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Taro-book簿記2010改訂.j

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第14章

有形固定資産

-建物、備品、土地など

1 有形固定資産 損益計算書は、企業の損益計算のために、収益と費用を対比して表示される。 費用とは、収益のマイナス項目であって、売上原価、販売費、一般管理費、支 払利息などに区分される。いずれも、収益を生み出すコストであり、例えば、 販売費及び一般管理費には、給料手当、外注加工費、販売手数料、荷造運搬費、 広告宣伝費等があるが、これ以外のものにも収益に対比されるコストがないわ けではない。例えば、建物に投下された資金は、収益を生み出すためのコスト であることは確かである。しかし、建物に投下された資金は、そのままでは費 用として把握されることはなく、当初は資産として把握されるのが、簿記の考 え方である。 建物に投下された資金は、投下された年度の収益にその全額が対比されるか というと、そうではない。すなわち、建物は、建物が朽ちて使用不能になるま での間、そこで獲得される収益のために貢献するのであって、通常費用とされ るものと異なって、支出がされたその期間内だけで消費されてしまうものでは ない。よって、資金支出がされた年度の費用とはされず、資産とされ、以後徐 々に費用として損益計算に振替えられるのである。この考え方を減価償却とい い、後述するところである。 会計公準の項で述べたように、現代の会計は、継続する企業活動を人為的に 一定期間(通常1年間)に区切ることによって成り立っている。したがって、こ の一定期間以内に消費尽くされる、すなわち、その期間内に生じた収益のため

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に費やされるものが費用であり、この一定期間を超えてなお使用されるものは、 資産とされるのである。そして、この資産のうち、使用期間が長く、かつ、有 形のものを有形固定資産とし、建物、建物付属設備、構築物、備品、車両運搬 具、土地などに区分され、貸借対照表に表示される。 2 建物 建物とは、土地に定着する工作物であって、屋根及び柱若しくは壁を有する ものであり、建物勘定を設けて、その一切を整理する。建物には、店舗、事務 所、工場、倉庫、寄宿舎、食堂など、上記の定義に該当するものの全てが含ま れる。 建物の取得には、購入、建設(業者委託、 自己建設)などがあり、そのいずれも建物勘 定の借方に処理され、一方、建物の売却、廃 却、使用に伴う価値の減少などは貸方に処理 される。 購入による建物の取得価額は、購入代価に取得のために直接必要とされた付 随費用が、建設請負による建物の取得価額は、請負金額に取得のために直接必 要とされた付随費用が加算される。また、自己建設による建物の取得価額は、 建設に要した材料代、人件費、経費(これを建設原価といい、原価計算の基準 では、材料費、労務費、経費という名称を用いる)に取得のために直接要した 付随費用が加算される。 取得のために直接要する付随費用とは、仲介人の手数料などをいい、不動産 取得税や登記費用は、通常これに含ませない。 建 物 購 入 売 却 建 設 廃 却 価値の減少

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3 建物付属設備 冷暖房、電気、換気などの付属の設備は、建物付属設備勘定を設け、その借 方に増加、貸方に減少を整理する。建物付属設備はこのように会計整理上は建 物と区分するが、貸借対照表における表示の上では建物勘定に含めて表示され るのが通常である。 4 構築物 土地に定着する工作物のうち建物として整理されないものは、構築物勘定を 設け、その借方に増加、貸方に減少を整理する。 門、塀、庭園、上下水道、電気設備などであり、鉄道軌道、橋、貯水池など も構築物勘定で整理される。 5 備品 机、椅子、書庫、計算機など、それ単体で使用することができるものを備品 といい、備品勘定を設け、その借方に増加、貸方に減少を整理する。 6 車両・運搬具 乗用車、トラックなどは、車両運搬具勘定を設け、その借方に増加、貸方に 減少を整理する。

