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21 世紀国際貿易港湾発展の研究(二)

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(1)

研究論文

21 世紀国際貿易港湾発展の研究 ( 二)

田 育 誠

はじめに

「21世紀国際貿易港湾発展の研究」シ リーズ論文は十回に分け発表す る。

第一回 目 21世紀 ヨー ロッパ国際貿易港湾発展の研究 第二回 目 21世紀アメ リカ国際貿易港湾発展の研究

第三回 目 21世紀カナダ ・オース トラ リア ・ロシア国際貿易港湾発展の研究 第四回 目 21世紀ブラジル ・イン ド・韓国国際貿易港湾発展の研究

第五回 目 21世紀 日本国際貿易港湾発展の研究

第六回 目 21世紀シンガポール ・台湾 ・香港国際貿易港湾発展の研究 第七回 目 21世紀 中国上海 ・寧波国際貿易港湾発展の研究

第八回 目 21世紀 中国大連 ・営 口 ・唐 山国際貿易港湾発展の研究 第九回 目 21世紀天津 ・青島 ・連雲港国際貿易港湾発展の研究 第十回 目 21世紀広州 ・深別 ・北部湾国際貿易港湾発展の研究

本論文は21世紀アメ リカの国際貿易港湾の発展について論述す る。

1 .

アメ リカ産業経済貿易発展の概説

(1)

アメ リカの経済貿易概況

ア メ リカ の 国 内総 生産(GDP)は2007年13兆 8413億 ドル、2008年14兆2646億 ドルで、経済成 長率は1.1%、外貨準備高は2007年595億2430万

ドルで、世界第九位 である。

2007年 の輸 出額 は 1兆16317億8300万 ドル 、 輸入額 は 1兆9532億9700万 ドルである。輸出量 は国民総生産の約10%を占め、産業製品 と トウ モ ロコシを中心 とした食料品が輸出のほ とん ど を占めている。主要な輸入品は石油、機械 、輸 送機械、燃料、コー ヒー、ダイヤモン ドである。

主要工業製品は航空機 、機械 、鉄鋼 、 自動車、

コンピューター、化学製品、船舶、宇宙船な ど であ り、主要農産業物は小麦、 トウモ ロコシ、

コメ、大麦、綿花、畜産物な どである。

アメ リカには十大都市経済圏 (ニュー ヨーク 都市経済圏、ロサンゼルス都市経済圏、シカゴ 都市経済圏、サンフランシスコ都市経済圏、フィ ラデル フィア都市経済圏、デ トロイ ト都市経済 圏、ボス トン都 市経済圏、 ワシン トン

DC

都 市 経済圏、ダラス都市経済圏、 ヒュース トン都市 経済圏)がある。

(2) アメ リカの産業概況

アメ リカ産業の分布 は、航空機 、宇宙産業、

造船産業、工場ハイテク産業な どが両海岸 に、

鉱 山業、鉄鋼産業、 自動車産業が北部の五大湖 地域 に、農産業加工、農業機械産業が内陸中西 部 に、そ して石油化学機械、宇宙開発産業が南 海岸 に集 中 している。

そのほかにも、高度 な集積地域が北東部 (東 海岸) のボス トンにある。 128号線 とイ ンター

21世紀国際貿易港湾発展の研究 (二) 27

(2)

ステー ト

4 9 5

号線に近いこの地域は、コンピュー ター と電子装置に専門化 している。またノース・

カ ロライナ州の リサーチ トライアングル では生 物工業製品を生産 してい る。

先端技術産業に とっては近隣の大学が とくに 重要な役割 を果たす。それ らは熟練 した科学者 や技術者 ばか りではな く、科学情報や研究のプ ログラムを提供 して くれ る。 ボス トンのハイテ ク地帯の近 くの三つの有名大学 (マサチューセ ッ ツ工科大学、ハーバー ド大学、ボス トン大学) は、ハイテ ク産業の形成 に重要な役割 を演 じて いる。

同 じよ うに、西海岸の工場革命の発祥地シ リ コンバ レー の発展 に とって、三つ の名 門大学 (ス タ ンフォー ド大 学 、 カ リフォル ニ ア大学 (バー ク リー校 な ど九校 ある)、カ リフォルニア 工科大学)は大変重要な役割 を果た してい る。

アメ リカの工業セ ンター都市 としては、西海岸 では北か らシア トル、ポー トラン ド、サ ンフラ ンシスコ、サンホゼ、 ロサ ンゼルス、サ ンデ ィ エ ゴな ど、東海岸では北か らボス トン、ニュー ヨー ク、フィラデル フィア、ボルテ ィモア、ワ シン トンなど、南海岸ではヒュース トン、ニュー オー リンズな どがある。五大湖地域ではダルー ス、 ミル ウォーキー、シカ ゴ、デイ ロイ トな ど がある。

重要な港湾産業都市 としては、西海岸では北 か らシア トル、ポー トラン ド、タクマ、サンフ ランシスコ、ロサンゼルス、サンデ ィェゴな ど、

東海岸では北か らボス トン、ニュー ヨーク、ノー フォーク、チャールス トン、マイア ミな ど、南 海岸ではル ヴィス トン、ニューオー リンズ、モー ビル な どがある.五大湖地域ではダルース、 ミ ル ウォーキー、シカ ゴな ど、アラスカではアン カ レジがある。

2 0 0 7

年 のアメ リカの粗鋼生産量は

9 81 81

千 ト ンで世界第三位 である。 ちなみに同年の第‑位 は中国で

4 8 9 2 41

千 トン、第二位 は 日本で

1 2 01 9 6

千 トンであった。

アメ リカの 自動車生産台数 は

1 0 7 81

千台で、

日本

( 1 1 5 9 6

千台) に次 ぎ、世界第二位である。

2 8

国際経営論集

No . 3 8 2 0 0 9

2 0 0 9

年第一四半期のアメ リカの 自動車販売台数 は中国に次ぎ世界第二位 である。

アメ リカの航空宇宙工業 の売上高 は

1 5 31 . 4 3

億 ドルで、 うち航空工業のみで

8 6 3 . 1 4

億 ドル を

占める。

( 3)

在米 日系製造業の概況

操業 中の 日系製造工業は

2 0 4 3

工場 となってい る。 これ ら工場の分布 は、全米

5 0

州 中ノースダ コタ州 とアイダホ州 を除 く

4 8

州 とプェル トリコ に及んでいる。

地域別 に立地状況 を見 ると、オハイオ、イ リ ノイ、 ミシガンな どが含 まれ る中西部北東地域 に最 も多 くの

5 31

工場 (全体 の

2 6. 0%)

が立地 し、以下多い順 に太平洋岸地域

4 7 6

工場

( 2 3. 3

%。 その うちカ リフォル ニア州 には最多の

3 4 2

工場)、大西洋岸南部地域

31 3

工場

( 1 5 . 3%)

、 南東地域

2 2 8

工場

( l l . 2%)

