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Ⅰ 総論
1.はじめに 私たちは、阪神淡路大震災以降、障害のある人を中心とした防災の課題に関わっての 対策を各行政に求めてきた。 しかし、2011年の東日本大震災では、残念ながら多くの犠牲者がでてしまったが、 その中でも、障害のある人の死亡率が変わらず高いことが明らかになった。 更に、避難生活に於いても、障害の部分への配慮・支援がない、もしくは極めて不十 分な中で、障害状況が大きく変化し、その後の社会参加に大きく影響する事態も生じて いる。 それらを受け改めて私たちは、 ① 障害のある人にとっての防災の課題を明らかにする。 ② 災害時に命を守り、安心を広げるための施策の整備・確立に向けて、課題や 問題点を整理する。 ことを目的に、2012年度より大阪府下全市町村を対象としたアンケート調査を実 施しており、2015年度も4回目の調査を実施した。 まずはご多忙の中この調査にご協力頂いた府下市区町村の皆様には心よりお礼を申 し上げたい。 そして、この報告書作成中に熊本を中心とした地域で大きな地震が起こり、それによ る大きな被害が起こっており、未だに収束したとは言えない状況にある。 犠牲になられた方に対し、心よりご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方へ のお見舞い、そして一日も早い復旧・復興、そしてこれ以上被害が広がらないことを祈 りたい。この熊本を中心に起こっている事態に関しては、若干ではあるが、別項を立て て述べている。ご覧頂ければと思う。 以下、2015年度のアンケートの結果を概観したい。 2.調査結果概観 (1)市町村地域防災計画 市町村地域防災計画については、2013年(平成25年)6月に改正された災害対 策基本法に対応した改定が済んでいるかを問うたところ、「改定済み」としたところが 32自治体、「改訂作業中」が10自治体、「検討中」とした自治体が1自治体あった。 市町村地域防災計画は、国の中央防災会議によって作られた防災基本計画、それをも とに作られた都道府県防災会議による都道府県地域防災計画に基づいて、市町村防災会3 議により「作成しなければならない」と規定されている。(災害対策基本法16条等)。 この計画が各市町村の防災を進める基本となり、障害のある人に対する対応も当然この 計画が基本となる。 また、国の防災基本計画について、災害対策基本法42条で「…(略)…防災基本計 画に基づき、当該市町村の地域に係る市町村地域防災計画を作成し、及び毎年市町村地 域防災計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない」 と規定しており、これを受けて国は、東北の被害をもとにした津波対策等についての修 正(2011年[平成23年]12月)の改訂以降8回にわたり変更を変更した。 アンケートでは9年程改訂がなされていない所もあった。障害のある人や高齢者をは じめとした「災害時に何らかの配慮を要する要配慮者」(以下「要配慮者」という)に 対しての対策の基本となる市町村地域防災計画を防災基本計画に合致したものとし、さ らに各市町村の実態に合った計画として作成することが重要な課題となっている。 <防災マニュアル> 各市町村地域防災計画に基づき、要配慮者に対して具体的な対応等を示したものとし て防災マニュアル等があげられるが、「作成済み」としたところが20自治体、「作成中」 としたところが9自治体、「予定なし」や「検討中」「その他」としたところが14自治 体となった。昨年に比べ、「作成済み」が3自治体増えてはいるものの、予定なしが1 自治体増えている。 作成は義務ではないものの、要配慮者が、地震等が起こった折に自ら命を守り・自ら 避難行動をとり・避難生活を他の人と同様に行うことができない、もしくはできにくい 人達であることを考えると、各行政が、要配慮者自らとその周りで何らかの支援を行う であろう人たちに対して、具体的な対応方策を示すものとして「マニュアル」は何らか の形で必要ではないかと考える。 「作成中」とされたところは早急に作成頂き「予定なし」「検討中」「その他」と回答 された自治体はぜひ作成して頂きたい(※)。 ※ 国の「防災基本計画」の以下には次のような記載がある。 第3節 国民の防災活動の促進 2 防災知識の普及,訓練 (1) 防災知識の普及 ○市町村(都道府県)は,地域の防災的見地からの防災アセスメントを行い,地域 住民の適切な避難や防災活動に資する防災マップ,地区別防災カルテ,災害時の 行動マニュアル等を分かりやすく作成し,住民等に配布するとともに,研修を実 施するなど防災知識の普及啓発に努めるものとする。
4 <要配慮者等への避難勧告・避難指示の伝達> 何らかの災害が予想されるときに避難勧告や指示が出されるが、まずはその情報が障 害のある人も含めた一人ひとりに届かなければ意味がない。 アンケートでは、自治体ごとに複数の手段を持っていることが確認でき、個別に訪問 して頂ける可能性のある自主防災組織や自治会、民生委員等に委託するところも多い。 中には、具体的な方法は不明ではあるが、訪問して伝えるとするところもある。 一方で、直接訪問の手段をとらず、テレビ、ケーブルテレビ、ラジオ、等を挙げる自 治体もあったが、発災時に起こり得る停電やスイッチが入っていないとき等、機器が使 用できない状況時にはどのように伝えるのかの不安が残る。また、SNSを挙げる自治 体も複数あったが、これも、通信環境や充電環境の不安は残る。しかし、東北大震災時 等では大きな役割を果たしたことから、今後も大きな役割を担う可能性も大きい。 しかし、それは、あくまでもそれを持つものだけが享受できることで、持たないもの との格差が命の差にならないような配慮を願いたい。 (2)避難訓練 避難訓練に要配慮者の参加の有無をたずねている。「参加している」と回答した自治 体は18、「地域による」とする自治体は4の合計22自治体であるが、昨年度が23 自治体であり、原因は不明であるが何らかの形で要配慮者の参加を確認しているところ は減少した。また参加状況について「不明」とする自治体が19、「参加していない」 と回答した自治体が2となった。具体的な対応策では、「車椅子での避難経路の確認」 や「避難所の開設・運営の体験を行う」などと回答する自治体がある一方で、「参加し ていない」と回答する自治体が残されていることは、この分野での格差が大きいことを 物語っている。 「訓練」はあくまでも「訓練」ではあるが、その実施の経験は、発災時に何らかの形 をとって生かされるものである。またそのためにも、繰り返し実施するとともに、課題 の確認やそれに対する対応を明らかにして共有する中で、要配慮者一人ひとりが少しで も見通しを持つことにつながるであろうし、安心にもつながる。要配慮者が参加できる よう、その人にしっかりと伝わり理解できる形での避難訓練に関わる情報の提供を行う とともに、準備段階から当事者の参加を呼びかけるなど、できるだけ多くの要配慮者が 訓練に参加ができるよう、具体的な配慮・支援を構築しながら準備を進めることが重要 となっている。 (3)避難行動要支援者名簿 避難行動要支援者名簿については、7割が「作成済み」、残りは「作成中」となって いる。2013年度と2014年度を見比べてみると、2014年度に「作成済み」と
