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知的障害特別支援学校中学部における参加を高める授業づくり―清掃場面における目的意識を視点として―-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学教育実践総合研究(Bull. Educ. Res. Teach. Develop. Kagawa Univ.),32:27-37,2016

知的障害特別支援学校中学部における参加を

高める授業づくり

―清掃場面における目的意識を視点として―

滝澤 健 ・ 合田 卓生 ・ 妹尾 恭子 ・ 山内 雅子 ・ 青井 香織

(附属特別支援学校) (附属特別支援学校) (附属特別支援学校) (附属特別支援学校) (附属特別支援学校)

詫間 克久 ・ 川田 真司 ・ 田中 伸弥 ・ 坂井 聡

* (附属特別支援学校) (附属特別支援学校) (附属特別支援学校) (特別支援教育) 762-0024 坂出市府中町綾坂889 香川大学教育学部附属特別支援学校 *760-8522 高松市幸町1-1 香川大学教育学部      

Through a Match of a Consideration Cleaning Situation of

Support Method to Raise Sense of Purpose in the Junior High

School for Special Needs Education

Ken Takizawa, Takuo Goda, Kyouko Seo, Masako Yamauchi,

Kaori Aoi, Katsuhisa Takuma, Shinji Kawata, Shinya Tanaka and Satoshi Sakai

Attached School for Special Needs Students in Kagawa University, 889 Ayasaka, Fuchu-cho, Sakaide 762-0024

Faculty of Education, Kagawa University, 1-1 Saiwai-cho, Takamatsu 760-8522

要 旨 知的障害特別支援学校中学部の生徒4名について,活動への目的意識を向上させる ことを視点に支援を行った。二人組で行う清掃場面を取り上げ,目標確認場面,自己評価・ 他者評価場面を設定した授業展開の工夫と,手順や活動内容の視覚的提示,協同のための情 報共有により,清掃に対する遂行状況が向上し,生徒自身が立てた目標の内容が具体的な達 成基準を意識したものに変容した。 キーワード 知的障害特別支援学校中学部 清掃 参加 目的意識 協同

Ⅰ.研究の背景と目的

 平成24年7月に中央教育審議会初等中等教育 分科会から「共生社会の形成に向けたインク ルーシブ教育システム構築のための特別支援教 育の推進(報告)」が示され,障害のある子ど もと障害のない子どもが,できるだけ同じ場で 共に学ぶことを目指すべきであること,その場 合には,それぞれの子どもが,授業内容がわか り学習活動に参加している実感・達成感を持ち ながら充実した時間を過ごしつつ,生きる力を 身に付けているかどうかが,最も本質的な視点 であり,そのための環境整備が必要であること と述べられている。この本質的な視点は,交流 及び共同学習などの共に学ぶ場面だけでなく, 日々行われている授業でも重要な視点であると 考えられる。  また,特別支援教育の今日的課題のひとつに

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会と支援環境の工夫を明らかにしていくことが 課題となった。特に「活動への目的意識」では, 授業における学習活動が,日常生活とどのよう につながっているのか,自分にとってどのよう な意味や価値があるのかを理解することが学習 意欲に影響するのではないか。そのための支援 環境の工夫はどうあるべきかを検討する必要性 が教師間で共通理解された。  このような社会的背景と実践研究の経緯か ら,中学部段階にある知的障害生徒が活動への 目的意識を持って仲間と協同しながら取り組 み,学習意欲を向上させるための支援方法を考 えていくことは重要であると考えられる。  そこで,本研究では,参加の質を高める授業 改善の3つの視点の中の「活動への目的意識」 に焦点を当て,活動への目的意識を向上させる ための支援方法について,実践に基づき検討す ることを目的とする。具体的には,中学部在籍 の知的障害生徒を対象に,清掃場面を取り上 げ,清掃に関する知識・技能の獲得と遂行,協 同する力,目的意識の向上を目的とした授業実 践を行う。その実践によって得られた対象生徒 の変容と,それをもたらした有効な支援方法を 日々の記録から明らかにする。清掃場面におけ る目的意識を,活動の終わりや手順がわかるこ とを前提に,清掃に取り組む意味や価値がわか り,達成基準を意識してよりよく取り組むこと と捉えた。

