Title
Studies on the Mechanism of Chalaza Formation in Quail Eggs(
内容の要旨(Summary) )
Author(s)
Md. Anisur Rahman
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第519号
Issue Date
2009-09-09
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/33660
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本㈲籍) 主 指 導 教 員 名 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 会 Md.AnisurRahman (バングラデシュ人民共和国) 岐阜大学 教授 吉 崎 範 夫 博士(農学) 農博甲第519号 平成21年9月9日 学位規則第3条第1項該当 連合農学研究科 生物生産科学専攻 岐阜大学 StudiesontheMechanismofChala2;aFormation inQuailEggs (ウズラ卵のカラザ形成機構に関する研究) 主査 岐阜大学 教 授 伊 藤 慎 一 副査 岐阜大学 教 授 吉 崎 範 副査 静岡大学 教 授 森 副査 信州大学 教 授 小 野 珠 夫 誠 乙 論 文 の 内 容 の 要 旨 この研究では、実験動物として日本ウズラCoturnix japonicaが用い・られた。鳥類では、 卵のカラザは、輸卵管漏斗部で生産され、如が卵管を下るにつれて振れ、卵が総排泄口から 放卵される直前に完成する。子宮内での卵の回転によりカラザの涙れが増すが、卵の回転が 月杢の頭尾軸を決定することが知られている。従って、カラザ形成は月杢発生に深く関わってい る。それで輸卵管でどのようにしてカラザが形成されるか、またカラザ形成と胚発生はどの ように関わりあっているのかは、近年の鳥類学の大きな課題となっている。第一番目の実験 は、形態および構成物質の観点からカラザ形成の機構を明らかにすることを目指した。第二 番目の実験は、卵膜およびカラザ索との結合という観点から、カラザ構成物質の役割の解明 を目指した。第三番目の実験は、カラザ形成におけるクチクラの関与という観点から、クチ クラ形成機構の解明を目指した。 カラザ構成物質の電気泳動により、クマッシープルーに染まる480、320、210、180、96 および58kDaのタンパク、および免疫電気泳動により 600kDaのタンパクが得られた。 180kDaのタンパクに対して抗体を作成し、カラザ物質を追跡するプローブとした。蛍光免 疫法および免疫電顕法による観察の結果、カラザおよび約40〃mの厚さで卵膜外部に存在す るカラザ層は、同じ物質で構成され、また漏斗部上皮にある分泌細胞で生産されることが明 らかとなった。カラザははじめ漏斗部において卵の鈍端および鋭端に微繊推として現れ、卵 が膨大部を回転しながら下降するにつれて振れて先導繊維となる。膨大部の後部で、先導繊 維は濃厚卵白と結合し、内側の卵白が吸水により水様卵白となると、カラザ層とともに外側 へ引き上げられる。次いで、先導繊維と引き上げられた一部カラザ層は子宮の中でさらに捻
-5-じれカラザとなる。 電子顕微鏡法で観察すると、鳥卵のカラザ層には電子密度の勾配が認められる。卵膜と接 するカラザ層の最内層は、電子密度が最も高く、伝統的に卵膜外層(VMO)と呼ばれていた。 高濃度の塩化ナトリウム処理により、VMO-ⅠとVMひⅠⅠの二つのタンパクが卵外被から溶出 し、その結果、カラザ層と卵膜は容易に分離する。VMO・ⅠとVMO・ⅠⅠをゲル濾過により精製 し、それぞれに対する抗体をウサギで作成した。タンパクサイズは、VMO-ⅠⅠは9∼15kDa またVMO-Ⅰは18kDaであった。それらのN-末アミノ酸配列はニワトリの場合と非常に良く 似ていた。蛍光免疫法および免疫電顕法での観察は、VMO-ⅠⅠは漏斗部の管腔上皮で生産さ れ、VMO・Ⅰは管腔上皮および腺上皮で生産されることを示した。両タンパクの指標となる金 粒子はカラザ上に存在する他、先に述べた密度勾配に沿って全カラザ層の上に分布した。高 濃度塩化ナトリウム処理された卵外被は、抗VMO-ⅠⅠ抗体では全く染まらず、抗VMO一Ⅰ抗 体では弱く染色された。精製されたVMO-ⅠⅠは塩化ナトリウム処理された卵膜と結合し、そ の結合の相手がZPlとZP3であることが示された。VMO・ⅠⅠはカラザを卵膜に結合させる役 割を果たし、それによってカラザの一方の支点が確立されるものと思われる。 EDTAで脱灰した後、クチクラ物質はSDS電気泳動法で展開された。32kDaタンパクに 対して作成された抗体で実験が行われた。蛍光免疫法および免疫電顕法による観察で、32kDa タンパクは放卵後21時間までに子宮の管腔上皮にある繊毛細胞で合成され(第一相)、次回 の放卵前4時間に分泌される(第二相)ことが明らかとなった。