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医療事故の定義について

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(1)

医療事故調査制度について

~大阪府医師会の取り組み~

医療安全推進指導者講習会

平成30年1月20日

(2)

主な医療事故と医療事故調査制度の意義

・1999年1月11日、

横浜市大患者取り違え事件

・1999年2月10日、

東京都広尾病院

の消毒剤点滴事件。

主治医が医師法21条違反で懲役1年執行猶予3年、罰金2万円

(注射部位の異状が認められた。異状死の外表異状説の根拠)

医師の自己負罪拒否特権(日本国憲法第38条)は否定された。

・2001年3月2日、

東京女子医大

、心臓手術中の人工心肺装置の事故が起こり、

2日後に死亡。人工心肺装置の操作ミスを疑われ、業務上過失致死容疑で逮捕

されたが、一貫して操作ミスを否定。人工心肺装置自体の不備が判明し、無罪。

カルテを改ざんした講師は証拠隠滅で逮捕された。

・2004年12月17日、

福島県立大野病院事件

における医師逮捕。

業務上過失致死(刑法211条)と医師法21条違反で2006年2月18日に逮捕。

2008年8月20日、無罪が確定。

この事件をきっかけに無過失補償制度の議論加速。

1.医療安全

確保

2.医療への

信頼回復

3.刑事介入

の回避

(3)

2.医療事故調査制度15年の歴史

1,999

2,001

2,004

2,005 2,008

2,011

2,013

2,014

2,015

2,016

調

10

19

9

2

調

調

調

調

11

調

3

8

6

8

17

調

10

1

調

6

(4)

3.大綱案(平成20年)と改正医療法(平成26年)の比較

大綱案(平成20年)

改正医療法(平成26年)

医療者を中心とした委員会の判断

問題なし

問題あり

再発防止

の共有

行政処分

警察へ通知

診療録改竄 ・リピータ医師 ・故意や重大過失 医療機関 医療者による調査 調査結果報告書 医療安全調査委員会 (仮称)(公的機関) 医師法21条に基づく届け出は 不要 医療機関の判断 遺族等 医療機関による調査

調査結果報告書

医療機関管理者の判断 医療機関 医療事故調査・支援センター (民間組織)

再発防止の共有

遺族等 W H O ドラフトガイドライン 1.非懲罰性 2.秘匿性 3.独立性

(5)

医療事故調査制度の概要

医療事故発生

医療機関

第三者機関(センター)

支援団体

遺族

②相談・事故報告 ①説明 ③院内調査・報告書作成支援 ④結果説明 ⑤調査報告 ⑥結果報告受理

⑩収集した情報の整理及び分析 ⇒ ⑪再発防止に関する普及啓発等

④結果説明 報告 再調査依頼 (2万円) ⑦調査依頼 (10万円)

院内事故調査委員会

⑨再調査結果報告

⑧センター調査

日本医療安全調査機構

(6)

医療事故の定義について

○医療に起因し、又は起因すると疑われるもの

第6条の10

病院、診療所又は助産所の管理

者は、医療事故が発生した場合に

は、厚生労働省令で定めるところ

により、遅滞なく、当該医療事故の

日時、場所及び状況その他厚生労

働省令で定める事項を第6条の15

第1項の医療事故調査・支援セン

ターに報告しなければならない。

○省令事項なし

○「医療」に含まれるものは制度の

対象であり、

「医療」の範囲

に含ま

れるものとして、

手術、処置、投薬

及びそれに準じる医療行為(検査、

医療機器の使用、医療上の管理な

)が考えられる。

○施設管理等の「医療」に含まれな

い単なる管理は制度の対象となら

ない。

医療機関の管理者が判断するも

であり、ガイドラインでは判断の

支援のための考え方を示す。

医療に起因し、又は起因することが

疑われるもの

(7)

医療に起因する(疑いを含む)死亡又は死産の考え方(通知)

