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ハイブリッド型バイオ人工肝開発の基礎的検討 -- 初代培養ラット肝細胞の培養系におよぼす劇症肝炎患者血漿の影響

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Academic year: 2021

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Title

ハイブリッド型バイオ人工肝開発の基礎的検討 -- 初代培養

ラット肝細胞の培養系におよぼす劇症肝炎患者血漿の影響(

内容の要旨(Summary) )

Author(s)

内藤, 智雄

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(医学)甲 第291号

Issue Date

1995-03-24

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/14831

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏名.(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員

内 藤

智 雄(埼玉県)

士(医学)

甲第 291号 平成 7 年 3 月 24 日

学位規則第4条第1項該当

ハイブリッド型バイオ人工肝開発の基礎的検討一初代培養ラット肝細胞の

培養系におよぽす劇症肝炎患者血兼の影響

(主査)教授

敏 (副査)教授 佐 治 重 豊 教授

見 剛 論 文

容 の 要 旨 肝細胞の分離と玩=扉打0での初代培養法の確立により,不全状態にある肝の機能を外来性の肝細胞に代償させるハイブリッ ド型バイオ人工肝の開発が注目されている。その開発にあたっては,使用する肝細胞が長期にわたり肝特異機能を発揮しうる ことが重要であるが,肝細胞に存在するアシアロ糖タンパク質レセプターのリガンドモデルであるpoly-NTP-Vinylbenzyl-D-1actonamide(PVLA)を基質として培養した場合,肝細胞は多層集合休を形成し,従来の単層培養に比し長期にわたり肝 特異機能を保持し得ることが報告されている。この肝細胞の多層集合体をハイブリッド型バイオ人工肝に応用することは極め て有用と考えられるが,肝不全患者の血液の存在下においてPVLAを基質として培養した場合,果たして肝細胞は多層集合 体を形成し,その形態を保持し得るか否か,さらに肝細胞としての特異機能を発揮し得るか否かの基礎的検討が必要不可欠と 考えられる。 そこで申請者は,PVLAを基質として培養することによって形成されたラット肝細胞多層集合体の培養系に急性肝不全の 代表的疾患である劇症肝炎患者より採取した血燥を添加し,形態ならびに肝細胞特異機能である蛋白合成能,アルブミン分泌 能,アミノ酸代謝,尿素窒素合成,糖新生などにおよぽす影響について実験的検討を行った。 材料及び方法 肝細胞培養のための基質としてPVLAならびにTypeIコラーゲンを使用した。PVLAコートディッシュは.0・01% PVLA溶液を35mm径のプラスティック製6穴マルチプレートに1mlづっ分注し吸着法により作製した。コラーゲンコート ディッシュは,0.03%コラーゲン溶液を35mm径のプラスティック製6穴マルチプレートに分注し,同様に吸着法により作製 した。単離肝細胞は体重200∼250gのWistar系雄性ラットよりSeglenのinsituコラゲナーゼ潜流法に準じて採取した。得 られた肝細胞はWilliams E(WE)培地に浮遊させ,5×105cells/mlの肝細胞懸淘液に調整し,前述したPVLAおよび コラーゲンコートディッシュに各々2ml分注した。37℃,5%CO2の条件下で培養を開始し,3時間後にディッシュ底面に 付着しなかった細胞を培養液とともに除去し,新たに無血清WE培地を用いて培養を継続した。劇症肝炎患者血策は,血祭交 換施行時に得られた除去液を直ちに-20℃で凍結保存したものを使用し,健常者新鮮凍結血焚を対照として用いた。これらの 血兼は使用直前に融解しヘパリンナトリウムとカナマイシンを添加して使用した。肝細胞の培養開始72時間後に培養液を除去 し,劇症肝炎患者血祭,健常者血祭,無血清WE培地に交換し,培養を継続し,以下に示す項目について検討を行った。(1) 形態の観察:位相差顕微鏡により形態を経時的に観察した。(2)蛋白合成能の検討・:肝細胞での蛋白合成能はヲH-1eucineの 酸不溶性分画への取込みを液体シンチレーションカウンターにて測定した。(3)アルブミン分泌能:培養液を劇症肝炎患者 血菜ならびに健常者血兼に交換後.さらに48時間培養し,上清中のアルブミン濃度を測定した。アルブミン濃度の測定は, enzyme,1inkedimmunosorbent assay(ELISA)にて測定した。(4)アミノ酸代謝能:培養液を劇症肝炎患者血祭に交 換し,24時間,48時間培養した後の血焚中アミノ酸分画を測定し同時にFischer比(分枝鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸モル比) を求めた。アミノ酸測定はhigh performanceliquid chromatographyを用いたアミノ酸自動分析器により測定した。 (5)尿素窒素合成能:培養液を劇症肝炎患者血柴あるいは健常者血祭と交換し24時間培養し,PBSで洗浄後,5mMNH.Cl を含むHanks液を各々2mlづつ添加しその後に培養上清中に分泌された尿素窒素を経時的に測定した。(6)グルコース分 泌能:培養液を劇症肝炎患者血祭あるいは健常者血発と交換し24時間培養し,PBSで洗浄後.10mMのフルクトースならびに 10mM Hepesを含むglucose-free-Hanks液を各々2mlづっ添加し,その後に培養上溝中へ分泌されたグルコースを経時 的に測定した。 11

