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ピタゴラスの定理の一つの証明法

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Academic year: 2021

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1. まえがき  数学の定理の中でも,ピタゴラスの定理は最も馴染み深 い定理の代表格ではないだろうか。そのために古今東西多 数の人々がその証明に取り組み,現在ではその証明法は 100種を超しているとも,300種を超しているとも言われて いる。ここで述べる証明法も,著者の一人があるふとした 機会に見出し,他の著者と共に検証したものである。ピタ ゴラスの定理関連の文献等を調べても同様な証明法は見当 たらなかったので,ここに発表する次第である。 2. ユークリッドによるピタゴラスの定理の証明法  ユークリッドによるピタゴラスの定理の最もよく知られ た証明法は,『ユークリッド原論』の第1巻命題47に記載さ れている。以下ユークリッド原論の和訳(1)から,それを 引用する。  直角三角形において直角の対辺の上の正方形は 直角をはさむ2辺の上の正方形の和に等しい。  ABΓを角 BAΓを直角とする直角三角形とせよ。 BΓ上の正方形は BA,AΓ上の正方形の和に等し いと主張する。  BΓ上に正方形 BΔEΓが,BA,AΓ上に正方形 HB,ΘΓが描かれ,A を通り BΔ,ΓE のどちら かに平行にAΛがひかれたとせよ。そして AΔ, ZΓが結ばれたとせよ。そうすれば角 BAΓ,BAH の双方は直角であるから,任意の線分BA に対し てその上の点A において同じ側にない2線分 AΓ,

論 文

ピタゴラスの定理の一つの証明法

原  憲昭

 工藤 友裕

**

下田 道成

***

Another Method for Proving the Pythagorean Theorem

Noriaki Hara*

, Tomohiro Kudo**

, Michinari Shimoda***

 In this paper, we describe a new method for proving the Pythagorean theorem. As this method is fulfilled only using by simple elementary geometry, it may be useful of understanding the Pythagorean theorem for beginners.

キーワード:ピタゴラスの定理,証明法,初等幾何学

Keywords:Pythagorean theorem, method for proving, elementary geometry

  *

 熊本高等専門学校名誉教授  

  〒860-0862 熊本市中央区黒髪2丁目21-17  

  Professor Emeritus of Kumamoto National College of Technology    2-21-17, Kurokami, Chuuou-ku, Kumamoto City, Kumamoto,    860-0862

 **

 共通教育科

   〒861-1102 熊本県合志市須屋2659-2

   Faculty of Liberal Studies, 2659-2, Suya, Koshi, Kumamoto,     861-1102 ***  情報通信エレクトロニクス工学科     〒861-1102 熊本県合志市須屋2659-2  

  Department of Information, Communication and Electronic    Engineering, 2659-2, Suya, Koshi, Kumamoto 861-1102

論 文

ピタゴラスの定理の一つの証明法

憲昭

工藤 友裕

∗∗

下田 道成

∗∗∗

Another Method for Proving the Pythagorean Theorem

Noriaki Hara, Tomohiro Kudou∗∗, Michinari Shimoda∗∗∗

In this paper, we describe a new method for proving the Pythagorean theorem. As this method is fulfilled only using by simple elementary geometry, it may be useful of understanding the Pythagorean theorem for beginners.

キーワード:ピタゴラスの定理,証明法,初等幾何学

Keywords: Pythagorean theorem, method for proving, elementary geometry

1. まえがき 数学の定理の中でも,ピタゴラスの定理は最も馴染み深 い定理の代表格ではないだろうか。そのために古今東西多 数の人々がその証明に取り組み,現在ではその証明法は100 種を越しているとも,300種を越しているとも言われてい る。ここで述べる証明法も,著者の一人があるふとした機 会に見出し,他の著者と共に検証したものである。ピタゴ ラスの定理関連の文献等を調べても同様な証明法は見当た らなかったので,ここに発表する次第である。 2. ユークリッドによるピタゴラスの定理の証明法 ユークリッドによるピタゴラスの定理の最もよく知られ た証明法は,『ユークリッド原論』の第1巻命題47に記載 されている。以下ユークリッド原論の和訳(1)から,それを 引用する。 直角三角形において直角の対辺の上の正方形は 直角をはさむ2辺の上の正方形の和に等しい。 熊本高等専門学校名誉教授 〒 860–0862 熊本市中央区黒髪2丁目 21-17

Professor Emeritus of Kumamoto National College of Tech-nology

2-21-17, Kurokami, Chuuou-ku, Kumamoto City, Ku-mamoto, 860-0862

∗∗共通教育科

〒 861–1102 熊本県合志市須屋 2659–2

Faculty of Liberal Studies, 2659–2, Suya, Koshi, Kumamoto 861–1102

∗∗∗情報通信エレクトロニクス工学科

〒 861–1102 熊本県合志市須屋 2659–2

Department of Information, Communication and Electronic Engineering, 2659–2, Suya, Koshi, Kumamoto 861–1102

ABΓを角BAΓを直角とする直角三角形とせ よ。 上の正方形はBA上の正方形の和 に等しいと主張する。 Θ Κ Α Η Β Ζ ∆ Λ Ε Γ 図1 ユークリッドによるピタゴラスの定理の 証明 上に正方形B∆EΓが,BA上に正 方形 HB ,ΘΓが描かれ,Aを通り B∆ΓE のどちらかに平行にがひかれたとせよ。そし て A∆ が結ばれたとせよ。そうすれば角 BAΓBAH の双方は直角であるから,任意の 線分BAに対してその上の点 Aにおいて同じ側 図1 ユークリッドによるピタゴラスの定理の 証明

