*土木総本部 環境技術部 U.D.C 556.388
酸化剤注入工法を用いた地下水の原位置浄化
柴野 一則
*虫明 晋哉
*伊藤 浩
* 要 約: 揮発性有機化合物による地下水汚染サイトにおいて,浄化対策として原位置分解法の一つである酸化剤の注入工を実施した。本注 入工法は,酸化剤である過硫酸塩を希釈した溶液と触媒(鉄系化合物)を地盤中へ注入し,触媒との反応で生成されたラジカルによ って対象物質である揮発性有機化合物を不安定状態にし,無害な二酸化炭素や塩化ナトリウムに分解するものである。 本報では,観測井戸において浄化期間中の地下水中の VOC 濃度の長期的なモニタリングを行い,薬剤の注入量と浄化特性につい て検討した結果を報告する。 キーワード: 原位置浄化,酸化剤,薬剤注入,地下水浄化 目 次: 1.はじめに 4.結果及び考察 2.工法概要 5.簡易予測 3.浄化方法 6.まとめ 1. はじめに VOC による原位置浄化は,地下水の揚水法,土壌ガス吸引 法,微生物分解法,酸化剤分解法などがある。長期の浄化期間 を確保することが可能であれば,揚水法や微生物法などの低コ ストの工法を採用することが可能となる。しかし,短期間で浄 化という条件においては,一般的に酸化剤注入工法が採用され る。酸化剤による分解は、微生物処理などと比較して、浄化期 間が短く、分解可能な物質が多いなどの長所がある。 本報では,酸化剤による原位置浄化の浄化方法について検討 した結果について報告する。 2. 工法概要 酸化剤注入工法の原理を説明する。酸化剤として使用する過 硫酸塩は,水に溶けると過硫酸イオン(S2082-)になり,これ が鉄触媒により活性化されると硫酸ラジカル(・S0 4-)という 酸化力が強いオキシダントが生成される。硫酸ラジカルは,フ ェントン反応などで生成されるヒドロキシルラジカル(・OH) のような酸化力を保持している。過硫酸塩には,ナトリウム塩, カリウム塩及びアンモニウム塩があるが,化学酸化剤としては 取扱いが容易な過硫酸ナトリウムが汎用的に使用される。 酸化剤工法の概念図を図1 に示す。薬剤注入するための注入 井戸を設置する。本工法の使用薬剤は,触媒(鉄系化合物)と 酸化剤である過硫酸塩を希釈した溶液である。まず,はじめに 触媒溶液を地盤中へ注入し,その1~3 日後,酸化剤を注入す る。この酸化剤は,注入後,浄化対象の範囲に拡散しながら反 応が生ずる。酸化剤より生成した遊離ラジカルがVOC と反応 し,酸化分解する。VOC は,無害な二酸化炭素や塩化ナトリ ウムまでに分解される。なお,土質や有害物質の濃度により注 入井戸の設置するピッチが決定され,概ね2~6m の範囲で設 計する。 注入断面イメージ図 ①酸化剤注入設計 ②触媒剤注入 ③酸化剤注入・拡散 ④ラジカル生成 注入平面イメージ図 図1 酸化剤工法の概念図 東急建設技術研究所報No.37 注入井戸設置 触媒注入 触媒拡散 過硫酸ナトリウム ラジカル生成 2 ~ 6m 2~6m 71 *土木総本部 環境技術部 U.D.C 556.388酸化剤注入工法を用いた地下水の原位置浄化
柴野 一則
*虫明 晋哉
*伊藤 浩
* 71 東急建設技術研究所報No.372)高濃度領域 図5 に高濃度の初期濃度 3.2mg/L における各測定項目の濃 度変化を示す。cis-1,2-DCE 濃度は, 6 クール後には,基準値 以下まで低下した。また,ORP は増加し,pH は酸性領域に シフトする。分解の進行を把握するためには,ORP でのモニ タリングを実施することで,分解状態を判断できる。 図5 浄化試験における各測定値変化(高濃度) 5. 浄化期間の予測 5.1 解析の概要 一般的に予測解析では,地下水流動場の把握が重要となる。 