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日本の生命保険業績動向 ざっくり30年史(3)保険料収入・保険金支払など-銀行窓販で、復調?

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お金の流れだけみると、保険会社はまず保険料を収入し、保険金を支払う。会社の運営に経費がか かる。たまった資金を運用することで利息・配当金・売却益などの収益を得る(あるいは損失を被る)。 利益に応じて法人税を支払う。契約者配当や株主配当を支払う。という仕組みである。 もちろん、その過程には複雑な仕組みが控えており、様々な問題がからまりあっているわけだが、 今回は、そのうち入口にあたる保険料収入と出口の保険金などの支払い、事業費の推移を見てみる。 1――保険料収入の推移 生命保険会社の最も重要な収入項目が、保険料収入であり、お金の動きはここから全てが始まる。 契約が獲得できてはじめて保険料収入があるので、保険料収入は業績そのものという側面があり、

2015-12-22

基礎研

レター

日本の生命保険業績動向 ざっくり 30 年史(3)

保険料収入・保険金支払など

銀行窓販で、復調?

保険研究部 主任研究員 安井 義浩 (03)3512-1833 [email protected] ニッセイ基礎研究所 【保険料収入】 0 5 10 15 20 25 30 35 40 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2014 兆円 かんぽ生命 団体年金保険 個人年金保険 団体保険 個人保険

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その意味では、保険事業としては保険料収入が増加すればするほど好ましい、と言えるだろう。 (だからこそ近年では保険金額とは別に、年換算保険料という業績指標も出てきている。また損害 保険の場合は、従来から、事故のあと損害額の査定があって後に保険金額が決まるので、生命保険と は異なり通常は契約高というのは考えず、保険料収入そのものが重要な業績指標になっている。) また、保険料収入の動向は、時に一時払契約などで一括収入される保険料や、あるいは貯蓄性商品 が好調なとき(またはその反動)は、保険金ベースの業績の動向とは異なる様相を示すこともある。 ただし、保険料収入が増加することは、時に「高い予定利率を背負う厄介な資金が増加する」とい う面もあり、実際、現在に至るまで続く超低金利状況では、あとになってみれば「どの会社にとって も重荷、さらに一部の会社にとっては致命傷」になるような状況でもあった。 1980 年代以降の動きをみると、従来個人保険が大きな割合を占めていたところに団体年金保険・個 人年金保険の好調さが加わり、順調に増加してきていた。その後いくつかの生保が破綻した生保不信 の時期には減少傾向をたどる。ここ数年は、景気が上向きとなったことや、銀行窓販による一時払契 約が増えたことにもより、持ち直してきている。個人年金・団体年金といった年金の占める割合は、 1980 年度には1割程度だったが、最大で 2005 年度には4割以上にまでなり、現在は2割強で推移し ている。 保険料に占める一時払の動きは、全体の動向を大きく左右する。下図でその割合をみると、個人保 険では 1980 年代には一時払養老(と推測される)、近年は一時払終身が増加しており、全体の3割程 度である。一方、個人年金保険は、一時払が近年は5~8割を占め、大きく変動している。 保険料月払のような平準払契約の場合は、その後保険期間等に応じて例えば10~20年など、少 しずつではあるが長期間安定して保険料が収入されるので、ある程度見通しがつく。一方、一時払契 約の保険料は、金額は大きいが翌年は別途新たに獲得した契約からの収入なので、ブレが大きい。今 後も銀行窓販による一時払契約が新契約の主流である傾向が続けば、保険料収入は年度毎に相当変動 するだろう。(だからそんな性質をもつ保険料収入で、会社規模を競わせても意味が薄いと思うのだ が・・・?) 【うち個人保険の収入保険料】 0 5 10 15 20 25 30 1979 1984 1989 1994 1999 2004 2009 2014 兆円 月払等 一時払 【うち個人年金保険料】 0 1 2 3 4 5 6 7 8 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2014 兆円 月払等 一時払

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2――保険金等の支払金の推移 保険金等の支払金の種類には、保険金、年金、給付金、解約返戻金、その他返戻金がある。まず下 のグラフで、全体の規模と構成割合を示した。そのあと、それぞれの特徴をみてみる。 1|保険金 【保険金】 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2014 兆円 かんぽ生命 満期保険金 死亡保険金等 【保険金等の支払金の内訳】 0 5 10 15 20 25 30 35 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2014 兆円 かんぽ生命 解約・その他返戻金 給付金 年金 保険金

