(1)日本における中国産ほうれんそうの 位置付け 日本のほうれんそう供給量の9割近くは 国産品で、1割強が輸入冷凍品であり(図 1)、その9割以上が中国産である(表1)。 わずかに輸入生鮮品もあるが、その大半は 米国産であり、中国からの輸入はない。 また、冷凍ほうれんそうの輸入量は近年 増加傾向で推移しており、輸入量の大半を 占める中国産の増加が輸入増を担っている (図2)。
主要国の野菜の生産動向等
調査情報部1 中国
日本が輸入する冷凍ほうれんそうの9割以上が中国産であることから、今月号では、主 産地の一つであり、日本向けの輸出が多い山東省を中心に中国のほうれんそうの生産動向 等を紹介する。 図1 日本のほうれんそう供給量(2015年) 国内収穫量 25万800トン (86.0%) 生鮮 13トン (0.1%) 冷凍 4万657トン (13.9%) 輸入量 表1 冷凍ほうれんそうの国別輸入量(2016年) (単位:トン) 品目 輸入先国 輸入量 シェア 第1位 中国 40,115 94.5% 第2位 台湾 910 2.1% 第3位 ベトナム 511 1.2% 第4位 イタリア 403 1.0% 第5位 タイ 293 0.7% ─ その他 237 0.6% 全輸入量 合計 42,469 ─ 資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:財務省「貿易統計」) 注:HSコード0710.30-000 資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:農林水産省「野菜生産出荷統計」、財務省「貿易統計」) 注:HSコード0709.70-000、0710.30-000海外情報
中国産冷凍ほうれんそうの月別輸入量を 見ると、年間を通じて安定的な数量が輸入 されているが、年末の12月に向けて特に 多くなる傾向にある(図3)。 なお、本稿中の為替レートは1元= 16 円(2017年4月末日TTS相場:16.43 円)を使用した。 (2)生産動向 中国のほうれんそうの主産地は、山さん東とう省の ほか、黒こくりゅう龍江こう省などの東北地区、河か南なん省、河か 北 ほく 省、広かん東とん省などである(図4)。中でも山東 省は、公式な統計値は明らかではないが、日 本向け冷凍ほうれんそうを多く輸出している。 山東省におけるほうれんそうの主産地 は、濱ひ んしゅう州市および荷か澤た く市(注)であり、それ ぞれ同省のほうれんそう作付面積の約2割 を占めている。その他、済さ い寧ね い市や泰た い安あ ん市な どでも生産している。 注:中国では、大きい行政区分から順に、「省級(省、 自治区、直轄市など)」、「地級(地級市、自治 州など)」、「県級(県、県級市、市轄区など)」 などとなっている。濱州市、荷澤市、済寧市、 泰安市はいずれも地級市である。 図2 日本の冷凍ほうれんそうの国別輸入量 図3 中国産冷凍ほうれんそうの月別輸入量および輸入単価(2016年) 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 2012 2013 2014 2015 2016 中国 台湾 ベトナム その他 (千トン) (年) 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 (円/kg) (トン) (月) 輸入量 輸入単価(右軸) 資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:財務省「貿易統計」) 注:HSコード0710.30-000 資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:財務省「貿易統計」) 注:HSコード0710.30-000
山東省におけるほうれんそうの作型は主 に春播まき、秋播き、冬播きの3種類であり、 春播きと秋播きは露地栽培、冬播きはハウ ス栽培が行われることが多い(図5)。そ の中でも、8月〜9月に播は 種し ゅし、9月〜 11月に収穫される秋播きが最も多く、作 付面積の60%を占める。主な品種は、「名 門」や「三連冠」など香港やオランダなど からの輸入種であり、耐病性や多収性が好 まれている。 広東 河南 山東 河北 遼寧 吉林 黒龍江 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 北京 天津 上海 南京 図4 中国のほうれんそう主産地 日照市㻌 濰坊市㻌 濱州市㻌 菏澤市㻌 威海市㻌 煙台市㻌 青島市㻌 済寧市㻌 泰安市㻌 資料:聞き取りにより機構作成 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 春播き ● ● ■■ 秋播き ● ■● ■ 冬播き ● ● ■ ■ ●:播種 ■:収穫 㻝㻜 㻝㻝 㻝㻞 㻝 㻞 作型 月 (翌年) 月 㻟 㻠 㻡 㻢 㻣 㻤 㻥 㻟 㻠 図5 山東省のほうれんそうの生育ステージ 資料:聞き取りにより機構作成 注:本図は、播種・収穫が最も集中する時期を表しており、それぞれの作業は前後の時期にも実際には行われているとみられる。