(下記)に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産

1.診察:徴候、症状に関連するもの 4.その他:管理者の判断によるもの 2.検査等(経過観察を含む) ・療養に関連するもの ・検体検査に関するもの ・転倒・転落に関連するもの ・生体検査に関するもの ・誤嚥に関するもの ・診断穿刺・検体採取に関連するもの ・患者の隔離・身体拘束・身体 ・画像検査に関連するもの 抑制に関連するもの 3.治療(経過観察を含む) ・投薬・注射(輸血含む)に関連するもの ・リハビリテーションに関連するもの ・処置に関連するもの ・手術(分娩含む)に関連するもの ・麻酔に関連するもの ・放射線治療に関連するもの ・医療機器の使用に関連するもの

左記に含まれない死亡又は死産

• 左記以外のもの

(具体例)

1.施設管理に関連するもの

・火災等に関連するもの

・地震や落雷等、天災によるもの

・その他

2.併発症

(提供した医療に関連のない、偶発的に生じた

疾患)

3.原病の進行

4.自殺(本人の意図によるもの)

5.その他(院内で発生した殺人・傷害致死、

(8)

医療事故の定義について

○当該死亡又は死産を予期しなかったもの

第6条の10

病院、診療所又は助産

所の管理者は、医療事故

が発生した場合には、厚

生労働省令で定めるところ

により、遅滞なく、当該医

療事故の日時、場所及び

状況その他厚生労働省令

で定める事項を第6条の15

第1項の医療事故調査・支

援センターに報告しなけれ

ばならない。

○当該死亡又は死産が予期されていなかったものと して、以下の事項のいずれにも該当しないと管理者が 認めたもの 一 管理者が、当該医療の提供前に、医療従事者等 により、当該患者等に対して、当該死亡又は死産が予 期されていることを説明していたと認めたもの 二 管理者が、当該医療の提供前に、医療従事者等 により、当該死亡又は死産が予期されていることを診 療録その他の文書等に記録していたと認めたもの 三 管理者が、当該医療の提供に係る医療従事者等 からの事情の聴取及び、医療の安全管理のための委 員会(当該委員会を開催している場合に限る。)からの 意見の聴取を行った上で、当該医療提供前に、当該 医療の提供に係る医療従事者等により、当該死亡又 は死産が予期されていると認めたもの ○左記の解釈を示す。 ●省令第一号及び第二号に該当するものは、一般的 な死亡の可能性についての説明や記録ではなく、当該 患者個人の臨床経過等を踏まえて、当該死亡又は死 産が起こりうることについての説明及び記録であること に留意すること。 ●患者等に対し当該死亡又は死産が予期されている ことを説明する際は、医療法第一条の四第二項の規定 に基づき、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解 を得るように努めること。 参考)医療法第一条の四第二項 医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い 手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医 療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。

当該死亡又は死産を予期しなかったもの

(9)

医療事故の遺族への説明事項等について

遺族への説明事項について

1.医療事故の日時、場所、

状況

2.制度の概要

3.院内事故調査の実施計画

4.解剖又は死亡時画像診断

(Ai)が必要な場合の解剖又は

Aiの同意取得のための事項

○「センターへの報告事項」の内容を

遺族にわかりやすく

説明

する。

○遺族への説明事項

1.医療事故の日時、場所、状況

・日時 / 場所 / 診療科

・医療事故の状況

◆疾患名 / 臨床経過等

◆報告時点で把握している範囲

◆調査により変わることが前提であり、その時点で

不明な事項は不明と説明する。

2.制度の概要

3.院内事故調査の実施計画

4.解剖又は死亡時画像診断(Ai)が必要な場合の解剖又は

Aiの具体的実施内容などの同意取得のための事項

5.血液等の検体保存が必要な場合の説明

(10)

