金属等脱脂洗浄分野における VOC削減方法
2016.07.21.
日本産業洗浄協議会
洗浄技術委員会 花田毅
本日の内容
金属等脱脂洗浄分野における…
1. VOCについて
2. VOCの発生場所
3. VOCの削減方法
本日の内容
金属等脱脂洗浄分野における…
1. VOCについて
2. VOCの発生場所
3. VOCの削減方法
洗浄剤の分類
不燃性
非 水 系 水
系
・ 準 水 系
界面活性剤、無機酸、
アルカリ剤を配合したもの グリコールエーテル系や N-メチルピロリドンと水を
混合したもの
グリコールエーテル系・
アルコール系・ピロリドン系の 水溶性洗浄剤を主体とするもの
炭化水素系(パラフィン系、
ナフテン系、芳香族系)、
アルコール系、シリコン系、
グリコールエーテル系 塩素系
フッ素系 臭素系
可燃性
塩素系溶剤
※にフォーカスして解説
※ ジクロロメタン(塩化メチレン)、トリクロロエチレン等
金属等脱脂洗浄分野におけるVOC
項目 単位 ジクロロ
メタン
トリクロロ
エチレン n-デカン 水 化学式 CH2Cl2 CHCl=CCl2 C10H22 H2O
沸点 ℃ 40 87 172 100
比重 - 1.33 1.47 0.73 1
表面張力 mN/m 28 30 24 72
粘度 mPa・s 0.44 0.58 0.92 1.00
飽和水分 ppm 1,700 330 - -
引火点 ℃ なし なし 53 なし
洗浄用途に最適な性能
塩素系溶剤の特長
油脂類の溶解力が高い(高脱脂力)
乾燥性が良い(速乾性)
通常の使用条件で引火・爆発の危険性がない(不燃性)
細かい隙間の洗浄も可能(高浸透性)
水との相互溶解性が低い
熱的・化学的に安定
金属を腐食(錆)しない
蒸留によるリサイクルが可能
塩素系溶剤は水の約1/2のエネルギーで洗浄可能
洗浄に必要なエネルギー比較
0 20 40 60 80
テトラクロロエチレン トリクロロエチレン ジクロロメタン 水
※使えるんです塩素系溶剤 Ver.5より引用 MJ
本日の内容
金属等脱脂洗浄分野における…
1. VOCについて
2. VOCの発生場所
3. VOCの削減方法
洗浄・すすぎ・乾燥の3つの工程で構成
洗浄プロセス
洗 浄
表面に付着した 汚れを除去
すすぎ
表面に残った 汚れを除去
乾 燥
洗浄液を乾燥
超音波・揺動・回転・振動・噴流 スプレー・バブリング・シャワー 脱気・加圧・減圧(真空)・ブラシ
温(熱風)・輻射熱 真空(減圧)・スピン 蒸気(ベーパー)・ブロー
一液で洗浄・すすぎ・乾燥、同時にリサイクルも実施
※洗浄剤は気化と凝縮を繰り返し
塩素系溶剤を使った洗浄システム
ヒーター 被洗浄物
蒸気ゾーン
⑦オーバーフロー
⑤水を分離
③汚れ滞留
③溶剤のみ蒸発
④凝縮
②オーバーフロー
①汚れ持込
⑥清浄な溶剤
浸漬洗浄 すすぎ 蒸気乾燥
蒸気乾燥のメカニズム
仕上げの洗浄と乾燥が同時進行
Step メカニズム
1 被洗浄物を洗浄剤の蒸気にさらすと蒸気が 冷やされて被洗物の表面に洗浄剤が凝縮
2 凝縮したきれいな洗浄剤が被洗物表面を覆 い、洗浄剤が流れ落ちる際に表面をすすぎ
3 被洗浄物の温度が洗浄剤の蒸気と同じ温 度に温まると凝縮が止まり乾燥が終了
一液洗浄システムの特長
合理的で経済的な洗浄プロセス
設備投資の抑制…リサイクル機構を内蔵
洗浄品質の安定化…洗浄剤の清浄度を維持
生産性の向上…洗浄・乾燥時間の短縮
省スペース化…洗浄槽数の低減
省エネルギー…乾燥時の電気エネルギー削減
環境負荷低減…電気量等の低減によるCO2削減
VOCの削減≒洗浄剤の蒸発ロス削減
⇒気化した洗浄剤のガス回収効率向上がポイント
VOCの発生場所
①洗浄機内で気化した
ガスの回収不足 ②被洗浄物に残った 洗浄剤の持ち出し
③洗浄剤交換時の気化 ④配管・接合部からの漏れ
蒸気ゾーン
本日の内容
金属等脱脂洗浄分野における…
1. VOCについて
2. VOCの発生場所
3. VOCの削減方法
VOC削減対策例①
運転条件の見直しによる削減策
対 策 抑止策
洗浄剤漏出の有無の点検 2-1
洗浄作業に入る前の確認 2-2
起動手順・停止手順の確認 2-3
冷却水温度・流量の適正化 2-4
洗浄剤の交換・充填における揮発防止 2-6
洗浄機周辺の風の低減 2-7