となっている。

州別 に立地状況 をみ ると、最 も多 く立地す る のはカ リフォルニア州で

3 4 2

工場、以下オハイ オ州

1 8 3

工場、イ リノイ州

1 21

工場、ジ ョージア 州

1 0 7

工場、イ ンデ ィアナ州

1 0 4

工場、 ミシガ ン

州1 01

工場、ケンタッキー州

1 0 0

工場 となってい る。

北米における日系 自動車メーカーの生産拠点 は次の とお りである。

(ヨトヨタ :ケンタッキー州ジュージタウン市、

カ リフォル ニア州NUMMI、カ リフォル ニア州

TAB

C、 ミズー リ州 な ど、② ホンダ :オハイオ 州 メア リズ ヒル市、オハイオ州アンナ町、オハ イオ州イース トリバテ ィー町な ど、③ 日産 :チ ネ シー州スマ‑ナ市、④マ ッダ :ミシガン州 フ ラッ トロック市、⑤三菱 :イ リノイ州ブルー ミ ン トンノーマン市、⑥富士重工 :インデ ィアナ 州 ラフッ ト市

2.

アメ リカ国際貿易港湾発展の概説 アメ リカの港湾は、西海岸、東海岸、南海岸、

北部の五大湖地域 に位置 し、また ミシシ ッピー

(3)

川 に分布 してい る国際貿易港 は多 く、海上貿易 に便利である。

アメ リカの港湾 の うちで2003年 の貨物取扱量 が、 600万 トン以 上 の港 湾 は70港 あ る。 ま た 1千万 トン以上の港湾 は52港 、6千万 トン以上 は9港、1億 トン以上は3港である。2003年 の 貨物取扱量 を見 ると、サ ウスルイ ジアナ港 (南 海岸)1.98825億 トン(第1位)、 ヒュース トン港 (南海 岸 )1.909億 トン(第2位 )、 ニ ュー ヨー ク (NYとNJ) 港1.459億 トン (第 3位 ) で あ る。

またボーモ ン ト港 の貨物取扱量 は0.875億 トン、

ニューオー リンズ港 は0.838億 トンである①。

2005年 で見 る と、貨物取扱量が1億 トン以上 の港湾 は4港 ある。第1位 のサ ウスルイジアナ 港は2.204億 トン (世界第8位)、第2位の ヒュー ス トン港 は1.954億 トン (同第10位 )、第3位 の ロサ ンゼル ス港 は1.690億 トン (同第15位)、第 4位 の ロング ビー チ港 は1.601億 トン (同第18 位)、第 5位 のNY/NJ港 は0.848億 トン (同第39 位)である。

2003年 にお けるアメ リカの主要 コンテナ港湾 12港 のコンテナ取扱量 を見 る と、 ロサ ンゼル ス 港7178940TEU (第 1位 )、 ロング ビーチ港4658 124TEU(第2位)、ニュー ヨーク ・ニュージャー ジ港414500TEU (第3位 )、オー クラン ド港192 3136TEU (第4位)、 タコマ港1738068TEU (第

5位)、チャールス トン港169846TEU(第6位)、

ヴァー ジニアボー トオー ソ リテ ィー港1646279 TEU (第 7位)、サバ ンナ港1521296TEU(第 8 位)、 ミアハル港1486465TEU(第9位)、 ヒュー ス トン港1209725TEU (第10位 )、マイア ミ港10 41483TEU (第11位 )、ジャクソンビル港692422 TEU (第12位)である②。

2005年 で見 ると、 コンテナ取扱量の第 1位 は ロサ ンゼル ス港7485千TEU (世界第10位 )、第 2位 はロング ビーチ港6710千TEU (同第11位)、

第3位 はニュー ヨー ク ・ニュー ジャー ジ港4793 千TEU (同第17位)、第4位 はオー クラン ド港2 274千TEU (同第35位)である。

・米国におけるコンテナ荷役オペ レー シ ョン

日本 との関わ りの深い米国西岸 のター ミナル 事情 を見 ると、 この10年 では、アジア 」 ヒ米間 貨物 の大幅増、港湾テ ロの脅威 、周辺地域 の交 通渋滞環境課題 の深刻化、ITシステム導入 な ど がある。

アジアか らの米国中 ・東部行 きコンテナの多 くは、西岸 ター ミナルで陸揚 げ され列車に積み 替 え られ る。近年 の大幅な貨物量増加 は列車輸 送費 に左右 され ると言 って も過言ではない。

2014年 に予定 されてい るパナマ運河の拡張に よ り、超大型 コンテナ船が太平洋側か らガル フ 海岸 さらには北米東岸‑ と向か うことになる。

最近 、 これ を見越 した新港湾建設が米国南部 ・ 東部 で始まってい る。

・パナマ運河 の拡張

現在 、パナマ運河 の拡張工事が総工費52.5億 ドル で2014年完成 を 目指 して進 め られてお り、

これ によ り現通行量の3倍 の コンテナ を通過 さ せ ることができる。アジア ・米国東岸 ・ガル フ 海岸 向けコンテナは北米西岸 で レールカー に積 み替 え られ ることな く超大型 コンテナ船 (新パ ナマ ックス船12000TEU級) に よる直接輸送 が 実現でき、輸送 コス ト低減 が図 られ る。 これ に よ り西岸 ター ミナルや鉄道会社 はアジアか らの 輸入 コンテナのシェアを失 うことにもなるが、

将来的にはコンテナ数量は確 実に増加す るとの 楽観論 もささやかれてい る。

・アメ リカは大 中型国際貿易港が多 く、また海 岸商業都市、海岸観光都市や リゾー ト地 も多い。

・サ ウスルイ ジアナ港 とヒュース トン港 は とも に南海岸 に位置す る。特 にサ ウスルイジアナ港 は ミシシ ッピー

デル タに位置 してい る。両港 はアメ リカ南部 の大農業生産地、エネル ギー生 産地、工業生産地に位置 してい るため、両港の 港湾貨物取扱量は全米 の第1位 と第2位 となっ てい る。

21世紀国際貿易港湾発展の研究 (二) 29

(4)

・マイア ミ (MIAMI)港はアメ リカ市民 も憧れ る世界有数 の リゾー ト都市で、一般 にマイア ミ の名称で親 しまれている。マイア ミ港は二つの 街 に分かれている。 白い砂浜 にモダンなホテル が建 ち並ぶのはマイア ミ ・ビーチ市で、一方、

マイア ミ市は金融、ハイテク産業 を リー ドす る 経済都市の色彩が強い。

・サ ンフランシス コはカ リフォルニア州 中央部 の太平洋岸 に位置 し、新潟市 とほぼ同 じ北緯約

3 8 0

にある。三方 を海 に囲まれた半島の北端 を

占め、起伏 に富み

、4 0

もの丘がある。

1 9 3 6

年のベイブ リッジ、翌

3 7

年 のゴールデ ン ゲー トブ リッジの完成 によ り、観光、金融、海 運の面で一段 と活況 を呈 した。世界で もっ とも 美 しい橋 と言われ るゴールデ ンゲー トブ リッジ は、全長約

2 8 0 0 m

、海面か ら橋桁 までの高 さは 約

6 7 m

である。

サンフランシスコは、学術 ・文化 の中心地で もある。また、サ ンフランシス コ南方のサンタ クララ郡 (通称 シ リコンバ レー) を中心に発達 した半導体、電子工業な どは、世界の先進技術 商業の分野で主導的な役割 を果た している。

サ ンフランシス コ湾 は、毎年約

8 0 0 0

余隻 の商船 が入港す る。年間総貨物取扱量は

5 0 0 0

万 トン余 で、輸 出は、工業製品、石油製品、穀物、果物 な どで、輸入は石油、綿、コー ヒーなどである。

3.

