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新年を迎えて

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Academic year: 2021

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植 物 防 疫  第 63 巻 第 1 号 (2009 年) ―― 2 ―― 2 平成 21 年度を迎え,皆様に新しい年のお慶びを申し 上げます。 昨年の 7 月は 1946 年以降 3 番目の高温で,8 月後半 は気温の変動が大きく,局地的に雷を伴う大雨がたびた び発生する気候変動の大きな夏となり,一昨年とは違っ た意味で温暖化を実感した年でした。 2007 年に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の 第 4 次評価報告書において温暖化の将来予測が公表さ れ,温暖化の影響が加速化していることが指摘され,将 来の食料生産や自然生態系に与える影響についても言及 されるなど,気候変動に対応した全世界的な取り組みが 求められているところです。 農研機構では平成 15 年∼ 19 年度にかけて運営費交付 金プロジェクト研究として「作物及び家畜生産における 気候温暖化の影響解明とその制御技術の開発」を実施し てきました。果樹では着色不良等果実品質の低下,熱 帯・亜熱帯の重要病害であるカンキツグリーニング病発 生域の北上,水稲では登熟期の高温による未熟粒・胴割 れ米等の品質劣化,麦類では登熟期間短縮による収量・ 品質の低下,大豆の青立ち被害,飼料作物の夏枯れ等に よる減収など,温暖化が果樹以外にも多くの農作物並び に畜産において高温に起因する問題が顕在化してきてお り,温暖化が及ぼす影響について生理・生態的メカニズ ムの解明や温暖化適応技術の開発を進めてきたところで す。その中で,カンキツグリーニング病の媒介昆虫であ るミカンキジラミの分布可能域と気象条件の関係を明ら かにしたほか,ミカンキジラミによるカンキツグリーニ ング病媒介機構の解明,温暖化に適応したブドウの着色 向上技術,ニホンナシの休眠制御技術,高温下でも結実 可能な単為結果性ナス系統,水稲の白未熟粒および胴割 れ米発生軽減技術,暖冬条件下でも出穂の安定した大麦 の早生系統などを開発・作出し,それらを研究成果集と してとりまとめてきたところです。さらに,平成 20 年 度からは,農研機構運営費交付金プロジェクト研究「農 業生産における中長期的視点に立った温暖化適応基盤技 術の開発」において,中長期的視点に立った温暖化適応 技術の開発を目指して基盤的な研究を開始しており,そ の中で病害虫分野ではカンキツグリーニング病について 具体的な防除体系確立に向けて研究を進めているところ です。 一方,2005 年に検疫措置が改正となり,侵入が心配 される米国産りんごの火傷病対策としては,「リスク管 理型の先端技術を活用した農林水産研究高度化事業」 (現在の「新たな農林水産政策を推進する実用開発事 業」)の中で「果樹火傷病の国内侵入防止と防除対策の ための基礎研究」の課題名で平成 20 年度まで実施され ており,侵入警戒調査や万一の侵入時に対応可能な高精 度同定法開発や類似症状との差異を明らかにできる診断 マニュアル等の作成を含め共同研究が実施されています。 カンキツグリーニング病,果樹火傷病ともに果樹の重 要病害であり,万が一我が国の果樹の大生産地に侵入し た場合の影響は計り知れず,侵入防止に万全を期すため にも平時および発生時に対応できる技術が開発されるよ う期待したいものです。 農林水産省では攻めの農政の重要な柱の一つとして農 産物の輸出額を平成 25 年までに 1 兆円規模とする目標 が示されており,アジア諸国の所得向上や日本食ブーム を好機に,我が国の高品質な農産物の輸出促進に向けた 取り組みが実施されているところです。生鮮果実の輸出 は平成 14 年に台湾が WTO に加盟したこともあり,リ ンゴを中心として大幅に増加してきています。この場合 に重要となるのが,生産・流通の各段階での品質保持と 検疫条件の確保です。しかしながら,台湾において, 2003 年 10 月に日本より輸出されたリンゴ果実からモモ シンクイガが発見されたことから,リンゴなど生鮮果実 の輸入が一時禁止されるなど,検疫上の問題も生じてお り,果実への害虫混入を限りなく 0 に近づけて,安定し た輸出を確保するための技術開発が不可欠です。農研機 構果樹研究所では平成 19 年度に輸出促進・食品産業海 外展開型の先端技術を活用した農林水産研究高度化事業 が採択され,この中で公立試験研究機関,民間との共同 研究により,輸出検疫上問題となる害虫の混入を,栽 培,選果,貯蔵の各段階で排除する技術の開発を実施中 であり,これらの成果が検疫上問題になる害虫の混入が 生鮮果実の輸出禁止に直結する問題の解決に貢献するこ とを願うばかりです。 果樹では紋羽病等難防除病害抑制のための要素技術の 開発,天敵等を利用した果樹害虫の制御・管理技術の開 発以外にも,これらの行政ニーズに対応した研究を推進 しているところです。関係皆様のご支援,ご協力をよろ しくお願い致します。

For the New Year. By Kouji YOSHIDA

新 年 を 迎 え て

よし

こう

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