局所排気による過剰吸引の防止 2-8
蒸気洗浄後のドゥエル 2-11
洗浄剤の保管・貯蔵における揮発防止 2-13
VOC削減対策例②
洗浄機の改造・見直しによる削減策
対 策 抑止策
被洗浄物の置き方の見直し 2-5
フリーボード比の確保 2-9
被洗浄物の引き上げの低速化 2-10
蓋・部分的な覆いの設置 2-12
洗浄剤の見直し(水系・炭化水素系) 3
排ガス処理装置の導入 4-1,2
密閉式洗浄装置の導入 4-3
夏場の洗浄剤蒸散量削減のチェックポイント
洗浄剤の揮発を抑える工夫がポイント
冷却水の温度
洗浄機周辺の風
洗浄機の蓋の設置
洗浄剤充填時・抜出時の洗浄剤温度
洗浄剤保管時の温度
冷却水温度の適正化
冷却水温度[℃]
ジクロロメタン排出速度[kg/h](運転中)
※VOC排出抑制 自主的取組マニュアル(経産省)より
冷却水の目標設定温度は15℃以下
フリーボード比:1.13 冷却水流量:50L/分
0.06 0.07 0.08 0.09 0.10 0.11
5 10 15 20 25 30
洗浄機周辺の風の影響
扇風機や外気の風の影響も考慮
フリーボード比:1.13 冷却水流量:50L/分
ジクロロメタン排出速度[kg/h](運転中)
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4
0 0.5 1 1.5 2
洗浄機周辺の風[m/S]
洗浄機周辺の蓋の効果
洗浄槽のヒーター・冷却水を止めた状態でのジクロロメタンの消費量 (蓋なしの状態を100とした場合の実測値比較)
蓋だけでなく蓋の周囲の目貼りがより効果的
0 20 40 60 80 100
蓋あり+目貼り 蓋あり 蓋なし
洗浄剤交換時の液温
液温が低いほど自然蒸散量は低減
蒸気圧[kPa]
温度[℃]
0 20 40 60 80 100
0 10 20 30 40
ジクロロメタンの蒸気圧曲線
洗浄機の構造と消耗量
開口面積の低減は消耗量低減に効果
タイプ 構造 消耗量 生産性
横型 × ○
縦型 △ △
密閉型 ○ ×
VOC排出実態の把握と削減効果の測定
対策と効果の検証のセット
VOC排出実態の把握 削減効果の測定方法
・VOC濃度の測定 検知管、ガス濃度計
・VOC警報器の活用
・東京都VOC対策アドバイザー 派遣制度の活用
・推算システムの活用
(EVABAT※1システム)
・洗浄剤補充量
・洗浄機内の液面変動幅 より推算
※洗浄機内の液面を測定 できる場合
※1 Economically Viable Application of Best Available Technology (経済的に実行可能な最良利用可能技術)
削減効果の測定
各槽の液レベルの変化から消耗量を計算
消耗量=(ΔH1*S1+ΔH2*S2+ΔH3*S3)*洗浄剤比重÷1,000
※ΔH:液面低下幅 S:槽面積
※運転起動前(停止時消耗量)…ΔH1・ΔH2・ΔH3
※運転直後(運転中消耗量)…ΔH3 (ΔH1=ΔH2=0)
ΔH1
ΔH2
ΔH3 S1
S2
S3
EVABAT
※システムの活用
個別の条件に合わせた排出抑制対策を定量的に評価
VOC排出の要因分析
<活用方法例>
・既に実施した排出抑制対策の効果の分析
・装置等の稼働条件を調整しながらシステム上で定量評価
・自社に適した対策の診断
VOC排出抑制対策の選定を支援するパソコン用ソフト
EVABATシステムを使った評価
様々な定量評価が可能
対象洗浄剤 評価可能な対象
・ジクロロメタン/塩化メチレン
・トリクロロエチレン (準備中)
・冷却水温度の適正化
・被洗浄物の配置の工夫
・蒸気洗浄後の液切り乾燥の導入
・装置周辺の風の低減
・局所排気の形状の変更
・溶剤回収装置の設置 など
EVABAT
各種洗浄剤の比較
各種洗浄剤の長所・短所から総合的に判断
塩素系 炭化水素系 水系
洗浄力 ○ ○ ○
乾燥性 ○ × ×
金属への腐食 ○ ○ ×
リサイクル ○ △ ×
VOC 該当 該当 非該当
防爆仕様 不要 必要 不要
排水処理 不要 不要 必要
日本産業洗浄協議会
洗浄・EVABATシステムに関するお問合せ
http://www.jicc.org/
クロロカーボン衛生協会
塩素系溶剤の取り扱いに関するお問合せ
http://www.jahcs.org/