年 月 日 曜 - (ふりがな) 管理者の氏名 医療事故報告票 報告日 平成 Ⅰ 医療機関   (ふりがな) 医療機関名 所在地 郵便番号 受付年月日 平成 年 月 日( ) 事故報告管理番号 都道 府県 連絡先 (ふりがな) 氏名 所属部署 電話 FAX Eメール   【機構記載欄】  備 考 機構確認者 / 歳 週 日 年 月 日 時 分 年 月 日 時 Ⅱ 事故の内容  調査により変わることが前提であり、報告時点で把握している範囲で記載してください。 その時点 で、不明な事項については不明と記載してください。 患 者 性 別 男 性 女 性 診 療 科 診 療 科 番 号  1 ※ (共通コード参照) 患 者 年 齢 ヵ 月 在 胎 週 数 死 亡 日 時 平 成 死 亡 場 所※ 2 番 号 具 体 的 な 死 亡 場 所 時 間 (共通コード参照) 医 療 事 故 発 生 日 時 平 成 番 号 具 体 的 な 発 生 場 所 時 間 分 (頃 ) (共通コード参照) 医療事故 発生場所※ 2 疾 患 名   医 療 事 故 の 状 況 医 療 事 故 調 査 の 実 施 計 画 と 今 後 の 予 定 そ の 他 管 理 者 が 必 要 と 認 め た 情 報 【機構記載欄】 事故報告管理番号

日本医療安全調査機構

ホームページより

死亡に至るまでの臨床経過を時系列

に整理して、客観的に記載する。

(11)

医療機関が行う医療事故調査の方法等

○病院等の管理者は、医療事故調査を行うに

当たっては、以下の調査に関する事項について、

必要な範囲で選択

し、当該医療事故の原因を

明らかにするために情報の収集および整理を行

う。

1.診療録その他診療に関する

記録の確認

2.

当該医療従事者のヒアリング

3.その他関係者からのヒアリング

4.解剖又はAiの実施

5.医薬品、医療機器、設備等の確認

6.血液、尿等の検査

○本制度の目的は医療安全の確保であり、個人の責任を追及するためのものではないこと。 ○調査の対象者については当該医療従事者を除外しないこと。 ○調査項目を以下の中から必要な範囲内で選択 1.診療録その他の診療に関する記録の確認 例:カルテ、画像、検査結果等 2.当該医療従事者のヒアリング *ヒアリング結果は内部資料とし、開示しない。(法的強制力のある場合を除く) その旨、ヒアリング対象者に伝えること。 3.その他の関係者からのヒアリング *遺族からのヒアリングが必要なこともある。 4.医薬品、医療機器、設備等の確認 5.解剖又はAiについては、どの程度死亡の原因が医学的に判断できているか、 遺族の同意の有無、その実施によって得られる情報の重要性を考慮して実施の判断する。 6.血液、尿等の検体の分析・保存の必要性を考慮 ○医療事故調査は医療事故の原因を明らかにするために行うものであること。 *原因も結果も明確な、誤薬等の単純な事例であっても、調査項目を省略せずに丁寧な 調査を行うことが重要であること。 ○調査の結果、必ずしも原因が明らかになるとは限らないことに留意すること。 ○再発防止は可能な限り調査の中で検討することが望ましいが、必ずしも再発防止策が得られる とは限らないことに留意すること。

(12)