アメ リカ主要国際貿易港湾の発展

アメ リカ西海岸 に位置す る港湾には、南はサ ンデ ィェ ゴか ら北はシア トルまで

2 9

の港が存在 してい る

。2 0 0 0

年 の統計 をみ ると

3 0 9

億 ドル の 取引高 を記録 してい る。 これは

、1 9 8 0

年対比で

4 0 0%

増 とい う著 しい増加 で あ り、全米 の海上 輸送貨物 の2分の1を占める

。2 0 01

年 の取扱総 量は

2 5 3

百万 トンで、コンテナ個数換算では

1 01 0

TEU

にのぼる。

米国通税統計サー ビスJOC‑PIERSのデータを 基に した調査結果では、東西岸 の揚げ地比率は、

3 0

国際経 営論集

No . 3 8 2 0 0 9

2 0 0 4

年 には西岸

7 6. 6%

、東岸

2 2. 5%

だった もの が

、2 0 0 8

年には西岸

71 . 3 %

、東岸

2 7 %

に変化 し、

西岸偏重だったコンテナの流れに若干の異変が 生 じている。

2 01 4

年 に完工を予定 しているパナマ運河拡張 工事 によ り

、1

2 0 0 0 TEU

級 の コンテナ船 が航 行可能になる。 これ によ り、北米西岸揚げ貨物 の

2 5 %

が、メキシコや北米東岸 に向か うとの予 測 もされている③。

コンテナ貨物 をみ ると、西海岸取扱貨物がカ リフォルニア州に集 中 している

。LA・ LB

港 (ロ サ ンゼル ス ・ロングビーチ、 ロサ ンゼル ス市の

『‑市両港』 とい う。)で約7割 を占めてお り、

これにオークラン ド港 を加 えた3港で4分の3 以上 を占める。 ちなみに

LA・ LB

港 に入港 した貨 物の4割 は地元消費で、残 りの6割 は鉄道や ト ラック輸送 によ り東‑向かっている。また、米 国穀物輸出の4分の1はコンテナによる食品貿 易 の

6 5%

を占める

。UC

バー ク レーが実施 した 調査 によれば、 「西岸港湾は全米バースでは

4 0 0

万人分 もの仕事創造に関っている」 とされ る。

西海岸 の玄関 口としてのロサンゼルス港 ・ロ ングビーチ港の主要な輸出品は航空機、石油製 品、綿花、 ゴム、及びその他 の工業製品で、輸 入は鉄鋼、材木、コー ヒーその他の原料である。

ロング ビー チ港 とロサ ンゼル ス港 にお ける

2 0 0 7

年 の コンテナ取扱量 は、前年比

0. 6%

減 の

1 5 6 6

7 5 0 3 TEU

と微減 だった

。LA

港が同

1 . 4%

減 の

8 3 5

5 0 3 8TEU

で、

LB

港 が 同

0. 3%

増 の

7 31

2 4 6 5TEU

であった④

。2 0 0 6

年 の貨物取扱 量は

2 . 6 7 9 6

億 トンである。

米国最大のゲー トウェーであるロサンゼルス とロングビーチの両港の貨物受け入れキャパ シ テ ィが限界点に近づきつつあるとされ る。 ある 関係者 は 「基本的な対策が取 られなけれ ば

2 01 0

年 にはオーバーキャパ シテ ィになる」 と予言す

。2 0 0 4

年 の両港の混乱は、港湾労働者 の不足 に拠 るところが大きい ことは確かである。 しか し、 ロサ ンゼル ス/ロング ビーチ地 区では港湾 だけでな く鉄道や道路 も含 めたあ らゆる物流イ ンフラの機能強化が急務 とい う声 も根強い。輸

(5)

送ルー トの多様化 による リスク‑ ツジを狙い荷 主 は、 PNW経 由の輸送増 を 目論 んでい る。 こ うした増加 に対応す るため、タコマや シア トル な どPNW港 を中心 に、 北米西岸 各港 はター ミ ナル能力 の強化 を進 めてお り、 「LA・LBか ら貨 物が流れてきて も受 け入れ ることは十分可能」

との 自信 を見せ てい る。

① ロサ ンゼルス港

ロサ ンゼル ス港 は ロサ ンゼル ス市内か ら南‑

32kmの地 点 に位 置す る。 ロサ ンゼル ス市 のサ ンペ ドロ湾で全米 の二大港 に隣接す る。左側 は ロサ ンゼル ス港、右側 は ロング ビーチ港でいわ ゆる 「‑市二港」。 あたか も 「二兄弟港」 の よ

うである。

ロサ ンゼル ス港 の港 区面積 は

3 0k

m2、陸域面 積 は

1 7k

m2、埠頭岸線総長 は

6 9 k

m、水深 は

2‑

1 8m

、八つの コンテナ ター ミナル があ り

、2 0 0 6

年 の コンテナ取扱量は

8 4 7

TEU

(全米第1位。

世界第

1 0

位 ) で あ る

。2 0 0 7

年 の取扱 量 は

、8. 6

百万

TEU

、バース数/バース全長 は

3 0 /9 9 5 0 m

、 総面積 は

6 8 0ha

、岸壁 ク レー ン数 は

71

、ター ミ ナル数 は7である。

ロサ ンゼルス港 は米国一のコンテナ港であ り、

総貨物取扱量は全米第2位 まで成長 した。 ロサ ンゼル ス港 とロング ビーチ港 の総貨物取扱量 を 合計す ると全米一 となる。

ロサ ンゼルス税 関区では、年 間

3 0 0 0

億 ドル以 上の税収 を計上す る程 とな り、後背地の巨大な 消費マーケ ッ トを支 えてい る。

この 「二兄弟港」で

2 0 0 6

年 においては

2 5 0 0

TEU

以上の貨物 を取 り扱 い、その取扱量は世界 第五位 で、 これ は米国内の コンテナ輸入取引の

4 0%

強 に相 当す る。

同港 はまた世界 の主要港の一つであ り、他 の 先進諸港 とともに世界経済 を支 える海上運送の 需要の高ま りに対応すべ く、最先端 の港湾開発 に取 り組 んでい る