Ⅱ.方法

1.対象生徒  特別支援学校中学部2年生の男子生徒A,B, C,Dの4名である。いずれの生徒も知的障害 があり,4名のうち3名が自閉症の診断を受け ている。田中ビネーⅤ知能検査の結果は表1に 示すとおりである。なお,4名の保護者には, 年度始めに,研究対象にすることと個人情報の 扱いについて説明し,同意を得た。 キャリア教育がある。キャリア教育は,職業的 自立のみをめざしたものではなく,より広義の 自立をめざしたものであるという前提のもと, 「児童生徒本人が経験する様々な物事との向き 合い方に変化を促す教育である」(全国特別支 援学校知的障害校長会,2013)とされている。 そこでは,「児童生徒本人が,授業をはじめ, 学習上・生活上経験したことについて,『振り 返り』を通して,言語化や文字化することによ り,自分なりに意味付け・価値付け・重み付け・ 方向付けていくこと」(全国特別支援学校知的 障害校長会,2013)が重視されている。つまり, 授業によって獲得される知識・技能だけではな く,その積み重ねによって形成されていく物事 に対する姿勢,考え方,価値観といった内面の 育ちを大切にした教育であると言える。  本校中学部では,平成22・23年度に「主体的 な社会参加をめざした授業づくり-ポジティブ な人間関係をはぐくむことを視点として-」を 研究主題とし,生徒の授業への参加を高めるた めの活動機会の設定と支援環境の工夫について 明らかにした。授業進行や教材教具の準備片付 け等,教師が行っていた活動を見直し生徒の役 割として設定すること,やり取りの方法を視覚 的に示したり,音声表出を補助するための携帯 情報端末を工夫したりすることで,生徒同士の やり取りが促進されることが確認された(山内・ 坂井,2010;西部・山内・坂井,2011)。  さらに,平成24・25度には,「主体的な社会 参加をめざした授業づくり-参加を高め知識・ 技能を活用する力を育むことを視点として-」 を研究主題とし,生徒の授業への参加機会を増 やすだけではなく,参加の質を高めることにも 注目した。導入時における学習内容の動画提 示や,生活場面を想定したICカード教材等の 工夫が生徒の意欲や課題解決の力を向上させる ことを確認することができた(山内・妹尾・田 中・坂井,2012;山内・植村・詫間・坂井・宮 崎,2013)。実践を通じて,参加の質を高める 授業改善の視点として,「活動への目的意識」 「学びを深める協同した学習」「習得した知識・ 技能の活用」の3点が見出され,さらに活動機

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表1 田中ビネーⅤ知能検査結果 IQ 備考 生徒A 不明 知的障害 生徒B 58 自閉症 生徒C 56 自閉症 生徒D 37 自閉症 2.支援計画 (1)場面設定と重点課題  4名の生徒は,昨年度の清掃経験や技能面, 生徒同士の人間関係により,2人組に分けら れ,清掃場所を廊下(A,B),教室(C,D) とした。  清掃場所を廊下と教室にしたのは,次のよう な理由からである。廊下は,エリアを分担し両 端から一定方向に掃き進めるため,ほうきの扱 い方を覚えるのに適していると考えられたこ と。また,廊下に置かれているルームランナー や台車等を動かして掃除機をかける場面を設定 することで,二人で協同する必要性を意識でき ると考えたからである。教室は,机や椅子など の移動,エリアを分担し効率よく両端から掃く ことなど,二人で協同して行うことを意識しや すいと考えたからである。  それぞれの清掃場所における活動を課題分析 し,生徒の活動内容を設定した(図1~2)。 活動内容は,生徒の清掃遂行状況から見直しを 行い,追加したり,あるいは減らしたりするよ うにした。また,以下に示す重点課題を設定し た。 廊下清掃 ① 効率のよい掃き方を覚える。 ② 物を移動させて掃除機をかける。 ③ 協同して取り組む。 ④ 時間を意識して清掃する。 教室清掃 ① 物を移動させて清掃する。 ② 協同して取り組む。 ③ 汚れがたまる所に気を付ける。 ④ 時間を意識して清掃する。 (2)支援方針  廊下清掃で①を中心に指導したのは20XX年5 月7日から20XX年6月16日まで,②については 20XX年6月19日から20XX年10月30日まで,③に ついては20XX年11月4日から20XX年11月28日ま で,④については20XX年12月1日から20XX年2 月23日までである。教室清掃で①を中心に指導 したのは20XX年9月2日から20XX年11月5日ま で,②については20XX年11月6日から20XX年12 月5日まで,③については20XX年12月8日から 20XX年2月3日まで,④については20XX年2月 4日から20XX年3月3日までである。指導は, 担任,副担任の2名で行った。支援方法は,次 の3点とした(藤原,2010)。  ①物理的支援環境を整える。  ②個のニーズに応じた支援(支援ツール)を 充足する。  ③教師による適切な人的支援環境を見直す。  最初に授業環境全体に関わる配慮を見直すこ ととした。具体的には,生徒が活動全体の見通 しや目標を持ちやすくすること,活動しやすい 動線を整理すること,教材等の物の配置や手掛 かりの配置を工夫すること,教師の位置取りを 見直すことである。  次に,全体への配慮に合わせて,個々の生徒 がすべきことを理解して動くことができるよう にするための支援を見直した。具体的には,活 動を促すために,生徒自らが参照して活用でき る自助具等を用意するなどである。そして,全 体への配慮,個々の生徒に応じた物理的支援環 境を充分に整えた上で,生徒の行動を促すため に,効果的な教師の支援を検討した。例えば, 教師による見本提示やプロンプトの方法,生徒 の言動を意味付け,価値付けするためのフィー ドバックの方法,評価の基準やポイントを生徒 にわかりやすく伝えるための工夫等である。具 体的な支援方法は図1~2に示す通りである。  1)活動機会と授業展開の工夫  清掃の前後に,目標確認場面,自己評価・他 者評価場面を設けた。「目標確認」→「清掃」 →「自己評価・他者評価」のサイクルを繰り返 し,自己評価や教師からの評価を,次の目標設