地下水流動の場は,調査から得られた水理構造,水理特性から, 地下水位分布,流向,流速分布を再現できる浸透モデルの構築 を行うため,浸透流解析が用いられる。しかし,地下水流動場 が定常状態と想定し,薬剤注入のモデル化のように極小的に領 域が狭い場合,地下水流動場を考慮せずに酸化剤による分解反 応のみを考慮することとした。浄化期間の予測は,地下水の汚 染物質濃度から原位置浄化試験で求めた酸化剤の分解速度定数 を用いて計算手法の有効性について検討した。 5.2 簡易予測 5.2.1 化学反応モデル 化学反応としては,塩基反応,酸化還元反応,鉱物の溶解・ 沈殿,イオン交換などが考えられる。なお,吸着反応について は,反応が早く化学種間の競合が無い場合は,吸着等温式によ る表現で十分な場合もある。ここでは質量保存に基づき,液相 中の物質輸送方程式 (1)式を用いることとする1)。 ߠሺ߲ܥሻȀ߲ݐ ൌ ߘ ȉ ሺߠܦߘܥሻ െ ݍ ȉ ߘܥെ ߠܴ - (1) ݆ ൌ ͳǡ ʹǡ ڮ ǡ ܰୡ ここで,t は時間(s),j は主成分の数,Cjは液相中の総濃度, θは体積含水率,D は分散係数テンソル,q はダルシー流速ベ クトル(m/s),Rjは反応による生成消滅項である。 酸化還元反応では,電子を仮想化学種として取扱う。簡易予 測では,地下水流動の場を考慮しないため,ここに示す移流・ 分散の項については,省略すると(2)式のようになる。C0は, 液相中の対象物質の初期濃度である。 ߠ߲ܥ௧Ȁ߲ݐ ൌ ߠܥെ ߠܴ - (2) 5.2.2 分解量 Monod 式は,通常微生物の酵素の触媒反応による分解量を 表すことができる。また,分解に寄与する物質に対しても利用 されることがある。酸化剤の濃度による分解反応は、不可逆反 応であるため、Monod 式の(3)式が成立する。k は反応速度定 数(1/s),Xは酸化剤濃度(g/cm3),Kmは反飽和定数(g/cm3)であ る。 そこで,分解量 Rj (g/cm3 /s)は,酸化剤の濃度を用いて Monod 式により求めることとした。 ܴൌ ݇ܺȀሺܭ ܥሻ - (3) 5.3 浄化期間予測結果 浄化試験より算出した反応速度定数を用いて浄化予測曲線を 求めた。原位置で計測した事例として実測値と予測曲線を図6, 図7 に示す。 低濃度領域の場合,1 クールの酸化剤注入後、リバウンドに よる濃度上昇が確認されており、予測値と異なる。浄化期間は, 実測値で約40 日であり,浄化予測曲線では,約 50 日後に基 準値以下となる。浄化期間の予測は、概ね整合している。 図6 浄化予測曲線(低濃度 0.13mg/l) -100 0 100 200 300 400 500 600 700 0.001 0.01 0.1 1 10 6/29 7/13 7/27 8/10 8/24 9/7 9/21 10/5 10/19 11/2 11/16 11/30 12/14 cis-DCE pH ORP cis-DCE環境基準値 cis-DCE [mg/L] ORP [mV] pH [-] 8 7 6 5 4 3 11 10 9 第 1 ク ール 注 入 ↓ 第 2 ク ール 注 入 ↓ 第 3 ク ール 注 入 ↓ 第 4 ク ール 注 入 ↓ 第 5 ク ール 注 入 ↓ 第 6 ク ール 注 入 ↓ 第 7 ク ール 注 入 ↓ SPS注入 浄化確認 0.001 0.01 0.1 1 10 0 50 100 ci s‐ 1, 2‐ D CE Co nc en tr at io n (m g/ l) Time(Day) 実測値 予測値 基準値 73 3. 浄化方法 3.1 試験方法 3.1.1 地下水汚染状況 本対象地の VOC(トリクロロエチレン,シス-1,2‐ジクロ ロエチレン)を浄化対象とした。表 1 及び図 2 に示すように 代表的な地質構成は,埋土層及び地山層(砂礫層・砂層)であ った。