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ハトムギもやしの抗菌性物質に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

ハトムギもやしの抗菌性物質に関する研究( 内容の要旨 )

Author(s)

石黒, 幸雄

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(農学) 甲第012号

Issue Date

1994-03-14

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2353

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏 名(本籍) 学 位 の 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 旦 石 黒 幸 堆 (愛知県) 博士(農学) 農博甲第12号 平成6年3月14日 学位規則第4条第1項該当 連合農学研究科 生物資源科学専攻 岐阜大学 ハトムギもやしの抗菌性物質に関する研究 主査 岐 阜 大 学 教 授 園 田 洋 副査 岐 阜 大 学 教 授 原 徹 副査 信 州 大 学 教 授 入 副査 岐 阜 大 学 教 授 加 副査 静 岡 大 学 教 授 水 江 藤 野 次夫 三 治 卓 論 文 の 内 容 の 要 旨

イネ科植物のハトムギ(G9iElachryma-jobiL.var Ma-yuen Staph)は、利尿、健胃、

鎮痛、消傷等の様々な薬効を有し、鎮痛作用を持つCoixol、抗腫瘍作用を持つCoixenoli-de等が単離・同定されている。一方、イネ科植物では抗菌活性物質を含む例が報告され、

オオムギではHordatine A.B、カラスムギではAvenacin A.Bが、それぞれ同定されている。 しかし、前述のように種々の生理活性作用を有するハトムギでは、その抗菌活性物質に関 する研究例は、これまでのところ見受けられない。このような背景から、本研究ではハト ムギに注目し、その抗菌性物質の検索及び抗菌活性の解明を目指すとともに、得られた抗 菌性物質の利用に関して検討を加えた。 1)ハトムギもやしの含有する抗菌活性物質の特性 始めに、ハトムギにおける抗菌活性物質の特性を明らかにすることを目的とし、以下の 検討を加えた。先ず、ハトムギの茎葉・根・種子・もやしの各部位より調製したメタノー ル抽出物を用い、その抗菌活性を比較し、もやしに最も強い抗菌活性が存在することを明 らかにした。もやしにおける抗菌活性は、生育段階により変化し、特に発芽初期にあたる 2cmの伸長段階のもやしに最も強い抗菌活性が認められた。そこで、この伸長段階のも やしに注目し、そのエタノール抽出物の抗菌活性について以下の3点を明らかにした。 第1に、グラム陽性菌・グラム陰性菌・酵母及びカビに対して抗菌作用を持つことから、 哺広い抗菌スペクトルを有すること、第2に、オートクレープ処理後も抗菌活性がほぼ完 全に保持されることから、高い熟安定性を有すること、第3に、pH4∼11の領域で抗 菌活性に顕著な変化が認められないことから、高いpH安定性を有することを明らかにし た。