。2 0 0 4

年 には世界最大の単独 管理型 の複合 ター ミナル ピア

4 0 0

が完成 した。

ロサ ンゼル ス ・ロング ビーチ両港 か らロサ ン ゼル スのダ ウンタ ウンまで専用鉄道 と6車線道

路 を開設す る国家的プ ロジェク トは、両港 を結 ぶ

2 0

マイル の回廊であ り、内陸向け貨物 を専用 鉄道で一気 に内陸‑運ぶ ものであるo

アジアか らの荷動 きが拡大 している現在西海 岸 の南部 に位置す るロサ ンゼルス港の地理的優 位性 はますます増大 してい る。

港湾イ ンフラを見 る と

、2 7 0

のバース

、7 6

基 の ク レー ンを備 え

、2 0 0 6

年 には

1 6. 1 5m

の大深 度バースが

1 2

バース整備 されて大型船の入港が 可能 となった。

こ うした大量の貨物 の移動 を支 えてい るのが コンテナか ら鉄道‑の円滑なオ ン ドック レール 方式で

、2 0 0 5

年 には輸入 コンテナの

2 4. 5 %

が4 本 のオ ン ドック レール を経 由 して国内各所 に輸 送 された。

ロサ ンゼル ス港 は西海岸最大のクルーズ港で あ り、貨物輸送以外の面で も際立っている。 同 港 は西海岸最大級 の旅客専門ター ミナル 「ワー ル ドクルーズセ ンター」 を擁す る旅客船 ター ミ ナルで もある

。1 2

のクルーズ船社 が利用 し、年 間

1 0 0

万人強が ここか ら世界各地‑旅 立ってい る。その他商業施設の整備 な ど、 ウオーター フ ロン トの景観整備や レジャー施設 にも力 を入れ てい る。

ロサ ンゼル ス港は

1 9 7 3

年 に米国の港湾で初 め て港湾局内に環境部 を創設 したが、歴史的に見 ても港湾の環境対策に積極的に取 り組んでい る。

ロサ ンゼル ス港は全米一の コンテナ港である。

コンテナ取扱 量 を見 る と

。2 0 01

51 8 3 51 1 TEU

(世界第7位)0

2 0 0 2

61 8 0 5 61 3 TEU

(同第

8

位)0

2 0 0 3

71 8 0 0 0 0 TEU

(同第7位)

。2 0 0 4

7 2 3 4 9 0 0 TEU

(同第

8

位)0

2 0 0 5

7 4 8 0 0 0 0 TEU

(同第

1 0

位 )0

2 0 0 6

8 4 6 9 3 5 3 TEU

(同第

1 0

位 )。 しか し

なが ら

2 0 0 7

年及び

2 0 0 8

年 は世界第

1 0

位以内に入 れ なかった。 ちなみに

、2 0 0 7

年の世界第

1 0

位 は 中国の青 島港

9 4 6 2 0 0 0 TEU。2 0 0 8

年 の世界第

1 0

位 も中国の青 島港

1 0 3 2 0 0 0 0 TEU

である。

米 国最大の コンテナ港 ロサ ンゼル ス港の

2 0 0 8

年の コンテナ取扱量は前年比で

6%

減の

7 8 4

9 9 8 5 TEU

、2 0 0 5

年以来の数字 となった。 うち、

輸入 (実入 り) が同

6 . 2%

減 の

41 3

8 5 9 0 TEU

、 21世紀国際貿易港湾発展の研究 (二) 31

(6)

輸 出 (実入 り) が 同

1 0. 9%

増 の

1 7 8

2 5 0 2 TEU

であった

。2 0 0 8

1 2

月は低迷の度合いを強め、

前年 同月比

1 5 . 2%

減 の

5 6

1 0 3 3 TEU

で、 うち、

輸入 (実入 り) が同

1 2. 8%

減 の

2 9

6 4 4 3 TEU

、 輸 出 (実入 り) が同

2 5 . 9%

減 の

91 0

9 7 0 5 TEU

と大幅に減少 している。

② ロング ビーチ港

ロングビーチ港は世界有数の港であ り、バー ス数/バース全長 は

2 2 /8 4 0 0m

、総面積 は

5 4 0 h a

、岸壁 クレー ン数 は

7 3

、ター ミナル数 は

6

で ある。新時代の輸送 に向け準備 も万端の状況 と なっている。アラメダ・コ リ ドー鉄道が開通 し、

内陸部‑の複合輸送がより迅速になった。また、

初 のメガ ター ミナル も完成 した

。3 0 0

エーカー を超 える広 さのこのター ミナル には、世界最大 のガン トリークレー ンが設置 されている。 さら に今後増加 が予想 され る貨物の取 り扱いについ ても積極的に取 り組み、新たな4つのメガター ミナル建設 を含 めた港湾施設設備 にこれか らの

1 0

年間で約

2 0

億 ドル を投資 してい く計画がある。

ロング ビーチ港専用 ター ミナル ピアはBNSF 鉄道・Up鉄道 の温 ドックレイルオペ レー シ ョン によ り、シカ ゴ・ニ ュー ヨー ク・北米東部 ・南部 等の都市‑迅速に安定 したサー ビスを提供す る。

ロングビーチ港は物流、環境保全 のパイオニア である。 グ リー ンポー トを宣言 し、大気汚染防 止 を優先課題 に挙げ、環境問題 に積極的に取 り 組 んでいる。

ロングビーチ港では

、2 0 0 5

年か ら 「グ リー ン ポー トポ リシー」を挙げ、環境 にや さしい港づ くりを進 めてお り、港 による環境‑の悪影響 を 防 ぐことで、地域住民を守 り他港 との差別化 を 図るとともに、先進技術の活用で技術可能な港 湾運営を 目指 している。地域住民‑の啓発、地 域社会‑の積極的な計画 を進 めている。

こ うしたグ リー ンポー トポ リシーは、生態系 保護 、大気、水質、土壌、地域社会 との共生、

持続可能性の6つの基本原則で構成 されている。

同港 によると、船舶や トラック、列車、ハ ン ド リング機械などか ら1日当た り窒素酸化物 (NOx)

3 2

国際経 営論集

No . 3 8 2 0 0 9

4 8

トン、粒子状物質 (PM)