VOC は,帯水層 GL-6m~GL-12m)に存在した。工事 着手前に行った調査結果を基に汚染範囲を推定するため,調査 地点を設定し,ボーリングによる調査を行った。地下水試料は, 対象物質の分析を行った。分析方法は,公定法分析と調査結果 を早期把握するため,現地での簡易分析(PID 分析)を併用 した。 3.1.2 注入井戸設置 注入井戸の基本構造を図3 に示す。浄化試験前に原位置の注 入試験を行い,その結果,薬剤注入井戸は,埋土部(GL-9m 以浅)は,2mピッチに,砂礫・砂層(GL-9m~19m)につい ては,4mピッチで設置した。 3.1.3 注入量 地下水汚染範囲の約100 ㎡毎に薬剤注入量を算定し,設計 の薬剤量(触媒:約 50kg~80kg/箇所,酸化剤:約 200kg~ 250kg/ 箇所)を注入圧 100kN/m2で4 回~6 回注入した。 3.1.4 注入作業 薬剤の注入作業は,まず注入井戸より触媒を所定量注入し, 1日放置後,酸化剤を同井戸から注入し,2 週間養生(反応) させた。酸化剤の反応は,約7 日間で急激に反応し,その後, 14 日間程度まで維持する。この触媒注入,酸化剤溶液注入か ら養生終了までを1クールとし,浄化状況に応じて繰返し作業 を行った。 3.1.5 モニタリング 測定項目は,シス -1,2-ジクロロエチレン濃度(以下,cis-1,2-DCE),pH,電気伝導度(EC),酸化還元電位(ORP) とした。埋土層及び地山層(砂礫層・砂層)のそれぞれについ て計測できるよう約100 ㎡毎に 2 本ずつ計 28 本の地下水のモ ニタリング井戸を設置し,cis-1,2-DCE の分析は,公定法分析 及びPID 分析を行った。 4. 結果及び考察 4.1 浄化試験結果 ここでは,cis-1,2-DCE の初期濃度の異なる 2 事例(高濃度, 低濃度)について記述する。 1)低濃度領域 低濃度領域(初期濃度0.2mg/L)での薬剤注入による各測定 項目の濃度変化を図4 に示す。cis-1,2-DCE 濃度は,注入直後 に一次的にリバウンドにより濃度が上昇しているが,酸化剤注 入とともに徐々に低下し,3 クール後には,基準値以下まで低 下した。また、cis-1,2-DCE 濃度減少中の ORP の増加と pH の酸性へのシフトが認められた。 表1 土質構成と透水係数 深度 (m) 土質 D20 (mm) 透水係数 k(m/s) GL-0.0~-6.0m 埋土 0.034 1.0×10-6 GL-6.0~-9.0m 砂礫 1.7 1.0 GL-9.0~-15.0m 砂 0.22 1.0×10-5 図2 地層構成 図3 注入井戸の構造図(断面図) 図4 浄化試験における各測定値変化(低濃度) -100 0 100 200 300 400 500 600 700 0.001 0.01 0.1 1 10 8 /3 1 9 /1 2 9 /2 4 1 0/ 6 1 0/ 18 1 0/ 30 1 1/ 11 1 1/ 23 1 2/ 5 1 2/ 17 cis-DCE pH ORP cis-DCE環境基準値 cis-DCE [mg/L] ORP[mV] pH [-] 8 7 6 5 4 3 11 10 9 第1 クール 注入 ↓ 第2 クール 注入 ↓ 第3 クール 注入 ↓ 第4 クール 注入 ↓ SPS注入 浄化確認 GL VP50 無孔管 9.0m 12.0m シール材(BP) 3.0m VP50 ストレーナ 珪砂充填 約φ100mm 埋土層 砂礫層 砂層 GL GL -6m GL -9m GL 15m 72 東急建設技術研究所報No.37 72