医療機関からセンターへの調査結果報告について

第6条の11

4 病院等の管理者は、医療事故調査

を終了したときは、遅滞なくその結果を

第6条の15第1項の医療事故調査・支

援センターに報告しなければ

ならない

センターへの報告事項・報告方法 院内調査結果の報告書内容 ●日時 / 場所 / 診療科 ●医療機関名 / 所在地/ 連絡先 ●医療機関の管理者の氏名 ●患者情報(性別/ 年齢等) ●医療事故調査の項目、手法及び結果 ○当該医療従事者等の関係者について匿 名化する。 センターへの報告方法について ○次のいずれかの方法によって行う。 ●書面 又は Web上のシステム ○「本制度の目的は医療安全の確保であり、個人の責任を追及する ものではない」ことを、報告書冒頭に記載する。 ○それ以外の用途に用いる可能性については、あらかじめ当該医 療従事者へ教示することが適当である。 ○以下の事項を報告 ●日時/場所/診療科 ●医療機関名/所在地/連絡先 ●医療機関の管理者の氏名 ●患者情報(性別/年齢等) ●医療事故調査の項目、手法及び結果 ・調査の概要(調査項目、調査の手法) ・臨床経過(客観的事実の経過) ・原因を明らかにするための調査の結果 *必ずしも原因が明らかになるとは限ら ないことに留意すること。 ・調査において再発防止策の検討を行った場合、管理者が講ずる再発防 止策については記載する。 ・当該医療従事者や遺族が報告書の内容について意見がある場合等は、 その旨を記載すること。 ○当該医療従事者等の関係者について匿名化する。 ○医療機関が報告する医療事故調査の結果に院内調査の内部資 料は含まれない。

(13)

1.医療事故調査報告書の位置づけ・目的 この医療事故調査制度の目的は、医療安全の確保であり、個人の責任を追及す るためのものではない。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2.医療事故調査の項目、手法及び結果 ・調査の概要(調査項目、調査の手法) ・臨床経過(客観的事実の経過) ・原因を明らかにするための調査の結果(必ずしも原因が明らかになるとは限 らない) ・調査において再発防止策の検討を行った場合、管理者が講ずる再発防止策 ・当該医療従事者又は遺族が報告書の内容について意見がある場合等は、その 旨を記載

報 告 書

平成○年○月○日 ○○病院 事故報告管理番号 フォーマット

日本医療安全調査機構の

ホームページより

死因及び死亡経過を明らかにする。

ただし、個人の責任につながるような内容は記載しない

再発防止策も個人に求めるのでなく院内環境や体制の改善

により対策を講じる

(14)

医療機関が行った調査結果の遺族への説明について

第6条の11

5 病院等の管理者は、前項の規定に

よる報告をするにあたっては、あらかじ

め、遺族に対し、厚生労働省令で定め

る事項を説明しなければならない。た

だし、遺族がないとき、又は遺族の所

在が不明であるときは、この限りでない。

遺族への説明事項について

○「センターへの報告事項」の内容を

説明することとする。

○現場医療者など関係者について匿

名化する。

遺族への説明方法について

○遺族への説明については、

口頭(カ

ルテに記載)又は書面(報告書又は説

明用の資料)若しくはその双方の適切

な方法

により行う。

○調査の目的・結果について、

遺族が

希望する方法で説明

するように努めな

ければならない。

○左記の内容を示す。

現場医療者など関係者について匿

名化

する。

(15)

管理者が医療事故に該当しないと判断した場合

遺族が医療機関の説明に納得しなかった場合

院内医療事故調査開始(センターに報告)後、

調査内容や調査結果の説明に納得しない場合

納得できない

審査検討

要再調査

第三者機関(医療事故調査・支援センター)

支援団体

院内医療事故 調査委員会 報告判断の相談 院内事故調査の支援等 医療事故調査等支援団体 医療安全対策委員会 セ ン タ ー 調 査 の 依 頼

調

調

第三者機関(医療事故調査・支援センター)

納得できない

医療事故調査等支援団体 セ ン タ ー へ 相 談 報告判断の相談

医療安全対策委員会 遺 族 の 相 談 内 容 を 管 理 者 に 伝 達

(16)

報告対象事例の考え方

事故調への報告を考慮すべき事例

1)明らかな過失がある、あるいは過失の疑

いがある事例

:禁忌薬剤投与、誤薬等の死亡。

(再発防止策が大切)

2)医療行為後、

予期しない異常な臨床経過

をとって死亡した事例

医学的に合理的な死因や死亡経過を説明

できない事例

例)危険度少ない手術や検査。

術中あるいは術後早期の死亡事例。

(死因の究明が大切)

