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「商店街問題」に、これという絶対的な解決策はない

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Academic year: 2021

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(1)

①2010年の奈良県人口は 140万1千人で全国 29位 。 ②1998年以後の14年間に4.8万人の社会減(東京 都と京 都府 の2 都府で 55.2 %を 占める )。男 女 とも20歳代での転出超過が多い。 ③人口性比は91.3〔全国95.4〕、25歳以上の各階 層で100以下〔全国は54歳未満全てで100超〕。 人口性比が全国と同じと仮定すると、奈良県男 性の生産年齢人口は約4万人増加(9.4%増) ④2010年の 男性の県外 就業者数は 05年 比15 千人 減少(11.2%減)、県外就業率は35.0%。 ⑤1996年 ~2009年、生 産年齢 人口の 減少を 上回 るペースで「県外からの所得(純)」が減少。 ⑥ 2009 年 の 1 人 当 た り 県 民 所 得 は 2,408 千 円 で 1996年比 20.9 %減。 奈良県 の稼ぐ力 が弱体 化。 ⑦2035年の奈良県人口は05年の約3/4の水準に。 ⑧2035年の労 働力人口は、 2010年比 約18 万人減 (28.5%減)の46万人になる見込み。 *図表で「60」「05」年等は、「1960」「2005」年を 意味している。 1.奈良県の人口増は社会増加が大きく寄与 2010年10月1日現在、奈良県の人口は140万1千 人で 全国29 位で ある 。奈 良県 の人 口増 減率 は、 1970~75年の 15.8%をピークと して低下が続き 、 2005~10年には-1.5%となっている。 1960年の人口を100として近畿各府県の人口推 移をみ ると 、和 歌山 県は 増減 が少 なく 、 2010年 は1960 年の 水準 に戻 って いる 。一 方、 奈良 県は 近畿で最大の増加率を示したが、その反動から近 年は減少傾向にある。滋賀県は未だ増加基調が続 く。大 阪府 、兵 庫県 、京 都府 は 、 1980 年以 降緩 やかな増加または横ばいの状態を示している。 人 口 増 減 は 、 出 生 ・ 死 亡 の 差で あ る 「 自 然 増 減」と、県外からの転入・県外への転出の差であ る「社会増減」からなるが、奈良県人口は1965年 以降95 年ま で、 社会 増加 が自 然増 加を 常に 上回 り、社会増加が人口の増加に大きく寄与した。 *社会増 減率 は、 5年間 の人口 増加数 から 自然増 加数 を差し引いて算出した数値の割合。

奈良県における人口減少・高齢化に関する一考察

ポ イ ン ト

奈良県の人口増減の推移

4.0 5.2 6.5 4.4 3.2 2.1 1.4 1.1 0.4 -0.4 1.8 7.4 9.3 7.8 4.7 3.3 2.6 -0.3 -1.9 -1.1 -5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 60~65 65~70 70~75 75~80 80~85 85~90 90~95 95~00 00~05 05~10

奈良県人口の自然増減率・社会増減率

自然増減率 社会増減率 (%) (年) 資料:総務省統計局「国勢調査報告」 167.4 132.9 132.3 161.0 143.1 100 105.8 119.1 137.9 154.8 167.1 176.1 183.2 184.8 181.9 179.4 108.5 100.0 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 60 65 70 75 80 85 90 95 00 05 10 近畿各府県の人口推移〔1960=100〕 滋賀 京都 大阪 兵庫 奈良 和歌山 (年) 資料:総務省統計局「国勢調査報告」

(2)

