Detection and Treatment" on Guideline for Nuerosonology
はじめに
経頭蓋超音波の診断精度は、診断器機の進歩とともに、この数年で大きく飛躍して、それにつれて臨床応用も広がって いる.また、最近では、脳梗塞急性期の患者の t-PA 静注療法時に、頭蓋内に超音波を当てることにより閉塞血管の再開通 率を向上することが報告されている.今後、ますます経頭蓋超音波が普及していくことが期待される.このガイドライン は、経頭蓋ドプラ(TCD)と経頭蓋カラードプラ(TC-CFI)について概説してある.実際に、現場で患者に検査を積極的 に行なっている先生に依頼し作成した.そのため、より実践的なガイドラインとなっていると思う.TCD は、検査法と正 常値、狭窄性病変、眼動脈と負荷テストを、TC-CFI は、検査法と正常値と狭窄性病変で構成されている.これまでのデー タ、最近のデータおよび先生方の自験データを含め最新のデータで内容を解説されている.特に、TCD の中大脳動脈水平 部閉塞の TIBI 分類、眼動脈血流波形からの内頸動脈閉塞性病変の病態と頭蓋内血行動態の推測、負荷テスト(血管反応性 /脳血管自動調節能の評価と側副血行路の評価)、TC-CFI の MCA の閉塞診断基準、超音波造影剤を用いた検査が新たな項 目として掲載した.このガイドラインが多くの臨床医師に活用されるように期待する.(木村 和美)1.
TCD
検査法と正常値(TCD examination and normal values)
2.
Transcranial Doppler
を用いた脳血管狭窄・閉塞診断(Transcranial Doppler
criteria for intracranial arterial stenosis
)
3.
眼動脈超音波検査(Ophthalmic artery Doppler flow imaging)
4.
TCD
負荷テスト(TCD in vasomotor reactivity testing and evaluation of collateral
blood flow
)
5.
TCCS
検査法と正常値(Transcranial
color-coded
sonography
−Examination
methods and normal values of flow velocity in the intracranial cerebral artery
−)
6.
TCCS
狭窄性病変(Diagnosis of stenotic lesions of cerebral artery with transcranial
color-coded real-time sonography
)
● 神経超音波医学 1 9( 3 ) 2 0 0 6
ガイドライン委員会組織
日本脳神経超音波学会・栓子検出と治療学会合同ガイドライン作成委員会
委員長
松本
昌泰
顧問
山口
武典、
小川
彰、
藤本
司、
峰松
一夫
事務局
矢坂
正弘
執筆委員
頸部血管超音波検査担当
長束
一行(責任者)
堤
由紀子
古賀
政利
斉藤こずえ
井口
保之
寺崎
修司
頭蓋内超音波検査担当
木村
和美(責任者)
古井
英介
井口
保之
坂口
学
川口正一郎
藤本
茂
緒方
利安
塞栓源検索担当
矢坂
正弘(責任者)
古井
英介
豊田
一則
榛沢
和彦
山村
修
評価委員
伊関
洋
市橋
光
岩崎
喜信
内山真一郎
梅村晋一郎
小穴
勝麿
大井
静雄
大槻
秀夫
北川
一夫
口脇
博治
栗坂
昌宏
栗栖
薫
郡山
達男
榊
寿右
塩貝
敏之
重森
稔
杉原
浩
高瀬
憲作
竹中
克
立花
克郎
種子田
譲
寺崎
修司
徳富
孝志
豊田
章宏
永井
秀政
長尾
省吾
長澤
史朗
永田
泉
永野
惠子
永廣
信治
橋本
卓雄
橋本
信夫
橋本洋一郎
秦
利之
林
隆
半田
伸夫
東泉
隆夫
兵頭
明夫
藤代健太郎
古幡
博
堀
智勝
松本
正幸
森竹
浩三
安井
信之
山田
和雄
吉本
高志
吉峰
俊樹
頸部血管超音波検査ガイドライン
頭蓋内超音波検査ガイドライン
塞栓源検索ガイドライン
● Neurosonol ogy 1 9( 3 ) 2 0 0 6േ⣂ 䉡䉞䊮䊄䉡 䊒䊨䊷䊑䈱ᣇะ ᷓ䈘㩷㩿㫄㫄㪀 ⴊᵹ䈱ᣇะ ኻ⽎∝ᢙ ᐔဋⴊᵹㅦᐲ䋨ᐔဋ䇭㪂㪆㪄䇭㪪㪛㪀 㪤㪚㪘 㗡㛽䉡䉞䊮䊄䉡 ೨ᣇ 㪊㪌㪄㪍㪌 䊒䊨䊷䊑䈮ะ䈎䈉 㪈㪌㪍㪍 㪍㪉䇭㪂㪆㪄䇭㪈㪉 㪠㪚㪘ಽጘㇱ 㗡㛽䉡䉞䊮䊄䉡 ೨ᣇ 㪍㪇㪄㪍㪌 ਔᣇะᕈ 㪘㪚㪘 㗡㛽䉡䉞䊮䊄䉡 ೨ᣇ 㪍㪇㪄㪎㪌 䊒䊨䊷䊑䈎䉌㆙䈙䈎䉎 㪈㪈㪇㪋 㪌㪈䇭㪂㪆㪄䇭㪈㪊 㪧㪚㪘䇭 㗡㛽䉡䉞䊮䊄䉡 ᓟਅᣇ 㪍㪇㪄㪎㪌 䊒䊨䊷䊑䈮ะ䈎䈉䋨䌐䋱䋩 䊒䊨䊷䊑䈎䉌㆙䈙䈎䉎䋨䌐 㪉䋩 㪐㪊㪉 㪊㪏䇭㪂㪆㪄䇭㪈㪈 㪭㪘 ᄢᓟ㗡ሹ䉡䉞䊮䊄䉡 ⋲㑆䈱ᣇะ 㪌㪌㪄㪎㪌 䊒䊨䊷䊑䈎䉌㆙䈙䈎䉎 㪉㪌㪎 㪊㪎䇭㪂㪆㪄䇭㪈㪇 㪙㪘 ᄢᓟ㗡ሹ䉡䉞䊮䊄䉡 ⋲㑆䈱ᣇะ 㪎㪌㪄 䊒䊨䊷䊑䈎䉌㆙䈙䈎䉎 㪉㪏㪎 㪊㪐䇭㪂㪆㪄䇭㪐 ⴊ▤ 䊒䊨䊷䊑䈱ᣇะ ᷓ䈘 ✚㗖േ⣂ㄼ 㪤㪚㪘 ೨ᣇ 㪋㪇㩷㫄㫄䉋䉍ᵻ䈒䉁䈪ㅊ䈋䉎 ⴊᵹ䈏ૐਅ 㪧㪚㪘 ᓟਅᣇ 㪌㪌㩷㫄㫄䉋䉍ᵻ䈒䈪䈲ᬌ䈪䈐䈭䈇 ⴊᵹ䈏ਇᄌ䈅䉎䈇䈲Ⴧട 動脈の平均血流速度は40−60cm/s 程度である. Ⅰ.装置の特徴 経頭蓋超音波ドプラ法(Transcranial Doppler : TCD)は,パ ルスドプラ法を用いて頭蓋内血管の血流を測定するもので, ドプラ血流速波形は得られるものの断層像は得られない. TCDには,頸動脈超音波などに用いる超音波診断装置と異 なる専用の TCD 装置と,2MHz の TCD 用プローブが必須で ある. Ⅱ.検査手技 超音波が頭蓋内へと入りやすい頭蓋骨の部分(ウィンド ウ)があり,これを通して頭蓋内血管の検索を行う.TCD を用いた血管の同定は,ウィンドウの種類,プローブの方 向,皮膚から血管までの深さ,血流方向(プローブに向か うか離れるか)によって行う.検査時間を短縮するには経 頭蓋 color duplex sonography を用いて,ウィンドウの有無・ 部位をあらかじめ確認しておくのが良い.TCD のサンプル ボリュームは10−15mm 程度と大きめにした方が血管を検出 しやすい.毛髪の間に充分エコーゼリーを塗り込むことが 重要である.血流ドプラ音が聞こえたら,その音が出来る だけ大きくなるようにプローブを少しずつ動かしていく.操 作に慣れないうちはプローブの移動量が多すぎるため,せっ かく捕らえた血流を逃してしまうことが少なくない.ドプ する.あらかじめ深度を50−60mm として,プローブを側頭 部に対して垂直からわずかに被検者の前上方(つまり前頭 部方向でかつ頭側)に向けて,プローブへ向かう血流が検 出できれば MCA である.