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I.B.クレイビスによる購買力平価からの乖離--所得と購買力平価からの乖離(3)---香川大学学術情報リポジトリ

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全文

(1)

ITB・クレイビスによる購眉力平価からの帝離

一所待と購買力平価からの希離(3)一

宮 田 亘 朗 Ⅰ ほじめにⅠⅠクレイビスによる購買力平価からの轟離 ⅠIl購買力平価の絶対的形式と相対的形式の関係 Ⅰ われわれは,かって為替相場の購買力平価からの轟離の問題についてユ≦裕∂ 年代から了.9フり年代中頃までの主な論者特にBノミラッサやP小A。ディビット

およびLHオフィサーなどを考察した。1)本稿は,そこで取り扱われず残され

たⅠ小B.クレイビスの主張を中心に検討するものである。

われわれがこれら論者を考察した場合の一・般的視点は,次のようなもので

あった。為替相場をガとし,購買力平価からの乗離を点(絶対的形式)または

ガ(相対的形式)とすれば,それら燕離ほ,

&=々庸ヂわ∂)=堵 (絶対的形式)(1)

凡=兄潮eエ)=ガf尺β鶴=油量

(相対的形式)(2) として定義することができる。ここでP,P*ほわが国と外国の物価水準である

(添字′とゼロは現時点と基準時点を表し,*印は外国を表す)。この(1)式と(2)

式から為替相場斤fほ,基準時点を固定しそこでの絶対的形式斤。=々。為/P芸

1)拙稿「所得と購買力平価からの乗離(1)」香川大学経済論革59巻1号1986年6月および拙 稿「所得と購買力平価からの飛離(2)」香川大学経済論滋59巻9月。なお,この両論文にお いて,各種の校正ミスおよびその他の誤りが存在する。ここではそれらを訂正している。

(2)

香川大学経済学部 研究年報 26 ー2− J9β6■ を既知で所与であるとするならば,表面上全く同じようにP亡/P苦の−・定倍数で 表示されることがわかる。ただし,∬f=ゑ亡/々。である。いま,物価水準を貿易 財価格如と非貿易財価格如の加重平均として定義し(α+β=J,ただし打は 省略)方=カT/如,およびが=♪を/露と置き,貿易財について ♪r=rf砂を (3) の関係を設定する。rは関税などの人為的〒捗や地理的距離などの自然的障害 による貿易財価格の両国間不均等を表す係数である。ゆえに,貿易財について 山・物一L価の法則が成り立つ場合は㌃=Jとなる。 P=(沙丁+β餌=丁尺かを(α+〟方) (4) P*=α*♪音十β*ヵ蒜=♪を(α*+β*/が) (5) この場合,購買力平価からの轟離々,方の変化率ほ,(1)式と(2)式から,ともに同 じ形式で表され,

晋(=号)=(欝

か藤dが卜(

/巾■り−−/.丁・ 血 ♪を(J−J/が) ゐ*)・号 (6) P*

となる。この式において右辺の最初の括弧内の各項は二周の相対価格変化の影

響を表し,次の第二の括弧内の各項は二周の構造パラメータ(貿易財の取引量

ウェイト)変化の影響を表す。また,最後の項は,貿易政策の変化や輸送コス

トなどの人為的自然的障害の変化の影響を表している。したがって,(6)式は購

買力平価からの燕離の変化率がこれら三つの括弧の項のいずれかの変化によっ

て表されそれ以外でないことを示す。そして,それほ(1)式の絶対的形式のみな

らず(2)式の相対的形式においても同様に妥当する(ただし,相対的形式は基準

時点を固定しそれ以降の変化を考えている点で異なっている)。ゆ.えに,G・カッ

セルが列挙しFHノミソティソグやLBイーガーが指摘した2)関税や輸送費

2)Cassel,G,MoneyandFbreignErchanges dier1914,1925 Bunting,FH,ThePurchasingPowerParityTheoryReexamined,Southern EJ, Vol5,No3,Jan1939

Yeager・,LB,A Rehabilitation ofPurchasing Power・Parity,.IPE,Vol66,No 6,Dec1958

(3)

IBクレイビスによる購買力平価からの飛離 一ゴ− の変化,貿易障害の発生,通貨切り下げ後の未調整,投機による撹乱,政府に よる対外債務弁済のための為替の大量購入,所得や経済構造の変化等々の購買 力平価からのすべての希離要因ほ,いずれも上記(6)式の右辺の各項によって表 示されなければならないことになる。例えば,所得や経済構造の変化ほ,相対 価格変化を誘発しない限り,(6)式右辺第二の括弧内の項の変化を通じて為替相 場の購買力平価からの飛離として表示されてくるものと解釈される。それは, (6)式右辺のいずれの項の変化も起さず左辺の禾離に表されることほないのであ る。しかも,(6)式は,相対価格変化の影響と構造/ミラメー・タ変化の影響とが(方, 方*.>J)相互に打ち消し相殺的であることを示している(正負で符号が逆であ る)。したがって,購買力平価からの禿離の状況は,これらの変化のうちただ1一 つの影響を重視しそれのみによって判断されるべきものでほないのである。3) 単純化のため外国におけるすべての変化がなく,かつ人為的自然的障害の変 化もない(♂r=のものとする。このとき(6)式ほ, 尺夕を(了−ヱ/方)

普(=普)=聾血−

血 (7) のようになる。これを相対的形式につき描いたものが第1図である。その第1 図の打)は方>Jのケ・−スであり,(ロ)は,方<Jのケ・−スである。両ケ・−スにつ いて,敢/ガ=∂直線の上方は血/〝二>0の領域を示し,血/ガ=0直線の下方は 血/ガ<∂の領域を示している。相対的形式で表す場合,購買力平価は,基準時 点の選択如何によって初期に轟離(‰≠J)を含みうる。そこで,為替相場と購 買力平価が−・致する点を求めるとき,その軌跡は血/ガ=∂直線上にあるとは 限らずむしろ別のところにありうることになる。すなわちそれは,もし点0>J であるなら血/〝=β直線の下方のαα線上にあり,またもし点。<ノであるな ら血/ガ=∂の直線の上方の∂∂線上にある。これほ,初期の諦離を解消するた めにガの変動を必要とするからに他ならない。かくして,われわれは,‰≧」

によってαα線あるいは細線の上方をゐ/ガ>∂すなわち♂斤/β>

♂(PPγeエ)/PPγe‘となり当該国通貨が過小評価される領域(A領域)であると

3)購買力平価からの帝離を論じる際,例えば相対価格変化のみを言い,他を無視したり,ま

た所得変化を指摘しながら方やαの変化に言及しないようなケースが挙げられる。

(4)

香川大学経済学部 研究年報 26 −4− J9β6 (ロ)方<1のケース d方 い)方>1のケース d方 第1図 し,その下方を血/ズ<∂すなわち躇/斤<d(PPγeエ)/PF痛となり当該国通 貨が過大評価される領域(β領域)であるとすることができる。 メヨツラーほ,甜F平価の初期設定時において,アメリカ・ドルが過小評価 され,他の諸国の通貨が過大評価されていたことを指摘する。4〉もしこれが正当 であるなら,その時点においてアメリカは』領域にあり,他の諸国はβ領域に あったことを示している。他方この傾向ほ,J96∂年代に入り逆転され,アメリ カ・ドルの過大評価,他の諸国の通貨の過小評価になる。5)これほ,第二次大戦 後の日本およびヨーロッパ諸国の復興によって各国の貿易財取引量に関わるα が増大し,他方でアメリカにおいては戦後の輸出増加とそれに伴う一人当たり 所得の増大および賃金水準の上昇と非貿易財価格の騰貴によって打の下落を 導いたことから容易に理解しうる。すなわち,アメリカでは元来方<ノすなわ ち♪丁<釦の可能性が大である。したがって,アメリカほ初め第1図(ロ)のA領 域(過小評価)にありその後方とαの減少を通じβ領域(過大評価)へ移動し,

4)Metzler,L A,Exchange Rates and theInternationalMonetary Fund,inInier− nationalMonetary mlicies,eds,by L A Metzler,RTrifhn,GHaberler,Post War EconomicStudies,No7,1947(r’eprintedinCbllecied物ers1973,pp112−158)