表3 ほうれんそうの10アール当たり生産コスト(山東省濱州市) 項目 2013 年(元/ 10a) 2016 年(元/ 10a) 2016 年 / 2013 年比 (増減率) 円換算 (円/ 10a) (円/ 10a)円換算 土地代 1,200 19,200 1,500 24,000 25.0% 種苗費 420 6,720 525 8,400 25.0% 肥料農薬費 600 9,600 660 10,560 10.0% 資材費 150 2,400 150 2,400 0.0% 農機具費 150 2,400 150 2,400 0.0% 人件費 900 14,400 1,350 21,600 50.0% その他 60 960 60 960 0.0% 合計 3,480 55,680 4,395 70,320 26.3% 資料:聞き取りにより機構作成 注:四捨五入や為替換算の関係から、項目間の計算において、誤差が生じることがある。 直近3年間の生産動向を見ると、2014 年は、天候に恵まれ単収が高かったが、 2015年は、秋播きの収穫期に天候不良に よる凍害に見舞われたため、単収、収穫量 が比較的低水準となった。2016年は、秋 播きの播種期である8月に豪雨被害を受け たため、単収、収穫量とも2年連続で前年 を下回った(表2)。 (3)生産コスト 10アール当たり生産コストの動向を見 ると、2016年は、4395元(7万320円、 2013年比26.3%増)と大幅に増加して いる(表3)。項目別に見ると、近年の中 国の野菜栽培で常態化している土地代と人 件費の増加に加え、種苗費の増加も見られ ている。これには、単価の高い人気品種へ 需要がシフトしていることが原因として挙 げられる。 (4)価格動向 近年の山東省のほうれんそう価格を見る と、春播きの収穫期である5月前後と、秋 播きの収穫期である11月前後は低水準で 推移し、その後、それぞれの収穫期が終わっ た後に、上昇する傾向にある(図6)。一方、 冬播きの収穫期は2月から3月ごろである が、2月は旧正月により需要高であるのに 加え、冬播きはハウス栽培によるコスト高 により、この時期は比較的高水準となって いる。 表2 山東省のほうれんそうの作付面積、収穫量および単収 作付面積(万 ha) 収穫量(万トン) 単収(トン/ 10a) 前年比 (増減率) (増減率)前年比 (増減率)前年比 2014 年 3.5 ─ 63 ─ 1.80 ─ 2015 年 3.3 ▲ 5.7% 50 ▲ 20.6% 1.52 ▲ 15.8% 2016 年 3.4 3.0% 47 ▲ 6.0% 1.38 ▲ 8.8% 資料:聞き取りにより機構作成 注:単収は収穫量を作付面積で除して算出。四捨五入の関係から、項目間の計算において、誤差が生じることがある。
(5)国内向け出荷動向 山東省で収穫されたほうれんそうの8割 以上は、国内に仕向けられている。主な出 荷先は、北京、天津などの大都市や近隣の 河北省であり、一部は南京や上海にも供給 されている(写真1、2)。 (6)輸出動向 冷凍ほうれんそうの輸出量は、年々増加 傾向で推移しており、2016年には約7万 6000トン(2012年比43.8%増)であっ た。そのうち日本向けは約4万トン(同 39.2%増)と全体の約5割を占め、次い で米国向けの約2万5000トン(同80.5% 増)となっている(図7)。日本国内で、 外食・中食など業務用需要が堅調に増加し ていることに加え、食の簡便化により、家 庭内でも冷凍食品が多く利用されるように なっていることも中国産ほうれんそうの日 本向け輸出が増加傾向にある要因として考 えられる。現地の検疫所関係者の話によれ ば、日本向け冷凍ほうれんそうの輸出管理 は厳しく、他の野菜とは別に単一産品の検 査ルールにより行われているという。また、 その加工企業および圃ほ場については中国の 地方検疫機関に登録する必要がある。現在 図6 ほうれんそうの卸売価格の推移(山東省) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 (元/kg) (月) 2014年 2015年 2016年 2017年 資料:聞き取りにより機構作成 写真1 収穫したほうれんそうをトラック に積み込む様子(提供:斎魯網) 写真2 店頭に並ぶほうれんそう (提供:山東商報)
