京都市におけるパン店の立地
提出年月 2011 年 1 月 18 日 学部 経営情報学部 指導教員 草薙信照 学籍番号 07-5033 クラス 4 年 61 組 33 番 氏名 美崎真央目次 はじめに 研究の動機 ··· 1 研究方法 ··· 1 第1章 パンの定義とその現状 1.1 パンの歴史 ··· 2 1.2 パンの種類 ··· 2 1.3 日本全国のパンの消費量 ··· 3 第2章 京都市のパン店の立地 2.1 店舗数と分布 ··· 4 2.2 在住外国人との関係 ··· 7 2.3 パン店の立地状況··· 9 2.3.1 上京区 ··· 9 2.3.2 中京区 ··· 11 2.3.3 下京区 ··· 13 2.3.4 条件外のパン店の立地 ··· 15 第3章 結果と考察 ··· 18 あとがき ··· 19 参考文献・サイト ··· 20
1 はじめに 研究の動機 自分が興味のあることについて調べたい。そう思ってテーマを探したところ、アルバイトで 2 年半働いたパン店なら自分にとって身近で考えやすいのではないかと思い決定した。本格的に研 究を始める前にパン店について調べてみたところ、パンで有名な神戸市や横浜市がさかんなので はないかと思っていたが、実は京都市のパン消費量が一番多いということが分かった。自分が予 想していた結果との違いに意外性を感じるとともに、なぜ京都市なのだろうという疑問と興味が 浮かび、今回の論文で京都市のパン店について調べようと思った。 研究方法 京都市内のパン店の店舗について調べ、住所から店舗の XY データを取得する。取得した XY デ ータを基に、店舗分布を ArcMap の地図上に表示し、出店状況を分析する。それとともに、京都市 に住む外国人人口の割合との関係についても分析する。その次に、京都市の中心ともいえる上京 区・中京区・下京区の 3 区を取り上げ、主要施設からの距離など条件を設定して更に細かい立地 状況を調べる。
2 第1章 パンの定義とその現状 1.1 パンの歴史 パンとは、小麦粉やライ麦粉などに水、酵母、塩などを加えて作った生地を発酵させた後に焼 いた食品のことである。焼くに限らず、蒸したり、揚げたりするものもある。また、レーズン、 ナッツなどを生地に練り込んだり、別の食材を生地で包んだり、生地に乗せて焼くものもある。 生地を薄くのばして焼くパンや、ベーキングパウダーや重曹を添加して焼くパンの中には、酵母 を添加せずに作られるものも多い。 今から約 6000 年前、小麦粉を水でこね焼いただけのものがメソポタミアで食べられていて、 これがパンの原形とされていた。メソポタミアのパンは無醗酵だったが、その後、古代エジプト で、おそらくほんの偶然から醗酵されたパンが誕生し、食物として、また、供え物としても、パ ンが作られるようになった。エジプトからギリシャへパン作りが伝えられると、製パン技術を身 につけた専門のパン職人が登場して、ブドウ液から作られた酵母も使われるようになり、量産さ れるようになった。そしてヨーロッパからアジア、アフリカへも伝えられ、世界各地で主食とし て取り入れられるようになった。 日本には、戦国時代に、鉄砲やキリスト教とともに伝えられ たとされている。イエズス会のフランシスコ・ザビエルらが日本でもパン作りを始めたが、キリ スト教が禁じられてからは、長崎などで西洋人のために細々と作られていた。1840 年に中国で 起こったアヘン戦争がきっかけに日本人の手によってパンが作られた。徳川幕府は、日本にも外 国軍が攻めてくることを恐れ、兵糧としてパンを作らせた。米飯では炊くときの煙が敵方にとっ て格好の標的になりかねないが、それに比べ、固いパンは保存性と携帯性の面ですぐれていると 考えたからである。1854 年に鎖国が解かれると、横浜、神戸など港町を中心に、パン作りが広 がり、1869 年、現存するパン屋でもっとも古い「木村屋総本店」が銀座に開業。6 年後には、日 本独特の「あんパン」が発売され人気商品になり、第二次世界大戦後は、食生活の洋風化が進み、 パンは米に次ぐ主食として定着した。 1.2 パンの種類 パンには国独自のものが存在する。よく耳にするのがフランスパンやドイツパン、イギリス食 パンなど国の名前がついたものである。それだけでなく、クロワッサンやデニッシュなど日本の パン店でもよく目にする種類があるが、これらは主にヨーロッパから伝わってきたものである。 ヨーロッパだけでなく、北アメリカのベーグルやインドのナンなどそれぞれの国の特色を活かし たパンが考えられ、日本に伝わってきている。また日本独自のパンというものも存在し、あんパ ンやメロンパンなどの菓子パンやカレーパンなどの総菜パンは、実は日本が考え出したパンなの である。
