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新しい生理活性複合糖質の発見と機能に関する基礎的研究

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Academic year: 2021

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Title

新しい生理活性複合糖質の発見と機能に関する基礎的研究(

はしがき )

Author(s)

木曽, 真

Report No.

平成12年度-平成15年度年度科学研究費補助金 (基盤研究

(A)(2) 課題番号12306007) 研究成果報告書

Issue Date

2003

Type

研究報告書

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/638

(2)

序 糖鎖・複合糖質は、微生物から植物、動物に至るあらゆる生物に存在しており、・オリゴ 糖や多糖、ペプチドグリカン、糖タンパク質、糖脂質、プロテオグリカン、GpIアンカー など、細胞や組織の構成成分として多様な生理機能をもっている。近年、糖鎖・複合糖質 は、核酸(ゲノム)、タンパク質(プロテオーム)につづく第三の生命鎖(グライコーム) として位置づけられ、その多彩な構造と機能に注目が集まっている。 生理活性複合糖質は、ホルモンや細菌、細菌毒素、ウイルスその他の受容体機能を持ち、 細胞の認識、接着、情報伝達、分化・増殖、老化、がん化、免疫応答、炎症、脳神経機能

など多彩な生命現象に深く関わっており、21世紀の食と医療に関する新たなシーズとし

\一-ヽ て大いに注目されるところである。中でもシアロ複合糖質は多彩な生理機能を有しており、 新しい分子種の発見と機能に関する基盤的研究は、将来、食の安全と機能開発、さらには 創薬へとつながる重要な研究課題の一つである。 我々は、これまで500種を越える様々なガング リオシド分子プローブを用いて、生理活性シアロ複 合糖質の構造と機能について世界的・先駆的研究成 ホルモン

果を上げてきた。その[1]つは、インフルエンザ

裾 ウイルスへマグルチニン(HA)が認識するシアロ 糖脂質の精密有機合成とインフルエンザウイルス感 染宿主域の制限に関する分子的研究である。その 生理活性 タンパク東 レクチン 図.細粒喪■社台抽賞糖鎖と様々な受容体タンパク井との 相互作用 [2]は、白血球接着分子であるセレクチンとその糖鎖リガンドに関するもので、シアリ

ルLeXガングリオシドの世界初全合成と分子機構の解明によって、新しい抗炎症剤や痺の

抗転移剤などの多彩な応用研究が展開された。この過程で、リンパ球のホーミングレセプ

(3)

ターであるL-セレクチンが、複合糖質中に存在するシアロ/スルホ糖鎖構造を羅識し、

リンパ球(白血球)の遊走、炎症、血液凝固などの高次生体機能に重要な役割を果たすこ

とを発見した(AngewChem.Int.Ed.,38,1131-1133,1999;Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,96, 1597-1602,1999)。 一方、痴呆症のみならず、老化に伴う脳神経機能の低下予防や改善を図るための基礎原 理、あるいは新技術・新分野の創出は、21世紀の高齢化社会における重要な課題である。 ヒト・ニューロンには、分子多様性のスフィンゴ糖脂質、ガングリオシドが存在しており、 シナプス伝達機能の維持と活性化に大きな役割を担っている。中でも、コリン作動性ニュ ーロンにごく微量存在するアルファ系列Chol-1ガングリオシドが、神経伝達物質である アセチルコリンの放出量を高め、老化シナプス機能の改善に効果があること、またニュー ロンの活性化と再分化に深く関与していることが明らかになってきた。我々は、[3]

Cbol-1ガングリオシドの世界初全合成に成功し、これらの新しい分子種が、シァル酸認識

レクチン(シグレック)の一つであるミエリン結合性糖タンパク質(MAG,シグレック4a) の強力なリガンドになるという画期的な発見を行った(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,93,814-SIS,1996;Ca血0吋血Res.,31`,ト5,1999)。この発見は脳の高次構造形成、神経の再生、シ

ナプス機能の強化などと直接に関連するものであり、世界的な注目を浴びた。

本研究課題は、上記の世界的かつ独創的・先駆的研究成果を更に発展させるために、平

成12年度から、4年間の継続課程として計画・遂行されたもので、[1]インフルエン

ザウイルスが見分ける糖鎖と宿主域の分子的解明、[2]新しく発見された硫酸イヒシアリ

ルLeX分子種の系統的合成とセレクチンを介する新しい免疫系制御システムの解明、▲[3]

コリン作動性ニューロンに特異的に発現されるChol-1(・αシリーズ)ガングリオシド及び

その硫酸化誘導体の系統的合成とシグレックを介する未発見生理機能の解明を図るととも

(4)

に、[4]広く新しい生理活性複合糖質の合成開発と機能研究を推進することを目的とし て行われた。

本研究の成果が、将来、新しい機能性食素材の開発や創薬へとつながり、人類の健康と

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