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圧電素子を用いたスマート柔軟梁とその応用に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

圧電素子を用いたスマート柔軟梁とその応用に関する研究(

内容の要旨(Summary) )

Author(s)

奥川, 雅之

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(工学) 乙第041号

Issue Date

2003-03-25

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/1713

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏名(本籍) 学 位 の 種 類 学位記号番号 学位授与年月日 専 攻 学位論文題 目 奥 川 雅 之 (愛知県) 博 士(工学) 乙 第 41 号 平成15年 3月25日 生産開発システム工学専攻 圧電素子を用いたスマート柔軟梁とその応用に関する研究 (SAartFlexibleBeaAYithPiezoelectrichteri&1aJldit8 如plie8ti皿$) 学位論文審査委貞 (主査) 教 授 堀 康 郎 (副査) 教 授 武 藤 高 義 教 授 川 崎 晴 久 助教授 佐 々 木 実

論文内容の要旨

本論文では,従来の機械構造物の知能・知的化を考え,より実用的なスマート材料・ 構造システムの実現に必要とされる基礎技術の確立とその応用例を示すことを目的と している.ノ研究課題として,「動的補償器によるセルフセンシングアクチュエーショ ン手法の確立」,「システム同定と制御系切換による自己調整手法の検討」,「実用 化を想定した応用例の検討」を挙げている.本研究では,構造物の基本部材である片

持ち梁のスマート化を享題として取り上げ,材料・構造システムの知能化に要求され

るセンサおよびアクチュエータに関する機能を十分に有する圧電セラミックスを貼付

した柔軟片持ち梁に対するセルフセンシングアクチュエーションの実現手法について

検討している.従来手法であるブリッジ回路を用いた手法の問題点を整理し明確にす るとともに,改善策として「動的補償器によるセルフセンシングアクチュエーション の実現手法」を提案している.また,材料の特性変化,構造物の故障や破損などに対 する方策として,「システム同定とゲインスケジューリング制御を応用した自己調整 手法」を提案し,構造物自身が破損や故障に対して調整・適応する方策について検討 している.また,セルフセンシングアクチュエーション機能を有するスマート柔軟梁 の実用的な応用として,イ無重力空間での質量測定問題」と「ボルト締結体の緩み検出 問題」について述べている. 本論文は,10章より構成されており, 第1章では,研究背景を述べ,本研究の目的と課題を示している. 第2章では,スマート構造物の概念・定義を示し,研究動向および代表的なスマー ト構造物・材料の紹介を行い,本研究の位置付けについて述べている.

(3)

第3章では,本研究で主に扱う圧電素子を貼付した柔軟片持ち梁のダイナミクスにつ

いて述べている.特に,重要な圧電方程式およびオイラー・ベルヌーイの仮説に基づ

く弾性梁理論について述べ,運動方程式を導出するともに,圧電方程式に基づいて導 出されるセンサ方程式についても言及している.

第4寧では,セルフセンシングアクチュエーションの利点および研究動向を述べると

ともに,問題点を明確にし,その改善策として,動的補償器によるセルフセンシング

アクチュエーション手法を提案している.また,セルフセンシングアクチュエーショ

ンシステムのダイナミクスが直達項を有する状態空間モデルとし七記述されることを

示し,ブリッジ回路を用いて信号を分離する問題が,システムの同定問題と動的補償 器による状態推定問題とに帰着されることを示している. 第5章では,セルフセンシングアクチュエーションシステムのシステム同定問題につ いて述べている.部分空間同定法の特徴やアルゴリズムを述べるとともに,部分空間 同定法は,直達項の同定が可能である点や固有振動数などのモード特性値の同定にも 適している点などの有効性を同定実験により検証している. 第6章では,スマート柔軟梁の振動制御問題に対して,1Q最適制御理論とH∞最適制

御理筒に基づいて,圧電素子の静電容量変動,特に直達項変動に対するロバスト性を

補償する制御系設計について述べている.セルフセンシングアクチュエーションシス テムに対して,コロケーションが成立することから,直接速度フィードバックによる

安定化が,柔軟構造物のスピルオーバ問題に対して漸近安定の意味では有効である.

しかし,本研究では,より積極的な制御性能を達成するために時間応答特性の最適化 と感度および相補感度特性を考慮した設計法を検討している.また,部分空間同定法

によって得られた同定モデルを用いて制御系設計を行い,検証実験によりその有効性

を示している. 第7章では,第4章から第6章までの知見に基づく自己調整手法について述べている. 温度の影響や破損,配線の断線等による圧電素子の静電容量変動は,モデルのシステム バラメータ変動として捉えることができることから,変動状態でのシステム同定過程 を導入する羊とにより,その変動をモニタリングできることを示している.さらに, 有限個の制御器を予め用意した方法とゲインスケジューリング制御に基づく方法との 両制御系切換手法について設計方法を述べ,圧電素子に関する結線の断線を想定した 実装実験により,有効性に関して比較検証している. 第8章と第9章では,無重力空間での質量測定問題とボルト締結体の緩み検出問題と いった,実用的な問題に対して,本研究で得られた知見の応用を試みている.前者では,