(2)

ピタゴラスの定理の一つの証明法 (原 憲昭)

Research Reports of Kumamoto-NCT. Vol. 5(2013) ― 2 ― AH が接角を2直角に等しくする。それゆえΓA は AH と一直線をなす。同じ理由で BA も AΘと一 直線をなす。そして角ΔBΓは角 ZBA に,共に直 角であるがゆえに等しいから,双方に角ABΓが 加えられたとせよ。そうすれば角ΔBA 全体は角 ZBΓ全体に等しい。そしてΔB は BΓに等しく, ZB は BA に等しいから,2辺ΔB,BA は2辺 ZB, BΓにそれぞれ等しい。そして角ΔBA は角 ZBΓ に等しい。したがって底辺AΔは底辺 ZΓに等し く,三角形ABΔは三角形 ZBΓに等しい。そして 平行四辺形BΛは三角形 ABΔの2倍である。なぜ ならそれらは同じ底辺BΔをもちかつ同じ平行線 BΔ,AΛの間にあるから,そして正方形 HB は 三角形ZBΓの2倍である。なぜならこれらもまた 同じ底辺ZB をもちかつ同じ平行線 ZB,HΓの間 にあるから,それゆえ平行四辺形BΛは正方形 HB に等しい。同様にして AE,BK が結ばれれば, 平行四辺形ΓΛ が正方形ΘΓに等しいことも証明 されうる。ゆえに正方形BΔEΓ全体は二つの正 方形HB,ΘΓの和に等しい。そして正方形 BΔ EΓは BΓ上に描かれ,HB,ΘΓは BA,AΓ上に 描かれている。したがって辺BΓ上の正方形は辺 BA,AΓ上の正方形の和に等しい。  よって直角三角形において直角の対辺の上の正 方形は直角をはさむ2辺の上の正方形の和に等し い。これが証明すべきことであった。 3. ピタゴラスの定理の証明法の分類  多数のピタゴラスの定理の証明法が存在するが,証明の 方法で大きく分類すると,  • 初等幾何学のみで証明する方法  • 比例関係を利用して証明する方法  • 計算を援用する方法 の3系統に分類できそうである。(2)~(4)以下,それぞれの系 統の代表的な証明法を外観してみる。 3.1 初等幾何学のみで証明する方法  ユークリッドによる証明法はその代表的なものであるが, 他の例としては以下のような証明法がある。  図2において   平行四辺形BAKI = 正方形 BCHI �������(1)   平行四辺形BDMC = 長方形 BDJN �������(2) 一方   平行四辺形BAKI ≡平行四辺形 BDMC �����(3) ゆえに   正方形BCHI = 長方形 BDJN ���������(4) 同様にして   正方形AFGC = 長方形 ANJE ���������(5) ゆえに

  正方形BCHI + 正方形 AFGC = 長方形 BDEA ��(6)

したがって   a2 + b2 = c2 �����������������(7) 3.2 比例関係を利用して証明する方法  アインシュタインの証明法といわれる,相似三角形の面 積比が相似比の2乗に等しいことを利用した以下のような 証明法がある。  図3において三角形 ABC,三角形 CBK,三角形 ACK は 相似比c : a : b の相似三角形である。三角形 ABC,三角形 CBK,三角形 ACK のそれぞれの面積を S1,S2,S3とする   S2 S1 =a 2 c2 ������������������(8)    S3 S1 =b 2 c2 ������������������(9)  一方   S2 + S3 = S1 ����������������(10) ピタゴラスの定理の一つの証明法 にない2 線分AH が接角を2 直角に等し くする。それゆえΓAAHと一直線をなす。同 じ理由でBAと一直線をなす。そして角 ∆BΓは角ZBAに,共に直角であるがゆえに等 しいから,双方に角ABΓ が加えられたとせよ。 そうすれば角 ∆BA 全体は角 ZBΓ 全体に等し い。そして∆Bに等しく,ZBBAに 等しいから,2 辺 ∆BBA は2 辺 ZB にそれぞれ等しい。そして角∆BAは角ZBΓに 等しい。したがって底辺A∆ は底辺に等し く,三角形AB∆は三角形ZBΓに等しい。そし て平行四辺形は三角形AB∆の2倍である。 なぜならそれらは同じ底辺B∆ をもちかつ同じ 平行線B∆の間にあるから,そして正方形 HBは三角形ZBΓの2倍である。なぜならこれ らもまた同じ底辺ZBをもちかつ同じ平行線ZBの間にあるから,それゆえ平行四辺形 は正方形HB に等しい。同様にしてAEBK が結ばれれば,平行四辺形ΓΛが正方形ΘΓに等 しいことも証明されうる。ゆえに正方形B∆EΓ 全体は二つの正方形HB , ΘΓ の和に等しい。 そして正方形B∆EΓ上に描かれ,HB, ΘΓはBA上に描かれている。したがって 辺 上の正方形は辺 BA上の正方形の 和に等しい。  よって直角三角形において直角の対辺の上の 正方形は直角をはさむ2辺の上の正方形の和に等 しい。これが証明すべきことであった。 3. ピタゴラスの定理の証明法の分類 多数のピタゴラスの定理の証明法が存在するが,証明の 方法で大きく分類すると, 初等幾何学のみで証明する方法 比例関係を利用して証明する方法 計算を援用する方法 の3系統に分類できそうである。(2)(4)以下,それぞれの 系統の代表的な証明法を外観してみる。 3.1 初等幾何学のみで証明する方法 ユークリッドによる証明法はその代表的なものであるが, 他の例としては以下のような証明法がある。 図2において 平行四辺形BAKI =正方形BCHI· · · (1) 平行四辺形BDM C =長方形BDJN· · · (2) 一方 平行四辺形BAKI平行四辺形BDM C· · · (3) ゆえに 正方形BCHI =長方形BDJN· · · (4) 同様にして 正方形AF GC =長方形AN JE· · · (5) ゆえに 正方形BCHI +正方形AF GC =長方形BDEA(6) したがって a2+ b2= c2· · · ·(7) # - D E C % ( . ) * + $ & , ' / 0 図2 初等幾何学のみで証明する方法 3.2 比例関係を利用して証明する方法 アインシュタインの証明法といわれる,相似三角形の面 積比が相似比の2乗に等しいことを利用した以下のような 証明法がある。 # -D E C % $ 図3 比例関係を利用して証明する方法 図3において三角形 ABC ,三角形 CBK ,三角形 ACK は相似比 c : a : b の相似三角形である。三角形 ABC ,三角形 CBK ,三角形 ACK のそれぞれの面積 をS1S2S3とすると S2 S1= a2 c2· · · (8) S3 S1 = b2 c2· · · (9) 一方

