Title
海洋細菌の生産するキチン分解関連酵素に関する研究( 内容
の要旨 )
Author(s)
大石, 一男
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第225号
Issue Date
2001-03-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/2566
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
氏 名(国籍)
学 位 の 種 類
学 位 記 番 号
学位授与年月 日
学位授与 の 要件
研究科及 び専攻
研究指導を受けた大学
学 位 論 文 題 目
審 査 委 貞
大 石 一 男 (静岡県)
博士(農学)
農博甲第225号
平成13年3月13日
学位規則第4条第1項該当
連合農学研究科
生物資源科学専攻
静岡大学
海洋細菌の生産するキチン分解関連酵素に関する
研究
主査
副査
副査
副査
授
授
授
授
教
教
教
教
学
学・学
学
大
大
大
大
岡
岡
阜
州
静
静
枝
信
男
治
眞
治
美
修
弘
摩達曾左
衛
渡
木
只
論 文 の 内 容 の 要 旨
浜名湖より分離した海洋細菌、Ⅵあ血αなお妙c"∫H-8株はキチナーゼ活性が強く、そ
の培養液中にデアセチラーゼ活性が認められた。これらのことから、本菌は他のキチナー
ゼ生産菌とは異なるキチン分解系を有することが予想された。そこで、仇α妙nゆf∼α∫
H-8株の生産するキチン分解に関連する酵素系とその役割を解明する目的で、この株の
生産するキチナーゼおよびデアセチラ「ゼ等の酵素の精製および遺伝子のクローニング
と遺伝子配列の解析を行った。
'H-8株の培養液より、81kDaのClおよび68kDaのキチナーゼC3を単離してその性
質を明らかにした。さらに、クローニングしたキチナーゼBの推定分子量は如kDaで、
キチナーゼB遺伝子は触媒ドメインであるキチナーゼの共通保存飯域とキチン吸着ドメ
インを有していた。キチンアフィニテイクロマトグラフイ一によりキテナーゼA(110
kD4)、キチナーゼB(90kDa)、ヰチナーゼD(65kDa)およびキチナーゼE(45kDa)の4種
のキテナーゼを検出した。キチナーゼEはキチン吸着能を有する菌俸内キチナ」ゼであっ
た。キチナーゼClのN末端配列はキテナーゼB遺伝子とは相同性がないことからB以
外のキテナーゼから派生したか、あるいは、キチン吸着部位のない遺伝子からの産物で
はないかと考えられた。以上のことから、路8株は6種類のキチナーゼによりキチンを
分解すると推定した。
また、■HT8株の培養液より、(GIcNAcゝを特異的にデアセチル化するDAl,D彪の2種
のデアセチラーゼを単離した。DAlの分子量は亜kDa、等電点は3.3、至適pHは
8.5-9.0、至適温度は亜℃であった。DA2の分子量は46kDa、等電点は3.5、至適pHは
8.0-8.5、至適温度は朝℃であった。DAlは(GIcNAcゝの還元末端側の2-アセトアミド
ー89一
基を加水分解する新規な酵素であることを明らかにした。次に、TLC法でスクリーニン
グを行い、デアセチラーゼをコードする遺伝子を取得した。塩基配列から推定分子量は
4も7kDaであった。N末端側は他のデアセチラーゼと相同性が有り、重要な働きをする
ドメインと考えられた。C末端側は助c言放(∫Cかc以ぬ那WL-12のキチン吸着ドメインであ
るC末端側と相同性があったかキチン吸着能はなふったのでその働きは不明である。
デアセチラーゼ活性は机鴫お坤c以∫IFO15爵0と仇吻わ0坤C以∫の類縁薗である仇
クα佃力αg椚0坤と〟∫IFO12711のみに認められた。
ざらに、〃-アセチルグルコケミニダーゼの分子量は75k工也で(GIcNAcゝの脱アセチル
化によって生成するルモノアセテルキトビオ」スをGleNAcとGIcNに分解した。
本研究により、Vl吻ino&ticusH-8株は菌体外にA,B,Cl,C3,Dと菌体内にEの6種
類のキチナーゼを生産することによりキチンを(Gld仏り2に分解し、菌体外デアセチラー
