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契約目的と債務関係 利用統計を見る

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契約目的と債務関係

著者

三野 陽治

著者別名

Y. Mino

雑誌名

東洋法学

23

2

ページ

p1-30

発行年

1980-04

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00006039/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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契約目

債務関係

  目 次 一、序論 二、契約目的と判例の考察 三、契約責任と債務不履行 四、契約の解釈 五、契約の解除

一、序論

 契約は両当事者の自由な意思により締結され、この契約に両当事者は拘束される。これはいわゆる私的自治の原則 に基づいているのである。私的自治の原則の意味は、自己責任による法律関係の形成ということによる人格の発展の 表現である。従って先づ、私的自治を基本的に承認する法規に於ては、個々の成年の法的仲間は自己と他人の間に関     東洋法学       一

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    契約目的と債務関係       二 する合意の内容について第三者又は国家に対して責任を負わないことになる。しかしこの内容は習俗や法規の成立に 反するものであってはならない︵良俗又は法規違反でないこと︶。この枠内で私的自治は法規範の本質から制限をうけ る。法規は意思決定の誠実性と自由のための保障を要求することができる。この範囲で適当な方法で外部に表され拘 束力あるものと表示され、内容的に合致する契約当事者の意思は当然に両当事者を拘東する法規範である。未成年者 以外のものは他人の意思に服従しないから.意思の合致を必要とする、締結された契約の拘束力の不可欠の要件は、        ︵黛︶ 一方が他方を信頼しそれに葭驚の行為を適合させる鑑煮である、認約は当事者の合意によ鯵成立するものであ熱が. 契約が法的綱戻として成立しすなわち自己責任による法律関係の形成の露由が法的伸間に承認されることが我々の正       ︵慧︶ 義観念に適合する範囲で、契約は意思の合致により正当性が認められるということがで蓉る、  両契約当事者は相互に自己による表示に拘東され、甚、こで相互の行為の規範が設定されるから、この規範に内在す る契約正義という一層高次の倫理の命令に従属される。これは当事者は何らかの客観的評価によって正当とされるこ とのみを合意しうるということではない。私的自治は制限されるべきではない。当事者が自己の事項について如何に 規律するかは自己自身の事柄である。しかしこの規律には拘束力を要し、必要な場合にはこの実現に法的救済を要求 するから、法の根本思想、社会理念に服従することになる。従って法や習俗に違反する契約は法的効力も要求しえな い。このため取引慣習を顧慮して信義誠実が要求する如く契約を解釈しなければならない。また如何なる当事者も自       ︵3︶ 己が欲した不正を引き合いに出すことはできない︵悪意の抗弁︶。  我が民法も強行法規又は公序良俗に反する事項を欝的とする法律行為は無効とする︵民法九〇条︶と規定するが、

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この意味は法律行為の内容が強行法規に違反するか、又は個々の強行法規に違反しなくても、その社会の一般的秩序        ︵4︶ または道徳観念に違反するものであれば無効であることである。この事項を目的とするとは通常は法律行為の内容と 解されるが、法律行為の動機が不法な場合も、判例は賭博の弁済の資に供するために消費貸借契約を締結するとき貸        ︵5︶ 主がこの目的を知っているときは契約は無効であるとする。また法律行為の解釈は表示行為が有すべき客観的な意義       ︵6︶ を決定することである以上、その決定に当って誠実信義の原則または条理が作用すべきことは当然であるとされ、ド イッ民法一五七条は契約の解釈は信義誠実の原則に従ってなすべきことを規定するが、我が民法にはこのような規定        ︵7︶ を欠くが学説はドイッ民法にならって同一趣旨を説いており、判例もこのことを承認している。  また法的拘東力ある規範になるためには、平均的正義へ向う方向が内在する。契約は対立する利益の妥協のみでは なく、更に対立する利益の正当な意味の調整である。正当なというより正しい考慮というべきである。平均的正義と いう基準は契約にその本質的に無関係にすなわち後から法の命令により付加されたものでなく、当然内在するもので ある。平均的正義の理念は、契約は当事者のもとに平衡を来たし、この場合当事者は自己の重要な利益を維持させる 可能性をもつことを意味する。  如何なる者も他人の専意に完全に服従してはならないし、自己の目的を同時に維持されることなしに、他人の目的 のためにのみ拘束される必要はない。私的自治とそれに内在する契約正義は対立するものではなく、相互に条件づけ        ︵8︶ 弁証法的に並立するものである。内的に関係するこの二つの基本的要素からのみ契約法を理解すべきである。  当事者が契約に法的拘束力を求めるときは前以って法秩序の中で予見される制限を忍容しなければならないことは     東洋 法 学       三

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    契約目的と債務関係       四 疑いえない。それ故に法規が一定の内在する契約上の正義を要求する場合には、これに反する契約は法的拘束力をも ちえないし、理性上も意思をもちえない。少くとも有効な契約の法的必要条件を知る者にとっては当然である。この 点で当事者の意思と法的命令の対立が排除きれると考えるか否かは明らかに哲学的見地の閥題である。しかしこれは 大いに興昧がある。すなわち一方の当事者が自己の履行を完全に行ったことに対し如何なるものをも取得しない法律 上有効に実現しうる契約があることが認められる.従ってこの場合には.契約は平均的正載の方向をもつということ はで暴ない.正義のみならずすべての公平為も欠くことのできないことである、じの携合に丈蹴する正義の原則は. 経済的等価の意昧の平均的正義とは異るものである。人が完全な自由意思により熟慮した虻ダ倉鏡自体に与えねばな らない正義内容が重要であ蒸、さらに広い領域で内在的契約正義が一定の客観的等祇の意味で重要である鑑とは答定    ︵9︶ しえない。  このように債務関係の発生する契約の効力を観察する場合には.契約当事者の自由な意思と契約に内在する正義と の調和を考えなければならない、債務負担行為法の構成にとり規準となる力は幾つかの要素に分けて考えることがで きる。契約には契約締結により対立する利益意思の調和の申に一定の正義を示す構成がなされるが、個人の意思的自 律の思想は改良されて適用されなければならないし、また主として信頼保護の要求として作用する取引安全の促護        ︵鴛﹀ と、契約上の履行と法的地位の内容的等価性の思想とさらに契約信義の倫理の効力とが契約の効力に作用すること私糧 考えなければならない。  前述の如く契約又は法律行為の効力を理論づけるには、当事者の意思のみならず信頼保護と取引安全ゆ編も考慮すべ

