執筆者 : 柳橋 義昭
IPO 投資で会社員が 9 ヶ月間で
1000 万円稼いだ具体的な 2 つの方法
執筆者 : 柳橋 義昭
はじめに
会社員にとってこの不景気な世の中、あまり給料は増えないですよね。
それでもより多くのお金があれば、もっとやりたい生活ができるのに悔しく思われてい
るはずです。私個人としてぜひともお勧めしたいのが IPO 投資です。
うそのように思われるかもしれませんが私は IPO 投資を実践して、2015 年の 9 ヶ月間
で 1000 万円以上の利益をあげています。
この 9 ヶ月間の主な内訳は IPO 株の獲得で 250 万円、IPO のセカンダリー投資で 1014
万円の利益をあげています。
私の給料は雀の涙程度ですので、IPO 投資の収益のほうが大きいです。
このレポートでは一般的な勤め人である私が IPO 投資を活用して、これだけ稼いでい
る具体的な方法をお伝えします。
ご紹介する方法は 2 つだけです。
それは
公募割れしない銘柄を選ぶ。
IPO セカンダリー投資で収益機会を増やす。
です。
執筆者 : 柳橋 義昭
以下は 2015 年の 9 ヶ月間で得た IPO 投資(公募獲得)の収益です。
●抽選で得た
IPO の損益
銘柄名(コード) 公募価格 株数 売却価格 利益 ファーストロジック(6037) 1770 100 2850 10.8万円 ショーケースティービー(3909) 1800 100 5290 34.9万円 Aiming(3911) 920 500 1280 18万円 リンクバル(6046) 2400 100 3070 6.7万円 デザインワンジャパン(6048) 2750 100 4150 14万円 キーパー技研(6036) 2120 100 3160 10.2万円 ヒューマンウェブ(3224) 1800 100 2010 2万円 日本動物高度医療センター(6039) 1130 100 1630 5万円 レントラックス(6045) 1750 100 2680 9.3万円 ヘルスケア&メディカル(3455) 110000 10 170000 60万円 DIT(3916) 1300 100 4500 32万円 メニコン(7780) 1700 300 2950 37.5万円 サムティ・レジデンシャル投資法人(3459) 102000 18 94000 ▲14万円 パルマ(3461) 1350 200 2490 22.8万円 合計 248.4万円執筆者 : 柳橋 義昭
●IPO セカンダリーの損益
銘柄名(コード) 買付価格 株数 売却価格 利益 U-NEXT 3950 500 7278 166万円 マークラインズ 2518 1100 4379 204万円 エクストリーム 5325 400 9180 154万円 GMOテック 6700 200 7800 22万円 CRIミドルウェア 10120 100 10800 6万円 フルッタフルッタ 3960 300 3680 ▲8万円 アルベルト 5750 400 6925 47万円 シリコンスタジオ 9900 100 14000 41万円 ファーストロジック 2280 1000 2400 12万円 コラボス 8300 300 7820 ▲14万円 エムケイシステム 15120 100 16200 10万円 モバイルファクトリー 2812 500 3020 10万円 シンデンハイテックス 3070 300 3845 23万円 RSテクノロジー 2100 500 2316 10万円 コラボス 5850 300 7050 36万円 日本動物高度医療センター 1570 600 2040 28万円 CRE 3100 300 3300 6万円 サンバイオ 1710 1000 1816 10万円 イード 1793 1000 1891 9万円 sMedio 4020 500 4800 39万円 海帆 1480 1500 1352 ▲19万円 Hamee 3600 500 3600 0円 テラスカイ 7283 300 13000 171万円 リンクバル 2756 1000 3270 51万円 合計 1014万円 いかがでしょう? この2 つをしっかりと理解して IPO 投資に臨むことで誰でも比較的高い確率で、この ような利益を得ることができるようになります。 今回は、この2 つの方法をご紹介しますので、 是非、参考にしてください。執筆者 : 柳橋 義昭
1. 公募割れしない銘柄の選び方
IPO 投資とは、これから上昇する株を上場前に手に入れることによって、上場後の大き な値上がり益を得る投資方法です。 上場前に投資家が、当該企業の株式を購入する時の値段を「公募価格」といいます。そ して、上場後に最初につく当該株式の株価を「初値」といいます。 つまり、IPO 投資では、公募価格より高い初値がついた時に利益になり、公募価格より 低い初値がついたら(=公募割れ)損失になるということです。 さて、ここで質問です。 日本では毎年、多くの企業が上場します。そのうち、初値が公募価格を上回る銘柄の割 合がどれだけあるでしょうか。 下の表をご覧ください。 公開数 公募価格より高い 公募価格と同じ 公募価格より安い 勝率 2004年 175 165 3 7 94.3 2005年 158 151 4 3 95.6 2006年 188 159 9 20 84.6 2007年 121 89 3 29 73.6 2008年 49 20 3 26 40.8 2009年 19 13 2 4 68.4 2010年 22 10 3 9 45.5 2011年 36 19 3 14 52.8 2012年 46 36 0 10 78.3 2013年 54 52 1 1 96.3 2014年 77 60 1 16 77.9 2015年 49 44 1 4 89.8 平均 74.8執筆者 : 柳橋 義昭
