2.活動報告 2012-July
「新融合イン滋賀研究会」発 足 に向 けての活 動
地場の伝統工芸産業の活性化に向けて、2012 年度に「新融合イン滋賀研究会」を立ち上げる計画である。これま でにも地場の伝統工芸産業の活性化に関して、形や色のデザイン先導型の新商品開発活動がいくつか進められて いるが、本研究会ではそれらの活動とは異なり、新コンセプト商品の創出を最優先し、地場の伝統工芸産業の異分 野融合によるコンセプト創出と試作開発をねらいとしている。また、本研究会において異分野融合の方法論自体も研 究を進めたい。「融合」という言葉には、伝統と革新の融合、技術と芸術の融合、ネットとリアルの融合、モノとサービ スの融合、左脳思考と右脳思考の融合など、さまざまな融合があり、融合によって何か新しいものが生まれることを 予感させる響きを持つ。本研究会では、「二律背反の融合」をアイデア発想時に活用するほか、伝統工芸を工芸技 術(技術、材料)と伝統工芸品(形、機能、美意識)に分離し、それらの要素を新しい価値観に基づいて融合させるこ とで新しい発想商品を展開したいと考えている。さらにエレクトロニクスとの融合についても、アイデア創出を試みた い。これらのアイデア創出のプロセスの中で、融合のタイプ分けを研究したいと考えている。 現在はその準備段階のフェーズにあり、これまでに進めてきた、繊維、仏壇、陶器、扇骨など、滋賀の代表的な伝 統工芸産業の現場視察、訪問ヒアリング結果について概括する。【 2011 Living & Design 展 】 (滋賀大 山本)
平成23年9月に開催された「リビング&デザイン2011」(インテック大阪)に参加し、滋賀県地場産業(彦根仏壇、信 楽焼)からの出展状況を調査するとともに、日本貿易振興機構(ジェトロ)主催の海外販路開拓のためのセミナーを 聴講した。 彦根仏壇事業組合からは、青年部の井上昌一氏が参画する4人グループ「ななプラス」が新しい祈りのかたちをテ ーマに、新型仏壇、リビング用仏壇を提案していた。信楽からは水漏れに強い壁材を出展しており、ともに新しいこと への挑戦意欲を感じた。 とくに井上氏は「ななプラス」のほか幾つかの新商品開発に取り組んでおられるので、本学主催の「地場産業再生 MOTフォーラム」での活動紹介講演をお願いした。 <会場でスリット式小視野角仏壇を説明する井上昌一氏>
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2-2.活動報告
<事業創出>
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主催事業:「新融合イン滋賀研究会」
2011 Living & Design 展
222.活動報告 2012-July 【 高島扇子・扇骨の訪問ヒアリング 】 (滋賀大 野本、山本) 平成23年9月、高島扇子・扇骨の新しい取組への切り口を求めて、市場とのインターフェイスを担う(財)高島地域地 場産業振興センターの澤健郎氏、新デザインの扇子事業に取りくむSEN-KOTSU工房 代表 多胡裕之氏、扇骨事 業組合長の(有)すいた扇子 吹田政雄氏を訪ね、お話を聞いた。新商品開発後の商品供給で苦労されている現状 等をお聞きした。余談だが、すいた扇子訪問ではあまりの出来栄えの良さに感激し扇子を購入した。この訪問ヒアリ ングでは、滋賀県商工観光労働部新産業振興課の山下誠児氏に同行いただき、多くを見聞することができた。 【 高島綿織物 製造現場見学 】 (滋賀大 野本、山本) 地域ブランド創出プロジェクトにおいて、滋賀県の地場産業のひとつである高島綿織物の繊維技術に、デザイン・ 伝統工芸を組み合わせて、「バランスト・リラックス ウェア」とネーミングした新コンセプト衣料の開発をすすめ、旅館 での浴衣に替わる新しいくつろぎ衣の実現を目指した。このプロジェクトで繊維技術を担当した高橋織物株式会社の 製造現場を訪問させていただいて織物工程を見学したほか、撚糸製造工程、晒・染色工程を見学させていただいた。 (財)高島地域地場産業振興センターにて 左から、山下誠児氏、野本明成教授、澤健郎氏 SEN-KOTSU 工房 多胡裕之氏との打合せ 高島綿織物の製造現場 23
2.活動報告 2012-July 【 彦根仏壇 製造現場見学 】 (滋賀大 山本) 仏壇塾で新コンセプト商品のアイデア出しに取り組んだ際に、彦根仏壇の製造現場を見学する機会を得た。仏壇 組立工程、金箔工程、錺金具の製造現場、木工の現場など、七職の一部を見学させていただいた。現在、仏壇塾は 終了し、引き続き有志の企業の方と新コンセプト商品の試作開発をねらいとした「仏壇塾・開発実践プログラム」を推 進中であり、別の機会にご報告したいと考えている。 【 信楽窯業技術試験場 訪問 】 (滋賀大 野本、山本) 滋賀県工業技術総合センター 坪田 年所長 (当時)に同行いただき、信楽窯 業技術試験場を訪問ヒアリングさせてい ただいた。場長の川口雄司氏から信楽 の事業推移、新しい商品開発への企業 との共同取組についてお聞きし、開発試 作品を見学した。詳細はここでは述べな いが、精力的に事業化研究会等が開催 され、いろいろな開発試作品が県内、県 外の展示会に出展されてきたが、なかな か事業化につながらない実情をお聞きす ることができた。ビジネスモデルをベース にした新商品開発への取組が重要であ ることを再認識した。 「新融合イン滋賀研究会」(2012年計画)に向けて、これまでに進めてきた、繊維、仏壇、陶器、扇骨など、滋賀の 代表的な伝統工芸産業の現場視察、訪問ヒアリング結果を概括した。この「新融合イン滋賀研究会」では伝統工芸 産業の異分野融合による新コンセプト創出をねらいとしている。「新融合イン滋賀」研究会の活動報告は次号で報告 したい。 仏壇組立工程の見学 木工の現場 錺金具の製造現場 信楽窯業技術試験場開発試作品の展示室にて (坪田年所長と) (川口雄司氏と) 24