Research Reports of Kumamoto-NCT. , Vol.5 (2013)

図2 初等幾何学のみで証明する方法 ピタゴラスの定理の一つの証明法 にない2 線分AH が接角を 2直角に等し くする。それゆえΓAAHと一直線をなす。同 じ理由でBAと一直線をなす。そして角 ∆BΓは角ZBAに,共に直角であるがゆえに等 しいから,双方に角 ABΓが加えられたとせよ。 そうすれば角 ∆BA 全体は角 ZBΓ 全体に等し い。そして∆Bに等しく,ZBBAに 等しいから, 2 辺∆BBAは 2 辺ZB にそれぞれ等しい。そして角∆BAは角ZBΓに 等しい。したがって底辺 A∆は底辺 に等し く,三角形AB∆は三角形ZBΓに等しい。そし て平行四辺形は三角形AB∆の2倍である。 なぜならそれらは同じ底辺 B∆をもちかつ同じ 平行線B∆の間にあるから,そして正方形 HBは三角形ZBΓの2倍である。なぜならこれ らもまた同じ底辺ZBをもちかつ同じ平行線ZBの間にあるから,それゆえ平行四辺形 は正方形 HB に等しい。同様にしてAEBK が結ばれれば,平行四辺形ΓΛが正方形ΘΓに等 しいことも証明されうる。ゆえに正方形 B∆EΓ 全体は二つの正方形 HB , ΘΓ の和に等しい。 そして正方形B∆EΓ上に描かれ,HB, ΘΓはBA上に描かれている。したがって 辺 上の正方形は辺BA 上の正方形の 和に等しい。  よって直角三角形において直角の対辺の上の 正方形は直角をはさむ2辺の上の正方形の和に等 しい。これが証明すべきことであった。 3. ピタゴラスの定理の証明法の分類 多数のピタゴラスの定理の証明法が存在するが,証明の 方法で大きく分類すると, 初等幾何学のみで証明する方法 比例関係を利用して証明する方法 計算を援用する方法 の3系統に分類できそうである。(2)(4)以下,それぞれの 系統の代表的な証明法を外観してみる。 3.1 初等幾何学のみで証明する方法 ユークリッドによる証明法はその代表的なものであるが, 他の例としては以下のような証明法がある。 図2において 平行四辺形BAKI =正方形BCHI· · · (1) 平行四辺形BDM C =長方形BDJN· · · (2) 一方 平行四辺形BAKI平行四辺形BDM C· · · (3) ゆえに 正方形BCHI =長方形BDJN· · · (4) 同様にして 正方形AF GC =長方形AN JE· · · (5) ゆえに 正方形BCHI +正方形AF GC =長方形BDEA(6) したがって a2+ b2= c2 · · · ·(7) # - D E C % ( . ) * + $ & , ' / 0 図2 初等幾何学のみで証明する方法 3.2 比例関係を利用して証明する方法 アインシュタインの証明法といわれる,相似三角形の面 積比が相似比の2乗に等しいことを利用した以下のような 証明法がある。 # -D E C % $ 図3 比例関係を利用して証明する方法 図3において三角形 ABC ,三角形 CBK ,三角形 ACK は相似比 c : a : b の相似三角形である。三角形 ABC ,三角形 CBK ,三角形 ACK のそれぞれの面積 をS1S2S3とすると S2 S1= a2 c2· · · (8) S3 S1 = b2 c2· · · (9) 一方

Research Reports of Kumamoto-NCT. , Vol.5 (2013)

(3)

 ゆえに    a 2 c2 S1 + b 2 c2 S1 = S1 �������������(11)  したがって   a2 + b2 = c2 �����������������(12) 3.3 計算を援用する方法  アメリカ合衆国の第20代大統領 Garfield の証明法として 知られている以下のような証明法がある。  図4において三角形 DEF は三角形 ABC と合同な直角三 角形である。  台形FCBD の面積は,上底が b,下底が a,高さが a + b だから(a + b)2/2 である。  一方,台形FCBD は三角形 ABC,三角形 DEF,三角形