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7 土地 土地は、土地勘定を設け、その借方に増加、貸方に減少を整理する。 土地の取得価額は、購入代価にその取得に直接要する付随費用を加算する。 その取得に直接要する付随費用には、仲介手数料、土盛費、整地費、道路造成 費などであるが、道路造成費などでそれ自体で独立の工作物とみなされるもの は、構築物勘定で整理される。道路、上下水道、電気設備などが構築物として 整理されるものの例であるが、土地の特徴はその永続性にあり、これら構築物 としての工作物はいずれは朽ちて廃却されるからである。 8 減価償却 建物、建物付属設備、構築物、備品、車両運搬具、土地などの有形固定資産 は、収益獲得のために長期間にわたって使用されるので、その支出の時点では 費用として処理されず、資産として処理されたのである。しかしながら、土地 を除く他の有形固定資産は、最終的には使用不能になり廃棄される。 この過程は、建物等の資産が取得から廃棄までの期間にわたって収益獲得に 貢献する過程であり、会計的には、収益に対するコストの認識の過程である。 すなわち、取得から廃棄までを一定の期間(例えば1年間)で区切らず、取得か ら廃棄までの期間を一会計期間とみれば、建物等の資産に投下された資金は費 用とみるべきものであり、その観点からすれば、この資産は費用の固まりであ るともいえる。 したがって、この費用の固まりを期間の経過ごとに収益を獲得するコストと して費用認識することが求められるのである。しかしながら、建物等の資産の 価値が期間の経過に応じて費用とされていくとしても、その額がどの位かを測

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定することが難しく、そこで、これら建物等の使用可能期間を見積もって、そ の取得価額を各使用期間に割り当てることを求め、これを減価償却というので ある。 使用可能期間を耐用年数、減価償却によっ て算定される費用を減価償却費といい、減価 償却費勘定を設け、その借方に記入するとと もに、同額を建物等の資産勘定の貸方に記入 する。 減価償却費の計算方法としては、通常、定 額法と定率法が用いられるが、生産高比例法や取替法もある。 (イ) 定額法 定額法は、毎期の減価償却費を一定とする方法であり、グラフにすると直線 になるため直線法ともいわれる。 毎期の減価償却費を一定額にするのは、収益獲得のための建物等のコストを 直接的に把握できないのであるから、思考の上でこの額を一定額とするのが理 に叶うとするものであり、その算式は次のとおりである。 ※ 1 残存価額とは、廃棄のときに処分可能な額であり、したがっ て、処分可能であるが故にコストにならない額である。 法人税法がこれを取得価額の 10 %としているので、通常、 各企業とも法人税法の定めのまま 10 %として計算する。 ※ 2 この式は、次のように表わすこともできる。法人税法が定め ている算式である。上記の算式との違いは、計算における端数 減価償却費 計 算 額 建 物 計 算 額 減価償却費=(取得価額-残存価額)÷耐用年数

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処理に過ぎない。 減価償却費=(取得価額-残存価額)×定額法の償却率 定額法の償却率とは、(1÷耐用年数)であり、例えば、耐用 年数が 10 年であれば 10 %、20 年であれば 5 %である。 [例 52] 決算にあたり、備品の減価償却を定額法で行った。 ただし、取得価額 300,000 円 残存価額 取得価額の 10 % 耐用年 数 5 年とする。 (借) 減価償却費 54,000 (貸) 備 品 54,000 ※ 1 (300,000 - 300,000 × 10 %)÷ 5 = 54,000 ※ 2 (300,000 - 300,000 × 10 %)× 20 %= 54,000 ※ 3 減価償却費一覧表 減 価 償 却 費 年度 取得価額 年度額 累計額 帳簿価額 1 300,000 54,000 54,000 246,000 2 54,000 108,000 192,000 3 54,000 162,000 138,000 4 54,000 216,000 84,000 5 54,000 270,000 30,000 計 300,00 270,000 30,000 帳簿価額は、未だ減価償却がされていない金額で あるから、未償却残高ともいわれる。 ※ 4[1年度末の総勘定元帳] 備 品 備品減価償却費 取得価額 300,000 54,000 54,000 ※ 5[5 年度末の総勘定元帳] 備 品 備品減価償却費 前期繰越 84,000 54,000 54,000