走査電顕法の観察は第一相 では管腔上皮の表面に10〃m幅の突起が現れ、それが第二相では消失することを示した。第 二相の問に、突起が後退して卵穀に気孔が現れ、また卵穀表面にクチクラ層が形成される。 この結果はクチクラは子宮内で卵が回転する際の潤滑剤として働くごとを示唆している。こ の第二相の期間における卵の回転がカラザの完成をもたらし、また胚の頭尾軸を決定する。 審 査 結 果 の 要 旨 鳥類では、卵のカラザは、卵が卵管を下るにつれて振れて完成するが、子宮内での 卵の回転は胚の頭尾軸を決定することも知られている。従って、カラザ形成は胚発生 に深く関わっていることになる。それで輸卵管でどのようにしてカラザが形成される か、またカラザ形成と胚発生はどのように関わりあっているのかは、近年の鳥類学の 大きな課題となっている。この研究では、実験動物として日本ウズラ Coturnix japonicaを用い、形態および構成物質の観点からカラザ形成の機構を明らかにする こと、卵膜およびカラザ索との結合という観点から、カラザ構成物質の役割を明らか にすること、およびカラザ形成におけるクチクラの関与という観点から、クチクラ形 成機構の解明を試みている。 カラザ構成物質の電気泳動により、クマッシープルーに染まる480、320、210、180、 96および58kDaのタンパク、および免疫電気泳動により600kDaのタンパクが得られ た。180kDaのタンパクに対して作成した抗体を、カラザ物質を追跡するプローブと した蛍光免疫法および免疫電顕法による観察の結果、カラザおよび約40〃mの厚さ で卵膜外部に存在するカラザ層は、同じ物質で構成され、また漏斗部上皮にある分泌 細胞で生産されることが明らかとされた。カラザははじめ漏斗部において卵の鈍端お よび鋭端に微繊維として現れ、卵が膨大部を回転しながら下降するにつれて振れて先
ー6-導繊推となり、膨大部の後部で、先導繊維は濃厚卵白と結合し、内側の卵白が吸水に より水様卵白となると、カラザ層とともに外側へ引き上げられる、次いで、先導繊維 と引き上げられた一部カラザ層は子宮の中でさらに捻じれカラザとな■ると述べられ ている。 電子顕微鏡法で観察すると、卵膜と接するカラザ層の最内層は、電子密度が最も高 く、伝統的に卵膜外層(VMO)と呼ばれていた。高濃度の塩化ナトリウム処理により、 VMO-ⅠとVMO-ⅠⅠの二つのタンパクが卵外被から溶出し、ゲル濾過により精製された VMO-ⅠとVMO一ⅠⅠそれぞれに対する抗体がウサギで作成された。Ⅷ0-ⅠⅠは漏斗部の管 腔上皮で生産され、VMO-Ⅰは管腔上皮および腺上皮で生産されることが示された。両 タンパクの指標となる金粒子はカラザ上に存在する他、密度勾配に沿って全カラザ層 の上に分布した。高濃度塩化ナトリウム処理された卵外被は、抗VMO-ⅠⅠ抗体では全 く染まらず、抗VMO-Ⅰ抗体では弱く染色された。精製されたVMO-ⅠⅠは塩化ナトリウ ム処理された卵膜と結合し、その結合の相手がZPlとZP3であることが示された。 VMO-ⅠⅠはカラザを卵膜に結合させる役割を果たし、それによってカラザの一方の支 点が確立されると主張されている。 EDTAで脱灰した後、クチクラ物質はSDS電気泳動法で展開された。32kDaタン パクに対して作成された抗体で実験が行われた。蛍光免疫法および免疫電顕法による 観察で、32kDaタンパクは放卵後21時間までに子宮の管腔上皮にある繊毛細胞で合 成され(第一相)、次回の放卵前4時間に分泌される(第二相)ことが明らかにされ た。走査電顕法の観察は第一相では管腔上皮の表面に10〃m幅の突起が現れ、それ が第二相では消失することを示した。この結果は、第二相の周に突起が後退して卵殻 に気孔が現れ、また卵殻表面にクチクラ層が形成されることを示し、クチクラは子宮 内で卵が回転する際の潤滑剤として働くと主張されている。 以上について,審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の 学位論文として十分価値あるものと認めた。 基礎となる学術論文の論文題目: Mechanismofchalazaformationinquaileggs.CellTissueRes・,330‥535-543(2007)・ M.A.Rahman,Baoyindeligeer,A・Iwasawa,N・Yoshizaki VMO-ⅠImediatesthebindingofthechalaziferouslayerwiththevitellinemembraneinquail eggs.J.Poult・Sci.,46:240-248(2009)・M・A・Rahman,A・Moriyama,A・Iwasawa,N・ Ybshizaki Cuticleformationinquai1eggs・Zool.Sci・,inpress.M.A・Rahman,A・Moriyama,A・ Iwasawa,N.Ybshizaki