加工企業については63社(冷凍ほうれん そう)、20社(冷凍調理ほうれんそう)が 登録し、その大半は山東省に位置している。 なお、生鮮ほうれんそうの輸出量は、年 間5000トン前後で推移しており、主な輸 出先はマレーシアやタイなどである。 図7 中国の冷凍ほうれんそうの国別輸出量 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 2012 2013 2014 2015 2016 日本 米国 カナダ 韓国 豪州 その他 (千トン) (年)
資料:「Global Trade Atlas」 注:HSコード0710.30-000
(1)ブロッコリー、レタスおよびセルリー の生産動向 ア ブロッコリー (ア)作況および作付面積 米 国 農 務 省( U S D A ) に よ る と、 2017年2月27日から3月5日にかけて、 インペリアル郡では降雨により、収穫作業 に遅れが生じた。 3月末、ブロッコリーの出荷は、アリゾ ナ州ユマ郡産からモントレー郡サリナス 産、サンタバーバラ郡サンタマリア産へ移 行する端境期にあったが、これらの郡では 大雨により不作であった。また、メキシコ 産は4月が近づくにつれて出荷が減少し始 めたものの、米国東海岸からの出荷によっ て補われた。 なお、本稿中の為替レートは、1米ドル = 112円(2017年4月末日TTS相場: 112.29円)を使用した。
2 米国
米国からは、日本への輸出が多いブロッコリー、レタス、セルリー(セロリ)(以下「セル リー」という)について、それらの主産地であるカリフォルニア州を中心とした生産動向などを 紹介する。また、トピックスとして、米国の雇用農業労働者の最近の動向について報告する。 リバーサイド郡 図1 カリフォルニア州の地図 資料:機構作成(イ)生産者価格 2017年2月の生鮮ブロッコリーの生産 者価格は、豪雨による出荷量の減少により 高騰し、前年同月比2倍の1キログラム当 たり1.19米ドル(133円)となった(表 1)。 3月10日から17日にかけて、カリフォ ルニア州は、気温が高く、降雨が続いたた め品質が低下したが、出荷量も減少したの で、前週に比べ相場が上昇した。USDA によると、3月の3週目、インペリアル郡 産は1カートン(14個入り)当たり約22 〜23米ドル(1キログラム当たり2.12〜 2.21米ドル:237〜248円)で取引され た。 4 月 4 日 時 点 の 取 引 価 格 は、 同 約 18.40〜20.56米ドル(同1.77〜1.98米 ドル:198〜222円)といったん値下が りしたものの、カリフォルニア州中部およ び南部の沿岸で、強風と降雨により収穫作 業に遅れが生じ、4月13日時点では、同 約30.45〜31.55米ドル(同2.93〜3.03 米ドル:328〜339円)と、高値で取り 引きされた。 (ウ)対日輸出動向 2017年2月のブロッコリーの対日輸出 量は、前年同月比34.2%減の1027トンで あった。また、輸出単価は同9.2%高の1 キログラム当たり1.34米ドル(150円) と、前月からほぼ横ばいで推移した(表2)。 (エ)東京都中央卸売市場のブロッコリー入 荷量および価格 2017年2月の東京都中央卸売市場の米 国産ブロッコリーの入荷量は、前年同月比 18.1%増の39トンであった。卸売価格は、 同4.8%安の1キログラム当たり319円と なり、4カ月ぶりに前月から値を上げた。 なお、同月に同市場で最も入荷量が多かっ たのは愛知県産で、前年同月を大幅に上回 る1002トンとなり、卸売価格は米国産を かなり大きく下回る同271円であった(表 3)。 