3 1.3 日本全国のパンの消費量 パンは朝から夜の食事、また小腹が空いた時の間食として日本全国の人々に口にされている。 図 1 は 1 世帯当たりの都道府県の県庁所在地におけるパンの消費量である。一番多い地域がこの 卒業論文のテーマでもある京都府京都市の 62,954 グラムで、それに次いで広島県広島市の 60,470 グラム、兵庫県兵庫市の 59,415 グラム、滋賀県大津市の 56,906 グラム、そして一番少 ない地域が山形県山形市の 33,807 グラムである。 パンの消費量は近畿周辺が多く、遠ざかるにつれて消費量は少なくなっている。東北周辺のパ ン消費量が少ない理由として、米の生産が有名なのでパン食よりも米食の方が馴染み深いという ことが考えられる。関西人の多くが朝は決まってパンという文化が他の地域では通用しないとい うように、食文化には大きな違いがある。 図 1 都道府県県庁所在地別 1 世帯当たりのパン消費量 都道府県別消費量 世世あああ あああ消費量 1 以以 40,000g 以以 46,000g 以以 52,000g 以以 59,000g 超 59,000g
4 第2章 京都市のパン店の立地 2.1 店舗数と分布 表1は京都市にあるパン店の数を区別にまとめたものである。今回スーパーやコンビニエンス ストアなどの小売店や生産工場は除き、パンだけを専門に販売している店を対象とした。店舗数 は「i タウンページ」「おいしいパン.net」より重複するものを省いて算出した。 京都市内には計 283 店のパン店があり、一番店舗数が多いのは、左京区・中京区の 42 店舗で、 一番店舗数が少ないのは東山区と南区の 12 店舗であるが、人口 1 万人当たりの店舗数でみると、 一番多いのが中京区の 4.1 店舗で、一番少ないのが南区の 1.2 店舗である。 図 2 は人口 1 万人当たりの店舗数を示し、図 3 では町丁字別人口の地図に店舗分布を表示さ せたものである。店舗の XY データは、「Google マップ」に住所を入力し取得した。 店舗数だけを見ると地域に偏りがあるが、人口 1 万人当たりの店舗数で見ると、中京区を基 点に北は多く南は少ないというように、南北で店舗数の差が見られた。また、京都市のパン店は 中京区などの市街地を中心に人口密度の高い場所に集中していて、山間部など人口密度の低い場 所へ遠ざかるにつれて立地がほぼなくなっている。このことから人々の日常生活を便利にするた めというよりも、観光客など人が集まる場所に出店している傾向があることが考えられる。
区名
店舗数
人口総数
人口1万人当たりの 店舗数 北区 29 124266 2.3 上京区 13 83534 1.6 左京区 42 169587 2.5 中京区 42 102129 4.1 東山区 12 42464 2.8 下京区 24 75437 3.2 南区 12 98193 1.2 右京区 32 202356 1.6 伏見区 40 285419 1.4 山科区 17 136670 1.2 西京区 20 154756 1.3 合計 283 1474811 1.9 表 1 京都市のパン店の数5 右京区 左京区 北区 伏見区 西京区 山科区 南区 東山区 中京区 上京区 下京区 人口1万人当あああ店舗数 店舗数 人口人数 / 店舗以以 1.5 店舗以以 2.5 店舗以以 3.5 店舗超 3.5 図 2 人口 1 万人当たりの店舗数
6 ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( !( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( !( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! (!( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( !( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( 北区 左京区 伏見区 右京区 西京区 南区 山科区 東山区 中京区 上京区 下京区 ああ店あ分布 ! ( ああ店 (人口密度 人/km2) 町丁・大字 DATA.TOKEI_MITSUDO.MITSUDO 0 ~ 2599 2600 ~ 6914 6915 ~ 12514 12515 ~ 21213 21214 ~ 57616 57617 ~ 264639人/km2 図 3 店舗分布(町丁字別人口)
