新たな日本の鶏(新品種・新
銘柄)開発の可能性
平成26年3月5日 (独)家畜改良センター岡崎牧場 場長 山本洋一 関東農政局・新品種・新技術(鶏)シンポジュウム資料◎プロローグ(在来種等の成立の歴史) わが国において、鶏は発祥の地である東南アジア やインドから稲作の伝播に伴う形で伝来(天照大 神の伝説、埴輪の出土) 「時告げ」、「闘鶏」、「鑑賞(姿、声)」、「 食用(卵、肉)」の用途で、日本人独特の美意識 、嗜好により多くの品種を作出 また、海外から渡来した鶏(遺伝子)も活用 シャモ(タイ国)×秋田県在来種 →比内鶏 コーチン(中国)×愛知県在来種等 →名古屋コーチン (名古屋種) 注:JAS(日本農林規格)の在来種の定義としては、ロードアイランド レッド、横斑プリマスロック等の明治時代以降に海外から導入、定着し た品種も含む。
◎プロローグ(地鶏特定JASで定義された在 来種:38品種) 会津地鶏、伊勢地鶏、インギー鶏、烏骨鶏 、鶉矮鶏、ウタイチャーン、エーコク、沖縄 髭鶏、尾長鶏、河内奴鶏、雁鶏、岐阜地鶏、 熊本種、久連子鶏、黒柏鶏、コーチン、声良 鶏、薩摩鶏、佐渡髭地鶏、地頭鶏、芝鶏、軍 鶏、小国鶏、矮鶏、東天紅鶏、蜀鶏、土佐九 斤、土佐地鶏、対馬地鶏、名古屋種、比内鶏 、三河種、蓑曳矮鶏、蓑曳鶏、宮地鶏、 横斑プリマスロック、ロードアイランドレ ッド
◎プロローグ(地鶏特定
JASで定
義された在来種)
軍鶏 名古屋種 比内鶏
1.我が国における地鶏・銘柄鶏生産(経緯) 江戸時代頃までは、産業としての養鶏はほとんど存在せず(闘 鶏、鑑賞、自家消費用の在来種) 明治時代以降、採卵を中心としながら、採卵終了後に肉利用す る生産形態が普及(卵肉兼用種等) 昭和40年以降、海外で開発された卵専用種及び肉専用種(ブロ イラー)の生産が大幅に拡大、普及(一方で、日本の在来種、 卵肉兼用種が減少) 昭和50年代から、特定の栄養成分を含む飼料を給与することで 生産物の差別化を図る取り組みが出現(ヨード卵等) 昭和60年代から、おいしい鶏肉等を求める消費者ニーズに対応 し、各県の畜産試験場を中心に在来種を交配利用した鶏種にこ だわった地鶏・銘柄鶏の生産取組みが開始。 → 平成24年度の地鶏生産状況(50銘柄、出荷羽数722万羽)
1.我が国における地鶏・銘柄鶏生産 (肉用鶏の場合の交配方式例) 生産性向上の観点から、在来種の純粋種そのものを肥育 するのではなく、一部の例外を除き、大部分が2元ある いは3元交配の交雑種を肥育 雄系には県のオリジナル性、おいしさをアピールできる 品種を選択(軍鶏、名古屋種、比内鶏等) 雌系には、増体性とともに産卵性にも優れた品種を選択 (横斑プリマスロック、ロードアイランドレッド、劣性白プリマスロック等) → しかしながら、卵用鶏、ブロイラー母系雌と比べると産 卵能力は劣る 交配例:(軍鶏×名古屋種)×劣性白色プリマスロック 軍鶏×劣性白色プリマスロック 軍鶏×(名古屋種×横斑プリマスロック)
