• 検索結果がありません。

下水道管路の維持管理高度化に向けた仙台市の取組み

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "下水道管路の維持管理高度化に向けた仙台市の取組み"

Copied!
35
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

下水道管路の維持管理高度化に向けた

仙台市の取組み

仙台市建設局 下水道事業部 下水道調整課

小松 孝輝

(2)

内容

アセットマネジメント導入経緯

管路調査の取り組み

管路の老朽化の進行とカメラ調査の実施状況

管路のサンプリング調査

情報改善の取り組み

新たな調査技術の検討(共同研究)

情報収集の取り組み

業務プロセスとシステム

収集された情報の活用

蓄積された維持管理情報による改善事例

(3)

下水道の役割と仕組み

下水道の目的は「生活衛生の向上」「都市の健全な発達」

「公共用水域の水質改善」「雨水の排除」など

排水設備は個人所有

「ます」は市所有

汚水は下水処理場で生

物処理を行い,浄化後川

や海に放流する

市管理

(4)

仙台市の下水道事業

明治32年(1899年)に着工,今年で118年目

5つの単独公共下水道,2つの流域関連公共下水道

中心部の市街地は合流式下水道により整備(図中,黄色)

公共下水道,農業集落排水施設,地域下水道(コミプラ),公設

浄化槽を下水道事業として一元管理

汚水施設は概成(普及率は99.5%)

雨水施設の整備はまだ(3割程度の状況)

施設規模

管きょ延長4,692㎞

•(公共4,575㎞,農集90㎞,地域27㎞)

処理場数23箇所

•(公共5,農集15,地域3)

ポンプ場数48箇所(公共)

公設公管理浄化槽1,357基

(数値は平成27年度末)

(5)

アセットマネジメント

導入経緯

(6)

下水道に起因する事故

米国ハワイ州ホノルルにおける事故(2006年3月)

仙台市では平成27年度に60件の道路陥没(下水関連)

泉区南中山の道路陥没(平成25年) 宮城野区岡田のバス通りの陥没(平成16年) 舗装下には幅1.5m×長さ5m×深さ2mの空洞 ←管内は硫化水素により腐食が 進行し,木根の侵入が見られた。  圧送管(コンクリート管)が破損し汚水が流出  復旧期間中の運河への直接排水により約18万㎥もの汚水が 公共用水域に流出しワイキキビーチが13日間閉鎖  破損したコンクリート管は2~3年後に改築予定であった 約75cm 約50cm

(7)

仙台市で近年発生した陥没の事例①

破損② 破損① 汚水桝(異常無) 汚水桝(異常無) 雨水桝(異常無) 汚水桝(2.0m付近と2.8m付近で取付管破損) 街渠桝(管残置・桝撤去?)

平成27年4月 陶管の取付管が破損し道路陥没

陥没により車両が損傷

破損① 破損②

復旧並びに損害賠償金を水道(3/4),下水(1/4)で負担

平成27年度カメラ調査 予定路線だった

(8)

仙台市で近年発生した陥没の事例②

水道管

平成25年3月 ポンプ場からの圧送管吐出先のヒュ

ーム管が硫化水素により腐食し破損

舗装下には幅1.5m×長さ5m×深さ2mの空洞

早期復旧のため断面を縮小して仮復旧(φ350㎜

→φ300㎜)

約75cm 約50cm 圧送解除 マンホール

平成27年度にようやく本復旧工事が完了

陥没箇所(路面下)

(9)

毎日どこかで「詰まり」や「陥没」が起きている

(10)

仙台市の下水道施設も老朽化が進んでいる

 今後10年で約19%,20年で46%の管きょが耐用年数(50年)を超過  今後,高度経済成長期以降に布設した管きょが続々と耐用年数を超過  多くの管きょが宮城県沖地震や東日本大震災を経験

仙台市下水道管路延長の推移

老朽化に伴う事故を 未然に防ぐ必要性 H27末:4,692㎞ 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 0 50 100 150 200 250 M32 M36 M40 M44 T04 T08 T12 S02 S06 S10 S14 S18 S22 S26 S30 S34 S38 S42 S46 S50 S54 S58 S62 H03 H07 H11 H15 H19 H23 H27 累計延長(㎞) 布設延長(㎞) 布設年度 仙台市下水道管路延長の推移 布設延長(㎞) 累計延長(㎞) 223㎞ 50年以上経過した経年管 30年以上,50年未満の経年管 1,935㎞ 宮城県沖地震(S53) 東日本大震災(H22) 高度経済成長期