5 回答した自治体が減り「作成中」が増えている。これは災害対策基本法の改正により、 名簿の作成が市町村に対して義務化された影響であろうと推測される(図1)。 更に2015年度に関しては、作成中とする自治体もほぼ同年度中には完成予定とな っており、基本的には全ての自治体で避難行動要支援者名簿が整うと思われる。 しかし一方で、作成年度が2011年度(平成23年度)や2012年度(平成24 年度)と回答する自治体もあり、名簿の更新・管理状態が問われる。 さらに、名簿の作成方法に関しては、「関係機関共有方式」を採用する自治体が増加 している(図2)。 名簿登載の対象となるべき人をもれなく捕捉するためには、災害対策基本法で推奨さ れている「関係機関共有方式」(※)での作成が望まれる。しかし残念ながら、「手上げ 方式」(※)もしくは「同意方式」(※)のどちらか、もしくは両方のみのところがまだ3 5%ほど残っている。法的に関係機関共有方式で縛られているわけではないが、その地 域に誰がいて、どのような支援・対策が必要かを把握するスタートラインにもなるもの であり、もれなく把握するためにはぜひ関係機関共有方式での名簿作成が欠かせないも のと考える。 また、名簿はつくることが目的ではなく、実際の発災時に活かされるはずのものであ る。当然、開示の課題がでてくるが、これに関わっては、当方の設問の課題もあり、別 の機会の評価とさせて頂くことをご容赦頂きたい。 【図1】 要援護者名簿(災害時避難行動要支援者名簿)の作成状況とその変化
6 【図2】 要援護者名簿(災害時避難行動要支援者名簿)の作成方法とその変化 ※ 避難行動要援護者名簿策定の方式 「災害時要援護者の避難支援ガイドライン(平成18年3月)」より (1)関係機関共有方式 地方公共団体の個人情報保護条例において保有個人情報の目的外利用・第三者 提供が可能とされている規定を活用して、要援護者本人から同意を得ずに、平 常時から福祉関係部局等が保有する要援護者情報等を防災関係部局、自主防災 組織、民生委員などの関係機関等の間で共有する方式。 (2)手上げ方式 要援護者登録制度の創設について広報・周知した後、自ら要援護者名簿等への 登録を希望した者の情報を収集する方式。実施主体の負担は少ないものの、要 援護者への直接的な働きかけをせず、要援護者本人の自発的な意思に委ねてい るため、支援を要することを自覚していない者や障害等を有することを他人に 知られたくない者も多く、十分に情報収集できていない傾向にある。 (3)同意方式 防災関係部局、福祉関係部局、自主防災組織、福祉関係者等が要援護者本人に 直接的に働きかけ、必要な情報を収集する方式。要援護者一人ひとりと直接接 することから、必要な支援内容等をきめ細かく把握できる反面、対象者が多い ため、効率的かつ迅速な情報収集が困難である。このため、福祉関係部局や民 生委員等が要援護者情報の収集・共有等を福祉施策の一環として位置付け、そ の保有情報を基に要援護者と接すること。または、関係機関共有方式との組合 せを積極的に活用することが望ましい。
7 (4)避難所・福祉避難所・在宅避難対策 発災時、避難時の対策も重要であるが、その後の避難生活に関わっての対策も重要で ある。発災時の直接死だけではなく、避難生活時においても関連死や新たな健康障害や 障害の重度化も懸念される。 その避難生活には、まず一次避難所があり、二次避難所としての福祉避難所がある。 そして、2013年(平成25年)の災害対策基本法の改正を受けて内閣府から出され た「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」には、一次避難所の中に 要配慮者に対する一定の配慮がなされた「福祉避難室」の設置が推奨されている。 障害のある人においてはその障害等により、これまでの災害時において開設された避 難所では避難生活を送ることが困難な人もおり、車中や場合によっては壊れかけた自宅 での避難生活を余儀なくされる人もいる。東北では在宅避難の人達には情報や支援物資 等が届かず、二重、三重に困難を強いられた人達が多く生まれた。今回の調査から福祉 避難室と在宅避難についても新たに調査項目に加えた。 <福祉避難室> 今回の調査では、1自治体が「既に設置した」と回答しており、10自治体が「設置 予定」と回答した。しかし、11自治体が「設置予定なし」、21自治体が「未定」と 回答した。「未定」と回答しながらも「小学校の教室を個室として要援護者向けの利用 とする」等と回答した自治体もあった。 東北・熊本の地震においても、多くの人が避難所からあふれ、その中で、障害のある 人の避難生活は厳しいものがあり、結局一次避難所での避難生活をあきらめ、自宅や車 での生活を強いられている人が多く生まれた。避難所は、学校や公共施設に開設される 場合が多く、少し工夫すれば福祉避難室の設置は可能であろうと思われるが、熊本の現 状をみれば、避難所の絶対数が不足しており根本的な見直しが必要かと思われる。 また福祉避難室に関して、京都府では2013年(平成25年)3月に「福祉避難コ ーナー設置ガイドライン」を作成し、レイアウトの例示等も示しながら京都府が先導し て設置を促している。大阪府におかれても、このアンケートの結果を踏まえてぜひ先導 役を果たしていただきたいものと考える。 <福祉避難所> 福祉避難所を「指定している」自治体が33自治体、指定を「予定している」と回答 した自治体が6あった。「指定している」と回答した自治体においても、人口比からみ たとき整備量が圧倒的に少ない自治体も存することに留意する必要がある。また、一人 当たりの必要面積が1.65㎡(たたみ一畳分程度)とするところが複数あり、少なく とも車椅子利用者だけでなく、杖歩行者、白杖使用者や感覚過敏の障害がある方等の利 用は困難と思われ、そうした自治体では、福祉避難所の利用対象者をどのように設定す
8 るのか、あらためてしっかりと議論することが求められている。 また、福祉避難所の指定を行っている自治体も、「発災時における各施設相互の連携 がとれているか」との質問には、「連携できている」とする自治体は30%にとどまっ ている(図3)。 実際の運用時には単独の施設だけでの運営は困難であり、他機関・他避難所との様々 な連携が求められている。次の大きな災害が生じる前にしっかりとした連携体制を構築 することが望まれる。 また、福祉避難所に関わっては、後述のように熊本市において発災後10日が経って も、事前予定の1割にも満たない人しか利用できていない状況が生じた。福祉避難所に 指定された福祉施設等の実態にあった、実際の発災時に起こり得る具体的なケースを想 定した整備計画・契約となるよう、その内容を見直すことが重要となっている。 阪神淡路大震災の経験を踏まえて提案された福祉避難所が、より有効に機能するよう 開設に向けた課題を明らかにすることで、障害があっても少しでも安心して避難生活を 送ることができるよう努めることが求められている。 <在宅避難> 在宅避難者への対策は、「済み」「作成中」「検討中」を合わせても6自治体に留まっ ており、残りは「未定」もしくは「作成していない」と回答している。先述したように、 現状において避難所・福祉避難所での避難生活を送ることができない人が多数生じる可 能性がある。 東北では、情報も物資も避難所止まりとなったこともあり、困難を抱えた人が多数発 生した。その苦い経験を教訓として「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取 組指針」が取りまとめられたが、同指針では、在宅避難対策についても記述されている。 特に大規模広域災害時には圧倒的に避難所の数が不足するであろう事が予測される ことから、早急に具体的な対策を講じることが求められている。 【図3】 福祉避難所の指定と連携状況
