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新たな潮流! AIと光技術

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Academic year: 2021

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2019.5 Laser Focus World Japan

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 AI(人工知能)は、データの爆発的 増大に加え、コンピューティングと アルゴリズムの高度化によって第3次 ブームを迎えている。そしてAI技術 の進化やクラウドなど、AIを活用し やすい環境が拡がっている状況に伴 い、これまで特定分野で先行してい たAIの利活用が、幅広い産業分野や 製品・サービスへと拡大しつつある。 4月19日(金)、板橋区立グリーンホ ールにおいて、AIと光技術の関わり を探るというテーマで日本光学会・光 設計研究グループ(代表:リコー・辰野 響氏)の第66回研究会が開催された。 そのタイトルは「人工知能-AI-活用 による光設計の展開」。今回は、同研 究グループが主催を務め、同じく日 本光学会に属するAI Optics研究グ ループ(代表幹事:阪大・谷田純氏)が 共催という形になった。

2つの研究グループ

 光学設計の歴史は長く、一方で新 しくかつ高度な光学機器や光学素子 用の技術開発が常に進められている。 将来の光産業においても、基幹的な 役割を担うと期待されている。しか しながら、我が国では研究者や技術 の交流が少なく、それが技術進歩の 障害の1つになっているとも指摘され ていた。  このような状況の中、光設計研究グ ループは、光学設計およびその周辺の 研究者の情報交換をはかり、光学設 計分野の研究推進に寄与することを目 的に平成5(1993)年7月、日本光学 会の研究グループとして設立された。  その適用領域には、回折光学、光 記録、光通信、軟X線光学、光コン ピューティング、光集積回路、補償 光学、非結像光学、光学薄膜など、 すべての光学分野が含められ、レン ズ設計や光学設計、光学系の加工・測 定・評価、光学設計ソフトなど、光学 系・光学素子などの設計に関連する技 術領域を網羅、研究会や国際会議の 開催、学術講演会における発表支援 や環境の整備、優れた研究・技術・発 明を表彰する「光設計賞」の授与や会 誌の発行などを行っている。  一方、共催のAI Optics研究グル ープは、世界の先駆的な光学技術者 がすでにAIを活用し始めている現状 を踏まえ、AIへの対応は得手不得手 を問わず、すべての研究者に求めら れ、AIを使いこなせないばかりに我 が国が持つ光学分野での技術的な優 位性を失ってはならないと、昨年の 10月に設立されたものだ。  同研究グループでは、光学技術者 に必要なAI技術の情報共有や技術的 サポートを提供するとともに、AI時 代において世界最先端の光学研究者 として活躍していくために必要な技 術基盤を、参加メンバーが具備し得 るための活動を行っていく。  具体的には、最新AI技術の情報共 有と議論の場として、シンポジウム や研究会の企画、Webマガジン等の 情報発信、講習会の開催や掲示板等 での技術サポート、オープンソース提 供、異分野や他学会との交流などを 行う。昨年11月には、筑波大でキッ クオフシンポジウムも開催した。

AIと光技術の最新状況

 研究会は、光設計研究グループ代 表の辰野氏による「開会の挨拶」でス タート。続く講演では、AIと光技術 に関わる研究を推進する我が国のエ キスパート達によって、その研究開 発の最新状況が報告された。 高速ビジョンのアーキテクチュアと 新展開:石川正俊氏(東大)  石川氏は、高速並列演算機能を内包 した積層型高速ビジョンチップのアー キテクチュアを解説。2017年に開発 した高速高感度CMOSイメージャと 並列処理ハードウエアを一体化した積 層型CMOSイメージャは、0.363Wと いう低消費電力で1,000fpsの撮像と 画像処理が実行可能だという。講演 では、知能ロボットやFA・検査、プ ロジェクションマッピング、ヒューマ ンインタフェース、バイオ・医療、自 動車などの分野における応用事例を 紹介。新たな設計思想「ダイナミク ス整合」による知能システムが、現在 川尻 多加志 日本光学会・光設計研究グループが第66回研究会を開催