(3)

結果 (1)形態の観察:コラーゲンコートディッシュ上で培養した肝細胞は培養開始24時間後には敷石状に単層に接着伸展し,一 方PVLAコートディッシュで培養した肝細胞は培養開始24時間後には多層集合体を形成し始め,72時間後には完全な球状集 塊を形成した。培養開始72時間後に培養液を劇症肝炎患者血焚,健常者血焚あるいはWE培地と交換し,培養を続けたところ コラーゲン上では培養14日目までにいずれの群でも肝細胞はディッシュから剥離,脱落してそれ以上の培養の継続は不可能で あったが,PVLAで培養した肝細胞はいずれの群においても肝細胞の形態に変化は見られず,多層集合体が維持された。以上 から劇症肝炎患者血焚はPVLAによる肝細胞の多層集合体の形成,維持に影響を与えないものと推定された。(2)蛋白合成 能の検討:3H-1eucineの取込みによる蛋白合成能を検討したところ,PVLAでは各種濃度の劇症肝炎患者血燥と健常者血燥 を添加した際の3H-1eucineの取込みにおいて両群間に差異は認められず,添加した血燥の*にも影響されなかった。またW E培養液単独の場合に比しても差異は認められなかった。(3)アルブミン分泌能:上溝中へのアルブミン分泌量は,PVLA では劇症肝炎患者血燥添加群で22.9±2.4FLg/dish/24hr,健常者血叛添加群で8.7±2.5FEg/dish/24hr,W田舎養液群で26. 2±4.8FEg/dish/24hrであった。一方,コラーゲンでは劇症肝炎患者血焚添加群で6.2±2.3FEg/dish/24hr,WE群で8.1 ±0.4FLg/dish/24hrであった。このように劇症肝炎患者血兼中の培養肝細胞はWE培養液中と比較してもアルブミン分泌 能は良好に保たれていた。またPVLA上の肝細胞はコラーゲン上の肝細胞よりアルブミン分泌土は有意に高値であった(P <0.01)。(4)アミノ酸代謝能:培養前には総アミノ酸濃度は1006.Onmol/mlであった劇症肝炎患者血熟ま,培養亜時間後 にはPVLAでは,626.7±134.5nmol/ml,コラーゲンでは,978.2±156.4nmol/mlとPVLAで有意に減少しており(P <0.05),PVLA上の肝細胞では良好なアミノ酸の利用が示唆された。一方,Fischer比はPVLAでは48時間培養後まで良 好に維持されたが,コラーゲンでは時間の経過とともに低下した。(5)尿素窒素合成能:尿素窒素合成土はPVLAでもコラー ゲンでも劇症肝炎患者血燥添加による有意な合成能の低下は認められなかった。(6)グルコース分泌能:グルコース分泌能 は,劇症肝炎患者血燥添h,健常者血燥添加およびWE培養液群いずれもコラーゲンに比しPVLAで有意に高く(P<0.05), また劇症肝炎患者血幣添加によって合成能の有意な低下は認められなかった。 考♯ 劇症肝炎患者血熟ま,PVLAを基質として培養した場合に形成される多層集合体に影響を与えず,コラーゲンを基質とした 場合に比し,劇症肝炎患者血燥の存在下でも有意に高い肝特異機能を発揮し得ることが明らかとなった。さらに,健常者血焚 の存在下での培養に比し劇症肝炎患者血燥では有意に高い肝細胞でのアルブミン分泌能,尿素窒素合成能,グルコース分泌能 が観察された。これは劇症肝炎患者血燥中に高濃度で存在することが報告されているヒト肝細胞増殖因子の作用,肝不全に対 して投与されている種々の薬剤の影響などによることが推測されるが,現在行われている肝不全に対する薬物療法がバイオ人 工肝の臨床応用に際しての障害となる可能性はきわめて少ないものと考えられた。また今回の検討は,ラット初代肝細胞培養 系に100%のヒト血焚を添加しており,ヒト血燥の存在下でもラット肝細胞は特異機能を十分に発揮しており,異種肝細胞の機 能におよぽすヒト血焚の影響は少ない可能性が示唆された。

論文審査の結果の要旨

申請者 内藤智堆はPVLA基質によって形成されるラット肝細胞多層集合休が劇症肝炎患者血策の存在下においても肝特 異機能を発揮し,高いレベルに維持されることを明らかにした。今後,ハイブリッド型バイオ人工肝開発へ応用できる可能性 を示した。これらの新知見は肝臓病学の進歩に少なからず寄与するものと認める。 [主論文公表誌] ハイブリッド型′ヾイオ人工肝開発の基礎的検討 一初代培養ラット肝細胞の培養系におよぽす劇症肝炎患者血燥の影響 平成7年3月発行予定 岐阜大医紀 43(2):掲載予定,1995 12

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