =将来期間に対応する給付(の現在価値)」 と表現できる。 ②現価の考え方で整理すると、 「給与現価×標準掛金率=給付現価」 となり、標準掛金率は給付現価を給与現価で除して算出できる。 留意点 標準掛金は、計算基礎率の見直しにより変動する。 新規加入 標準掛金 (初年度) 標準掛金 (第2年度) 標準掛金 給 付 見 込 額 脱退 利息 標準掛金 利息 標準掛金 標準掛金・・・・・ ・・・・・ 将来期間 予定利率による利息を 見込んだ平準的な掛金 予定利率を引き下げる と、利息部分が減少す るため、標準掛金が高 くなる 初年度分の 掛金と利息 第2年度分の 掛金と利息 363.財政再計算:(5)繰越不足金の解消
財政再計算においては、繰越不足金を解消することになりま
す。
1.財政再計算時に繰越不足金がある場合は、その全額の解消が必要であり、 計算基礎率の見直しによる影響とともに特別掛金の変動要因となります。 2.財政再計算で発生した未償却過去勤務債務の償却期間は、原則として3年 以上20年以内で設定する必要があります。 3.再計算後の特別掛金は、原則として現行の特別掛金を下回るように設定 することはできません。 別途積立金がある場合 別途積立金は不測の事態発生に備え留保する。 または、別途積立金を取り崩して特別掛金の増加を抑制する(特別掛金の引下 げも可能)。 繰越不足金の解消 財政再計算では、数理債務から純資産額を控除して、未償却過去勤務債務残 高とする。 数理債務から未償却過去勤務債務を控除した額は責任準備金となるため、財 政再計算により純資産額と責任準備金は等しくなる。 特別掛金は未償却過去勤務債務残高に基づき算定するため、結果として財政 再計算時には繰越不足金が解消される。 (則第46条) <財政再計算> 純資産額 繰越不足金 <財政決算> 数理債務 責任準備金 未償却 過去勤務債務 純資産額 数理債務 責任準備金 未償却 過去勤務債務 繰越不足金を解消して 特別掛金を設定 (未償却過去勤務債務の増加)資産 区分 リスク係数が定められている資産 合計 その他の資産 資産合計 国内債券 国内株式 外国債券 外国株式 一般勘定 短期資産 資産額 6億円 2億円 2億円 1億円 2億円 1億円 14億円 1億円 15億円 リスク 係数 5% 50% 25% 50% 0% 0% 資産額 × リスク 係数 0.3億円 1億円 0.5億円 0.5億円 ― ― 2.3億円 ① 2.46億円②
3.財政再計算:(6)財政悪化リスク相当額①
通常の予測を超えて財政の安定が損なわれるリスクに対応す
る額として、算定されます。
1. 将来において20年に1度発生しうる運用損失等を想定し、算定します。 2. 算定方法は2種類(標準的な算定方法、特別算定方法)あり、資産構成に応 じて使い分けます。 標準的な算定方法 財政悪化リスク相当額 = 資産変動リスク 測定時点の資産額に基づき「資産区分ごとの資産額×リスク係数」の合計額として 算出(リスク係数が定められていない資産(その他資産)がある場合は補正) ② =① ×15億/14億 《計算方法及び計算例》 ① リスク係数が定められている資産について、測定時点の資産額に基づき 「資産区分ごとの資産額×リスク係数」の合計額を算出 ② 財政悪化リスク相当額=①の額×資産合計※/リスク係数が定められている資産合計 ※「資産合計>通常予測給付現価」の場合は、通常予測給付現価とする 財政悪化リスク相当額 383.財政再計算:(6)財政悪化リスク相当額②
リスク係数が定められていない資産の割合が20%以上の場
合、特別算定方法の適用が必須になります。
• 財政悪化リスク相当額 = 資産変動リスク(必須)+負債変動リスク(任意) • リスク係数が定められていない資産の割合が20%以上の場合は、適用が必須です • 厚生労働大臣の承認(特別算定承認)を得ることを前提として、各制度の実情に合った方 式で算定する • 特別算定方法を採用した後、年金数理人が不適当と判断した場合は、特別算定方法を変更 または使用中止する • 信頼できるデータ、情報および手法※を用いて算定する 《手法例:標準的な算定方法に準じた方法》 ① 「その他の資産」のうち、ヘッジファンド、不動産等に細分化される資産についてそれぞ れ係数を定め、標準的な算定方法同様、リスク額を算出 ② 当該係数を定めた資産を除いたその他の資産割合が20%未満である場合、標準的な算定 方法同様の補正を行い、財政悪化リスク相当額を算定 資産区分 リスク係数が定められている資産 合計 その他の資産 資産合計 国内債券 国内株式 外国債券 外国株式 一般勘定 短期資産 リスク 係数 5% 50% 25% 50% 0% 0% - ● % -資産区分 その他の資産 ヘッジファンド 不動産 その他 リスク係数 実績に基づき係数算定 -特別算定方法通常予測 給付現価