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混和材による水和生成物量の違いが炭酸化速度に与える影響

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Academic year: 2021

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(1)

「都市の防災と再生研究」

混和材による水和生成物量の違いが炭酸化速度に与える影響

AH15021 落合 ひな 指導教員 伊代田 岳史

1.はじめに

セメントの中間製品であるクリンカを製造する過程 で,石灰石を焼成することで二酸化炭素(以下,CO2) が発生する.そこで,普通ポルトランドセメント(以 下,OPC)に混和材を置換することでクリンカの構成 比を大幅に引き下げられるため,CO2排出量を削減で きるメリットがある.その一方で,混和材を置換する ことで,初期強度や中性化抵抗性が低下するデメリッ トがある.本研究では,混和材置換のデメリットであ る中性化抵抗性に着目した.一般的に,コンクリート の中性化とは,コンクリート中の水和物である水酸化 カルシウム(以下,CH)とケイ酸カルシウム水和物(以下,

C-S-H)が炭酸化することであり,水和物量に大きく依存 すると考えた.既往の研究より1) BFSの高置換(70%

付近)において中性化速度が大きくなり,また中性化 速度係数と水和物である CHC-S-H CaO 量に相関 関係があると報告されている.そこで本研究では,セ メントの水和生成物量の違いが炭酸化速度に与える影 響を検討するため,空隙構造と炭酸化する水和物中の CaO量に着目し研究を行った.

2.実験概要

2.1使用材料及び供試体諸元

本研究では,混和材(BFSFA)を用いた水和生成物量 を変化させた硬化体の炭酸化進行速度への影響を検討 した.そこで,水結合材比(以下,W/B405070%

とし,それぞれにおいて養生条件と BFS 置換率を 0,50,70,90%及びFA30%置換した試料を作製した.養 生条件は,W/B 50%BFSに関しては728日間の水 中養生を行った.それ以外に関しては0,7,28日間の 封緘養生を行った. W/Bと養生条件を変えることで空 隙構造を変化させ,セメント種類を変えることでセメ ント硬化体中に生成される水和物を変化させ,中性化 速度への影響と水和物の関係を探った.供試体寸法は 40×40×160mmとし,BFS90%置換したものに関して は中性化速度が大きいことから80×40×160 mmとし,セ メントと砂の質量比を 1:3 としたモルタル供試体を作

製した.

また,水和物中のCaO量を調べるため水和物の解析 を行った.モルタル試料と同配合のセメントペースト を作製し,各養生を施した後,粉砕し,アセトンを用 いた真空飽和処理により水和停止を行い,40℃の炉で乾 燥処理を行うことで水和物分析の前処理とした.

今回は,BFSに注目しBFSのみの結果を示す.

2.2試験内容

(1) 中性化試験

養生終了後,供試体にアルミテープで側面の 2 面を 除き封緘した.その後,実環境と促進中性化試験装置

(温度 20℃,湿度60%,CO₂ 濃度 5%)に静置した.

材齢ごとに割裂し,JIS規格に準拠しフェノールフタレ イン溶液を噴霧した.赤紫色に呈色した部分までの長 さを各面の上下 4 点,計8 点計測し,その平均値を中 性化深さとした.

(2) 反応率の測定

炭酸化の対象成分をCHC-S-H中のCaOと考え,硬 化体中の水和生成物量(CH,C-S-H)を求めるために,

OPCとスラグの反応率を測定することでCaO量を求め た.

OPC の 反 応 率 は , 示 差 熱 ・ 熱 重 量 同 時 測 定 装 置 (TG-DTA)を用いて強熱減量を計測して算出した.CH の熱分解による脱水量からCH量を求め,材齢28日に おける CH量が最大と仮定して,OPC の水和度を 100 とし,各材齢のCH生成量から反応率を算出し,その反 応率を用いて C3Sから生成するC-S-H量を逆解析によ り算出した.

一方,BFS の反応率測定には,サリチル酸・アセト ン・メタノール溶液による選択溶解法を用いた.算出 したBFSの反応率から消費したCaO量を算出し,C-S-H 量と仮定した.なお,BFS の反応率を算出する際に,

強熱減量法の値を使用した.

3.実験結果及び考察

3.1実環境と促進環境の中性化試験

図-1 に実・促進環境の封緘養生なしにおける BFS

(2)

置換率と中性化速度係数のW/Bによる違いを示す.BFS が高置換なほど中性化しやすく,W/B が高くなるにつ れ中性化しやすい傾向を示した.さらに,置換率 70%

を越えると,急激に中性化速度係数が大きくなった.