5)戦後1960年時代に入って生じたアメリカ・ドルの過大評価,他の諸国通貨過小評価につ いては,多くの研究がある。拙稿上掲論文(1986年6月),13ページ 参照。

(5)

ⅠB グレイビスによる購買力平価からの燕離 −5− 他方日本およびヨーロッパほ初め第1図(ロ)のβ領域(過大評価)に.ありそこか ら方の減少とαの増大を通じ月領域(過小評価)へ移動したものと推測するこ とができる。また,発展途上国でほ非貿易財の価格ほ比較的安価であり方:>J であると考えうる。したがって,発展途上国は,第1図(イ)のβの領域(過大評 価)から輸出入不振によるαの減少を通じ月額域(過小評価)へ移動したと推 測することができる。なお,第1図において初期の出発点を描くとき,それは 常に原点でなければならない。そしてその後の変化ほ,その原点からの移動と して描かれる。例えば,第1図(ロ)の甜F平価設定時におけるアメリカの原点 ほ,轟離を含んで烏0>ノである。そしてそれは,A領域にあり為替相場と購買 力平価の−・致する点の軌跡をαα線のようにするものでなければならない。他 方,第1図(ロ)の日本およびヨーロッパの原点は,轟離を含んで々。<Jである。 そしてそれほ,β領域にあり為替相場と購買力平価の一一致する点の軌跡を細 線のようにするものでなければならない。同様にして発展途上国の原点も,β 領域にある。この場合の為替相場と購買力平価の一・致する点の軌跡ほ,第1図 打)の∂∂線となる。以上の結論ほ,単純な形式の(7)式から導かれたものにすぎな い。したがって,その結論は,現実から異なっていると思われる。そこでほ, 外国のすべての変化ほ存在せず人為的自然的障害の変化も無視されている。し かしながら,この単純な(7)式においてもなお購眉力平価説の妥当するケースに ついて次のことを言いうるようである。例えば,相対価格や所得の変化が生じ た場合にり それらの打とαを通じる効果は,互いに相殺され,ちょうど第1図 のαα線や細線の上にとどまることがあり得る。この場合に,購買力平価説の 妥当するケースが生じうるのである。 われわれほ,以上のような観点に立って,かつてブタ6ク年代中頃以降の購買力

平価説に関する論争のうち,先ずエ96孝∼万年のBノミラブサとP.Aデイビッ

ドの主張をとりあげた。6)バラッサは,J96留年の論文において,購買力平価から 6)Balassa,B,ThePur’Chasing−Power−ParityDoctrine:AReappraisal;JPE,Vo1 72,Dec“1964 David,DA,JustHowMisleadingareO疏ciaiExchangeConversion?,EJ,Vo1 83,Sept1972

(6)

香川大学経済学部 研究年報 26 J,≦裕6− −6− の諦離(各国通貨の過小評価)を山人当たり国民所得の増大に伴う製造工業(貿 易財)と第三次産業(非貿易財)の生産性の伸びの違いからくる相対価格の変 化と第三次産業の生産物へ向かう消費構造の変化によって説明しようと試み た。そして,このうち特に前老の相対価格の変化を強調した。それほ,/ミラッ サの購買力平価導出が各国の取引量をウェイトした物価水準の幾何平均として 求められたものを使用していた午めであると言える0このことほ,バラッサに 同意し購買力平価からの薙離が構造的体系的性質をもっているとなし単純な 4/タ経験法を定期したデイビッドと比較すると明らかとなる。なぜなら,デイ ビッドはラスパイレス形式による物価水準を購買力平価の導出に使用したから である。いま,(7)式と同様に基準となる国アメリカのがとα*,β*,また㌃を 変化しないものとする。そして,購買力平価からの禿離の変化率血/ガをデイ ビッドにしたがいラスパイレス形式の物価指数を用いて求め,それとパーシェ 形式およびフィッシャーの理想算式の物価指数を用いて求めたものと比較して みよう。すなわち, (普)上= (告)P= β* ♂方 (ラスパイレス式)(8) (α*十β*/方)が

ヱ功_拗*

dα (α+〟方)が α+〟方 α+〟が (パ、−ふシェ式)(9) )ゐ (フィ ッシャー式)(10) β . β* (号)f=与( α+〟方’α*+β*/方 J−J/方 J−J/が α+β/方 α+〟が である。ラスパイレス式とパーシェ式の轟離の差を求めると (β*−α*β 血 (普)エー(号)P= (α*+β*/方)(α+〟方)方2 (α+β)(方−が) ゐ (11) (α*+βソ方)(α+β/方)方が を得る。この(11)式の右辺第一項と第二項の乗数は,高所得国アメリカ(基準国)

(7)

−7− IBクレイヒスによる購買力平価からの魂離 のウェイトが当該国と比べて小であり(α/β>α*/β*)かつ相対価格が小であ る限り(方>がすなわち♪T/如:>カ音/露)正である。したがって,当該国の所 得が減少することでアメリカからより遠ざかり,相対価格上昇(♂方>のおよ びサービス産業縮小(ゐ>のを導き,低所得の発展途上国に達するにつれて 益々薙離を大きくしかつ(血/兄)上二>(血/ガ)アサなわちラス/くイレス式の燕離を パーシェ式の帝離より大きくすることになる。これは,ラスパイレス式指数が 上方バイヤスを持ち,パーシェ式指数が下方バイヤスを持つという事実と−・致 する。(8)式ほラス/くイレス式の轟離の変化率が国内の相対価格変化♂方の影響 からのみなること,他方(9)式ほパーシェ式の禿離の変化率が国内の相対価格変

化♂打と取引量ウェイトの変化血の両方の影響の和であることを示してい

る。そして,(10)式ほ,フィッシヤ、一式の轟離の変化率がこの両式の中間(平均) であることを示している。すなわち,フィッシヤ、一式の兼離の変化率は,相対 価格変化の影響ではラス/くイレス式とパ・・・・・・シュ式の和の半分であり,取引量り 、エイト変化の影響でほ/く・−シェ

式の半分である。ところで,取引量ウェイトの

変化の影響をとり出してみる。それは,ラスパイレス式を除けば(外国の不変 と.するため存在しない)フィッシャ1一式において,比較的小さいことがわかる。 かくして,パラノサは,(11)式のフィッシャー理想算式を用いその右辺第二項の 取引量ウェイト変化の影響を省き軽視したと言うことができるのである。 パラノサとデイビッドの論争の第二の点は,デイビッドの主張する4/.9経験 法に関するパラノサの反論である。デイビッドは,購買力平価からの薙離を構 造的体系的性質のものであるとし,基準国アメリカと比較した各国の一人当た り実質所得の/く・−セント・ギャップが公定為替相場換算の一人当たり名目所得 のパーセント・ギャップの4/タになるとする経験法を見出し,それを用いて購 買力平価と公定相場の薙離を(ノーαJ6’.γと)/∂.4妥として計測した。ただし,一γさ は,第オ国のアメリカと比較した一人当たり国民所得の比率である(アメリカ の価格ウェイト使用)。これに対し,バラッサほ,このような定式化に反対した。 そして特に発展途上国に適用するのほ誤りであると主張したのである。それは, 発展途上国においては関税や為替統制などの各種の保琵政策が存在するためで ある。いま,(6)式にもどり,外国のα*,β*,カを・,♪完を不変とし,㌻のみを変

(8)

香川大学経済学部 研究年報 26 −β− J9β6■ 化するものとし(7)式と類似のものを導出してみる。ただし,バラッサにしたが い物価はフィッシャ1一式を用いるものとする。その時購買力平価からの轟離の 変化率は, (号)ダ=‡(藷十