7 2.2 在住外国人との関係 京都市のパンの消費量が多い理由として、関西での消費量が多いからということはもちろんだ が、他に理由があるのではないかと私は考えた。そこで思いついたのが日本に住む外国人につい てである。パンは、本来外国から伝わってきたものである。朝昼夜の食事の中で主食として食べ られていたりフランスパンやドイツパンなど国名がつけられたものもあるなど、外国の人々にと ってパンとは手放すことのできない食料である。これらの理由より、故郷の味を懐かしんでパン を求める日本在住の外国人がいるのではないかと考えた。 実際、日本全国の外国人人口(人口 10 万人当たり)について調べたところ、京都府は全国 7 位 であった。この結果から、京都に住む外国人が少なくはなく、パンの消費量が多い原因の一つと して考えることができる。 都道府県 外国人人口(単位:人) 1 愛知県 2069.2 2 大阪府 1993.5 3 東京都 1974.8 4 静岡県 1864.8 5 三重県 1834.5 6 岐阜県 1746.0 7 京都府 1739.0 8 群馬県 1725.9 9 滋賀県 1648.1 10 長野県 1583.0 表 2 人口 10 万人当たりの外国人人口ランキング(2005 年) 京都市に住む外国人について調べたところ、約 9 割が韓国・朝鮮・中国人だった。しかし、 これらの国の人々はパンを主食としているわけではないので調査の対象になるとは言い難い。そ こで、今回はパンを主食としている国だけを対象にした。京都市文化市民局が発行した「区政概 要(2001 年)」では、主食がパンと明らかな国が米国だけであり、ヨーロッパはその他の国とし てまとめられている。不明な国を混ぜると結果に誤りが生じるため、今回は米国の人口のみを対 象とすることにした。 図 4 は米国人人口 10 人当たりの店舗数を示したもので、一番店舗数が多いのは伏見区の 6.5 店舗、一番店舗数が少ないのは上京区の 1.3 店舗である。米国人の人口は、図 2 の人口 10 万人 当たりの店舗数と同様に北が多く南に進むにつれて減っているのだが、それとは反対に、米国人 人口 10 人当たりの店舗数は南が多く北は少なくなっている。
8 右京区 左京区 北区 伏見区 西京区 山科区 南区 中京区 上京区 以京区 東山区 米国人10人当あああ店舗数 店舗以以 3 店舗以以 4 店舗以以 5 店舗以以 6 店舗超 6 図 4 米国人 10 人当たりの店舗数
9 2.3 パン店の立地状況 ここまで店舗数や店舗分布、そして京都市における様々な人口と店舗数の関係を中心に立地分 析をしてきたが、ここでは店舗周辺の条件について分析する。細かい立地分析を行うために、京 都市の中心ともいえる上京区・中京区・下京区の 3 区を取り上げ調査した。 今回の立地分析では「駅」と「神社」からの距離を利用する。理由としては、駅からの距離は 利便性との関係を調べるためであり、神社からの距離は京都市で有名な観光地であり、観光客が 集まる神社周辺は集客が見込めるため出店が多いのではないかと考えたからである。 駅の XY データは「GIS Server」の「Rail2008_全線_駅舎.shp」を引用し、神社の XY デー タは「i タウンページ」で取得した住所を「Google マップ」に入力して取得した。また、距離は 各基点から半径 500 メートルとしている。 2.3.1 上京区 上京区は京都市街地の北部に位置しており、東は左京区、北から西は北区、南は中京区に接し ている。また東には鴨川、西には天神川が流れ、それぞれが区境をなしている。区の東部には鎌 倉時代中期から明治時代初期まで天皇が住んでいた京都御所を含む京都御苑が広大な面積を占 めているほか、千本釈迦堂、相国寺、北野天満宮などの歴史的遺産があり、古くからの伝統ある 文化が現在も引き継がれている。 今回の調査では、駅の数を 11 駅、神社の数は 15 か所としている。 ■駅との立地関係(図 5) 駅から半径 500 メートル圏内に立地するパン店は 4 店舗あり、上京区のパン店全体の約 31% の割合だった。どの駅も対象範囲内に最低 1 店舗は存在するが、北区や中京区など上京区外で の出店が目立っている。また、上京区内での出店状況においても範囲内ギリギリの位置での出店 がほとんどであり、上京区では駅近くでの出店にこだわっていないことが考えられる。 ■神社との立地関係(図 6) 神社から半径 500 メートル圏内に立地する店舗は 9 店舗あり、上京区のパン店全体の約 69% の割合だった。しかし、西部と東部の神社周辺には少なく、中部の神社周辺に集中している。こ れは、中部の神社が今出川通など大きい通り付近に存在し、人が集まる場所だからということが 考えられる。