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きであり、合致する意思と取引利益又は信頼利益が支配する領域は一致しないとすべきではないし、これに対する相 当の理由がある。自律と意思支配の価値では十分ではなく、意思合致の要求の中に含まれる正当性をも顧慮する立場 には重要な理由がある。このような見解からは債務的拘東力を発生させる債務負担行為の決定的な特徴には到達しえ ないと考えることが必要である。永い期間法律行為理論の申で論議された契約の効力の法的根拠の問題は今日民法上 では顧られず、むしろ不要とされている。  従って法規が契約に債務的効力を与える理由を詳細に示さないときは、債務負担行為を理論的に説明することは不 可能と考えられる。法律行為の効力は形式的には当事者の法律行為的意思と法規の関係から説明されることに関して は今田何ら争はない。単に、法律を基本的価値と承認するか、または合意の中に存する正当性からこの効力が契約に        ︵簸︶ 必要とされるという理由でのみ、法規は債務負担行為の効力を認めるのであろうか、この答は否となるであろう。  契約自由の行使は人格の自由な発展の一形態であり、憲法上の価値としてこの自由を承認することは民法上契約自 由の価値を重視することにも影響し、これは一般的法秩序の表現としての基本権は民法に作用するからであるとする ︵署、 見解がある。しかし契約自由も最近は強行法規の制限と公的支配の下に置かれることが認められ、これは契約自由の 本質にふれるとともに、契約自由の限界に関するものである。設定された義務を理由づけるために意思的自律では十 分でなく、むしろ義務の根拠は法規が法律行為当事者と法律行為的取引に関する重要事項を顧慮しなければならない という点にあることを認識することである。このように真の自律とこれにより基礎づけられる正当性の範囲内でも義 務負担行為の決定的特徴、特にその拘東力を説明するために、取引の安全の見地が必要であることがわかる。     東洋 法学      五

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    契約欝的と債務関係       六  人がある表示をするときは、その者が表示に拘東されるということは取引の安全を要求する。義務負担行為の拘束 力を考えるためには私的自治の範闘で取引安全が主要な見地をなすことを認めなければならない。たしかに私的臼治 の思想のみが.個人は自己に属する法的利益を処分しうることを論証しうるし、何故に私的自治を認める法規が.個 人間の法的規範を観察するさいに、義務負担行為を国家の命令に優先させるかを説明しうる。前者は最も自律を制限 しない義養負墾行為の体系である。それは個入は自己が或る授務関係に関係するか否かを自由に決定しうるからであ る、しかし私的.農治の思想は債務発生の効果を一般的に説明する鳳とはできない.従って理実に意欲きれた法律行為 の蔦園症賦も、私的自治と取引安全︵繕頼保繋鵡︶の原則からのド、轍のような法的地位の綜合的理解が完全になしうる     ︵慧︶ ことになる. ︵i︶ ︵2︶ ︵3︶ ︵4︶ ︵5︶ ︵6︶ ︵7︶ ︵8︶ ︵9︶ ︵io︶ 瀬鷲囲野舞欝騨の窃魯鶏鑓αQ獲灘黛轟Φ鯉簿臨<⑱誌瞬澱も な費観紺鱒α壁博お総鴇も 絵魚餐歴 騨瓢黛瞬鱒鶴鰐びぐ巽簿鶴鵯騨鮪誉欝§瓢<⑳纂塊畠も な勘働訂ぎ這m9鯵は簿 麟鍵一群髄搭雛斜 勲騨O;ω﹂α称 の● 我妻栄著、民法総則.二七〇頁。 大判、昭和一三年三月三〇疑・民集一七巻六号・五七八頁。 我妻栄薯.前掲二五六頁。 川島武宜著、民法総則、二〇四頁。 麟鶏一ピ鋤お類N界勲○こ ω﹂器● ︾銭§じ o犠瓢霧獲v℃甑奉鑓纂o蓉急Φ煤⇒α○げ覧a<①9轡篇色お窪山霧くo后齢○ぼ曾牙⇒拶①o︸誘窪窺窃畠賊房鈴 零伽態翻層象講算餌如じ○こo 祭﹂舘● お①8Q り﹂OG Q企

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︵n︶ ︵駕︶ ︵13︶ 悔§Nじ ご准一ぎω家u鉾鎖・○こω●雪︷こ 窯導ゆ&≦oぎ勾ooぼ薦の。姦︷岳畠o国馨ωo訂嵐彗αqω坤Φぎoぽ弩αく段爾飴αq一一9醇ぎ83ω。 Qo壼霧αqζoぴ 頃欝養切琶留霧家”騨穿○●vω邑○ 。出︷こ 一零9ψミ︸ 二、契約目的と判例の考察  契約が締結されても、当事者が契約の目的としている事柄が、契約締結当時、当事者が有していた観念の差異のた め、または契約の目的としてた事項が客観的事情の差異によりこれを強制して履行せしめることが甚々しく公平に反 し契約の目的が達せられない場合がある。この場合を救済するために従来色々の学説がこの問題に関して生じた。こ れに関するものに行為基礎論がある。行為基礎という言葉を二つの意味に解する見解がある。この見解によると、一 つは一方当事者の又は双方当事者の意思決定の主観的基礎として、従って取引締結の際に明らかになりそして動機作 用の過程で一定の役割を果す観念としてであり、他は契約の客観的基礎としてすなわちその存在と継続を当事者に於 て前提とされる事情の存在の総体としてである。そしてこれは当事者が認識していたか否かは関係はない。何故なら そうでないと契約目的、当事者の意図が実現され得ず、従って契約の効力維持がその意味目的対象を失うことになる からである。従来契約基礎に関する学説により主観的に前者を見るものと客観的に後者を見るものがあった。これは 各場合の一部の断面をもつとしても、両説が正当性をもち、しかも異った言葉で表現されることが容易にわかる。主 観的基礎と客観的基礎の二つの事実が法理論上異った関係に属するようになるにつれて特別の取扱を要求する。主観     東洋法学      七

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    契約目的と債務関係      八 的行為基礎は動機作用の過程の要素であり、従ってその法理論は動機錯誤と意思欠敏の理論に属する。これに反し客 観的行為基礎は契約目的と当事者のすべての意図がなお実現されるかの聞題に関する。その取扱は不能、後発不能と 鷺的到達の理論に属する。これは特に英法に於て明瞭であり、ドイツ法では主観的基礎の場合は共通の錯誤の場合と して考えられ、客観的基礎の脱落の場合には契約基礎の脱落の見地の下に後発履行不能と共通する。オーストリヤ民 法も少なくとも主観的基礎、客観的基礎の区別に密接に関係する個別的と類型的要件の区別を認め.スイス民法もこ        ︵ま︶ の二つの類別に属する卦篇芝明瞭に区別する.  当事者双方にとり行為の基礎となる事惜について同様に当事者に錯誤があることの危険は双方が平等に負担しなけ ればならない。法はこのレ合を特別と考えず.規定もしない、両当事者のために行為墓礎をなす事情に関しての双方 の錯誤は一方にのみ存する動機錯誤と本質的に区分きれ.従って特別の規定を要する。この規定を欠くのは法の欠陥       ︵2︶ であり、このような欠陥に主観的行為基礎論が現出すると考えられる。この主観的基礎は確定的と考えられる将来の 事情についての双方の期待又は一定の事情の継続も含み、錯誤の本来の意味では一定の結果の将来の発生についての       ︵3︶ 単なる期待又は存在する事実の継続の積極的期待は主観的基礎に入るか否かは疑閥であるが、このように解する。こ のような見解によると、主観的行為基礎は次の如く理解できる。契約締結の際に当事者が支配されている当事者の共 通の観念又は期待である。両当事者がこの観念又は期待を熟慮してもち、それが不当なことを知るときは契約を締結 せず又はこの如き内容を以っては締結しないか又は相手方に誠実に履行を要求しないであろうことが必要である。契 約関係の単に将来の変更の期待できないことでは十分ではないし、たとえ他方の当事者が認識し異議を述べなかった