β . β*

α*十β*/方 J−〟方 −_ 一子( α+〟方 α*+β*/ が )dα・号 (1カ となる。われわれほ,この(1幻式からバラッサが,右辺第三項dr/㌃に注目し,先 進国間の保護政策にほ大きな差異を見出せずdr≒∂とし,他方発展途上国で は♂r≠∂でありゼロとなし得ないとしたものと理解しうることになる。しか しながら,これらのバラッサとデイビッドの論争において,(1勿式右辺の第一項 と第二項の影響の関係は明示されず,特に第二項の取引量ウエイトの変化は軽 視されていることに注意すべきである。 以上の山人当たり国民所得の変化と相対価格変化に関わる購眉力平価説の妥 当性に対する批判は,実証分析を駆使したJタ乃’年のL.Hオフイサ・一によって 購買力平価説擁護の立場から反論された。7)オフィサーほ,発展途上国を除外 し,バラッサの統計処理の誤りを言一正しかつ基準国アメリカをデ、一夕から外す ことによって計測結果のバイヤスを小さくした。そして,絶対的形式および相 対的形式の購買力平価に閲し,バラッサの生産性バイヤス論を正当となしえな いと結論したのである。オ・フィサ、−の実証分析の詳細ほ別として,彼の検証に は重大な疑問が存在する。それは,彼がバラッサに反対する検証を行うに際し, 仙人当たりGエ)P(あるいは貿易財と非貿易財の生産性比率)を独立変数として 回帰式に導入したことである。上記(10)式のフィッシャー形式の帝離の左辺をゼ ロとなしdオゐを求めてみる。 d方 (が」Ⅷ)方

=Q

(13) ■

姦=(廟

となる。第2図は,この(1劫式を第1図と同じように描いたものである。(1劫式は, 7)0魚cer,L,fI,TheProductivityBiasinPurchasingPower・Parity:AnEconometric Investigation,IMFSk#物eYS,Vo123,No.3,Nov1976

(9)

ー9− ⅠBクレイヒスによる購買力平価からの飛離 が<方(基準国を高所得国アメリカにと るとき当然成り立つ)となり,Q<0と なる。第2図の血/方=∂直線は,もし初 期時点に轟離がないものとするなら,A 領域(当該国通貨の過小評価)とβ領域 (過大評価)を分ける直線となる。既に 述べたように方とαの変化は,その組み 合わせが適当であれば,この血/ガ=ク 直線上を移動し購買力平価からの帝離が ゼロとなることがありうる。したがって, バラッサの主張するような…人当たり所 第2図 (が<方) 得の増大が起こったとしても,それが相 対的価格方だけでなく構造/くラメ1一夕αにも影響を与え,その結果として血/ 方=β直線上にとどまり得ると言える。ところが,オフィサーほ,上述のよう に一\人当たりGβP(あるいほ生産性比率)を直接回帰式の説明変数に導入して 検証を行った。ゆえに,彼ほ,一人当たりCβP(あるいは生産性比率)が常に 直接轟離ガの変化を生じること,したがってそれが相対価格に与える影響と取 引量ウェイトに与える影響を通じて兄に作用し,しかもそれらが相互に相殺し 合うことによってガを不変にとどめることが起こり得ないと考え,検証したこ とになる。これは,バラッサが(10)式に.おいて相対価格方の変化を強調し取引量 ウェイトの変化を軽視したことと深く関わっている。かくして,オフィサーの 主張は,バラッサに対する批判として役立つとしても,相対価格や構造ウェイ トが山人当たり所得の函数となるとの主張またそれらがともに購買力平価から の轟離をもたらすとする主張を直接に否定するものではないように思われる。 ⅠⅠ

上記オフィサーによる購買力平価説擁護論に対しⅠBクレイビスは,国民所

(10)

−JO− 香川大学経済学部 研究年報 26 J鎚㌢6 得の国際的比較を行う立場から現行為替相場によるその値と購買力平価による その値が大きく異なってくることに着目し,為替相場の購買力平価からの薙離 の問題を再度研究の対象に選んだ。入手し得るクレイビスの研究ほ,M・ギル /ミ・−トと共に行ったOEgCの国民生産物の国際比較(J。餅,J,95β)および国 連による実質生産物の国際比較(了C君エ9符,エ9乃)の両著書にはじまり最近 の∧唱以?に発表された各国の物価水準評価の検討(J鉄96つなど数多く存在し ている。8)これら著作の中で購買力平価からの禿離に関する部分は,相互に重複 しており,したがってそれら著作を逐次フォロ、−しても余りに・も長く得策でな いように思われる。そこで,以下出来る限り重複を省き,クレイビスの論旨を 購買力平価からの轟離に限ってまとめてみることにする。なお,クレイビスの 購買力平価の概念ほ,国民所得の国際的比較という観点からして絶対的形式の ものである。 いま,クレイビスにしたがいある財の価格をカ取引量をすとするとき一㌧人当 たり実質国民所得をγとし,為替相場換算の一人当たりの名目国民所得乃と区 別すれば,γ・=(∑如/∑〆¢*)PPPとなり,また二周間の価格の比較ほ

PP丹斤…Pエ

(14) となる。ただし,PPPは絶対的形式の購買力平価P/P*であり,*印は基準国 (アメリカ)である。ここで両国の物価P,P*は,貿易財の比重の高い卸売物 価や部分的尺度にすぎない消費物価と区別され,各国で共通の勘定体系(£ⅣA) から得られるような生産に密着し家計のみならず非家計の貨幣需要にも関わる G∂Pデフレータで定義され,それが最も適当なものであるとしている。9)かく 8)Gilbert,MandIBKravis,AnhtemationalComparisonqfntionalPYOductsand EbYChasingR)u)erqfCumncies(OEEC,Paris),1958Gilbert,M etal,C .\17血(J/P柚ブJ†(/†‘淵/戸川t−上(,J・tイ.1う/JJ‘7、・〃l111†/り▲′Jg汀′(申・‘㍑‘/瓜−(了〃〟ハブ5山/バ

(OEEニC,Paris),1958 Kravis,ⅠB,Kenessey,Z,Heston,Aland Summers,R,A

勤s′g桝扉劫′gγぬ油川扉G描画ぬ緋S扉GγPS5月′りd〝Cfα紹dP〟托カαSわ曙劫びβれ.Iohn

Hopkins UnivPress,1975 Kravis,ⅠB,Heston,Aand Summers,R,Inier− naiionalCompaYisons qf RealPYOduciand劫YChasing Ebu)eY,John Hopkins Univ

Pr・eSS,1978 Kravis,ⅠB andR EI.ripsey,TheAssessmentofNationalPr’iceLevel,

∧唱E斤,WorkingPaper Series,No1912,May1986

9)Kravis,IB,andR王」Lipsey,PrIiceBehaviorintheLightofBalanceofPayments

(11)

ⅠBクレイビスによる購買力平価からの飛離 −ヱユー して上記(14)式ほ,(1)式と比較するとき明らかなように,PとP*をG上)タラ㌢フ レークで定義することを除きわれわれの購買力平価からの薙離(絶対的形式) 々との逆数に相当する。またその変化ほ,クレイビスの指摘をまつまでもなく通 常の実質為替相場を意味する。10) クレイビスによれば,この二国間価格比較クエは,両国の一人当たり実質国 第1表 一人当り実質Cヱ)Pによる各国価格水準の分類 34カ国1975(ぴ′′5′.=100) 一人当り実質所得b ー人当り 所 得 国 の数 名目GDP クラスa レインジ 平 均 (2) (3) (4) (5) 15以 下 90 37 407 2 15−299 231 121 517 3 6 30−449 373 242 645 4 4 45−59.9 52。4 387 736 9 60−899 760 823 1074 6

90以 上 1000 1000 1000

a各クラスの諸国名は: 1 マラウイ,ケニア,インド,パキスタン、スリランカ,ザ ンビア,タイ,フィリピン 2韓国,マレーシア,コロンビア,ジャマイカ ,シリア,ブ ラジル 3ルーマニア,メキシコ,ユーゴスラヒア、イラン,ウルガ イ,アイルランド 4ハンガリー,ポ・一ランド ,イタリア,スペイン 5〔/〝,日本,オーストリア,オランダ,ベルギー,ルクセ ンブルク,デンマーク,ドイツ 6U5 b購買力平価によるドル換算 C 為替相場によるドル換算 d為替相場で割ったCエ〉P平価。(3)欄−(5)欄の平均とは単 純算術平均である。

10)Kravis,ⅠB,and RELipsey,Towards an Explanation of NationalPrice Level,

(12)