DEB で構成されているからその面積は(ab)/2 +(ab)/2 + c2/2 である。  ゆえに   (a + b) 2 2 = 1 2 ab + 2 ab +1 c 2 2 ���������(13)  したがって   a2 + b2 = c2 �����������������14) 4. 新しい証明法 4.1 直角を挟む2 辺の長さが異なる場合  直角三角形ABC において,直角∠BCA を挟む2辺,BC, CA の長さを a,b とする。また,斜辺 AB の長さを c とす る。a > b としても一般性は失わないので,ここでは a > b とする。(図5)  直角三角形ABC の直角を挟む2辺 BC,AC をそれぞれ1 辺とする正方形BDEC,正方形 ACFG を図のように描く。 それぞれの正方形の面積はa2,b2である。  B を通って,直線 BA に垂直な直線と DE との交点を H とする。また,A を通って,直線 AB に垂直な直線と GF の延長との交点をI とする。直線 CE と直線 HI との交点J,直線 CF と直線 AI との交点を K とする。さらに,I から直線 CE に下ろした垂線の足を L とする。  △ABC と△HBD において       BC = BD ��������(15)   ∠ABC = ∠R  ∠CBH = ∠HBD ��������(16)       ∠ACB = ∠HDB = ∠R ��������(17)  ゆえに   △ABC ≡ △HBD ��������������(18)  それゆえ S2 + S3 = S1· · · (10) ゆえに a2 c2S1 + b2 c2S1 = S1· · · (11) したがって a2+ b2= c2· · · (12) 3.3 計算を援用する方法 アメリカ合衆国の第20代大統領Garfieldの証明法とし て知られている以下のような証明法がある。 # C C & ( ' $ D D % E E 図4 計算を援用する方法 図4において三角形DEF は 三角形ABC と合同な直 角三角形である。 台形 F CBD の面積は,上底が b ,下底が a,高さが a + bだから(a + b)2/2である。 一方,台形F CBD は三角形ABC,三角形DEF,三 角形 DEB で構成されているからその面積は (ab)/2 + (ab)/2 + c2/2である。 ゆえに (a + b)2 2 = 1 2ab + 1 2ab + c2 2 · · · · (13) したがって a2+ b2= c2· · · (14) 4. 新しい証明法 4.1 直角を挟む 2辺の長さが異なる場合 直角三角形ABC において,直角∠BCAを挟む 2辺, BCCA の長さをab とする。また,斜辺AB の長 こではa > b とする。(図5)

#

C

$

D

%

E

図5 新しい証明法(その0) 直角三角形ABC の直角を挟む2辺BCACをそれ ぞれ 1 辺とする正方形BDEC ,正方形 ACF G を図の ように描く。それぞれの正方形の面積はa2 b2 である。 # C $ D % E ( ) & * ' + , -. 図6 新しい証明法(その1) B を通って,直線BAに垂直な直線とDE との交点を H とする。また,Aを通って,直線ABに垂直な直線と GF の延長との交点をI とする。直線CE と直線HI と の交点を J , 直線 CF と直線 AI との交点を K とす る。さらに,点 I から直線CE に下ろした垂線の足をL とする。 △ABC△HBD において BC = BD· · · (15) ∠ABC = ∠R − ∠CBH = ∠HBD· · · ·(16) ∠ACB = ∠HDB = ∠R· · · ·(17) ゆえに △ABC ≡ △HBD· · · (18) 図4 計算を援用する方法 S2 + S3 = S1· · · (10) ゆえに a2 c2S1 + b2 c2S1 = S1· · · (11) したがって a2+ b2= c2· · · (12) 3.3 計算を援用する方法 アメリカ合衆国の第20代大統領Garfieldの証明法とし て知られている以下のような証明法がある。 # C C & ( ' $ D D % E E 図4 計算を援用する方法 図4において三角形DEF は 三角形ABC と合同な直 角三角形である。 台形 F CBD の面積は,上底が b ,下底が a,高さが a + bだから(a + b)2/2である。 一方,台形F CBDは三角形ABC,三角形DEF,三 角形 DEB で構成されているからその面積は (ab)/2 + (ab)/2 + c2/2である。 ゆえに (a + b)2 2 = 1 2ab + 1 2ab + c2 2 · · · · (13) したがって a2+ b2= c2· · · (14) 4. 新しい証明法 4.1 直角を挟む 2辺の長さが異なる場合 直角三角形ABC において,直角∠BCAを挟む2 辺, BCCA の長さをab とする。また,斜辺AB の長 こではa > b とする。(図5)

#

C

$

D

%

E

図5 新しい証明法(その0) 直角三角形ABC の直角を挟む2辺BCAC をそれ ぞれ 1 辺とする正方形BDEC ,正方形ACF G を図の ように描く。それぞれの正方形の面積はa2 b2 である。 # C $ D % E ( ) & * ' + , -. 図6 新しい証明法(その1) B を通って,直線BAに垂直な直線とDEとの交点を H とする。また,Aを通って,直線ABに垂直な直線と GF の延長との交点をI とする。直線CE と直線HI と の交点を J , 直線 CF と直線 AI との交点を K とす る。さらに,点I から直線 CE に下ろした垂線の足をL とする。 △ABC△HBD において BC = BD· · · (15) ∠ABC = ∠R − ∠CBH = ∠HBD· · · ·(16) ∠ACB = ∠HDB = ∠R· · · ·(17) ゆえに △ABC ≡ △HBD· · · (18) 図5 新しい証明法(その0) S2 + S3 = S1· · · (10) ゆえに a2 c2S1 + b2 c2S1 = S1· · · (11) したがって a2+ b2= c2· · · (12) 3.3 計算を援用する方法 アメリカ合衆国の第20代大統領Garfieldの証明法とし て知られている以下のような証明法がある。 # C C & ( ' $ D D % E E 図4 計算を援用する方法 図4において三角形DEF は 三角形ABC と合同な直 角三角形である。 台形 F CBD の面積は,上底が b ,下底が a,高さが a + bだから(a + b)2/2である。 一方,台形F CBDは三角形ABC,三角形DEF,三 角形 DEB で構成されているからその面積は (ab)/2 + (ab)/2 + c2/2である。 ゆえに (a + b)2 2 = 1 2ab + 1 2ab + c2 2 · · · · (13) したがって a2+ b2= c2· · · (14) 4. 新しい証明法 4.1 直角を挟む 2 辺の長さが異なる場合 直角三角形 ABC において,直角∠BCAを挟む 2辺, こではa > bとする。(図5)