(11)

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 アセット マネジメ ント導入 戦略策定 導入戦略 実施 ITシステ ムの整備 保全計画係設置 業務プロセス整備 管路・設備の 情報収集基準整備 業務フロー 保全カレンダー 投資判断基準の整備 目標・指標の整備 内部監査 豪州調査 導入戦略策定 リスク基準の整備 東日本大震災 長寿命化計画策定・中期経営計画策定 GIS変更・整備 維持台帳 改善試行 戦略室設置 WGによる検討と導入戦略の策定 オーストラリアの先進事例調査 経営企画課と資産管理戦略室の設置 ISO55001 認証取得 AMシステム 本格運用

アセットマネジメントの導入経緯

AM導入WG 情報管理係設置

(12)

日本初のISO55001認証取得

 平成25年7月アセットマネジメント(AM)システムの本格運用を宣言  平成26年3月11日に日本で初めてISO55001を取得  ISO55001とは,国際標準化機構が平成26年1月に新しく定めたAMシステムに関 する国際規格(ISO9001(品質管理)やISO14001(環境管理)等と同様)  まずは管路部門で取得(3年間有効,毎年の定期審査あり)  平成27年にポンプ場・処理場部門,平成28年には浄化槽事業における認証も取 得

(13)

アセットマネジメントって何?

アセットマネジメントの定義(ISO55000)

アセットからの価値を実現化するための組織の調整された活動

アセットマネジメントの目的

事業が抱える

リスク

を適正にコントロールしつつ,

コスト

の削減,故

障や陥没事故削減といった

パフォーマンス

向上を図る。

計画的維持管理との違いは?

自治体の目標は市民サービスの維持・向上

事業にかけられるお金が100万円あったときに何をする?

AMシステムはITシステム?

AMシステム:品質マネジメントシステム(ISO9001)などと同じマネジ

メントシステムの一つ。

AMシステムはAMを実施するための仕組み。

AMシステム≠ITシステム

AMシステムはITシステムを含む

(14)

TVカメラ調査により劣化状況を把握し将来にわたるリスクを評価

リスクに基づき対策工事を実施

現在

調査とリスク評価に基づく下水道管路の保全

保全カレンダーシステム いかに管路の劣化状況を調査・把握するか カメラ調査結果 10年後 20年後 調査結果の反映 GISで可視化

(15)
(16)

管路の老朽化の進行とカメラ調査の実施状況

TVカメラ調査によって劣化状況を把握

老朽化は進んでいるが,調査がなかなか追いつかない

仙台市下水道管路延長の推移

H27末:4,692㎞ 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 0 50 100 150 200 250 M32 M36 M40 M44 T04 T08 T12 S02 S06 S10 S14 S18 S22 S26 S30 S34 S38 S42 S46 S50 S54 S58 S62 H03 H07 H11 H15 H19 H23 H27 累計延長(㎞) 布設延長(㎞) 布設年度 仙台市下水道管路延長の推移 布設延長(㎞) 累計延長(㎞) 223㎞ 50年以上経過した経年管 30年以上,50年未満の経年管 1,935㎞ 宮城県沖地震(S53) 東日本大震災(H22) 高度経済成長期 破損 腐食 年度 TVカメラ調査延長 平成16年度 1.4 ㎞ 平成17年度 16.4 ㎞ 平成18年度 11.5 ㎞ 平成19年度 14.1 ㎞ 平成20年度 8.8 ㎞ 5ヵ年平均 10.5 ㎞ TVカメラ調査実施状況

(17)

管きょのサンプリング調査

調査実施スパン

材質 調査延長(㎞) ヒューム管 153 塩ビ管 62 陶管 14 その他 27 合計 256 調査実施延長  全ての管きょを調査することは,費用・時間の面から困難  サンプリング検査による統計的な手法を利用  310㎞の調査対象路線を抽出  平成21~25年度に256㎞の調査を実施

(18)

管きょのサンプリング調査

経年による不良率の推移(ヒューム管)

0

10

20

30

40

50

0 10 20 30 40 50 60 70 80 平

不 良

( % )

調査時経過年数(年)