表1 全米の生鮮ブロッコリーの生産者価格 (単位:米ドル/kg) 2016年 2017年 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 生産者価格 0.59 0.68 0.87 1.06 1.09 0.80 0.62 0.81 0.83 0.79 0.77 1.23 1.19 資料:米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS) 表2 米国産ブロッコリーの対日輸出量および輸出額 (単位:トン、千米ドル、米ドル/kg) 2016年 2017年 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 輸出量 1,561 2,562 3,024 2,117 2,780 2,387 2,761 3,628 3,829 3,837 1,696 1,271 1,027 輸出額 1,916 2,980 3,630 2,478 3,485 2,944 3,331 4,013 4,574 4,740 2,192 1,676 1,377 単 価 1.23 1.16 1.20 1.17 1.25 1.23 1.21 1.11 1.19 1.24 1.29 1.32 1.34
資料:米国農務省海外農業局(USDA/FAS GATS Database)
写真1 サリナスのブロッコリー (2017年3月24日撮影)
イ レタス (ア)作況および作付面積 USDAによると、2017年3月5日ま での1週間、インペリアル郡では、降雨に よりロメインレタスの収穫作業が遅れたこ とに加え、リーフレタスおよびロメインレ タス、結球レタスの品質にバラつきが見ら れた。3月10日時点で、結球レタスおよ びロメインレタスの価格は、多雨による収 穫作業の遅れにより、3月末まで出荷量の 減少が予想されたことから上昇した。また、 サリナスでも、多雨により播は種し ゅができず、 ユマ郡産からの出荷の切り替えに支障をき たしたことが、価格の上昇要因となった。 4月7日時点では、結球レタスとグリー ンリーフレタスの品質は、平年並みないし 良好となったが、ロメインレタスの品質に はバラツキがあり、色あせているものや主 脈が変色しているものが発生していた。4 月14日以降も、グリーンリーフレタスは、 引き締まった需給状況が続いた。 (イ)生産者価格 2017年2月の生産者価格は、天候不順 による不作に伴う需給のひっ迫により、前 年同月比2.5倍の1キログラム当たり1.13 米ドル(127円)と、前月から同49セン ト値上がりした(表4)。 インペリアル郡産では3月の第2週、結 球 レ タ ス は1カ ー ト ン 当 た り14.50〜 16.95米ドル(1キログラム当たり0.64 〜0.75米ドル:72〜84円)、ロメインレ タスは同28.95〜30.95米ドル(同1.27 〜1.36米ドル:142〜152円)、グリーン リーフレタスは同約18.5〜20.95米ドル (同0.81〜0.92米ドル:91〜103円)で 取引された。 4月の初旬、3月からの多雨による供給 不足が続き、大幅に値上がりし、4月4日 時点のサンホアキンバレー産の結球レタス は、1カートン当たり30.50〜32.55米ド ル(1キログラム当たり1.34〜1.43米ド ル:150〜160円)、ロメインレタスは同 46.50〜48.55米ドル(同2.05〜2.14米 ドル:230〜240円)、グリーンリーフレ タ ス は 同 約45.65〜47.55米 ド ル( 同 2.01〜2.09米ドル:225〜234円)で取 引された。 4月13日時点のサンホアキンバレー産 結球レタスの価格は、1カートン当たり 43.55〜44.55米ドル(1キログラム当た 表3 東京都中央卸売市場の米国産ブロッコリーの入荷量および平均卸売価格 (単位:トン、円/kg) 2016年 2017年 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 入 荷 量 33 178 162 143 117 115 118 160 189 150 143 69 39 卸売価格 335 314 353 323 343 340 310 379 398 351 314 304 319 資料:東京都中央卸売市場 写真2 サリナスのレッドリーフレタスとグ リーンリーフレタスの生育状況 (2017年3月24日撮影)