#

C

$

D

%

E

図5 新しい証明法(その0) 直角三角形ABCの直角を挟む2辺BCAC をそれ ぞれ1 辺とする正方形 BDEC ,正方形ACF G を図の ように描く。それぞれの正方形の面積はa2b2である。 # C $ D % E ( ) & * ' + , -. 図6 新しい証明法(その1) B を通って,直線BAに垂直な直線とDE との交点を H とする。また,Aを通って,直線ABに垂直な直線と GF の延長との交点をI とする。直線CEと直線 HI と の交点を J , 直線 CF と直線 AI との交点を K とす る。さらに,点I から直線 CE に下ろした垂線の足をL とする。 △ABC△HBD において BC = BD· · · (15) ∠ABC = ∠R − ∠CBH = ∠HBD· · · ·(16) ∠ACB = ∠HDB = ∠R· · · ·(17) ゆえに △ABC ≡ △HBD· · · (18) 図6 新しい証明法(その1)

(4)

ピタゴラスの定理の一つの証明法 (原 憲昭)

Research Reports of Kumamoto-NCT. Vol. 5(2013) ― 4 ―

  HB = AB ������������������(19)

 同様に△ABC と△AIG において

       AC = AG ���������(20)

  ∠CAB = ∠R  ∠CAI = ∠GAI ���������(21)

     ∠ACB = ∠AGI = ∠R ���������(22)  ゆえに   △ABC ≡ △AIG ��������������(23)  それゆえ   AI = AB ������������������(24)  式(19)と式(24)から四辺形 ABHI は,辺 AB を1辺と する正方形であり,その面積はc2である。  図7に示すように,正方形 BDEC を構成する三角形 HBD, 三角形JHE,四辺形 CBHJ にチェックを入れる。同様に正

方 形ACFG を構成する三角形 ACK,四辺形 AKFG にも

チェックをいれる。  チェックを入れられた図形で正方形ABHI が過不足なく 埋めつくされれば,定理が証明されたことになる。  △JHE と△KIF において  式(18)から HD = b だから   HE = a  b �����������������(25)  式(23)から IG = a だから   IF = a  b������������������(26)  式(25)と式(26)から   HE = IF ������������������(27)

 ∠JHE = ∠R  ∠HJE = ∠R  ∠IJA

    = ∠JAI = ∠KIF �������������(28)   ∠JEH = ∠KFI = ∠R ������������(29)   ゆえに  △JHE ≡ △KIF ����������������(30)  それゆえ三角形JHE のチェックを三角形 KIF に移すこ とができる。(図8)  △ACK と△ILJ において          AC = FC = IL ���������(31)

  ∠KAC = ∠R  ∠AIL = ∠JIL ���������(32)

      ∠ACK = ∠ILJ = ∠R ���������(33)   ゆえに   △ACK ≡ △ILJ ���������������(34)  それゆえ三角形ACK のチェックを三角形 ILJ に移すこ とができる。(図9) ピタゴラスの定理の一つの証明法 HB = AB· · · (19) 同様に△ABC△AIGにおいて AC = AG· · · (20) ∠CAB = ∠R − ∠CAI = ∠GAI · · · (21) ∠ACB = ∠AGI = ∠R· · · (22) ゆえに △ABC ≡ △AIG· · · (23) それゆえ AI = AB· · · (24) 式(19)と式(24)から四辺形ABHIは,辺ABを1辺 とする正方形であり,その面積はc2 である。 % # $ & ' ( ) * + , -. 図7 新しい証明法(その2) 図7に示すように,正方形 BDEC を構成する三角形 HBD,三角形JHE ,四辺形CBHJにチェックを入れ る。同様に正方形ACF Gを構成する三角形ACK,四辺 形AKF Gにもチェックをいれる。 チェックを入れられた図形で正方形ABHI が過不足な く埋めつくされれば,定理が証明されたことになる。 △JHE△KIF において 式(18)からHD = bだから HE = a− b· · · ·(25) 式(23)からIG = aだから IF = a− b· · · (26) 式(25)と式(26)から HE = IF· · · ·(27)

∠JHE = ∠R − ∠HJE = ∠R − ∠IJA

=∠JAI = ∠KIF · · · (28) ∠JEH = ∠KFI = ∠R· · · (29) ゆえに △JHE ≡ △KIF · · · (30) それゆえ 三角形JHE のチェックを 三角形KIF に移 すことができる。(図8) % # $ & ' ( ) * + , -. 図8 新しい証明法(その3) △ACK△ILJ において AC = F C = IL· · · (31) ∠KAC = ∠R − ∠AIL = ∠JIL· · · (32) ∠ACK = ∠ILJ = ∠R· · · (33) ゆえに

△ACK ≡ △ILJ · · · (34)

それゆえ三角形ACK のチェックを三角形 ILJ に移す

ことができる。(図9)

Research Reports of Kumamoto-NCT. , Vol.5 (2013)

図7 新しい証明法(その2)

ピタゴラスの定理の一つの証明法

HB = AB· · · (19)