深度を35−65mm と変化させると, M1部から M2部にかけて連続して検出できる場合が多い. 深度を約60−65mm とし ICA 分岐部に達すると両方向性の波 形が得られ,血流ドプラ音は澄んだ MCA のものとは異なり, 分岐部の特徴として低速度成分が多くザラザラした音に聞 こえる.さらに深度を深くしていくとプローブから離れる 向きで ACA の血流波形が得られる.側頭骨ウィンドウから プローブを後下方にむけると PCA も検出できる.各動脈の 特徴をまとめた(表1).また,MCA と PCA の鑑別をまと めた(表2). Ⅳ.大後頭孔ウィンドウ(経大後頭孔ルート) 大後頭孔ウィンドウからは椎骨動脈(VA),脳底動脈 (BA)が検出できる.被検者は側臥位あるいは仰臥位で頸部 を回旋し,頸部を前屈して顎を引いた姿勢で検査する.プ ローブを片手で保持して,後頭部下方で圧迫すると皮膚が 陥凹する部位(毛髪の生え際の少し上)にあて,もう一方 の手の指を眉間(nasion)にあて,プローブをこの指の方向 に向けるようにする.プローブを正中よりやや外側にずれ た場所にあてて,正中をねらう方が検出しやすい.深度を 50−65mm とすると,VA の V4部はプローブより遠ざかる向 表1 TCD で検出する際の主幹動脈の特徴および代表的文献をまとめた主幹動脈における正常血流速度 表2 MCA と PCA の鑑別 ● Neurosonol ogy 1 9( 3 ) 2 0 0 6
きで検出されるが,V3部は後方から前上方へ曲がって走行 するため,血流はプローブへ近づく方向あるいは両方向性 に捕らえられる場合がある.VA を遠位へ追跡すると,65− 85mm の深さで左右 VA が合流して BA へ移行する.VA 合流部では血流波形が上昇して BA に移行したと確認できる 場合がある.一般的に80mm 以上の深度から検出された場 合は BA からと判断できる.VA から BA へと追いかけて遠 位へプローブを向けて行く場合,プローブの接着点を少し ずつ下方(尾側)へずらしながら,かつ眉間へ向けるよう に少しずつプローブの仰ぐ角度を増していくのがコツであ る.VA, BA の特徴をまとめた(表1). V.血流速度の正常値,血流方向 TCDでは,一般的に最高血流速度の時間平均である平均 血流速度(Vmean : time-averaged maximum flow velocity)お よび PI が自動的に計算されて表示される.平均血流速度の 正常値は,MCA で約60cm/s, ACA で約50cm/s, PCA で約 40cm/s, VA および BA で約40cm/s である.TCD では血管 と超音波との入射角を0°と仮定しており,入射角補正を行 うことは出来ない.血流速度には,入射角,年齢,性別,ヘ マトクリット値,フィブリノゲン値,心臓弁膜疾患の有無, 動脈硬化の程度,血液中炭酸ガス分圧など種々の要因が関 与しており,解釈には注意が必要である.エコー造影剤で ある Levovist 投与により経頭蓋カラードプラ検査で測定さ れる収縮期最高血流速度は23% 上昇すると報告されてい る1).各主幹動脈における正常血流速度を示した2)(表1).
文
献
1)Khan HG, Gailloud P, Bude RO, Martin JB, Szopinski KT,
Khaw C, Rufenacht DA, Murphy KJ : The effect of contrast material on transcranial Doppler evaluation of normal middle cerebral artery peak systolic velocity. Am J Neuroradiol21: 386−390,2000
2)Tong D, Albers GW : Normal Values, in Babikian VL,
Wechsler LR(ed) : Transcranial Doppler Ultrasonography. 2nd ed, Woburn : Buterworth-Heinemann, 1999,pp33−46
(古井 英介)
2.
Transcranial Doppler を用いた脳血管狭
窄・閉塞診断
[要旨] Ⅰ.中大脳動脈水平部診断 A.中大脳動脈水平部狭窄は,以下の項目のいずれかを満 たした場合に診断する. 1.平均血流速度100cm/s 以上. 2.収縮期最大血流速度140cm/s 以上. B.急性期中大脳動脈水平部閉塞は,TIBI(Thrombolysis In Brain Ischemia)分類を用いて再開通現象を評価する ことができる. C.慢性期中大脳動脈水平部閉塞は,中大脳動脈血流波形 が消失した場合に診断可能である. Ⅱ.内頸動脈サイフォン部・遠位部診断 A.内頸動脈サイフォン部狭窄および内頸動脈遠位部狭窄 では,狭窄部での血流速度上昇を認める. B.内頸動脈サイフォン部,遠位部閉塞診断基準は確立さ れていない. Ⅲ.前大脳動脈診断 A.前大脳動脈狭窄では,狭窄部での血流速度上昇を認め る. B.前大脳動脈分枝(A2)狭窄,前大脳動脈閉塞診断基準 は確立されていない. Ⅳ.後大脳動脈診断 A.後大脳動脈狭窄では,狭窄部での血流速度上昇を認め る. B.後大脳動脈閉塞診断基準は確立されていない. Ⅴ.椎骨動脈診断 A.椎骨動脈狭窄は,狭窄部での血流速度上昇を認める. B.椎骨動脈閉塞診断基準は確立されていない. Ⅵ.脳底動脈診断 A.脳底動脈狭窄は,狭窄部での血流速度上昇を認める. B.脳底動脈閉塞診では,閉塞遠位部で逆行性血流波形を 認めることがある. Ⅰ.中大脳動脈診断 TCDは盲目的検査であり,血流方向と超音波ビーム方向 のなす角度(超音波入射角)は一定でない.超音波入射角 が60度を超える場合,血流速度の信頼性は著しく低下する ため TCD を用いた血流速度評価には注意が必要である.超 音波入射角が比較的小さい中大脳動脈の血流速度は,TCD でも評価可能である. A.中大動脈水平部(M1)狭窄診断には,「狭窄部位の血 流速度上昇」が広く用いられている1,2).(図2,3)中大 脳動脈平均血流速度の cut-off 値を100cm/sec に設定 すると,中大脳動脈狭窄に対する感度は100%,特異 度は98% であった3) .中大脳動脈血流波形の変化は, 脳梗塞再発と関連がある4,5). 中大脳動脈狭窄診断における補足的参考事項は,以 下の通りである.1.乱流の存在(turbulence wave form,基線にそった規則 的な異常ドプラ信号).
2.同側の前大脳動脈平均血流速度の上昇(代償的血流 増加:compensatory flow diversion).
