別添(別記様式第1号)
浜の活力再生広域プラン
1 広域水産業再生委員会 組織名 小笠原広域水産業再生委員会 代表者名 小林 幸宗 広 域 委 員 会 の 構成員 ・父島地域水産業再生委員会 (小笠原島漁業協同組合) ・東京都小笠原村 (産業観光課) ・東京都 (小笠原支庁産業課) ・東京都漁業協同組合連合会 対 象 と な る 地 域 の 範 囲 及 び 漁業の種類 東京都小笠原村周辺地域(海面) 小笠原村父島:底魚一本釣り漁業 (36 名) かつお・まぐろ釣り漁業 (22 名) まぐろはえ縄漁業 ( 2 名) ひき縄漁業 (32 名) そでいか漁業 (22 名) かめ漁業 ( 4 名) えび籠漁業 (26 名) ※対象漁業者数 36 名 (漁法を兼ねている者 35 名) 2 地域の現状 (1)地域の水産業を取り巻く現状等 ①流通機能と魚価について 父島における荷捌き施設をはじめ冷蔵、加工などの生産・供給施設は、漁協事務所がある二見 漁港の一箇所に集約されている。 島内への出荷については、販売店、飲食店などが漁協に買い付けに訪れている。一方、島外へ の出荷については、鮮魚での出荷を基本としており、東京港への重要な輸送船となっている定期 船「おがさわら丸」が出航する日(通常は6日毎、夏休み期間は4日毎)の午前中に、輸送コン テナへの積み込みが行われている。「おがさわら丸」で約 24 時間かけて1千 km を輸送された鮮 魚は、東京港芝浦埠頭で陸揚げ・積み替えされた後に築地市場に送られ、都内をはじめ、仙台、 小田原、九州などの地方市場に出荷されている。 このように小笠原から芝浦埠頭での陸揚げまでの輸送方法が限定的な状況にある。また、父島 の二見漁港で水揚された日から東京で陸揚げされるまでの時間は、最小で2日間、最大で8日間 (まぐろはえ縄漁業は13日間)かかる。鮮魚として出荷することが前提のため、こうした時間 差が、鮮度に影響を与えていることは否めない。また、漁場での泊まりによる漁業も頻繁に行われていることで、漁船の船倉での保管期間の長さや保管方法の違いが、鮮度に影響を与えている。 こうしたことが、魚価の低下の要因になっており、短時間で集荷・流通される国内の各地域の漁 獲物と比較した場合、価格競争の面において不利な条件になっている。 一般的に魚が高値で取引される要因として、産地や数量が限定、旬の美味しさなど様々あるが、 小笠原の魚に関しては、特に鮮度が高いことが刺身の用途として取引されるため、高値に繫がる 要素になっている。 一方、現状として明確な鮮度判別による出荷を行っていないため、鮮度の高い魚と低い魚を混 在したままの出荷によって、取引価格は鮮度の低いものに影響を受け、このことが全体的に魚価 を下げてしまう要素となっている。 こうした小笠原が抱える課題を克服していくためには、K値を活用した鮮度保持の研究を重ね るとともに、漁協と販売役である東京都漁連の水産物流通センターとが連携し、鮮度ごとにきめ 細かく仕訳して販売できる体制を確立するなど、漁価の向上を図る取組を推進することが重要で ある。 なお、鮮度の影響をあまり受けない加工品製造については、消費拡大に向けて新製品開発に努 めているが、供給される島内産原材料に限りがあるため、現状では観光客へのお土産用など島内 消費が基本となっている。島内流通においては、特に大きな課題は抱えていない。 ②操業・漁場環境について 小笠原諸島は、約 119 万㎢の広大な排他的経済水域を有し、漁場は、主に、聟(むこ)島列島、 父島列島、母島列島、硫黄列島周辺の広い海域に点在して分布している。 小笠原諸島は亜熱帯に属し比較的気温の変化は少ないが、外洋孤立型の島しょであることか ら、夏場の台風などにより国内でも有数の波浪条件が厳しい地域である。波高は高く、周期も長 いことから、漁に適した時期に出漁できる日数が年によって大きく変化するなど、厳しい操業環 境下に置かれている。 また、平成 26 年に外国漁船によるサンゴの大規模密漁問題が生じた。