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       ︵4︶ としても、一方の当事者のみの動機では十分ではない。また客観的行為基礎は次の如く理解できる。契約が、両契約当 事者の意図する意味で、意義ある規範として存在しうるためには、客観的に存立又は存続することを必要とするすべ ての事情である。この客観的行為基礎は特に次の場合に欠ける。契約関係の予見しえない変更により当事者の義務が 重大な不均衡と推測されるとき︵甚々しい等価関係の蝿乱︶と契約内容として一応表示され、両当事者が認識してい る重要な契約目的が、履行自体が不可能となったのではなくても、一時的にではなく到達不可能となったとき︵目的 挫折︶である。しかし契約にとって重要な関係の変更は、それが予見可能であるか、契約の性質により︵例えば投機 契約︶不利益を受ける当事者が負うべき危険に属するか、その理由が個人的なものか、または不利益を受ける当事者        ︵5︶ が遅滞の状態にあるようなときは考慮されない。このような要件を備えるときは契約を解除しうることになる。行為 基礎論の重要な問題は法律行為と事実の関係に関する。すべての法律行為は事実に関係し、これは法律行為と事実と の関係が不当であるか、または事実が法律行為の締結後に変更となり、すなわちその法律行為が目的としていた事実        ︵6︶ と異る場合に、法律行為の規定に如何なる影響を及ぼすかの問題であるとする説がある。  この問題は錯誤に関係するので、我が国の判例について考察してみる。  経営の破綻を来した企業の再建の援助として、甲に乙は一定額の定期預金をし、甲はこの定期預金を見返りとして、 丙に営業資金を融資して、この再建融資を担保するために丁は丙のために根抵当権を設定するとの再建計画案を樹立 したが、さらに、別の融資を含めて根抵当権設定の登記手続がなされた。しかし見返りとしての定期預金が得られない ために再建融資ができなくなったので根抵当権設定契約はその目的を失うことになった。このような事件に対してこ     東洋 法学      九

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    契約目的と債務関係       一〇 の判例は﹁本件根抵当権設定契約は右各債務を担保する二個の目的を有していたものというべきであり、その一つの 目的について原判示のような錯誤があったとしても、そのために他の目的をも達成できなくなるものでないかぎり、 本件根抵当権護瓦契約の全部が無効となるものではないと解すべきである。けだし、契約の当事者は特別の事情がな いかぎり、契約の覆的達成を意図するものであるから、契約の一部の目的について無効原因が存在する場合であって も.乱の部寿磁除いてなお当事者の意図した蔭的の達成が可能であるときは、該契約を右欝的の達成が可能な範闘で        ハ7︶ 膏むとすることが、塑勲当事者の意思に合致し.公平の原則にもかなうものというべきだからである.﹂としている. この事件は抵当権乏定菰認手続のなされる当時はすで鑑再違融資の実現が出来ないことが確定していたが、この事実 を知らずに轍のザ護融資の担保︾隣的とする抵当権護定契約に同意したもので、錯誤により燕効となるということが できる。この上貴審判決に対して原審判決も﹁本件根抵当権設定の騒的は丙に二千万円の新規融資を得させることに あり、若し右新規融資が得られなければ、丁において本件根抵当権の設定に応じなかったであろうことは甲において も十分了承していたものと認められるから、右根抵当権設定の目的は特に設定契約において明示されていないとして も右契約の重要な内,合として互に了解していたものということができ、そうすると、乙の再建計画不承認により右新 規融資が実行不可能となった以上本件根抵当権設定の目的は失われたものというべきであり、これを知らないで根抵 当権の設定に応じた丁には法律行為の要素に錯誤があったものと解するのが相当で.本件根抵当権の設定契約は錯誤       ︵8︶ にもとずき無効というべきである﹂として、要素の錯誤を認めている。根抵当権設定契約締結当時に新規融資がなさ れ.これを担保の目的とすることは当事者双方が知って居り、当事者の共通の観念である。これはいわゆる主観的基

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礎と考えられる。このために民法上錯誤による無効と認めることができる。  但しこの判例は新規融資計画の担保契約としては無効であるが、法律行為の一部が無効な場合に全部の無効をきた すかどうかは意思表示解釈の問題であり、無効な部分を合理的な内容に改造しこの合理的な内容を強制することが当        ︵9︶ 事者の目的に明らかに反する場合にだけ、全部を無効とすべきとする一部無効の法理により、別の債権担保を目的と する範囲で根抵当権設定契約の効力を維持すべきであるとしている。  またこの根抵当権設定契約締結の当時には再建融資計画が存在し当事者もこの融資を被担保債権とすることを目的 として根抵当権設定契約を締結したが、その後の事情によりこの再建融資が実行不可能となったときには、この契約 はその目的を達成することができなくなる。この場合は当事者の目的の達成することのできないのは普通には表示の       ︵鎗︶ 内容と内心の意思の不一致とか観念と事実の不一致と定義される錯誤とは意味が異るものである。しかし、主観的行 為基礎に当事者が契約締結当時に有していた共通の観念と期待を含むと解するならば、この場合も錯誤として取扱う ことができるであろう。  さらに、この根抵当権設定契約の締結により当事者の目的としている再建融資の実行とそれによる債務の担保とい う事情は当事者双方の意図として客観的に存立又は存続することを必要とする事情であり、客観的行為基礎と考える ことができる。そしてこのような事情が予見しえないような変更により契約農的が達成せられなくなったとして契約 の効力を維持せしめるべきではないと考えることもできよう。本事件に於ては他にも担保すべき被担保債権を目的と しているので、前述したような理由により再建融資のための根抵当権設定契約は無効となっても、他の融資の担保の     東洋 法学      二