3.特徴的な異常ドプラ音の聴取(low frequency noise). 4.狭窄部より遠位部におけるmicroembolic signalsの検出6). B.急性期 M1閉塞では,TIBI(Thrombolysis In Brain Ischemia)分類によって,血栓溶解療法後の再開通現 象を評価することが可能である7,8).(図4)血栓溶解療 法後の神経症状の改善および増悪は,再開通現象と関 ● Neurosonol ogy 1 9( 3 ) 2 0 0 6
連がある9,10).急性期 M1閉塞に対する経頭蓋超音波照 射と組織プラスミノーゲン・アクチベーター(rt-PA) 静注線溶療法との併用が臨床応用されつつある7) . C.慢性期 M1閉塞では,側頭骨ウインドウから良好に脳 血管が観察可能(前大脳動脈,内頸動脈遠位部もしく は後大脳動脈が観察可能)にもかかわらず M1血流波 形を認めない. Ⅱ.内頸動脈診断 眼窩ウインドウを用いた内頸動脈サイフォン部診断で留 意する点は以下のとおりである. 1.超音波出力(power もしくは amplitude)を十分に下げ ること(標準比で20% 以下). 2.出来る限り短時間で検査を終了すること. A.内頸動脈サイフォン部は,血流速度が高い場合(平均 血流速度65cm/s 以上もしくは収縮期血流速度90cm /s 以上)に内頸動脈狭窄が存在する可能性がある11,12). (図1)内頸動脈サイフォン部は,血流方向と超音波照 射の作る角度(超音波入射角度)が60度を超えるの で,血流速度低下と血管病変の関連は評価できない. 内頸動脈遠位部は,側頭ウインドウから深度60−75mm で探触子へ向かう血流波形を確認する.内頸動脈遠位 部では,血流速度が高い場合(平均血流速度65cm/s 以上もしくは収縮期血流速度90cm/s 以上)に内頸動 脈狭窄が存在する可能性がある11,12). B.内頸動脈サイフォン部閉塞に対する診断基準は確立さ れていない.また内頸動脈遠位部閉塞は,内頸動脈外 頸動脈分岐部閉塞および内頸動脈サイフォン部閉塞と の鑑別が困難であり,診断基準は確立されていない. 図1 右内頸動脈サイフォン部狭窄.MR angiography では,右内頸動 脈サイフォン部の血流信号が消失している.右眼窩ウインドウ から実施した TCD では,収縮期血流速度200cm/s 以上,平均 血流速度は140cm/s と著しく上昇している. 図2 右中大脳動脈水平部狭窄.3D angiography では,右中大脳動脈水 平部狭窄を認める.体表から48mm(右中大脳動脈水平部中央) では,平均血流速度120cm/s と上昇しており,体表から44mm (右中大脳動脈水平部末梢)では,血流速度は著しく低下して いる. 図3 右中大脳動脈水平部狭窄.MR angiography では,右中大脳動脈 水平部狭窄を認める.Power motion mode TCD では,右中大脳 動脈血深度54mm(白半円部)で強い順行性血流信号の存在を 示す.同部位の平均血流速度は133cm/s と著しく上昇している. 左中大脳動脈深度54mm では,平均血流速度38cm/s と正常範 囲である.
図4 TIBI grading system(Demchuk AM, et al. Stroke 2001;32:89− 93.より改編)急性期中大脳動脈水平部閉塞は,TIBI 分類を用 いて Grade 0−5の6段階に分類される。TCD で,中大脳動脈の 血流波形が TIBI 0,1から2,3へ変化した場合は部分再開通、さ らに TIBI 0,1もしくは2,3から4,5へ変化した場合に、完全再 開通と診断する. ● Neurosonol ogy 1 9( 3 ) 2 0 0 6
Ⅲ.前大脳動脈診断 A.前大脳動脈では,以下のいずれかを満たす場合に,前 大脳動脈狭窄が存在する可能性がある1,11). 1.前大脳動脈の平均血流速度が中大脳動脈の平均血流 速度より早い. 2.平均血流速度が80cm/s 以上. 3.収縮期血流速度140cm/s. 前大脳動脈の全域において,その平均血流速度が中大脳 動脈平均血流速度より10% を超えて上昇している場合,同 側中大脳動脈閉塞に伴う代償的血流速度上昇を鑑別する1). 前大脳動脈分枝(A2)狭窄は TCD によって確認が困難であ り,診断基準は確立されていない. B.前大脳動脈閉塞診断は,前大脳動脈低形成との鑑別が 困難であり,診断基準は確立されていない. Ⅳ.後大脳動脈診断 A.後大脳動脈(P1および P2)では,以下のいずれかを 満たす場合に,後大脳動脈狭窄が存在する可能性がある8) . 1.狭窄部位の平均血流速度と正常部位の平均血流速度 比が30% を超える 2.平均血流速度が50cm/s 以上. 後大脳動脈の全域において,その平均血流速度が中大脳 動脈平均血流速度より10% を超えて上昇している場合,同 側中大脳動脈閉塞もしくは内頸動脈閉塞に伴う代償的血流 速度上昇を鑑別にあげる必要がある1). B.後大脳動脈閉塞診断は,後大脳動脈低形成との鑑別が 困難であり,診断基準は確立されていない. Ⅴ.椎骨動脈診断 A.椎骨動脈では,以下のいずれかを満たす場合に,椎骨 動脈狭窄が存在する可能性がある1). 1.狭窄部位の平均血流速度と正常部位の平均血流速度 比が30% を超える. 2.平均血流速度が50cm/s 以上. B.椎骨動脈閉塞診断は,椎骨動脈低形成との鑑別が困難 であり,診断禁順は確立されていない. Ⅵ.脳底動脈診断 A.脳底動脈は,以下のいずれかを満たす場合に,脳底動 脈狭窄が存在する可能性がある. 1.狭窄部位の平均血流速度と正常部位の平均血流速度 比が30% を超える. 2.平均血流速度が50cm/s 以上1).(図6) 内頸動脈系と比較すると,TCD を用いた椎骨脳底動脈系 の狭窄・閉塞診断精度は低い13) .脳底動脈の全域において平 均血流速度が上昇している場合,中大脳動脈閉塞もしくは 内頸動脈閉塞に伴う代償的血流速度上昇を鑑別にあげる必 要がある. B.脳底動脈閉塞部位よりも遠位部に逆流する脳底動脈血 流波形を認め た 場 合 に,脳 底 動 脈 閉 塞 と 診 断 可 能 で あ る14,15).(図7)
文
献
1)Demchuk AM, Christou I, Wein TH, Felberg RA, Malkoff
M, Grotta JC, Alexandrov AV. Specific transcranial Doppler flow findings related to the presence and site of arterial occlusion. Stroke31:140−146,2000
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3)Felberg RA, Christou I, Demchuk AM, Malkoff M,
Alexandrov AV. Screening for intracranial stenosis with transcranial Doppler : the accuracy of mean flow velocity
図5 Power motion mode TCD(PMD-TCD)を用いた左中大脳動脈閉塞の再開通現象.右片麻痺と失語症で発症した心原性脳塞栓症,30歳代男性.第 4病日に実施した頭部 MR angiography では,左中大脳動脈水平部で血流信号は途絶しており,末梢血管は観察できない.第5病日に PMD-TCD を用いて両側中大脳動脈モニターを実施,直後は TIBI 1(minimal flow),3分には,TIBI 2へ,さらに左中大脳動脈では microembolic signals を多 数認める.18分には turbulence をともなった平均血流速度の上昇を認め(TIBI 4),20分に両側中大脳動脈血流波形は等しい.直後に実施した MR angiographyでは,左中大脳動脈水平部の再開通を認める. ● Neurosonol ogy 1 9( 3 ) 2 0 0 6
thresholds. J Neuroimaging12:9−14,2002
4)Arenillas JF, Molina CA, Montaner J, Abilleira S, Gonzalez
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5)Wong KS, Li H, Lam WW, Chan YL, Kay R. Progression
of middle cerebral artery occlusive disease and its relationship with further vascular events after stroke. Stroke33:532− 536,2002
6)Segura T, Serena J, Castellanos M, Teruel J, Vilar C, Davalos
A. Embolism in acute middle cerebral artery stenosis. Neurology56:497−501,2001
7)Alexandrov AV, Molina CA, Grotta JC, Garami Z, Ford
SR, Alvarez-Sabin J, Montaner J, Saqqur M, Demchuk AM, Moye LA, Hill MD, Wojner AW. Ultrasound−enhanced
systemic thrombolysis for acute ischemic stroke. N Engl J Med351:2170−2178,2004
8)Demchuk AM, Burgin WS, Christou I, Felberg RA, Barber
PA, Hill MD, Alexandrov AV. Thrombolysis in brain ischemia(TIBI)transcranial Doppler flow grades predict
clinical severity, early recovery, and mortality in patients treated with intravenous tissue plasminogen activator. Stroke
32:89−93,2001
9)Alexandrov AV, Demchuk AM, Felberg RA, Christou I,
Barber PA, Burgin WS, Malkoff M, Wojner AW, Grotta JC. High rate of complete recanalization and dramatic clinical recovery during tPA infusion when continuously monitored with 2-MHz transcranial doppler monitoring. Stroke 31: 610−614,2000
10)Alexandrov AV, Felberg RA, Demchuk AM, Christou I,
Burgin WS, Malkoff M, Wojner AW, Grotta JC. Deterioration following spontaneous improvement : sonographic findings in patients with acutely resolving symptoms of cerebral ischemia. Stroke31:915−919,2000
11)Babikian V, Sloan MA, Tegeler CH, DeWitt LD, Fayad PB,
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12)Hennerici M, Rautenberg W, Schwartz A. Transcranial
Doppler ultrasound for the assessment of intracranial arterial flow velocity−−Part 2. Evaluation of intracranial arterial
disease. Surg Neurol27:523−532,1987
13)Rorick MB, Nichols FT, Adams RJ. Transcranial Doppler
correlation with angiography in detection of intracranial stenosis. Stroke25:1931−1934,1994
14)Cantu C, Yasaka M, Tsuchiya T, Yamaguchi T. Evaluation
of the basilar artery flow velocity by transcranial Doppler ultrasonography. Cerebrovasc Dis2:372−377,1992 15)Ribo M, Garami Z, Uchino K, Song J, Molina CA,
Alexandrov AV. Detection of reversed basilar flow with power-motion Doppler after acute occlusion predicts favorable outcome. Stroke35:79−82,2004
(木村 和美,井口 保之) 図6 右椎骨動脈造影では,脳底動脈中央部狭窄を認める.後頭ウイ ンドウより超音波を照射する(D).脳底動脈近位部(C,深度 80mm),脳底動脈遠位部(A,深度100mm)の平均血流速度は 30−40cm/s,一方で,脳底動脈中央部(B,深度90mm)では, 平均血流速度80cm/s と著しく上昇している. 図7 右椎骨動脈造影では,右椎骨動脈は右後下小脳動脈分岐後で閉 塞している(白矢印).左総頚動脈造影では,左後交通動脈を 介して,脳底動脈は一部逆行性に描出される(黒矢印).Power motion mode TCDでは,脳底動脈深度96mm(白半円部)で,探 触子に向かう血流成分(赤色)を認める. ● Neurosonol ogy 1 9( 3 ) 2 0 0 6
3.