香川大学経済学部 研究年報 26 −J2− J形6 民所得γ・の増大と共に増加する。第1表は,彼が挙げた34カ国のPいこ関する 分類表である。11)この第1表において所得クラスは,一・人当たり実質国民所得 の低い順に6■分額され最大の所得クラス6−ほ基準国アメリカのみからなって いる。最後の欄(5)は,為替相場で割ったG以⊃≠フレークの購買力平価月Lを挙 げている。それによると比ほ,所得の低い順に増大する形で配列されてくるこ とがわかる。 このような現象ほ,クレイビスによれば,労働力の産業間配分を含むG∂Pの 産業構成並びに.熟練労働を考慮した要素賦存畳などを基礎に国際取引を通じて 徐々に変化するものであり,いわゆる長期の現象であるとして捕えられる。そ して彼ほ,生産性差異モデルに立脚しながら,これら要因が貿易財と非貿易財 の両価格の差に影響し,その結果両国の価格水準に作用して購買力平価からの 轟離を生ぜしめるものとする。すなわち,貿易財の価格は国際市場で決定され, そして各国すべての部門の賃金水準はその貿易財の価格によって決定される。 他方,非貿易財の価格は,この賃金コストに−・定のマーク・アップを行うこと によって決まってくる。12)例えば,生産量をQ,投入する労働をエとし,労働 一人当たりの生産性を〝とすれば,生産函数ほ,両財について低所得国で, Qr=凡(エr,〝r) QⅣT=凡(エ〃r,〟Ⅳr) (用 となり,基準国アメリカ(高所得国)で

Qを=ダ‡(エを,〝を) QⅣ丁=為(エ完丁,〝克γ)

となる。また,賃金と価格の関係式は,低所得国で,

如=者(∫+〃),如=怒(打〃)

となり,基準国で 二 =

♪を=笥(打〟),♪丸丁(…)

a‖冨 (17) (1㊥ となる。ただし,マーク・アップ率〟は,単純に両国で同じものとされている。 11)乃査♂

12)Kravis,IB,A WHeston and RSummers,The Share of SerVicesin Economic Growth,inGlobal&OnOmetricSJ励sqysinHonordエK Klein,edsbyFG.Adams and B GHickman,1983

(13)

IBクレイビスによる購買力平価からの燕離 −J3一 貿易財の価格は,両国で均等となり ♪r=乙尺夕を (19) となる。また,基準国アメリカの労働生産性で割った低所得国の労働生産性ほ, 両財についてcT<J,C∧け<:Jであり,

crくC〃7 0r・(㌻/cⅣ7≡C<’J

(抑 すなわち,高所得国で労働の生産性がより大であるが,その差ほ非貿易財部門 でより小さいものと仮定される。そこで,低所得国の価格ほ

か=藷(J+〃)=景(打

〃),

毎=

(∫+〃)=意力+〃) 基準国の価格は ヵ音= (=〃)=(=届, =

ヵ完r(J+〃)=再+〃)

飢) (22) となる。基準国アメリカの通貨ドルに換算された低所得国における両財の価格 は,少丁佃=ぴ(J+〃)/〝丁斤および如r=ぴ(J+〃)/〝〃Tβである。 したがって,価格の二国間比率ほ,それぞれの財について J′・ 八一 上

=(岩㌢)/(羞(∫+〃))=意/紫=貰/cT

ユ㌢)/(意力+〟))=意/蔑 =(意 ♪完丁 =昔/c〟γ 位劫 によって表される。仮定からカ丁=㌃尺クをであるので,紗/抑*=rC丁となる。ゆ えに,(2事式の(如T/β)/カ克γほ

馨=豊<∫,ただし丁=J

(24) となる。すなわち,低所得国の非貿易財は,為替相場で換算し比較するならば, 高所得国のそれより安価になるのである。また,ニ国通貨表示の国民生産物を

(14)

香川大学経済学部 研究年報 26 一J・J− J鎚i6 G上)P=¢T♪丁+恥丁如丁とGβP*=¢を少を+す蒜γ夕方Tで定義すれば,為替相場と 購買力平価によって換算された一人当たりGβPほ,それぞれ ≡削柏抽

/手許㍗

/欝≡′〝P

斤 l′/リリーlリー 錮 PPP となる。ただし,POP,POf)*ほ,両国の人口数である。他方,パ1・・■・・・シュ 形式

での購買力平価脚Pは

・∫/・・「−←ト・_・い・J, ̄/、● 小‥′‥人り、一 Pf)PP≡ α丁少を+恥丁夕方丁 針弟+紬T♪完丁 す丁少を+伽丁少芯rrc 3覇冨 すT少を+恥γ夕方丁 で表される。したがって,購買力平価と為替相場の間の差異Pエほ, PPPク J乃0那加エ =了+.s∧rT(rc−J)<1,ただし丁=J β JPPP:P tコ71 となる。ただし5〃丁ほ,低所得国におけるG上)Pに占める非貿易財のシェアで ある。また,同様にしてラスパイレス形式の購買力平価と為替相場の間の差異 についても, PPPエ J”0,柁盲乃αエ =ノ+5克丁(rc−J)<J,ただし㌻=ヱ 斤 J♪PP:上 鯛 を得る。かくして,われわれほ,この閉式と(2ゆ式から為替相場が各国における 非貿易財のCβPに占めるシェア(5〃Tと5ふγ)および基準国と低所得国の間の 労働生産性の割合cに依存して購買力平価から乗離することを知るのである (ただし,クレイビスは㌻=Jとしている)。ニ国間の労働生産性の割合cほ, 如丁/β_如丁/♪をガ_如r〟如_が =  ̄ 一 r ¢幼 C =  ̄  ̄

粛「

L 舶=∵㍍ カ丸T/少与 であり,両国の相対価格の比が/方を意味している。さらに,シェア5〃丁,.ざふ丁 ほ,われわれの取引量ウェイトと類似のものである。したがってQ乃式と㈹式ほ, 購買力平価からの轟離を両国の相対価格と取引量ウェイトの依存せしめた(r

(15)

IBクレイビスによる購買力平価からの禾離 −」ち− =J)われわれの(9)式や(8)式に対応したものと解釈することができる。 クレイビスは,上記のように(2乃式㈹式にもとずいて購買力平価からの禾離を 貿易財と非貿易財に関する基準国アメリカと比較した労働生産性の割合cと C上)Pに占める非貿易財のシ/ェアSⅣTあるいは」ふ7に依存せしめた。そ、Lして,そ れに続いてこれらの傾が何によって変動するかの検証を行う。先ず,労働生産 性の割合cの変動に関して,J9行年における財サ・−ビスの生産性と一人当た り実質Gエ)Pのデータを用いて次のような回帰結果を見出す。すなわち, ∴.−ヽ/−・(、/・.こ−∴∵へ、−り∴J川′∴′ 斤−…・り一汁\ √・・! ・′J/.汗==‥tT.丁りI .−−/ご/こ、・‥・・/り、 乃=2() である(括弧内は標準誤差)。13)ここで一人当たり実質所得γ・の係数は,負であ りかつ有意である。したがって,クレイビスは,一人当たり実質所得(基準国 策2表 貿易可儲財と非貿易可能財の価格指数 (34ヵ国1975) 価格指数(ぴS=100) 所得クラスa CβP 貿易可能財b 非貿易可能財C 406 600 249 2 51小7 707 372 3 647 866 465 4 735 979 534 5 1075 1185 967 6 1000 1000 1000 a第1表をみよ。 b建設を除〈故終生産物 c建設を含む殺終生産物,これらはたとえ貿易されたと しても非貿易可能財とされる。 13)乃∠d,p204データの出所は,p−204の脚注0如こ記されている。また,ここに言う財と サービスの分類に関しては,クレイビスの各論文に記載されているが,特にKraVis,ⅠB

andRELipsey,PriceBehaviorintheLightofBalanceofPaymentsTheories,JI

E,Vo18,No2,May1978に貿易財と非貿易財の分頼との関係で記されている。

(16)

香川大学経済学部 研究年報 26 ーJ6− J玖96 アメリカとの比で把らえている)の増大が財部門の生産性に比べサ・一ビス部門 の生産性を低める傾向のあることを結論する。また,(2功式にみるようにこの労 働の生産性比率cほ,丁と基準国と比べた相対価格が/方の両者によって置き 換えられる。ゆえに,¢0)式の検証ほ,右辺を生産性比率S丹CPでなく二財の価 格比率が/打とすることによって再度確かめうることになる。ちなみに,一人当 たり実質所得と貿易財および非貿易財の価格(アメリカをJα))の関係は,J9行 年における34カ国についてみると第2表のようである。14)明らかに一人当た り実質所得の増大は,両財価格のアメリカと比べた騰貴を導くようである。そ こで,クレイビスは,PⅣを非貿易財価格,Prを貿易財価格,αPを当該国の 対外開放性の程度(呼β乃卯gS√S)とし, /一.\−・・Jl一.丁り−∴・J′り、∴り・=り/∴●∴●.√リー /\一− J′.\.、Jこ.・

(J2)(J4“J)(29)

SEE=♂.J∂6∂ Pr=∂4乃2+∂.乃ユ9γ+♂.乃9βOP 点2=♂.鋭紺(紹 (7.7)(7.ヱ) (J“7) SEg=∂ヱβββ

∴ −− ‥・

、. 郎) を見出す(いずれも基準国アメリカ=J)。15)ただし,ここに言う対外開放性 OPは,G仇Pに対する輸出入合計の割合であり,いわば当該国市場の閉鎖性す なわち当該国の貿易財価格の世界価格からの離れに関係し,換言すれば(2功式に おいて関税によって代表される変数㌻の逆数に相当するものである。 次に,クレイビスの行ったG仇Pにおける非貿易財のシェア5〃T,5完Tに関し ては,次のようである。16〉第3表ほ,上記第2表と同じく6っの実質所得グルー

14)Kravis,IBand R Lipsey,Toward an ExplanationofNationalPriceLevel,Prin.