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(ロ) 定率法 定率法は、毎期の減価償却費の算出にあたって、未償却残高に定率を乗ずる 方法であり、グラフにすると逓減するので逓減法ともいわれる。 これは、機械等の有形固定資産は古くなると急に陳腐化することがある。し たがって、使用の当初に多額の減価償却費を計上し、だんだんと減価償却費を 逓減していくのが、費用化の思考の上では理に叶うとするものであり、その算 式は、次のとおりである。 減価償却費=未償却残高×定率 ※ 1 未償却残高=取得価額-減価償却費の累計額 ※ 2 定率は、次のように算定される。 n S 定率=1- C n =耐用年数 S =残存価額 C =取得価額 定率法の償却率 % 年数 5 10 15 20 30 40 50 率 36.9 20.6 14.2 10.9 7.4 5.6 4.5 <参考>定額法で使用する償却率 % 年数 5 10 15 20 30 40 50 率 20.0 10.0 6.6 5.0 3.4 2.5 2.0 [例 53] 決算にあたり、備品の減価償却を定率法で行った。 ただし、取得価額 300,000 円 残存価額 取得価額の 10 % 耐用年 数 5 年とする。 (借) 減価償却費 110,700 (貸) 備 品 110,700 ※ 1 300,000 × 36.9 %= 110,700

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※ 2 2 年度目の償却費の計算 (300,000 - 110,700)× 36.9 %= 69,852 3 年度目の償却費の計算 {300,000 -(110,700 + 69,852)}× 36.9 %= 44,076 ※ 3 減価償却費一覧表 減 価 償 却 費 年度 取得価額 年度額 累計額 帳簿価額 1 300,000 110,700 110,700 189,300 2 69,852 180,552 119,448 3 44,076 224,628 75,372 4 27,812 252,440 47,372 5 17,550 269,990 30,010 計 300,00 269,990 30,010 (ハ) 生産高比例法 生産高比例法とは、鉱物資源のように埋蔵量が限られているものの総量に対 する当該年度中の採掘量の割合を償却率とするものをいい、法人税法では、鉱 業用の減価償却資産についてその適用を認めている。 (ニ) 取替法 取替法とは、取替資産について適用される方法であって、資産取得後は減価 償却費の計上は行わず、計上資産について一部の取替が行われた場合にその取 替額の全額を費用として処理する方法である。 法人税法は、取替法を認めることができる資産を取替資産といって、軌条、 枕木、木柱、碍子等その他多量に同一目的のために使用される減価償却資産で、 毎事業年度使用に耐えなくなったこれらの資産の一部がほゞ同数量ずつ取り替 えられるものとしている。

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9 減価償却費の処理と表示 なお、上記に示した減価償却費を建物等の勘定から直接控除して減価償却費 勘定に振替える減価償却費の処理方法を直接控除法といい、この外にも間接控 除法がある。 間接控除法は、減価償却費勘定への計上にあたって当該金額を建物等の勘定 から直接控除することなく減価償却累計額という勘定を設定し、この勘定の貸 方に当該金額を計上するものである。ここでの減価償却累計額勘定は建物勘定 等の評価勘定であるので、建物等の未償却価額は建物等の勘定の金額から減価 償却累計額を控除した差額である。 ①直接控除法による総勘定元帳 建 物 減価償却費 前期繰越額 減価償却費 建 物 ②間接控除法による総勘定元帳 建 物 減価償却費 取得価額 建物減価償却累計額 建物減価償却累計額 減価償却費 ※減価償却の貸借対照表における表示 貸借対照表(例 1) 貸借対照表(例 2) 固定資産 固定資産 建 物 99,000 建 物 100,000 構 築 物 19,900 減価償却累計額△ 1,000 : 構 築 物 20,000 : 減価償却累計額△ 100 (注記)減価償却累計額 1,100 間接控除法における仕訳 (借) 減価償却費 ××× (貸) 建物減価償却累計額 ×××