2)高濃度領域 図5 に高濃度の初期濃度 3.2mg/L における各測定項目の濃 度変化を示す。cis-1,2-DCE 濃度は, 6 クール後には,基準値 以下まで低下した。また,ORP は増加し,pH は酸性領域に シフトする。分解の進行を把握するためには,ORP でのモニ タリングを実施することで,分解状態を判断できる。 図5 浄化試験における各測定値変化(高濃度) 5. 浄化期間の予測 5.1 解析の概要 一般的に予測解析では,地下水流動場の把握が重要となる。 地下水流動の場は,調査から得られた水理構造,水理特性から, 地下水位分布,流向,流速分布を再現できる浸透モデルの構築 を行うため,浸透流解析が用いられる。しかし,地下水流動場 が定常状態と想定し,薬剤注入のモデル化のように極小的に領 域が狭い場合,地下水流動場を考慮せずに酸化剤による分解反 応のみを考慮することとした。浄化期間の予測は,地下水の汚 染物質濃度から原位置浄化試験で求めた酸化剤の分解速度定数 を用いて計算手法の有効性について検討した。 5.2 簡易予測 5.2.1 化学反応モデル 化学反応としては,塩基反応,酸化還元反応,鉱物の溶解・ 沈殿,イオン交換などが考えられる。なお,吸着反応について は,反応が早く化学種間の競合が無い場合は,吸着等温式によ る表現で十分な場合もある。ここでは質量保存に基づき,液相 中の物質輸送方程式 (1)式を用いることとする1)。 ߠሺ߲ܥሻȀ߲ݐ ൌ ߘ ȉ ሺߠܦߘܥሻ െ ݍ ȉ ߘܥെ ߠܴ - (1) ݆ ൌ ͳǡ ʹǡ ڮ ǡ ܰୡ ここで,t は時間(s),j は主成分の数,Cjは液相中の総濃度, θは体積含水率,D は分散係数テンソル,q はダルシー流速ベ クトル(m/s),Rjは反応による生成消滅項である。 酸化還元反応では,電子を仮想化学種として取扱う。簡易予 測では,地下水流動の場を考慮しないため,ここに示す移流・ 分散の項については,省略すると(2)式のようになる。C0は, 液相中の対象物質の初期濃度である。 ߠ߲ܥ௧Ȁ߲ݐ ൌ ߠܥെ ߠܴ - (2) 5.2.2 分解量 Monod 式は,通常微生物の酵素の触媒反応による分解量を 表すことができる。また,分解に寄与する物質に対しても利用 されることがある。酸化剤の濃度による分解反応は、不可逆反 応であるため、Monod 式の(3)式が成立する。k は反応速度定 数(1/s),Xは酸化剤濃度(g/cm3),Kmは反飽和定数(g/cm3)であ る。 そこで,分解量 Rj (g/cm3 /s)は,酸化剤の濃度を用いて Monod 式により求めることとした。 ܴൌ ݇ܺȀሺܭ ܥሻ - (3) 5.3 浄化期間予測結果 浄化試験より算出した反応速度定数を用いて浄化予測曲線を 求めた。原位置で計測した事例として実測値と予測曲線を図6, 図7 に示す。 低濃度領域の場合,1 クールの酸化剤注入後、リバウンドに よる濃度上昇が確認されており、予測値と異なる。浄化期間は, 実測値で約40 日であり,浄化予測曲線では,約 50 日後に基 準値以下となる。浄化期間の予測は、概ね整合している。 図6 浄化予測曲線(低濃度 0.13mg/l) -100 0 100 200 300 400 500 600 700 0.001 0.01 0.1 1 10 6/29 7/13 7/27 8/10 8/24 9/7 9/21 10/5 10/19 11/2 11/16 11/30 12/14 cis-DCE pH ORP cis-DCE環境基準値 cis-DCE [mg/L] ORP [mV] pH [-] 8 7 6 5 4 3 11 10 9 第 1 ク ール 注 入 ↓ 第 2 ク ール 注 入 ↓ 第 3 ク ール 注 入 ↓ 第 4 ク ール 注 入 ↓ 第 5 ク ール 注 入 ↓ 第 6 ク ール 注 入 ↓ 第 7 ク ール 注 入 ↓ SPS注入 浄化確認 0.001 0.01 0.1 1 10 0 50 100 ci s‐ 1, 2‐ D CE Co nc en tr at io n (m g/ l) Time(Day) 実測値 予測値 基準値 73 3. 