(βわ乃Sね正ねsわ‡力毎卵㈲融お明仇㌧F乃α乃(g,No52,1983,p2

15)1bid,pp24−25,なお,Kravis,IBand RLipsey,Price Behaviorin the Light of BalanceofPaymentsTheories,JIE,Vol8,No2,May1982ではrのみの函数とし た結果を導出しており,また,TheAssessmentofNationalPriceLevel,NBERWorking

PaperNo1912,May1986では,1960∼1983年の25カ国データを用い,対外開放性の 定義を改めてより詳細な結果を導出している。なお,括弧内は上値,5ggは標準談差である。 16)クレイビスによるシェアに関する回帰係数の導出は,見出し得ない。

(17)

ⅠBクレイビスによる購買力平価からの飛離 一プアー 第3表 CβPの財およびサービスの形での名目および実質 一人当りアブソー・70ション(34ヵ国1975年) 所 得 グ ル ー プ Ⅳ Ⅴ Ⅵ ー人当り実質Gエ)P (U5=100) 1国の数 8 6 4 2レインジ 0−149 15−299 30−449 45−599 60−899 ≧90 3平均 901 373 100 O 為替相場換算−㌧八当 り支出 4CβP(ぴ5=100) 37 121 242 1boo 5商品(ぴS=100) 50 152 311 50.6 927 1000 6サービス(ぴS=100) 20 81

15一5 234 691

1000 7。サ・−ビスのシェア 28 4 274 43 9 一人当り量指数(支 出のPPP換算による) 8商品(U5=100) 375 1000 9,サービス(US=100) 94 227 370 492 730 1000

10サービスのシェア 338 317 318 303 312

323 価格指数 11GβP(こ75=100) 406 51−7 647 735 1075 1000 12小 商品(ひS=100) 572 659 831 94.0 1190 1000 13サービス(U5=100) 207 341 412 463 946 100−0 3行∼13行の数値ほ各所得グル1−プ内で加重せず平均した億である。 (各国通貨表示CβP/人口)/PPP ぴSのCβP/こ/5の人口 各国通貨表示CβP/人口)/為替相場

TFう七わF了亨下市

×100 11−13行(PPP/為替相場)×100

プについて最終支出における財およびサ、一ビスの役割を示している。この表に

ぉいて,第4行∼第6■行は,C上)Pと財への一人当たり支出はおよび最終支出

の中のサービスへの支出を掲げている。為替相場で換算した第吉行と第6■行を

(18)

−jβ− 香川大学経済学部 研究年報 26 ノー媚 比べる。明らかにサ、−ビスへの一人当たり支出ほ,高所得国ほど大きくなる(財 への支出ほ低所得国はど大きい)。このことは,第7行におけるG上)Pへの最終 支出に占めるサ・一ビスの分前でも確かめうる。しかし,これほ実質タ、一ム(購 買力平価による換算)でみるとき多少異なっているように思われる。すなわち, 実質ク、−ムの第β行と第夕行を名目タームの第5行と第6■行と比較する。そ こに価格の変動が大きく影響していることが見出せる。一例として価格指数の 変化を示した第〃行∼第J3行をみる。財およびサ・−ビスの価格は,低所得国 になるほど低くなっている。以上の結果と同じようなことは,第4表で示した 消費についても見出しうる。ただし,この場合サ・−ビスのシェ・アの増大は,名 目タームのみならず実質タ、一一・・・ムでも一人当たり実質所得と共に増加する傾向を 示す。すなわち,第4表の第β行(実質タームのシェア)は,第4行(名目タ・− 第4表 サービスと商品で表わした名目および実質一・人当り消費,価格指数 (各−・人当り実質GβPグループによる分類1975一) 所 得 グ ル ー プ Ⅳ Ⅴ Ⅵ 為替相場換界の一人当 612 1,130 1,830 3,825 5,183 り消型 1消費((/5=100) 37 118 218 353 738 1000 2商品(US=100) 58 16.8 300 491 871 1000 3小 サービス(ぴ5=100) 18 73 144 230 619 1000 4サービスのシェア 23−9 52 7 一人当り鼻指数(支 出の♪PP換算による) 5消費(ぴ5=100) 94 6商品(US=100、) 105 250 372 512 723 100,0 7サービス(US=100) 77 213 346 499 697 1000 8サービスのシェア 333 3(i8 389 401 39‘7 1000 価格指数 9消型(US=100) 39.9 501 595 691 1029 1000 10商品(ぴS=100) 56一6 686 812 958 1195 100,0 11小 サービス(ぴS=100) 236 33小2 40。1 454 887 1000

(19)

ⅠBグレイビスによる購買力平価からの飛離 −エ9− ムでのシェア)ほど明白でほないけれども,所得グル・−プⅠからグル・−プⅤへ と移行するにつれてヱヲ‖ゴー約4♂へと増加するのである。17) 以上からして,二国の労働生産性の割合cあるいほ貿易財と非貿易財の相対 価格が/方が一人当たり実質所得γの函数となること,また非貿易財のC上)P に占めるシェアs∧rrがそれを名目タ、−ムで掃える限り同じく−㌧人当たり実質 所得と共に増大する慣向のあること等がわかる。そこで,これらのことを考慮 しながら,閻式あるいほ¢ゆ式にもどり,購買力平価からの耗離を検証する必要 が生じる。クレイビスほ,購買力平価からの燕離PL(f)を−・人当たり実質所得 γ・および対外開放性OPと非貿易財のGβPに占めるシェア£Ⅳの函数とし ての回帰係数を求める。 Pエ(符)=朗.2∂+∂‖β9抒+J6’.郎OP 斤2=∂.β彪,甜SE=J2.3錮 (4.4β)(JJ、J9)(2“ぷ) 乃=2J 比(符)=−J29十∂6一刀γ+Jヱ,570P+0.96∫Ⅳ (4.4β)(∫6■7)(エ6二9) 斤2=∂.β乃,尺〟SE=JJ.J¢5) 〃=ご5 Pいβの=彪.ふ㌢+β.6’62γ十J7朗OP」評=♂.6ガ,甜SE=J7‥4㈹ (7.27)(β.Jの(2.∂の 乃=お Pいβの=影.ヱJ十♂お6’γ+J7.36’OP 斤2=∂乃5,見好Sg=ヱ6■.∂帥 (4‖43)(β5∫)(J..犯) 乃=25 データは,エ9万年とヱガ∂年の先進J∂カ国と発展途上乃カ国を含む2タカ国 に関するものであり,18)pエとγ・については基準国アメリカをJ∂βとし,OP 17)第3衰と第4表は,Kravis,‡BandRELipsey,TheShareOfSerVicesin王:conomic Growrth,inGbbalEtonomeiYics,Ess堺inHonor qf LRKlein,eds byFGAda− msand BGHickman1983,pp191−94,より再掲したものである。これ以外に,フラン

ス,イギリスおよびアメリカについては,それぞれのJ鮒年代−ノ夕方年の期間の時間に亘

るシノェアの変化をも考察している。結果は同じである。

18)Kravis,ⅠBand R ELipsey,The Assessment of NationalPrice Levels,NBER WorkingPaperNo1912,May198625カ国ほ,オーストラリア,ベルギー,ブラジル,