9 【図4】 在宅避難の支援計画の状況 3.まとめにかえて 防災に関しては、この間机上の計画ではとても対応できないことを実感する事態が起 こっている。 そのうちの大きなできごとは、言うまでもなく熊本を中心とする地震であるが、現時 点でわかった範囲での情報と若干の考察は別項でまとめているのでご覧いただきたい が、いくつかの特徴を挙げるとすれば、熊本市は福祉避難所を事前に176施設、約1 700人分を用意していたとするが、地震発生後9日目の4月25日の「毎日新聞」に よると34施設104人分しか機能していないとされている。熊本市はその理由を、「施 設に問い合わせが殺到し現場が混乱する」として市民に広く開設を知らせなかったこと や、「協定を結んでいる施設の受け入れ態勢が整わなかった」と説明している。 国は福祉避難所に指定された施設などの場所を、あらかじめ「要支援者」や住民など に周知するよう今年4月に内閣府(防災担当)がまとめた「福祉避難所の確保・運営ガ イドライン」に明記している。災害が起こった時に、福祉避難所となっている施設にお いても、目の前の利用者などへの対応を優先することは、想像を少し働かせればわかる ことであり、福祉避難所の整備数は「とりあえずの数合わせ」でしかなかったのではな いかとも思わせる。 また何よりも、一時避難所が圧倒的に不足し、駐車場に止めた車での避難生活を余儀 なくされた人が多数いたことであり、さらにそのことは、エコノミークラス症候群によ
作成済み
3か所 7%
作成中
2か所 25%
検討中
1か所 2%
未作成
37か所86%
10 る死者が出たことにより、健康と命に関わることであることが確認された。それらの事 態の中、障害のある人がどのような状況に置かれていたのかは想像に難くない。 それらの問題は、彼の地だから起こった事ではなく、大規模広域災害時には何処でも 同様のことが起こり得ること、しかも残念なことに繰り返し起こっていることを改めて 確認させられることとなった。 戻るが、防災計画は机上の計画では対応できず、実態に即した計画が必要であり、さ らに、行政としての計画が障害のある市民も含めた一人ひとりに発災時の対応が具体的 に理解でき、納得できるものにしていかなければならないと考える。それは、行政だけ に任せ、責任を押し付けてできることではない。命に・健康に大きく関わるということ も含め、当事者も含めた計画づくりが求められる。 そして計画に基づいて、法により市町村に義務化された名簿の作成と、実際の発災時 に自分はどうするのか、具体的な支援の可能性も含め、個々具体の個別計画の作成によ り見通しを持って望むことができるよう、早急に具体化する必要があると考える。 また、そうした施策の実施を待たずに、障害者関係者自身も、個々ができることを準 備しておくことも必要であり、その具体化の提案も求められている。 この間防災に関わって国からいくつかのガイドラインが出されている。その一つは、 内閣府から2016年(平成28年)4月に出された「福祉避難所の確保・運営ガイド ライン」である。 福祉避難所に関わる最新のガイドラインであるが、発表直後に起こった熊本の現状を 考えると、実際の発災時に起こり得ることをしっかりと想像しながら読み込むことが必 要ではないだろうか。 また、2016年(平成28年)4月に内閣府から「避難所におけるトイレの確保・ 管理ガイドライン」が示された。マスコミ等ではあまり取り上げられない課題ではある が、避難所での生活が始まった時点で、飲み物、食べ物は多少の我慢ができても、排泄 は待ったなしの状況に置かれる。避難生活が始まったその時点から深刻な課題となり、 それは、障害のある人にとっても極めて大きな問題となる。 このガイドラインでは、過去の事例、様々な工夫や用具の紹介等を行っている。その 中には、東日本大震災時に仮設トイレの設置に要した日数を、東北の29自治体にアン ケート調査を行った結果を紹介しているが、3日以内に設置したと答えた自治体は3 4%、残りは4日以上かかっているが、1ヶ月以上が14%、一番遅いところは、65 日であったという。 もちろん、各自治体が事前の準備をして、発災時に即応できるようにしておくことも 求めたいが、大規模広域災害時に全ての自治体が全ての避難所に対応できるとは思われ ない。その中で、私たち自身も課題として認識し、いろいろな想定をしながら、各自が 何らかの対応策を行っておくことの重要性を再認識させられた。 そして防災を直接の目的とした法律ではないが、「障害者差別解消法」が2016年
11 と4月に施行された。詳述は避けるが、東北等で「命の差」とも言える事態が、発災時・ 避難時・避難生活時に起こっている。障害があることでの「命の差」であるとしたら極 めて大きな差別的実態であると指摘せざるを得ず、その解消に「合理的配慮」の視点を 持つことについて、私たちも検討を積み重ねながら提案し、場合によっては私たち自身 の手による訓練等も行っていかなければならないと考えている。 災害対策基本法の改正、その後に出されたいくつかの指針やガイドラインの中身を実 施していくことで一定の前進を計ることは可能であろう。しかし、現状を判断し計画し ていくこと、実施に際しての責任の所在、そしてその費用等が、全て市町村任せである としたら財政規模による差がでてくるであろう事はもちろん、結果として「画餅」と化 してしまう懸念を持たざるを得ない。 地震等はいつ起こるのかわからない、と言うことは日常に起こると言うことであり、 日常生活の中に備えがなければならない。発災時に命を守る行動をとることができるこ とや、避難情報等をしっかりと受け止め、それに対しての行動を取ることができること、 そして、命・健康を守るために、避難所での生活を必要な支援を受けながら送ることが できること…。これらは障害に直接関わることであり、日常に必要なそれぞれの障害へ の支援の中味でもあり「合理的配慮」にも大きく関わる。 これらのことも含め、災害時の具体的な判断について市町村が責任を持ちながらも、 災害に備え・災害に強い地域を作り上げていく基本的な営みについて、「ナショナルミ ニマム(国民生活環境最低基準)」の課題として位置づけられるべきものと考える。 重ねてではあるが、熊本の事態を見聞きして、私たち自身も行政だけに任せずに、で きる事をしていかなければならないと、あらためて認識した。しかし、各行政におかれ ては、ご多忙の中、努力を重ね、一定の前進は頂いているものの、南海トラフ大地震を はじめとした災害の発生を目の前にしていると言える今、あらたに大きな犠牲を出さな いためにも、机上の話ではなく、当事者も交えた論議の上に「要配慮者」対策を進めて 頂ければと願っている。
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Ⅱ 各論
1.要援護者支援マニュアル
(1)要援護者支援マニュアルの整備 昨年度と比較すると数字の動きに大きな変化はない。「予定なし」の自治体は、前年 度(2014年度)に改訂が済んでおり、2015年度は見直しをしていないというこ とである。 【図5】要援護者支援マニュアル作成状況 (2)マニュアルが想定している対象者 全般的に想定している対象者が増えている傾向がある。それだけに、障害状況にみあ った計画となっているかどうかが重要である。「明示なし」が増えているのは前年度に 計画策定した自治体がが、この問いに回答していないためであることと推定される。 