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「読解力・表現力」を育てる指導の実践例
国語の記述式問題の結果が顕著に良好な中学校の例
学校種 中学校(平成4年開校(近隣 2 校の統合による。)) 校区内小学校 5 校 学級数 生徒数 計 6 学級 (約 130 名) 第 1 学年 1学級(約 30 名) 第 2 学年 2学級(約 50 名) 第 3 学年 2学級(約 50 名) 特別支援学級 1学級(1 名) 教職員数 21 名 校長・教頭 各 1 名 教諭 14名(うち教務主任、研究主任、 養護教諭、栄養教諭各 1 名) 非常勤講師(英語) 指導助手(英語) 事務職員 管理用務員 スクールカウンセラー 各1名 備考 へき地教育振興法に基づくへき地学校1級 (学校の特色) 300 平方キロメートルを超える非常に広い校区を持ち、その95%を山林が占めるへき地 学校である。生徒の 7 割は、朝夕の 1 日 2 回発着する路線バスによって通学している。 過疎化が進む一方で、地域のコミュニティがしっかりと存在しており、地域住民が図書館 指導員として参加するなど、地域は学校に非常に協力的である。学校紹介
46.7%62.5% 20.2% 5.4% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 正答率 無解答率 記述式問題に係る正答率・無解答率 (H20国語B) 全国平均 本校 63.3% 79.2% 30.0% 16.7% 5.4% 2.1% 1.3% 2.1% 全国平均 本校 解答を文章で書く問題は、最後まで書こうと努力しましたか。(H20) 最後まで書こうと努力した 途中であきらめたものがあった 全く回答しなかった その他全国学力・学習状況調査の特徴
国語・数学ともに調査結果は良好であるが、 特に記述式問題における正答率が高く、無解 答率も低い水準となっている。 また、生徒に対する質問紙調査においても 記述式問題を最後まであきらめずに解答しよ うと努力した生徒の割合が顕著に高い。2
○「書き方の手引き」の活用による「読解力・表現力」の向上
中学生に多くみられる課題として、根拠を明確にして論理的に書くことができないことがあ げられる。本校では、この課題を克服するため、次のような「書き方の手引き」を作成し、こ れに基づいた指導を行っている。 「書き方の手引き」とは、プリントに基本的な論 理構成の骨組みを記載しておき、生徒に記述させた い部分、例えば、自分がその立場に立つ理由や根拠、 本文に対する疑問点や批判点、文章の結論部分など を空欄にしたものである。筆者の主張に「賛成」「反 対」「一部賛成・一部反対」のどの立場からでも自 分の意見を展開できるよう、3 種類の「手引き」を 作成している。 この「手引き」に沿って記述することで、生徒が 筆者の考えや文章の書き方についての思考や考察 を深めることができる。 この指導を行う際には、中学生として の限られた見聞や体験、あるいは単なる 感覚で、根拠なく批判することがないよ うに、筆者の主張の理解を補うための資 料や、筆者と異なる立場の資料等、複数 の補助資料を準備し、これらを読ませた 上で自らの立場を決定させることが重 要である。 また、発展的な指導として、同じ立場 をとった者同士でグループを作らせ、そ れぞれの文章を読み合わせた後、代表者 による発表とグループ相互の質疑で、考 えをさらに深めさせることが望ましい。 △「書き方の手引き」の例全国学力・学習状況調査の結果に寄与したと考えられる取組
「読解力・表現力」を高めるための指導の充実・継続
授業における取組
筆者の主張に対して賛成・反対・ 一部賛成一部反対のどの立場から も論を展開できるよう、3 種類の 「手引き」を作成。 筆者の主張 賛成 一部賛成・一部反対 反対 立場によりグループを分け、 発表・質疑へと展開○生徒に筆者の考えを整理させることを意識した授業
筆者の考えを整理させることにより、それに対する自分の考えを持つことができるように なる。(板書は、以下のように生徒が「見通しと振り返り」を持てるように配慮している。)○3年間を通じて書く力を基礎から育てるための指導計画の作成
<3 年間の指導計画(赤字は中心となる単元)> 身に付ける力 取り扱う単元・教材 身近なところから題材を見つけ、 適切に場面を切り取り、経過に従 って生き生きと書く力 1 年 体験を伝え合う 3年 万葉・古今・新古今の鑑賞文 3年 卒業論文 伝えたい内容を相手に分かりやす く、正確に書く力 1 年 分かりやすく説明する 2年 調べたことを正確に伝える 3 年 新聞の特徴を生かして書く 広い範囲から題材を見付け、根拠 を明らかにしながら自分の意見を 論理的に書く力 2 年 根拠を明らかにして書く 3 年 説得力のある文章を書く 卒業までの経験などから題材を見 付け、事実の説明に、新たな知識 や自分の意見を織り交ぜながら、 首尾一貫した文章を書く力 3 年 卒業論文○新聞の記事やコラムを用いた学習