事故調への報告対象としなくてよい事例

1)医療行為後の臨床経過や死因が、

検査結果、症状等により

医学的に合理

的な説明が可能である事例

(「予期しなかった」の除外条件の3つ目

の事例と考えられる)

2)死亡経過や死因が分かっている事

例で、遺族の苦情により

過失の有無を

調査する目的

とするもの

紛争解決が目的

となっているもの)

*大まかな考え方を示すもので、個々の事例につき管理者が最終的に判断する。

(17)

3つのガイドライン

厚生労働省(日医)

(平成27年5月8日)

日本医療法人協会

(平成27年5月30日)

全日本病院協会

(平成27年8月)

報 告 期 限 の 目 安

・遅滞なく

・30日をめどに

・7日をめどに

・医療に起因した又は疑わしい

死亡事例で、管理者が予期しな

かった事例

単純な過誤事例も含む

・管理者が予期しなかった死亡事例で かつ医療に起因した又は疑わしい事例 ・類型化された単純な過誤事例は含め ない ⇒ 既存の収集制度を利用し、 医療機関が対応する事例。遺族への 十分な説明に努める (有益な事情聴 取が得られないので適切でない) ・人的・物的コストをかけて分析すべき 事案に限定すべき ・(具体例)極めて低リスクの手術・処 置・投薬の後に急変した場合

・医療に起因した又は疑わし

い、管理者が予期しなかった

死亡事例

単純な過誤事例も含む

院 内 調 査 の 方 法

・支援団体へ必要な支援要請を行う。

(外部委員を入れることが義務)

・院内の事故調査委員会で行う

・外部委員は入れない

外部委員を入れて行う ・病院長は院内医療事故調査委員 会には参加しない

遺 族 へ の 説 明 方 法

( 報 告 書 の 扱 い )

遺族の希望する方法で説明(口頭、又は文書、 又は両者)する ・当該医療従事者の匿名化 (非識別化)

管理者の裁量で口頭、又は書面(説明 書)で説明する ・「報告書」の交付は慎重に判断 ・当該医療従事者の匿名化・非識別化

「報告書」に基づいて十分に説明する ・遺族に閲覧させたり、供与する必要なし ・当該医療従事者の匿名化

見直し、検討中 外表異状説 外表異状説

(18)

全 国 医 学 部 長 病 院 長 会 議 ガ イ ド ラ イ ン

H 2 7 . 1 1 . 2 0

報 告 期 限 の 目 安

・改正医療法 第6条の10に基づく。 遅滞なく

・管理者は各施設のオカレンス(アクシデント)報告システムと合わせて運用し、必要な情報を迅速に把握 する。 ・以下の①または②に該当する事例を認知した時、又は予測した時、管理者に速やかに報告する。 管理者への報告は職位・職種を問わない。匿名も可とする。 死亡・死産に至った(至りそうな)過程において、 ①主治医・担当医 ②他の関係したスタッフが不自然であると認識した事例 ・誤注射、誤投薬などの事例も報告する。

院 内 調 査 の 方 法

・原則として外部委員を入れる。 ・病理解剖にて原因が明らかとなり、外部専門家を交えなくとも、中立性・専門性が確保できる場合には、 院内専門家だけの調査委員会もあり得る。 ・調査委員会:第1回委員会で委員長を選出(外部委員が望ましい)。1~4回程度委員会の開催を目途。 院内委員は医療安全担当医師1名と医療安全担当看護師1名、当該診療科以外の専門医 のみ。 関連領域の専門家は外部委員。 院外の有識者(弁護士、大学教員など)1~2名を含む6~7名で構成。

遺 族 へ の 説 明 方 法

・死亡事例に対しては、調査制度とは関係なく、医療者のプロフェッショナリズムに基づき、説明責任を果 たさなければならない。 ・遺族へ説明する際は、報告書を渡すか、渡す場合には遺族用にわかりやすく書き直したものにするなど、 遺族の希望する方法で行うように努める。