10 " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( !( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + 東西線 京都市 烏 丸 線 京 都 市 鴨 東 線 京 阪 電 気 鉄 道 山陰線 西日本旅客鉄道 叡山本線 叡山電鉄 京都線 阪急電鉄 嵐山本線 京福電気鉄道 北野線 京福電気鉄道 京 阪本 線 京 阪電 気鉄 道 円町 二条 二条 丸太町 鞍馬口 今出川 出町柳 出町柳 二条城前 北野白梅町 神宮丸田町 上京区 $ + 上京区内あああ店 ! ( 上京区外あああ店 " ) 駅 線路 駅から半径500メートル # * # * # * # * # * # * # * # * # * # * # * # * # * # * # * # * # * # * # * ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( !( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + 幸神社 平野神社 天津神社 玄武神社 建勲神社 宗像神社 梨木神社 晴明神社 白峯神宮 白雲神社 御靈神社 護王神社 水火天満宮 以御霊神社 北野天満宮 上御靈神社 首途八幡宮 大将軍八神社 出世稲荷神社 上京区 $ + 上京区内あああ店 ! ( 上京区外あああ店 # * 神社 神社から500メートル 図 5 上京区 駅から半径 500 メートル圏内のパン店 図 6 上京区 神社から半径 500 メートル圏内のパン店
11 2.3.2 中京区 中京区は京都市街地のほぼ中央に位置する。東は左京区と東山区、西・南・北はそれぞれ右京 区、下京区、上京区に接し、西北のごく一部が北区に接している。昭和 4 年(1929 年)に上京 区・下京区の各一部をもって新設された。区の東には鴨川が流れ、東山区との境をなし、区の中 央部北寄りには二条城が広大な面積を占める。御池通・烏丸通・河原町通・四条通沿いには、官 公庁・政治・経済団体・金融機関・商店などが集中しており、観光・娯楽・ショッピングなどで 賑わうとともに,京都市の産業・経済活動の中心となっている。一方で、堀川通沿いには平成 6 年 12 月に世界文化遺産に登録され、平成 15 年には築城 400 年を迎えた二条城が建ち、まちのシ ンボルとなっている。 今回の調査では、駅の数(同名・接続駅の重複を含む)を 25 駅、神社の数は 11 か所として いる。 ■駅との立地関係(図 7) 駅から半径 500 メートル圏内に立地するパン店は 35 店舗あり、中京区パン店全体の約 83% の割合だった。地下鉄線・JR 線・阪急線・京福嵐山線・京阪線の駅が近いため、交通アクセス が便利で人が集まるといえる中京区は、先ほどの上京区と違って駅ナカや駅付近の立地が多いと いえる。また、二条駅や烏丸御池駅などの乗り換えの駅は利用乗客数も多いため、それらの人々 をターゲットとした出店をしていることが考えられる。 ■神社との立地関係(図 8) 神社から半径 500 メートル圏内に立地するパン店は 33 店舗あり、中京区パン店全体の約 79% の割合だった。上京区と同様に、河原町通や御池通などの大きい通り付近に神社があり、通りか ら少し入ったところにも出店が見られる。また、出世稲荷神社のような区外にある神社が中京区 のパン店の近くにあることから、区の境界付近に位置する神社は、市街地に近い中京区に出店し ている傾向があるということも考えられる。