眼動脈超音波検査
[要旨] 1.機器の条件設定(出力)に注意し,検査時間の短縮に努 める. 2.眼窩内で眼動脈の血流方向,波形,収縮期最大流速,平 均血流速度,PI を観察する. 3.眼動脈血流波形から,内頸動脈閉塞性病変の病態と頭蓋 内血行動態が推測できる. 4.逆流型波形は,内頸動脈閉塞症或いは高度狭窄症の存在 を示唆する. 5.高血流型はモヤモヤ病や前頭蓋底硬膜動静脈瘻で特徴的 である. Ⅰ.機器,手技1,2) 一般に使用されている汎用型超音波装置で,5MHz または 7MHz 以上のリニアプローブによりおこなう.眼瞼上にプ ローブをゼリーを介し圧着するが,眼球を決して圧迫しな い.検査中知らず知らずのうちに圧迫している場合もあり, Bモード画像で常にプローブと眼球の間のゼリーによる間隙 と眼球の形状に注意するとともに,患者様ご自身からも圧 迫感があれば申し出るよう検査直前に依頼しておく.眼窩 でのプローブ の 出 力 は 米 国 FDA で17mW/cm2以 下,MI 値0.23以下とされており,機器を設定する.パルスドプラ の照射時間も必要最小限とする. Ⅱ.観察部位 Bモード画像で眼窩内の解剖学的位置関係を把握し,眼動 脈を眼窩内で可能な限り内頸動脈に近い部位で観察する.眼 動脈は眼瞼表面より40−50mm の深さで観察しやすい.プロー ブの入射角は眼動脈との解剖学的な関係より適宜適切な画 像が得られるように変更する.1−3) Ⅲ.観察項目 眼動脈の血流方向を観察する.眼窩内では眼動脈の血流 方向は,眼窩先端部から眼球に向かう方向が順流,反対に 眼球から眼窩先端部の場合は逆流である.血流波形を観察 する.正常血流は波形の立ち上がりが急峻で,拡張期に至 るまでにノッチを形成する.(図1)次に入射角の補正を行 い,収縮期最高血流速度(Vs),拡張末期流速(Vd),平均 血流速度(TAMX),pulsatility index(PI),resistance index (RI)を観察する.対照値として Vs では平均0.31∼0.43cm /sec が報告されている.各パラメーターについては正常対 照例での施設内基準値が必要であるが,著者の施設での平 均値は Vs:0.36m/sec,Vd:0.09m/sec,TAMX:0.21m/ sec,PI:1.65,RI:0.76で,参考値として記載しておく. Ⅳ.眼動脈血流超音波検査所見の評価と臨床的意義2,4,5) 眼動脈血流方向,波形と,Vs,PI などの各パラメーター を勘案し診断する.(図2) 逆流型(図2A)は,頭蓋内からの側副血行が乏しい内頸 動脈閉塞症または高度狭窄症で,眼動脈血流が頭蓋内への 側副血行路として機能している症例で認められる.逆流型 眼動脈血流は,内頸動脈閉塞性病変の存在と血行力学的脳 虚血,慢性眼虚血症候群の可能性を示唆する重要な所見で ある. to and fro型(図2B)は血流方向が心収縮周期に応じて順 流と逆流の両者が交互に出現する場合で,内頸動脈閉塞性 病変で内頸動脈と外頸動脈からの圧が拮抗している場合で ある. アーチ型(図2C)はピークまでの到達時間が長く Vs も低値で,内頸動脈狭窄症や閉塞症でも頭蓋内の側副血行 路が発達した症例である.眼動脈自体の動脈硬化性病変に よる狭窄症の場合もこの所見を呈する. 動脈硬化型(図2D)では波形の立ち上がりは正常波形と 同様であるが,ピーク部分が欠落し拡張期にいたるもので, 正常波形からアーチ型への移行期を反映している. 高血流型(図2E)は,高い Vs と低い PI 値を特徴とし内 頸動脈の波形に近似する波形である.眼動脈から頭蓋内へ の側副血行路が発達したモヤモヤ病や,眼動脈の分枝を流 入血管とする前頭蓋底硬膜動静脈瘻に特徴的である.文
献
1)Belden C J, Abbitt PL, Beadles KA : Color Doppler US
of the orbit. Radiographics15:589−608,1995
2)川口正一郎:眼動脈ドプラ血流検査による内頸動脈血 管性病変の評価.Neurosonology 17:118−120,2004 3)Kouvidis GK, Benos A, Kyriakopoulou G, Anaastopoulos
G, Triantafyllou D : Colour Doppler ultrasonography of the ophthalmic artery : flow parameters in normal subjects. Int Angiol19:319−325,2000
4)Kawaguchi, S., Sakaki, T., Uranishi, R. : Color Doppler flow
imaging of the superior ophthalmic vein in dural arteriovenous fistulas. Stroke33:2009−2013,2002. 5)西川憲清:内頸動脈閉塞性疾患に続発する眼病変と対 図1 眼動脈ドプラ血流波形 ● Neurosonol ogy 1 9( 3 ) 2 0 0 6
策に関する研究.眼紀 42:1099−1105,1991 (川口 正一郎)
4.