1年単位でみると1963~97年の35年間に39.6万 人の社会増となっ たが、1998年~2011年の14年 間には4.8万人の社会減となっている。 近畿各府県の過去50年間の社会増減率をみると、 奈良県は大阪府を除く他府県よりも増減幅が大き く、特にピーク時からの落ち込みが大きい(社会 的な歪ひずみが発生しやすい)。一方、滋賀県は増減 幅が小さく、未だに社会増加が続いている。 2.社会増減〔転入・転出状況〕 奈良 県に お ける 1954 年 以降 の全 国 との 転入 ・ 転出の 推移 をみ ると 、 全 国か らの 転入 は1966~ 97 年 の 32 年 間 は 4 万 人 以 上 の 転 入 が 続 い た が 、 1973年の 63,544人 をピーク に転入 の勢いが 弱ま った。1996年 から16年 連続で 転入者 数が減 少し ており、2011年は25,330人となっている。 一方、全国 への転 出は 1964年~ 2008年 の45 年 間に3~ 4万人の転 出があっ たが(ピ ークは 1973 年 の 41,782 人 )、 2009 年 に 3 万 人 を 割 り 込 み 、 2011年は27,295人となっている。 このような人の動きの変化を受けて、奈良県で は1998 年以降 14年 連続 で転出 超過の 状態が 続い ている。 1.8 7.4 9.3 7.8 4.7 3.3 2.6 -0.3 -1.9 -1.1 -5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 60~ 65 65~ 70 70~ 75 75~ 80 80~ 85 85~ 90 90~ 95 95~ 00 00~ 05 05~ 10 近畿各府県の社会増減率 滋賀 京都 大阪 兵庫 奈良 和歌山 (%) (年) *各期間(期首年10月~期末年9月) における人口増加から自然増減を 差し引いた社会増減を期首人口で 除した率。 資料:総務省統計局「国勢調査報告」 63,544 -41,782 21,762 1,449 300 400 500 600 700 800 900 1,000 1,100 1,200 1,300 1,400 1,500 -50,000 -40,000 -30,000 -20,000 -10,000 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 54555657585960616263646566676869707172737475767778798081828384858687888990919293949596979899000102030405060708091011

奈良県の人口〔転入者数、転出者数、転入超過数〕の推移

転出者数 転入者数 転入超過数 人口(右目盛) (人) (年) 資料:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」「推計人口」 (万人)

(3)