12 " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) ") " ) ") " ) " ) " ) " ) ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( !( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $+ $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + 京都市 東西線 阪急 電鉄 京都 線 京 都 市 烏 丸 線 西日本旅客鉄道 山陰線 京福電気鉄道 嵐山本線 京阪 電気 鉄道 京阪 本線 京 阪 電 気 鉄 道 鴨 東 線 円町 二条 大宮 西院 烏丸 西院 二条 四条 三条 三条 丹波口 河原町 山ノ内 丸太町 西大路池 四条大宮 三条京阪 烏丸御池 烏丸御池 二条城前 烏丸御池 祇園四条 西大路三条 神宮丸田町 京都市役所前 中京区 $ + 中京区内あああ店 ! ( 中京区外あああ店 " ) 駅 線路 駅から半径500メートル # * # * # * # * # * # * # * # * # * # * # * ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + 春日神社 宗像神社 御金神社 白山神社 錦天満宮 京都大神宮 以御霊神社 出世稲荷神社 元祇園椰神社 武信稲荷神社 高松神明神社 中京区 $ + 中京区内あああ店 ! ( 中京区外あああ店 # * 神社 神社から半径500メートル 図 7 中京区 駅から半径 500 メートル圏内のパン店 図 8 中京区 神社から半径 500 メートル圏内のパン店
13 2.3.3 下京区 下京区は京都市街地の南寄りに位置し、東西南北を鴨川・西高瀬川・JR 東海道本線・四条通 に囲まれている。河原町通・烏丸通・堀川通・五条通など市の主要幹線道路や、鉄道ターミナル の京都駅があるなど、広域的な交通拠点としての役割を担っている他、京友禅など優れた伝統産 業が数多く立地し、室町筋の繊維卸業の問屋街や四条通の商店街があるほかにも、ほとんどの百 貨店が区内に集中している。商店街だけでなく、JR 京都駅ビルやその周辺もにぎわいのある商 業地で、西部地域には市民の台所としての活況がある京都市中央卸売市場、先端産業の拠点の京 都リサーチパークなどがある。 今回の調査では、下京区の駅の数(同名・接続駅の重複を含む)を 20 駅、神社の数は 13 か 所としている。 ■駅との立地関係(図 9) 駅から半径 500 メートル圏内に立地するパン店は 19 店舗あり、下京区パン店全体の約 79% の割合だった。特に京都駅・烏丸駅・河原町駅付近に集中しており、京都伊勢丹・京都大丸・京 都高島屋などの百貨店が付近に出店していることが理由として考えられる。百貨店内には最低で も 1 店舗パン店があり、買い物客が多く集まる百貨店周辺にも出店数が多い。下京区では。駅 の近くにパン屋を出店するというよりも、駅の利用客をターゲットとしたショッピング施設内や その付近に出店しているということが考えられる。 ■神社との立地関係(図 10) 神社から半径 500 メートル圏内に立地するパン店は 15 店舗あり、下京区パン店全体の約 63% の割合だった。駅の近くにある神社付近での出店が多く、下京区など駅から遠くにある神社付近 では出店が見られなかった。このことから交通アクセスが便利な神社付近には出店が多いが、利 便性の低い場所にある神社の周りには出店が少ないということが考えられる。また 15 店舗中 11 店舗が駅から半径 500 メートル圏内にあるパン店と重複していることから、下京区では神社よ りも駅からの立地を重視しているということも考えられる。
14 " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) ") " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) " ) ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( !( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( !( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $+ $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + 京 都 市 烏 丸 線 阪急電鉄 京都線 東海旅客鉄道 東海道新幹線 京 阪 電 気 鉄 道 京 阪 本 線 西 日 本 旅 客 鉄 道 山 陰 線 西日本旅客鉄道 東海道線 京福電気鉄道 嵐山本線 西 日 本 旅 客 鉄 道 奈 良 線 京都市 東西線 近畿 日 本 鉄 道 京 都 線 京都京都 京都 京都 京都 大宮 烏丸 京都 五条 京都 四条 七条 東福寺 西大路 丹波口 河原町 東福寺 四条大宮 祇園四条 清水五条 以京区 $ + 以京区内あああ店 ! ( 以京区外あああ店 " ) 駅 線路 駅から半径500メートル # * # * # * # * # * # * # * # * # * # * # * # * # * ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( !( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( !( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( ! ( $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $+ $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + $ + 若一神社 道祖神社 天道神社 大楽神社 諏訪神社 住吉神社 五條天神社 京都大神宮 市比賣神社 文子天満宮 島原住吉神社 松尾神社朱雀御旅所 松尾大社西七条御旅所 以京区 $ + 以京区内あああ店 ! ( 以京区外あああ店 # * 神社 神社から半径500メートル 図 9 下京区 駅から半径 500 メートル圏内のパン店 図 10 下京区 神社から半径 500 メートル圏内のパン店
15 2.3.4 条件外のパン店の立地 上京区・中京区・下京区の 3 区のパン店について駅または神社から半径 500 メートル圏内とい う条件をもとに立地状況を分析したが、その 2 つに当てはまらない店舗も当然存在する。条件に 当てはまらない店舗は、上京区が 3 店舗、中京区が 0 店舗、下京区が 1 店舗の計 4 店舗である。 これらの店舗の周辺状況を「Google マップ」を使って調べた。 上京区では、3 店舗とも千本通という通り沿いに出店している(図 11)。千本通の大部分は片側 2 車線であるが、千本今出川から千本丸太町までは片側 1 車線の道路である。「Google マップ」 のストリートビューを利用して店舗の周辺状況を確認したところ、駐車のスペースがなく車での 来店者向けではなかった。近辺に特に大きな建物もなく民家が集中していることから、多くの来 店客を求めるというよりも、近所に住む住民に向けて出店しているということが考えられる。 下京区では、西大路通から東に入った場所に出店している(図 12)。店舗の周辺状況を確認し たところ、周りに大きな建物はないが、集合住宅が目立っていることが分かる。また、西大路通 からの距離も短いので、通り沿いに存在するオフィスで働く人々の食事として利用されているこ とも考えられる。
16
!
R
!
R
!
R
図 11 条件対象外の店舗(上京区)17
!
R
18 第3章 結果と考察 まず、第 1 章でパンの歴史や現状について触れた。主食から間食まで、国外から伝わってきた パンだが、今となっては私たちの生活に欠かせない存在である。そのパンを食べる量も地域によ って差があり、東日本よりも西日本、特に関西地方で多く食べられていることが分かった。この 結果について、東日本では米の生産がさかんであり、1 日 3 食ご飯が並ぶ家庭が多いのではない かと考えられる。また、パンの消費量が多い西日本では、朝はパンが当たり前、夜にもパンを食 べようという文化が広まってきたのではないかということが考えられる。 次に、第 2 章ではパンの消費量が一番多いとされる京都府京都市のパン店の立地について分析 した。多い地域は 42 店舗、少ない地域は 12 店舗と区ごとに店舗数に大きな差が出たが、これを 人口 1 万人当たりの店舗数で見ると、中京区を基点に北は多く南に行くにつれて少なくなるとい うように、南北で店舗数の差が出た。また、どの区にも共通しているのが、中京区など市街地付 近に集中して出店しているという点である。