汚水・合流管 雨水管

𝑦 = 0.0054𝑥

2

+ 0.1131𝑥

𝑦 = 0.0045𝑥

2

+ 0.0625𝑥

65年

75年

汚水・合流管

雨水管

仙台市改築基準:不良率30%

(19)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 1920 1930 1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 s ・ a 判 定 あ り ス パ ン 率( % ) 布設年度 s・a判定ありスパン率(昭和61年度~) s・a判定ありスパン率(~昭和60年度)

管きょのサンプリング調査

布設年度と不具合との関係(陶管)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 1920 1930 1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 s ・ a 判 定 あ り ス パ ン 率( % ) 布設年度 s・a判定ありスパン率(昭和61年度~) s・a判定ありスパン率(~昭和60年度) 新しい 古い 昭和61(1986)年度~ 圧縮ジョイント方式採用

昭和60年以前

リスクレベル:高

布設年度の古い陶管の 優先的な改築へ

(20)

管きょのサンプリング調査

地区によって突出した不具合の一例

19 30%未満 30-70% 70%以上 不良率 • 35年経過 • ヒューム管 • 団地開発後帰属 • 継手ズレ

サンプリングにより全体を網羅的に調査したことによって発見

(21)

スパン数 延長(m) スパン数 延長(m) 不明 55,989 1,840,533 2,890 90,611 ヒューム管 35,526 1,137,783 81,287 2,680,641 硬質塩化ビニール管(VU) 28,448 791,242 39,743 1,116,378 硬質塩化ビニール管(VP) 1,660 45,137 1,110 34,527 高剛性硬質塩化ビニール管 290 8,983 358 10,708 リブ付硬質塩化ビニール管(RP) 907 31,657 鋼管 52 1,552 53 1,678 強化プラスチック複合管 175 6,221 491 19,175 ダクタイル鋳鉄管 228 19,010 388 41,697 陶管 5,373 141,657 10,953 317,534 コンクリート 504 17,467 1,837 77,871 鉄筋コンクリート 2,006 74,912 4,820 201,511 ポリエチレン管 94 2,327 111 3,100 その他 287 11,029 59 2,116 合計 130,632 4,097,852 145,007 4,629,204 管きょ材質 H20 H27

情報改善の取り組み

 管種ごとの不具合特性が分かっても,管種が分からなければ適切な対応ができない  固定資産情報との突合,カメラ調査結果の反映,資料の調査,各課から寄せられる情 報の間違いの訂正などにより着実に改善  管路調査や維持管理業務の中で得られる情報は貴重⇒台帳へ反映 下水道台帳における「管きょ材質」情報の内訳(H20⇒H27) 材質「不明」が 大幅に減少!

(22)

情報改善の取り組み

材質別の分布を見てみると…

昭和60年以前に 建設された陶管 昭和61年以降の陶管 (圧縮ジョイント) 昭和61年以降の陶管 (圧縮ジョイント)

材質と年代の情報から改築のターゲットを絞り込むことができる

(23)

新たな調査技術の検討(共同研究)

共同研究名:簡易ビデオカメラを用いたスクリーニング技

術の実証に関する研究

研究機関:平成26年12月25日~平成27年3月31日

研究内容:

簡易ビデオカメラ走行性能・日進量の検証

簡易ビデオカメラ画像の不良判定性能の検証

全数調査としての簡易ビデオカメラの有意性の検証

簡易ビデオカメラ(自走式) 調査日進量:800m/日 • 従来調査と比較して1.5~2.5倍の日進量 • 重要な異常はほぼ確認 • 報告書作成の効率化

(24)

これまで本管の調査を一生懸命やってきたが…

取付管カメラ調査の例(平成27年度)

1業務で55箇所のS判定を発見

⇒特に緊急性の高い劣化状態もの

(25)
(26)

仕事の手順や責任の明確化

~業務プロセス~

業務記述(業務手順の留意事項を特記) 業務手順・内容 役 割 分 担 A 係 , B 課 長 等 業務目的 名称・管理者等

業務プロセス・・・仕事の手順と役割を規定,可視化したもの

 AMを確実に履行するためのツールであり,大変重要  業務の標準化により,業務の効率性,安定性,確実性を担保  業務改善や人事異動の際の業務引継,ナレッジマネジメントにも有効

(27)

仕事の手順を明確にするためにシステム導入

調査結果を入力して・・・ 次は班長に回して・・・ お、調査が終わったな。 どれどれ・・・ 未決箱 (業務フロー待ち受け画面) 管路維持台帳システム画面 入力完了後ボタンをプッシュ! 業務プロセスを明確にし,システム化することで作業を漏れなく実施 確認が終わったら 次はGIS入力に送付!