(ウ)対日輸出動向 2017年2月の結球レタスの対日輸出量 は、前年同月比41.5%減の103トンで、 輸出単価は同8.5%安の1キログラム当た り1.08米ドル(121円)であった(表5)。 一方、結球レタス以外のレタスの対日輸出 量は、前年同月の16分の1となる5トン、 輸出単価は前年同月比69.8%高の同3.60 米ドル(403円)であった(表6)。 (エ)東京都中央卸売市場のレタス入荷量お よび価格 2017年2月の東京都中央卸売市場の結 球レタス以外の米国産レタス(ロメインレ タス、フリルレタスなど)の入荷量は前年 同月の12分の1となる0.5トンであった。 一方、卸売価格は前年同月比3.2%安の1 キログラム当たり518円と、前月から横 ばいで推移した(表7)。なお、同月に同 市場で最も入荷量が多かった結球レタス以 外のレタスは、茨城産であり、前年同月比 9.5%増の67トン、卸売価格は米国産の半 額 と な る 1 キ ロ グ ラ ム 当 た り259円 で あった。 り1.92〜1.96米ドル:215〜220円)と さらに値上がりした。また、同時点のサリ ナス郡産を見ると、ロメインレタスは、同 43.55〜44.55米ドル(同1.92〜1.96米 ドル:215〜220円)、グリーンリーフレ タ ス は 同 約50.45〜52.55米 ド ル( 同 2.22〜2.31米ドル:249〜259円)と高 値で取引された。 表4 全米の結球レタスの生産者価格 (単位:米ドル/kg) 2016年 2017年 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 生産者価格 0.46 0.34 0.46 0.72 0.57 0.57 0.46 0.46 0.45 0.59 0.67 0.64 1.13 資料:米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS) 表5 米国産レタスの対日輸出量および輸出額(結球レタス) (単位:トン、千米ドル、米ドル/kg) 2016年 2017年 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 輸出量 176 144 120 197 205 253 330 389 458 505 233 150 103 輸出額 208 203 171 223 216 245 342 435 490 531 277 188 111 単 価 1.18 1.41 1.43 1.13 1.05 0.97 1.04 1.12 1.07 1.05 1.19 1.25 1.08
資料:米国農務省海外農業局(USDA/FAS GATS Database)
表6 米国産レタスの対日輸出量および輸出額(結球レタス以外) (単位:トン、千米ドル、米ドル/kg) 2016年 2017年 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 輸出量 80 40 39 27 14 29 4 50 1,197 417 78 4 5 輸出額 169 121 60 29 12 77 12 99 2,478 899 258 16 18 単 価 2.12 3.06 1.52 1.07 0.86 2.63 3.24 1.99 2.07 2.15 3.31 4.32 3.60
ウ セルリー (ア)作況および作付面積 2月は従来雨量の多い月であるものの、 例年以上の雨量を記録した。ベンチュラ郡 オックスナードでは継続的な降雨により、 セルリーの外側の株が水分を過剰に摂取し て半透明になったり、泥が株の中に残って いたり、株の付け根が茶色く変色したこと で、日持ちの悪化にも影響が出ていた。4 月も前月に引き続き作柄が悪く、4月から 5月にかけては慢性的な供給不足に見舞わ れた。 (イ)生産者価格 2017年2月のセルリーの生産者価格 は、前年同月比48.5%安の1キログラム 当たり0.34米ドル(38円)となった(表8)。 3月第3週時点のオックスナード郡産 は、深刻な品薄が報告され、1カートン (24茎)当たり10.85〜12.45米ドル(1 キログラム当たり0.40〜0.46米ドル:45 〜52円)であった。4月16日の復活祭に 向けた需要の高まりにより、同郡産は、4 月4日時点に同19.45〜20.56米ドル(同 0.72〜0.76米 ド ル:81〜85円 )、 4 月 13日時点に同21.85〜23.56米ドル(同 0.80〜0.87米ドル:90〜97円)と価格 が上昇した。 (ウ)対日輸出動向 2017年2月のセルリーの対日輸出量 は、前年同月比18.4%増の534トンであっ た。なお、輸出単価は1キログラム当たり 0.64米ドル(72円)であり、前月から横 ばいで推移した(表9)。 