新たな潮流! AIと光技術

第 66 回研究会

event

光設計研究グループ代表の辰野響氏

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の人工知能技術の限界を突破して、将 来の実世界・実時間での高速処理を可 能にする新しい知能システムの基盤技 術になると述べた。 自己符号化器を利用したデータ変換法 による汎用的光検索システム:渡邉恵 理子氏(電通大)  大容量データを高速処理できる光相 関システムの研究開発を行ってきた渡 邉氏は、2次元画像照合実験において 画素転送照合速度143Gbps(2.4Mfps) を達成、現在1Tbps(12Mfps)以上を 目指した研究開発を進めている。講演 では、深層学習の一種である自己符号 化器を用いたデータ変換手法と、特徴 量抽出器を用いた、多様なデータを高 速検索できる汎用的光データ検索シス テムを解説。応用事例として、テキス ト、画像、動画検索や、動画共有サイ トから自動的にクローリングし、登録 した動画を検出する(海賊版対策)著作 権管理システムを紹介した。 機械学習駆動コンピュテーショナル イメージング:堀﨑遼一氏(阪大)  信号処理を前提にしたコンピュテーシ ョナルイメージングは、光学系と信号処 理を独立して設計する従来型アプローチ に比べ、大幅な性能向上や筐体の簡略 化を実現すると期待を集めている。講演 では、機械学習を軸に自身の研究事例と して、散乱光を通した透過行列ベース の物体認識、ゴーストイメージングを 用いた高速フローサイトメリー、深層 学習を利用した波面計測や計算機合成 ホログラフィなどが紹介された。 深層学習がもたらす問題解決のパラダ イムシフトと画像分野での応用:岡谷 貴之氏(東北大)  AIブームの立役者である深層学習 は、単にAIの範疇にとどまらず、広 く工学全般に対する問題解決方法にパ ラダイムシフトをもたらしつつある。 岡田氏は、深層学習を「もうAIと呼 ばなくても良いのでは?」と提案する。 一方、深層学習の最大の欠点は、学習 用訓練データに対する依存度が高すぎ ることであり、さらに深層ニューラル ネットワークの構造デザインも難しい という。講演では、画像劣化というド メインシフトの問題解決のため自身が 提案した双残差結合ネットワークと、 単純な注意機構を導入する事で劣化し た画質を改善する手法が紹介された。 ドローン×AI(Deeptector®)による 漁業密猟の監視抑止:佐々木秀紀氏 (NTTコムウェア)  密猟対策は、近年の漁業における大 き な 課 題 の 1 つ。 日 本 で は 毎 年 約 2,500件も摘発されており、さらに増 加する傾向にある。被害総額は年間で 4,000 〜 5,000 億円、手口は組織的か つ巧妙になる一方で、対策の難しさが 指摘されている。佐々木氏は、同社が 提供するドローンとAIを組み合わせ た密漁対策ソリューション、画像認識 AI「Deeptector®」を紹介、従来の監 視法に比べて効果を上げていると述 べ、中山間地域の住民支援(健康状態 解析)応用についても触れた。 自動運転車からサポート・クラウド までのトータル・システム:馬路徹氏 (NVIDIA)  ムーアの法則が終焉した後も、GPU はアーキテクチュアやソフトウエアの 進歩によって処理性能が向上、CPU 単独では処理できないAIやスパコン など、幅広い分野で用いられている。 自動運転の分野においても、GPUを SoCに内蔵してスパコン用GPUと合わ せて、車載ECUからAI学習、テスト、 検証用データセンターまで、End-to-Endのプラットフォームが構築されて いる。馬路氏は、自動運転に関わる、 同社の最新のAI(ディープラーニング) 実装技術を紹介した。 AIと共存する未来にむけた役割分担: 上田恵陶奈氏(野村総合研究所)  AIで完全に自動化できる職業労働 人口は49%に過ぎないという。上田氏 は、AIが得意な業務もあれば、不得 意な業務もあり、たとえ自動化される 可能性が高い職業でも、すべての業務 がAIに代替される可能性は低く、逆 に自動化される可能性が低い職業で も、一部の業務はAIやロボットを使 いこなしながら行うことになるとして、 人とAIは共存すると述べた。そして、 AIを活用しつつ、人それぞれ異なる評 価軸で価値を加えることで、多数の負 け組が出るのではなく、一人一人が自 分なりの付加価値を加えてエキスパー トとして活躍する、そうした未来を実 現するには、自動化技術が完全自動化 を志向せず、人間との協働関係を前提 とした実装を志向することが重要だと 指摘した。

次回研究会

 次回研究会は「デジタルカメラの進 化と多様化」をテーマに7月12日(金)、 キャンパスプラザ京都で開催される が、変更の場合もあるということなの で最新情報は以下のウェブサイト上で 確認。http://www.opticsdesign.gr.jp/ index.html  また、来年の6月2日から4日まで、 国際学会ODF’20(12th International Conference on Optics-Photonics Design and Fabrication)が、台湾の 国立中央大で開催される予定だ。

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