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    契約目的と債務関係       一二 目的が認められているときはその限度で契約の一部の効力を維持することも可能となる。動機をも含めて表示きれた       ︵難︶ ことから推断されるところと、表意者の意図のどこかにくい違いがあれば錯誤であるという見解がこの場合参考とな るであろうQ ︵i︶ ︵2︶ ︵3︶ ︵塩︶ ハ5︶ ︵6︶ ︵7︶ ︵8︶ ︵9︶ ︵鉛︶ ︵慧︶ 溝鋤瓢ゼ巽霧斜の霧畠総帥薦種〆欝鰹姦⑦麟欝餌く翰艀伽盤露津囲囲§鱗お8廼G な﹂講。 團鐙瓢軒舞欝騨詑蒔難霧ぎ緯瞳縣鵡階韓⇔齢織む 票魯韓爾鵠錠薦懸難鍵難囲嚢騨鐸婦霧碧 図鑓囲囲舞鶯慈廓蟄 欝 ○こ 播鵯臆斡認轡 潔欝回囲鶴霧膿鉾鵜翫⇔籔欝鵯慧欝傷鮮鷺綴雛急く禽終羅鷺講晦聾鰹麟喚鐙総聯も 嚢慶箭野 澱鵯瞬轡舞Φ欝嚇欝欝9鼎撫 導轟o Q弾 壌鎌強講噂欝融幽雛器轡驚欝も 鴨鴨蓉ざ難費搭鱗騨撫 鵬㌦お麟 最蕎判.昭和四七年一二月榊九醸.民集二六巻一〇号.一九七〇頁. 同判例上告理由.前掲.一九七六頁。 我妻栄著.新訂民法総則.二五八頁。 鳩山秀夫著.民法総則.繍九七頁。我妻栄著.前掲.二九五頁。 我妻栄著.前掲、二九八頁。 な嚢 晶総膨        三、契約責任と債務不履行  ドイツ民法は可能な履行の障害となる多くの場合のうち履行不能のみを規定する。ドイツ民法二七五条は債務者は 履行が全く不可能になったときのみ履行義務から免れるとの言葉ですべての場合を規律している。しかしドイッ民法

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の発効後固有の履行不能の場合以外にも、信義誠実の原則上その履行の提供がもはや債務者に期待しえぬということ により債務者に履行が困難である多くの場合が現れた。単なる履行の困難なために債務を免れる場合について行為基       ︵1︶ 礎の脱落の概念が以前から示された。  民法は履行不能の場合には債務者の責に帰すべき事由を要件としているが、債務不履行の一般的な場合には主観的 要件を規定していない。しかし民法は過失責任の原則に基づくことより、学説判例ともに一般に債務不履行には債務 者の責に帰すべき事由を要件として認めている。債務不履行責任が故意過失を要件とすることは債務者が主体的な意       ︵2︶ 思能力つまり行為の責任を弁識するにたる知能︵民法七三条︶を有することを前提とする。さらに意思能力は債務不 履行の責任の過失という問題のみならず民法上は法律行為の効力の問題にも重要な関係を有する。  契約の当事者が契約より生じた義務に故意過失的に違反する場合には民法上の責任が存在する。更に不法行為の場 合も同様である。これは通常、人が自己と契約関係にない他人に有責的にすなわち故意過失にょり損害を加える点に 成立する。この場合に行為者は民法刑法行政法特に警察法規にも違反し、また他人の生活利益の損害を避止すべきこ とを要求する不文法にも違反することになる。それ故に責任の概念は刑法のみならず民法上の重要な領域で認められ る。基本的には一般に同一である。本能的利已心に接近する故意的意思状態または過失と呼ぶ義務に合致する状態の 癬怠を含む意思決定上の自己放任である。民法は刑法よりも広い範囲の行為を有責的と見る。それは公法上の利益を も侵害する故意過失の加害行為が刑法上重要であるからである。そこで契約違反はたしかに民法上の行為であるが、 しかし可罰性ではない。そして不法行為については可罰的な行為のみでなく人に有責的に加害される多くの行為もこ

    東洋法学      

ニニ

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    契約目的と債務関係       一四 の申に入る。例えば物件鍛損行為は故意に行れる場合のみ可罰的となる。これに反し過失的穀損行為も民法上の不法     ︵3︶ 行為となる。  民法上も債務不履行と不法行為を違法行為として通常考えられているが、これについては不法行為に内在する違法 性と債務不履行に於て内在する違法性とは全く同一に論ずべきものであって、違法という観念は、法に違背するとい        ︵4︶ うことを意味するという考え方も成り立ち得る。過失的行為は民法上の不法行為となり他の多くの場合は刑法上の意 昧を総たぬが.この燃合は注誉.霧細の維持の不十分な君禽である.そして民法上は判断能力が.刑法上は.頁任能力が 責任の基礎となり、民法上判断能力の問題は不法行為や契約慈反の場合のみならず.特に法律行為の効力にも重要で ある。また民法撫刑法の本質的な区別は権利μ絡の効果である。刑法にあっては国家が被欝者に判決によ蔭刑罰とい う藷を加えるやしかし民法は違反者に害を加えるのではなく、加害者に自己が被害者に加えた損害の賠擬と加えられ        ︵5︶ た実質上の不利益のための回復の判決がなされることにより法的不利益の侵害が補償される.  契約違反の過失責任は契約違反以外の過失蓬任とその要件を一部共通にする。第一の前提は損害であり.責任原因 と損害の間の因果関係も存在しなければならない。契約侵害が違法性にかわる。契約は当事者間に法を創造するから       ︵6︶ 違法性は契約侵害の中に在ると盗蕎うことができる。  仁務不履行と不法行為の違法性を考えてみると.一般にはすべての人は他人の生命身体健康自宙所有権その他の権 利を侵害しない、保護法規に違反しないそして公序良俗違反により故意に他人に損害を加えない不法行為上の義務を 負う。勿論この義務が契約により内容的に強化され拡張きれ形成されうるか否かは疑閥である。この枠内のすべての

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研究の出発点は不法行為法の義務は一結果の回避を目的とし従って内容的には専ら結果の関係により定めらされると いうことの確認である。このためそこで規定される法的利益または権利の一つの常に生ずるすべての侵害は不法行為 法規の基礎となる義務に違反するものである。これに反し契約義務の中に含まれるたとえ條項には規定はなくてもそ の効果として単にあらわされる債務関係の命令が義務である。その限りでは不法行為上の義務は契約上の行為義務に よる内容的拡張には全く適しない。従って契約は契約当事者に当事者の法的利益または権利の対象に特別の注意と管 理を与えしめるよう義務づけるが、それは不法行為上の命令禁止が行わせるものに対し同量のものを要求するもので なく、全く異ったものを要求する。このためこの異質のものは契約の影響の下で不法行為法からは引き出しえない。 何故なら不法行為法上は如何なる者も特定の状態に適した行為やまた他人の法的利益や権利対象の注意深い取引に義 務づけることはない。  この内容的な異質のために契約法上の義務と不法行為法上の義務との関係は量の多少として特徴づけることはでき ないし、同様の理由から不法行為法上の不可侵義務の契約による内容の強化、具体化、拡張、形成ということもでき ない。一般的義務と契約上の義務の間の内容的類似を全く認めないということとこれに条件づけられる一方の他方へ の拡張の不可能ということは、契約当事者は自己の契約上の債務の履行をしないときは不法行為上避けるべき効果の 発生を実現するのでなく、専ら契約法により責任を負担するということが妥当し、これに反し権利または法的利益の        ︵7︶ 侵害を欠くから不法行為の規定によっても責任は生じない。不法行為と債務不履行を性質上目一と見る見解は、対物 権に於て予想される第三者の不可侵義務の違反も、対人権に於てみとめられる債務者の債務の履行義務の違反も、す