医 師 法 2 1 条

・事件性が強く疑われる場合(自殺・他殺等)は、医師法第21条、死体解剖保存法第11条に則り、警察への通報を優先する。

(19)

報告書作成の注意点

1)

医療行為の評価

「事後的評価」

とならないように留意し、

その医療行為が行

われている時点での医学的な判断

として、検討する。

(医師の裁量を十分配慮)

・医療従事者

個人の行為、判断に対する評価

は行わない。

2)

再発防止策の評価

は、死亡回避のための策になるが、当該医療機関での医

療環境、人員配置、支援体制等のシステム上の背景も考慮する。

人的要因の背景にあるシステムエラー

の観点から分析した結果を記載する。

・今後の医療提供体制の改善策を検討する。

3)

死因究明について

・確定的でない場合は、

複数の可能性

を示す。不明もありうる。

(20)

院内調査報告書作成の注意点

*内部資料とするものとしないものを峻別することが大切!

センターへの報告書

(=遺族への報告書)

1.日本医療安全調査機構のホームページ

にある

フォーマット

に従って記載する。

2.臨床経過、死因等は

客観的事実

を記載し、

個人の責任につながるような診療の妥当性

の評価は記載しない。

3.原因や再発防止策も個人の責任に求め

るのでなく、職場の環境や体制の整備などシ

ステムに求めるような内容にする。

内部資料(非公開とする)

1.院内事故調査委員会の議事録は公開しな

いこと。

2.診療の妥当性を論じたときに、個人の責任

に言及するような内容は内部資料として、非公

開とする。

3.当該医療従事者にヒヤリングした内容を記

載した文書は、冒頭に内部資料であることを明

確に記載したうえで非公開とする。

(21)

報告書作成にかかる注意点と法律(私見)

Ai 画像所見報告書

解剖所見報告書

専門医調査報告書

一般臨床医調査報告書

当該医療従事者ヒアリング調書

当該看護師ヒアリング調書

医療安全推進指導者調書

委員長

報告書

(=遺族への説明書)

内部資料

守秘義務

および

個人情報保護法

の厳守が求められる

院内委員が院内調査委員会で内部資

料を基に総合的にフォーマットに従っ

て案を作成する。それに外部委員も加

筆・修正を行う。

内容については、院

内調査委員会委員全員の承認が必

である。

本制度の趣旨に従い、

個人の責

任を問うような内容(内部資料と

する)

は記載はせず、できる限り

客観的事実を記載

する。

報告書への

外部委員名記載は

個人情報保護法の対象

と考えら

れるので、本人の了解が必要。

院内委員

外部委員

管理者

(22)

WHOドラフトガイドライン

「学習」を目的としたガイドライン作り

失敗から学び、原因究明・再発防止を

目的とする。

当事者は、隠さず「真実」を述べること

が重要であり、前提である。

「説明責任」を目的としたガイドライン作り

調査内容の「真実」全てを話すことが

「説明責任」を果たすことの基本とな

るが、被害者は真実の中に加害者の

「過失」があれば、損害賠償を求める

民事訴訟や、社会的な責任を求める

刑事訴訟を起こすことがある。

非懲罰性・秘匿性が担保されて

いない

両立する

ガイドライン作りは

不可能!

報告書に個人の

責任になるような内容の

記載や説明はしない。

死因や死亡経過、背景因子、

システムの不備等の

記載のみとする。

(23)

医療事故調査制度報告件数

支援センタープレス発表

内:大阪府医療事故調査等支援団体連絡協議会支援件数 H.27年10月 H.27年11月 H.27年12月 H.28年1月 H.28年2月 H.28年3月 H.28年4月 H.28年5月 H.29年11月

相談数

250件 160件 187件 132件 142件 141件 129件 109件 184件 センター 報告数 取り下げ1件20件 27件 36件 33件 25件 48件 34件 30件 32件 院内調査 結果報告数 0件 1件 6件 8件 18件 17件 16件 13件 26件 センター 調査依頼数 0件 0件 0件 1件 0件 1件 0件 0件 8件