1.我が国における地鶏・銘柄鶏生産 (今後の課題及び対応方向) 更なる国際化の進展が予想される中で、鶏生産物の 付加価値を高め輸入品との差別化を図ることが重要 そうした観点から、飼養管理方法の工夫と共に、我 が国独自の鶏種をアピールした地鶏・銘柄鶏の取り 組みに期待が高まる状況 しかしながら、地鶏、銘柄鶏の開発、利用に当たり 、「肉用鶏」、「在来種」等に対する思い込みが強 く、取り組みがワンパターン化、産業の裾野が広が りにくい構造 ↓ 従来にない発想で、新たな日本の鶏(新品種・銘柄 )の開発、利用にトライすることが重要
(参考)通常の外国鶏種の肉用鶏(ブロイラー) 農業分野の中でも、突出して品種や銘柄の単一化、 固定化が進行し、多様性が著しく失われている ◎品種 白色コーニッシュ(優性白色) 白色プリマスロック(優性白色) ◎交配様式 ♂白色コーニッシュ ×♀(白色プリマスロック×白色プリマスロック) ◎育種会社(銘柄名) チャンキー、コブの2社で世界で9割以上のシェア (もはや肉用鶏のスタンダードというべき存在)
1.我が国における地鶏・銘柄鶏生産 (今後の課題及び対応方向) 肉用鶏に偏った取り組み → 卵と肉利用を想定した新たな卵肉兼用種 の開発 在来種の生産性の低さ(在来種はそもそも肉 や卵利用を目的に開発されたものでない) → 在来種の特長を残しつつ生産性にも優れ た新たな鶏種の開発 限られた遺伝資源の効率的な活用 → 卵用鶏と肉用鶏のコラボ鶏の開発
2.卵と肉利用を想定した新たな卵肉兼 用種の開発(岡崎おうはん) ○特長 ・高い産卵性能 ・卵の大きさが適度(LLサイズ少ない) ・黄身が大きい(卵かけ御飯に適する) ・卵用鶏と比べ大型でうまみのある肉質 (産卵後の成鶏肉としてだけでなく、 そのまま肉用鶏として肥育すること も可能) ○成績 ・産卵ピーク: 98% ・90%産卵持続期間:24~52週令 ・卵黄卵重比: 28% ・体重(64週令): 2.5kg 現在では世界的にも珍しい卵肉兼用種として平成20年 に岡崎牧場で「岡崎おうはん」を開発、普及開始
2.卵と肉利用を想定した新たな卵肉兼
用種の開発(岡崎おうはん)
岡崎おうはん ロードアイランドレッド♀ 横斑プリマスロック♂ 2元交配2.卵と肉利用を想定した新たな卵肉兼 用種の開発(岡崎おうはん
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岡崎おうはん 外国銘柄 卵重 60.7g 60.7g 卵黄重 17.0g 14.4g 卵黄重量比 28.1% 23.7% 2012年食肉産業展では地鶏・ 銘柄鶏食味コンテストでグラン プリ受賞 卵黄が大きく卵かけご飯 にすると濃厚な味わい(参考) 岡崎おうはんの品種・系統までさかのぼる情報提 供システム (トレサビリィティ)構築の試み 情報例 岡崎牧場 ・品種・系統情報 民間種鶏場 ・コマーシャル鶏の生産 方法等の情報 岡崎牧場 横斑プリマスロック (XS) ロードアイランドレッド (YA) 民間種鶏場 ♂ × ♀ 横斑プリマスロック(XS) ロードアイランドレッド (YA) 「岡崎おうはん」 生産者 ♂ ♂ ♀ ♀ ♀ ♀ ♀ ♀ ♀ ♀ ♂× ♂ × ♀ 卵 消費者 肉 ♀ 生産者等 ・養鶏場等での飼養状況 の情報 消費者 ・「岡崎おうはん」の肉 や卵を購入した際に、 上記の各種情報を検索 することが可能
3.在来種の特長を残しつつ生産性にも優れ た新たな鶏種の開発(龍軍鶏ごろう) 軍 鶏 (大型黒色) 赤色コーニッシュ (紅桜) 系統造成