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保険金支払いの動きは、かんぽ生命の影響が大きいので、上の保険金のグラフでは、別にしている。 保険金には満期保険金と死亡保険金があり、収支に与える影響も動向も異なるので、注意が必要だ。 死亡保険金の支払の推移は、日本国内の死亡率がそれほど激しく変動するとは考えられない状況なの で、保有契約高の推移に似ている。保有契約高と死亡契約高(=死亡保険金、とみていいだろう。)か ら計算される金額ベースの死亡率は上のグラフのようになる。一般には日本の平均寿命は年々延びて いる、すなわち死亡率は低下しているはずなのだが、保険会社の実績としては死亡率は上昇している。 おそらく、保有契約の平均年齢が高齢化していることの反映であろう。死亡保険金は、例えば大地震 や大きな飛行機事故などで被害者が突然増加すると、ほぼそのまま保険会社の損失になる、という性 質がある。 その一方、満期保険金は、例えば一時払養老の満期保険金の支払であるが、1980 年代の一時期、猛 烈な勢いで販売されたのだが、5年後とか10年後とかに支払うことがわかっているし(1991 年と 1998 年のピーク前後が一時払養老の満期が多かったのだろう。)、保険料(の一部)を準備金として積 み立ててあるので、いくら突然支払いが増えても収支に直接は影響しない。ここが死亡保険金とは異 なる。また、銀行や証券会社も含めた金融商品の中でも利回りが優れているなどと世に知れると、販 売量(従ってその何年か後の満期保険金支払い)も大きく増減するという点でも、死亡保険金とは性 質が異なる。 2|年金 年金支払は、保有契約の増加にリンクして順調?に増加している。ここ2年ほどは、銀行窓販が好調なことか 【個人保険の死亡率(金額ベース)の推移】 1.70 1.90 2.10 2.30 2.50 2.70 2.90 3.10 1979 1984 1989 1994 1999 2004 2009 2014 【年金】 0 1 2 3 4 5 6 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2014 兆円 ‰

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ら急増している。団体年金と個人年金を分けられなかったが、増加分は個人年金が主であると思われる。 ただし、現状では個人年金といっても終身年金ではなく確定年金がほとんどであるし、そもそも支払うまで に準備金を用意できているはずの仕組みなので、年金支払いが急増したからといって直接会社収支に悪影 響を及ぼすものではない。 これが仮に将来、例えば終身年金が主流となって、大きな長寿リスクを引受けることになれば、より慎重な 対応(保険料や準備金の設定)が必要になると考えられるが、今のところその気配はない。 3|給付金 給付金といっても、上のグラフ内に示したように様々な種類がある。 「一時給付金」が最も多く変動も大きい。一時給付金の内容は各社ごとに異なるので一律にはいえ ないが、どうやら年金を何年分か一括して受け取ると、年金ではなく給付金という名前で支払われ、 それが多いようだ。 次に多いのが「生存給付金」で、学資保険など数年おきに比較的少額だがまとまったお金を受け取 れるタイプの保険から発生するものである。 この2つは、満期保険金同様、支払いの準備はされており、収支に直接影響を与えることは少ない と考えられる。 問題はここからである。「入院給付金」は、所定のけがや病気で入院した際に支払われる給付金で、 手術を受けると「手術給付金」も支払われる。これまでは安定した支払金額で推移してきたが、第3 分野1商品の販売が好調なことから、入院給付金は今後増加すると予想される。 第3分野は、病気の発生率の将来動向に依然不透明な部分もあろうし、それに応じた充分な保険料 水準となっているかどうかも一部不透明なまま商品化されているかもしれない、と考えられている。 また、医療技術の進展、医療制度の変更などにも左右され、今後の動きには注意しておく必要がある。 「死亡給付金」は、主に個人年金保険で「年金を受け取る前に死亡した場合の定められた給付」が 多いと思われる。個人年金保険保有契約の増加により、これも増加傾向にある。 1 人の生死に係るような終身保険、定期保険など生命保険を第1分野、自動車保険や火災保険などの損害保険を第2分野というのに続き、医 療保険、介護保険など、その中間でどちらともいえないものを第3分野という。現在は生命保険会社、損害保険会社両方で扱える。 【給付金】 0 1 2 3 4 5 6 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2014 兆円 その他 一時給付金 生存給付金 手術給付金 入院給付金 死亡給付金