同様に△ABC△AIGにおいて

AC = AG· · · (20) ∠CAB = ∠R − ∠CAI = ∠GAI · · · (21) ∠ACB = ∠AGI = ∠R· · · (22) ゆえに △ABC ≡ △AIG· · · (23) それゆえ AI = AB· · · (24) 式(19)と式(24)から四辺形ABHIは,辺ABを1辺 とする正方形であり,その面積はc2である。 % # $ & ' ( ) * + , -. 図7 新しい証明法(その2) 図7に示すように,正方形 BDEC を構成する三角形 HBD,三角形JHE ,四辺形CBHJにチェックを入れ る。同様に正方形ACF Gを構成する三角形ACK,四辺 形AKF G にもチェックをいれる。 チェックを入れられた図形で正方形 ABHI が過不足な く埋めつくされれば,定理が証明されたことになる。 △JHE△KIF において 式(18)からHD = bだから HE = a− b· · · ·(25) 式(23)からIG = aだから IF = a− b· · · (26) 式(25)と式(26)から HE = IF· · · ·(27)

∠JHE = ∠R − ∠HJE = ∠R − ∠IJA

=∠JAI = ∠KIF · · · (28) ∠JEH = ∠KFI = ∠R· · · (29) ゆえに △JHE ≡ △KIF · · · (30) それゆえ 三角形JHE のチェックを 三角形KIF に移 すことができる。(図8) % # $ & ' ( ) * + , -. 図8 新しい証明法(その3) △ACK△ILJ において AC = F C = IL· · · (31) ∠KAC = ∠R − ∠AIL = ∠JIL· · · (32) ∠ACK = ∠ILJ = ∠R· · · (33) ゆえに

△ACK ≡ △ILJ · · · (34)

それゆえ三角形ACK のチェックを三角形ILJ に移す

ことができる。(図9)

Research Reports of Kumamoto-NCT. , Vol.5 (2013)

(5)

 △IGA と△ALI において         IG = AL �������������(35)      ∠GIA = ∠LAI �������������(36)   ∠IGA = ∠ALI = ∠R �������������(37)  ゆえに   △IGA ≡ △ALI ���������������(38)  それゆえ三角形IGA のチェックを三角形 ALI に移すこ とができる。(図10)  式(18)だから三角形 HBD のチェックを三角形 ABC に 移すことができる。(図11)

 したがって正方形BDEC + 正方形 ACFG = 正方形 ABHI,

すなわち直角を挟む2辺の長さが異なる場合について a2

+ b2 = c2 が証明できた。

4.2 直角を挟む2辺の長さが等しい場合

 直角三角形ABC の直角∠BCA を挟む2辺,BC,CA の長

さが等しい場合,すなわちa = b の場合を考える。(図12)  直角三角形ABC の直角を挟む2辺 BC,AC をそれぞれ1 辺とする正方形BDEC,正方形 ACFG を図13のように描く。 それぞれの正方形の面積はa2,b2 = a2 である。  前節4.1『直角を挟む2辺の長さが異なる場合』における 2点 H と I に相当する点は,『直角を挟む2辺の長さが等し い場合』においては,それぞれE と F とに重なることが 予 想 さ れ る。 す な わ ち 斜 辺BA に 垂 直 な2辺 は 正 方 形 BDEC,正方形 ACFG のそれぞれの対角線 BE と FA とな ることが想定される。このことを念頭に置いて以下のよう にした。 % # $ & ' ( ) * + , -. 図9 新しい証明法(その4) △IGA△ALI において IG = AL· · · (35) ∠GIA = ∠LAI · · · (36) ∠IGA = ∠ALI = ∠R· · · (37) ゆえに △IGA ≡ △ALI · · · (38) それゆえ三角形 IGAのチェックを三角形 ALI に移す ことができる。(図10) % # $ & ' ( ) * + , -. 図10 新しい証明法(その5) 式(18)だから三角形 HBD のチェックを三角形 ABC % # $ & ' ( ) * + , -. 図11 新しい証明法(その6) したがって正方形 BDEC +正方形ACF G = 正方形 ABHI,すなわち直角を挟む2 辺の長さが異なる場合に ついてa2+ b2= c2 が証明できた。 4.2 直角を挟む 2 辺の長さが等しい場合 直角三角形 ABC の直角 ∠BCA を挟む 2 辺,BCCAの長さが等しい場合,すなわち a = bの場合を考え る。(図12)

#

C

$

D

%

E

図12 新しい証明法(その7) 直角三角形ABC の直角を挟む2辺BCACをそれ ぞれ1 辺とする正方形BDEC ,正方形 ACF Gを図13 のように描く。それぞれの正方形の面積はa2 b2 = a2 である。 前節4.1『直角を挟む2 辺の長さが異なる場合』におけ る2点HI に相当する点は,『直角を挟む2辺の長さが 等しい場合』においては,それぞれEF とに重なるこ とが予想される。すなわち斜辺BA に垂直な2 辺は正方 形BDEC ,正方形ACF G のそれぞれの対角線BEF Aとなることが想定される。このことを念頭に置いて以 図9 新しい証明法(その4) % # $ & ' ( ) * + , -. 図9 新しい証明法(その4) △IGA△ALI において IG = AL· · · (35) ∠GIA = ∠LAI · · · (36) ∠IGA = ∠ALI = ∠R· · · (37) ゆえに △IGA ≡ △ALI · · · (38) それゆえ三角形IGA のチェックを三角形 ALI に移す ことができる。(図10) % # $ & ' ( ) * + , -. 図10 新しい証明法(その5) 式(18)だから三角形 HBD のチェックを三角形 ABC に移すことができる。(図11) % # $ & ' ( ) * + , -. 図11 新しい証明法(その6) したがって正方形 BDEC +正方形ACF G =正方形 ABHI ,すなわち直角を挟む2 辺の長さが異なる場合に ついて a2+ b2= c2 が証明できた。 4.2 直角を挟む 2辺の長さが等しい場合 直角三角形 ABC の直角 ∠BCA を挟む 2 辺,BCCA の長さが等しい場合,すなわち a = bの場合を考え る。(図12)

