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三角合併とコーポレート・インバージョンの課税問題に対する一考察

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Academic year: 2021

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修士論文要旨

論文題目:三角合併とコーポレート・インバージョンの課税問題に対する一考察

英文題目:A Study on the Taxation of A Triangular Merger and A Corporate

Inversion

学籍番号:EM18003

氏 名:渡邊 清太郎

指導教授:臼井 邦彦 教授

【論文の構成(目次等)

はじめに 第 1 章 「三角合併」の概要 第 2 章 「三角合併」「コーポレート・インバージョン」対応税制 第 3 章 「コーポレート・インバージョン」による問題点 第 4 章 判例研究 結び

【論文の内容】

本論文は、本社機能の海外移転方法について、資産譲渡による方法、株式譲渡による方法、 組織再編「三角合併」による方法のなかでも「三角合併」による方法について詳しく検討し、 その後の「コーポレート・インバージョン」の課税問題について考察を行ったものである。 法人税法上外国会社が内国会社と合併、会社分割、株式交換、株式移転を行う場合について 定めた規定が無いため、「三角合併」の創設により外国会社との組織再編の検討が可能になった と考えられる。 本社が軽課税国に移転をした場合には企業側としては、グループ全体の税負担が下がるイン センティブも存在すると思われ、さらいに筆者としては本社機能が外国へ移転した場合には、 海外子会社からのロイヤリティの支払い等が生じアーニング・ストリッピングの問題が生じる と思われ、このアーニング・ストリッピングが重要な問題になると思われる。 アーニング・ストリッピングの問題点に対して、現状のとられている対策、現状とられてい ない他の対策について考察を行い、対策だけではなく、パテントボックス税制という知的財に 対する優遇税制の考察を行った。本論文の構成は以下の通りである。 第1章においては、「三角合併」について、より詳しく検討をしている。「三角合併」の創設 の背景について、「三角合併」の概要、会計、税務処理についても併せて概観した。 「三角合併」については、実際に行われているのかどうかも確認を行ったが三角合併が解禁さ れたものの、事例としては2件と少ない件数となっている。その理由についての検討も行った。 第2章においては、「三角合併」を行うにあたり、税制適格として扱われることが重要になる と考えるため、通常の合併の適格要件と「三角合併」の適格要件について説明を行った。また、 本社移転を行った際の租税回避を防止する規定である「コーポレート・インバージョン対策税 制」について概観した。第 1 節においては適格、非適格の概念について通常法人が資産を他に 移転する場合には、移転資産の時価取引として、譲渡損益を計上するのが原則である。しかし ながら、資産を移転する前後で経済実体に変更がないと考えられる場合には、譲渡損益が繰り 延べられる場合があるため、持分関係別に持分関係が 100%の場合、持分関係が 50%超 100% 未満の場合、持分関係が 50%以下の場合について、それぞれ要件を概観した。

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第2節においては、「三角合併」に対する適格要件について確認をし、通常の合併と比較する ために概観した。また、「コーポレート・インバージョン」後の合算課税について概略した。 第3章においては、「三角合併」の税制適格の問題点、「コーポレート・インバージョン」後 の合算課税の問題点について、現状のとられている税制や、現状とられていない他の対策、ま た対策のみではなく優遇税制の検討を行った。 まず、第1節においては、「三角合併」の適格要件の問題点について概観した。その他「コー ポレート・インバージョン」による課税の問題点について、日本の課税方式から起こる問題点、 外国子会社合算税制の適用回避問題、アーニング・ストリッピングによる課税問題について検 討を行い。特に重要な問題はアーニング・ストリッピングであると考えた。コーポレート・イ ンバージョン後の子会社等に何らかの名目でロイヤリティ等の支払いをした場合には、親会社 から子会社にロイヤリティを支払うより合理的であり、その合理的な事実関係さえあれば、そ の支払いの損金性が認められやすくなると思われるからである。 現状の税制の制度環境については、過小資本税制、過大支払利子税制、移転価格税制、同族 会社の行為計算否認規定を検討した。各税制や規定において租税回避を全て防止できているわ けではないと思われる。そのため他の対策として、管理支配地主義の導入、国内源泉所得主義 への移行など先行研究をもとにいくつか対策を考察した。また、新しい視点として、対策だけ ではなく、むしろ知的財産等についての優遇税制を検討することにより、締め付けよりも緩和 措置をとることで本社機能を日本に残すインセンティブが生じるのではないかと考えた。その 優遇税制の制度がパテントボックス税制であり、海外で行われているパテントボックス税制に ついて概略した。 パテントボックス税制が適用された場合には、知的財産に軽減税率が適用をされ、実質的に 実効税率が下がることになると考えられる。パテントボックス税制を適用することで、日本企 業の実効税率の引下げが可能となれば、無形資産や本社機能を日本に残すインセンティブが発 生すると考えられる。 第4章においては、「コーポレート・インバージョン」自体の判例ではないが、子会社から親 会社へのロイヤリティの支払い等のアーニング・ストリッピングの判例について、どのように 損金性の合理性について事実認定がされたかを一条工務店事件をもとに判例研究を行った。「コ ーポレート・インバージョン」においては子会社から親会社へロイヤリティの支払いが生じた 場合には、より理由としては経済的合理性が認められやすくなるのではないかと考える。 アーニング・ストリッピングにおいては、経済的合理性が無い場合には租税回避と認定され る可能性もあり、また、寄附金と捉えられる可能性もある。本判例においては、課税庁は仮装 行為の否認として主張したが、仮装行為としての事実が無かったため原告が勝訴した判例とな る。寄附金、仮装行為としての否認、租税回避としての否認について考察を行い、裁判所が何 をもって事実認定をしているか考察をすることで、アーニング・ストリッピングの損金性が認 められるのか検討を行った。

【主要参考文献】

1. 太田洋『M&A・企業組織再編のスキームと税務-M&A を巡る戦略的プランニングの最先端』、大蔵財務協会、 2019。 2.布施恭祐「クロスボーダー三角合併の課税問題」、租税資料館賞受賞論文、2010。 3.山崎昇「コーポレート・インバージョンと国際税務-クロスボーダーの三角合併解禁に伴う国際的租税回避 の懸念」国税庁税務大学校『税務大学校論叢』54 号、2007、1‐95 頁。 (後略) 以上

参照

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