コロン/ビア,デンマーク,フランス,ドイツ,インド,イタリア,ジャマイカ,日本,ケニ ア,韓国,ルクセンブルク,マラウイ,アレーシア,メキシコ,パ.キスタン,フィリピン,

スリランカ,タイ,UK,US,ウルガイ,ザンビアである。なお,各式のRMSEとある

(20)

−ご(フー 香川大学経済学部 研究年報 26 J9β6■ についてほ比率,5Ⅳについてはパーセントで捕えられている。なお,括弧内 は,巨億である。上武のうち鍋式は,∬カ国を対象としより多くの発展途上国 を含んでおり,それだけ斤2の説明を小さくしている。しかし,同じことをガ カ国について行うならば,抑式のようにPエ(符)のケ1−・スと同じような結果を 導くことができる。これら伽)式←帥式において,クエほ,7・と正の関係にあり, 高所得国になるほど非貿易財が貿易財と比べてより高価になることあるいは非 貿易財の労働生産性が小さくなることを表している。他方,OP(輸出と輸入の 合度/GβP)もPエと正の関係にある。これは,各国の貿易財価格が均一イヒす る傾向にあることおよび対外開放性の程度が大となるほどアメリカを基準とし た当該国の価格が世界価格と岬L致し(OP=J)購買力平価からの売離が小さ くなることを表している。すなわち,OPは,われわれの㌃と逆関係にある。 また,非貿易財のシェア且Ⅴについてほ,経常価格で捕える限り前掲の第3表 と第4表を述べた如く一人当たり実質所得の増大につれて増加し,購買力平価 からの禾離を縮小する傾向がある。 これら諸結果のうち対外開放性OPは, 輸出+輸入_輸出+輸入 貿易可能財 ()P= G上)P 貿易可能財 G上)P となり,貿易可能財のうち実際に貿易された財の割合とG上)Pに占める貿易可 能財のシェア(貿易可能財/G上)P)に二分して表すことができる。したがって ㈹式ほ,変数Of)の中にGエ)Pに占める貿易財のシェアを含み,その点で非貿 易財のシェアSⅣとフトーバー・ラップすることになる。そこで,G♪Pに占め

る貿易可能財のシェアを5Tで表し錮式の中のSⅣをすべてこのSrの中に

含めて処理することとする。かくして,クレイビスの得た回帰係数ほ P且(乃)=β7.&g+β666γ・+∫.刀Of)r−∂9クSr ¢ゆ (3‖♂6■)(∫65)(J乃) (2.Jβ) 点2=♂.β79, 斤〟Sg=JJ‥J,紹=25 である。また,GnPに占める貿易可能財のシェアのデータは入手困難である。

(21)

IBクレイビスによる購買力平価からの轟離 ー2ノー そこで,JCPデータでなく,19)各国の国民所得勘定から直接とることとする。こ の場合,貿易可能財は農業と鉱業および製造業の産出高の合計として把返され ている(非貿易財ほ,建設およびサービス産業の産出高の合計からなる)。それ 第5表 一人当り実質所得(りと貿易可能財の比としての貿易 仰7pおよぴG∂Pに占める貿易可能財のシェアβ 7刀の函数として表した価格水準伊り1960■83 定 数 αつっ7 S7了 定2 7 (3) (4) (5) 0642

J−96(ト62 6070 0.389 025 −038 (392) (448) (009) (1′′31) (96)

056 −034 0700

J媚−∂5 5749 0.456 (340) (477) (020) (109) (98)

0747

J966−6β 4891 0537 154 −0.ノ26 (290) (553) (054) (079) (97)

0836 J9(59−77 4036 0567 064 −016 (325) (790) (029) (065) (80) 0856 ヱ9診7≠ 3909 0714 396 −020 (2小29) (732) (146) (0ノ60) (103) 0842

J.夕彷−77 5748 0673 612 −059 (225) (514) (216) (131) (126)

0846

J9裕一β0 4376 0913 6ノ79 −0.34 (155) (588) (216) (060) (150)

0831

J9βユー&ヲ 6156 0605 029 −062 (3,28) (603) (015) (155) (107)

※すべての変数は,三年の平均値である。データ数は,J,9乃ト∂α牢では 25,J99J一&3年ではマラウイーのデータが入手しえないため24である。 ※括孤内の数値は,(1ト(4)列で′値,(5)列で催である。 ※毘.は乃弔/尺 γは一人当り実質所得であり,いずれも乙店=JOOとして いる。Omはr方+朗〟貿易可能射であり,データを国民勘定よりとっ ている。 貿易可能財とはGβPのうち農業,鉱業および製造業のものか らなっている。STrはGβPのパーセ ントとしての貿易可能財を指して いる。 19)UNInternationalComparison Projectの略である。ICPデータほ,脚注(8)に掲げた Kravis,IBKenessey,Z,Heston,A and Summers,R(1975)およびKraVis,ⅠB, Heston,A and Summers,R(1978)さらにKravis,ⅠB,Heston,Aand Summers,R (1982),肋Y−1dProduciandIncome,JhonHopkinsUniv.Pressに詳しい。

(22)

−22− 香川大学経済学部 研究年報 26 第6表 一人当り実質GβPと対外開放性の 函数としての比,J.95α&ヲ J.9β6 定 数 γ OP 屋2 (3) (4) 2ヲヵ国

6218 0245 −1039 −0032

エ労(ト52 (55) (11) (06) (258) 5637 0305 −599 0039 ∫鉱㌻5J (63) (17) (04) (204) 5032 0345 J労(㌻5∂ (69) (24) 3小60 0148 (0小3) (169) 43“50 0393 −0一19 0一366 J959−6J (78) (37) (02) (12一7) 4199 0427 J960−−62 (9,0) (49) 000 0525 (00) (108) 25ヵ国 4124 0458 J96α−62 (10.2) (65) (00) (98) 006 0630 3964 0528 J963一紆 (97) (75) 111 0小697 (02) (9小9) 3577 0594 エ%6−6∂ (87) (85) (06) (96) 362 0751 3274 0599 J969−77 (100) (11,1) 085 0840 (02) (79) 2943 0781 J9診−7≠ (67) (114) (11) (10,3) 702 0854 J9裕一77 2612 0856 1587 0小827 (45) (100) (19) (131) J。9得−β0

2535 1044

1743 0847 (19) (149) 3338 0,719 J、叫1ぷ (72) (103) (02) (109) 126 0。828 ※すべての変数は三カ年平均である。括弧内の数値は(1)−(3) 列でり軋(4)列で尺〟Sgである。 ※クエ・は乃弔/尺γは一・人当り実質所得であり,いずれもこ侶 =Jβ0としている。OPは(ズ+〟〟G∂Pであり,国民勘定 からデータをとっている。

(23)

ⅠBクレイビスによる購買力平価からの轟離 −23−

らをOP7了とS77で表し,

クエ(乃)=J6■42+β刀β㌢+6■.αヲOPr才一β6∂57了 (2符)(6’.29)(25の (J.影) 点2=∂β乃, ¢9) 兄肱Sg=ノブ♂,乃=2タ

を得る。さらに,クレイビスは,このOP77とS了了を用いて,ALに関する長

期の構造関係を示す式を見出すため,J96∂年←エ鰯年の期間を三カ年毎に区 切り,それぞれの平均をデータとして回帰係数を求めた。その結果ほ,第5衰 の通りである。20)この表から明らかなように,一\人当たり実質所得γ・に関する J値ほ,いずれの期間も有意である。しかしながら,対外開放性Of)7了の係数 は,J,9万一J夕77年とJ9乃−J、9β∂年の両期間で有意であるが,他の期間では有意 でない。また,貿易財のシェアS7了の係数についても,すべての期間でその′ 値が非常に悪い。説明力を表す点2ほ,後の期間に至るほど高くなる。同様のこ とをJ95∂年代にまで遡ってとってみると,第6表となる。デ→タの入手が困難 なため独立変数をγとOPのみとしている。しかし,一\人当たり実質所得γ・が Pエの有意な説明変数であること,また対外開放性Of)がそれなど有意になら ないこと等は,全く変わらない。方程式の説明力を示す点2ほ,第5表と同様に 後の期間に至るほど大きくなっている。 以上ほ,クレイビスが行った購買力平価からの乗離に関する主張の概要であ る。クレイビスは,この第5表と第6表の分析に続いて回帰式の残差項の分析 を行い上記方程式の妥当性に論究している。しかしながら,われわれは,ここ でほその詳細を省略し,彼の導出した上記結果のうち,特に第5表と第6表に 関する分析についてそれが何ら奇異なものでないことのみを付言するにとどめ る。貿易財のシェアについて,彼自身概に第3表と第4表の分析より一人当た り実質所得γの函数として考え得ることを指摘している。また,対外開放性に ついても,三カ年の平均というより長期で世界貿易の国内経済に与える影響を 配慮しうる期間をとっている。 したがって,それら変数の説明としての有意性