同年 10 月には 200 隻を 超える違法操業が確認され、サンゴ漁場が広範囲にわたり蹂躙されるばかりでなく、大量の漁具 (漁網)が海底に投棄されている様子がその後の調査で判明した。サンゴ漁場は底生性の魚類等 の貴重な生息環境でもあることから、底魚一本釣り漁業等への深刻な影響が懸念されている。 なお、残存漁具については、平成 28 年 7 月から漁業活動の傍ら、漁業者の手による回収作業 を行っているが、現時点では完了の目途は立っていない。 ③担い手の確保について 平成 23 年に世界自然遺産に登録されるなど、小笠原が持つ魅力により、毎年島外から若い漁 業者が参入してくる要因にもなっているが、一方で、海況等厳しい漁業環境にあることを十分に 認識しない者や、島しょ生活に適合できない者も多い。そのため、研修時に挫折してしまう者も 多く、新規就業者が定着することは少ない。 しかし、離島である小笠原の地域経済を維持・振興していく上で、漁業は重要な産業となって いる。この先漁業従事者の高齢化を迎える中で、島外からの就業者を確保していかなければ、小 笠原の漁業を活性化していくことはできない。
また、排他的経済水域という広大な海域における漁業活動の拠点となっている小笠原諸島は、 国境の島としての国家的な重要性をも有しており、外国船による違法操業を監視する上でも、本 海域における漁業活動は重要な役割を果たしている。
(2)その他関連する現状等 ①小笠原村の就業者数について 父島における産業別の就業者数で見た場合、男性の公務や建設業への従事者が多くを占めてい る。女性では、宿泊業や飲食店などのサービス業への従事者数が最も多い。 小笠原が世界自然遺産に登録されたとおり、島には将来の世代に引き継いでいくべき、かけが えのない自然がある。こうした大自然の魅力を満喫できるトレッキングや、ダイビング、釣り等 のマリンレジャーなどを目的に来島する観光客を対象とした宿泊施設、ツアーガイドなどのサー ビス業に住民の多くが従事しているが、需要規模が限られており顧客が安定しないことなどか ら、満足な経営状況にない業者も出てきている。 島内の漁業者数は、島内全体の割合からすると多い方ではないが、国勢調査に基づく「稼ぐ力」 (地域の外から稼ぐ目安)がもっとも高い産業は、小笠原村では「漁業」となっており、漁業が 基盤産業としての大きな役割を果たしている。 ②小笠原村の人口予測について 平成 28 年 3 月に小笠原村が策定した人口ビジョンによると、2010 年(平成 22 年)における 村の老年人口(65 歳以上の高齢化率)の割合は、10.7%と全国値(23.1%)に比べ大幅に下回 っているが、2050 年にかけて高齢化が進行し 27.0%になると予測されている。 また、村民に対する居住にかかわる意向調査では、島内での医療、介護、福祉等の体制への不 安を示す人も多く、人口減少に歯止めをかけるためには、医療・福祉のあり方についての検討が 必要となっている。 ③小笠原村の総合戦略について 村の総合戦略では、「まち・ひと・しごと創生のための4つのプロジェクト」が示されており、 その中で、村の地域経済の活性化を促進するとともに定住人口を維持していくため、地域特有の 農水産物資源(メカジキなど)の付加価値を高めるとともに第一次産業を振興し、関連する雇用 の創出・安定を図ることとしている。また、加工業や観光業とも連携した取り組みを展開するこ ととしている。 ④小笠原全域における連携について 現在、小笠原村における漁業活動の拠点は、父島と母島の2ヶ所となっているが、本プランの 策定に取り組む広域水産業再生委員会には、父島を拠点とする父島地域水産業再生委員会(小笠 原島漁業協同組合)のみが参画している。元来、両島とも四方を海に囲まれ外洋孤立の離島であ り、海上約50km(漁船で片道6時間)離れていることから、日常的に漁業や出荷での交流も限 られるため、父島単独の参画でも広域プランの効果は十分得られるものと考えている。 現時点において、母島地域における浜活プランは未策定であり広域プラン策定への参画も困難