【図6】要援護者支援マニュアルが想定している対象者 19 17 17 20 4 8 13 9 8 4 5 6 12 14 8 8 0 5 10 15 20 25 2012年 2013年 2014年 2015年 作成済み 作成中 予定なし その他 23 23 20 12 10 10 8 8 22 20 22 20 13 12 12 9 9 9 24 24 21 15 14 13 11 8 16 0 5 10 15 20 25 30 想定している対象者 2012年 想定している対象者 2013年 想定している対象者 2014年 想定している対象者 2015年13 【表1】要援護者支援マニュアルの作成状況について 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 作 成 済 み 大阪市、堺 市、豊能町、 摂津市、交野 市、守口市、 東大阪市、高 石市、岸和田 市、熊取町、 泉佐野市、岬 町、松原市、 羽曳野市、藤 井寺市、太子 町、富田林 市、大阪狭山 市、河内長野 市 19 44% 大阪市、堺 市、能勢町、 豊能町、高槻 市、摂津市、 交野市、守口 市、高石市、 岸和田市、貝 塚市、熊取 町、泉佐野 市、岬町、藤 井寺市、富田 林市、大阪狭 山市、河内長 野市 18 42% 大阪市、堺 市、能勢町、 豊能町、高槻 市、摂津市、 交野市、守口 市、貝塚市、 熊取町、泉佐 野市、藤井寺 市、大阪狭山 市、河内長野 市、箕面市、 東大阪市、八 尾市、阪南市 17 40% 大阪市、堺 市、能勢町、 豊能町、箕面 市、高槻市、 四条畷市、東 大阪市、八尾 市、和泉市、 高石市、岸和 田市、貝塚 市、熊取町、 田尻町、阪南 市、藤井寺 市、河南町、 大阪狭山市、 河内長野市、 20 47% 作 成 中 能勢町、四条 畷市、和泉 市、泉南市、 4 9% 八尾市、柏原 市、和泉市、 泉南市、羽曳 野市、 5 12% 池田市、門真 市、四条畷 市、柏原市、 和泉市、高石 市、岸和田 市、田尻町、 泉南市、羽曳 野市、太子 町、河南町、 富田林市 13 30% 池田市、摂津 市、門真市、 柏原市、泉南 市、羽曳野 市、藤井寺 市、太子町、 千早赤阪村、 富田林市 9 21% 予 定 な し 池田市、豊中 市、島本町、 吹田市、寝屋 川市、柏原 市、貝塚市、 河南町 8 19% 池田市、豊中 市、吹田市、 太子町 4 9% 豊中市、島本 町、泉大津 市、泉佐野 市、岬町 5 12% 豊中市、島本 町、泉大津 市、泉佐野 市、岬町、松 原市 6 14% そ の 他 箕面市、茨木 市、高槻市、 枚方市、門真 市、大東市、 八尾市、泉大 津市、忠岡 町、田尻町、 阪南市、千早 赤阪村 12 28% 箕面市、茨木 市、島本町、 枚方市、寝屋 川市、四条畷 市、門真市、 大東市、東大 阪市、泉大津 市、忠岡町、 田尻町、阪南 市、松原市、 河南町、千早 赤阪村 16 37% 茨木市、吹田 市、枚方市、 寝屋川市、大 東市、忠岡 町、松原市、 千早赤阪村 8 19% 茨木市、吹田 市、枚方市、 交野市、寝屋 川市、守口 市、大東市、 忠岡町、 8 19%
14 (3) 要援護者支援マニュアルの周知方法 周知方法については、全ての自治体で、昨年度よりもその種類を増やす傾向にあり、 計画を周知徹底しようとする自治体の努力がうかがえる。 【図7】要援護者支援マニュアルの周知方法 (4)要援護者支援マニュアルの作成方法 昨年度と比べて、当事者が参画する・意見を聞くという自治体が増えていることは評 価できる。引き続き全自治体において当事者の参加機会の拡大に取り組まれること、そ こで出された意見を施策にどうに反映し活かすのかについて検討を重ねることが重要 となっている。 【図8】要援護者支援マニュアルの作成方法 12 6 10 0 4 0 2 0 11 6 13 1 4 8 2 22 10 5 9 0 3 4 6 8 13 6 11 1 1 10 13 17 0 5 10 15 20 25 周知方法 2012年 周知方法 2013年 周知方法 2014年 周知方法 2015年 18 14 0 0 2 3 6 8 7 10 6 4 1 9 2 3 14 9 4 1 10 2 3 8 8 7 0 15 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 作成方法 2012年 作成方法 2013年 作成方法 2014年 作成方法 2015年
15 (5)要援護者に対する発災時の伝達方法 昨年度との比較ではその傾向は変わっていない。要援護者にとってどの方法が一番適 切であるかという検証を行う上で、この面でも要援護者からの意見聴取が必要である。 また、電源喪失時の伝達手段についても、複数以上の方法を確保する必要があるものと 思われる。 【図9】要援護者への発災時の伝達・指示の方法(2014年度からの聞き取り事項)
2.避難訓練
避難訓練における要配慮者の参加状況を問うているが、何らかの形で参加しているとす る自治体は22自治体であり、原因は不明であるが何らかの形で要配慮者の参加を確認し ているところは減っている。 ただ、参加しているとする自治体に居住する当事者の方に聞いてみると、避難訓練の情 報そのものを知らないとする人もいるなど課題がある。また参加状況が「不明」との回答 が19自治体、「参加していない」との回答が2自治体からあった。具体的な内容では、車 椅子での避難経路の確認や、避難所の開設・運営や体験を行うところ等が挙げられていた。 未だ半数の自治体が訓練に障害のある人を受け入れていない状況が明らかとなった。全 ての自治体で、できれば全ての住民参加で避難訓練、防災訓練の実施が進むよう改善が求 められている。 36 33 36 35 5 3 4 5 3 4 25 24 26 6 3 5 36 35 32 33 4 5 4 2 3 4 29 28 22 10 3 5 0 5 10 15 20 25 30 35 40 ① エリア メール ② HP ③ 広報車 ④ 行政無 線 ⑤地元 FM 放送 ⑥一斉送信 F ax ⑦個別 F ax ⑧ 電話 ⑨ 有線放 送 ⑩ 訪問 ⑪ 自主防 災組織 ⑫ 自治 会 ⑬ 民生委 員 ⑭ S N S ⑮ その他 、障害 への配 慮 ⑯ 明示な し 伝達方法 2012年 伝達方法 2013年 伝達方法 2014年 伝達方法 2015年16 【図10】避難訓練への要配慮者の参加状況 訓練を実施することが目的ではなく、実際の発災時に具体的に活きるような中身でな ければならないはずである。そのためには、その地域にどのような人がいて、どのよう な支援が必要なのかを事前に把握して「練習」する機会でもある。国の防災基本計画に もあるように当事者参画の取り組みが重要となっている。 ※ 避難訓練について、国の防災基本計画には以下のように記載されている。 第1編 総則 第4章 防災計画の効果的推進等 ・(略)要配慮者を含めた多くの住民参加による定期的防災訓練,防災思想の 徹底等を図る必要がある。 ・地域における生活者の多様な視点を反映した防災対策の実施により(略), 防災に関する政策・方針決定過程及び防災の現場における女性や高齢者, 障害者などの参画を拡大し,(略)多様な視点を取り入れた防災体制を確立 する必要がある。 第3節 国民の防災活動の促進 2 防災知識の普及,訓練 (1) 防災知識の普及 ○市町村(都道府県)は,地域の防災的見地からの防災アセスメントを行 い,地域住民の適切な避難や防災活動に資する防災マップ,地区別防災 カルテ,災害時の行動マニュアル等を分かりやすく作成し,住民等に配 布するとともに,研修を実施するなど防災知識の普及啓発に努めるもの とする。 3 国民の防災活動の環境整備 (3) 防災知識の普及,訓練における要配慮者等への配慮 ○防災知識の普及,訓練を実施する際,高齢者,障害者,外国人,乳幼児, 妊産婦等の要配慮者の多様なニーズに十分配慮し,地域において要配慮 者を支援する体制が整備されるよう努めるとともに,被災時の男女のニ ーズの違い等男女双方の視点に十分配慮するよう努めるものとする。
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3.要援護者名簿