これは,水中養生をした場合も同様であった.

3.2中性化速度係数と水和物中の CaO 量の関係 表-2に水和物の解析により算出したCHC-S-H中 の CaO 量を示す.同一置換率において W/B が大きく なるほど,CaO量も大きな値となった.

図-2に算出した水和物中の CaO 量と促進環境中性 化速度係数の関係を,異なるW/Bごとに示した.既往 の研究 1)である,W/B50%における養生条件 0,7,28 日の結果を塗り潰しありの点でプロットしている.

W/B40,70%それぞれにおいて相関関係が得られた.ま た,W/B50%の傾きに対して,W/B40%70%の傾きは ほぼ平行に位置した.W/B の相違で平行に位置した結 果より,中性化速度は硬化体の内部構造に影響を受け ていると考えられ,硬化体内部が緻密化することで中 性化速度が小さくなったと考えられる.また,BFS を 90%置換したものに関して,中性化速度係数が急激に大 きくなるのは,CaO 量が大幅に少ないことが影響して いると考えられる.このことから,CaO 量の違いが中 性化速度に影響を与えていると考えられる.

4.まとめ

(1) 水和物中の CaO 量と中性化速度係数の関係から,

CaO 量が少ないほど中性化速度係数は大きくなっ た.CaO量は使用する材料に加え,養生条件に大き く依存するといえる.また,B90では,CaO量が極 端に少なく,他の置換率における中性化メカニズム とは異なると考えられる.

(2) W/B を変動させることによりセメント硬化体の CaO 量が同程度であっても中性化速度係数は異な った.このことは,W/Bによる空隙構造が変化する ことを意味していると考えられる.

参考文献

1) 中村絢也,伊代田岳史,後藤誠史:高炉セメント 硬化体の実と促進環境における炭酸化メカニズ ムに関する考察,コンクリート工学年次論文集 Vo1.40,No.1,PP585-590

0 10 20 30 40 50

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 中性化速度係数 (mm√week)

置換率(%) 促:W/B=40% 実:W/B=40%

促:W/B=50% 実:W/B=50%

促:W/B=70% 実:W/B=70%

図-1 BFS 置換率と中性化速度係数の関係

0 5 10 15 20 25

0 10 20 30 40 50

中性化速度係数 (mm√week)

CaO量(wt%) W/B40

W/B50(既往の点) W/B70

W/B50-B90

図-2 CaO 量-中性化速度係数 表-2 水和物(CH 及び C-S-H)中の CaO 量の計算シート

40 60 0.33 8.65 - - - 8.65 60 0.33 5.77 14.42

50 60 0.34 8.96 - - - 8.69 60 0.34 5.97 14.93

70 60 0.39 10.25 - - - 10.25 60 0.39 6.83 17.08

40 30 0.55 7.29 21.5 0.34 7.38 14.68 30 0.55 4.86 19.54

70 30 0.55 7.29 21.5 0.32 6.94 14.24 30 0.55 4.86 19.1

50 B90 6 0.55 1.46 38.7 0.21 8.15 9.61 6 0.55 0.97 10.58

40 30 0.94 12.47 21.5 0.27 5.84 18.3 30 0.94 8.31 26.62

50 30 0.94 12.48 21.5 0.38 8.14 20.6 30 0.94 8.31 28.91

70 30 0.94 12.47 21.5 0.44 9.43 21.9 30 0.94 8.31 30.21

50 B90 6 0.94 2.49 38.7 0.19 7.34 9.8 6 0.94 1.66 11.47

40 30 1 13.26 21.5 0.43 9.22 22.48 30 1 8.84 31.33

70 30 1 13.26 21.5 0.7 15.12 28.38 30 1 8.84 37.23

50 B90 6 1 2.65 38.7 0.26 10.23 12.89 6 1 1.77 14.66

封 緘 2 8 日 B50

封 緘 7 日 B50

な し

B0 B50

C - S - H 中 の C a O 量

O P C 中

C3S O P C 反 応 率 C H 中 の C a O 量

C - S - H + C H O P C 反 応 率 C - S - H 量 B F S 中 総 量

C a O 量B F S 反 応 率 C - S - H 量 養 生 期 間 W / B 置 換 率 O P C 中

の C3S

参照

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