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オーダーN法による超大規模第一原理計算手法の開発

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Academic year: 2021

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(1)2012年ハイパフォーマンスコンピューティングと計算科学シンポジウム High Performance Computing Symposium 2012. HPCS2012 2012/1/24. オーダーN 法による超大規模第一原理計算手法の開発 宮崎 剛† . 通常用いられている第一原理計算手法では、計算量が計算する系に含まれる原子数 N の3乗に比 例して増加するため、数千原子を越える大規模系に第一原理計算を実現することは極めて困難で ある。この問題を克服する為に計算量、メモリ量が N に比例するオーダーN 法の開発が行われて きた。オーダーN 法の最近の発展は著しく、実際に応用計算も行われるようになってきている。 本講演では、我々が開発してきたオーダーN 法第一原理計算手法プログラム CONQUEST の計 算手法と応用計算例を説明すると共に、プログラムに用いられている計算の種類と並列効率を紹 介し、オーダーN 法の将来性を議論する。. 研究グループから重要な進展が報告されている 1.. 背景. [1,2]。今までは手法開発が中心に行われてきたが、. 密度汎関数理論に基づいた第一原理計算は、実際. オーダーN 法を用いた実際の応用研究の例もいくつ. の物質の安定原子構造、電子的性質などを実験デー. か現れ始めている。近い将来に、標準的な計算手法. タによらず定量的に求めることを可能とする強力. となることも十分に考えられるという状況になっ. な研究手法である。当初は数原子程度の小さな分子. ている。 . や単純な固体が対象であった第一原理計算も、その. 2.. 後の計算機の進歩とカーパリネロ法などの効率的. オーダーN 法第一原理計算プログラム CONQUEST の開発. な計算手法の開発により、今では数百から一千原子 を含んだ系に対する計算も珍しくない。扱える系が. 本講演では、我々が開発してきたオーダーN 法第. 大きくなることにより研究対象となる物質や現象. 一原理計算プログラム CONQUEST(Concurrent. は増え、今では第一原理計算手法は様々な科学、工. O(N) QUantum Electronic Structure Technique). 学分野において必須の研究手段となっている。第一. を中心に紹介する。オーダーN 法の実現には、1). 原理計算に対するニーズは現在でも増大しており、. 電子状態を表す為の局在基底の開発、2)電子状態. さらなる大規模系への計算が望まれている。 . をオーダーN 法で解く為の解法の開発、という二つ. しかし、通常用いられている平面波基底関数を用. の要素が必要になる。1)に対しては、CONQUEST. いた第一原理計算では系の含む原子数 N が数百を. は高効率計算のための基底関数(擬原子軌道. 越えると計算量が N の3乗で比例して急激に増加. Pseudo Atomic Orbitals )と高精度計算のための. する。(小さな系では N の2乗で増加する。)10. 基底関数(B-spline 関数を用いた有限要素法)とい. 倍大きな系を計算するには 1000 倍の計算時間が必. う2種類の局在基底関数を選べる。また、2)に関. 要となるため、扱える系の大きさを増加させること. しては密度行列最適化手法を用いている。講演では、. は極めて困難になってきている。大規模第一原理計. これらの計算手法の説明を簡単に行った後に、ナノ. 算における、この計算時間、資源の問題はかなり前. 構造物質や生体系に対する実際の応用例をいくつ. から認識されており、欧米、日本の複数の研究グル. か紹介する。また、他のグループで行われている同. ープが計算時間とメモリ量が N に比例するオーダ. 様の手法についても少し紹介したい。 次に、プログラム CONQUEST で用いられてい. ーN 法と呼ばれる計算手法の開発を行ってきた。 オーダーN 法のここ数年の発展は著しく、複数の. †. る計算の種類を紹介する。一般に、第一原理計算プ. 物質・材料研究機構 理論計算科学ユニット Computational Materials Science Unit, National Institute for Materials Science. 1. ⓒ 2012 Information Processing Society of Japan.

(2) 2012年ハイパフォーマンスコンピューティングと計算科学シンポジウム High Performance Computing Symposium 2012. HPCS2012 2012/1/24. ログラムでは様々な種類の計算を必要とする。現在 広く使われている平面波基底を用いた通常の第一 原理計算手法と CONQUEST で使われている手法 との比較を行い、CONQUEST で用いられている局 在基底による計算、そして電子状態の局所性を用い たオーダーN 法が並列計算に有利であることを示 す。CONQUEST の並列効率は非常に高く、超大規 模系に対する第一原理計算が可能となっている。最 新の大型計算機を用いると、百万原子系に対する第 一原理計算も可能となってきた事[3]を報告する。 さらに、このような超大規模第一原理計算によっ て、近い将来にどのような問題が扱えるようになっ てくるかを議論したい。 3.. 謝辞. プログラムCONQUESTの開発は、英国University College London(UCL)のD. R. Bowler博士の研究グ ループとの共同研究で行われている。UCLとNIMSの 研究グループの共同開発者に感謝したい。また、本 講演で紹介する研究の一部は、科研費新学術領域研 究「コンピューティクス」(課題番号22104005)、そ して文部科学省のHPCI戦略プログラム、および、計 算物質科学イニシアティブの助成により行われて いる。 . 参. 考. 文. 献. [1]. D. R. Bowler and T. Miyazaki, “O(N) methods in electronic structure calculations”, Rep. Prog. Phys. 印 刷中 (Feb., 2012 予定. arXiv:1108.5976.v5)。. [2]. 宮崎剛, ”II.2.2 オーダーN を目指して”、密度汎関数 法の発展-マテリアルデザインへの応用-、赤井久純、 白井光雲編著、pp141-162、シュプリンガージャパン、 日本、2011 年. [3]. D. R. Bowler and T. Miyazaki, “Calculations for millions of atoms with density functional theory: linear scaling shows its potential”, J. Phys. Condens. Matter, 22, 074207-1-6, (2010).. 2. ⓒ 2012 Information Processing Society of Japan.

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