ゼによりⅣ-モノアセテルキトピオースに変換してから菌体内に取り込む新規なキチン
資化経路を有する海洋細菌であることが推定された。
審 査 結 果 の 要 旨
平成13年1月30日(火)に、静岡大学農学部において審査員を含む関連教
官、学生の由席のもと、大石一男氏の博士論文の公開発表会が行われ、引き続き
質議応答が行われた。
大石一男氏の博士琴文は、浜名湖より分離した海洋細菌、Ⅵ裾0αなお坤C以∫
H-8株がキチナーゼ活性が強く、他のキテナーゼ生産菌とは異なるキチン分解系
を有することが予想されたため、その菌の生産するキチン分解に関連する酵
素系とその役割を解明する目的で、この株の生産するキチナーゼおよびデアセチ
ラーゼ等の酵素の精製および遺伝子のクローニングと遺伝子配列の解析を行った
ものである。
H-8株の培養液より、キテナーゼClおよびC3を単離しその性質を明らかにし
た。さらに、クローニングしたキチナーゼB遺伝子は触賂ドメインであるキチナ
ーゼの共通保存額域とキチン吸着ドメインを有しているこ七と、キチナーゼA
(110虻)a)、キテナーゼB(卯kDわ、キチナーゼD(砧虻)わおよびキテナーゼE
(亜kDA)の4種のキチナ」ゼを検出した。キチナーゼEはキチン吸着帝を有する
菌体内キテナーゼであった。キチナーゼClのN末端配列はキテナーゼB遺伝子
とは相同性がないことからB以外のキチナーゼから派生したか、あるいは、キチ
ン吸着部位のない遺伝子からの産物ではないかと考えられた。以上のことから、
H-8株は6種類のキチナーゼによりキチンを分解すると推定した。また、
(GIcNAcもを特異的にデアセチル化するDAl,DÅ2の2種のデアセチラーゼを単離
した。DAlは(GkNAcゝの還元末端側の2-アセトアミド基を加水分解する新規な
酵素であることを明らかにした。次に、デアセチラーゼをコードする遺伝子を取
得した。N末端側は他のデアセチラーゼと相同性が有り、重要な働きをするドメ
インと考えら.れた。C末端側は助cf肋∫Cかc〟ぬ那吼-12のキチン吸着ドメインで
-90一
あるC末端側と相同性が・あったがキチン吸着能はなかったのでその働きは不明で
ある.。デアセチラーゼ活性は仇αなわゆf加IFOlヌ30と仇αな加ゆガα∫の類縁菌
であるⅥクα相加e∽0坤c以∫IFO12711のみに認められた。ざらに、Ⅳ」アセテルグ
ルコサミニダーゼの分子量は乃ゆ左で(GIcNAcもの脱アセチル化たよって生成す
る脾モノアセテルキトビオースをGIcNAcとGkNに分解することを明らかにし
た。
本研究により、杭αなお妙c〟∫路8株は菌体外にA,8,Cl,0,Dと菌体内に五
の6種類のキチナーゼを生産することによりキチンを(GIcNAc)2に分解し、菌体
外デアセチラーゼにより〃-モノアセチルキトビオースに変換してから菌体内に取
り込む新規なキチン資化経路を有する海洋細菌であることを推定した。
以上について、審査員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の学
位論文として十分価値あるものと認めた。
「基礎となる学術論文」
1.Pu*ficationandpropertiesofβ-N-aCetylglucosaminidase丘omⅥbrioaなiTW&ticus
H-8・
Ohishi,K.,Murase,K.andEtoh,H.,J・Biosci・Bioeng・,声&(1),98-99(1999)・
2.ClomngandsequenclngOfachitinasegenefbm冊rioaなblOら4icus H-8・・
Ohishi,K.,Murase.K.,Ohta,T.andEt6h,H.,J.Biosci.Bioeng・,89(5),'501-505(2000)・
3.ClonlngandsequencIngOfthedeacetylasegene丘om冊T'ioαなb70少titusH-8・
Ohishi,K.,Murase.K.,Ohta,T.'andEtoh,H.,LBiosci.Bioeng.,90(5),561-563(2000)・