    東洋法学       一五

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    契約目的と債務関係       一六 べて違法的なものであるが故に同一の性質を有するものであり、両者の間に性質上何等差異をみいだすことができな        ︵8︶ いとの立場に立つことになる。また、契約法上の安全義務違反による損害賠償請求権と不法行為による損害賠償請求 権の共通の要件の一つとして客観的義務違反をあげ、この義務は不法行為の塔合も契約法上の義務も性質上は差異は なく、内容上契約法上の安全義務は、必ずしも不法行為上の一般的法義務そのままではなく.爵、れが契約の類型と個 別的合意によって変容を受けたものでありえ、契約法上の安全義務の、不法行為法上の一般的義務に対する関係は、 特殊と一般であ参.現実的論求権規億における客観的義務違反の要件には、原則として、不法行為法上の一般的法義        ︵§︶ 務の契機苞含するところの契約法上の安全義務が充てられるとする説がある。  違法行為としての責任発生原因である債務不履行と不法行為には過失責任の原則により故意過失が、受求される。判 例上は両者の場合に挙証責任の取扱に差異を認めているが、これは、不法行為が市民としての一般的注意義務の雇反 であるのに対し、債務不履行が履行すべき債務を本来負っている者の具体的注意義務違反であるということに基づく       ︵麺︶ 相違であるとされている。債務不履行の責任の発生する要件としての債務者の責に帰すべき事由は債務者の故意過失       ︵∬︶ または信義則上これと同視すべき事由と解することができる。このような違法行為に対して損害賠償責任の発生する のは.その加害行為を非難することである。すなわちこのような加害行為をなすこと.または履行義務に反すること は、他人の利益を侵害しないように注意をなすべき義務の違反であるという理由によって非難するのである。そこで 過失が何かということを知るためには、人は私法生活上如何なる注意をしなければならない義務があるかを知ること       ︵捻︶ であり、その注意義務違反があるときに過失があるということになるのである。土地賃貸借契約上の債務者である賃

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貸人は賃借人にこの土地を使用収益させるべき義務を負担するが、この土地が二重に賃貸されると、対抗要件を欠く 賃貸人に対してはこの土地を使用収益させるべき債務が履行不能となる。この履行不能は債務者の責に帰すべき事由 によると通常は老えられる。しかしこのような場合にも債務者の責に帰すべき事由が認められない場合がある。土地 の賃借人がこの土地上に所有する建物に抵当権を設定するときは、抵当権の効力は賃借権にも及び、従って建物につ いて抵当権設定登記がなされると抵当権の効力が賃借権にも及び対抗力を生ずるが、 ﹁右抵当権設定登記後の土地賃 借権の譲受人は、対抗力ある抵当権の負担のついた賃借権を取得するにすぎないのであるから、右抵当権の実行によ る競売の競落人に対する関係においては、競落人が競落によって建物の所有権とともに当該土地の賃借権を取得した ときは、賃借権を衷失するに至るものというべきであり、さらに、競落人が右競落による賃借権の取得につき賃貸人 の承諾を得たときには、右譲受人は、賃貸人との関係においてもまた賃借人としての地位を失い、賃貸借関係から離 脱するに至るものと解するのが相当であって、賃貸人と譲受人及び競落人との問に二重賃貸借の関係を生ずるもので はない。以後、賃貸人は譲受人に対して当該土地を使用収益させるべき義務を負わないのであるから、その履行不能 を論ずる余地はないのである。⋮⋮賃貸人は、譲受人に対し賃借権の譲受を承諾したからといって、そのために競落 人への賃借権の移転を承諾してはならない義務を負うことになるとは解せられず、前述のように賃貸人が競落人に対 し賃借権の移転を承諾したことにともない譲受人が賃借人としての地位を失う結果となっても、それはもともと譲受 人の取得した賃借権の付着していた抵当権の負担が具体化したことによるものにすぎないのであって、これをもって        ︵欝︶ 賃貸人の責に帰すべき事由によるものとすることはできない﹂として賃貸借契約上の債務不履行責任を否定した最近     東洋 法学       一七

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     契約目的と債務関係 の判例がある。 ︵王︶ ︵2︶ ︵3︶ ︵屡︶ ︵嬰︶ ︵惑︶ ︵7︶ ︵8︶ ︵襲︶ ︵鎗︶ ︵慧︶ ︵⑫︶ ︵B︶  法律行為の目的とは行為者がこれによって達しようとした効果であり、 内容によって定まる。 律行為の解釈とはこの表示行為の有する意味を明らかにすることであると考えられる。 一八 くo涛鶏団欝欝窪⇔︸どの讐ゆ島謎雰畿の<R搾簿αqの妓添儀ω象甑象Φoぼω馴お謡.ω嘩倉S 於保不二雄著.債権総論.八七頁。 燐麟霧ご ご貯号び麟⇔ご答霧総鋳蒔ぎ搾ぎ模箸ぎ一〇臓ω畠⑳び霧饗海9甑。 。簿段綴欝鎌置瓢ω臨。 。畠巽餓畠辞お簿。も っ。8許 石本雅男著.不法行為論.九三頁。 綴懸器蟹聯瓢灘脳轡轡Oこ 韓繋恥 覆艶鶏澱膿野塁瓢駄愚融鮮凱羅噂甑薫欝糞困糾遍総欝幹繋響 詑晦慈蜘麟蕊欝凸ぴ雛器頬騰臨闘総鑓綻畷懲く灘轡欝α職む 絵ー鍛欝蜘⇔瓢鋳欝態魯絆搭凝︾蘇 礫減謡ゆ 石本雅男著.前掲.一〇〇頁。 四鷲和夫.法学協会雑誌.九鱗巻二号.一五八六頁。 藪重夫.契約責任と不法行為責任.契約法大系1.一五六頁。 我妻栄著.債権総論.一〇五頁。 石本雅男、総合判例研究叢書.民法㈲.八頁。 最高判.昭和五二年三月二鶏.民集三一巻二号.一七六頁。   四、契約の解釈       結局は意思表示の目的すなわち効果意思の      そして意思表示ないし法律行為によって欲せられる効果は表示行為により決定されるから、法       ︵1︶        そして契約は申込の表示行為

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とこの申込の表示行為に関する承諾の表示行為により、従って受領を必要とする法律行為的表示行為で一定の意味 をもつ表示行為により成立する。このような表示行為の解釈と区別すべき契約の解釈は契約がこの契約を組成する意       ︵2︶ 思表示と異るものであるときのみに存在する。他の場合には契約の解釈は契約を組成する意思表示と一致する。しか も、契約はこれを組成する意思表示以上のもの、すなわち契約の内容、臥的ということを考えて契約を解釈するとい う見方も成り立ちうるのである。  契約の解釈は申込の意思表示は如何なる内容をもつか、そして承諾の意思表示はこの申込を承諾する内容をもつか を確定することを目的とする。契約の解釈は一定の受領を必要とする意思表示すなわち契約の組成要素である法律行        ︵3︶ 為的意思表示の解釈である。このような契約の解釈の基準としてドイッ民法一五七条は契約は取引の慣行を考慮し て、信義誠実の原則に従って解釈しなければならないことを規定している。我が民法上も契約の解釈はこの原則に従 うことを要求される。信義誠実の原則は民法一条二項により権利の行使、義務の履行の基準とされているが、しかし 契約の意味内容を確定するその解釈にも重要な基準となることは当然である。法律行為の解釈の一般的な基準は民法 九二条の規定があるが、当事者の企図した目的も解釈の基準とされ、当該の法律行為によって当事者の達しようとし       ︵4︶ た経済的または社会的目的を捉え、法律行為の全内容をこの目的に適合するように解釈することが必要で蹴る。  金銭債権の担保の目的のために不動産について代物弁済の予約又は売買予約が締結される場含に関する判例が最近 多数存在するが、このような契約の性質及び内容を解釈するにあたり、契約の趣旨目的である金銭債権の担保という 観点より契約の性質内容を解釈し法律関係を確定するのが特色である。     東洋 法学      一九