2. 5

トンが排 出 され ているとい う。貨物取扱量が増加す ると、こ う

した汚染物質排 出量の押 さえ込みが避 け られな い課題 となっている。

ロングビーチ港の

2 0 0 7

年の取扱量は

7 . 3

百万

T EU

、そ して

2 0 0 8

年 コンテナ取扱量は前年比

1 1 . 3

%減 の

6 4 8

7 81 6 TEU

と2ケタの減少 とな り、

ここ

2 0

年間で最大の下げ幅 を記録 した。 この う ち、輸入 (実入 り)が同

1 3 . 9 %

減の

31 8

9 3 6 3 T EU

、輸 出 (実入 り)が同

7 . 2%

増 の

1 6 8

7 0 5 1 T EU

、空コンが同

2 0. 8 %

減の

1 61

1 4 0 2 TEU

であっ た。

2 0 0 8

1 2

月のコンテナ取扱量は、前年 同月比

2 5 . 3%%

減の

4 2

9 9 4 6 TEU

、2 0 0 5

年2月以来、

3年

1 0

カ月間で最 も低い数字 となった。 うち輸 入 (実入 り) が同

2 6. 9 %

減 の

2 0

5 0

TEU

、輸 入 (実入 り)が同

3 4. 2 %

減 の

9

4 0 0 9 TEU

、空 コ

ンが同

1 3 . 8 %

減の

1 3

9 0 6 TEU

であった。

同港は

、2 0 0 7

年は国内住宅市場の不振を受け、

家具 な どの輸入 が低迷 のなかで健 闘 したが、

2 0 0 8

年に入 り衣類、お もちゃ、電気製品な ど輸 入の全品 目が減少 し、夏過 ぎか らは2年近 く成 長 を続 けてきた輸出も世界的な経済悪化 によ り 低下、減少 に転 じた。

同港は

2 0 0 9

年第‑四半期 も不調が続 き取扱量 が

1 5‑3 0 %

減少す ると見てお り、通年 で も

2 0 0 7

年 の前年比

1 . 3 %

、2 0 0 8

年 の

6%

減 か ら3年連 続で前年割れ を予測 している。

③オークラン ド港

オークラン ド港の

2 0 0 8

年第一四半期のコンテ ナ取扱 量 は前年比

6

.4%減 の

2 2 3

6 2 4 4 TEU

で、

2 0 0 4

年以来の低い数字 となった。 この うち、輸 入 (実入 り) が同

1 0 4%

減 の

7 9

6 9 0 6 TEU

、輸 出 (実入 り)が同

0. 3 %

増の

91

2 4 8 0 TEU

だった。

2 0 0 8

1 2

月の実績は、前年同月比

1 3 %

減の

1 6

6 9 6 4 TEU

、 うち輸入 (実入 り) が

1 5 . 7 %

減 の

5万

7 2 0 7 TEU

、輸 出 (実入 り) が同

1 6. 3 %

減 の

6

3 7 3 2 TEU

であった。

オークラン ド港の

2 0 0 8

年のコンテナ取扱量は、

前年 同期 比

1 5. 7 %

減 の

4 5

9 8 6 5 TEU

と下 げ幅 を

(7)

1 0 %

台に とどめた。 うち輸入 (実入 り)が同

1 9. 3

%減 の

1 5

2 4 0 9 TEU

、輸 出 (実入 り) が同

1 1 . 1 %

減 の

21

3 31 TEU

とロサ ンゼル ス/ ロング ビー チ港に比べれば減少幅は小 さい ものの、依然 と

して2ケタの減少 を続 けている。

2 0 0 9

3

月 の実績 は、前年 同月比

4. 7 %

減 の

1 6

9 81 6 TEU

であった。

④ポー トラン ド港

ポー トラン ド港 の

2 0 0 3

年 の総貨物 取扱 量 は

2 6 7 9 . 6

万 トンであった。鉄道網整備 な どを推進 して

、2 0 0 9

年 は

2 7

TEU

を 目指 している。米国 オ レゴン州ポー トラン ド港湾局においては、穀 物 をは じめ とす るオ レゴン州産の農産物 を主 と

した輸 出が

1 0

年前 には全体 の

8 0 %

を占めていた が、北米向け貨物に伴い輸入が増加 し、ホンダ、

トヨタが利用す る自動車港であることもあって、

近年 では輸 出入 の割合 が1:2 :1まで接近 し ている。

2 0 0 7

年 の コンテナ取扱量は前年比

21 %

増 の

2 6

TEU

、2 0 0 6

年に引き続き2ケタの伸び となっ た。

2 0 0 4

年 に川 崎 汽 船 、

Hy u nd a i Me r c h a n t Ma r i n e c

(韓 国) がサー ビスを相次 いで休止 し たためコンテナ取扱量が急減 したが、ポス トパ ナマ ックス型ガン トリー クレー ンの追加や鉄道 拡充な どイ ンフラ整備 を継続 した ことが奏功 し て

、2 0 0 8

年7月には川崎汽船が極東/北米航路 でサー ビスを再開 し、東京、神戸、名古屋 を結 んだ

。2 0 0 8

年 は

2 7

TEU

を 目指すが国内経済低 迷 によ り微減す る見通 しである。

このほか

、2 01 0

年までにコロンビア川か らつ ながる水路 を完成 させ るとともに、内陸仕 向け 地‑の鉄道輸送網 も拡充す る。

ポー トラン ド港の

2 0 0 8

年のコンテナ取扱量は 前年 比

6

.4%減 の

2 4

5 45 9 TEU

、2 0‑3 0 %

の伸 びで拡大 を続 けた過去2年か ら再び減少 に転 じ た。

この うち輸入 (実入 り) が 同

3 . 5 %

減 の

1 0

7 61 6 TEU

、 輸 出 (実入 り) が 同

8 . 5 %

減 の

1 3

7 8 4 3 TEU

だった。

総貨物 取扱 量 は

1 41 0

9 4 3 3

トンで前年 か ら

2. 3 %

減少 した。主要品 目である穀物 は

0. 1 %

減 の

4 41

47 7

トン。 自動車取扱台数は

4 0

7 8 0 3

台で 昨年 よ り

9. 2 %

減少 した。

ポー トラン ド港の

2 0 0 9

年第‑四半期のコンテ ナ取扱量は前年 同期比

2 5 . 8 %

減 の

4

8 6 3 4 TEU

と 大幅な落ち込み を示 した。 うち輸 出が2

1 . 3 % k

減 の2万

8 9 21 TEU

、輸入が同

31 . 6 %

減 の1万

9 71 3 T EU

だった。期 中の寄港回数が前年同期か ら

3 4. 6

%下回る

1 3 6

回、主要ベースの総貨物取扱量 も同

3 7 . 9 %

減 の

2 4 4

6 8 2 9

トンと激減 した。

⑤タコマ港

タコマ港 の

2 0 0 3

年 の総貨物取扱量 は

2 2 9 6 6. 6

万 トンで

、2 0 0 7

年 の総貨物取扱量は

1 9 5 6

.4万 ト ンである。 タコマ港は若い港であるが近年 の発 展 は著 しく、注 目されてお り、全米NO.1港湾 の更なる拡張計画 といわれてい る。 タコマ港は 米国の専門誌の読者投票によって、全米で 「ベ ス トの港湾」 とのお墨付 きを得ている。