表7 東京都中央卸売市場の米国産レタスの入荷量および平均卸売価格(結球レタス以外) (単位:トン、円/kg) 2016年 2017年 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 入 荷 量 6.0 0.5 0.5 0.2 0.5 0.2 0.5 0.4 1.6 1.6 0.5 0.2 0.5 卸売価格 535 518 518 518 399 518 518 518 239 106 518 518 518 資料:東京都中央卸売市場 表8 全米の生鮮セルリーの生産者価格 (単位:米ドル/kg) 2016年 2017年 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 生産者価格 0.66 0.41 0.44 0.58 0.41 0.39 0.36 0.35 0.41 0.59 0.38 0.39 0.34 資料:米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS) 写真3 米国のスーパーマーケットで販売さ れるセルリー(2017年4月9日撮影)
(エ)東京都中央卸売市場の入荷量および価格 2017年2月の東京都中央卸売市場の米 国産セルリー入荷量は前年同月の1.8倍と なる27トンで、卸売価格は1キログラム 当たり204円(同34.0%安)であった。 なお、同月に同市場で最も入荷量が多かっ たセルリーは静岡産であり、前年同月比 6.6%減の311トン、卸売価格は米国産を やや上回る1キログラム当たり216円で あった(表10)。 (2)トピックス 〜米国の雇用農業労働者の最近の動向〜 米国国土安全保障省(DHS)は2017 年2月21日、ドナルド・トランプ大統領 が1月に発令したメキシコ国境での壁建設 などの不法移民取締強化の大統領令に基づ いた指針を発表した。これにより、カリフォ ルニア州ロサンゼルス市では、ヒスパニッ ク系移民160人以上が検挙・拘留され、こ のうち37人がメキシコに強制送還された。 モントレー郡サリナスでは、多くの中米出 身のヒスパニック系の移民・滞在者が農業 部門で働いており、検挙率が上がることに よって深刻な労働力不足になることが懸念 されている。そこで、カリフォルニア州を 中心に、米国の雇用農業労働者の最近の動 向を報告する。 ア 概要 米国農務省(USDA)によると、雇用 農業労働者は、農業分野における労働力の 3分の1を占め、残りの3分の2を農場の経 営者などの雇用主が占める。雇用農業労働 者の大多数は、年間売上高が50万米ドル (5600万円)以上の大規模農場に雇用さ れている。 雇用農業労働者は、20世紀には最大で 340万人いたが、20世紀末には100万人 にまで減少した。また、米国の工業化に伴 い、非農業部門での労働者が増加したため、 農業部門の雇用労働者が全労働者に占める 割合は、急激に減少し1%未満となった。 年平均雇用農業労働者数は、1990年 の114万2000人 か ら2008年 に100万 3000人まで減少した(図2)。2012年に は、106万3000人の雇用農業労働者がお り、このうち57万6000人が常勤(年間 表10 東京都中央卸売市場の米国産セルリーの入荷量および平均卸売価格 (単位:トン、円/kg) 2016年 2017年 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 入 荷 量 15 23 26 25 25 26 27 26 32 33 37 27 27 卸売価格 309 228 215 222 208 204 201 209 214 210 212 202 204 資料:東京都中央卸売市場 表9 米国産セルリーの対日輸出量および輸出額 (単位:トン、千米ドル、米ドル/kg) 2016年 2017年 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 輸出量 451 788 672 607 555 697 602 597 620 774 431 696 534 輸出額 387 661 526 533 534 635 511 400 417 594 315 444 340 単 価 0.86 0.84 0.78 0.88 0.96 0.91 0.85 0.67 0.67 0.77 0.73 0.64 0.64