新聞の記事やコラムを教材として問題を作り、宿題 とし、授業の冒頭、短時間、答え合わせと発表をさせ ている。 問題は、その記述内容や筆者の考えを問う短答式の 問題を数問と、100文字程度で感想や意見を書かせ る記述式の問題を1、2問程度出題している。 本校では、これを第2学年2学期から毎時間実施し ており、生徒は卒業までに 100 枚以上のコラムを読むことになる。 これにより、国語の知識を確かなものにするばかりでなく時事問題に関心を持ち、考える習 慣を付けたりすることにつながるなど、国語力を高める上で有効な場となる。○毎時間、授業冒頭における漢字テストの実施
1年時から、毎時間、授業の最初に漢字テストを実施している。宿題として市販の漢字ドリ ルを計画的に学習させ、その中から毎回5問出題し、確実に定着させている。これに基づき
各単元の
指導計画を作成
「読解力・表現力」の基礎となる知識や教養の育成
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○各教科について再整理した「読解力・表現力」を踏まえた指導方法の工夫改善
「読解力・表現力」を各教科ごとに再整理(数学科の例) これを踏まえ、指導方法を工夫改善 具体的な指導方法の例○定期テストや小テストにおける工夫
▽定期テストの例(数学) ・考え方の過程を重視 「なぜそのように考えたのか」「どのようにして、 その結果に至ったのか」「結果に至るまでの過程で、 どのような間違いをしてしまったのか」等々が明らか にできるような問題を取り入れている。 ・思考力や表現力の伸張 与えられた条件を基に、自らが文章問題をつくるな どの作問活動を取り入れている。全教科を通しての「読解力・表現力」の向上
①与えられた条件を正確に読み取る能力 ②与えられた条件を図やイラスト・グラフなどに表す能力 ③自らの思考過程を文章に表す能力 ④自らの考えや意見を、根拠に基づいた分かりやすい意見として伝える能力 ⑤他者の意見を聞いて、自分の思考を検証し高める能力 ○教師からの発問は、簡潔で明瞭な指示や説明を心がける ○各授業に生徒自身が考える場面(山場)を設定し、しっかり考える時間を保障する ○生徒の考えを発表させ、その説明を聞かせる場面を意識的につくる ○生徒が自信を持って発表できるよう、ノートに書かせる等のステップを踏ませる ○その場面にあった声量での発言を意識させる ○筋道を立てて解答ができるように過程を重視する ◇式の計算や方程式等の計算問題 ・自分が考えた計算の仕方を、筋道立てて文章に表わしたり説明したりさせる ・友だちの発表を聞いて、自分の考えと比較させる ◇方程式などの文章問題や関数などの数量関係 ・自分の考えをノートに書いて発表させる ・文章問題を作成し、相互に解き合い、説明させる ◇図形などの論証 ・問題文に書かれている仮定や条件、結論などを明らかにさせる ・筋道立てて考えたことを、記号などを利用して簡潔に論理的に書かせる意欲的な読書を促すため、次のような環境整備や図書館教育の充実を図っている。 ①全校での朝読書 読書環境を整える意味も含めて学級文庫を設置、読み終えた本は読書記録カードに記入 ②読書の集い(読書の薦めをねらいとした全校集会) 「子ども読書の日」など年 3 回実施。教師による本の紹介、地域の朗読ボランティアサ ークルによる読み聞かせ、市の図書館職員等によるブックトークなど。 ③本の読み聞かせ 各クラス年3回実施、秋の読書週間の朝読書の時間 に、教師や図書館指導員が応対して読み聞かせを行う。 ④図書館指導員の配置 教育委員会が有償ボランティアの形で地域住民より 募集。本校には一人が配置され、図書室で本に関する 生徒の相談にのっている。また、図書室内の整頓が行 き届き、レイアウトの工夫などもされるようになった。 本校では、生涯にわたって学び続ける基盤としての「読解力・表現力」の育成に視点を当 てた研究実践を進めているが、平成 19 年度からは、それらの力を高める授業作りに重点を 置き、国語科のみならず、全ての教科において「読解力・表現力」の育成を目指し、研究実 践に取り組んでいる。 校内では、年間8回の授業研究会を実施し、その際、学習指導案に「読解力の視点から育 成を目指す能力」という項を設け、事後研究会で協議している。 また、市の研究指定(小中一貫教育)などを活用し、校区の小学校との授業公開や研究協 議を通して、指導内容・方法の密接な連携を図っている。