2013年6月の災害対策基本法の改正に伴い、避難行動要支援者名簿の作成が義務 化された。これにより、昨年度まで作成していた名簿を作り直した自治体が多く、今年 度末までに作成するところがほとんどである。また、約65%の自治体が、作成方法を 「関係機関共有方式」に変更し、名簿の範囲や更新方法を規定して整備が進んでいる。 名簿の対象範囲については、障害者総合支援法の施行等の環境の変化に伴い、難病患者 や障害児を対象範囲に含める自治体が増えていることは注目される。 しかし、名簿の整備を積極的に進めている自治体と、法改正前の名簿のままの自治体 との差がはっきりしてきている。今回初めて、名簿の活用と避難支援行動等に係る「マ ニュアル」の策定・整備について聞いたが、今後の進展が注目される。 名簿の整備は、社会的に弱い立場の人たちが、命をつなぐために大切なツールである。 安否確認を含め、どこにどんな人たちが暮らしているのか把握するためにも、平時に整 備しておきたい。また、緊急時の名簿開示についても、本来の名簿活用者だけではなく、 他地域・他地区の団体やボランティアの応援を受けながらの安否確認作業になることを 想定した、積極的な対応が求められる。 (1)作成状況と作成方法 作成状況と作成方法は【表2】【表3】に示す通りとなっている。 法改正に伴い、すべての自治体が名簿を作りなおし、平成28年3月までに新たな名 簿を作成する予定になっている。関係機関共有方式をとっている自治体は6割以上にな り、名簿の開示方法との関係で、「手上げ方式」もしくは「同意方式」または「手上げ・ 同意方式」をとっている自治体が増えている。また、「手上げ方式」「同意方式」のみ、 あるいは双方の組み合わせで名簿作成を行っている自治体については、国が求める名簿 の作成の課題に照らして、その作成状況について課題が残る結果となっている。「関係 機関共有方式」を取り入れた名簿作成への早急な対応が求められている。 (2)更新頻度 更新頻度については、【表4】に示す通りとなっている。 作成方法を「関係機関共有方式」に切りかえた自治体が増え、更新頻度もデータベー スでは半年または随時更新を行い、紙ベースでは1年をめどに更新を考えている自治体 が多い。しかし、名簿の作成方法が、手上げ方式のみの自治体で、更新頻度が未定にな っている自治体が4自治体(豊中、豊能、太子、熊取)あるが、これでは、正確な名簿 とは言えず、更新頻度を1年に1回行うなどの見直しが必要であると思われる。18 【表2】災害時避難行動要援護者名簿等の作成状況について 2014年度 2015年 作成済 み 大阪、箕面、高槻、枚方、八 尾、四條畷(26年4月)、 和泉(26年3月)、忠岡(2 6年9月)、貝塚(23年8 月)、熊取、羽曳野、千早赤 坂、東大阪(法改正以前に台 帳を作成) 13 30% 大阪、堺、豊能、池田、箕面、 茨木、高槻、吹田、摂津、交 野、寝屋川、四條畷、東大阪、 八尾、柏原、和泉、高石、忠 岡、岸和田、貝塚、熊取、泉 佐野、岬、松原、羽曳野、藤 井寺、河南、千早赤阪、大阪 狭山、河内長野 30 70% 作成中 池田(27年3月)、豊中(2 8年3月)、島本(時期未定)、 吹田(27年2月)、摂津(完 成未定)、寝屋川(27年3 月)、守口(時期未定)、交 野(27年3月)、門真(完 成未定)、大東(27年3月)、 柏原、高石(27年3月)、 泉大津(27年3月)、泉佐 野(26年12月)、泉南(2 7年度)、阪南(27年4月)、 太子(27年3月)、河南(2 6年10月)、大阪狭山(2 6年9月)、河内長野(26 年12月)、堺(27年度)、 富田林(策定済みの災害時要 援護者台帳との関係を確認 中) 22 51% 能勢(28 年 3 月)、豊中(28 年 3 月)、島本(28 年 3 月)、 枚方(28 年 3 月)、守口(27 年 12 月)、門真(27 年土中)、 大東(28 年 3 月)、泉大津(27 年 12 月)、田尻(27 年 9 月 頃)、泉南(28 年 3 月)、阪 南(27 年 12 月)、太子(28 年 3 月)、富田林(28 年 3 月) 13 30% 検討中 能勢、豊能、茨木、田尻、岬 5 12% 0 0 準備中 藤井寺(27 年度作成予定) 1 2% 0 0 その他 松原(要援護者安否確認名 簿)、岸和田(平成17年度 に作成。支援プラン策定後移 行) 5% 2 計 計 43 100% 計 43 100%
19 【表3】災害時避難行動要援護者名簿等の作成方式 方式 2014年度 2015年 関係機関共有方式 大阪、箕面、吹田、 四條畷、岬 5 12% 大阪、箕面、四條畷 3 7% 関係機関共有方式 +手上げ方式 +同意方式 池田、茨木、高槻、 交野、守口、泉南、 阪南、藤井寺、千早 赤阪、大阪狭山 10 23% 池田、茨木、高槻、 島本、吹田、摂津、 交野、守口、泉南、 阪南、岬、藤井寺、 千早赤阪、大阪狭山 14 33% 関係機関共有方式 +手上げ方式 寝屋川、門真、柏原、 岸和田、泉佐野、富 田林 6 14% 寝屋川、門真、柏原、 高石、岸和田、泉佐 野、富田林 7 16% 関係機関共有方式 +同意方式 堺、大東、和泉、 河南 4 9% 堺、能勢、大東、河 南 4 9% 手上げ方式 +同意方式 島本、摂津、枚方、 東大阪、泉大津、貝 塚、羽曳野、河内長 野 8 19% 枚方、東大阪、八尾、 和泉、泉大津、貝塚、 松原、羽曳野、河内 長野 9 21% 手上げ方式のみ 豊能、豊中、八尾、 忠岡、熊取、松原、 太子 7 16% 豊能、豊中、忠岡、 熊取、太子 5 12% 同意方式のみ 0 0 田尻 1 2% 未定 能勢、高石、田尻 3 7% 0 0 計 43 100% 43 100%
20 【表4】避難行動要援護者等名簿の更新頻度 2014年度 2015年度 未定 未 記 入 半 年 未満 半年 1 年 1 年以 上 未定 検 討 中 半 年 未満 半年 1 年 1 年以 上 関 係 機 関 共 有 方式 岬 箕面、 吹田 大阪、 四 條 畷 箕面 大阪、 四 條 畷 関 係 機 関 共 有 + 手 上 げ + 同 意 茨木、 守口、 泉南、 藤 井 寺、千 早 赤 阪、富 田林 大 阪 狭 山 ( 定 期 更 新) 高槻 池田 阪南 交野 島本、 泉南、 守口、 岬 茨木、 泉南 池田、 高槻、 摂津、 吹田、 藤 井 寺 阪南、 千 早 赤阪、 大 阪 狭山 交 野 ( 1 ~ 3 年) 関 係 機 関 + 手 上げ 門真、 柏原、 岸 和 田 寝 屋 川 泉 佐 野 門真、 富 田 林 泉 佐 野 高石 寝 屋 川 岸 和 田 柏原、 関 係 機 関 + 同 意 和泉 大東 堺 河南 能勢、 大東 河南、 堺(デ ー タ は 3 か月) 手 上 げ + 同意 島本、 羽 曳 野 泉 大 津 摂津 枚方、 東 大 阪 貝塚、 河 内 長野 泉 大 津 枚方、 羽 曳 野 八尾 松原、 貝塚、 和泉、 阪南、 東 大 阪 河 内 長野 手 上 げ 方 式 の み 忠岡、 熊取、 松原、 太子 豊能 八尾 豊中 豊中、 豊能、 太子、 熊取 忠岡、 同 意 のみ 田尻 検 討 中 高石 能勢、 田尻 (3)名簿の対象者 障害者の範囲を難病に広げたことで、難病患者や障害児を対象範囲に含めた自治体が 増えている。しかし、難病患者の範囲は、障害福祉サービスを受けている者に限定して いる自治体が多いので、サービスを受けている人が少ない難病患者の実態を考えると、 今後の検討が必要である。高齢者についても、65歳以上の単身者または75才以上な ど範囲が限られているため、実態の把握が重要になると考えられる。また、対象者の範