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定に生かせるようにした。生徒が清掃への目的 意識をもち,意欲を向上させられると考えたか らである。  「目標確認場面」では,清掃開始時に教師に 目標を伝えるようにした。目標は手順チェック シートに設けられた目標欄に生徒が記述した。 一枚のシートには,6日分記録できるように なっており,新しい手順チェックシートに変わ る7日目に新しい目標を記述するようにした。  「自己評価・他者評価場面」では,手順チェッ クシートに記載されている項目を自己評価し, 報告して教師から評価を受ける機会を設けた。  2)目的意識と意欲を向上させるための支援  「目標確認場面」では,生徒が目標を伝えた 後,目標を達成するための活動のポイントを口 頭や視覚的に伝えるようにした。  「自己評価・他者評価場面」では,生徒の報 告を基に,「~できたから,きれいになりまし たね」といったように,達成されたこととその 結果を伝えるようにし,結果に対する価値付け を行った。口頭での評価に加えて,手順チェッ クシートの評価欄に確認印と必要に応じて称賛 やアドバイスなどのコメントも追記するように した。  活動中は,生徒が自ら判断して取り組むこと ができるように,指導者は少し離れた位置で見 守るようにした。指導者間で生徒の目標を共通 理解し,具体的な支援方法も統一するようにし た。また,重点課題に示した行動ができた場合 には,口頭による賞賛を適宜行うようにした。  3)協同を促すための支援  協同する必要性をわかりやすくするための活 動を設定した。例えば,廊下に設置されている 物の下に掃除機をかける,一人では運びにくい 物を用意する等である。さらに,清掃の手順や ポイントを生徒同士で共有できるようにするた めに,各自に用意された手順チェックシートを 二人で共有させるようにし,互いにやり取りし ながらチェック項目を確認できるようにした。 (3)評価について  活動についての遂行状況は3段階で評価さ れた。評価基準は1点~3点の点数で数値化し た。基準は,3点:自ら行える,2:言葉かけ が必要,1:言葉かけや指さし等の指示が繰り 返し必要,である。評価は毎回,直接指導した 指導者が行い,評価基準が一定になるようにす るとともに,必要に応じて複数の指導者で評 価内容を確認するようにした。さらに,手順 チェックシートの目標欄に記述された内容の変 化を,目的意識の変化を確認するための資料の 一つとした。

Ⅲ.結果

1.廊下清掃(生徒A,B)  指導経過を図1に,目標欄の記述内容を表2 に示す。 第1期(5月7日~6月16日)  最初に,大まかな清掃の手順を理解するため の文字とイラストを使った手順チェックシー トを用意した。Bは,ほうきの使用が不確実で あったため,廊下を中央で区切り,端から一定 方向に掃き進める方法で指導することとした。 ほうきの持ち方や動かし方は手順チェックシー トに書かれたイラストで示して指導した。ま た,指導者がモデルを示すようにし,徐々にモ デルによるプロンプトを減らしていった。結 果,6月上旬には,ほうきの扱いができるよう になり,ゴミを集めることができるようになっ た。掃除機をかける場面では,両生徒のスキル に配慮して,Bがルームランナーや台車等(6 か所)を移動させて,Aが掃除機をかけるとい う役割分担を行った。Bが物を移動させるのに 時間が掛かったため,「早くして」「もう」など, Bの様子にいらだつAの発言が頻繁に見られた。 第2期(6月19日~10月30日)  手順チェックシートに目標欄を追加し,清掃 開始前に指導者が生徒とともに,目標欄の記述 を確認し,重点課題に関するポイントを説明す るようにした。  掃除機をかける場面では,掃除機をかける場 所を明確にするために,場所を写真で示すとと もに,移動させる物に数字シールを貼って順番 を示すようにした。Aのスキルは向上していっ

