超高齢社会時代への医療パラダイムシフト
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(2) 超高齢社会時代への医療パラダイムシフト. 725. 図 3 訪問看護ステーションの従事者(厚労省資料改変). ある。千葉県で行った 1 万人の調査で,延命治療を希望する人 はわずか 3%,自分はどこで最期を迎えたいかのアンケートに は病院とほぼ同じ数が自宅あるいは施設と答えている。在宅医 療による看取りが増えれば,病院のベッドを高齢者が占拠する ことも減少し,在宅であれば病院での死亡時の 1/10 の医療費 しかかからない。しかし在宅医療は医療費削減のためにあるの ではなく,まさに患者中心の医療の実践そのものだといえる。 患者にとって病院というアウェイではなく,在宅はまさにホー ムである。この素晴らしさ,重要性について,もっと病院勤務 医が理解しなければならない。さらに重要なことは,人は誰も. 図 4 高齢者における予防医学. 死を避けられないこと,医師もそれに目を背けないこと,一方 で安易な医療を行わないこと,高齢者にとっての最期はどのよ うなものであるべきかを,一般市民が,そしてそれ以前に我々 医療者が真摯に考えることだと思う。90 歳,100 歳までの長命. 理学療法士への期待. となるだけで十分に幸せということで満足して,それでは彼ら. このような治す医療から支える医療に変化する中で,理学療. 高齢者にとってどのような最期が望ましいかまでは今まであま. 法士に求められるものはどんどん広がっている。在宅医療は多. り考えてこられなかったテーマである。高齢者が自らの最期を. 職種のチームによって行われ,リハビリの役割は大きい。訪問. どう生きるかを家族とともに話し合い,事前指示書などについ. 看護ステーション開設当時はその医療従事者の 90%が看護職. ての認識を高める啓発事業を行うことが重要であると考える。. だったが,現在は 20%以上をリハビリ関係者が占めている(図. 治すだけではない,死は敗北ではないという医療は在宅医療だ. 3)。今後さらに健康寿命を延ばすためには Locomotive 症候群,. けのものでなく,緩和医療の概念として病院全体で共有すべき. フレイル(虚弱),サルコぺニア(加齢性筋肉減少症)といっ. テーマになってきた。このために千葉県民を対象にした講演会. たものに立ち向かう必要があり,守りでなく攻めの姿勢でこれ. を続け,また千葉県と DVD を作成した(インターネットでも. らの予防策を進めるべきである(図 4)。このために理学療法. 利用可)。. 士に求められるものはきわめて大きく,施設内に留まらず,受. これらのいくつかの取り組みがこれからの超高齢社会の大波. 動的から能動的に,より積極的に行動してくださることを期待. を乗り切ることを可能にすると考える。. する。.
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