このことから、京都市のパン店は人々の日々の生活 を支えるというよりも、地元民から観光客まで多くの人々が集まる場所に出店しているというこ とが考えられる。 京都市でパンの消費量が多い理由として、日本人よりもパンを食べる文化が習慣化されている 外国人が関係しているのではないかと思い、京都市に住む外国人との関連についても分析した。 パンを主食とする米国人の割合について調べると、米国人 10 人当たりの店舗数は人口 1 万人当た りの店舗数とは逆に南で多く北に行くにつれ少なくなっている。高く、南区が低かった。 最後に、第 3 章では、京都市の中心地である上京区・中京区・下京区の 3 区を取り上げ、細か い立地分析を行った。駅と京都で有名とされる神社を基点とし、それらの周辺地域の立地分析を 行った。駅の点から見ると、どの駅にも最低 1 店舗は 500 メートル圏内にパン店が存在し、特に 乗換がある駅や百貨店など買い物施設が近くにある駅に出店が集中しており、人が多く集まる場 所ほど出店店舗が多くなっていることが分かった。神社の点から見ると、この 3 区は大通り付近 の神社が多く、繁華街に近い神社であればあるほどパン店の店舗数が多かった。また、この 2 つ の条件に当てはまらない店舗は全部で 4 店舗存在し、少し大きい通りや集合住宅の近辺に出店し ている。これらの店舗は多くの集客を見込むというよりも、経営者の好みで自由に経営している のではないかということが考えられる。 このことから、最初に述べたように人々の日常生活を支えるためというよりも、買い物客から 観光客まで多くの人々が集まる場所に出店する傾向があることが考えられる。
19 あとがき 大学生活の集大成として満足のいくものを作ろうと意気込んで取り組みましたが、出だしで早 速知識や技術力のなさにつまずきました。ArcMap とは 2 回生の空間情報処理からの付き合いでし たが、まさかここまで何もできないとは…今までどれだけ勉強してなかったかということを思い 知らされひどく後悔しました。しかし、そんな私を最後まで見捨てず熱心に指導してくださった 先生や楽しいことも辛いことも一緒に経験したゼミの仲間達の協力のおかげで、なんとかこのよ うな形を作り上げることができました。提出期限の直前にはもう出来ないとパソコンの前で何度 も何度も嘆きましたが、それでも頑張れたのは励まし合ってくれた友人達がいたからです。他の ゼミの人から羨ましがられるくらい草薙ゼミは仲の良いゼミだと胸を張って言えるし、このゼミ を選んで本当によかったと思います。4 回生になってからの思い出はほとんどゼミで埋め尽くさ れていると思います。 論文については、残念ながら完璧といえるものができなかったと思います。データ収集から分 析まで、単純な作業が続いたり変わった結果が出なくて投げ出すことも多々ありました。特に、 今回論文で調査した外国人人口との関係については、はっきりとしたデータを集めることが出来 ず、もう少し詳しく調べたかったです。その点を始め、論文の中には未熟な点が多数あると思い ます。しかし、今まで生きてきた中で初めて自分で調べたいことを見つけ、それについてとこと ん調査をすることによって大きく成長できたのではないかと思います。完璧な論文は出来ません でしたが、それとは違った何かを得ることができたのではないかと思います。 最後にもう一度、最後の最後まで見捨てず支えてくれた草薙先生、2 年半色んな経験を共にし た草薙ゼミのみなさん、本当にありがとうございました。
20 参考文献・サイト 竹内猛人「京都市と神戸市における和菓子店・洋菓子店の立地」 高橋重雄「事例で学ぶ GIS と地域分析」 「パン食普及協議会がお送りするパンの情報提供サイト」 http://www.panstory.jp/index.htm 「統計局ホームページ」 http://www.stat.go.jp/index.htm 「i タウンページ」 http://itp.ne.jp/ 「おいしいパン.net」 http://www.oishii-pan.net/ 「首都圏不動産公正取引協議会」 http://www.sfkoutori.or.jp/consumer/yomikata.html 「京都市情報館」 http://www.city.kyoto.lg.jp/ 「京都府、京都市の外国籍住民統計データ」 http://www.kcif.or.jp/iryo-t/gaikoku/pdf/toukei.pdf#search='外国人人口 京都市 区政概要'