21 囲をはっきり決め、名簿を作成し直したこともあって、名簿対象者以外の把握について は、昨年は「予定していない」と回答した自治体がほとんどだったが、今年度は、独自 に把握に努める自治体も増えてきている。 【表5】避難行動要援護者名簿の登載対象者 ※下線は2015年度に新規対象とした自治体 2014年度 2015年度 身体 37 86% 大阪、堺、能勢、豊能、池田、箕面、豊中、 茨木、高槻、島本、吹田、摂津、枚方、交 野、寝屋川、守口、門真、四條畷、大東、 東大阪、八尾、柏原、和泉、高石、忠岡、 岸和田、貝塚、熊取、泉佐野、田尻、泉南、 阪南、岬、松原、羽曳野、藤井寺、太子、 河南、千早赤阪、富田林、大阪狭山、河内 長野 42(+5) 98% 知的 37 86% 大阪、堺、能勢、豊能、池田、箕面、豊中、 茨木、高槻、島本、吹田、摂津、枚方、交 野、寝屋川、守口、門真、四條畷、大東、 東大阪、八尾、柏原、和泉、高石、忠岡、 岸和田、貝塚、熊取、泉佐野、田尻、泉南、 阪南、岬、松原、羽曳野、藤井寺、太子、 河南、千早赤阪、富田林、大阪狭山、河内 長野 42(+5) 98% 精神 34 80% 大阪、堺、能勢、豊能、池田、豊中、茨木、 高槻、島本、吹田、摂津、枚方、交野、寝 屋川、守口、門真、四條畷、大東、東大阪、 八尾、柏原、和泉、高石、岸和田、貝塚、 熊取、泉佐野、田尻、泉南、阪南、岬、松 原、羽曳野、藤井寺、太子、河南、千早赤 阪、富田林、大阪狭山、河内長野 40(+6) 93% 児童 11 26% 大阪、堺、池田、豊中、高槻、島本、枚方、 門真、東大阪、岸和田、貝塚、熊取、泉南、 阪南、岬、羽曳野、富田林 16 (+6-1) 37% 難病 14 33% 大阪、堺、池田、高槻、島本、豊中、枚方、 守口、東大阪、貝塚、泉佐野(調整中)、 阪南、松原、羽曳野、太子、富田林、河内 長野 17(+3) 40% 高齢 36 84% 大阪、堺、池田、箕面、豊中、茨木、高槻、 島本、吹田、摂津、枚方、交野、寝屋川、 守口、門真、四條畷、大東、東大阪、八尾、 柏原、和泉、高石、忠岡、岸和田、貝塚、 熊取、泉佐野、田尻、泉南、阪南、岬、松 原、羽曳野、藤井寺、太子、河南、千早赤 阪、富田林、大阪狭山、河内長野 40(+4) 93% 範囲の記載無 1 2% 0 0 年齢等級の限 定無 1 2% 0 0 検討中 2 5% 0 0 未定 1 2% 0 0 特に定めてい ない 1 2% 泉大津 1 2%
22 (4)名簿の整備状況 名簿の対象者を決め、名簿の作成を進めたことで、昨年度に比べて整備状況はかなり 進んでいる。しかし、「関係機関共有方式」をとっていない自治体は、「手上げ方式」「同 意方式」を採用しており、なおかつその整備が進んでいないことから、当該自治体での 名簿整備に向けた住民への周知方法が課題となっている。これら自治体が早急に、「関 係機関共有方式」を採用して名簿整備を急ぐよう提言したい。また、名簿の範囲外の要 支援者については、把握に努めたいとしている自治体もあるが、ほとんどの自治体で、 把握の予定はないとしている。手帳の等級だけで、支援の程度はわからないので、今後 は一歩進めて、範囲外の要支援者についても把握する努力をしていくべきであると考え る。 (5)管理・保管・活用 管理・保管は、行政機関が担い、活用は警察や消防をはじめ、自治会や民生委員、校 区福祉委員会等、実際に住んでいる地域住民の代表者や、捜索活動に主となって携わる 機関が多く含まれている。(今回、自衛隊を活用部署に加えた自治体があった)地域の 実情によって、多彩な方法で保管・管理・活用がされていることがうかがえる。 【表6】避難行動要援護者名簿等の保管・管理及び活用する部署 保管・管理部署 活用する部署 防災担当部署 27 63% 35 81% 福祉担当部署 30 70% 38 88% 民間(社協、自主防災、民生委員等) 25 58% 41 95% 警察 1 2% 12 28% 消防 20 47% 31 72% その他(保健所、自衛隊など) 2 5% 3 7% 未定 3 7% 2 5% (6)名簿の開示 名簿の開示については、昨年度とほぼ変わっていない。開示しないと答えた自治体も、 個人情報の保護に関して慎重な対応をとっている。しかし、法律には、「緊急時には本 人の同意なしに開示できる」とさている。これは、災害時には想定されている活用者だ けではなく、他地域からの団体やボランティアの応援のもとに安否確認が行いやすいよ うに考えられたものであることから、緊急時の名簿開示については積極的に行っていく べきである。実際、東日本大震災の時は、開示した自治体が2つしかなく、安否確認に 時間がかかった。自分で動く事の難しい避難行動要支援者の安否確認は、社会的弱者の 命をつなぐための大切なツールである。この教訓をもとに、自治体には積極的な対応が
23 求められる。 【表7】災害時避難行動要援護者名簿等の開示について 2014年度 2015年度 原則開示する 11 26% 豊中、高槻、枚方、大東、柏原、熊取、 泉佐野、田尻、富田林、東大阪、河南、 岬、藤井寺 9 -4+2 21% 開示しない 10 23% 堺、箕面、摂津、寝屋川、四條畷、泉大 津、貝塚、和泉、千早赤阪、大阪狭山、 八尾、河内長野 9 -3+2 21% 未定 18 42% 能勢、茨木、島本、吹田、交野、門真、 和泉、高石、忠岡、岸和田、阪南、岬、 羽曳野、藤井寺、太子、守口、泉南、河 内長野、池田、柏原、松原 17 -4+3 40% 状況に応じて 開示 1 2% 大阪 1 2% 開示しないが、 同意分は開示 0 0 堺、大東、貝塚、田尻、河南 5 12% 災害時以外は 必要最小限の 開示 0 0 泉大津 1 2% 未記入 3 7% 豊能 1 -2 2% 合計 43 100% 43 100% (7)避難支援行動マニュアル 名簿の作成については全ての自治体が整備し、どこに支援が必要な方がおられるのか が把握できるようになったが、要支援者をどのように支援するのかマニュアルを作成し ている自治体はまだ15%しかない。現在、作成中・検討中の自治体は、名簿の整備に 伴い検討に入ったと思われる。しかし、マニュアルをもとに避難支援行動が組織的に進 められると思われるので、来年度以降の課題として注視していきたい。 【表8】避難支援行動マニュアルについて 2014年度 2015年度 作成済み 11 26% 箕面、高槻、島本、四條畷、東大阪、 八尾、和泉、高石、忠岡、貝塚、熊 取、泉佐野、阪南、河南、河内長野 15 34% 作成中 6 14% 守口、柏原、岸和田(27 年 2 月)、 富田林、 4 9% 検討中 11 26% 大阪、堺、能勢、池田、吹田、摂津、 枚方、門真、大東、田尻、泉南、岬、 松原、藤井寺、太子、千早赤阪、 16 37% 未定 5 11% 茨木、羽曳野、 2 5% 予定なし 6 14% 寝屋川、泉大津、 2 5% その他 1 2% 豊中、交野(地域ごとに作成) 2 5% 未記入 3 7% 豊能、大阪狭山 2 5% 計 43 100% 43 100%
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4.避難所等
<福祉避難室> 2015年度のアンケートから、一次避難所における福祉避難室についてのガイドラ インの整備状況、対象者と配慮事項を、福祉避難所(要援護者二次避難所)ついては、福 祉避難所への支援を行政としてどうとらえているか、在宅避難者への計画作成の有無と 支援策についての聞き取り項目を追加した。 福祉避難室については、整備数が少ない上、どんな人が対象なのか等を定めたガイド ラインについて「予定なし」や「未定」が25市というなっている。福祉避難室の整備 は、福祉避難所での混乱の解消や、福祉避難所開設までの機能提供など、その重要性は これまでから想定されており、あわせて2015年の熊本地震では、障害のある人や子 どもなど、他の被災者に影響のないようにと車中泊や、ガレージ・玄関先で過ごす人が 非常に多かったことが明らかとなっていることなど、その整備は重要な課題と言える。 