九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
胃癌症例におけるmiR-146aの臨床的重要性
古後, 龍之介
Department of Surgical Oncology, Medical Institute of Bioregulation, Kyushu University / Department of Otorhinolaryngology, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University
https://doi.org/10.15017/26665
出版情報:Kyushu University, 2011, 博士(医学), 課程博士 バージョン:
権利関係:(C) 2011 American Association for Cancer Research
氏 名:古後龍之介
論文題名:Clinical Significance of miR-146a in Gastric Cancer Cases (胃癌症例におけるmiR-146aの臨床的重要性)
区 分:甲
論 文 内 容 の 要 旨
癌ではmicroRNAのプロファイルが大きく変化しており,その中でもmiR-146aは膵臓癌,
乳癌,前立腺癌で癌抑制遺伝子として報告されている.本検討ではmiR-146aの標的と考え られる癌関連遺伝子EGFRとIRAK1に着目し,胃癌患者におけるmiR-146aの臨床的重要性 を調べた.90症例の胃癌検体のmiR-146a発現量をreal-time PCRで測定し,miR-146a発現 量と臨床病理学的因子,予後との関係を解析した.miR-146aによるEGFRとIRAK1の制御 はmiR-146aを胃癌細胞に導入し,real-time PCR, Western Blottingを行い解析した.さらに,
90 症例中ゲノム DNA を入手し得た 76 症例の胃癌検体について miR-146a 発現量と pre-miR-146a(miR-146a前駆体)配列内にあるG/C SNP(一塩基多型)の関連を調べた.90 症例の胃癌検体で,癌部におけるmiR-146aレベルは隣接非癌部組織に比べ有意に低下して
いた(P < 0.001).miR-146aの低下は壁深達度,リンパ節転移,静脈侵襲に関連していた
(P < 0.05).さらに,生存解析ではmiR-146a低発現群は高発現群に比べ予後不良であり,
miR-146a低発現は独立予後因子となった(P = 0.003).胃癌細胞においてmiR-146aを導入 すると遊走能,浸潤能を抑制し,EGFR, IRAK1の発現を抑制した.加えて,miR-146aの前 駆体のpre-miR-146a配列内のG/C SNPの解析ではCC genotypeに比べ,GG genotypeで有意
に miR-146a 量が低かった. miR-146a は SNP によりその発現の一部は制御されており,
EGFR, IRAK1を標的とするmiR-146aは胃癌症例において予後マーカー,治療標的として有
用である.