都道府県単位で奈良県の転出入の推移をみると、 大阪府は 1989年時 点で13,874人の 転入超過 であ ったが 、そ の後 は減 少が 続き 、2004年 以降 は± 100人前後の転入超過または転出超過となってい る〔2011年は41人の転出超過〕。 2011年の大阪府への転出は9,142人で、1983年 時点 の69% の水 準に 減少 して いる が、 大阪 府か ら の 転 入 は 9,183 人 と 、 1989 年 (25,198人)の36%の水準にまで 減少しており、落ち込みが顕著に なっている。 これは全国的な地 価の下落傾 向 に伴い、勤務地の大阪府下に居住 地を求める傾向が強まったためと 推測される。今後、以前のような 大幅な転入超過の状況になること は無いと予想される。 奈良県内での人の動きをみると、 2011年 の奈 良県 の都 道府 県内 の移 動率 (実 数÷ 各県の日 本人人 口)は 1.37 %(全 国33位) と、 全国の2.14%より0.77ポイント低い。 一方、転入者の移動率をみると、奈良県は全国 13位 、転出 者の 同率は 10 位(東 日本 大震災 の特 殊要因で高くなっている福島県と宮城県を除 くと 8位)と上位に位置している。 47,452 38,854 25,198 13,209 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000 50,000 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 (人) (年) 奈良県の転入者数・転出者数の推移 【対全国・対大阪府】 全国からの転入 全国への転出 大阪府からの転入 大阪府への転出 資料:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」 都道府県内移動者数、他都道府県からの転入者数及び他都道府県への転出者数〔2011年〕 【転出者移動率の上位15都府県】 「※」欄は、移動率(各実数÷日本人人口)の順位。 資料:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」 日本人 人口 実数 ※ 移動率 実数 ※ 移動率 実数 ※ 移動率 実数 ※ 移動率 (千人) 全 国 2,705,720 - 2.14 2,338,519 - 1.85 2,338,519 - 1.85 - - - 126,180 -東 京 都 383,489 5 2.98 394,116 1 3.06 349,634 1 2.72 44,482 47 0.35 12,869 1 福 島 県 27,613 29 1.39 21,741 45 1.10 53,122 2 2.68 -31,381 1 -1.58 1,981 18 宮 城 県 70,082 4 3.03 47,662 6 2.06 54,064 3 2.34 -6,402 3 -0.28 2,315 15 千 葉 県 121,115 13 1.97 138,402 3 2.26 142,337 4 2.32 -3,935 27 -0.06 6,135 6 神 奈 川 県 213,190 8 2.39 210,631 2 2.36 200,512 5 2.24 10,119 42 0.11 8,934 2 京 都 府 51,916 11 2.00 53,997 5 2.08 53,960 6 2.08 37 35 0.00 2,590 13 埼 玉 県 138,333 14 1.94 159,200 4 2.24 147,057 7 2.07 12,143 43 0.17 7,117 5 佐 賀 県 10,903 39 1.29 16,427 9 1.95 17,195 8 2.04 -768 20 -0.09 843 42 長 崎 県 22,419 22 1.59 24,226 17 1.72 28,559 9 2.02 -4,333 2 -0.31 1,411 27 奈 良 県 19,004 33 1 . 3 7 25,330 13 1 . 8 3 27,295 10 1 . 9 7 -1,965 13 - 0 . 1 4 1,387 30 宮 崎 県 17,919 23 1.59 20,737 12 1.84 21,932 11 1.95 -1,195 19 -0.11 1,127 36 香 川 県 12,452 41 1.26 18,377 11 1.87 18,418 12 1.87 -41 36 -0.00 985 40 鹿 児 島 県 36,709 9 2.17 30,109 15 1.78 31,486 13 1.86 -1,377 22 -0.08 1,693 24 福 岡 県 154,175 3 3.06 103,497 7 2.05 93,778 13 1.86 9,719 44 0.19 5,038 9 大 分 県 16,314 31 1.38 20,532 16 1.74 21,339 15 1.80 -807 24 -0.07 1,183 33 *注:福島県と宮城県は、東日本大震災の関係で転出者の移動率が前年を大きく上回る結果となっている。 都道府県内移動者 他都道府県からの 転入者 他都道府県への 転出者 転入超過 (-は転出超過) 同 順 位

(4)

転出超 過に なっ た1998年 以降 の14年 間の累 計 転出超 過数 は48,302人 だが、 この うち 東京 都が 12,409人、京都府が14,247人と、2都府で超過数 全体の 55.2 %を 占め てい る。 転入 ・転 出が 最も 多い大阪府は、今のところ均衡を保っている。 人口減少に直結する転出を食い止めるには、こ れら2都府への転出を抑制することが有効である が、東京都への転出超過は上場企業を含む大企業 への就職や転勤などが主要因と考えられるため、 現状の東京一極集中が改善されない限り同様の状 況が続くと考えられる。 また、京都府は南部を中心とする住宅地への転 出などが主要因であると考えられる。転居を検討 する奈良県民、とくに北和地域への居住者に対し て奈良県内の住環境の比較優位性を高め、その良 さを積極的にPRしていくことが課題となる。 2010年・京都府南部の人口増減(人・%) 2010年 人口 05年比 増減数 05年比 増減率 京都府 2,636,092 -11,568 -0.4 京田辺市 67,910 3,902 6.1 木津川市 69,761 6,112 9.6 精華町 35,630 1,394 4.1 資料:総務省統計局「国勢調査報告」 3.男女別・年齢階層別社会増減〔転入・転出状況〕 男女別・年齢階層別に奈良県の転入・転出超過 数(2011年)をみると、20~ 34歳、45~ 59歳の 階層 で 転出 超過 と なっ て いる 。 男女 とも 、 特 に 20~29歳での転出超過が多い。また、1歳ごとに みると、転出超過は18歳から始まっている。 筆者の推測ではあるが、県民の期待・要望に沿 うような大学や企業が少ないことから、県外に転 出して学んだり働いたりする大学生や働き盛りの 若い世代(出稼ぎ就業者)が多くなっていると思 われ る。 なお 、60歳 以上 につ いて は僅 かな がら 転入超過となっている。 9,183 2,306 -9,142-3,000 41 -694 -285 -480 -88 -21 -25 -251 -48 50 -10,000 -8,000 -6,000 -4,000 -2,000 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 大阪 京都 兵庫 東京 愛知 三重 神奈川 滋賀 千葉 和歌山 奈良県の都道府県別転入者数・転出者数 〔2011年・転出者数上位10都府県〕 奈良県からの転出者数 奈良県への転入者数 転入超過数 (-は転出超過) 資料:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」 -5,145 -1,965 -7,000 -6,000 -5,000 -4,000 -3,000 -2,000 -1,000 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 (人) (年) 奈良県の転入者数と転出者数との差 【対全国・京都府・東京都・大阪府】 その他との差 京都府との差 東京都との差 大阪府との差 全国との差 資料:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」 592 274 76 199 -1,585 -1,314 -165 116 78 -144 -105 -95 108 -6,000 -5,000 -4,000 -3,000 -2,000 -1,000 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 0~ 4歳 5~ 9 10~ 14 15~ 19 20~ 24 25~ 29 30~ 34 35~ 39 40~ 44 45~ 49 50~ 54 55~ 59 60歳 以上 男女別・年齢階層別奈良県の転入超過数・2011年 女性・転出者数 女性・転入者数 男性・転出者数 男性・転入者数 男女計・転入超過数 (人) 資料:総務省統計局「住民基本 台帳人口移動報告」