浄化方法 3.1 試験方法 3.1.1 地下水汚染状況 本対象地の VOC(トリクロロエチレン,シス-1,2‐ジクロ ロエチレン)を浄化対象とした。表 1 及び図 2 に示すように 代表的な地質構成は,埋土層及び地山層(砂礫層・砂層)であ った。VOC は,帯水層 GL-6m~GL-12m)に存在した。工事 着手前に行った調査結果を基に汚染範囲を推定するため,調査 地点を設定し,ボーリングによる調査を行った。地下水試料は, 対象物質の分析を行った。分析方法は,公定法分析と調査結果 を早期把握するため,現地での簡易分析(PID 分析)を併用 した。 3.1.2 注入井戸設置 注入井戸の基本構造を図3 に示す。浄化試験前に原位置の注 入試験を行い,その結果,薬剤注入井戸は,埋土部(GL-9m 以浅)は,2mピッチに,砂礫・砂層(GL-9m~19m)につい ては,4mピッチで設置した。 3.1.3 注入量 地下水汚染範囲の約 100 ㎡毎に薬剤注入量を算定し,設計 の薬剤量(触媒:約 50kg~80kg/箇所,酸化剤:約 200kg~ 250kg/ 箇所)を注入圧 100kN/m2で4 回~6 回注入した。 3.1.4 注入作業 薬剤の注入作業は,まず注入井戸より触媒を所定量注入し, 1日放置後,酸化剤を同井戸から注入し,2 週間養生(反応) させた。酸化剤の反応は,約7 日間で急激に反応し,その後, 14 日間程度まで維持する。この触媒注入,酸化剤溶液注入か ら養生終了までを1クールとし,浄化状況に応じて繰返し作業 を行った。 3.1.5 モニタリング 測定項目は,シス -1,2-ジクロロエチレン濃度(以下,cis-1,2-DCE),pH,電気伝導度(EC),酸化還元電位(ORP) とした。埋土層及び地山層(砂礫層・砂層)のそれぞれについ て計測できるよう約100 ㎡毎に 2 本ずつ計 28 本の地下水のモ ニタリング井戸を設置し,cis-1,2-DCE の分析は,公定法分析 及びPID 分析を行った。 4. 結果及び考察 4.1 浄化試験結果 ここでは,cis-1,2-DCE の初期濃度の異なる 2 事例(高濃度, 低濃度)について記述する。 1)低濃度領域 低濃度領域(初期濃度0.2mg/L)での薬剤注入による各測定 項目の濃度変化を図4 に示す。cis-1,2-DCE 濃度は,注入直後 に一次的にリバウンドにより濃度が上昇しているが,酸化剤注 入とともに徐々に低下し,3 クール後には,基準値以下まで低 下した。また、cis-1,2-DCE 濃度減少中の ORP の増加と pH の酸性へのシフトが認められた。 表1 土質構成と透水係数 深度 (m) 土質 D20 (mm) 透水係数 k(m/s) GL-0.0~-6.0m 埋土 0.034 1.0×10-6 GL-6.0~-9.0m 砂礫 1.7 1.0 GL-9.0~-15.0m 砂 0.22 1.0×10-5 図2 地層構成 図3 注入井戸の構造図(断面図) 図4 浄化試験における各測定値変化(低濃度) -100 0 100 200 300 400 500 600 700 0.001 0.01 0.1 1 10 8 /3 1 9 /1 2 9 /2 4 1 0/ 6 1 0/ 18 1 0/ 30 1 1/ 11 1 1/ 23 1 2/ 5 1 2/ 17 cis-DCE pH ORP cis-DCE環境基準値 cis-DCE [mg/L] ORP[mV] pH [-] 8 7 6 5 4 3 11 10 9 第1 クール 注入 ↓ 第2 クール 注入 ↓ 第3 クール 注入 ↓ 第4 クール 注入 ↓ SPS注入 浄化確認 GL VP50 無孔管 9.0m 12.0m シール材(BP) 3.0m VP50 ストレーナ 珪砂充填 約φ100mm 埋土層 砂礫層 砂層 GL GL -6m GL -9m GL 15m 72 東急建設技術研究所報No.37 73