TCD 負荷テスト
[要旨] 1.TCDを用いた負荷テストの目的は,血管反応性/脳血管自 動調節能の評価と側副血行路の評価の大きく二つに分け られる. 2.血管反応性を評価するために,血圧変動に誘導する血行 力学的負荷と血中 CO2分圧変動を誘導する負荷および Acetazolamide負荷が用いられる1) . 3.SPECTなど核医学的手法で評価される静的な脳循環自動 調節能(static autoregulation)に加え,TCD ではbeat-to-beatの血流速度の変化が real time にモニタできるため,動 的な脳循環自動調節能(dynamic autoregulation)も評価で きる. 4.負荷テスト時には,TCD での血流速度の real time モニタ に加え,beat-to-beat の血圧および PeCO2などの血中 CO2 分圧を同時に測定する必要がある. 5.TCDで血管反応性を評価する負荷テストを施行する際に は,測定血管の血管径が負荷時にほぼ変化せず,血流速 度の変化と脳血流量の変化とがほぼ正相関することを大 前提としている. 6.側副血行路の評価には,近位部の血流遮断負荷を行う.そ の血管の灌流部(中大脳動脈や後大脳動脈の水平部)の 血流速度低下度を TCD で評価する. Ⅰ.負荷テストの目的1.脳血管反応性・脳循環自動調節能 の評価 A.負荷方法 1.血行力学的負荷 a.静的自動調節能(static autoregulation) 1)Phenylephrine 負荷 a)Phenylephrine 持続静注で平均血圧を20mmHg 上昇させ(110mmHg を超えないように),維持 する. b)その前後で血圧(ABP)と中大脳動脈水平部 (M1)平均血流速度(MFV)を測定. c)血圧変動(%∆ABP)当たりの血管抵抗変化率 (%∆CVR)を static cerebral autoregulation(sCA %)=%∆CVR/%∆ABPとして評価(図1).20% 以上は血管反応性正常とされる2).
CVR =ABP/MFV,%∆CVR =(CVRpre−
CVRpost)/CVRpre, %∆ABP =(ABPpre−
ABPpost)/ABPpre
2)Norepinephrine 負荷(Steiner LA ら:Stroke 34: 2404−2409,2003)
a)Norepinephrine で CPP を維持)を用いて頭部外 傷患者の static autoregulation の変化を評価.
b)Static rate of autoregulation(SROR)=%∆CVR
/%∆CPP,
た だ し,CPP(脳 灌 流 圧)=MAP(平 均 血 圧)−ICP(頭蓋内圧).
b.動的自動調節能(dynamic autoregulation) 1)Rapid leg cuff deflation
a)一側の大腿に血圧測定カフを巻き,収縮期血圧 より30mmHg 高く加圧する.3分間維持した後解 図2 眼動脈ドプラ血流波形と内頸動脈閉塞性病変(A:逆流型,B: to and fro 型,C:アーチ型,D:動脈硬化型,E:高血流型)
● Neurosonol ogy 1 9( 3 ) 2 0 0 6
Autoregulation:intact sCA=100% Autoregulation:impaired sCA=0% Dynamic autoregulation:intact ARI=6, 5 Dynamic autoregulation:impaired ARI=2 除すると,通常は体血圧が15mmHg 程急速に低 下し,約20秒で徐々にもとの血圧レベルに戻る. この際,M1の平均血流速度の変化を TCD モニ タで監視すると,血圧低下に伴い血流速度も低 下するが,自動調節能が保たれていれば,血圧 値よりも早く血流速度は初期値に戻る. b)この血流速度変化の時間経過パターンを下図の ように標準化し,どのパターンに近いかで評価 するのが,ARI(Autoregulation Index)である (図2).ARI5以上が血管反応性正常とされる2). 2)Head-up tilt(HUT),head-down tilt(HDT)
これまで種々の方法,解析法が報告されている.
a)Hughson RL らの Repeated HUT 法(Stroke 32: 2403−2408,2001)では,45°HUTと臥位を10 秒ずつ12cycle 繰り返し,その間の M1の平均血 流速度(MFV)と脳灌流圧(CPP)より求めた 脳血管抵抗指数(CVRi)の変動を解析してい る. b)Sato J らは,70°HUTと臥位を60秒ずつ繰り返 し,その際の M1血流速度(FVMCA)と M1レ ベ ル の 血 圧(ABPMCA)を 測 定 し,Critical Crossing Presure(Pcc:血管が虚脱する血圧)を 算出(Pcc=ABPs-(ABPs-ABPd)/(FVs-FVd) xFVs.脳灌流圧(CPP : ABPMCA-CPP),脳血管 抵抗(CVR : CPP/FVMCA)の変動パターンを それらから求め,HUT と HDT 時の脳自動調節 能の発現様式の違いを指摘している(AJP-Heart 281:774−783,2001).
3)Beat-to-beat spontaneous transient pressor and
depressor changes in mean arterial pressure a)一心拍毎の血圧(脳灌流圧)変化と M1 flow
velocityの変化をモニタする.
b)これらの反応性のずれを上述の ARI で評価する 方法3)
c)収縮期,拡張期,平均血流速度と血圧変動の相 関指数(Correlation Coefficient Index:各々 Sx,
Dx, Mx,主に Mx が使用され る)を 用 い る
Reinhard M.らの方法(Stroke 34:2138−2144, 1996)
d)power spectral analysis を用いた M1 血流速度の 変動指数を用いる方法3)などで評価されている. 4)Transient hyperaemic response ratio(THRR) (Smielewski P ら:Stroke 27:2197−2203,1996)
a)M1の血流速度モニタ下に同側の総頸動脈を5 秒間圧迫し,圧迫解除直後の2心拍の収縮期血 流速度の平均を安静時の収縮期血流速度5心拍 分 の 平 均 で 除 し て THRR(= FVsystolic hyperemia/FVsystolic baseline)を算出する. 図1 静的自動調節能(static autoregulation)の評価:Y軸は血圧(ABP,
mmHg)と左右の中大脳動脈(L−,RMCA)血流速度(cm/s).
X軸は時間(sec).上段では phenyrephrine 負荷で血圧上昇時に も L−,RMCA ともに血流速度は変化せず,自動調節能は正常 (static cerebral autoregulation(sCA)=100%).下段では血圧上 昇に伴い L−,RMCA の血流速度は上昇し sCA=0% となり,自 動調節能は障害されている.Frank P. Tiecks,Stroke.1995;26: 1014−1019を改変.
図2 動的自動調節能(dynamic autoregulation)の評価:各図の Y 軸は中大脳動脈血流速度(cm/s),X 軸は時間(sec).上段,
Rapid leg cuff deflationによる負荷時の中大脳動脈血流速度時間 推移変化の Autoregulation Index(ARI)のモデルパターン.下 段右は,dynamic autoregulation が正常な症例で ARI=6,5.下段 左は,dynamic autoregulation が障害されている症例で ARI=2.
Frank P. Tiecks,Stroke.1995;26:1014−1019を改変. ● Neurosonol ogy 1 9( 3 ) 2 0 0 6
34%,moderate reduction 34−66%,normal range >66%4). 2)CO2吸入法 a)M1血流速度が30秒間安定するまで8%CO2を 吸入させ,その際のM1の血流速度増加率が20% 以下であれば,血管反応性低下と評価する5). b)その他の吸入負荷として試みられている CO2濃 度は5−10% まで多様で5,6),吸入時間は2分間が 多く,反復吸入により評価している報告もある. 3)Breath-holding Index(BHI);CO2負荷テストの
golden standerdとされる1)Full range vasodilation 法ともよく相関する簡便法 a)息止めを我慢できる範囲で施行し(平均30秒程 度),その際の M1平均血流速度増加率を息止め 時間で除したものを,BHI とする. b)正常者では1.30+/−0.60. c)BHI<0.69で血管反応性低下と判断される7). 3.Acetazolamide負荷 a)血管反応性は,Acetazolamide1g を5分以内に静 注し約15分後にM1の平均血流速度が最大になっ た時点で記録し,安静時の平均血流速度との差 を安静時平均血流速度で除した値で判定する8). B.TCD による脳血管反応性評価が用いられた前向き臨床 試験 Vernieri Fらは,頸動脈70% 以上狭窄や閉塞症例に対 して breath-holding index(BHI)を用いてその血管反応 性を評価,前向きに虚血性脳血管障害の発症を追跡調 査し,BHI<0.69の症例で発症のリスクが高いことを報 告している(Stroke2001;32:1552−1558). Ⅱ.負荷テストの目的2:側副血行路の評価
A.Balloon occlusion test(BOT) 1.永久結紮術前の BOT 頭頚部の腫瘍性疾患や内頸動脈系の血管奇形や動脈 瘤の外科的処置として内頸動脈結紮術や閉塞術を施行 する場合がある. a)BOT では,永久閉塞が可能かどうかを通常20分 d)TCD を用いた BOT の結果は次の3群に分けられ る.①無症状群:TCD 上も遮断時に基礎値の50 −60% 以上の血流が保持され,症状の出現も認め ない(図3).②遅発性症状出現群:血流遮断当初 は無症状で経過するが,時間経過と共に虚血症状 が出現する群で,TCD 上は50−60% 以下の血流低 下を示す(図4).③早期症状出現群:TCD 上の 血流低下も高度で(ほとんど0に近い),側副血 行路がほぼなく,血流遮断後直ちに虚血症状,意 識低下,痙攣発作などを呈する(図5).②③の場 合は,術式の変更や STA−MCA バイパス術などの 血行再建を事前に施行する必要がある. 2.CEA, CAS 時の一時的血流遮断前の BOT
a)CEA(頸 動 脈 内 膜 剥 離 術)で は,遮 断 時 MFV が10cm/s 以上,基礎値の30% 以上であれば,大 部分の症例で局所麻酔下の術中に内シャントを挿 入せずに施行できることが示されている.ただし, これも絶対的な基準ではない1). b)CAS(頸動脈ステント留置術)に関する術前のBOT についてはほとんど報告がないが,遮断時間は CEAよりも短時間(5−10分)なので,さらに血 流遮断下で手術可能な症例の範囲は広くなる.