これは、信頼性、生産性の高 さ、 コス ト効率 な どが高 く評価 された結果であるが、受賞につ いて同港のフアレル局長は 「タコマ港はインター モー ダル ・ゲー トウェイ となることを 目指 して 様々な施策 を展開 してきた。そのゴールに向け てター ミナルお よびオ ン ドック・イ ンターモー ダル ・ヤー ドが どのよ うにあるべ きかについて 十二分 に認識 し、つねにユーザーの視点やニー ズを踏まえて、需要予測、イ ンフラ整備、技術 的問題 も含む港湾全体の枠組みの構築などを行っ てきた。今回の受賞は、北米 におけるオン ドッ ク・イ ンターモーダル ・ヤー ドのパイオニア とし て、最新鋭 のオパ レーシ ョン・システムな ど一 連の施策が的を射ていたことを明瞭に証明す る ものである。 きわめて好調 に推移 している取扱 実績 に もその こ とは表れ てい る

。 1 9 9 8

年 か ら

2 0 0 5

年までの間で、タコマ港のコンテナ取扱量 は新規ユーザーを

1

社 も加 えることな く

5 2 %

増 と い う極 めて高い伸びを記録す ることができた。

2 0 0 5

年は、タコマ港が更なる拡大、発展 を遂 げ る新たな一歩を踏み出す記念すべき年 となった」 と語 っている。

21世紀国際貿易港湾発展の研究 (二)

3 3

(8)

タコマ港が伝統的に有 してい る強み としては、

①広大 な開発用地 に恵 まれ てい ること、②採水 港 と して超 大 型 船 ‑ の 対 応 が 可 能 な こ と、

③BNFSお よびUPとい う西部 二大鉄道 の乗 り入 れや高速道路網 、船室輸送ネ ッ トワー ク (シア トル ・タコマ国際空港 が至近距離 にある)な ど、

交通 の要所 として立地面 で優位性 を持つ ことの 3点 を挙 げるこ とがで きる。

全 体 で約320haの タ コマ港 の用 地 は全 て 自由 貿易地域 に指定 され てい る。 また、港湾 区域 内 外 の所 有地 には、 1‑80haまで の幅広 い単位 に 分割可能 な産業 団地 が存在す るほかに、南 に約 21kmの地点 には区画整 理 され た120ha規模 の フ レデ リク ソン産業域 があ り製造業 な らび に重工 業 向けに分譲 を行 ってい る。

また、 タコマ港 は2000年11月 まで にブ レア水 路 の波藻 を完 了 させ た。現在 、ブ レア水路 は‑

15.5mの水深 を確保 し、超 大型 コンテナ船 の航 行 に支 障はない。 タ コマ港 では さらなるブ レア 水路の拡幅お よび改修 工事 を計画 してい る。

総延長約4.3kmに及 ぶ ブ レア水 路 は、 主要 ター ミナル が集 中す るタコマ港 の心臓部 とも言 えるエ リアである。 同水路 の最 も狭い個所 は108 mで、平均幅で約200mで ある、それ を248mに 拡幅す る と同時に、ブ レア水路 の最奥部 ターニ ング・べ イス ンの直径 を457m増大 させ て、超 大 型 コンテナ船 の旋 回 を安定的 に行 えるよ うにす

る計画 である。

北米 で最 良のイ ンターモー ダル ・ゲー トライ ンを 目指す タコマ港 の強み は、様 々な条件 に対 応 可能 な豊 富な開発用地 を擁 してい るこ とにあ る。 そ して、いま世界 の関係者 が熱 い視線 を注 いでい るのがイース ト・ブルテ地 区である。

順調 に行 けば2011年 頃 に もオープ ンが見込 ま れ るター ミナル完成 は、 タ コマ港 の地位 を跳躍 的 に高 める決定的な契機 にな るだ ろ う。

今年就航20周年 を迎 えたマース クシー ラン ド に対 してタコマ港 が贈 呈 した記念 の額 に刻 まれ た文字 の一節 があ る。 その フ レーズはタ コマ港 寄港 の各船会社 と手 を携 えて着実 に発展 を遂 げ て きた 同港 の 「これ まで と、 「これ か ら

34 国際経 営論集 No.38 2009

輝 か しい将来 を端的に示す もの ともい えよ う。

タコマ港 の2009年第一 四半期 の コンテナ取扱量 は前年 同期 比23.6%減 の32万9274TEUと未 だ低 調 ではあるものの明 るい兆 しがみて とれ る。

⑥ シア トル港

シア トル は、 ワシン トン州 の北西部 にある米 国北西部最大 の都市である。太平洋お よびカナ ダの南 国境 か らはそれ ぞれ約230km離れ 、酉 は ビュー ジェ ッ ト港 、東 は ワシン トン湖 、北はユ ニオ ン湖 、 グ リー ン湖等、内海 、大小 の湖 、河 川 に囲まれ た水郷都市である。

1916年 に設 立 され た航 空機製造会社 ボーイ ン グ社 は世界最大 の規模 とな り、航空機産業 の主 生産地 となってい る。 日本 をは じめ、アジア お よびア ラスカ との交通貿易 の拠点 として、 シ ア トル港 と隣接す るタコマ港 を合 わせ る と、 コ ンテナ取扱 量 は全米第2位 で あ る。 豊 か な林産 資源 を利用 した木材 、製紙 、パル プ工業 が盛 ん である。 マイ クロソフ ト社 をは じめ とす るコン ピュー ター 関連 、計測機 な どのハイテ ク産業 の 発達が著 しい。 また造船産業 も発達 してい る。

アメ リカ太平洋北部 の工業 ・文化 ・先端技術 の 中心地であ り、シア トル港 は主要 な国際貿易 港 である。海外進 出企業 を数多 く生み 出 してい る ビジネ スが極 めて活発 な都市である。

1960年代 には西海岸最大の コンテナカー ゴ取 扱 港 で あったが、現在 で は全米第8位 の コンテ ナ取扱 量 を誇 る港である。港湾部 門の年 間収益 は、マ リンカー ゴ、商業用漁船 、クルー ズ、土 地 リー スな ど合 わせ て25億 ドル (約2750億 円) に も達す る。

(Dコンテナ ター ミナル :コンテナ ター ミナル の面積 は515エーカー あ り、30の定期便、 16の バース、26台の コンテナ ク レー ンが設置 されて い る。 2004年 の コンテナ取扱 量 は179万TEU、 2005年 は200万TEUを超 え、5年以 内に300万TE Uに達す る見込みで ある。 現在 では 中国が シア

トル港 の 1番 の貿易相手であ り、 日本 がそれ に 続 いてい る⑤。 シア トル港 の2003年 にお け る貿 易相手 の トップ15はすべ てアジアの港で ある⑥。

(9)

シア トル港はター ミナル30をクルーズター ミ ナル に変更 し、ター ミナル37が46に吸収 された ことか ら現在 ター ミナル5、 18、25、46の4つ の主要なター ミナルがある。 ター ミナルか ら州 間高速道路の1‑5、 1‑90までは5‑10分の至 近距離 にあ り、BurlingtonNorthern SantaFe鉄 道 (BNSF)及 びUnion PacifiC鉄道 の2本 の鉄 道が乗 り入れている。