であるが、両島は多くの共通した水産業の課題を抱えているのも事実である。将来的に小笠原全 域における競争力強化に向けて、出荷方法の統一化や機能分担等について検討する余地があるこ とから、両島の連携について引き続き調整を図っていく。
3 競争力強化の取組方針 (1)機能再編・地域活性化に関する基本方針 ①船上処理方法の改善による高鮮度化 漁獲物の鮮度に大きく影響を与えるのは、漁獲後の船上処理である。他地域に比べ一年を通じ て気温が高い小笠原では、晴天時にはかなりの高温となり、漁獲物の鮮度に与える影響が特に大 きいことから、船上処理には十分な配慮かつ迅速な対応が求められている。しかし、現在船上で の漁獲物の処理方法の統一化はなされておらず、結果漁獲物の鮮度にばらつきが生じている。 そのため、一財)日本冷凍食品検査協会への依頼により行う科学的な鮮度判別(K値測定)を 指標に、船上処理方法の違いが漁獲物の鮮度に与える影響を調べるとともに、これらの値を基に、 漁獲物の船上処理方法を改善し、適正な処理方法を確立する。そのうえで、処理方法の統一化を 図り、小笠原産の漁獲物を高鮮度化させる。 ②出荷基準の構築と用途別(生食用・加熱用)出荷による魚価向上 小笠原から本土に出荷される魚類は、メカジキ、メバチ、キハダ、カンパチ等の大型魚類をは じめ、ハマダイ、アカハタ、ホウキハタなどが主なもので、鮮魚として扱われている。 こうした漁獲物の市場への流通に際しては、週に1便の「おがさわら丸」での搬送方法しかな く、漁獲後出荷するまでの経過時間は、そのまま漁獲物の鮮度に大きく影響を及ぼし、当然なが ら漁獲後すぐに出荷されたものは鮮度が高いが、漁獲後から日数が経過するごとに鮮度が低下し ていく。鮮度が低下したものは、同じ鮮魚でも刺身などの生食用として扱えないため取引価格が 低くなる。こうした鮮度が違う両者が出荷物の中に混在することによって、取引において鮮度に 関する信頼度が落ち、出荷物全体が鮮度の低いものとして評価され、全体的に魚価の低下に繫が っている。 そのため、小笠原島漁協においては、漁業者と連携し科学的な鮮度判別(K値測定)を指標に、 魚種ごとに漁獲からの経過時間による鮮度の違いを調べるとともに、個々の鮮魚を生食用の扱い ができるものと加熱用になるものとに区分して販売できるよう、鮮度判別に基づく出荷基準(段 階別)を設ける。 その上で、漁協では魚種ごとの鮮度判別に基づく出荷基準に則って、生食用と加熱用に分けて パッキング等の箱詰め作業を行い出荷する。 一方、漁協の漁獲物を買取販売している都漁連水産物流通センター(所在地:大田区京浜島) においては、築地や地方の卸売市場等の市場価格の動向や顧客の鮮魚に関するニーズ(魚種や量 など)の把握に努め、特に高い値段で出荷できる市場価格の情報を収集し、販売に際し顧客が求 める用途別(生食用・加熱用等)に応じて高い取引価格を提示している卸売市場等と取引できる よう、きめ細やかな販売体制を構築する。 このように、小笠原島漁協と京浜島にある都漁連水産物流通センターが密接かつ広域的に連携 することで、鮮魚の用途別出荷による魚価の向上を図るとともに、小笠原産水産物の鮮度に対す
る信頼度をより一層高め、魚価の全体的な底上げを目指す。 ③小笠原産水産物の認知度向上 小笠原産水産物は都内だけにとどまらず宮城県や九州各県へ出荷されるなど、他所でも取り扱 われている。しかし、その地域も限定されていることや一般消費者の小笠原産水産物に関する知 名度が低いことなどから、売り先のニーズも低くなっている。小笠原産水産物の認知度向上を図 るためには、さらなる市場開拓はもとより、一般消費者へのPRも重要になってくる。 そのため、現在のところやり取りのない卸売市場についても積極的に赴き、調整を行うなど販 路拡大に向けた取り組みを行う。この他、一般消費者向けに島内外の産業活性化イベント等を活 用したPR体制を構築し、小笠原産の水産物について広く知ってもらう機会を拡充するなどし て、認知度向上を図る。 (2)中核的担い手の育成に関する基本方針 ④中核的漁業者の計画的な育成 小笠原の漁業においては、夏場の台風などの影響により、年によって出漁できる日数が大きく 異なっており、それが漁獲量に反映されるため収益の安定性が確保できない状況にある。 こうした環境の中、浜の活力及び水産業の競争力を高めていくためには、漁業者の中でやる気 のある者を積極的に中核的担い手として育成する必要がある。 ついては、主に新規独立者を対象とした漁業技術の習得に関する定期的な勉強会及び研修会を 開催し、計画的な育成を図る。また、これらの者には、新しく島に来た就業者等の育成にも積極 的に関与させ、中核的担い手としての自覚を促す指導も併せて行う。 これら将来を担う中核的担い手に対しては、経済的負担を軽減する措置として、漁協が漁業者 と調整し漁船リース事業の積極的な活用を推進する体制を構築するとともに、その他助成事業や 制度金融資金の積極的活用を通じた支援を行う体制を確立する。 ⑤新規就業者の定着率向上 父島出身の若者の大半は、本土での就職を希望しており、新規の漁業就業者を島内で確保する ことが非常に困難な状況にあることから、これまで漁業就業支援フェア等を通じ、島外者を積極 的に受け入れてきたところである。 しかしながら、近年は就業者の定着率が悪く、人手が必要なため募集しても本格的に教える前 に次々と辞めてしまうことが問題となっている。 就業者側の理由として、漁業の厳しさによる挫折や島しょ生活に適合できないことのほか、親 方との相性が合わないことや悩みを相談できる環境にないことなども確認されている。反面、雇 用者である船主側においても、挫折した理由がどこにあるのかわからず、「親方として自分の接 し方に何が問題だったのか」に悩み、新たな受入を躊躇する者も少なくない。 以上のことを踏まえ、引き続き漁協と協力し、漁業就業支援フェア等を活用し積極的な受入を 推進する。 また、就業者向けの研修だけでは不十分である点を踏まえ、就業者側だけでなく、雇用者側の 双方の視点に立った研修会や勉強会の開催をする。
加えて、悩み相談窓口の開設及び仲介等による支援策を充実させることで、将来の中核的漁業 者候補生となる新規就業者の定着率向上を図る。 ⑥新規漁業者を受け入れるための住宅整備 父島における住宅事情は非常に厳しい。大半の土地は自然公園法による自然保護地域(国有林) であり、上下水道等インフラ整備はごく一部である集落地域にのみに限定され、建築コストも本 土のほぼ2倍と、容易に住宅を整備できない環境にある。このため、村政においても住環境改善 に向けた体制作りが課題とされている。 現在、島外からの移住者の多くは、唯一の公営住宅である都営住宅に入居している。しかしな がら、入居申し込みには条件が定められており、単身では入居できないこと、島内での居住実績 が1年以上あること等が必須条件となっている。また、仮に申し込めたとしても倍率は非常に高 く、入居に5年以上かかることはざらである。なお、民間賃貸物件もわずかではあるが存在する ものの、空きはほとんどなく、仮に入居できたとしても、家賃は都内並(10 万円以上/月額)と 非常に高額であり、新規就業者が入居するには経済的負担が非常に大きい。 以上のことから、計画的に新規就業者の確保を図るためには、何よりも漁業者が円滑に居住場 所を確保できる措置を講じる必要がある。ついては、国の支援等を活用した受入に必要な住宅の 要望、整備に努める。
(3)漁獲努力量の削減・維持及びその効果に関する担保措置 主要漁業である底魚一本釣り、かつお・まぐろ釣り漁業においては、東京都漁業調整規則及び 海区漁業調整委員会指示に基づく操業規則等を順守し、持続的漁業活動の維持に努める。また、 資源的に活用されてないキンメダイ等について、東京都島しょ農林水産総合センターの協力のも と、漁場の探索等を推進する。更に、アカハタ、イセエビ等地先資源についても、自主的な禁漁 区及び禁漁期間等を設定し、保護育成に努める。 これら取り組みを一層推進し、安定した漁業活動の維持を図る。