【表9】福祉避難室の整備状況 2014 年度 2015年度 市町村 配慮事項 整備済 み 1市 箕面市 (1市) 介護室や授乳室となる部屋を避 難所運営マニュアルに記載(箕 面) 設置予 定 10市 大阪市、能勢町、堺市、豊中市、 枚方市、門真市、大東市、東大阪 市、岸和田市、田尻町、羽曳野市、 河内長野市 (12市) 高齢者用のオムツ・高齢者食等 を備蓄(豊中) 福祉関係職員を 配置し、相談業務・健康管理を おこなう(羽曳野)、要援護者が 避難生活が困難となった場合に 相談等の生活支援が受けられる 福祉避難所への移動を行う(東 大阪) 予定な し 10 市町 豊能町、島本町、吹田市、寝屋川 市、四条畷市、八尾市、泉大津市、 忠岡町、熊取町、泉南市、松原市、 富田林市、大阪狭山市(13 市町) 二次的に福祉避難所で対応(吹 田)、要支援者を把握しだい福祉 避難所へ移送(泉南市) 未定 21 市町村 池田市、茨木市、高槻市、摂津市、 交野市、柏原市、和泉市、高石市、 貝塚市、泉佐野市、阪南市、岬町、 藤井寺市、太子町、河南町、千早 赤阪村 (16市町村) 学校の教室を個室として使うこ とも想定(摂津) 、手すりなど設 置済み(河南) 無記入 1市 堺市 (1 市)25 【表10】福祉避難室ガイドラインの整備状況 避難室ガイドライン 福祉避難室対象者 作成済み 箕面市 (1 市) 避難所運営 マニュアル などに記載 大阪市、枚方市、岸和田市 (3市) 避難室/一次避難所において何らかの配慮を必要とす る者。避難所/一次避難所に避難された方々の中で現 品所での生活が困難と判断された者(枚方市) 検討中 摂津市、大東市、柏原市、 和泉市、高石市、泉佐野市、 田尻町、河南町、河内長野 市 (9 市) 避難室/避難行動要支援者のうち、より軽度な方。避 難所/避難行動要支援者のうち、特別な配慮を要する 方(岸和田市) 予定なし 能勢町、高槻市、島本町、 吹田市、寝屋川市、門真市、 四条畷市、東大阪市、八尾 市、柏原市、忠岡町、貝塚 市、泉南市、岬町、松原市、 羽曳野市、藤井寺市、太子 町、千早赤阪村、富田林市、 大阪狭山市 (21 市) 避難室/避難所での生活に支障がある配慮者。避難所/ 避難所での生活が困難であり特に支援が必要である と市災害対策本部等が判断した避難者(門真市) 福祉避難所・本人及び周囲からの要請にもとづ く(忠岡町) 未定 池田市、茨木市、交野市、 (4市) 大阪市、池田市、柏原市、和泉市、高石市、松 原市、太子町、千早赤阪村 無記入 堺市、豊能町、豊中市、守 口市、熊取町、阪南市 (6市) <福祉避難所> 指定箇所数は昨年より6自治体の増加となった。福祉避難所の指定箇所数は増えてい るものの、協定などを結んでいるだけという自治体が多いのが現実のようである。開設 にあたってのイメージを十分に持てていない福祉避難所の運営管理者や自治体も多い ように思われ、開設訓練をおこなうこと等が重要な課題と言える。 <福祉避難所運営マニュアル> 少数ではあるが運営マニュアルを整備した自治体が増えたことは評価できるが、作成 していない市町村が昨年と同様に多く、福祉避難所の場所や人、備蓄などの整備に追わ れ、運営マニュアルの整備までは追いついていないのが現状と思われる。
26 【表11】福祉避難所の整備状況 2014 年度 2015 年度 指定してい る 33 市町村 大阪市、堺市、能勢町、豊能町、池田市、箕面市、豊中市、 茨木市、高槻市、島本町(法改正前の協定締結)、吹田市、摂 津市、枚方市、交野市、寝屋川市、門真市、四条畷市、大東 市、東大阪市(法改正前の協定締結)、八尾市、柏原市、和泉 市、高石市、泉大津市、忠岡町、貝塚市、熊取町、泉佐野市、 田尻町、阪南市、岬町、松原市、羽曳野市、藤井寺市、太子 町 、 河 南 町 、 富 田 林 市 、 大 阪 狭 山 市 、 河 内 長 野 市 (39 市町村) 今後予定 7 市町村 岸和田市、泉南市、千早赤阪村 (3 市町村) していない 3 市町村 守口市 (1市) 【表12】福祉避難所運営マニュアルの整備状況 2014 年度 2015 年度 作成してい る 7 市町村 大阪市、能勢町、茨木市、高槻市、吹田市、摂津市、交野市、 東大阪市、岸和田市、藤井寺市 (10市) 作成中 7 市町村 和泉市、泉南市、羽曳野市、河内長野市 (4市) 作成してい ない 26 市町村 豊能町、池田市、箕面市、豊中市、島本町、枚方市、寝屋川 市、門真市、大東市、四条畷市、八尾市、柏原市、高石市、 泉大津市、忠岡町、貝塚市、熊取町、泉佐野市、田尻町、阪 南市、岬町、松原市、太子町、河南町、富田林市、千早赤阪 村 (26 市町村) 無記入 3 市町村 堺市、守口市、大阪狭山市 (3市町村) <福祉避難所の開設時期> 福祉避難所の開設時期については、昨年と同様に一次避難所以降に福祉避難所の開設 をするとこたえた市町村が多かった。
27 【表13】福祉避難所の開設時期 2014年度 2015年度 避難勧告時 4市 能勢町、寝屋川市、高石市、貝塚市、泉南市、阪南市、 (6市) 一次避難所 開設以降 24市町 豊能町、豊中市、高槻市、吹田市、摂津市、枚方市、交野 市、門真市、東大阪市、八尾市、柏原市、和泉市、泉大津 市、忠岡町、岸和田市、熊取町、泉佐野市、藤井寺市、太 子町、河南町、富田林市、大阪狭山市、大阪狭山市、河内 長野市 (24市町) 未定 4市町 島本町、四条畷市、大東市、田尻町、(4市町) 無記入 8市町村 堺市、守口市、松原市、千早赤阪村 (4市町村) その他 3市 大阪市、池田市、箕面市、茨木市、岬町、(5市町) <福祉避難所への誘導> 今年度は、「自分・家族で」という回答に加えて、一次避難所担当者等が誘導すると こたえた市町村が14市あった。「自分・家族」と回答した自治体も多くあり、誘導方 法にはなお課題が残っている。 【表14】福祉避難所への誘導 2014年度 2015年度 一 次 避 難 所 担 当 者 や 民 生委員など 大阪市、能勢町、豊能町、箕面市、大東市、八尾市、柏原 市、和泉市、泉大津市、忠岡町、阪南市、羽曳野市、太子 町、河内長野市 (14 市町) 自分・家族の み 12 市町村 池田市、豊中市、高槻市、吹田市、摂津市、枚方市、四条 畷市、東大阪市、高石市、岸和田市、泉南市、岬町、松原 市、河南町、大阪狭山市 (15 市町) 無記入 6 市町村 守口市、千早赤阪村 (2市村) <福祉避難所確保への課題> 1人当たりの避難スペースが2㎡~4㎡くらいと回答している自治体が多く、車椅子 などを利用している身体障害者などのスペースとして十分な空間が確保できるのか、ま た自閉的傾向のある知的障害などが過ごすことができる空間とする上で、スペース面で の大きな制約がかかるのではないか等についての懸念が生じる。 福祉避難所の指定数を増やすことを検討している市や、また要支援者名簿の状況に合 わせて必要数を整備することを検討していると回答した自治体は18あり、福祉避難所 の整備に努めている市町村が多いことは評価できる。
28 多くの場合自治体としての対応策が、備蓄物資などの配備、民間施設との協議等にと どまっており、今後この分野での抜本的な具体的な整備が求められている。 <在宅避難支援計画> 今年度新たに加えたアンケート項目である「在宅避難支援」については、「作成して いる」と回答した自治体は4自治体にとどまり、他は「作成していない」という回答で あった。 <在宅避難者への支援策> 「避難所運営マニュアルの中で、避難所を在宅避難者も含めた物資の供給拠点である ことを位置付けている」「在宅避難者に市災害対策本部等から情報を伝えるための「広 報掲示板」を作成し管理する」など主に避難所からの情報発信の支援が想定されている。 「在宅療養者に対して健康維持活動を行う」としている市も見られるが、ほとんどの 自治体で具体的な方策が検討されておらず、避難所や福祉避難所の整備・開設に加えて、 在宅避難者への支援を実施するための人的配置も含めた困難の大きさを示している。
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5.政令指定都市の状況