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1.若年男性が少ない 2012年 3 月末現 在で 奈良 県人口(140 万人)を 男女 別にみると男性が668,673 人、女性が732,570 人で女 性が多い。人口性比(女性 100 人に対す る男性の 数) は 91.3 で 、 全 国 の 同 比 95.4 を 下 回 る 。 一 般 的 に 人口性比は首都圏で高く、 地方では低い。 人口性比を年齢階層別に み る と 、 全 国 は 54 歳 未 満 の全年齢階層で男性が女性 を上回って 人口性比 が 100 を超えているのに対して、 奈 良 県 は 25 歳 以 上 の 各 階 層で100を下回っている。 奈良県と同規模の人口を 抱える滋賀 県(139万 人) は奈良県より 6,771人 少な いが、0~44歳の男 性だけ でみると奈良県が336,364 人、滋賀県が378,618人と、 滋賀県が42,254人多い。 一 方 、 60 歳 以 上 の 男 性 は奈良県が207,351 人、滋 賀県が183,279 人と 、奈良 県が24千人多い。 奈良県は、現在及び将来 の働き手が少なく、高齢者 とその予備軍の男性が多い 人口構造となっている。

人口性比の特徴

103.4 105.5 105.1 105.0 100.0 94.3 95.5 95.8 93.9 93.0 93.4 92.1 90.9 89.4 91.2 82.8 52.5 104.5 101.1 99.5 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0 110.0 120.0 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000 50,000 55,000 60,000 65,000 0~ 4歳 5~ 9 10~ 14 15~ 19 20~ 24 25~ 29 30~ 34 35~ 39 40~ 44 45~ 49 50~ 54 55~ 59 60~ 64 65~ 69 70~ 74 75~ 79 80歳 以上 奈良県の男女年齢階層別人口(2012年3月31日現在) 男性 女性 性比・奈良県 性比・全国 (人) 資料:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」 (性比) 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000 50,000 55,000 60,000 65,000 0~ 4歳 5~ 9 10~ 14 15~ 19 20~ 24 25~ 29 30~ 34 35~ 39 40~ 44 45~ 49 50~ 54 55~ 59 60~ 64 65~ 69 70~ 74 75~ 79 80歳 以上 奈良県・滋賀県の男性の年齢階層別人口(2012年3月31日現在) 滋賀県 奈良県 (人) 資料:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」 105.1 106.6 106.4 105.7 110.4 105.8103.4 103.4 103.6 100.6 98.3 99.0 98.0 96.1 93.6 80.7 52.6 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0 110.0 120.0 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000 50,000 55,000 60,000 65,000 0~ 4歳 5~ 9 10~ 14 15~ 19 20~ 24 25~ 29 30~ 34 35~ 39 40~ 44 45~ 49 50~ 54 55~ 59 60~ 64 65~ 69 70~ 74 75~ 79 80歳 以上 滋賀県の男女年齢階層別人口(2012年3月31日現在) 男性 女性 性比 (人) 資料:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」 (性比)