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    契約目的と債務関係      二〇  金銭債権担保の目的の代物弁済予約等の性質に関しては﹁債権者が、金銭債権の満足を確保するために、債務者と の間にその所有の不動産につき、代物弁済の予約、停止条件付代物弁済又は売買予約により、債務の不履行があった ときは債権者において右不動産の所有権を取得して自己の債権の満足をはかることができる旨を約し、かつ.停止条 件付所有権移転又は所有権移転請求権保全の仮登記をするという法手段がとられた場合において、かかる契約︵以下 仮登記担保契約という︶を締結する趣旨は、債権者が麟的不動産の所有権を取得すること臼体にあるのではなく.当 該不動産の有する金銭的価値に着目し.その価値の実現によ肇て麟己の債権の排他的浦足を魯ることにあり.欝的不 動産の所有権の取得は、かかる金銭的価値の実現の手段にすぎないと考えられる。したがって、このような仮登記担 保契約に基づく涙律関係︵以下仮登記担保契約という︶の性質及び内容については.右契約締結の趣旨に照らして当 事者の意思を合理的に解釈し.かつ、関連法律制度全般との調和を考慮しながらこれを決定しなければならない。  この見地に立って考えると、仮登記担保関係における権利︵以下仮登記担保権という︶の内容は、当事者が別段の 意思を表示し.かつ.それが諸般の事情に照らして合理的と認められる特別の場合を除いては、仮登記担保契約のと る形式いかんを閥わず.債務者に履行遅滞があった場合に権利者が予約完結の意思を表示し.又は停止条件が成就し たときは、権利者において目的不動産を処分する機能を取得し、これに基づいて、当該不動産を適正に評価された価 額で確定的に自己の所有に帰せしめること︵特段の事情のないかぎり、この方法が原則的な形態であると解される︶ 又は相当の価格で第三者に売却等をすることによって、これを換価処分し、その評価額又は売却代金等︵以下換価金        ︵5︶ という︶から自己の債権の弁済を得ることにあると解するのが.相当である﹂としている。この判例はいわゆる仮登

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記担保権の法律関係の詳細な点をも確定する基本的な問題を含むものであるが、このような契約を右判例の如く解釈 する原則はこれまでに至る過程で多くの判例により形成されて来たものである。例えば﹁代物弁済契約とは、本来の 給付に代えて他の給付をすることにより既存債務を消滅せしめるものであるが、たとえ契約書に特定物件をもって代 物弁済をする旨の記載がなされている場合であってもその実質が本来の代物弁済契約ではなく、単にその形式を借り て目的物件から債権の優先弁済を受けようとしているに過ぎない場合がありうる。︵当裁判所昭和四一年︵オ︶第一 五八号同年九月二九日第一小法廷判決民集二〇巻七号一四〇八頁参照︶ことに、貸金債権担保のために不動産に抵当 権を設定し、これに併せて該不動産につき停止条件付代物弁済契約または代物弁済の予約を締結した形式が採られて いる場合で、契約時における当該不動産の価額と弁済期までの元利金額とが合理的均衡を失するような場合には、特 別な事情のないかぎり、債務者が弁済期に弁済しないときは債権者において目的物件を換価処分し、これにより得た 金品から債権の優先弁済を受け、もし換価金額が元利金を超えれば、その超過分はこれを債務者に返還する趣旨であ ると解するのが相当である。そしてこのような場合には、代物弁済の形式がとられていても、その実質は担保権と同 視すべきものである︵当裁判所昭和三九年︵オ︶第四四〇号同四一年民集二〇巻四号九〇〇頁参照四月二八日第一小 法廷判決︶。すなわち、この場合は、特定物件の所有権を移転することによって既存債務を消滅せしめる本来の代物 弁済とは全く性質を異にするものであり、停止条件成就ないし予約完結後であっても、換価処分前には債務者は債務 を弁済して目的物件を取り戻しうるのである。−⋮原審としては、代物弁済なる文字に拘泥することなく、すべから く、この観点に立って、その性質を明らかにすべきであったのである︵上告人は、原審において、本件物件につき     東洋 法 学       一二

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    契約目的と債務関係      二二 停止条件附代物弁済が結ばれたことを認めているが、ここで取り上げているのは契約の解釈についての法律上の問題 であり、かりにその点についてまで当事者間で見解の合致があるとしても、裁判所がこれと異なる法律判断をするこ       ︵6︶ との妨げとなるものではないのである。ととしている。また最近の判例も.売買予約が金銭債権の満足を確保するこ とを目的とするいわゆる仮登記担保契約である場合にはこの契約の締結される趣旨は、目的不動産の所有権の取得自 体ではなく、この不動産の有する金銭的価値実現により債権者が排他的満足熟付ることにあることより、 ﹁債権者に おいて蓄算金を支払う必要があり、その支払に関し叙上の同時履行口係が認められるべき所有権移転予約形式の仮登 記墾保契約において、債権者が債務冒の履行遅禰を理由として単に予約完結の煮思捻表示したというだけでは謬的不 動藤の所有権が債権者に移転するものではないと解するのが、前記のような仮、記担県震約締結の趣旨に照らし、当        ︵7︶ 事者の意思の合理的解釈として、相当である﹂としている。  儒義則に基づき契約の解釈がなされ当華者間に権利義務が確定されることは契約の解釈にとっても重要なことであ る。債権者に信義則上の引取義務を認めた判例は﹁被上告人は上告人に対し右鉱石を継続的に供給すべきものなので あるから、信義則に照らして考察するときは、被上告人は、右約旨に基づいて、その採掘した鉱石全部を順次上告人 に出荷すべく、上告人はこれを引き取り、かつ、その代金を支払うべき法律関係が存在していたものと解するのが相    ︵8︶ 当である。﹂としている。  当事者の意思の合致する契約の決定の範囲が表示行為から明瞭に確定し得ずまたはその決定が必要とする点特に当 事者が現在ついている地位も当事者が考えていないため、契約に不備のある場合がありうる。このような不備が、契