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第15章

無形固定資産・投資等

-営業権、特許権、投資有価証券、長期貸付金、長期前払費用など- 1 無形固定資産 営業権、特許権、借地権、商標権、実用新案権、意匠権、鉱業権、漁業権、 電話加入権などを、買入または自己開発したときは資産とし、それぞれの勘定 の借方に整理し、それを譲渡または償却した ときは貸方に整理する。これらの資産は、有 形固定資産と異なり無形であるので、無形固 定資産とよばれる。 一部のものを除き、収益との対応関係を認 識し、減価償却計算を行うが、その計算方法 は、定額法がとられるのがふつうである。 営業権は、営業活動を行う企業そのものに 価値を認めるものであるが、法律的な権利で はないので、他から購入した場合に限り、資 産として把握し、営業権勘定で整理する。 特許権は、特許法により特許権者が独占的 排他的に特許発明の上にもつ支配権をいい、 その取得形態には他からの購入及び自己開発 の場合があり、特許権勘定を設け、他から購 入した場合はその購入価額、自己開発の場合は開発費用及び特許申請料等の経 固定資産 有形固定資産 無形固定資産 営業権 特許権 借地権 商標権 実用新案権 意匠権 鉱業権 漁業権 電話加入権 その他 投資その他の資産

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費をもって、資産として整理する。 実用新案権は、実用新案法により実用新案者が独占的排他的に実用新案の上 にもつ支配権をいう。これにも、他からの購入及び自己開発があり、実用新案 権勘定を設け、資産として整理する。 借地権は、建物の所有を目的とする地上権及び賃借権をいい、借地契約によ り他に権利金として支払がなされた場合に限り、借地権勘定を設け、資産とし て整理する。 商標権は、商標法により商標権者が指定商品について登録した商標を独占的 排他的に使用する権利をいい、商標権勘定を設け、資産として整理する。 意匠権は、意匠法により意匠権者が工業上利用できる新規の意匠を独占的排 他的に使用する権利をいい、意匠権勘定を設け、資産として整理する。 鉱業権は、鉱業法により鉱区において一定の鉱物を採掘しその所有権を取得 する権利をいい、鉱業権勘定を設け、資産として整理する。鉱業権については、 減価償却方法として定額法のほかに生産高比例法を採用することを法人税法は 認めている。 漁業権は、漁業法により漁場において一定の漁業を独占的排他的にする権利 をいい、漁業権勘定を設け、資産として整理する。 電話加入権は、電話を架設する際の支出額をいい、電話加入権勘定を設け、 資産として整理する。電話加入権は、価値が減少しないとして、減価償却を行 わない。 2 投資その他の資産 他の会社の株式や社債を購入し、その保有に長期を予定しているとき等は、 資産とし、それぞれの勘定の借方に整理し、それを譲渡または減額したときは

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貸方に整理する。貸付金で、貸付期間が長期を予定しているときも同様である。 これらの資産は、投資その他の資産とよばれる。 このような資金支出は、財務上長期 の運用益を予定するときや他の会社の 支配権または強い影響力を保とうとす るときに行われる。 勘定整理上の注意事項は、流動資産 に整理されたものと同様である。 3 長期前払費用 流動資産に整理された前払費用と性 質は同じであり、異なる点は、前払の 期間が決算日の翌日から1年以内か否 かにある。1年以内のものは流動資産 の前払費用勘定で、1年を超えるもの は投資その他の資産の長期前払費用勘 定で整理される。いずれも資産勘定で ある。 前年度の決算で長期前払費用とされ たものが、次の年度の決算で1年以内になった場合は、長期前払費用勘定から 前払費用勘定に振替を要する。 固定資産 有形固定資産 無形固定資産 投資その他の資産 投資有価証券 関係会社株式 関係会社社債 出資金 関係会社出資金 長期貸付金 株主、役員、又は従業員 に対する長期貸付金 関係会社長期貸付金 破産債権、更正債権その他 これらに準ずる債権 長期前払費用 その他

参照

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