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2.近畿各府県の人口性比の推移 前述のように奈良県の人口性比は全国より低い が、これは奈良県に限った特徴ではない。 1960年 の人 口性 比をみ ると 、 奈 良県 は96.0 、 全国は96.5 とほぼ同じ 水準であり 、京都府 95.4 、 滋賀県91.8よりも高い水準であった。 2010 年に な ると 、高 齢 化に 伴う 女 性の 増加 に より、全 国の人 口性比 は 94.8 と1960 年と比 べて 1.7ポイント低下している。一方、奈良県は県外 からの転入超過により人口の社会増加が続いてい たが、2010年の人口性比は1960年と比べて6.0ポ イント 低下 し、 90.0 とな って いる 。 こ れは 、総 人口は増加したものの、男性の県外転出が増加し、 その動きが続いているために人口性比の低下につ ながったと考えられる。 近畿の他府県の動きをみると、大阪府は人口性 比の低 下が 著し いも のの 、 2010年 時点 で全 国を やや下回る水準にとどまっている。 滋賀県は、奈良県と同様に転入超過に伴う人口 増加が続いているが、奈良県の動きとは異なり、 人口性比はほぼ一貫して上昇を続けている。 滋賀 県では、住宅開発だけではなく、製造業や大学の 誘致など、一体的な取組みがこのような成果につ ながっていると考えられる。 3.もし「人口性比が全国と同じ」と仮定すると 奈良県の人口性比が全国と同じと仮定した場合 の奈良 県男性 の生産 年齢 人口( 15 ~64歳) を試 算すると、2010年の419,618人より39,341人増加 (9.4%増加)することになる。 なお、 奈良 県女 性も 男性 と同 様に 2011年 で20 ~24歳で629人の転出超過、25~ 29歳で670人の 転出超過となっており、以前からも同じような傾 向が続いている。計算の前提である女性自身の県 外流出がもし少ないと仮定するならば、奈良県男 性の生産年齢人口は更に増加する。 96.5 94.8 91.8 92.3 93.5 95.6 96.1 96.9 96.7 97.3 97.6 97.5 97.6 95.4 92.3 101.6 93.6 91.7 96.0 94.1 94.0 94.5 94.3 94.2 93.2 92.8 91.9 90.8 90.0 93.8 88.8 88.0 90.0 92.0 94.0 96.0 98.0 100.0 102.0 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 近畿各府県の人口性比の推移 全国 滋賀 京都 大阪 兵庫 奈良 和歌山 (年) 資料:総務省統計局「国勢調査報告」 *人口性比(女性100人に対する男性の数) (人口性比) (人) 奈良県 女性 奈良県 性比 全国 性比 奈良県女 性×性比 奈良県 男性 増減 2010年 a b c d (a×c ÷100) 2010年 e d-e 総数(年齢) 737,407 90.0 94.8 699,242 663,321 35,921 0~4歳 27,212 102.6 104.8 28,521 27,913 608 5~9歳 29,791 105.8 104.9 31,255 31,507 -252 10~14歳 32,880 105.6 104.9 34,506 34,708 -202 15~19歳 35,720 103.0 105.3 37,595 36,774 821 20~24歳 37,484 93.3 103.4 38,742 34,990 3,752 25~29歳 37,413 92.4 102.5 38,345 34,587 3,758 30~34歳 42,030 92.9 102.4 43,055 39,033 4,022 35~39歳 51,923 93.7 102.4 53,146 48,672 4,474 40~44歳 48,493 90.1 101.4 49,151 43,710 5,441 45~49歳 45,478 90.2 100.6 45,737 41,033 4,704 50~54歳 43,550 89.7 99.3 43,262 39,081 4,181 55~59歳 50,938 90.3 98.0 49,905 45,994 3,911 60~64歳 62,415 89.3 96.2 60,020 55,744 4,276 生産年齢人口 455,444 - - 458,959 419,618 39,341 資料:総務省統計局「国勢調査報告」 【試算】奈良県の人口性比が全国と同じと仮定      した場合の奈良県男性の生産年齢人口