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たが,台車の移動,延長コードの巻取りなど Bにとって難しい活動をAが自分でするように なってしまい,Bへの関わりは減っていった。 Bはほうきの扱いが雑になり,掃き残しが目立 つようになった。そのため,指導者が再度モデ ルを示すなどの指導が必要であった。移動させ る物の順番を間違えることはなくなり,Aが来 るのを待っている様子が見られた。 第1期(5/7~6/16) 第2期(6/19~10/30) 第3期(11/4~11/28) 第4期(12/1~2/23) 重点課題 効率のよい掃き方を覚 える。 物を移動させて掃除機をかける。 協同して取り組む。 時間を意識して清掃する。 活動内容 ①ほうきで掃く。 ②掃除機をかける。  ランニングマシーン 等の下6か所 ③ごみを捨てる。(B) ④掃除機を片付ける。 (A) ⑤ごみを確認する。 ⑥チェック項目を確認 する。 ⑦報告する。 ①目標を教師に伝える。 ②ほうきで掃く。 ③掃除機をかける。  ランニングマシーン 等の下6か所 ④ごみを捨てる。(B) ⑤掃除機を片付ける。 (A) ⑥ごみを確認する。 ⑦チェック項目を確認 する。 ⑧報告する。 ①目標を教師に伝える。 ②ほうきで掃く。 ③掃除機をかける。  ランニングマシーン 等の下6か所 ④ごみを捨てる。(B) ⑤掃除機を片付ける。 (A) ⑥ごみを確認する。 ⑦二人でチェック項目 を確認する。 ⑧報告する。 ①目標を教師に伝える。 ②ほうきで掃く。 ③掃除機をかける。  ランニングマシーン 等の下6か所 ④ごみを捨てる。(B) ⑤掃除機を片付ける。 (A) ⑥ごみを確認する。 ⑦二人でチェック項目 を確認する。 ⑧残り時間を記録する。 ⑨報告する。 支援方法 <活動全体の見通し> ○手順チェックシート <活動を促す手掛かり> ○ほうきの扱い方をイラ ストで提示する。(B) <教師による人的支援> ○基本的には離れて見 守るが,必要に応じ た言葉掛けやモデリ ング ○口頭と◎○△での評 価とコメントの記述。 <活動機会の工夫> ○目標を教師に伝える 活動を設ける。 ○目標記入欄を設ける。 <活動を促す手掛かり> ○掃除機をかける場所 を写真で提示する。 ○動かす物に数字シー ルを貼っておく。 <教師による人的支援> ○目標達成のための活 動のポイントを説明 する。 <協同を促すための支援> ○手順チェックシート の項目を二人で一つ にする。 <活動を促す手掛かり> ○清掃のポイント(困っ た時の対処やほうき の動かし方等)を登 録した携帯情報端末 を携帯する。(B) <活動機会の工夫> ○手順チェックリスト に残った時間を記入 する欄を追加する。 <活動を促す手掛かり> ○終了時間の目安とし て タ イ マ ー を15分 セットする。 教師による評価 第1期(5/7~6/16) 第2期(6/19~10/30) 第3期(11/4~12/4) 第4期(12/5~2/23) 重点課題 効率のよい掃き方を覚え る。 物を動かして清掃をする。 協同して取り組む。 時間を意識して清掃する。 活動内容 ② ほうきで掃く。 ②掃除機をかける。 ランニングマシーン等 の下 6 か所 ③ごみを捨てる。(B) ④掃除機を片付ける。(A) ⑤ごみを確認する。 ⑥チェック項目を確認す る。 ⑦報告する。 ①目標を教師に伝える。 ②ほうきで掃く。 ③掃除機をかける。 ランニングマシーン等 の下 6 か所 ④ごみを捨てる。(B) ⑤掃除機を片付ける。(A) ⑥ごみを確認する。 ⑦ チ ェ ッ ク 項 目 を 確 認 す る。 ⑧報告する。 ①目標を教師に伝える。 ②ほうきで掃く。 ③掃除機をかける。 ランニングマシーン等 の下 6 か所 ④ごみを捨てる。(B) ⑤掃除機を片付ける。(A) ⑥ごみを確認する。 ⑦二人でチェック項目を 確認する。 ⑧報告する。 ①目標を教師に伝える。 ②ほうきで掃く。 ③掃除機をかける。 ランニングマシーン等 の下 6 か所 ④ごみを捨てる。(B) ⑤掃除機を片付ける。(A) ⑥ごみを確認する。 ⑦二人でチェック項目を 確認する。 ⑧残り時間を記録する。 ⑨報告する。 支援方法 <活動全体の見通し> ○手順チェックシート <活動を促す手掛かり> ○ほうきの扱い方をイラ ストで提示する。(B) <教師による人的支援> ○基本的には離れて見守 るが,必要に応じた言葉掛 けやモデリング ○口頭と◎○△での評価 とコメントの記述。 <活動機会の工夫> ○目標を教師に伝える活動 を設ける。 ○目標記入欄を設ける。 <活動を促す手掛かり> ○掃除機をかける場所を写 真で提示する。 ○動かす物に数字シールを 貼っておく。 <教師による人的支援> ○目標達成のための活動の ポイントを説明する。 <協同を促すための支援> ○手順チェックシートの 項目を二人で一つにする。 <活動を促す手掛かり> ○清掃のポイント(困った 時の対処やほうきの動か し方等)を登録した携帯情 報端末を携帯する。(B) <活動機会の工夫> ○手順チェックリストに 残った時間を記入する欄 を追加する。 <活動を促す手掛かり> ○終了時間の目安として タイマーを 15 分セットす る。 教師によ る評価 評価の観点 3:自ら行える 2:言葉掛けが必要 1:言葉掛け等の指示が繰り返し必要 下線部は,改善追加項目 図1 廊下清掃(生徒 A,B)の指導経過と遂行状況 0 1 2 3 1 5 9 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 69 73 77 81 85 89 93 97 101 105 109 生徒A 生徒B <第1 期> <第2 期> <第3 期> <第4 期>  評価の観点 3:自ら行える 2:言葉掛けが必要 1:言葉掛け等の指示が繰り返し必要 下線部は,改善追加項目 図1 廊下清掃(生徒A,B)の指導経過と遂行状況