(4)具体的な取組内容 1年目(平成 28 年度) 取組内容 ①漁協は、漁業者と連携して漁獲物の高鮮度化を図るため、漁獲物の船上での処 理方法や魚種、漁我々は期、漁法などといった種々の条件ごとに鮮度判別(K 値測定)を行い、漁獲物の鮮度に関する基礎情報を蓄積する。 ②漁協は、漁業者と連携して出荷基準を構築するため、鮮度判別(K値測定)を 指標に、漁獲物の漁獲後の時間経過による鮮度の違いについての基礎情報を蓄 積する。また、漁協は魚価の適正化を図るため、都漁連水産物流通センターと 連携し、出荷基準ごとに価格査定が行われるための取り組み及び顧客のニーズ についての調査検討をする。 ③漁協は、村や都、観光協会等と連携して販路拡大を目的とした市場開拓に向け て取り組みを検討する他、小笠原産水産物の認知度向上に向けて、村内におけ る“産業祭”や“返還祭”といった産業活性化イベントなど、地元におけるP
Rの場の情報収集を行う。また、実際の視察を通じて、小笠原産の水産物の魅 力を伝えるためのイメージを構築し、出店準備を進める。 ④漁協は、若手漁業者が漁業技術を早く習得し、生活の基盤として漁業を継続し ていけるよう、勉強会を発足させるとともに、中核的漁業者を講師とした定期 的な研修会を開催する。また、漁協は広域浜プランで位置づけられた「中核的 漁業者」や広域委員会に属する漁業者の漁獲量増大を図るため、リース方式に よる漁船更新や省力化・省コスト化及び生産能力の向上等に資する舶用機関や 機器の導入について、水産業競争力強化漁船導入緊急支援事業等の活用を推進 するとともに、新規就業者における設備投資の経済的負担を軽減するため、新 規就業者特別対策交付金等を活用できる環境の整備を、村や都と連携して行 う。 ⑤漁協は、新規漁業者の獲得に向けて、各船主に対し、新規参入者の受入希望調 査等を行い、各船主が望む新規参入者の条件(年齢、性格等)及び受入可能人 数を把握する。 ⑥漁協は新規就業者の受入を円滑に行うため、国(国土交通省・防衛省)の支援 のもとで、住宅等の厚生施設の確保・維持を図るなど、ハード面から受入環境 の整備に努める。また、受入漁業者の増加に際し住居の不足が生じないよう、 関係機関と調整を進める。 活用する支援 措置等 ・離島漁業再生支援交付金:①,② ・新規就業者特別対策交付金:④ ・新規漁業就業者総合支援事業:④,⑤ ・漁業経営セーフティーネット構築事業:④ ・競争力強化型機器等導入緊急対策事業:④ ・水産業競争力強化漁船導入緊急支援事業:④ ・小笠原諸島振興開発事業:⑥ ・小笠原水産物生産・販売促進事業:①,③ ・未定:③,④
2年目(平成29年度) 取組内容 ①漁協は、漁業者と連携して漁獲物の高鮮度化を図るため、各船における漁獲物 の船上処理方法をとりまとめるとともに、船ごとに鮮度判別(K値測定)を行 い、処理方法の違いによる鮮度への影響を調べる。 ②漁協は、漁業者と連携して出荷基準を構築するため、引き続き鮮度判別(K値 測定)を指標に、漁獲物の漁獲後の時間経過による鮮度の違いについての基礎 情報を蓄積する。また、漁協は魚価の適正化を図るため、都漁連水産物流通セ ンターと連携し、出荷基準(段階別)ごとに価格査定が行われるよう市場開拓 を進めるとともに、顧客ニーズ調査を実施する。 ③漁協は、村や都、観光協会等と連携して販路拡大に向けた市場開拓に取り組む とともに、村内における産業祭や返還祭などのイベントに積極的に参加し、地