(1)大阪市 ①地域防災計画について 災害対策基本法の一部改正に伴い、平成26年10月に「大阪市避難行動要支援者避 難支援計画(全体計画)」(以下、「避難支援計画」という)の改訂が行われている。そ のことに伴い改訂が行われているのが12行政区あり、現在改訂を進めている3行政区 をあわせると62.5%の行政区が改訂された災害対策基本法に基づいた地域防災計画 の策定を行っていることになる。 【表15】大阪市行政区ごとの最新計画作成時期 最新計画作成時期 行政区 平成25年 3月 大正区、城東区、旭区、住吉区、東住吉区、浪速区 平成25年 5月 東淀川区 平成25年 9月 福島区 平成25年10月 平野区 平成26年 1月 西成区 平成26年 2月 住之江区 平成26年 7月 西区 平成26年10月 此花区、淀川区 平成26年11月 鶴見区 平成26年12月 西淀川区 平成27年 3月 港区、中央区、東成区 平成27年 6月 北区 平成27年 8月 阿倍野区 平成27年11月 生野区 平成28年 3月 都島区、天王寺区 改訂作業中 大正区、旭区、住吉区(29年度中)30 ②避難訓練について 要支援者の参加については、昨年同様大半の行政区が「参加している」もしくは「参 加している地域がある」との回答を寄せている。 また、福祉避難所の開設訓練に要支援者を巻き込んで取組を進めていると回答してい る行政区が6ヶ所あった。以外にも福祉避難所への呼びかけを行ったり、車いす・担架・ リヤカーを使用した搬送訓練、イーバックチェア階段避難訓練、安否確認・避難誘導訓 練など要支援者を巻き込むためにいろんな工夫をしていることが伺われる。 ③避難行動要支援者名簿について 要援護者名簿については、基本的には「大阪市避難行動要支援者名簿作成基準」に基 づき各区で作成されている。 作成方法については、関係機関共有方式と回答している行政区でも地域組織や福祉施 設等と連携しながら、同意・手あげ方式を取り入れ、手帳の判定だけにとらわれず支援 が必要な人も含めた名簿作りを行っている。 更新の頻度に関しては、大阪市が年1回更新した名簿を基に更新しているため、大半 の行政区が年1回になっている。介護認定の更新等に応じて年2回更新している行政区 や、町会での見守り活動や随時の手あげ等に対応して2ヶ月に1回の更新を行っている 行政区もある。 避難支援等に係るマニュアル等の作成については、東淀川区・旭区が作成済みと回答 しているのとあわせて、15行政区が作成する方向で検討がなされている。 【表16】大阪市行政区ごとの最新計画作成時期 行政区 作成済み 東淀川区(H21.11 月)、旭区(H26.2月) 作成する方向で 検討中 都島区、北区、福島区、此花区、港区、大正区、西淀川区 住之江区、生野区、平野区、阿倍野区、住吉区、西成区 中央区、天王寺区 予定なし・未定 未回答 淀川区、城東区、東成区、鶴見区、東住吉区、西区、浪速区
31 ④避難所について 一次避難所における福祉避難室の設置については、大半の行政区は予定していると回 答しているが、個所数まで回答している行政区は、東淀川区(33ヶ所)、福島区(1 0ヶ所)、西淀川区(20ヶ所)、住之江区(24ヶ所)、旭区(22ヶ所)、阿倍野区(1 5ヶ所)の6行政区にとどまっている。今後、避難行動要支援者の人数が掌握されてい く中で、各行政区とも福祉避難室の個所数が確定していくと推測される。 また、福祉避難室や福祉避難所に関するガイドラインについては、大阪市が作成した 「避難所開設運営マニュアル」に準じるとほとんどの行政区が回答しているが、生野 区・平野区・西成区は、「作成予定」と回答を寄せており、行政区独自のマニュアルを 作成していこうとしている姿勢が伺われる。 福祉避難室と福祉避難所の対象者については、北区・西成区の2行政区が回答を寄せ てはいるが、どちらの行政区も対象者の区別がされているわけではなく、現時点でどの 行政区も明確な区別ができていないのが現状である。また、避難所での配慮については、 大阪市が策定している「避難支援計画」に基づいて行うという回答が大半であった。 ⑤福祉避難所確保等に関する課題 福祉避難所確保等に関する課題としては、福祉避難所の確保そのものが困難であると 回答した行政区が一番多く、ヘルパー等介護者の確保が困難であると回答した行政区も 3ヵ所あった。また、行政区によっては比較的小規模の施設が多く、津波に備えて3階 建て以上の施設を確保することも困難であると回答している行政区もあった。 今後の課題として、マニュアル等の更新や福祉避難所施設間の連携と回答している行 政区もあった。 ⑥福祉避難所への支援 福祉避難所に対する支援策については、福祉避難所開設に関わる支援と回答している 行政区も多くあるが、福祉避難所同士の意見交換会を設けたり、福祉避難所の開設訓練 の見学会を催すなど、工夫を凝らしている行政区もある。また、備蓄物資等の配布と回 答している行政区は、発電機や簡易トイレ(生野区)やデジタル無線(西成区)を協定 を結んだ福祉避難所に配布している。また城東区では、アルファー化米・水・簡易トイ レ・トイレ用テント・発電機・投光器などの配布を行っている。そして、備蓄物資の保 管が困難な施設のために、規模の大きい施設(拠点施設)に近隣の福祉避難所の分も含 めた備蓄倉庫(保管庫)を設けるなどの支援も行っている。
32 【表17】大阪市内における福祉避難所への支援 支援内容 行政区 福祉避難所開設訓練等の支援 都島区、港区、西淀川区、住之江区、東成区 旭区、鶴見区、阿倍野区、住吉区、天王寺区 備蓄物資の配布 北区、城東区、生野区 区社協と連携した本部設置やボラン ティアセンターの開設訓練 福島区 意見交換会の定期開催 住吉区 福祉避難所開設訓練見学会 住吉区 デジタル無線の配備 西成区 検討中 東住吉区 未回答 淀川区、東淀川区、此花区、大正区、平野区 中央区、西区、浪速区 ⑦在宅避難者に対する支援 在宅避難者に対する支援計画を作成していると回答した行政区については、大阪市が 作成している「大阪市避難行動要支援者避難支援計画」を流用していると推測される。 ただ、「区本部は自主防災組織・介護事業者の協力を得て、被災後も自宅で生活してい る避難行動要支援者に対して、定期的に安否を確認するとともに心理的にも孤立しない よう配慮します。」と記載されているだけなので、各行政区での具体化が今後求められ るであろう。 【表17】大阪市内における在宅避難者への支援計画 行政区 作成している 淀川区、港区、大正区、西淀川区、鶴見区、阿倍野区、 天王寺区、浪速区 作成していない 東淀川区、福島区、住之江区、城東区、東成区、生野区、 平野区、西成区 作成中・検討中 北区、住吉区、中央区 大阪市の計画 都島区、此花区、旭区 その他 東住吉区(未定) 未回答 西区 ⑧要支援者の防災対策の課題 ・災害時は自助・自立に頼らざるを得ないために地域に働きかけている(此花区) ・日常からの地域とのコミュニティーづくり(港区)
33 ・人工呼吸器等の特殊医療機器を利用している要配慮者への啓発(住之江区) ・避難行動要支援者がために避難時に備えた避難支援プランの作成(西成区) ・福祉事業者との連携と体制の構築(西成区) ・コミュニティーに無関心な住民に対する啓発(中央区) ・要支援者の把握(浪速区) ・要支援者に対する支援者の把握(浪速区) 【表】福祉避難所等の協定締結状況(大阪市HPより) 区 介護・高齢者福祉施設 障害児・者施設 その他施設 計 北区 5 0 0 5 都島区 17 4 0 21 福島区 3 0 1 4 淀川区 2 4 0 6 東淀川区 15 2 0 17 此花区 5 2 0 7 港区 18 10 0 28 大正区 5 1 0 6 西淀川区 5 4 0 9 中央区 1 0 0 1 西区 4 0 0 4 天王寺区 3 1 1 5 浪速区 5 2 0 7 東成区 5 1 0 6 生野区 14 1 0 15 旭区 8 3 0 11 城東区 9 27 0 36 鶴見区 4 1 1 6 阿倍野区 7 1 0 8 住之江区 8 0 0 8 住吉区 23 13 0 36 東住吉区 9 2 0 11 平野区 8 2 0 10 西成区 4 0 0 4 187 81 3 271 平成 27 年 10 月 1 日現在