(28)

業務プロセスとITシステム整備によるデータ整備促進

年間4,000件の管路維持管理情報を着実に記録

GISの機能を使って

(29)

収集された情報の活用

業務と情報の流れを整理し,リスク評価や市民サービスに活用

浸水履歴情報の提供 HPでの公開 リスク評価 業務プロセス (雨水緊急対策部会対応) GIS情報入力 情報の確実な記録と一元化・活用方法の整理 市民サービス 計画立案 浸水被害情報の例

(30)

指標値=汚水管きょに関連する詰まり件数/処理区域内人口(万人) 都 市 名 指標値 詰まり件数 うちラードに起因 うち木根に起因 仙 台 市 5.0 508 17 ( 3.3%) 213 (41.9%) 静 岡 市 0.3 15 8 ( 53.3%) 2 (13.3%) 堺 _ 市 1.6 131 11 ( 8.4%) 35 (26.7%)

蓄積された維持管理情報による改善事例

「詰まり」の発生状況を静岡市・堺市と比較

ベストプラクティス(優良事例)は

静岡市

仙台市は2都市と比べ指標値も件数もダントツ

 指標値で静岡市の17倍,件数で同34倍

詰まりの原因として,仙台市では木根侵入が最も多く4割以上を占めて

いる

なにか原因があるのではないか?

(31)

蓄積された維持管理情報による改善事例

蓄積された維持管理情報からわかったこと

■ ~5件,■ 6~9件,■ 10件~

特定の地域

で突出して多い。

発生箇所は“

取付管

”がほとんど

過去9年間(H17~25)における詰まりの分布

(32)

蓄積された維持管理情報による改善事例

【仙台市の現状・課題】

 木根による詰まりが発生した

場合,清掃のみで対応し,修

繕・改築を行わないケースが

大部分

 清掃のみで対応した箇所は

翌年度以降に再び木根が侵

【優良事例(静岡市)に学ぶ】

 接続不良や施工性を背景に

塩ビ製公共桝を標準化

 木根による詰まりが発生した

場合,家主に庭木の移設・撤

去を根気強く勧奨

【業務改善の内容】

事前対策

 塩ビ製公共桝の採用

 桝設置場所の工夫

• できる限り乗り入れ部へ

 施工品質の確保

• 桝と取付管の接合部

事後対策

 取付管の布設替え

• 清掃だけで終わらせない

 業務プロセスの改善

• 改築の要否を担当者だけ

で判断しない

(33)

情報をどう使うか?

 収集すべき情報を決める  管路施設の保全手法検討によって定められた入力項目をもとに管路維持台 帳を整備  職員が入力しやすいように,間違わないように,プルダウンメニューを作成  今後とも改善を続けると同時に,どのようにデータを使っていくかを考えていく

(34)
(35)

まとめ(課題など)

アセットマネジメントシステムは最適解を求めるための「

仕組み

 事業におけるパフォーマンス,リスク,コストの最適バランスを追及  仙台市ではISO55001(アセットマネジメントシステム)の認証を取得  アセットマネジメントのためのマネジメントシステム  仕組みは立派,実施は大変

管路調査

 劣化状況の予測がうまくできれば,なんとか必要な調査だけは実施できる  調査日進量の向上,報告書作成日進量の向上  調査結果の判定能力・解析  取付管調査の必要性・対応方針

情報収集

 業務プロセス・システムの整備による維持管理業務の向上  でも,プロセスやシステムに縛られてはしまってはダメ  集まった情報をもっと活用できるはず 管路維持管理業務のさらなる高度化へ

参照

関連したドキュメント

1.2020年・12月期決算概要 2.食パン部門の製品施策・営業戦略

捜索救助)小委員会における e-navigation 戦略実施計画及びその他航海設備(GMDSS

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014. 貨物船以外 特殊船

取組の方向 安全・安心な教育環境を整備する 重点施策 学校改築・リフレッシュ改修の実施 推進計画 学校の改築.

取組の方向  安全・安心な教育環境を整備する 重点施策  学校改築・リフレッシュ改修の実施 推進計画

当初申請時において計画されている(又は基準年度より後の年度において既に実施さ

2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 地点数.