施設内訳

病院15件 診・助5件 病院24件 診2件 病院34件 診2件 病院32件 診1件 病院23件 診2件 病院43件 診5件 病院33件 診1件 病院27件 診3件 病院30件 診2件 診療科別 内訳 消外5件 産4件 他11件 内5件 消3件 外3件 脳外3件 産婦3件 他 内6件 外6件 心外4件 精神4件 循内3件 整外3件 他 内5件 整外5件 心外4件 泌4件 外3件 精神3件 他 内6件 外2件 整外3件 産婦2件 精神1件 心外1件 泌2件 循内3件 他5件 内5件 外10件 整外7件 産婦3件 精神3件 循内6件 消4件 脳外2件 他8件 内5件 外6件 整外5件 産婦2件 消5件 循内1件 脳外1件 他9件 外7件 内3件 整外2件 消3件 産婦2件 循内3件 精神0件 脳外1件 心外1件 泌1件 他7件 外5件 内4件 整外5件 消1件 循内4件 産婦2件 心外1件 脳外2件 その他8件

累積報告

件数

19件 46件 82件 115件 140件 188件 222件 251件 (病院773,診51)824件

(24)

大 阪 府 医 療 事 故 調 査 等 支 援 団 体 連 絡 協 議 会

第1回連絡協議会開催:平成27年10月6日~

平成29年8月現在

(概要)

・24団体(登録)、8団体(協力施設)

・他施設からの解剖受け入れ可能施設:4施設

・他施設からのAi(死亡時画像診断)撮影受け入れ可能施設:10施設

・Ai読影可能施設:2施設。

一般財団法人Ai情報センター(東京)も可能。

(ホームページ)

・大阪府医師会のホームページ上にパスワードを設定して支援団体連

絡協議会の一覧を掲載している。相互の連携を図る。

(25)

院内調査支援の要請と各支援団体との関係

支 援 要 請

支 援 依 頼

専門医 委員長 解剖 Ai,読影

支援完了報告

(大阪府医師会医療安全支援課)

医療機関

支援団体連絡協議会事務局

調

支 援 契 約 支 援 契 約 支 援 契 約 支 援 契 約 支 援 契 約

調

※事故調支援委員会は、平成28年6月24日付「医療法施行規則の一部改正」におい

て、厚生労働省医政局総務課長から発出された通知に示された組織の役割を担って

いる。

「病院等の管理者が医療事故調査を行うために必要な支援が、

迅速で充実した情報

の共有

及び

意見の交換を円滑かつ容易に実施

できるよう、専門的事項や個別的、

具体的事項の情報共有及び意見交換などに際して

支援団体等連絡協議会が、より

機動的な運用を行うために必要な組織

を設けること。」

専門医 ⓒ大阪府医師会2017

(26)

調

平 成 2 7 年 8 月 4 日 第 1 回 開 催

(目的)

1.支援団体間の調整、連携を図る。

2.円滑な院内調査を支援する。

3.医療事故調査に関する医療資源の把握、人材育成

4.研修会の開催

(医療事故調査コーディネーター(仮称)の育成等)

5.事例検討会

6.その他

(構成)

各専門医会代表、5大学病理、法医学、基幹病院代表、病院協会代表

大学医療安全科教室、大阪府医師会理事等の27名

医事紛争専門弁護士(オブザーバー1名)

(27)

LiSS システム(NPOりすシステム)とは

・LiSS システム= Living support system (生活支援サービス)

・遺体の搬送・保管のサービスあり。

・遺体の搬送については、新木場で集中管理し、24時間全国から連絡を受ける。

連絡あれば、遺体搬送車のある葬儀社に連絡を行い、医療機関と遺族への

説明・打ち合わせを行い、遺体を引き取る。

・遺体の保管は、葬儀業者の冷蔵設備で保管し、Ai又は解剖支援施設へ搬入。

・りすシステム 西日本支部:MF南森町ビル4階, 大阪には3名の職員がいる。

・費用: 遺体搬送費用(寝台車料金実費)