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C

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E

図12 新しい証明法(その7) 直角三角形ABC の直角を挟む2辺BCAC をそれ ぞれ1 辺とする正方形BDEC ,正方形ACF G を図13 のように描く。それぞれの正方形の面積は a2 b2 = a2 である。 前節4.1『直角を挟む 2 辺の長さが異なる場合』におけ る2点HIに相当する点は,『直角を挟む2辺の長さが 等しい場合』においては,それぞれEF とに重なるこ とが予想される。すなわち斜辺 BAに垂直な 2 辺は正方 形BDEC ,正方形 ACF G のそれぞれの対角線BEF Aとなることが想定される。このことを念頭に置いて以 下のようにした。 熊本高等専門学校 研究紀要,第 5 号 (2013) 図10 新しい証明法(その5) % # $ & ' ( ) * + , -. 図9 新しい証明法(その4) △IGA△ALI において IG = AL· · · (35) ∠GIA = ∠LAI · · · (36) ∠IGA = ∠ALI = ∠R· · · (37) ゆえに △IGA ≡ △ALI · · · (38) それゆえ三角形IGA のチェックを三角形 ALI に移す ことができる。(図10) % # $ & ' ( ) * + , -. 図10 新しい証明法(その5) 式(18)だから三角形 HBD のチェックを三角形 ABC % # $ & ' ( ) * + , -. 図11 新しい証明法(その6) したがって正方形BDEC +正方形 ACF G =正方形 ABHI ,すなわち直角を挟む2 辺の長さが異なる場合に ついて a2+ b2= c2 が証明できた。 4.2 直角を挟む 2辺の長さが等しい場合 直角三角形 ABC の直角 ∠BCA を挟む 2 辺,BCCA の長さが等しい場合,すなわち a = b の場合を考え る。(図12)

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図12 新しい証明法(その7) 直角三角形ABC の直角を挟む2辺BCAC をそれ ぞれ1辺とする正方形BDEC ,正方形ACF G を図13 のように描く。それぞれの正方形の面積は a2 b2 = a2 である。 前節4.1『直角を挟む 2 辺の長さが異なる場合』におけ る2点HIに相当する点は,『直角を挟む2辺の長さが 等しい場合』においては,それぞれEF とに重なるこ とが予想される。すなわち斜辺 BAに垂直な2 辺は正方 形BDEC ,正方形 ACF G のそれぞれの対角線BEF Aとなることが想定される。このことを念頭に置いて以 図11 新しい証明法(その6) % # $ & ' ( ) * + , -. 図9 新しい証明法(その4) △IGA△ALI において IG = AL· · · (35) ∠GIA = ∠LAI · · · (36) ∠IGA = ∠ALI = ∠R· · · (37) ゆえに △IGA ≡ △ALI · · · (38) それゆえ三角形 IGAのチェックを三角形 ALI に移す ことができる。(図10) % # $ & ' ( ) * + , -. 図10 新しい証明法(その5) 式(18)だから三角形HBD のチェックを三角形 ABC に移すことができる。(図11) % # $ & ' ( ) * + , -. 図11 新しい証明法(その6) したがって正方形BDEC +正方形ACF G = 正方形 ABHI ,すなわち直角を挟む2 辺の長さが異なる場合に ついてa2+ b2= c2 が証明できた。 4.2 直角を挟む2 辺の長さが等しい場合 直角三角形 ABC の直角 ∠BCA を挟む 2 辺,BCCA の長さが等しい場合,すなわち a = bの場合を考え る。(図12)

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図12 新しい証明法(その7) 直角三角形ABCの直角を挟む2辺BCACをそれ ぞれ1 辺とする正方形BDEC ,正方形 ACF Gを図13 のように描く。それぞれの正方形の面積はa2 b2 = a2 である。 前節4.1『直角を挟む2 辺の長さが異なる場合』におけ る2点HIに相当する点は,『直角を挟む2辺の長さが 等しい場合』においては,それぞれEF とに重なるこ とが予想される。すなわち斜辺BA に垂直な2 辺は正方 形BDEC ,正方形ACF G のそれぞれの対角線BEF Aとなることが想定される。このことを念頭に置いて以 下のようにした。 図12 新しい証明法(その7)

(6)

ピタゴラスの定理の一つの証明法 (原 憲昭)

Research Reports of Kumamoto-NCT. Vol. 5(2013) ― 6 ―  B と E を結ぶ。同様に A と F を結ぶ。  △ABC と△BEC において         AC = BC ������������(39)         BC = EC ������������(40)   ∠ACB = ∠BCE = ∠R ������������(41)  ゆえに   △ABC ≡ △BEC ��������������(42)  それゆえ   BE = AB ������������������(43)  また,△ABC,△BEC は直角二等辺三角形だから

  ∠ABE = ∠ABC + ∠CAE = ∠R ��������(44)

 同様に△ABC と△FAC において         BC = AC ������������(45)         AC = FC ������������(46)   ∠BCA = ∠ACF = ∠R ������������(47)  ゆえに   △ABC ≡ △FAC ��������������(48)  それゆえ   FA = AB ������������������(49)  また,△ABC,△FAC は直角二等辺三角形だから