これは、2004 年~2015 年(2015 年は 7 月末まで)に行われた IPO 数に対して、 それぞれ、 ・初値が公募価格を上回った企業数 ・初値と公募価格が一緒だった企業数 ・初値が公募価格を下回った企業数(これを「公募割れ」といいます) を計測したものです。勝率は公募価格より高い初値がついた企業数を全体の IPO 数で 割ったものです。 この 12 年間の傾向を見てみると、初値が公募価格を上回っているケースが全体の 74.8%に及びます。また 2008 年から 2012 年頃までは日本経済は、冷え込んでおり極 端な不景気でしたのでIPO 数、勝率とも極端に低い水準になっています。 この極端に勝率が低い不景気の 5 年間を除くと勝率は 87.4%になります。今後、日本 は東京オリンピックを控えていることもあり、しばらくは景気は回復傾向になることが 予想されています。 つまりIPO 投資は、比較的高い確率で利益を手にすることができるのです。また、IPO 投資においては、どの銘柄が公募割れするか高い確率で予測することができます。その 方法を知っていれば、さらに勝率を高めることができます。 早速、そのテクニックをお伝えします。1.1 公募割れしない銘柄を選ぶ4個のテクニック
公募割れしない銘柄を選ぶテクニックは全部で4個あります。 ・公開株数が少ない銘柄を選ぶ ・全て売り出しの銘柄は避ける ・仮条件の上限で公募価格が決まらない銘柄を避ける ・業績が不振な銘柄は避ける執筆者 : 柳橋 義昭
1.1.1 公開株数が少ない銘柄を選ぶ
実例をもとに解説させて頂きます。下図をご覧ください。 ※トレイダーズウェブより これは2015 年 7 月の IPO 銘柄です。 この中で、デクセリアルズだけが公募割れをしていて、平山とアイリッジは公募価格を 大きく上回る初値がつきました。もし、平山が当選していたとしたら100 株で約 6 万 円の利益になりますし、アイリッジに至っては100 株でも約 51 万円の利益になります。 このデクセリアルズと、アイリッジ及び平山の公開株数を確認してみましょう。 アイリッジは379,500 株、平山は 483,000 株ですがデクセリアルズは 54,049,000 株と 2 社よりも 100 倍多い株数です。 IPO 投資では、公募に当選した株主が、初値がついた直後にその株式を売却しようとし ます。つまり公開株数が多ければ多いほど、上場直後の売り圧力が強くなり、公募割れ の確率が高くなるということです。1.1.2 全て売り出しの銘柄は避ける
執筆者 : 柳橋 義昭
IPO は公募と売り出しがあります。 ・公募=新しく発行した株を投資家に提供し資金調達をすること。 ・売り出し=創業者など大株主が保有する株の一部を投資家に提供すること。 大抵の IPO は公募株が多いですが、中には売り出しの株だけの企業があります。その 場合、一部の株主の益出しという印象が強いため良い評価はされません。 この手のIPO は公募割れするケースが多いです。 下図をご覧ください。 直近に新規上場した売り出しのみのIPO です。 銘柄名 売り出し株数 公募価格 初値 デクセリアルズ 49,363,000株 1600円 1550円 テクノプロ・ホールディングス 23,700,000株 1950円 1852円 西武ホールディングス 27,826,000株 1600円 1600円 ジョイフルホンダ 3,814,600株 2700円 2650円 日立マクセル 35,227,700株 2070円 1971円 日本航空 175,000,000株 3790円 3810円 第一生命保険株式会社 7,106,170株 140,000円 160,000円 この中で4 銘柄が公募割れしています。 IPO を申し込む時に公募と売り出しの割合をチェックして下さい。1.1.3 仮条件の上限で公募価格が決まらない銘柄を避ける
IPO の公募価格が仮条件の条件で決定しないケースがあります。 これはブックビルディング期間中に仮上限の上限での申し込みが少なかったために発 生するケースですが、それだけ人気がなかったことが考えられます。 例えば、2014 年の IPO を見ると ・仮条件の上限で公募価格が決まったIPO は 72 社 ・仮条件の仲値で公募価格が決まったIPO は 1 社 ・仮条件の下限で公募価格が決まったIPO は 4 社 人気がないIPO は上昇する際にも買われない傾向があるため、執筆者 : 柳橋 義昭
公募割れしている銘柄が多いです。 下図は2014 年に仮条件の下限で公募価格が決まった 4 社です。 銘柄名 仮条件 公募価格 初値 メタウォーター 2,400-2,550 2,400円 2,256円 すかいらーく 1,200-1,450 1,200円 1,200円 西武ホールディングス 1,600-1,800 1600円 1600円 ジャパンディスプレイ 900-1,100 900円 2650円 公募割れの銘柄が2 銘柄で、公募価格と同値が 2 銘柄です。 仮条件を下回って公募価格が決まった銘柄には注意しましょう。1.1.4 業績が不振な銘柄は避ける