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4|解約返戻金・その他返戻金 まずは、個人保険の解約・失効率の推移をみると、上のグラフのように、もともと 1980 年頃は、保 有契約高の 10%程度という相当に多い解約・失効があったわけである。それが、新契約の好調、保有 契約の増加とともに次第に改善されてきた。しかし、いくつかの保険会社が破綻するような 1990 年代 後半にあっては、生命保険会社そのものへの不信から、解約が増加していった。 近年はそれが落ち着き、各社が新契約獲得だけではなく、既契約の保全にも注力度合を増してきた ということもあって、今までで最も解約・失効の少ない時代になっており、これはこれで望ましい傾 向である。 その結果としての解約返戻金は、(残念ながら、保険種類別のデータにできていないのだが、)同様 の傾向ではあるのだが、1990 年代の突出した年度は、個人保険ではなく団体年金分野の解約返戻金で あろう。 また近年は解約・失効率が低下傾向であるにもかかわらず、解約返戻金は急増している。ここでは 会社ごとには示さないが、個人年金保険の販売が急増していた会社で大きな解約返戻金額となってい るので、一時払個人年金の解約が増加したものであろう。 解約返戻金に関する収支ということで補足する。解約返戻金は、解約時の準備金そのものか、それ 以下の金額(加入から日の浅い(数年とか)契約)に設定することが一般的なので、実は準備金の取 【個人保険の解約・失効率の推移(対年度始保有 金額ベース) 】 0.0 5.0 10.0 15.0 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2014 【解約返戻金・その他返戻金】 0 2 4 6 8 10 12 14 16 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2014 兆円 その他返戻金 解約返戻金 %

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り崩しによる「解約益」という利益が出ることが多い。しかしそれは、将来の収入保険料により賄わ れるべきだった、経費等の回収にあたると考えられており、素直に喜ぶわけにはいかない。また、解 約以後、当然のことながら保険料が収入されなくなるので、明らかにマイナスの影響である。(これも 通常はそうだというだけで、実際にはケースによる。その契約の予定利率が 5.5%という高い水準だ ったら?) その他返戻金というのは、保険契約の諸変更に伴い、責任準備金に変更が生じる際の精算金である。 契約転換が多かった頃は、転換に伴う精算金のため金額規模も大きかったが近年はそれほどでもない。 (1988 年以前の統計では、解約返戻金とその他返戻金の内訳がすぐには入手困難だったので、上のグ ラフでは合算で表示している。) 3――事業費の推移 事業費の内訳については、あまり詳しいデータがない。それこそざっくりとみることにする。事業 費は人件費関係と物件費関係に大別できる。(各社のディスクロージャー資料を、30 年みれば、その 金額もわかるのだが、今回はご勘弁いただきたい。) 人件費の中には、契約獲得に応じた営業職員への報酬が含まれるので、1980~90 年代の新契約好調 期には増加し、その後新契約の減少に伴い減少した。 物件費については、特に国内大手社において保有契約の減少や厳しい収支状況に対応して経費節減 が叫ばれ、物件費関係は極力削減されてきたという傾向がある。現在では、窓販において銀行に払う 手数料が増加していると想像できるが、ここでは詳細は捉えられていない。 その後、外資系・損保系生保の新規参入に伴い、そうした会社では当然初期投資的な意味合いもあ り、契約も増加する中で事業費は増加してゆく。近年の事業費増加はその反映であろう。2 2 念のため、毎回注記しておく。全体を通して、文中のグラフについては、インシュアランス生命保険統計号(各年度版)(保険研究所)に 基づくものである。グラフ化は筆者。なお、破綻や合併がある年度などにおいて、一部データに不明点や不整合がある箇所もあるが、業界全 体の長期のトレンドをみるという主旨からご容赦頂きたい。 【事業費】 0 10 20 30 40 50 1980 1985 1990 1995 2000 2005 千億円

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