元での小笠原産の水産物の認知度を高め、イベント参加の結果をフィードバッ クし、PR力の向上を図る。また、島外に向けて小笠原産水産物の魅力をアピ ールしていくために、島外における“島じまん”などの産業活性化イベントの 情報収集を図る。 ④漁協は、若手漁業者や中核的漁業者を対象に単価向上等、目的別に先進地視察 や市場視察を積極的に行い、市場ニーズや優良事例の把握に努めるとともに、 先進地事例の導入などを検討する。また、漁協は広域浜プランで位置づけられ た「中核的漁業者」や広域委員会に属する漁業者の漁獲量増大を図るため、リ ース方式による漁船更新や省力化・省コスト化及び生産能力の向上等に資する 舶用機関や機器の導入について、水産業競争力強化漁船導入緊急支援事業等の 活用を推進するとともに、新規就業者における設備投資の経済的負担を軽減す るため、新規就業者特別対策交付金等を活用できる環境の整備を、村や都と連 携して行う。 ⑤漁協は、全国漁業就業者確保育成センターホームページや漁業者フェア等を活 用し、積極的な受入活動を行うとともに、新規参入者の受入にあたり、受入側 である各船主を対象とした研修会を実施し、定着率向上に向けた検討及び意見 交換を行う。 ⑥漁協は新規就業者の受入を円滑に行うため、国(国土交通省・防衛省)の支援 のもとで、住宅等の厚生施設の確保・維持を図るなど、ハード面から受入環境 の整備に努める。また、受入漁業者の増加に際し住居の不足が生じないよう、 関係機関と調整を進める。 活 用 す る 支 援措置等 ・離島漁業再生支援交付金:①,② ・新規就業者特別対策交付金:④ ・新規漁業就業者総合支援事業:④,⑤ ・漁業経営セーフティーネット構築事業:④ ・競争力強化型機器等導入緊急対策事業:④ ・水産業競争力強化漁船導入緊急支援事業:④ ・小笠原諸島振興開発事業:⑥ ・小笠原水産物生産・販売促進事業:①,③ ・未定:③,④,⑤ 3年目(平成 30 年度) 取組内容 ①漁協は、漁業者と連携して漁獲物の高鮮度化を図るため、高い鮮度を保持した 船上処理事例を基に、処理方法に改良を加えながら鮮度判別(K値測定)を行 い、理想となる船上処理方法を検討する。 ②漁協は、漁業者と連携して出荷基準を構築するため、引き続き鮮度判別(K値 測定)を指標に、漁獲物の漁獲後の時間経過による鮮度の違いについての基礎 情報を蓄積するとともに、これまでの結果の取りまとめを行う。また、漁協は 魚価の適正化を図るため、都漁連水産物流通センターと連携し、出荷基準ごと
に価格査定が行われるよう市場との調整に入るとともに、顧客ニーズ調査結果 のまとめに入る。 ③漁協は、村や都、観光協会等と連携して引き続き市場開拓に取り組むとともに、 村内におけるイベントなどへの積極的な参加や島外においても島じまんをは じめとした種々の産業活性化イベントなどに参加し、小笠原産の水産物の認知 度を高める。イベント参加の結果をフィードバックし、PR力の向上を図る。 ④漁協は、一経営者として未熟な若手漁業者を対象とした、外部講師による研修 会を開催し、経営者として必要不可欠な知識や経営安定化に向けたアドバイス を通じて、自らがコスト削減に努力する気風づくりを行う。また、漁協は広域 浜プランで位置づけられた「中核的漁業者」や広域委員会に属する漁業者の漁 獲量増大を図るため、リース方式による漁船更新や省力化・省コスト化及び生 産能力の向上等に資する舶用機関や機器の導入について、水産業競争力強化漁 船導入緊急支援事業等の活用を推進するとともに、新規就業者における設備投 資の経済的負担を軽減するため、新規就業者特別対策交付金等を活用できる環 境の整備を、村や都と連携して行う。 ⑤漁協は、全国漁業就業者確保育成センターホームページや漁業者フェア等を活 用し、積極的な受入活動を行うとともに、新規参入者の人物像を把握したうえ で、船主の希望に応じた紹介に努める。 ⑥漁協は新規就業者の受入を円滑に行うため、国(国土交通省・防衛省)の支援 のもとで、住宅等の厚生施設の確保・維持を図るなど、ハード面から受入環境 の整備に努める。また、受入漁業者の増加に際し住居の不足が生じないよう、 関係機関と調整を進める。 