研究の概要
目的
生徒の化学に対する意義や必要性の認識を高めるため,
常生活 文脈を重視 た指導法を考案 効果を
目的
日常生活の文脈を重視した指導法を考案し,その効果を
検証する。
方法
授業実践:高等学校3年生文型・化学選択クラス 10名
化学Ⅰ「有機化合物 官能基を含む化合物」
検証方法:質問紙,実験レポート
結果
単元全体を通して 日常生活と関連のある内容を授業に
結果
単元全体を通して,日常生活と関連のある内容を授業に
取り入れることにより,化学の授業と日常生活との関連や,
化学の学習の必要性を再認識する生徒がいた。
事前調査の結果
項 目
平均値 標準偏差
化学の楽しさ(5項目)
3.58
0.78
(例)化学を学ぶことに興味がある。
(例)化学を学ぶことに興味がある。
化学の価値(10項目)
3 58
0 79
(例)化学は 自分 身 回り とを理
3.58
0.79
(例)化学は,自分の身の回りのことを理
解するのに役立つものだと思う。
化学の学習の道具的動機付け(5項
化学の学習の道具的動機付け(5項
目)
2.70
1.06
2.70
1.06
(例)将来勉強したい分野で必要になる
ので,化学を学習することは重要だ。
2.授業実践
○指導過程(一
覧)
覧)
限 学習内容 授業に取り入れた日常生活と関連のある内容
1 事前調査 ①アルコールの疎水性・親水性
1
アルコールの分類・物理的性質 ①アルコ ルの疎水性 親水性
2 アルコールの化学的性質
②呼気中のアルコール濃度の測定
3 メタノール,エタノール
アルデヒドの性質
②呼気中のアルコ ル濃度の測定
③メタノールの有毒性
④アルコール発酵
⑤バイオエタノールと環境問題
⑤ 環境問
4 (実験)アルコールとアルデヒド ⑥銀鏡反応
5
ホルムアルデヒド,アセトアルデ
ヒド ケトン アセトン
⑦ホルムアルデヒドの用途
⑧アセトアルデヒド製法の功罪
5 ヒド,ケトン,アセトン
事後調査
⑧アセトアルデヒド製法の功罪
⑨アセトンの用途
5回の授業全体を通して 日常生活と関連のある
5回の授業全体を通して,日常生活と関連のある
内容を,可能な限り授業に取り入れた。
4.結果の分析
事前平均 事後平均
項目のカテゴリ
事前平均
(標準偏
差)
事後平均
(標準偏
差)
化学の楽しさ
(0.78)3.58
(1.08)3.34
化学の価値
(0.79)(3.58
) (0.94)(3.61
)
化学の学習の道具的動機付け
(1 06)(1.06)2.70
(0 89)(0.89)2.86
4.結果の分析
「化学の価値」 の質問例
事前平均
(標準偏
事後平均
(標準偏
「化学の価値」 の質問例
(標準偏
差)
(標準偏
差)
2.60 3.10
化学の考え方の中には,他の
人々とどう関わるかを知るのに
(0.70) (0.74)
人々とどう関わるかを知るのに
役立つものがある。
バイオエタノール
化学と社会との
関わりを改めて
アセトアルデヒド製法の功罪
(水俣病の原因となった製法)
関わりを改めて
意識した結果で
はないか
はないか。
4.結果の分析
「化学の学習の道具的動機付
事前平均
(標準偏
事後平均
(標準偏
化学の学習の道具的動機付
け」 の質問例
(標準偏
差)
(標準偏
差)
1 80 2 50
将来勉強したい分野で必要に
1.80
(0.63) (0.85)2.50
将
勉強
分野
要
なるので,化学を学習すること
は重要だ。
呼気中のアルコール濃度
定
の測定
バイオエタノール
自分の志望先との
関連を改めて意識し
た結
な
アセトアルデヒド製法の功罪
た結果ではないか。
4.結果の分析
-質的分析-
事前
実験
事後
A(男子)
事前
実験
事後
普通に生活してい ・AgNO
3にNH
3を入れ 現在使用している
るだけではわから
ない細かい所まで
知れる点
た時に,最初の数
適の時は沈殿がで
きるのに 更に入
様々なモノなどは,
化学の発展によっ
て作り出されてい
知れる点。 きるのに,更に入
れるとそれが消え
無色になる点。
て作り出されてい
るところ
無色になる点。
事前では,物質の性質の解明に利するところがあるとした記述が,
事後では化学の有用性について記述しており 化学に対する意
事後では化学の有用性について記述しており,化学に対する意
義や必要性の認識が高まったと読み取れる。
4.結果の分析
-質的分析-
A(男子)
10項目で評価が事前より事後で高くなっている。
事前 事後
事前 事後
大人になったら,化学を様々な場面で役立て
たい
3
→
4
たい。
3
4
化学は,自分の身の回りのことを理解するの
に役立つものだと思う
4
→
5
に役立つものだと思う。
私は,化学からたくさんのことを学んで就職に
役立てたい
3
→
4
役立てたい。
「銀鏡反応」や「アルデヒドなどの製法・用途」などの内容で,
学
有
性を
徒が感
考
化学の有用性をこの生徒が感じたためと考えられる。
4.結果の分析
-質的分析-
事前
実験
事後
B(男子)
事前
実験
事後
紙面上ではなく, 試験や問題で見か 実際に試薬を使っ
実験す
実験を通してその
現象を楽しむこと
に尽きると思いま
ける実験で,実際
にやってみるとい
うことに大きな意
て実験するところ
に尽きると思いま
す。
うことに大きな意
義を感じました。
銀鏡反応がもう少
銀鏡反応がもう少
しうまくいけばよ
かったんですが…。
記述の比較からは,化学に対する意義や必要性の認識が高ま
ったとは読み取れない。
4.結果の分析
-質的分析-
B(男子)
事前 事後
事前 事後
化学の考え方の中には,他の人々とどう関わ
るかを知るのに役立つものがある
2
→
4
るかを知るのに役立つものがある。
2
4
大人になったら,化学を様々な場面で役立て
たい
3
→
4
たい。
化学は,私にとって身近なものである。
3
→
4
「バイオエタノールと環境問題」や「アセトアルデヒド製法の功
罪」などで,社会生活との関連を意識させる内容を取り上げ
たことが影響していると思われる。
考察
日常生活と関連のある内容を,授業全体を
通して,可能な限り授業に取り入れた。
通して,可能な限り授業に取り入れた。
銀鏡反応
化学の授業と日常生活と
の関連を再認識させる
呼気中のアルコール
濃度の測定
の関連を再認識させる。
バイオエタノール
アセトアルデヒドなどの
化学の学習の必要性
を再認識させる
アセトアルデヒドなどの
製法と用途
を再認識させる。
今回の実践で 生徒の化学に対する意義や必要性の認識を
今回の実践で,生徒の化学に対する意義や必要性の認識を,
元々ねらいとしていたところまでは,高めることができなかった。