20)Kravis,rBand RELipsey,The Assessment of NationalPriceI.,eVel,∧唱古R WorkingPaper,No1912,May1986pp15−16

(24)

香川大学経済学部 研究年報 26 ノー9β6 ー24− ほ,それだけ当然失われてくることになろうからである。 以上のクレイビスの購買力平価からの売離の実証研究は,既述のようにその 根底に(摘式∼㈹式の生産性差異モデルを持っている。すなわち,二財の価格は, 両国でマーク・アップ方式,例えば,

如=竜㌣(叫),毎=怒(恒)

(i7) によって決定され,また基準国アメリカの労働生産性で割った各国の労働生産 性ほ.両財についてcT<J,C∧rT<了であり,

c7くC〃T Oγ・ CT/c〃r=C<J

伽) であるという仮定に依拠している。これに対し,通常の国際貿易理論すなわち 生産要素賦存量アブロ、−チに基礎を置き,上記のような購買力平価からの禾離 に関わる現象を説明しようとする試みが存在する。例えば,.JNバグウァティ 第3図

(25)

IBクレイビスによる購買力平価からの轟離 −ガー である。21)そこで,以下彼の分析を考察することにしよう。 バグウァティは,二財(ズ,y)と二農産要素(∬,エ)からなる経済を考え, −・次同次の生産函数を仮定する。そして,等価億(Jドル)の産出高に関する等 産出量曲線を描き,22)次のようにクレイビスの説を解釈し批判する。舞3図に おいて,斉およびアほ二種の貿易可能財Jドルを生産するための等産出量曲 線であり,言は非貿易財のJドルを生産するための等産出量曲線である。いま, 二農産要素(∬,エ)の価格比率をαで示す。この場合,完全競争を仮定するな らば,添字斤で示される高所得国の等産出量曲線度々と払および言月ほ,この 要素価格線(の線)に接していなければならない。かくして,度月ほア尺と交換 され,また言月と交換される。すなわち,ガR=島=言月となる。ところで, クレイビスの仮定によれば,低所得国は貿易財の生産で劣っている。そこで, 例えば添字Pで示される低所得国の二財の産出量ほ,貿易を通じて高所得国の それに対して八倍(バ>J)だけ多く提供することになる。すなわち,度月= バズァおよび島=スアpである。他方,クレイビスによれば,非貿易財の生産性 は,高所得国と低所得国ともに同程度である。しかしながら,低所得国の非貿

易財ほ,貿易財ズとyの交易を通じることによって低く見積もられ言月=

バ∫タと評価されてくることになる。すなわち,低所得国の非貿易財(サービス) は高所得国に比べて安価と見積もられるのである。 ところで,バグウァティによれば,低所得国の貿易財生産部門の技術が高所 得国に比べて劣ると言う事実はそれほど明確でなく,むしろ生産技術は資本の 移動を通じ世界的に拡散し均一イヒする傾向があるとみるべきであるとする。し たがって,両国で生産性は貿易部門も非貿易部門もともに等しいものとしなけ ればならない。そしてそのうえで,非貿易財の低所得国における安価の現象を 解釈すべきであると言うのである。第4図ほ,バグウァティの行ったその試み である。高所得国ほ,すべての財の生産において低所得国と同じ生産函数を持

21)Bhagwati,JN,Why are Services Cheaper・in the Poor Cotlntries?,E]Vol94, June1984,pp279−86

22)Lerner,AP,Factor Prices andInternationalTrade,Economica,Vol.19,No73, Feb1952,pp1−15 Chipman,▼JS,ASurveyoftheTheoryofInternationalTrade; Part3,Econometrica,Vol34,No1,Jan1966pp20−25参照。

(26)

香川大学経済学部 研究年報 26 −26−− J≦材6− 第4囲 ち,そこに生産性に差異がないものとする。高所得国の賃金・レンタル比率を α戊とすれば,そのα戊でズβは島と㌫に交換されることになる。すなわち, ズβ=島=㌫である。他方,低所得国は通常の仮定にしたがい労働豊富国で あり資本と労働の賦存量を(度/エ)pの線で示されるようなものとする。この場 合,低所得国における賃金・レンタル比率伽は,その絶対値でより小さなもの となる。このような低い賃金・レンタル比率においては,完全競争を仮定する 限り,ガの生産を不可儲にしてくる。そしてちはふに対し交換される。かく して,低所得国の宵/エの選択は,OEと0上)となり,23)言ク>言タとなることか らして非貿易財(サービス)の相対的価格を低所得国においてより安くしてく るのである。 23)肪膵癌直感α柁(0乃eは,EO∂で定義される領域となる。

(27)

IBクレイビスによる購買力平価からの売離 −27− さて,バグウァティは,一人当たり実質所得の増大を要素既存量の比率(度/ エ)の上昇として捕える。したがって,山人当たり実質所得㌢の増大ほ,賃金・ レンタル比率αの上昇として示されこ財の資本労働比率(∬/エ)を引き上げる ことになる。すなわち,貿易財に関しては高所得となる国の資本労働比率をOA と0βにし低所得国の資本労働比率OEより大にしてくる。また,非貿易財に 関しても高所得となる国のそれをOCとし低所得国の0上)より大にする。か くして,資本労働比率g/エ,そして労働の生産性は,24〉高所得国でより大きく なってくるのである。他方,このような資本労働比率の上昇傾向ほ,クレイビ ス自身によってデー・タで裏打ちされている。そこで,バグウァティほ,そのク レイビスの結果を再度掲げて自己の主張の正当性を主張する。 なお,バグウァティほ,ニ財ズ,y

以外に第三の貿易財Zがありその単

位価値(Jドル)の等産出量曲線Z斤が 高所得国でほβC問で砂丘に接し,低

所得国では羞がβE問で伽に接す

るようなケ、−スを考える。この場合,

高所得国にとってこの第三の財Zは

高コストとなり生産不可能になる。し たがって,高所得国ほ非貿易財5月以

外に貿易財ガと yを生産しズの輸

第7表 −・人当り実質所得と 資本/労働比率* 所 得 グルー7q 商 品 サ・・−一一・ビス 439 248 924 516 5 64 621 Ⅳ 691 632 Ⅴ 1627 944 Ⅵ 2194 1096 *年当り労働動こ対する資本$1,000の義

出を行い,他方低所得国ほ非貿易財

Sp以外に貿易財yとZを生産しZの輸出を行うことになる。かくして,バグ

ウァティほ,このケースに.おいても上記の一人当たり実質所得すなわち要素既 存畳比率の増大が使用される資本労働比率(∬/エ)を引き上げ労働生産性の増 加を導くとする同じ結論がそのまま妥当するとするのである。 以上がバグウァティによるクレイビスの生産性差異モデルの解釈である。− 24)〝/エの増大は,同じ産出高を少量の労働エで狂得することであり,労働の生産性増加を

意味している。また,それは一躍′此=賃麓の増加と同じことである。

(28)