c)CAS では,通常 balloon protection device を使用す る場合,挿入後まず test occlusion を2−5分間程度 行い,臨床症状の有無で内頸動脈の一時的な血流 遮断に対する耐性があるか否か(tolerance or intolerance)を確認する. d)この際 TCD モニタを施行していると有利な点は, BOT中症状が出現しない症例を上記の②の様な遅 発に症状が出現する群(MFV が基礎値の30−50% 以下に低下し2−5分程度の test occlusion 中には神 経症状が出現しないが,stent 留置術の後半で症状 が出現する可能性がある群)と血流遮断していて も症状が出現しない群(上記①に該当)とに分け ることができることである.この情報により,手 技を初めから迅速に行う必要があるか,ゆっくり と確実に行えるかを判断でき,術者に“心づもり” ● Neurosonol ogy 1 9( 3 ) 2 0 0 6
Balloon occlusion test
Balloon occlusion test
㒶ᕈ㒶ᕈ:
:
ή∝⁁ή∝⁁0 20 40 60 80 100 120 0 5 10 15 20 25min mmHg beats/min ᔃᜉᢙ R .M C A(M 1) ᐔဋⴊᵹㅦ R .C C A ᐔဋⴊ Stump pressure ฝౝ㗖േ⣂ࡃ࡞ࡦ㐽Ⴇ cm/sec ∝⁁ (-)
Balloon occlusion test
Balloon occlusion test
㓁ᕈ㓁ᕈ:
:
ㆃ⊒ᕈ∝⁁0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 5 10 15 20 25 ⌁ޔᏀඨⓨ㑆ήⷞޔᏀីജૐਅ min mmHg beats/min Stump pressure ฝหⷞ cm/sec ∝⁁ ᔃᜉᢙ R .M C A(M 1) ᐔဋⴊᵹㅦ R .C C A ᐔဋⴊ ฝౝ㗖േ⣂ࡃ࡞ࡦ㐽Ⴇ
R
L
Balloon occlusion test
㓁ᕈ:
ᣧᦼ∝⁁や心理的な余裕を与え,安全な施行に寄与する.
e)ただし,CEA や CAS,特に CAS では,術中に頸 動脈洞反射により徐脈低血圧が40−50% の症例で 起きる.この際手術開始前の test occlusion で無症 状だった群でも,症状が出現する可能性がある. f)この低血圧発作時には,上記②の遅発性症状出現 群に加えて①無症状群でも両側の M1部血流速度 が揃って低下し,巣症状や意識障害が出現するこ とがある. g)TCD モニタで BOT 時の血行力学的変化を捉えて おくと徐脈低血圧時の虚血性神経症状の出現の有 無について予測できる(②であれば高頻度). B.頭位回旋負荷時の椎骨脳底動脈系の血流変化 a)頭位回旋時に椎骨動脈に閉塞性変化が生じることは まれではない.頸動脈超音波検査を用いた検討では, 対側方向への頭位変換時に5% の症例で椎骨動脈の 血流遮断が認められる10). b)遮断側の対側の椎骨動脈や後交通動脈経由の血流が 十分あれば,症状は生じない(椎骨動脈頭位変換血 流遮断時に症状出現するのは9%). c)頭位変換時に椎骨脳底動脈系に有意な血流低下が生 じていることを明らかにするために,脳底動脈から 主に灌流を受けている後大脳動脈を TCD で検出モニ タし,頭位変換負荷を行う.症状出現に椎骨動脈血 流遮断が関与している場合は,図6のように後大脳 動脈の顕著な血流低下を認める10).
文
献
1)Sloan MA, Alexandrov AV, Tegeler CH, Spencer MP,
Caplan LR, Feldmann E, Wechsler LR, Newell DW, Gomez CR, Babikian VL, Lefkowitz D, Goldman RS, Armon C, Hsu CY, Goodin DS : Assessment : Transcranial Doppler ultrasonography, Report of the Therapeutics and Technology Assessment Subcommittee of the American Academy of Neurology. NEUROLOGY62:1468−1481,2004 2)Tiecks FP, Lam AM, Aaslid R, Newell DW : Comparison
of Static and Dynamic Cerebral Autoregulation
図3 Balloon occlusion test 陰性:無症状例
内頚動脈をバルーンで閉塞した際に同側中大脳動脈の血流低 下は25% 程度で症状の出現なし.良好な側副血行路の存在が 伺える.
図4.Balloon occlusion test陽性:遅発性症状出現例
内頚動脈をバルーン閉塞時 stump pressure 低下と共に中大脳 動脈平均血流速も40% 以下に低下.当初症状出現はなかった が,閉塞約10分で意識レベル低下と右皮質症状および共同偏 視が出現した.短時間の BOT では陰性例になる症例で,TCD モニタの有用な1例. 図6 頭位回旋負荷時の後大脳動脈血流波形の経時変化:56歳男性. 右方向への頭位変換時に頻回に失神.本例では頭位変換時に椎 骨の機械的な圧迫で左椎骨動脈が血流遮断される.後大脳動脈 水平部を TCD モニタしつつ頭位回旋負荷を行うことで,椎骨 脳底動脈系に実際虚血が生じているかが証明されうる. 図5 Balloon occlusion test 陽性:早期症状出現例
右内頚動脈のバルーン閉塞時に M1平均流速は68cm/s より 8cm/s(11%)に低下し,直後に意識レベル低下,右共同偏視 が出現した.BOT の典型的陽性例. ● Neurosonol ogy 1 9( 3 ) 2 0 0 6
A A BB Ⲕᒻ㛽⒫ Ⲕᒻ㛽⒫ ਛ⣖ ਛ⣖ ኻ䈱㗡㛽 ኻ䈱㗡㛽
artery stenosis and occlusion. Brain124:457−467,2001 6)Maeda H, Matsumoto M, Handa N, Hougaku H, Ogawa S,
Itoh T, Tsukamoto Y, Kamada T : Reactivity of Cerebral Blood Flow to Carbon Dioxide in Various Types of Ischemic Cerebrovascular Disease : Evaluation by the Transcranial Doppler Method. Stroke24:670−675,1993
7)Markus HS, Harrison MJG : Estimation of Cerebrovascular
Reactivity Using Transcranial Doppler, Including the Use of Breath-Holding as the Vasodilatory Stimulus. Stroke23:668 −673,1992
8)Müller M, Schimrigk K : Vasomotor Reactivity and Pattern
of Collateral Blood Flow in Severe Occlusive Carotid Artery Disease. Stroke27:296−299,1996
9)Belardi P, Lucertini G, Ermirio D : Stump Pressure and
Transcranial Doppler for Predicting Shunting in Carotid Endarterectomy. Eur J Vasc Endovasc Surg25:164−167, 2003
10)Sakaguchi M, Kitagawa K, Hougaku H, Hashimoto H, Nagai
Y, Yamagami H, Ohtsuki T, Oku N, Hashikawa K, Matsushita K, Matsumoto M, Hori M : Mechanical compression of the extracranial vertebral artery during neck rotation. Neurology
61:845−847,2003 (坂口 学)
5.