150日以上勤務)、19万9000人がパート タイム(年間150日未満勤務)であった。 雇用農業労働者数は季節ごとにバラつきが あり、2011年1月には80万80000人が いたものの、同年7月には118万4000人 に増加した。USDAによると、米国の農 業生産を維持するために必要な雇用農業労 働者数は100万人で、カリフォルニア州 では47万人としている。 一方、DHSによると、2000年以降の 不法滞在者数は2007年には、2000年の 1.4倍となる1150万人に達した。その後、 メキシコの経済回復、リーマン・ショック、 国境警備の強化によりやや減少傾向で推移 しており、2017年現在では800万人程度 と推計されている。これらの不法滞在者は、 農作業の大きな担い手であり、無視できな い労働力となっている。ただし、雇用農業 労 働 者 に 占 め る 不 法 滞 在 者 の 割 合 は、 1999〜2001年(54%)以降、わずかで はあるが減少傾向で推移しており、2012 年は48%となっている。 イ 出身地 雇用農業労働者の出身地を見ると、米国 またはプエルトリコの割合は、1989〜 1991年の約40%から、1998〜2000年 の約18%に減少した一方、メキシコの割 合は、54%から79%に増加した。 2007〜2009年の統計では、71%が外 国出身であり、このうちメキシコが67%、 その他の国が4%を占めた。 ウ 居住および賃金 USDAは、自宅から75マイル(121 キロメートル)以内にあるほ場で勤務して いる者を「定住労働者」と区分しており、 これが作物農家全体の4分の3を占めてい る(図3)。一方、自宅から75マイル以上 離れたほ場で勤務している「非定住労働 者」は、2007〜2009年時点で、全体の 約12%を占め、1996〜1998年のピーク 時(24%)から減少している。また現在、 季節ごとに州間を移住する非定住労働者は 稀であり、2007〜2009年には全体の5% となっている。 622 640 558 565 575 584 562 576 270 251 188 174 180 184 187 199 250 243 285 265 265 285 278 288 0 200 400 600 800 1000 1200 1990 2000 2007 2008 2009 2010 2011 2012 その他 パートタイム 常勤 (千人) 1,142 1,133 1,032 1,003 1,020 1,053 1,027 1,063 (年) 図2 農業労働者数の推移 資料:USDA 注:端数処理により合計は必ずしも一致しない。
非定住労働者の多くは、H−2A(季節 農業労働者)ビザの発給を受けて一時的に 滞在している者である。雇用主は、国内で 合法的に労働者を募集したことを労働省 (USDOL)に証明し、雇用する労働者に 住宅を提供することに加え、該当する州ま たは連邦政府の最低賃金、またはUSDOL によって定められた地域・職種の最低賃 金、あるいはUSDAの農業労働調査で示 された該当地域の賃金のうち、一番高い金 額を支払うことが定められている。2013 年の時給は、米国全体では9.50〜12.33 米ドル(1064〜1381円)で、カリフォ ルニア州の時給は中程度の10.74米ドル (1203円)である(図4)。 図3 分類別雇用農業労働者の推移 図4 時給の比較(2013年) 資料:USDA 資料:USDA/ERS、USDL
現在、H−2Aビザを持つ労働者は、総 雇用農業労働者の5%に満たない。2012 年には、8万3579件のH−2Aビザが発 給され、直近5年間は年間6万6000〜 8万9000件で推移している。カリフォル ニア州では近年、このビザを申請する雇用 主が大幅に増加しているものの、基準に遵 守した住宅を提供しなくてはならない点 が、雇用主を悩ませているという。 エ カリフォルニア州労働法の改正 カリフォルニア州の郡ごとの雇用農業労 働者数は、野菜の栽培が盛んなモントレー 郡、サンタバーバラ郡、ベンチュラ郡、イ ンペリアル郡などで2万人以上6万人未満 となっている。同州では、2017年1月1 日に、2022年までに州の最低賃金を1時 間当たり15米ドル(1680円)に引き上 げる法律が発効した。また、残業手当は、 従来10時間以上の労働時間があった場合 に発生していたが、8時間以上作業した場 合に発生することとなった。なお、従業員 が25人以上の場合は2019年までに、25 人未満の場合は2022年までに同法の遵守 が求められる。 残業手当や最低賃金が引き上げられる と、同州の農作物の生産コストは大幅に上 昇することが予想される。同州では47万 人の雇用農業労働者が必要とされる中、近 年は25〜30%の慢性的な人手不足が続い ている。長期的な人手不足が生産コストに 影響を及ぼし、結果的に小売価格の値上が りにつながっていることからも、同州の農 場経営者は人件費以外のコスト削減が一層 求められている。