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約により決定された規範を当事者により承認される評価基準に基づき、契約目的と全体の利益を考慮して論理的に 思考し、従って不完全な規範を一定の要件と意味連関から補充する方法により推論されないか否かの問題がある。こ       ︵9︶ れがいわゆる補充的契約解釈の任務である。当事者力之二依ル意思ヲ有セルモノト認ムベキトキハ其慣習二従ウとす       ︵憩︶ る九二条は、慣習規範によって法律行為の効果を補充すべき旨を規定すると考えられ、補充的解釈を、法秩序に照ら し、ある意思表示に対し当事者が附与したかどうか不明な意昧を附与したり、あるいは、ある意思表示によって形成       ︵饗 されなかった法律関係を補充する作業であるとの見解がある。また前記判例に関して、買取義務を、締約上の義務と して明瞭に特約していないため、信義上の引取義務を認め、それによって契約内容を補充解釈しなければならないと   ︵把 する説がある。 ︵1︶ ︵2︶ ︵3︶ ︵4︶ ︵5︶ ︵6︶ ︵7︶ ︵8︶ ︵9︶ ︵沁︶ 我妻栄著、民法総則、二四九頁。 90霞一3霞鼻魯90竃①夢&窪伽段︾霧一〇αq瓢づ鐙労①9什ωαq霧畠鎌象畠R響一低餌矩pαqΦP ご一9訟oげじ ご一〇閥Φど効●勲○。ψ一8● 我妻栄著、前掲二五〇頁。 最高判、昭和四九年一〇月二三日、民集二八巻七号、一四八○頁。 最高判、昭和四二年二月一六日、民集二一巻九号、二四三〇頁。 最高判、昭和五〇年七月一七日、民集二九巻六号、一〇八四頁。 最高判、昭和四六年一二月一六日、民集二五巻九号、一四七二頁。 沢鶏一一践窪辞≧薗o簿①ぎo同↓o出8ωU①旨ω魯窪¢ ご費αq①岳畠Φ⇒勾①oぼ幹お①評ω。9⑲. 川島武宜著、民法総則、二五〇頁。

東洋 法学

一零ρo o◆一〇駅● 二三

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︵鍍︶ ︵⑫︶ 契約目的と債務関係 石田穰、法学協会雑誌、 遠田新一.民商法雑誌、 九三巻一号、 六七巻四号、 一四頁。 五八六頁。 二四 五、契約の解除  藏的到達のための制度として.作用の統一体としての契約はその飛行を目的とし.それによ鯵通常終了する。統計 的にみるとほとんどすべての罫合がそうである。しかしこれ以外に、目的が到達されえず、麟的到達に障害がありま たは契約の留保により一方当事者が解消を欲するような多くの場合がある。このような場合にも契約は終了すべきで ある、この障害の野合が民法の重要な任務となる、何故ならこのような場合当事者により期待されまたは事実上なさ       ︵i︶ れた合意が通常十分でないからである。通常の履行以外に契約の終了の場合のために解除がある。民法も解除権留保 と債務不履行の場合の契約解除を規定している。この場合解除は履行に対して、障害ある契約の当事者間の利益の調 整のための必要可能な統一的借置の総括と解される。解除は障害の種類により極めて多面的に行れるが、常に契約に       ︵2︶ より生ずる地位を終了させる目的をもっている。  解除は多胸関係を終了させる手段であり、債務者の債務不履行により契約の麟的の達せられない場合には法定の解 除が認められる。しかし継続的に契約関係が存続する不動産賃貸借契約の埆合には債務者の行為が債務不履行、その 他の場合となってもこれが甚々しい背信行為とならないときは解除を認めないのが判例上の原則である。このような 原則に基づく判例は最近多数にのぼる。

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 この原則が認められたのは賃借権の無断譲渡または無断転貸に関するもので民法六一二条一項には賃借人ハ賃貸人 ノ承諾アルニ非ザレバ其権利ヲ譲渡シ又ハ賃借物ヲ転貸スルコトヲ得スと規定し、二項は賃借人力前項ノ規定二反シ 第三者ヲシテ賃借物ノ使用又ハ収益ヲ為サシメタルトキハ賃貸人ハ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得としている。この規定 によれば、賃借人は賃貸人に無断で賃借物を第三者に使用収益させることにより賃貸人は契約を解除しうることにな るが、判例はこのような事実のみでは解除を認めない。判例は﹁元来民法六二一条は、賃貸借が当事者の個人的信頼 を基礎とする継続的法律関係であることにかんがみ、賃借人は賃貸人の承諾がなければ第三者に賃借権を譲渡し又は 転貸することを得ないものとすると同時に、賃借人がもし賃貸人の承諾なくして第三者をして賃借物の使用収益を為 さしめたときは、賃貸借関係を継続するに堪えない背信的所為があったものとして、賃貸人において一方的に賃貸借 関係を終止せしめ得ることを規定したものと解すべきである。したがって、賃借人の承諾なく第三者をして賃借物の 使用収益を為さしめた場合においても、賃借人の当該行為が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事        ︵3︶ 情がある場合においては、同条の解除権は発生しないものと解するを相当とする﹂として、このような事情のもとに なされた解除を無効なものとした。  この判例は第六一二条二項の解除を制限する趣旨であり、この判決に至るまでには下級審判決の努力がなされ、そ れには賃借人の行為を譲渡転貸にあたらないとしたり賃貸入の承諾の擬制黙示の承諾の認定、あるいは信義誠実の原 則とか権利濫用禁止の法理とかにより解除権の行使を抑えあるいは無断譲渡、転貸にもかかわらずそれが背信行為に あたらないから解除権は生じないとする方法をとり、第一、第二の方法は六二一条自体が現実の社会的経済的要請と     東 洋 法 学       二五

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    契約目的と債務関係      二六       ︵4︶ 矛盾するので十分ではなく本判決が正当であるとする見方がある。  共同経営契約により家屋の一部を無断賃貸した場合にも﹁店舗用家屋の賃借人が賃貸人の承諾を得ないでこれを転 貸した場合に、右転貸が賃借人との共同経営契約に基づくもので、転貸部分は家屋のごく一小部分に過ぎず、右共同 経宮のために据え付けられた機械は移動式で家屋の構造には殆んど影響なく、その取除きも容易であり、しかも転借 人は右家屋に屠住するものでないこと、また、家屋の所有権ぱ賃貸入にあるが.その建築警用、増改禦貴用、修繕潔 用等の大部分は賃貸人が負担し、その上、寮借入は多畷の権利金を徴しず・いること等の事情があるときは.右転貸は 賃借人に対する背信行為と認めるに足りない特段の亨痘があるものであり、賃貸人のした契約解除は無効と解すべき   ︵5︶ である﹂とするものがあり.他にもこのような判例に基づき無断転貸の行為を背信行為ではないとする判例が幾つか ある。  不動産賃貸借の解除の場合には債務者の行為が甚々しい背信行為になるか否かがその基準となるが無断賃貸等の六 一二条違反の場合にこれを認めるのが判例の態度である。  借家人の無断増築が著しい背信行為となり賃貸借契約の解除された例がある。家屋の賃借人がその敷地のみならず 賃貸人の隣接所有地に無断増築した場合に、 ﹁建物の賃借人は賃貸人の所有にかかる敷地又はこれに接続する賃貸人 所有地上に賃貸人に無断で建物を建築し得ないとした原判決の判断は、正当であり、本件無断建築にかかる建物の建 坪が約六坪であることを考え併せて、右無断建築行為を以て賃貸人の信頼を裏切り本件建物賃貸借の継続を著しく困 難ならしめる不信行為と解するを妨げないとし、該不信行為のあったことを理由とする被上告人の上告人に対する賃