重力に依存しない質量の測定原理として,片持ち梁の曲げ振動を利用したものを提案

し,その測定装置はスマート構造物の概念を応用することにより簡素化され 特異債 分解を基礎とする部分空間同定法を適用することで,被測定質量によって変化する固 有振動数を精度良く同定することが可能となるものである.検証実験により,その測 定精度は,実用的なものであることを示している.後者は,ヘルスモニタリングの応

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-103-用例の一つとして,ボルト締結時に使用されるワッシヤに対して同じくスマート構造 の概念を適用することによりアクティブセンシングを実現している.ボルト締結部の

緩みによって生じるボルトの軸力変化に応じてボルトとワッシヤ間の境界条件が変化

することに注目し,ワッシヤ自身の固有振動数変化をモニタリングするものである.

検証実験によってその実現可能性が示されている. 最後に第10車は本論文の結論であり,各串の成果を要約すると共に,本研究の意義及 び社会的な効果について述べている.

論文審査結果の要旨

本論文は,圧電素子の持つセンサとアクチュエータの性質を利用して、自身の特性を 同定、自己調整するいわゆるスマート構造の研究とその応用に関するものである。従来 のセルフセンシングで行われてきたブリッジによる駆動信号とセンサ信号の分離の問題 から出発して、ブリッジのバランシングをシステム同定、環境に対して特性を最適に合 わせる自己調整へと発展させ、広い応用を可能にしたものである。本論文の成果とその 評価は以下の通りである。 1.スマート材料、スマート構造に関して、従来の研究を整理し、これらの材料、構

造の有用性、発展性を明らかにするとともに、それらの結果をもとに本研究では圧電素

子を用いたスマート柔軟梁を取り上げ、課題として、 (1)動的補償器によるセルフセンシングアクチュエーション手法の確立 (2)システム同定と制御系切換による自己調整手法の検討 (3)実用化を想定した応用例の検討

を挙げている。過去の論文の課題が十分検証され、本研究の位置づlナ、方向づけが正

しく行われたことが認められる。 2.圧電素子を張り付けた柔軟片持ちはりのダイナミックスを検討し、運動方程式、

圧電方程式などを導びくとともに、セルフセンシングとアクチュエーションに適用し、

従来のブリッジによるバランシングの問題点を明らかにしている。バランシングに代わ

る方法として、動的補償器によるセルフセンシングアクチュエーション手法を提案して

いる。さらに,セルフセンシングアクチュエーションシステムのダイナミクスが直達

項を有する状態空間モデルとして記述されることを示し,ブリッジ回路を用いて信号

を分離する問題が,システムの同定問題と動的補償器による状態推定問題とに帰着さ

れることを示している.

3.スマート柔軟梁の振動制御問題に対して,Ⅰ月最適制御理論とH∞最適制御理論に

基づいて,圧電素子の静電容量変動,特に直達項変動に対するロバスト性を補償する

制御系設計について検討し,部分空間同定法によって得られた同定モデルを用いて制

御系設計を行い,検証実験によりその有効性を示している.

(5)

4.温度の影響、圧電素子の破損、断線などに対して、変動状態でのシステム同定過

程を導入することにより、その変動をモニタリングするとともに、変動状態に合わせて

有限個の制御器を切り替えたり、ゲインを切り替えたりする制御器の設計方法を提案レ、

実証実験により、その有効性を示している。

5.本研究で得られた手法を無重力空間での質量測定とボルト締結体の綾み検出に応

用している。前者では,重力に依存しない質量の測定原理として,片持ち梁の曲げ振

動を利用したものを提案し,その測定装置はスマート構造物の概念を応用することに

より簡索化され特異値分解を基礎とする部分空間同定法を適用することで,被測定

質量によって変化する固有振動数を精度良く同定することが可能となっている.検証 実験により,その測定精度は,実用的なものであることを示している.後者は,ヘル スモニタリングの応用例の一つとして,ボルト締結時に使用されるワッシヤに対して

同じくスマート構造の概念を連用することによりアクティブセンシングを実現してい

る.ボルト締結部の緩みによって生じるボルトの軸力変化に応じてボルトとワッシヤ 間の境界条件が変化することに着目し,ワッシヤ自身の固有振動数変化をモニタリン グするものである.検証実験によってその実現可能性が示されている. 以上、要するに、本論文は圧電素子の持つセンサとアクチュエータの性質を利用して、 駆動信号のセンサ信号の分離問題をシステムの同定問題と動的補償器による状態推定問

題に帰着させ、自分で自分の状態を随時把握できることかち、自己調整機能、′変化する

環境に対応する機能の実現へと発展させ、はば広い応用の道を開いたもので、学術上、 および産業応用上寄与すること大であると結論できる。

よって本碍文は博士(工学)の学術論文として価値あるものと認める。

最終試験結果の要旨

平成15年2月13日に学位論文の内容を中心として、またこれに関連した事項につ

いて試由を行った結果、合格と認めた。

参照

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