TCCS 検査法と正常値
[要旨] 1.経 頭 蓋 カ ラ ー ド プ ラ 法(transcranial color-coded sonography ; TCCS)は,目標とする血管を B モード断層 上にリアルタイムに描出できる. 2.側頭骨ウィンドウからは中大脳動脈(MCA : M1,M2), 前大脳動脈(ACA : A1),内頸動脈末端部,後大脳動脈 (PCA : P1,P2)の血流信号を,大後頭孔ウィンドウから は椎骨動脈(VA)合流部,脳底動脈(BA)の血流信号を 描出できる. 3.超音波造影剤(ガラクトー・パルミチン酸混合物,レボ ビスト!)を用いることにより,頭蓋内脳血管の検出率は らは椎骨動脈(VA)合流部,脳底動脈(BA)の血流信 号を描出できる. ・TCCS で描出される血管は血流情報を画像化したもので あり,実際の血管の形態を表しているものではない.血 管狭窄や閉塞の診断には血流速度の計測が不可欠とな る. ・TCCS では,血管にサンプルボリュウムを設定し,血流 速度を絶対値として算出することができる2). Ⅱ.経頭蓋カラードプラ法の検査法 A.検査手順 ・超音波装置に2−3MHz の専用のセクター型プローブを 用いる. 1.側頭骨ウィンドウからの検査 ・側頭骨ウィンドウからの検査においては,患者には仰 臥位で頭部を検査側と対側に回旋してもらう. ・側頭部(外耳孔の斜め上方,鱗部中央)にプローブを 当て(図1),任意に移動,回旋し,B モード上で対側 の側頭骨,中脳,蝶形骨稜の構造が描出できることを 確認する(図1). ・中脳や蝶形骨稜が描出できたら,カラードプラまたは パワードプラ表示とし,蝶形骨稜に沿ってプローブに 向かって立ち上がる血管が,同側の MCA(M1)である (図2).M2まで観察できることも少なくない(図3). 図1 TCCS による検査法 A 側頭骨ウィンドウからの検査においては,患者には仰臥 位で頭部を検査側と対側に回旋してもらう.側頭部(外耳孔の 斜め上方,鱗部中央)にプローブを当てる. B 任意に移動,回旋し,B モード上で対側の側頭骨,中脳, 蝶形骨稜の構造が描出できることを確認する. A B ● Neurosonol ogy 1 9( 3 ) 2 0 0 6ඩ
ඩ
P1
P1
P2
P2
ࣞڕ
ࣞڕ
P2
P2
ܚڕ
ܚڕ
വഋ
വഋ
PCA
PCA
ۍഋ ۍഋ ਭഋਭഋ Rt. MCARt. MCA LLt. MCAt. MCA
MCA MCA PCA PCA ACA ACA MCA MCA PCA PCA ACA ACA A A BB M2 M2 M1 M1 M2 M2 M1 M1 A A BB
・MCA の前方には ACA が,後方には後大脳動脈 PCA が描出される(図2).PCA は中脳を回り込むように描 出される.図4に示すように中脳との位置関係で P1,P 2近位部,P2遠位部を区別する. ・検査記録を残すにあたっては,見直す際に混乱がない ように工夫する.左右の MCA をそれぞれ描出する時は, 図5に示すように向きを変えておくとよい. 2.大後頭孔ウィンドウからの検査 ・大後頭孔ウィンドウからの検査においては,患者には 座位または側臥位で顎を引いた姿勢をとってもらう. ・第3頸椎あたりにプローブを当て,水平断面が頸部を 横断する状態から徐々に頭頂方向に仰ぐように回転さ せる.その際は,カラードプラ表示状態で検索する. ・プローブを後頭部中央よりやや右または左にずらせば VAが捕らえられる.VA を観察しながら断面を頭頂方 向に回転させると,対側の VA との合流が確認され,そ の先に BA が捕捉される(図6). B.超音波造影剤 ・TCCS には,高齢者や女性の脳血管の検出率が低いとい う大きな弱点がある. ・超音波造影剤(ガラクトース・パルミチン酸混合物,レ ボビスト!)を用いることにより,経頭蓋カラードプラ 法による頭蓋内脳血管の検出率は著明に改善される3−7). ・レボビスト!は,300mg/ml の溶液を8ml 作成し,その 半量もしくは全量を静注し,血流信号の描出を試みる. いわゆる booming 現象(血流信号が過度に増強され,実 際の血管腔の外にはみだして描出されるため,血管の 走行・構造が正確に評価できなくなる現象)がみられ ることもあるので,その際にはカラーもしくはパワー ドプラのゲインを適宜調節する. C.血流方向 ・カラードプラ表示により,脳血管の血流方向(順行性 か逆行性)が評価できる. ・カラードプラ表示では,一般にプローブに近づく血流 は赤く,遠ざかる血流は青く表示される.MCA 水平部 は正常であれば赤く描出される.青く表示される場合 は逆流の存在が示唆される(図7). ・大後頭孔ウィンドウからのアプローチでは,通常の VA や BA の血流はプローブから遠ざかるため,青く表示さ れる(図6). D.血流速度の測定 ・血流速度の測定に際しては,頸部血管エコーと同様に, Bモード断層上に目標血管を描出し,その上にパルスド 図2 TCCS による脳血管の描出 A Bモード上のカラードプラ表示で MCA,ACA,PCA が描出され る. B Aに Willis 動脈輪の構造を重ねた. 図3 TCCS による MCA(M1,M2)の描出 A カラードプラ表示で M1,M2を描出. B パワードプラ表示で M1,M2を描出. 図4 中脳と PCA の構造の関係 図5 TCCS による両側 MCA の記録 A B A B ● Neurosonol ogy 1 9( 3 ) 2 0 0 6
プラのサンプルボリュウム(幅は2mm)を設定する.ま た,計測時の超音波ビームの目標血管への入射角が60 度以内になるように注意する(図8). ・頭蓋内脳血管の血流波形は,拡張期血流速度の速い内 頸動脈系パターンを呈する.血流速度は頸部血管エコー と同様,収縮期最大血流速度,拡張末期血流速度,平 均血流速度の3つを測定する(図8). ・平均血流速度には,1心拍分の最高血流速波形をトレー スすることにより求める最高血流速の時間平均値(time
-averaged maximum flow velocity : TAMX)と,同様に 平均血流速波形をトレースすることにより求める平均 血流速の時間平均値(time-averaged flow velocity : TAV) があるが,通常は前者を用いる. ・狭窄性病変の診断には,血流速度の局所的変化が重要 であるので,血流波形をモニタリングしながら,サン プルボリュウムを血管の走行に沿って,近位部から遠 位部にゆっくりと移動させる. Ⅲ.血流速度の正常値 TCCSで計測した健常人の頭蓋内脳血管の血流速度の正常 値については,報告が少なく,対象もまちまちである.表 1に中大脳動脈の血流速度正常値についてまとめた8−11).ま た,その他の脳血管についても表2にまとめた.若年者の ほうが,血流速度が速い傾向がある.