また,高濃度領域の浄化予測では,薬剤注入による分解挙動 が実測値と同様の傾向を示し,浄化予測期間は約 130 日と推 定した。実測値では111 日後に基準値以下となった。浄化期間 は,実測値よりわずかに期間がかかることが推定された。浄化 工事の範囲において簡易計算を実施すると 20 日間程度の浄化 期間の差はあるものの概ね予測することができることが確認で きた。 ただし,分解開始後の再溶出等の影響で一時的にリバウンド 現象が確認されているが,本計算では再溶出等を考慮していな い。 6. まとめ 本浄化工事では,工場跡地のVOC(トリクロロエチレン, シス-1,2‐ジクロロエチレン)を浄化対象とし,酸化剤を用い て原位置浄化を行った。浄化完了後,3 ヵ月後,6 ヵ月後にお いて所定の観測井戸での地下水の水質測定調査を行い,地下水 基準以下を確認し,最終的に工事完了の確認が取れ,浄化工事 は,設計通り短期間で完了することができた。 簡易の浄化期間の予測も概ね酸化剤の挙動をとらえることが でき,浄化予測期間も概ね実測値と同様の傾向を確認できた。 今後は,浄化工事を行いながら土質による吸着等の影響など 補正を行いながら予測の精度向上を目指したい。さらに原位置 浄化のノウハウを蓄積し,適切な薬剤の使用や浄化期間の設定 を行っていきたい。 謝 辞 試験に協力頂いた関係部署および関係会社に感謝する。 図7 浄化予測曲線(高濃度 3.8mg/l) 参考文献 1)社団法人地盤工学会,続・土壌・地下水汚染の調査・予測・対策,丸善,2008 2)有田正光編著,地圏の環境,東京電機大学出版局,2001
GROUNDWATER SITE REMEDIATION
WITH OXIDIZING AGENT INJECTION METHOD
K.Shibano, S.Mushiake and H.Ito
We have performed a remediation measurement, oxidizer injections, at a site where groundwater was contaminated with volatile organic compounds. This method intends to destabilize volatile organic compounds utilizing oxidation reacted radicals generated through the injections of diluted persulfates and catalyst into the ground, and decompose the compounds into harmless substances such as carbon dioxide and sodium chloride. Based on our accumulated monitoring data of VOC concentrations at the observatory wells, we hereby report our analysis on the correlation between drug injection quantities and purification characteristics.
0.001 0.01 0.1 1 10 0 50 100 150 ci s‐ 1, 2‐ D CE Co nc en tr at io n (m g/ l) Time(Day) 実測値 予測値 基準値 74 東急建設技術研究所報No.37 74