直近の業績が赤字の会社は投資家に好まれませんので赤字が続いているような企業は 避けることをお勧めします。 以下は2015 年 8 月に東証マザーズに上場したメタップスの業績ですが、ここ 3 期の経 常利益、当期純利益はマイナス(赤字)で推移しています。 業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益 (連結実績)2013.8 1,301 22 -2 12 (連結実績)2014.8 2,265 -488 -510 -510 (連結予想)2015.8 4,041 -335 -362 -370 (連結3Q累計実績)2015.8 2,966 -258 -257 -278 この結果、初値は公募価格3,300 円に対して 3,040 円(-260 円)でした。 もう1 つご紹介します。2015 年 4 月に上場したサンバイオです。 以下は、ここ3 期の業績です。 業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益 (連結実績)2014.1 204 -584 -587 -589 (連結見込)2015.1 3,229 2,248 2,228 1,736 (連結予想)2016.1 2,074 -1,091 -1,109 -920 今期予想は経常利益、当期純利益とも大きな赤字になりました。執筆者 : 柳橋 義昭
その結果、初値は公募価格2,000 円に対して 1,710 円(-290 円)でした。2.IPO セカンダリー投資をマスターする
ここまでは、上場前に公募価格で株式を取得し、上場後の初値で売却することにより値 上がり益を獲得するという最も基本的なIPO 投資の勝ち方をご紹介してきました。 これは、非常に強力な方法で、投資初心者でもすぐに実践可能なものです。 しかし IPO 投資には一つ大きな弱点があります。それは収益機会が安定しないという ことです。例えば、IPO 数、勝率ともに不景気の時は減少します。また景気が安定また は右肩上がりの年でも月によってIPO 数は大きく異なります。 下図をご覧ください。 ※2009 年1月~2015 年 7 月までの月ごとの IPO 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 合計 2009 0 0 6 1 0 2 1 0 4 1 1 3 19 2010 0 0 6 2 0 4 1 0 2 1 0 6 22 2011 0 0 7 0 0 6 2 1 3 6 1 10 36 2012 0 1 6 4 1 4 3 1 3 5 4 14 46 2013 0 4 9 2 0 5 4 2 3 3 5 17 54 2014 0 1 11 6 1 7 4 0 8 7 4 28 77 2015 0 6 15 12 0 10 6 49 これは2009 年以降の IPO 数を月ごとにまとめたものです。1 月、5 月、8 月は極端に 少なくなることが分かります。 IPO は証券会社の抽選に申込み、当選した時に得ることができますが、この抽選に毎回 当選することは期待できません。また、上記のようにグレーゾーンの月では IPO 自体 がありません。 つまり、IPO 投資は収益機会が限られるのです。 ここで有効なのが、例え、IPO に当選しなくても収益を得るためのセカンダリー投資で す。セカンダリー投資とは、IPO 銘柄が上場した後の、大きな値動きを利用して利益を 得る方法です。執筆者 : 柳橋 義昭
例を見てみましょう。 以下はテラスカイという2015 年 4 月に上場した銘柄です。 当銘柄の公募価格は1,700 円でした。初値は公募価格を 350%上回る 7,650 円でした。 この銘柄は、上場日に安値の6,890 円をつけた後、その後、10,000 円を超えました。 私は、IPO セカンダリー投資の銘柄に特有の、値動きの大きさを活かして、利益を得て います。 このセカンダリー投資は、通常の IPO 投資を比べてより多くの知識やスキルを必要と するので、全ての投資初心者におすすめしているわけではありません。しかし、それで も通常のデイトレードなどと比べて、株価の動きを予測しやすいため、是非、投資初心 者の方にも知って頂きたいと思っています。 IPO 投資で、より多くの収益機会を求めるなら、とても有効です。 そこで、ここではIPO セカンダリー投資で勝つためのテクニックを全てご紹介します。執筆者 : 柳橋 義昭
あなたに知っていただきたいのは下記の4 個のテクニックです。 ・需給を知る ・初値買い ・公募割れ ・ロックアップ それでは、早速一つ一つ解説していきますね。2.1 需給を知る
IPO セカンダリーは企業の株主構成に注意する必要があります。そこで、需給に関わる 大切な要素として「VC」と「SO」をおさえましょう。 「VC」とは venture capital=ベンチャーキャピタルの略称ですが、ベンチャーキャピ タルは、投資家から資金を集めファンドを組成し、未公開の企業に投資をします。企業 の育成・経営支援をして株式公開に導きます。続いて「SO」です。SO は stock option=ストックオプションの略称ですが、このスト ックオプションとは会社が取締役や従業員に対して、あらかじめ定められた価額(権利 行使価額)で会社の株式を取得することのできる権利を付与し、取締役や従業員は将来、 株価が上昇した時点で権利行使を行い、会社の株式を取得し、売却することにより、株 価上昇分の報酬が得られるという一種の報酬制度をいいます。 「VC」も「SO」も IPO の公開株数には含まれず、上場後にすぐに売却しても良いケ ースがありますので、「VC」と「SO」が多い銘柄は注意が必要です。 それでは、2015 年6月に上場したファンデリー(3137)の VC と SO を例にとってお 話します。 VC の例