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表2 目標欄とコメントの記述内容 第1期(5/7~6/16) 第2期(6/19~10/30) 第3期(11/4~11/28) 第4期(12/1~2/23) 重点課題 効率のよい掃き方を覚 える。 物を移動させて掃除機をかける。 協同して取り組む。 時間を意識して清掃する。 目標欄の記述内容 <生徒A> <生徒B> ・目標欄なし <生徒A> ・Bさんに声をかける。 ・ほうきのつかいかた。 ・Bさんにもっと声を かける。 ・物をのけてそうじき ですう。 ・やさしく声をかける。 <生徒B> ・自分でチェック (*手順チェックリス トの付け忘れがない ようにする。) ・ほうきの使い方 ・教室の方にはく。 <生徒A> ・困っていたら手伝う。 ・チェックのかくにん をする。 (*Bにチェック項目 ができたかを確認す る) ・かくにんをがんばり ます。 <生徒B> ・手伝ってくださいを 言う。 ・iPodのチェックらん (*携帯情報端末に登 録されたポイントを 確認すること) <生徒A> ・Bさんにかくにんを がんばる。 ・協力してがんばりま す。 <生徒B> ・iPodのチェックらん ・3分いないにする。 (*残り時間を) ・すばやくがんばりま す。 ・もくひょうじかんま でにおわらせる。 教師のコメント記述 ・コードの片付けをが んばりましょう。 ・やさしく声をかけましょう。 ・ 教 室 の 方 に は き ま しょう。 ・しっかり押さえては きましょう。 ・「手伝ってください」 おたがいに声をかけ 合う。 ・ゴミ捨てがあるかど うかを先生に確認し ましょう。 ・声をかけ合ってでき ています。 ・きちんとチェックで きています。 ・一つずつチェックを 忘れないように ・ていねいにできまし た。  Aの目標欄には,「物をのけてそうじきです う」「Bさんに声をかける」「やさしく声をかけ る」など,協同することに関する記述が見られ た。Bの目標欄には,「自分でチェック」「ほう きの使い方」「教室のほうにはく」など,技能 面に関する記述が見られた。 第3期(11月4日~11月28日)  それぞれに用意していた手順チェックシー トを二人で共有するようにした。加えて,Bに は,手順や活動のポイント(ほうきの扱い方, 困った時の対処法等)を登録した携帯情報端 末を用意した。使用した携帯情報端末はiPod Touchである。活動のポイントは状況に応じて 追加修正を行った。チェック項目の確認は,A 主導で行われた。「~はできましたか」「はい」 といったやり取りに加え,Bが携帯情報端末の 画面を見せる様子も見られるようなった。Bが 携帯情報端末のチェックを忘れることがあった ため,意識しやすいように,首から下げて使 用するよう指導した。掃除機をかける際には, (A)「手伝おうか」(B)「手伝ってください」 といったやり取りが見られるようになった。  Aの 目 標 欄 に は,「 困 っ て い た ら 手 伝 う 」 「チェックのかくにんをする」「かくにんをがん ばる」の記述が見られた。Bの目標欄には,「手 伝ってくださいを言う」「iPodのチェックらん」

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としてしまうことが多かったため,机上の物や 机の中の物を落とさず移動させて清掃すること を重点課題とした。Cは,落とさずに移動させ ることができたが,Dはできなかったため,目 標確認場面で,机の持ち方を写真で提示して, 確認するとともに,実際に机を持たせて指導す るようにした。その結果,9月末には机の持ち 方を意識して運べるようになり,物を落とすこ とは少なくなった。また,一人では持ちにくい 大きな台は二人で協力して運ぶ様子が見られる ようになったが,それ以外は,自分の担当する 物を運び終えると,手伝うことはなく,相手が 終わるのを待っていたり,先に次の活動に移っ たりしていた。  Cの 目 標 欄 に は,「 向 き を 気 を 付 け る 」 「チェック表を机の中に入れる」など,机の運 び方を意識した記述が見られた。それまで目標 欄に記述がなかったDについても,机の向きを 示した写真を手掛かりに,「つくえのむき」と 記述する様子が見られるようになった。 (2)第2期(11月6日~12月5日)  二人で協同することを重点課題として,移動 させなければならない物を増やした。誰が何を 運ぶのかを決めずに,机等の配置を写真で示し た教室完成図を用意し,両生徒に考えさせるよ うにした。また,各自に用意されていた手順 チェックシートを二人で共有するようにした。 結果,Cから,「Dさん,次は台を運びます」な どのやり取りが増え,協力して物を運ぶ様子が 見られるようになった。また,Cからの「~で きましたか」の問い掛けに,Dが「はい」と答 えるやり取りが見られるようになった。  Cの目標欄には,「Dさんと台を2つさげる」 という相手を意識していると考えられる目標が 書かれるようになった。Dについては,第1期 から引き続き,「つくえのむきにきをつける」 「いすを6こはこぶ」と書いており,協同に関 する記述は見られなかった。 (3)第3期(12月8日~2月3日)  普段,あまり生徒が意識していない箇所を清 掃することを重点課題とした。手順チェック シートにパソコンデスクの下やゴミ箱の下等, の記述が見られた。 第4期(12月1日~2月23日)  清掃のスキルも向上し,協同での作業もでき るようなってきたことから,時間を意識するこ とができるようにするために,目標タイムを設 定し,手順チェックシートに残り時間を記入す る欄を設けた。目標タイムについては,前回の 記録を参考にして生徒と相談して決めるように した。その際,早くなり過ぎないように,生徒 のスキルで余裕をもって清掃できる時間になる ように配慮した。両者ともにタイマーセットと 残り時間の記入を実行することができた。報告 時には,「3分残った」「今日は○分」と達成基 準を意識した発言が見られるようになった。  Aの目標欄には,「協力してがんばります」, Bの目標欄には,「3分いないにする」「すばや くがんばります」「もくひょうじかんまでにお わらせる」といった,時間を意識した内容や, 早くするためには協同することが必要だと気付 き,それを表現した内容の記述も見られた。 1.教室清掃(生徒C,D)  活動内容の遂行状況の経過を図2に,目標欄 の記述内容を表3に示す。 (1)第1期(9月2日~11月5日)  清掃の手順を理解するために,文字による手 順チェックシートを用意した。ほうきの扱いは 両生徒ともできたが,エリアを分担して清掃す ることが理解できておらず,同じ所を二人が掃 くなど,効率は悪かった。そこで,机等の物を 移動させ,物がない状態で,両端から掃き進 め,真ん中でごみを集める手順に変更した。掃 き方については,床に数字シールを貼って掃く 順番を示して理解を促した。また,ホワイト ボードにほうきを動かす向きと進んでいく方向 を矢印で示すとともに,前方で指導者がモデル を示しながら指導した。両生徒ともに床に貼ら れた数字シールと教師のモデル提示を手掛かり に,教室清掃の手順を理解できるようになっ た。  机や台を持ち上げる際に,机上や中の物を落