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       ︵6︶ 貸借解除の意思表示を有効とした原審判断は首肯できる﹂としている。  また賃借建物の無断増築の場合でも﹁右増築部分は、賃借建物の構造を変更せずしてこれに附属せしめられた一日       ︵7︶ で撤去できる程度の仮建築であって、賃借建物の利用を増加こそすれその効用を害するものでなく﹂の如きは背信行 為とならず、この解除を認めないものである。  民法六二一条二項の場合のほかでも借賃不払、用方違反、保管義務違反というような義務違反が賃借人にあること        論8︶ によって賃貸人が解除をなしうることは一般に承認されているが、このような賃借人の義務違反の場合に、賃貸借が 継続中に当事者の一方にその義務に違反し信頼関係を裏切って賃貸借関係の継続を著しく困難ならしめたような不信        ︵9︶ 行為のあった場合には判例は民法五四一条の催告なしに解除を認めている。建物賃貸人と賃借人の間に多数の店舗賃 借人のための秩序維持の特約がある場合にそれに違反する賃借人の行為が賃貸借契約の基礎である信頼関係を破壊す るものとして賃貸人は催告なしに契約の解除をすることができるとする最近の判例がある。この中で﹁ただ、賃借人 の右特約違反が解除理由となるのは、それが賃料債務のような賃借人固有の債務の債務不履行となるからではなく、 特約に違反することによって賃貸借契約の基礎となる賃貸人、賃借人間の信頼関係が破壊されるからであると考えら れるからである。そうすると、賃借人が右特約違反を理由に賃貸借契約を解除できるのは、賃貸人が特約に違反し、 そのため、右信頼関係が破壊きれるにいたったときに限ると解すべきであり、その解除にあたってはすでに信頼関係       ︵10︶ が破壊されているので、催告を要しないというべきである﹂としている。また不動産賃貸借の信頼とは人的なもので         ︵質︶ はなく即物的なものと解する説がある。     東洋法学      二七

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    契約綴的と債務関係      二八  判例のこのような理論を考えて賃借入の行為のため、賃貸借契約を存続させておくと賃貸人が著しい損害を蒙るの でその存続が賃貸人にとって酷であるような場合を解除原因に加えるべきであり、賃貸借においては、解除権の発生 が制限されるとともに、また解除権発生原因が拡大され、債務不履行にあたるか否か問題である場合でも.賃借人が        ︵鶏︶ 賃貸人に損害を加え、賃貸借の存続が賃貸人にとって酷であるような場合にも解除できると考えることができる。  不動産賃貸借の解昧は通常の契約の債務不履行を理由とする解はの場合とはかなり異った性箕がδノが.民法五四 一条の解除の君合にはその効果として原状回復の義務が規定きれている、  債務不履行による契約解除の場合にも.判例は﹁法律が娯務不履行による契約の解除を認める.畷旨は.契麹の要素 をなす債鰐の履行が嬢いために、該契約をした臼的を達することができない場合を救済するためであり.当事者が契 約をなした目的の達成に必須的でない附随的義務の履行を怠ったに過ぎないような場合には、特段の事情の存しない        ︵籍︶ 限り.相手方は当該契約を解除することができない﹂として、債務者の債務不履行により契約の目的の到達ができな いときのみ解除を認める。  また解除の効果の原状回復義務の内容に関するもので民法五六一条の解除の場合についての最近の判例は﹁売買契 約が解除された場合に、目的物の引渡を受けていた買主は.原状回復義務の内容として、解除までの間目的物を使用 したことによる利益を売主に返還すべき義務を負うものであり.この理は.他人の権利の売買契約において.売主が 目的物の所有権を取得して買主に移転することができず、民法五六一条の規定により該契約が解除きれた場合につい ても同様であると解すべきである。けだし、解除によって売買契約が遡及的に効力を失う結果として、契約当事者に

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該契約に基づく給付がなかったと同一の財産状態を回復させるためには、買主が引渡を受けた目的物を解除するまで の間に使用したことによる利益をも返還させる必要があるのであり、売主が、目的物につき使用権限を取得しえず、 したがって、買主から返還された使用利益を究極的には正当な権利者からの請求により保有しえないこととなる立場       ︵鍛︶ にあったとしても、このことは右結論を左右するものではないと解するのが、相当だからである﹂としている。契約 解除の場合の原状回復義務の内容について参考となるものである。  賃貸借契約の解除に民法五四一条が適用されるか否かの問題については、賃貸借のような本質的に継続的な契約関 係に対しては民法五四一条の適用はなく、組合雇傭委任等と同じく継続的関係そのものの理論の申に解除権の発生原       ︵鴛y、 因を求めて行くべきとする説があり、また、前述のように債務不履行とは別の解除原因と考えて、賃借人の行為のた め、賃貸借契約を存続させておくと賃貸人が著しい損害を蒙るので、その存続が賃貸人にとって酷であるような場合        ︵焔︶ を、解除原因に加えるべきとする説もある。このような説は賃貸借の解除には債務不履行を原因とする民法五四一条 の適用を認めない立場であるが、賃料の不払ばかりでなく、用法違反を理由とする解除にも六二八条の類推適用があ        ︵π︶ るとしてよいであろうとの見解もある。 ︵1︶ ︵2︶ ︵3︶ ︵4︶ ︵5︶ 田磐ωρいoωΦびU霞菊曽鼻鼠簿く舅<o旨鍔ひq︸お誤●ω﹂Oρ 寓鋤pωρい①ωR・鋤如聾○こω﹂○歴 最高判、昭和二八年九月二五日、民集七巻九号、九七九頁。 広中俊雄、判例百選二版、八五頁。 最高判、昭和三六年四月二八日、民集一五巻四号、一二二頁。 東洋 法 学 二九

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︵6︶ ︵7︶ ︵8︶ ︵9︶ ︵鉛︶ ︵廷︶ ︵鴛︶ ︵蔦︶ ︵M︶ ︵欝︶ ︵欝︶ ︵π︶ 契約目的と債務関係 最高判、昭和三八年九月二一日、民集一七巻八号、一〇六九頁。 最高判、昭和三六年七月一二臼、民集一五巻七号.一九三九頁。 広申俊雄、民商法雑誌、四七巻二号、三四二頁。 最蕎判.昭和二七年四月二五日.民集六巻四号、四五一頁。 最高判、昭和五〇年二月二〇臼.民集二九巻二号、一〇二頁。 広申俊雄著.契約法の研究.一〇六頁。 星野英一著.借地・借家法.二顕頁. 最、・賄判.昭和三六年二月一二羅.民集一五臆一〇号.二五〇七頁。 最高判.昭和五一年二月;百.民集三〇巻一号.三頁。 戒能通辛.判例民事法、賑和二年度.一七五頁、 星野製一著.前掲.二四貰燈 来栖三郎著.契約法.三六七頁。 三〇

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