シア トル の都 心か ら1マイル (1.6km)南西 にあるター ミナル18はシア トル港最大のコンテ ナター ミナルである。総工費3億 円を投入 して、

1995年 に拡張計画がスター トし、2002年4月に 工事が完了 した。その結果、ター ミナル面積が 倍増 し、 コンテナ と段積み列車 (DST)58車両 の作業ヤー ドと同58車両の保管ヤー ドを備 えた 複合一貫輸送ヤー ドが建設 された。

② クルーズター ミナル :近年アラスカクルー ズ産業に大きな力 を注いでいる。 1999年 にはシ ア トル をベース とす るクルーズ船 は年間6回の 就船で、乗客は6600人であったが、2002年 には 75就船 (24万人)、2003年には99就船 (35万人)、

2004年 は150就船 (56万人) に達 し、2004年 の 経済効果 は2億800万 ドル (約230億 円) であっ た。

シア トル港はクルーズター ミナル として2つ のター ミナル を持ってい る。 1つは2001年 に完 成 したベルス トリー トピアクルーズター ミナル (68000平方 フィー ト)で、シア トル港の中心に 位置す るビア66にある。周辺 にはワール ド・ト

レー ド・セ ンターや 国際会議場、 レス トラン、

ホテルな どが建 ち並び、またシア トル の観光名 所であるパイクスプ レイスマーケ ッ トも徒歩圏 にある。 2003年 に完成 した ター ミナル30は、

1650万 ドル (約18億 円) を投入 してつ くられた ター ミナル でダ ウンタ ウンの南端 に位 置 し、

95000平方 フィー トあ り、2隻 のクルーズ船が 同時に着岸できる。

神戸市 とシア トル市は1957年10月 に姉妹都市 提携 を結んだ。神戸港 とシア トル港間の貨物取 扱量は、2003年統計 において、479129トンであ る。神戸港の貨物 を取 り扱 うアメ リカの港の中

で第6位 とそれほ どの量ではない。 しか しなが ら、神戸港か らシア トル港‑の主要な輸出品 目 は機械 関連品であ り、シア トル港は 日本の付加 価値の高い機械製品等 を輸入す る港 として主要 な位置 を占めてお り、神戸港 と密接 な関係 を築 いている。今後 とも姉妹港の協力が、両港の発 展 に繋がることを期待 したい。

シア トル港の2008年 のコンテナ取扱量は前年 比13.6%減 の170万4492TEUと2ケタの落 ち込み をみせ た。 うち、輸入 (実入 り)が同18%減 の 66万4472TEU、輸 出 (実入 り) も同13.7%減 の 43万4546TEUと不調であった。

2008年12月の実績 を見ると、前年 同月比27.6

%減 の11万2135TEUと大 き く落 ち込んでい る。

この うち輸入 (実入 り)が同28.4%減 の4万3127 TEU、輸出 (実入 り)が同48.9%減の2万3931TE Uと伸び率、本数 ともに2008年で最低 となって いる。

シア トル港の2009年第一四半期のコンテナ取 扱量 は前年 同期 比で23.6%減 の32万9274TEUと 改善 した。 この うち、輸入 (実入 り)が12万44 99TEUで同27.8%減、輸 出 (実入 り) は8万7791 TEUでまだ前年 同期か ら30.2%下回っている⑦。

2002年 か ら2003年 までの間の年取扱量は100 万TEUを超 え、港 は6港 ある。 北米東岸 の13港 の中で、第一位 はNY/NJ港 (車泊岸港湾取扱量 の29.2%を占める)、第二位 はチャール ス トン港 (同12.1%)。第三位はボルティモア港 (同11.8%)、 第四位 はサバ ンナ港 (同10.9%)、第五位 はカナ ダ ・モ ン トリオール港 (同8.0%)、第六位 はマ イア港 (同7.5%)である。

⑦ニューヨーク・ニュージャージー港 (NY/NJ港) NY/NJ港は全米第3位 のコンテナ港で、また 同第 5位 の大総貨物取扱量港である。北米東岸 で最大の港 ともいえる。港区面積 は3800km2、 コンテナ ター ミナル37、港 区水深9‑15mであ る。 NY・NJ港湾局側 は、現在大型 コンテナ船が 入港す る際の妨げ となっているベイ ヨン橋の高 さ制限 (44メー トル)について、道路部分の再 建築による嵩上げ、橋 のジャッキア ップ、橋の

21世紀国際貿易港湾発展の研究 (二) 35

(10)

架 け替 え、 トンネル建設 とい う4つの案 を検討 中である。喫水 も15m超 に竣探 して、大型船の 入港 に対応す る考 えである。

同港湾局 は

CT

用 の用地取得や 、鉄道 を利用 した同港発着の泊陸複合輸送入の船社、荷主に 対す る奨励 の拡充な ども進 めてお り、パナマ運 河拡張後の港湾利用拡大に向けての強い意欲が

うかがえる。

ニュー ヨー ク・ニュー ジャー ジー港 は大型 コ ンテナ船入港や貨物の取扱量増 に対応すべ く、

水路の凌漢や ター ミナル、鉄道施設の大規模 な 拡張工事 を推進 してい る。 このほ ど来 日した NY/NJ港湾局 の リチ ャー ド・M・ラ ビ‑商務 局 長 とピー ター・J・ザ ンタル部長 は 「2009年 まで に各水路 を水深15mまで漢藻 し、 よ り大型 のコ ンテナ船入港 に対応す る。また、全 ター ミナル に鉄道 システム"ExpressRail"のオ ン ドック施設 を建設 し、 よ り効率的なイ ンターモーダル輸送 を実現 したい」 と開発計画 の展望 を語 った。

2006年 の コンテナ取扱量 は595万TEU (前年比 24%増)で、NY/NJ港の2008年1‑9月の取扱量 は前年 同期比、実入 りで4.1%増の約177万TEU、

うち輸 出が 同16%増 の71.4万TEU、 輸入 が同 2.2%減 の112.7万TEUで、空 コンが同15.4%減 の 47.6万TEUで、総 じて減少傾 向のPSWに比べ順 調 に推移 している。

リチャー ド・M・ラビ‑商務局長 は、悪い経済 状態のなかで東岸が堅調 な理 由として、内陸鉄 道運賃の上昇、 トランジ ッ トタイムの悪化、燃 料高、 リスク分散、西岸 における追加料金の発 生をあげ、米国北東部、中西部、カナダ地域の 消費地向け貨物が西岸 向けか ら東岸 にシフ トし ているとも述べた⑧。

これを裏付けるように、同港で

1‑9

月に扱っ た実入 りコンテナの うち、アジア第 1位 が東北 アジア貨物 (35%)、第3位 の東南アジア (7%) と合わせ ると4割以上をアジアの貨物が 占めて い る。第2位 は22%の北欧州である。 2008年上 半期 (1‑6月)のアジア貨物の伸びを比べると、