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第1期(9/2~11/5) 第2期(11/6~12/5) 第3期(12/8~2/3) 第4期(2/4~3/3) 重点課題 物を移動させて清掃す る。 協同して取り組む。 汚れがたまる所に気を付ける。 時間を意識して清掃する。 活動内容 ①目標を教師に伝える。 ②机いす,台を運ぶ。 ③ほうきで床を掃く。 ④塵取りでごみを集め る。 ⑤机いす,台を元に戻 す。 ⑥ごみ捨てをする。 ⑦ごみを確認する。 ⑧チェック項目を確認 する。 ⑨報告する。 ①目標を教師に伝える。 ②窓を開ける。 ③机といす,台を運ぶ。 ④ほうきで床を掃く。 ⑤塵取りでごみを集め る。 ⑥机いす,台を元に戻 す。 ⑦ごみ捨てをする。 ⑧ごみを確認する。 ⑨窓を閉める。 ⑩二人でチェック項目 を確認する。 ⑪報告する。 ①目標を教師に伝える。 ②窓を開ける。 ③机いす,台を運ぶ。 ④ほうきで床を掃く。 ( ご み 箱 の 下, ロ ッ カーの下,パソコン の下) ⑤塵取りでごみを集め る。 ⑥机いす,台を元に戻 す。 ⑦ごみ捨てをする。 ⑧ごみを確認する。 ⑨窓を閉める。 ⑩二人でチェック項目 を確認する。 ⑪報告する。 ①目標を教師に伝える。 ②窓を開ける。 ③机いす,台を運ぶ。 ④ほうきで床を掃く。 ( ご み 箱 の 下, ロ ッ カーの下,パソコン の下) ⑤塵取りでごみを集め る。 ⑥机いす,台を元に戻 す。 ⑦ごみ捨てをする。 ⑧ごみを確認する。 ⑨窓を閉める。 ⑩二人でチェック項目 を確認する。(時間の 記録) ⑫報告する。 支援方法 <活動全体の見通し> ○手順チェックシート <活動を促す手掛かり> ○床に数字シールを貼 り,掃く順番を示す。 ○掃く方向を矢印で示 す。 ○机の運び方を写真提 示 <教師による人的支援> ○モデル提示 ○口頭と◎○△での評 価とコメントの記述。 <協同を促すための支援> ○移動させた物を元に 戻すための手掛かり として,机等の配置 を写真で提示した教 室完成図を用意する。 ○チェック欄を二人で 一つにする。 <教師による人的支援> ○基本的には離れて見 守る修正時に言葉掛 けをする。 <活動を促す手掛かり> ○活動のポイントとし て,汚れがたまりや す い 場 所 を, 手 順 チェックリストに追 加する。 *Dには,場所を写真 カードで示し,ほう きに携帯しておく。 <活動機会の工夫> ○活動のポイントとし て目標タイムを設定 し,手順チェックリ ストに掛かった時間 を記入する欄を追加 する。 <活動を促す手掛かり> ○タイマーを用意する。 教師による評価 第1期(9/2~11/5) 第2期(11/6~12/5) 第3期(12/8~2/3) 第4期(2/4~3/3) 重点課題 物を移動させて清掃する。 協同して取り組む。 汚れがたまる所に気を付 ける。 時間を意識して清掃する。 活動内容 ①目標を教師に伝える。 ②机いす,台を運ぶ。 ③ほうきで床を掃く。 ④塵取りでごみを集める。 ⑤机いす,台を元に戻す。 ⑥ごみ捨てをする。 ⑦ごみを確認する。 ⑧チェック項目を確認す る。 ⑨報告する。 ①目標を教師に伝える。 ②窓を開ける。 ③机といす,台などを運ぶ。 ④ほうきで床を掃く。 ⑤塵取りでごみを集める。 ⑥机いす,台を元に戻す。 ⑦ごみ捨てをする。 ⑧ごみを確認する。 ⑨窓を閉める。 ⑩二人でチェック項目を確 認する。 ⑪報告する。 ①目標を教師に伝える ②窓を開ける ③机いす,台を運ぶ。 ④ ほ う き で 床 を 掃 く 。 (ごみ箱の下,ロッカーの 下,パソコンの下) ⑤塵取りでごみを集める。 ⑥机いす,台を元に戻す。 ⑦ごみ捨てをする。 ⑧ごみを確認する。 ⑨窓を閉める。 ⑩二人でチェック項目を 確認する。 ⑪報告する。 ①目標を教師に伝える ②窓を開ける ③机いす,台を運ぶ。 ④ ほ う き で 床 を 掃 く 。 (ごみ箱の下,ロッカーの 下,パソコンの下) ⑤塵取りでごみを集める。 ⑥机いす,台を元に戻す。 ⑦ごみ捨てをする。 ⑧ごみを確認する。 ⑨窓を閉める。 ⑩二人でチェック項目を 確認する。(時間の記録) ⑫報告する。 支援方法 <活動全体の見通し> ○手順チェックシート <活動を促す手掛かり> ○床に数字シールを貼り, 掃く順番を示す。 ○掃く方向を矢印で示す。 ○机の運び方を写真提示 <教師による人的支援> ○モデル提示 ○口頭と◎○△での評価 とコメントの記述。 <協同を促すための支援> ○移動させた物を元に戻す ための手掛かりとして,机 等の配置を写真で提示した 教室完成図を用意する。 ○チェック欄を二人で一つ にする。 <教師による人的支援> ○基本的には離れて見守る 修正時に言葉掛けをする。 <活動を促す手掛かり> ○活動のポイントとして, 汚れがたまりやすい場所 を,手順チェックリストに 追加する。 *D には,場所を写真カー ドで示し,ほうきに携帯し ておく。 <活動機会の工夫> ○活動のポイントとして 目標タイムを設定し,手順 チェックリストに掛かっ た時間を記入する欄を追 加する。 <活動を促す手掛かり> ○タイマーを用意する。 教師によ る評価 評価の観点 3:自ら行える 2:言葉掛けが必要 1:言葉掛け等の指示が繰り返し必要 下線部は,改善追加項目 図2 教室清掃(生徒 C,D)の指導経過と遂行状況 0 1 2 3 1 4 7 10 13 16 19 22 25 28 31 34 37 40 43 46 49 52 55 58 61 64 67 70 73 76 79 82 85 生徒C 生徒D <第1 期> <第2 期> <第3 期> <第4 期>  評価の観点 3:自ら行える 2:言葉掛けが必要 1:言葉掛け等の指示が繰り返し必要 下線部は,改善追加項目 図2 教室清掃(生徒C,D)の指導経過と遂行状況