文
献
1)Aaslid R, Nornes H : Noninvasive transcranial Doppler
ultrasound recording of flow velocities in basal cerebral arteries. J Neurosurg.57: 769−774,1982
2)Tsuchiya T, Yasaka M, Yamaguchi T, et al : Imaging of the
basal cerebral arteries and measurement of blood velocity in adults by using transcranial real-time color flow Doppler sonography. Am J Neuroradiol.12: 497−502,1991 3)Nabavi DG, Droste DW, Schulte-Altedorneburg G, et al :
Diagnostic benefit of echocontrast enhancement for the insufficient transtemporal bone window. J Neuroimaging. 9:102−107,1999
4)Griewing B, Schminke U, Motsch L, et al : Transcranial
duplex sonography of middle cerebral artery stenosis : a comparison of colour-coding techniques −frequency− or
power-based Doppler and contrast enhancement . Neuroradiology.40:490−495,1998
5)Goertler M, Kross R, Baeumer M, et al : Diagnostic impact
and prognostic relevance of early contrast-enhanced transcranial color-coded duplex sonography in acute stroke. Stroke.29:955−962,1998
6)Postert T, Federlein J, Przuntek H, et al : Comparison of
transcranial power Doppler and contrast-enhanced
color-図6 TCCS による VA,BA の描出 大後頭孔ウィンドウからのアプローチ.カラードプラ表示で両側 VAの合流が確認され,その先に BA が描出される.通常の VA や BA の血流はプローブから遠ざかるため,青く表示される. 図8 パルスドプラによる血流速度の計測 Bモード断層上に目標血管を描出し,その上にパルスドプラ のサンプルボリュウムを設定する.また,計測時の超音波ビー ムの目標血管への入射角が60度以内になるように注意する. ● Neurosonol ogy 1 9( 3 ) 2 0 0 6
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coded sonography in the identification of intracranial arteries. J Ultrasound Med.17:91−96,1998
7)Gahn G, Gerber J, Hallmeyer S, et al: Noninvasive assessment
of the circle of Willis in cerebral ischemia : the potential of CT angiography and contrast-enhanced transcranial color-coded duplexsonography. Cerebrovasc Dis.9:290−294, 1999
8)Kimura K, Yasaka M, Wada K, et al : Diagnosis of middle
cerebral artery stenosis by transcranial color-coded real-time sonography. Am J Neuroradiol.19:1893−1896,1998 9)Ogata T, Kimura K, Nakajima M, et al : Transcranial color
-coded real-time sonographic criteria for occlusion of middle cerebral artery in acute ischemic stroke. Am J Neuroradiol
25:1680−1684,2005
10)Martin PJ, Evans DH, Naylor AR : Transcranial color-coded
sonography of the basal cerebral circulation. Reference data from115volunteers. Stroke 25:390−396,1994
11)古平国泰,藤代健太郎,和田高士,他.カラードプラ 断層法による中大脳動脈血流速度の経頭蓋骨的絶対値計 測.脈管学 30:1379−1386,1990 (藤本 茂)
6.
TCCS 狭窄性病変
[要旨] 1.頭蓋内血管の狭窄性病変の診断に TCCS は有用であり,特 に TCCS のパルスドプラ所見における,収縮期最大血流 (Vs)が診断に有用である. 2.本邦の50% 以上の MCA 狭窄の TCCS による診断基準は, コントラスト(CE)なしの TCCS で180cm/秒以上,コン トラストありの CE-TCCS で170cm/秒以上である. 3.パルスドプラは MCA 閉塞の診断にも有用であり,カラー ドプラによる評価では感度が低くなると言われている. 4.MCA閉塞の診断には拡張末期血流(Vd),およびその左 右比(ED-ratio)が有用である.特に分枝閉塞を鑑別する 場合は,両者を併用すべきである. Ⅰ.頭蓋内血管の狭窄性病変の診断 1.TCCS による MCA 狭窄診断では,脳血管造影所見を gold standardとしているものが多い1−3) が,MRA 所見と比較した 報告も見られる. A.中大脳動脈(MCA)狭窄の TCCS による診断 1.造影剤使用例,非使用例に関わらず,MCA 主幹部狭窄 例では収縮期最大血流(Vs)が有意に上昇している1−3). 2.脳血管造影検査により,50% 以上の中大脳動脈(MCA) 狭窄と診断された症例の MCA の TCCS 所見は,Vs≧180cm /秒以上であることが,本邦で報告されている2).欧米の報 告では,TCCS にて Vs≧220cm/秒の時,MCA に50% 以上 の狭窄ありと診断されている1). 3.コントラスト TCCS(CE−TCCS)による50% 以上の MCA狭窄の診断基準は,Vs≧170cm/秒である3). 4.その他,MCA 狭窄の診断に対してパワードプラの有用 性も指摘されている. 5.以上のデータの多くは単一施設からの報告であり,確立 した基準であるとは言い難い. B.その他の頭蓋内血管の狭窄病変の TCCS 所見 1.本邦の報告によると,脳血管造影検査で指摘された50% 以上の PCA 狭窄症例は,Vs≧200cm/秒をカットオフ値とす ると TCCS で診断可能である4) . 2.その他の頭蓋内血管についても,TCCS の Vs カットオフ 値を用いた狭窄診断が報告されている1). Ⅱ.頭蓋内血管の閉塞性病変の診断 A.MCA 閉塞の TCCS による診断 1.MCA 閉塞の診断は,カラードプラで行われている報告 が多い.その診断基準は,MCA 主幹部のドプラシグナルが 同定できず,かつ同側の ACA,または PCA(もしくはその 表1 MCA の血流速度正常値 表2 ACA,PCA,VA,BA の血流速度正常値(文献10より引用) ● Neurosonol ogy 1 9( 3 ) 2 0 0 6のであり,確立した基準であるとは言い難い. B.その他の血管の閉塞の診断 1.脳底動脈閉塞では,脳底動脈の血流シグナルを同定で きないとされている8). Ⅲ.TCCS によるくも膜下出血後のスパズムの診断 A.Vs≧182cm/秒であるときには,中等度から重度のスパ ズムが存在しているとする報告や,25−50% の軽度狭窄性病 変の診断にはTCCSでの平均血流≧94cm/秒9),もしくはMCA と ICA の収縮期最大血流の比(Vmca/Vica)が3.6以上など のカットオフ値が報告されている10). 文 献
1)Baumgartner RW, Mattle HP, Schroth G : Assessment of >/=50% and <50% intracranial stenoses by transcranial
color-coded duplex sonography. Stroke30:87−92,1999 2)Kimura K, Yasaka M, Wada K, Minematsu K, Yamaguchi
T, Otsubo R : Diagnosis of middle cerebral artery stenosis by transcranial color-coded real-time sonography. AJNR Am J Neuroradiol19:1893−6,1998
3)Ogata T, Kimura K, Nakajima M, Naritomi H, Minematsu
K : Diagnosis of middle cerebral artery occlusive lesions with
Diagnosis of middle cerebral artery occlusion with transcranial color-coded real-time sonography. AJNR Am J Neuroradiol17:895−9,1996
7)Ogata T, Kimura K, Nakajima M, Ikeno K, Naritomi H,
Minematsu K : Transcranial color-coded real-time sonographic criteria for occlusion of the middle cerebral artery in acute ischemic stroke. AJNR Am J Neuroradiol25: 1680−4,2004
8)Koga M, Kimura K, Minematsu K, Yamaguchi T :
Relationship between findings of conventional and contrast -enhanced transcranial color-coded real-time sonography and angiography in patients with basilar artery occlusion. AJNR Am J Neuroradiol23:568−71,2002
9)Krejza J, Mariak Z, Lewko J : Standardization of flow
velocities with respect to age and sex improves the accuracy of transcranial color Doppler sonography of middle cerebral artery spasm. AJR Am J Roentgenol181:245−52,2003 10)Krejza J, Kochanowicz J, Mariak Z, Lewko J, Melhem ER :
Middle cerebral artery spasm after subarachnoid hemorrhage : detection with transcranial color-coded duplex US. Radiology
236:621−9,2005 (緒方 利安) ● Neurosonol ogy 1 9( 3 ) 2 0 0 6
MCA MCA PCA PCA ACA ACA MCA MCA PCA PCA ACA ACA A A BB M2 M2 M1 M1 M2 M2 M1 M1 A A BB M1 M1ㅒⴕ⟲ㅒⴕ⟲ M1M1㗅ⴕ⟲㗅ⴕ⟲
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BA
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Balloon occlusion test
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図3 Balloon occlusion test 陰性:無症状例
内頚動脈をバルーンで閉塞した際に同側中大脳動脈の血流低 下は25% 程度で症状の出現なし.良好な側副血行路の存在が 伺える.
P124
図4 Balloon occlusion test 陽性:遅発性症状出現例
内頚動脈をバルーン閉塞時 stump pressure 低下と共に中大脳 動脈平均血流速も40% 以下に低下.当初症状出現はなかった が,閉塞約10分で意識レベル低下と右皮質症状および共同偏 視が出現した.短時間の BOT では陰性例になる症例で,TCD モニタの有用な1例. A B A B ● Neurosonol ogy 1 9( 3 ) 2 0 0 6