−お− 香川大学経済学部 研究年報 26 ノー9β6 人当たり実質所得の増大と労働生産性の増加の関係がクレイビスの言うように マーク・アップ方式での価格形成からくるものであるかあるいはバグウァティ の言うような要素既存量比率の差異からくるものであるかほ,今後に解明すべ き重要な課題である。しかしながら,ここでほその問題に立ち入らず,購買力 平価からの燕離の問題に限定してクレイビスとバグウァティの考えを吟味して みよう。ところで,バグウァティは,購買力平価からの希離が閉式(あるいは ㈹式)によって決定されることについては何の異論も持っていない。いま,佗乃 式をみる。 PPf)夕 月 =ヱートs∧rT(r・C−J) (27) この¢7)式において基準国と低所得国の間の労働生産性の割合cほ,㈲式よりし て丁が/打となる。したがって,この日7)式の両辺を微分し購眉力平価からの乗離 (PPPP/Pの逆数)の変化率を求めると, (蕗_々5〃rr2が ▼ ̄’ ゐ−(rc−J)ゑ♂s〃r−2cゑ5ⅣT♂r (細 々 Jご を得る(ただし,がは一・定)。もし丁=1であるなら,右辺第三項ほ,消去さ れる。そして,この㈹式ほ,既述の(7)式と同じになり,購買力平価からの轟離 が相対価格(方)と取引シェア(αまたは5〝r)の変化のみに依存することを表す ことになる。かくして,クレイビスおよびバグウァティの閻式による分析ほ, われわれの(7)式による分析と同じ線上にあると言えよう。如)式の両辺に−了を 乗じ血を(♂方/♂㌢)♂㌢・に置き換えると,削)式は, 一々5昭r2が ♂方 = 芳一(=一昔) 丁■− 竿♂γ、+(cr−J)々♂5Ⅳr+2々c5〃Tdr 極1) ● − ∴・‥′ ∴∴∴. ∴三 (+) となる。この射)式の右辺をみてみよう。右辺第一項のd方/♂γほ,クレイビスの ㈲式が正しいものとすれば,負債をとる。したがって,右辺第一項の係数全体

ほ,正となる。また,右辺第二項の係数はcr>Jならば正である。Cr<Jで

あるか否かは,C<Jの仮定からして,丁の値如何に依存する。すなわち,その 国の開放性の程度が大であり,どがほぼヱに等しい場合には,Cr<了となり

(29)

ⅠBクレイビスによる購買力平価からの飛離 −29− (cr−J)々く♂となり得る。最後の第三項の係数ほ正である。ただし,r≠Jの 場合でも対外開放性の程度に変化がないときほ♂r=∂となり,この第三項ほ 消去される。以上で射)式のそれぞれの係数の符号が判明した。それらを考慮し ながら,それとクレイビスの導出した飢)式∼㈲式および第5表第6表の計測結 果を比較してみる。γに関する回帰係数は,伽)式∼伽)式および第5表第6表のす べてについて正の符号を得ており,その点上記の理論的考察と−・致する。また,

郎)式と㈹式㈲式および第5表における5Ⅳの係数の符号とSrあるいは577

の係数の符号とほ,正負を逆にしともに同じことを意味している。そして,こ れらのシェアに関する回帰係数ほ,㈹式において右辺第二項の(cr−J)ゑが正 とならなければならないことを示唆している。そこで,Cr>Jである。他方,

餌式∼㈲式および第5表において,OP,OPr,Of)rJの係数は,いずれも負

値をとる。これほ,上記射)式の♂rの係数;弛c5〃7を正とした理論的考察と一・致

している。(なお,♂r<∂ほ,対外開放性OP,OPr,Of)77の増大を意味す

る。)しかしながら,第6表のαPに関する符号は,2ヲカ国のJ9タ∂∼J96プ年の 三カ年毎平均について負債をとるが,その他の2タカ国のエ962∼ヱ%ヱ年の三か 年毎平均について正値をとる。これらのクレイビスの計測結果ほ,明らかに射) 式の理論的考察と一部で矛盾している。ところが,この対外開放性OP,Of)r, OP77の係数に関わる‖乱をみてみると,糾)式一伽)式においで比較的高い値を 得ているが第5表と第6表ではJ9乃−J977年および了.9乃∼エ形∂年の二期間 を除く大部分において非常に小さな催しか得ていない。すなわち,これらの回 帰係数は有意とほ言い難いことになる。特に,J妬∂←J9四年の期間について対 外開放性を説明変数として導入することは全く意味のないことを示している。 同様のことほ変数S77についても言い得る。すなわち,第5蓑においてエ96∂

年∼J弧ヲ年のほぼ全期間に亘って577ほその係数のg値が極めて小さく導

入すべきでないことを示している。このようにS∧.Tおよび㌻に関する回帰係数 がしばしば有意とならないのほ,それらが一人当たり実質所得γ・と関連して変 動する傾向にあることと無線ではないようである。既に述べたように第3表と 第4表ほ5〃γと7・の間にある種の随伴する動きがあることを示唆している。ま た,r(ゆえにOP,Of)r,Of〉77)については,時間と共に減少(増大)する

(30)

香川大学経済学部 研究年報 26 −、プ()一 エ9β6

ことが考えられる。もしこれらのことが正当であるならば,第5表と第6表の

ように三カ年毎平均と言う多少長い期間をとる場合には,S7了,OP,OP77

の係数が有意にならないとしても何の不思議もないのである。

簡単のために(41)式の丁を一層と仮定する。この場合姐)式の右辺第三項はゼロ

になる。第1図や第2図と同様,これをグラフに描くと第5図を得る。射)式よ

り(蕗/ゑ=♂線の勾配は ♂γ・_ (cr−J)が

…Q, ただし♂r=∂

旬2)

訂=諦/誘

となり,Cr<Jのとき正,またcr>Jのとき負となる。弟5図抑よcrくJ

のケースであり,他方第5図(ロ)ほcr>ヱのケ、−スである。dγと♂5〃T(またほ

dγ (−ゴ.Tノ ♂γ r−d汀ノ 第5図 (c<Jor・rが<方) ー血と♂α)は,その値如何により変動後(蕗/ゑ=0線上にとどまる。すなわち, たとえ㌢・やぎ〃Tが変動するとしても購買力平価からの帝離を生じないことが あり得る(出発点の轟離をゼロと仮定)。さて,上記のようにS昭Lとγの問にあ

(31)

ⅠBクレイビスによる購買力平価からの燕離 −βJ− る種の随伴関係があるものとすれば,第5図に.おいて変動後の位置ほ,♂γ>♂, drs〃丁>♂の領域すなわち第三象限に限られることになる。そして,この第三象 限への移行が(蕗/ゑ=β線上にとどまる可儲性は,Cr<了のケース(第5図㈹) のみである。すなわち,このときのみ一\人当たりの実質所得γ・の増加と非貿易 財シェア5〃rの増大がともに生じ,しかも(蕗/ゑ=♂線上にとどまることが起 こりうるからである。これに対し舞5図(ロ)のケ、−スでは,このようなことほあ り得ない。この場合,必ず購買力平価からの燕離が生じ得る。なぜなら,7・の増 加とそれに伴うs〃丁の増大ほ第5図(ロ)の第三象限への移行をもたらし,しかも そこを通る(蕗/ゑ=∂線ほ存在しないからである。したがって,購買力平価から の希離をもたらす原因が−\人当たり実質所得γの変動にあるとするクレイビ スの結論ほ,彼の言うようにcr・.>Jでありかつ一人当たり実質所得と非貿易 財シェアとの間に正の関係を設ける限り,主に第5図(ロ)のケースを取り扱った ことからきたものであると言い得ることになる。しかしながら,このことは, sノVTがγ・に随伴して正の変動をすることを確実とする場合に,ほじめて言いう ることである。もし,5∧rTがγ・の増加に伴って増大しない場合にほ,たとえcr >Jのケ・−スにおいても,購買力平価からの帝離を生じないことが充分あり得 るのである。このようなケ1−・スは,第Ⅰ節の第1囲および第2図の初歩的分析 において,既に指摘したところである。 われわれほ,かつて第Ⅰ節でみた如く,〟ばFの初期段階の平価設定とその後 の購買力平価からの蔀離の問題を取り扱い(第1図),日本およびヨーロッパ諸 国が血<0,♂α>∂となり,アメリカおよび発展途上国が♂方く∂,dα<∂ となったことを指摘した。25)このことは,一人当たり実質所得㌢・の変動がすべ て正であること,しかしながら非貿易財シェアの変動を正と負のいずれかに確 定しえないことを示している。すなわち,γ・の増加に伴って,5〟Tが正の変動を するとは限らず国により逆に変動し,舞5図(ロ)のケースで第三象限だけでなく 他の象限へ移行することもあり得るのである。クレイビスは,世界全体のデー タを−・括し購買力平価に関する構造的特徴の発見に努めた。これに対し,上記 25)拙稿「所得と購買力平価からの轟離(1)」香川大学経済論麓 第59巻 第1号1986年。

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