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汚れがたまりやすい場所を清掃場所の項目とし て追加した。Dには,汚れがたまりやすい場所 を写真カードで示し,いつでも確認できるよう にほうきにつけた。目標確認場面では,汚れて いる場所について手順チェックシートの項目を 確認しながら伝えるようにした。追加された場 所の清掃に時間を要することがあったものの, 1月上旬には,手順チェックシートの項目を達 成することができるようになった。  目標欄には,「ロッカーの下をはく」「パソコ ンのしたをはく」等,C,D共に重点課題に関 わる内容の記述が見られた。 (4)第4期(2月4日~3月3日)  目標タイムを設定した。目標タイムは,これ までの清掃にかかった平均時間と,両生徒のス キルから判断して十分可能だと考えられた15分 とした。タイマーセットや掛かった時間の記録 はCが行った。遂行状況に問題はなかったが, 目標欄には時間に関わる目標の記述は生徒C, D共に見られなかった。

Ⅳ.考察

 4名の生徒全員が,6か月後,10か月後には 重点課題(技能,協同等)に関わる目標を達成 できたと評価された。目標欄の記述内容につい ては,どの生徒も重点課題に関わる内容の記述 が確認された。これは,活動への目的意識をも つことができた結果と考えることができる。こ のような変容をもたらした支援のポイントが何 であったのかを考察する。 <指導する際の順序性>  本実践では,大まかな手順を指導し,その 後,協同する場面の設定や時間の設定などを指 導した。技能の向上を積み上げて掃除ができる ようにするというボトムアップ的な指導ではな 表3 目標欄とコメントの記述内容 第1期(9/2~11/5) 第2期(11/6~12/5) 第3期(12/8~2/3) 第4期(2/4~3/3) 重点課題 物を移動させて清掃す る。 協同して取り組む。 汚れがたまる所に気を付ける。 時間を意識して清掃する。 目標欄の記述内容 <生徒C> ・ごみが落ちていない かチェックする。 ・向きに気を付ける。 ・チェック表を机の中 に入れる。 ・先に机を下げる。 <生徒D> ・記述なし(9/2~10/9) ・つくえのむき ・つくえのむきにきを つける。 <生徒C> ・台を2つ下げる。 ・Dさんと台を2つ下 げる。 ・まどをあけるのをが んばる。 <生徒D> ・つくえのむきにきを つける。 ・いすを6こはこぶ。 <生徒C> ・まどをあけるのをが んばる。 ・ロッカーの下をはく。 ・ゴミ箱の下をはく。 <生徒D> ・つくえのむきをきを つける。 ・パソコンのしたをは く。 ・まどをあける。 ・ごみばこの下をはき ます。 <生徒C> ・ごみすてをがんばる。 ・ロッカーの下をはき ます。 <生徒D> ・パソコンのしたをは きます。 ・ごみばこの下をはき ます。 教師のコメント記述 ・机の上の物を元にも どしましょう。 ・ 台 の 位 置 を 覚 え ま しょう。 ・台の位置に気を付け る。 ・窓を忘れずに閉める ことができました。 ・物の下もはけていま す。