遺体保管費用(約1万円/ 日)

搬送時の遺体収容袋(解剖、Ai実施時);1セット ( 約2万円 )

(28)

大阪府医師会ホームページ開設

ユーザー名:

●●●●●●●●●●

パスワード:

●●●●

(29)

医療事故調査の報告対象となる事例の選別チャート

医療法施行規則の一部を改正する省令(

平成27年5月8日公布)に基づく判断基準

医療に起因する(疑いも含む)死亡

死亡を予期していたか?

事前の説明

文書に記載

関与者の意見聴取(注記あり)

予期あり

予期なし

全て該当なし

※ 報 告 対 象

対象外

対象外

※報告対象:

但し、過失の有無を調査するための制度ではないことを認識すること。

※原病の進行、併発症、手術・処置・ 投薬を伴わない妊娠管理中の死産は 対象外とする。

医療に起因しない死亡

注記:管理者が、当該医療の提供に 係る医療従事者等からの事情の聴取 及び、医療の安全管理のための委員 会(当該委員会を開催している場合 に限る。)からの意見の聴取を行っ た上で、当該医療の提供前に、当該 医療の提供に係る医療従事者等によ り、当該死亡又は死産が予期されて いると認めたもの

(30)

医療事故調査制度に伴う

「日本医師会院内調査費用保険」

1.趣 旨 「医療事故調査制度」のもとで、院内事故調査の実施にかかった費用を保険で補償する。 2.保険の対象者(被保険者) 日医A1会員のうち、全ての診療所と、99床以下の病院の開設者及び管理者(解説形態の個人、法人は問わない) 対象会員は、約77,800名。 3.保険金額、保険期間等 期間中500万円 平成27年10月1日から1年間、毎年更新。 4.支払い対象となる費用 院内事故調査に際して医療機関が支払った費用のうち、当該医療機関が外部に支払ったもの。 例)遺体の保管、搬送、Ai(死亡時画像診断)、解剖、院内調査の外部委員に対する謝金、交通費 等。 5.保険契約の形態 日本医師会が保険契約者となり、対象となるA1会員を被保険者とする契約を、保険会社と締結。

(31)

医療事故調査制度の意義

1. 医療内容を外部の医療の専門家を交えて、公正に評価を行う

院内事故調査委員会

の設置は有意義である。(中立性・公平性の観点から)

2. この制度は、医療の安全確保と質の向上を目的とする。個人の責任を問うものでは

ない。 (

医療安全と医事紛争は分離して考える

3. (医師を含む)医療従事者の

プロフェッショナル・オートノミー

が試される。

4. インフォームド・コンセント及び詳細なカルテの記載が重要である。

そのインセンティブになる制度と考える。

5. 院内事故調査を通じて、医療関係者と遺族との対話の場となり、誤解を解く機会とな

る。(

医療メディエーションの手法

患者や遺族からの信頼回復を目的

とする。

6. 「医療事故調査制度」というより

「医療安全対策及び死因究明制度」

の名称が 実態

をよく表している。(遺族も医療関係者も

事故=医療ミス=過誤

と考えている)

(32)

医療安全指導者(管理者)の役割

1)

医療安全推進指導者

として

院内の感染対策、医療機器・医薬品の安全、ヒヤリハット事例の収

集と分析、等につき、医療安全管理委員会の指導的立場となる。

2)

患者さんやご遺族の相談窓口

として

医療メディエーションの手法で、患者さんやご遺族の心の底にある

問題意識を聞き取る。

3)

医療事故調査コーディネーター

として

院内で医療事故調査制度への報告事例があった時に、初期対応を担う。

院内事故調査委員会に委員として、システム上の再発防止策を検討す

る。(コーチング、ノンテクニカルスキル、医薬品・医療機器の安全等)

(33)

ご静聴

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