西岸 は東北アジア貨物がマイナス成長、東南ア ジア貨物 も約5%増 とふ るわなかった一方で、

36 国際経営論集 No.38 2009

NY/NJは東北アジア貨物 も約25%と大幅増加 してお り、アジア貨物の西岸か ら東岸‑のシフ

ト傾 向が伺 える。

2015年予定のパナマ運河拡張を見越 して同港 では大型 コンテナ船寄港‑の対応策 を推進 中で、

現在ネ ック となってい るベイ ヨン・ブ リッジに ついては、道路の嵩上げ、橋梁のジャッキア ッ プ、橋の架 け替 え、 トンネルの振削な ど各方面 か ら技術的、環境的に検討 してお り、2009年夏 に方針 を決定す る予定だ と明 らかに した。ただ し、15億 ドル を投 じて早急 に対応す るとは して い るものの、パナマ運河拡張の2015年までに完 工す るのは難 しい模様である。

さらに、現在NY/ NJ港 は2007年 か ら2016年 までの16年間で約19.3億 ドル を投 じて整備拡張 を進 めている。内容は①水路増深、② ター ミナ ル拡張、③鉄道イ ンフラ整備 、④港湾内道路拡 張、(9内陸アクセス整備、⑥セキュ リテ ィな ど で、2014年完了をめどに全ての水路を水深50フィー トまで掘 り下げるほか (KillVan Kull :2010 年 半ば完成、PortJeise:2010年‑ 2011年完成 な どを予定)、 ター ミナル拡張によ り2017年 の 取 扱 量 は 、1160万TEUを 目指 す と して い る

(2007年実績 は530万TEU)。

また 、 同港 で はオ ン ドック レールExpress Railの拡張計画 に力 を入れてお り、今後2年 間

も港湾設備 の主要要素 となるとい う。昨年 には ス タテ ン島に新施設ExpressRailStaten Island が完成、2009年上半期の貨物量は前年度比14%

増 となってい る。 今後 、 ニ ュー アー ク地 区の Elizabeth MarineTerminalに1万 フィー ト4本 の トレインが同時に乗 り入れ られるインターモー ダル ヤ ー ドの完成 、 オ ン ドック レール 施 設 ExpressRailElizabethに 2本 目の引き込み線 の 完備、 さらに新施設PortJexseyExpressRailの 建設 も予定 してお り、既存のElizabeth、Newark、 Statenlslandと合 わせ て2012年 には鉄道輸送量 の倍増 を見込んでいる。

⑧サバ ンナ港

サバ ンナ港の2003年 の総貨物取扱量は2336.9

(11)

万 トンで あ る サ バ ンナ 港 は米 国第4位 の コ ン テ ナ 港 で あ る。 サ バ ンナ 港 の2007年 の コ ンテ ナ 取 扱 量 は前 年 比20.5%増 の260万4454TEUを記録 した。 2008年 の コ ンテ ナ 取 扱 量 は前 年 比0.4%増 の261万6162TEUで ほ ぼ横 ば い で あ っ た。 この うち 、 輸 入 が 同2.2%増 の122万6247TEU、 輸 出 は 同1%減 の138万9915TEUで あ った。

実 入 りベ ー ス で は 同3.7%増 の215万6203TEU で 、 うち輸 入 が 同0.1%減 の107万3263TEUと微 減 した もの の、輸 出 は 同7.7%増 の108万2940TEU

とな った。

むす び

21世 紀 ア メ リカ の産 業 経 済 成 長 と国 際海 事 協 力 に よ り、 この地 域 の 国 際貿 易 港 湾 も拡 張 され て い る。

最 近 、 ア メ リカ経 済 発 展 の兆 しが 見 られ 、今 年 末 あ るい は来年 に は プ ラス成 長 とな る可能 性 が あ り、 ア メ リカ海 事 の発 展 も可 能 で あ る。 特 にア メ リカ の国 際 貿 易 港 湾 産 業 が さ らに発 展 す る こ とが期 待 され る ところで あ る。

① 資 料 :U.S.Armr CorpsofEngineers,waterborne CornmerceoftheUnitedStates,2003;httpノ/

www.iwr.Usace.army.nil/nacl

②containersation lnternationalな どのデ ー タか ら。

③ 「米 国西海 岸 一 辺倒 に異 変 」 『日本 海 事 新 聞』

2009年7月22日

④ 「世界 主要港 の2007年 コンテナ取扱 量」『荷 主 と 輸送』2008年2月

⑤ 「世界主要港 の2008年 コンテナ取扱 量」『荷 主 と 輸送』2009年2月

⑥ 「神 戸港 の姉妹 港 シア トル港 」『港湾荷役』 平 成17年9月

⑦『荷 主 と輸送』2009年5月

⑧ 「北米港湾 、 首脳 陣が続 々来 日、金 融危機 の打 撃 のなかか ら今 後 の展望語 る」『荷 主 と輸送』

2008年12月

参考文献

1 白建 才等著 《米 国 :植 民地 か ら超大 国まで》

三秦 出版社 2005年第1版

2 何 晋秋 、曹南燕編著 《米 国 :科学技術 と教育 発展》人 民教育 出版社 2003年第1版 3 徐 熊著 《ア メ リカにつ いて》 中国国際放送 出

版社 2003年第1版

4 陳崎克博編 《ア メ リカ :その特質 と諸相》英 潮社 1996年第1版

5 星野芳郎 《日米 中三 国史》 印刷所理想社 、発 行所文垂春秋 平成12年第1版発行

6 張隆高等著 『ア メ リカ企 業史』東 北財 政大学 出版社 2005年第1版

7 付美椿編 著 『アメ リカ経 済史』対外経済貿易 大学 出版社 2004年第1版

8 陳才主編 『世界経済地理』 北京 師範大学 出 版社 2005年第1版

9 王裕 栄主編 『交通運輸』 山東科学技術 出版社 2007年第1版

10 UAE IssaBaluch著 羅 開富等訳 『運輸物流 一 過去 、現在 と未来』人 民交通 出版社 2006年 第1版

11 上野喜一郎著 『船 と海 のQ&A』成 山堂書店 平成17年第1版

12 拓海 広志著 『船 と海運 のはな し』成 山堂書店 平成18年 第1版

13 野滞和男著 『船 での巨大で力強い輸送 システ ム』大阪大学 出版社 2006年第1版

14 渡辺逸郎著 『コンテナ船 の話』成 山堂書店 2006年 第1版

15 0FFSHORE MARINE TECHNOLOGY 2009 16 THE NAVAL ARCHITECT 2009

17 Fainolay THE INTERNATIONAL SHIPP INGWEEKLV 2009

18 『海運情報』 2007年第 3号 19 『コンテナ化』 2007年12月

20 『港湾荷役』 "米 国にお け るコンテナ荷役 オペ レー シ ョン" 平成21年3月

21 『荷 主 と輸送』2009年5号

22 『日本海 事新 聞』 "北米港 湾事 情" 2009年7 月22日

23 『港湾』 2009年8月 24 『海運』 2009年7月

21世紀国際貿易港湾発展の研究 (二) 37

参照

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