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ー41-これらの結果から、ハトムギもやしの含有する抗菌活性物質は、保存料として応用する に際して望ましい特性を持ち、天然物由来の保存料として利用可能であると考えられた。 帥やしの含有する抗菌活性物質の単離及び同定 次に、ハトムギもやしに含まれる抗菌活性物質の単離・同定をめざし、下記の結果を得 た。ハトムギもやしエタノール抽出物よりFoIch分配により回収される総脂質画分は、強 い抗菌活性を有し、特に単純脂質画分に顕著な抗菌活性が存在することを明らかにした。 そこで単純脂質画分より、ベーパーディスク法による抗菌活性検定を指標とし、ゲル浸透 クロマトグラフィー、逆相液体クロマトグラフィーにより顕著な抗菌活性を有する、2つ の化合物を単離した。両物質の構造を、質量分析、赤外分光及び核磁気共鳴分析等の、各 種機器分析により解析し、3,5-dimethoxy-1H-inden-1-One及び1-aCety卜1-hydroxy-3,5-dimethoxy-1H-indenと決定した。これらの化合物は、ともにインデン骨格を持つ新規抗菌 性物質であり、前者をCoixindenA,後者をCoixindenBと命名した。これまでにインデン骨 格を持つ、抗菌活性物質に関する報告は見受けられず、今後同物質を基に新たな保存料開 発への応用が期待できるとともに、Coixinden Aでは細菌及び真菌に、Coixinden Bでは細 菌にのみ抗菌作用を示したことから、化学構造と抗菌作用機作に関して注目される知見が 得られたと考えられる。 3)ハトムギもやし抽出物の高圧殺菌処理との併用効果 最後に、ハトムギもやし抽出物の食品加工分野での応用を考慮し、特に、近年実用化さ れた高圧処理殺菌との併用効果について吟味した。先ず、既に天然物由来の保存料として 用いられているポリリジン及びプロタミンを添加し、高圧処理に対する併用効果を調べた。 その結果、これらの添加区では加圧処理のみを施した対照区よりも生菌数が減少する時間 が増加し、併用効果は認められなかった。一方、ハトムギ抽出物を添加した場合、その添 加量に関わらず、加圧処理後の生菌数減少時間が有意に短縮された。このことから、ハト ムギもやしに含まれる、Coixinden A,Bは、既存の抗菌活性物質であるポリリジンやプロ タミンと比較して、高圧処理に際してより効果的に殺菌作用を発揮する併用効果を有し、 保存料として利用する場合、優れた特性を持つことが明らかになった。 以上のように、本研究ではハトムギが抗菌活性物質を含有することを明らかにし、その 2種類の物質を同定し、両物質がこれまでに報告のないインデン骨格を有する新規抗菌活 性物質であることを明らかにした。これらは、天然物由来の抗菌活性物質であるとともに、 高圧殺菌での併用効果等の食品分野での応用に際して有利な特性を持つことから、今後両 物質を基に新たな保存料開発への応用が期待される。 書 壬 括 果 の 要 旨 本論文は、種々の生理活性作用を有するハトムギに着目し、抗菌性物質 の検索及び抗菌活性物質の同定を目的とするとともに、得られた抗菌活性物 質の利用についての成果を取りまとめたものである。 論文は3章から構成 されており、その内容は以下のように要約される。 第1章は、ハトムギのメタノール抽出物に含まれる抗菌活性の検索に関 してまとめられている。 先ず、ハトムギの茎葉、種子、もやし及び根部に 由来する抽出物の抗菌活性を調べ、もやしに最も強い抗菌活性が存在するこ とを明らかにした。 また、もやしにおける抽出物中の抗菌活性は、その生 育段階により異なり、特に生育初期において抗菌活性が最も高いことを明ら かにした。 以下、この伸長段階のもやし抽出物の抗菌活性について検討し、

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-42-1)グラム陰性、グラム陽性、カビ、.酵母に対し抗菌作用があること、2) 熱安定性が高いこと、3)pH安定性が高いことを明らかにした。 これら の結果より、同軸出物中に含まれる抗菌活性物質は、天然物由来の保存料と して利用可能であることを示した。 第2章は、ハトムギもやしに含まれる抗菌活性物質の単組同定に関して まとめられている。 先ず、もやし抽出物の抗菌活性が、松脂質画分に高く、 特に単純脂質に顕著な抗菌活性が存在することを明らかにした。 この単純 脂質申の抗菌活性物質を、ゲル浸透クロマトグラフィー及び逆相液体クロマ トグラフィーで精製し、細菌と真南に抗菌活性を持つ化合物A及び細菌に対 して抗菌活性を持つ化合物Bを単離した。 これらを質量分析、赤外分光分 析及び核磁気共鳴分析により構造を解析し、共にインデン骨格を持つ新規抗 菌活性物質であることを明らかにした。 尚、化合物A(3,5-diAetOXy-1H-inden-1-One)をCoixinden A、化合物B(卜8Caty卜1-hydroxy-3,5-di山ethoxy-1日-inden)をCoixinden Bと命名している。 第3章は、ハトムギもやし抽出物の応用研究に関して、特に高圧殺菌処 理との併用効果についてまとめられている。 先ず、既存の天然抗菌性物質 であるポリリジン、及びプロタミンについて高圧殺菌との併用効果を調べ、 その添加区では、加圧開始から生菌数が減少するまでの時間が、対照区より 増加し、併用効果が認められないことを明らかにした。 一方、ハトムギ抽 出物添加区では、加圧処理時の生菌数減少時間が有意に短縮されることを見 い出した。 このことから、ハトムギもやし抽出物中に含まれるCoixinden A,8は、既存の天然物由来の保存料と異なり、高圧処理に際してより効果的 に殺菌作用をあらわす併用効果を有し、保存料として応用する場合、俵れた 特性を持つことを明らかにした。 以上のように、本論文はハトムギもやしが抗菌活性物質を含むことを明 らかにし、その含有する抗菌活性物質の2種類について同定し、両者がこれ までに報告されたことの無い、インアン骨格を持つ新規抗菌活性物質である ことを明らかにした。 さらに、高圧殺菌での併用効果を明らかにしたこと から、今後両物質を基に新たな保存料開発への応用が期待され、高く評価さ れる。 本審査委員会は、研究の進め方、論文の構成・内容、図表の構成並びに 引用文献等について、慎重に審議すると共に公表されている論文等について も検討した。 その結果、本委員会は審査委貞の全点一致をもって、農学博 士の学位を授与するに価するものと結論した。

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