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く,掃除の流れを指導してから細かい点を指導 するというトップダウン的な指導をしたという ことである。手順を指導する際には,物理的な 環境整備と視覚的な支援を行った。生徒の目標 の欄に課題を意識した内容が書かれていること からも,指導者の意図したとおりに指導が進ん だことがわかる。このような指導は,生徒に達 成感を味わわせることになり,活動への目的意 識も持ちやすくしたのではないかと考えられ る。大まかな手順を指導してから,実態に応じ た細かいスキルを指導することが,目的意識を 促す上で重要になるということである。 <協同を促すための支援>  生徒同士で協同して取り組むためには,手順 や活動内容を生徒間で情報共有することが効果 的であった。そのためには,先に述べたように 手順を大まかにでも理解していることは重要で あった。手順の情報共有で,二人で手順チェッ クシートを共有するようにしたからである。手 順表の共有は自己評価時の生徒同士のやり取り の促進にもつながった。また,活動内容の情報 共有では,掃除機をかける場所とその順序,移 動させる物と元に戻すための配置図を視覚的に 提示することで,生徒が二人で相談しながら取 り組む様子が見られたことから,生徒同士が理 解できる情報の提供方法と話し合いができるよ うな環境の設定が重要であった。指導初期に手 順が理解できるように指導したため,清掃の終 わりがイメージしやすくなり,目的意識が持て るようになったことが,協同での作業を可能に したのではないかと考えられる。 <目的意識と意欲は向上したか>  生徒の目標が徐々に具体的な達成基準を意識 したものに変わっていることから,生徒は目的 意識を向上させることができたのではないか と考えられる。その背景には,清掃の前後に, 「目標確認場面」「自己評価・他者評価場面」を 設定したことがあげられる。廊下清掃では第2 期から,教室清掃では第1期から,目標確認→ 実践→自己評価・他者評価のサイクルを繰り返 す授業展開としてきた。協同作業での課題は, 自分一人では遂行が不可能な課題であり,そこ では協力することが求められる。そうすると必 然的に他者からの評価が生じる。やるべきこと が分かっており,課題遂行にお互いの協力がな ければならないので,他者からのよい評価が得 られるように,課題に取り組まなければ,清掃 が終了しないのである。上記のサイクルを繰り 返し行ったことが,目的意識を向上させたこと につながったのではないかと考えている。「他 者評価場面」において,コメントの記述以外 に,教師の口頭でのフィードバック等を確認で きる客観的なデータがないため,生徒の目標設 定と,指導者のフィードバックとの関連は明ら かにすることはできなかった。しかし,指導者 からの評価は生徒の活動に影響を与えているは ずである。今後,指導者が生徒の活動に対して どのような方法で意味付けを図り,どのような 方法で価値付けを行っているのかを,詳細に見 ていくことができるように,ビデオ分析なども できるような方法を考えていきたいと思ってい る。さらなる実践を積みかねて,生徒の活動意 欲を向上させるための効果的な支援を整理し明 らかにしていきたいと考えている。 付記  本研究は,香川大学教育学部・附属学校園共 同研究機構が行う2014年度の学部教員と附属学 校園教員による共同研究プロジェクトの一環と して実施した。 引用・参考文献 文部科学省・中央教育審議会初等中等教育分科会 (2012)共生社会の形成に向けたインクルーシブ 教育システム構築のための特別支援教育の推進 (報告) 全国特別支援学校知的障害校長会(2013)知的障害 特別支援学校のキャリア教育の手引き 実践編 -小中高の系統性のある実践-.ジアース教育 新社. 山内雅子・坂井聡(2010)主体的な社会参加をめざ した授業づくり②ポジティブな人間関係をはぐ くむことを視点として-知的障害特別支援学校 中学部「パワーアップタイム」の授業実践を通

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して-.日本特殊教育学会第48回大会発表. 西部良二・山内雅子・坂井聡(2011)主体的な社会 参加をめざした授業づくり②ポジティブな人間 関係をはぐくむことを視点として-知的障害特 別支援学校中学部「パワーアップタイム」の授 業実践を通して-.日本特殊教育学会第49回大 会発表. 山内雅子・妹尾恭子・田中伸弥・坂井聡(2012)主 体的な社会参加をめざした授業づくり②参加を 高め,知識・技能を活用する力を育むことを視 点として-知的障害特別支援学校中学部「数学 科」の授業実践を通して-.日本特殊教育学会 第50回大会発表. 山内雅子・植村伊裕・詫間克久・坂井聡・宮崎英一 (2013)主体的な社会参加をめざした授業づくり ②参加を高め,知識・技能を活用する力を育む ことを視点として-知的障害特別支援学校中学 部「数学科」の授業実践を通して-.日本特殊 教育学会第50回大会発表. 藤原義博(2010)子どもがわかって動ける授業づく り-個のニーズに応じた包括的支援-.実践障 害児教育,2010,7,34-35. 藤原義博(監修著)・小林真・阿部美穂子・村中智彦 (編著)・富山大学人間発達科学部附属特別支援 学校(2012)特別支援教育における授業づくり のコツ-これならみんなわかって動ける.学苑.

参照

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