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ヒトCYPIA2 : 塩基配列,遺伝子構造,マウスおよびラット遺伝子との比較と肝臓でのmRNA発現の個体差について

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Academic year: 2021

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全文

(1)

230 氏名(生年月日) 本     籍

学位の種類

学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件

学位論文題目

論文審査委員

(54) イケ   ヤ   キ   ヨ   コ

池谷紀代子(昭和3

博士(医学) 乙第1301号

平成4年9月18日

学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)

ヒトCYPIA2:塩基配列,遺伝子構造,マウスおよびラット遺伝子との比較と

 肝臓でのmRNA発現の個体差について

(主査)教授 福山 幸夫 (副査)教授 相川 英三,澤口 彰子

論 文 内 容 の 要 旨

 目的  芳香族炭化水素代謝に関与するチトクロームP450

遺伝子ファミリーは現在までにCYPIA1とCYPIA2

が知られている.ヒトCYPIA2遺伝子のDNA塩基配

列を決定して他動物と比較し,また肝臓における InRNAレベルを調べることにより,この遺伝子の調 節機構や個体の易発癌性との関連を明らかにすること を目的として実験を行った.  材料及び方法

 ①正常ヒト肝よりDNAを調製し,CYPIA2遺伝子

の塩基配列をdideoxy chain terminationにより決定 し,すでに報告されているマウス,ラットのCYPIA2 遺伝子の塩基配列と,コンピュータープ・グラムによ り比較した.  ②CYPIA2遺伝子の塩基配列に基づいて合成した 24塩基,51塩基のオリゴヌクレオチドのそれぞれをプ ライマーとして,S1ヌクレアーゼ処理によるSI map- ping法と,逆転写酵素反応によるprimer extension 法を行って,mRNAの転写開始部位を決定した.

 ③12例の正常ヒト肝より得られたmRNAの

northern blotを行い, X線フィルム上のバンドの濃淡 により発現量を比較した.  結果  ①ヒトCYPIA2遺伝子について, intronを含む DNA塩基配列を決定し,その遺伝子構造と,遺伝子が 約7.8kbであることを示した.マウス,ラットのDNA 塩基配列と比較したところ,exon 2-6の相同性は高 かったが5’側領域の相同性はCYPIA1遺伝子に比べ て低かった.  ②.ヒトCYPIA2遺伝子のexon 1は55bpよりなっ ていた.

 ③12例の正常ヒト肝におけるCYPIA2 mRNAの

northern blotの結果をデンシトメータ山で比較した ところ,個体差が大きく最高例と最低例で15倍の差が あった.  考案  一般にDNA塩基配列を動物間で比較した場合,種 を越えて塩基配列が保存されている相同性の高い領域 は,その遺伝子のコードする蛋白の作用や遺伝子発現

の調節に関与している.CYPIA2遺伝子ではexon

2-6の相同性が高く,この領域のコードする蛋白は

CYPIA2酵素の作用に重要と思われた.しかしCYP

lA1遺伝子で遺伝子発現の調節機構が存在する5〆側領 域は,CYPIA2遺伝子では相同性が低く,遺伝子発現 の調節機構はこの領域には存在しないと考えた,また,

肝でのmRNAレベルの個体差は, CYPIA2遺伝子発

現における遺伝的な差異を示す.高mRNAレベルの

個体は,酵素の発現も高く,強い発癌性を持つ中間代 謝物を生成するので,遺伝的に癌を生じ易いと考えた.  結論  ヒトCYPIA2遺伝子は,約7.8kb,7個のexonより 成り,CYPIA1遺伝子と異なる調節機構の存在が考え られた.肝におけるmRNAの発現は個体差が大きく, 遺伝的に決定された個人の易発癌性を反映している可 一864一

(2)

231 能性があると思われた.

論 文 審 査 の 要 旨

 チトクロームP450遺伝子のsuperfamilyは,現在14 familiesよりなるとされ,.ヒトの芳香族炭化水素代謝 に関与するP450-1遺伝子familyは, CYPIA1およびCYp1A2の2分子種が知られ,前者の発現の調節機構に ついては多くの研究がなされてきたが,後者のそれについては不明の点が多かった.  本研究は,後者,すなわちヒトCYPIA2遺伝子に焦点をあて,その塩基配列を決定し,他動物のDNA塩基 配列との相同性:が低いことから,CYPIA1遺伝子とは異なる調節機構の存在が考えられること,肝mRNA発 現の個体差が大きいことを見出し・発癌性の遺宵鳴背景の解明町有章義なデータを示した・学術的に価値ある 研究である. 主論文公表誌 ヒトCYPIA2:塩基配列,遺伝子構造,マウスおよ  びラット遺伝子との比較と肝臓での1nRNA発現  の個体差について   東京女子医科大学雑誌 第62巻 第1号   35-46頁(平成4年1月25日発行) 副論文公表誌 1)インスリン自己注射による作為的低血糖をくり   かえした小児糖尿病の1例.東女医大誌 57(臨   増):156-160(1987)池谷紀代子,原  仁,   石渡昌子,石場俊太郎,丸山 博,福山幸夫 2)陰圧人工呼吸器によるネマリ.ンミオパチー児の

  在宅呼吸管理.脳と発達 20(5):

  423-428(1988)池谷紀代子,梶山 通,平沢恭   子,大沢真木子,宍倉啓子,鈴木陽子,福山幸   夫 3)Human CYPIA2:Sequence, gene structure,   comparisoh with the mouse and rat or   thologous gene, and differences in liver IA2   即RNA expression(ヒトCYPIA2:塩基配列,   遺伝子構造,マウス,ラット遺伝子との比較,   肝における1A2 mRNA発現の相違). Mol En-   docrinol 3(8):1399-1408(1989)Ikeya K,   Jaiswal AK, Owens RA, Jones JE, Nebert   DW, Kimura S

4)DystrophinのcDNAプローブを用いたDu-

 chenne型進行性筋ジストロフィー症家系の遺  伝子診断一遺伝相談への応用の可能性の検討  一.膨と発達 21(4):361-368(1989)斎藤加  代子,田中あけみ,原田隆代,池谷紀代子,福  山幸夫,.荒畑喜一,杉田秀夫,大沢真木子,宍  倉啓子,鈴木陽子 5)Differences in the expression pattern of  dystrophin on the surface mernbrane between  the skeletal and cardiac Inuscles of mdx  carrier mice(mdxキャリアマウスにおける骨  格筋と心筋細胞膜上へのジストロフィン発現パ

 ターンの相違).Histochemistry 93:

 447-452(1990)Tanaka H,. Ikey3 K, Ozawa

 E

6)Duchenne型筋ジストロフィー症の遺伝相談.  脳と神経 43(5):429-441(1991)大沢真木子,.  斎藤加代子,池谷紀代子,福山幸夫 7)Duchenne型筋ジストロフィ.一(DMD)一遺伝

 子異常と臨床一.小児内科・23(8):

 1191-1198(1991)斎藤加代子,山内あけみ,池  .谷紀代子,福山幸夫 8)ジストロフィンと筋ジストロフィー.小児内科  23(11):1791-1798(1991)斎藤加代子,池谷  紀代子,山内あけみ,福山幸夫 一865一

参照

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