  ∠FAB = ∠FAC + ∠CAB = ∠R ��������(50)  式(43),式(49),式(44),式(50)から四辺形 ABEF は,辺AB を1辺とする正方形であり,その面積は c2である。  BE は正方形 BDEC の対角線だから,   △BED ≡ △BEC ��������������(51)  またAF は正方形 ACFG の対角線だから,   △FGA ≡ △FAC ��������������(52)  一方△FCE は   FC = CE = a ����������������(53)   ∠FCE = 2π[rad]  3∠R = ∠R ��������(54)  ゆえに   △FCE ≡ △ABC ��������������(55)  式(42),式(48),式(51),式(52)から正方形 BDEC, 正方形ACFG,正方形 ABEF を構成するすべての三角形は 三角形ABC 合同である。

 したがって正方形BDEC + 正方形 ACFG = 正方形 ABEF,

すなわち直角を挟む2辺の長さが等しい場合についても a2 + b2 = c2 が証明できた。 5. むすび  ピタゴラスの定理を初等幾何学のみで証明する方法のほ とんどは面積が等しい,あるいはその2倍,1/2等の他の図 形に移し変えて比較する方法を取っている。ユークリッド による証明法もその一つである。このことが,初心者に とっては,理解しがたい印象を与えているのではないだろ うか。  ここで述べたピタゴラスの定理の新しい証明法は,初等 幾何学のみで証明する方法であるが,使用する知識は直角 三角形の合同条件のみなので,初心者にとっても理解しや すい証明法になっていると思われる。また,図形の変形は いっさい行わないので,鋏で切り離し,貼り合わせること で理解を助けることができるかもしれない。 (平成25年9月3日受付) (平成25年11月6日受理) 参考文献  (1) 訳解説 中村幸四郎,寺坂英孝,伊藤俊太郎,池田美 恵,“ユークリッド原論,” 共立出版社,pp.33-34. (2) 森下四郎,“ピタゴラスの定理100の証明法 ——幾何の 散歩道——,”プレアデス出版,pp.152-193.

(3) Roger B. Nelsen,“Proofs Without Words: Exercises in Visual Thinking,” The Mathematical Association of America, pp.3-9.

(4) Roger B. Nelsen,“Proofs Without Words II: More Exercises in Visual Thinking,” The Mathematical Association of America,pp.3-8. ピタゴラスの定理の一つの証明法 # C $ D % E & ' ( ) 図13 新しい証明法(その8) BE を結ぶ。同様にAF を結ぶ。 △ABC△BEC において AC = BC· · · (39) BC = EC· · · (40) ∠ACB = ∠BCE = ∠R· · · (41) ゆえに △ABC ≡ △BEC · · · (42) それゆえ BE = AB· · · (43) また,△ABC△BEC は直角二等辺三角形だから ∠ABE = ∠ABC + ∠CAE = ∠R· · · (44)

同様に△ABC△F AC において BC = AC· · · (45) AC = F C· · · (46) ∠BCA = ∠ACF = ∠R· · · (47) · · · (48) ゆえに △ABC ≡ △F AC · · · (49) それゆえ F A = AB· · · (50) また,△ABC△F AC は直角二等辺三角形だから ∠FAB = ∠FAC + ∠CAB = ∠R· · · ·(51)

式(43),式(50),式(44),式(51)から四辺形ABEF は,辺ABを1辺とする正方形であり,その面積はc2 ある。 BE は正方形BDEC の対角線だから, △BED ≡ △BEC · · · (52) またAF は正方形ACF Gの対角線だから, △F GA ≡ △F AC · · · (53) 一方△F CEF C = CE = a· · · (54) ∠FCE = 2π[rad] − 3∠R = ∠R· · · ·(55) ゆえに △F CE ≡ △ABC · · · (56) 式(42),式(49),式(52),式(53)から正方形BDEC, 正方形ACF G,正方形ABEF を構成するすべての三角 形は三角形ABC と合同である。 したがって正方形 BDEC +正方形ACF G = 正方形 ABEF ,すなわち直角を挟む2辺の長さが等しい場合に ついても a2+ b2= c2 が証明できた。 5. む す び ピタゴラスの定理を初等幾何学のみで証明する方法のほ とんどは面積が等しい,あるいはその2 倍,1/2等の他の 図形に移し変えて比較する方法を取っている。ユークリッ ドによる証明法もその一つである。このことが,初心者に とっては,理解しがたい印象を与えているのではないだろ うか。 ここで述べたピタゴラスの定理の新しい証明法は,初等 幾何学のみで証明する方法であるが,使用する知識は直角 三角形の合同条件のみなので,初心者にとっても理解しや すい証明法になっていると思われる。また,図形の変形は いっさい行わないので,鋏で切り離し,貼り合わせること で理解を助けることができるかもしれない。 (平成25年8月25日受付) (平成25年10月1日受理) 参考文献 ( 1 ) 訳解説 中村幸四郎,寺坂英孝,伊藤俊太郎,池田美恵,“ユーク リッド原論,” 共立出版社,pp.33——34. ( 2 ) 森下四郎,“ピタゴラスの定理 100 の証明法 ——幾何の散歩道 ——,” プレアデス出版,pp.152–193.

( 3 ) Roger B. Nelsen,“Proofs Without Words: Exercises in Vi-sual Thinking,” The Mathematical Association of America, pp.3–9.

( 4 ) Roger B. Nelsen,“Proofs Without Words II: More Exer-cises in Visual Thinking,” The Mathematical Association of America,pp.3–8.

Research Reports of Kumamoto-NCT. , Vol.5 (2013)

参照

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