活 用 す る 支 援措置等 ・離島漁業再生支援交付金:①,② ・新規就業者特別対策交付金:④ ・新規漁業就業者総合支援事業:④,⑤ ・漁業経営セーフティーネット構築事業:④ ・競争力強化型機器等導入緊急対策事業:④ ・水産業競争力強化漁船導入緊急支援事業:④ ・小笠原諸島振興開発事業:⑥ ・小笠原水産物生産・販売促進事業:①,③ ・未定:③,④,⑤ 4年目(平成 31 年度) 取組内容 ①漁協は、漁業者と連携してこれまでの鮮度判別結果に基づき、漁獲物の船上処 理方法を確立させ、船上処理方法を統一化し、高鮮度化に取り組む。 ②漁協は、漁業者と連携して魚価を向上させるため、これまでの鮮度判別結果に 基づき、出荷基準を定めるとともに、出荷基準に合わせた出荷体制を整える。 また漁協は都漁連水産物流通センターと連携し、出荷基準ごとに価格査定が行 われるよう市場との調整を継続するとともに、顧客ニーズに合わせた販売に取
り組む。 ③漁協は、村や都、観光協会等と連携して継続して市場開拓に取り組むとともに、 島内や島外におけるイベントなどに積極的に参加し、小笠原産の水産物の認知 度向上に取り組む。また、参加結果からのフィードバックを通じて、PR力の 向上を図る。 ④漁協は、新規就業者が安心して活動できるよう、仕事から生活面まで気軽に相 談できる窓口を設け、個々の悩みを相談しやすい浜の気風づくりに努める。ま た、漁協は広域浜プランで位置づけられた「中核的漁業者」や広域委員会に属 する漁業者の漁獲量増大を図るため、リース方式による漁船更新や省力化・省 コスト化及び生産能力の向上等に資する舶用機関や機器の導入についてき、水 産業競争力強化漁船導入緊急支援事業等の活用を推進するとともに、新規就業 者における設備投資の経済的負担を軽減するため、新規就業者特別対策交付金 等を活用できる環境の整備を、村や都と連携して行う。 ⑤漁協は、全国漁業就業者確保育成センターホームページや漁業者フェア等を活 用し、積極的な受入活動を行うとともに、中核的漁業者を中心にして後輩にあ たる新規就労者に対して、漁具作成や操業準備等の指導を行う教育の場を設け ることにより、新規就労者が自らの経験を振り返ることができ、作業にあたっ ての注意点や改善点などを見つめ直し、自らのスキルアップに結び付けていけ るような環境づくりを行う。 ⑥漁協は新規就業者の受入を円滑に行うため、国(国土交通省・防衛省)の支援 のもとで、住宅等の厚生施設の確保・維持を図るなど、ハード面から受入環境 の整備に努める。また、受入漁業者の増加に際し住居の不足が生じないよう、 関係機関と調整を進める。 活 用 す る 支 援措置等 ・離島漁業再生支援交付金:①,② ・新規就業者特別対策交付金:④ ・新規漁業就業者総合支援事業:④,⑤ ・漁業経営セーフティーネット構築事業:④ ・競争力強化型機器等導入緊急対策事業:④ ・水産業競争力強化漁船導入緊急支援事業:④ ・小笠原諸島振興開発事業:⑥ ・小笠原水産物生産・販売促進事業:①,③ ・未定:③,④,⑤ 5年目(平成 32 年度) 取組内容 ①漁協は、漁業者と連携して漁獲物の適正な船上処理方法の統一化により、すべ ての漁獲物を高鮮度化させる。 ②漁協は構築した出荷基準に基づき出荷を行い、市場においても出荷基準に基づ いた価格査定により、適正な価格化が図られるとともに、顧客ニーズに合わせ た販売を行ことで、全体的に魚価を向上させる。
③漁協は、村や都、観光協会等と連携して継続して販路拡大に取り組むとともに、 島内や島外のイベントなどを活用し、定期的な小笠原産の水産物のPR体制を 構築し、一般消費者に対する小笠原産水産物の認知度向上を図る。 ④漁協は、若手漁業者から中核的漁業者への育成を行った個々の事例を検証し、 マニュアル化することで、計画的な育成体制を構築する。また、漁協は広域浜 プランで位置づけられた「中核的漁業者」や広域委員会に属する漁業者の漁獲 量増大を図るため、リース方式による漁船更新や省力化・省コスト化及び生産 能力の向上等に資する舶用機関や機器の導入について、水産業競争力強化漁船 導入緊急支援事業等の活用を推進するとともに、新規就業者における設備投資 の経済的負担を軽減するため、新規就業者特別対策交付金等を活用できる環境 の整備を、村や都と連携して行う。 ⑤漁協は、全国漁業就業者確保育成センターホームページや漁業者フェア等を活 用し積極的な受入活動を行い、新規就業者のフォローアップを通じて定着率の 向上に努め、漁業者数の維持増大を図る。 ⑥漁協は新規就業者の受入を円滑に行うため、国(国土交通省・防衛省)の支援 のもとで、住宅等の厚生施設の確保・維持を図るなど、ハード面から受入環境 の整備に努める。また、受入漁業者の増加に際し住居の不足が生じないよう、 関係機関と調整を進める。 活 用 す る 支 援措置等 ・離島漁業再生支援交付金:①,② ・新規就業者特別対策交付金:④ ・新規漁業就業者総合支援事業:④,⑤ ・漁業経営セーフティーネット構築事業:④ ・競争力強化型機器等導入緊急対策事業:④ ・水産業競争力強化漁船導入緊急支援事業:④ ・小笠原諸島振興開発事業:⑥ ・小笠原水産物生産・販売促進事業:①,③ ・未定:③,④,⑤ (5)関係機関との連携 〇漁連水産物流通センター、委託流通業者と綿密に連携し、漁獲物の販売結果に関する評価を随 時入手し、漁船内の鮮度保持の方法などの改善に反映する。 〇村や都と連携し、小笠原産水産物のPRに関して、行政機関が持つ広報媒体の積極的な活用を 行う。 (6)他産業との連携 島内の観光協会や飲食店と連携し、飲食店で調理される小笠原産の魚を島の観光資源として位 置づけてもらい、島内旅行者に対して島の魅力として発信してもらう。また、旅行者の島からの お土産として、宅配業者と連携した鮮魚販売の可能性について検討する。
4 成果目標 (1)成果目標の考え方 〇鮮魚の出荷において、生食用と加熱用に区分した出荷を行うことで、鮮度別に価格査定が適切 に実施されるような体制を確立するとともに、小笠原産鮮魚の付加価値に着目した販売戦略を 推進し、魚価の向上を目指す。 〇浜の生産体制を維持・拡大していくためには、漁業者の確保が不可欠である。漁業就業支援フ ェア等の活用や受入環境の改善に向けた取組、助成事業の積極的な活用などを通じて新規就業 者の定着率を高め、漁業者数の維持・増大を図る。 (2)成果目標 魚価の向上(㎏単価) 5%以上 基準年 平成27年度: 1,039(円/Kg) 目標年 平成32年度: 1,091(円/Kg) 新規就業者の定着率 1.5倍以上 基準年 平成27年度: 19.1(%) 目標年 平成32年度: 28.7(%) (3)上記の算出方法及びその妥当性 〇基準年の魚単価は、過去5年間(平成23年度~27年度)における魚単価を算出し、上位及 び下位2年分を除いた3年分を平均した数値である。 〇基準年の定着率は、過去5年間(平成23年度~27年度)で新規就労した者(47人)のう ち、定着した者(9人)の割合である。目標は、今後5年間での定着率を1.5倍に増やす。 5 関連施策 活用を予定している関連施策名とその内容及びプランとの関係性 事業名 事業内容及び浜の活力再生広域プランとの関係性 離島漁業再生支援交 付金 K値測定等鮮度判別試験の実施 (魚価の向上) 新規就業者特別対策 交付金 漁船リース事業による新規独立支援 (中核的漁業者の育成) 新規漁業就業者総合 支援事業 新規漁業者の就業及び定着促進 (中核的漁業者の育成) 漁業経営セーフティ ーネット構築事業 燃油高騰対策 (所得向上/コスト削減) 競争力強化型機器等 導入緊急対策事業 省コスト化又は生産性向上に資する漁業用機器の導入 (所得向上/コスト削減) 水産業競争力強化漁 船導入緊急支援事業 リース方式による中古漁船又は新造漁船の導入・更新 (所得向上)
小笠原諸島振興開発 事業 漁業者住宅の確保 (中核的漁業者の育成) 小笠原水産物生産・ 販売促進事業 (村単独補助事業) 市場及び販路調査、出荷容器・資材等の研究、販売促進のための宣伝広告 (魚価の向上) 未 定 (都単独補助事業又は 村単独補助事業) 販売促進、新規就業者受入及び育成等各種研修会の実施 (中核的漁業者の育成)