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1.奈良県の県外就業率は全国1位 2010 年の 奈 良県 の常 住 地に よる 就 業者 数( 夜 間人口)は596,525人〔全国シェ ア 1.0%、05年 比6.0%減〕で、うち167,994人〔男性119,802人、 女性48,192人 〕が 県外 で就業 して おり 、県 外就 業率( 県外 での 就業 者数 ÷就 業者 数) は28.4% 〔男性: 35.0% 、女性 :19.3 %〕と 全国で 最も 高い(2位:埼玉県28.0%、滋賀県10.8%)。 *県外就業率は従業地不詳を除いて計算している。 男女別・産業別県外就業率をみると、男女とも 「情 報通 信業 」「 金融 、保 険業 」「 学術 研究 、専 門・技術サービス業」などで同率が高くなってい る。また、「製造業」「卸売業、小売業」の県外就 業率は、男性が4割に対して女性が2割と低い。 一 方、 従 業 地に よ る 就業 者 数 (昼 間 人 口) は 470,815 人 〔 同 0.8 % 、 05 年 494,315 人 : 4.8 % 減〕で、うち42,284人(全体の9.0%)が他県に 常住し、奈良県へ働きに来ている。

高止まりする県外就業率

35.0 2.1 28.4 39.8 45.6 77.8 32.8 39.5 55.7 42.0 50.6 23.3 23.4 34.6 25.1 14.9 30.0 29.5 16.9 19.3 0.7 19.6 19.9 32.6 63.7 20.6 20.4 46.2 28.1 42.0 11.3 17.1 23.5 12.4 8.2 19.2 17.0 11.4 0 20 40 60 80 全産業 農業、林業 建設業 製造業 電気・ガス・熱供給 ・水道業 情報通信業 運輸業、郵便業 卸売業、小売業 金融業、保険業 不動産業、物品賃貸業 学術研究、専門・ 技術サービス業 宿泊業、飲食サービス業 生活関連サービス業、 娯楽業 教育、学習支援業 医療、福祉 複合サービス事業 サービス業(他に分類 されないもの) 公務(他に分類される ものを除く) 分類不能の産業 奈良県の男女別・産業別県外就業率 男性 女性 (%) 資料:総務省統計局 「国勢調査報告」 「漁業」「鉱業、採石業、 砂利採取業」の記載を 省略。 106,666 100,191 68,699 37,281 36,445 35,520 30,582 26,339 24,825 22,867 21,125 19,938 18,330 15,545 12,526 11,955 3,778 3,772 81,072 73,289 63,093 30,338 28,883 28,984 27,699 21,047 22,754 18,636 18,653 11,703 10,655 15,520 3,903 8,299 3,601 2,551 0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 卸売業、小売業 製造業 医療、福祉 建設業 サービス業(他に分類 されないもの) 教育、学習支援業 宿泊業、飲食サービス業 運輸業、郵便業 分類不能の産業 公務(他に分類される ものを除く) 生活関連サービス業、 娯楽業 学術研究、専門・ 技術サービス業 金融業、保険業 農業、林業 情報通信業 不動産業、物品賃貸業 複合サービス事業 電気・ガス・熱供給 ・水道業 奈良県の常住地・従業地による産業別就業者数 常住地による就業者数 従業地による就業者数 (人) 資料:総務省統計局「国勢調査報告」 「漁業」「鉱業、採石業、 砂利採取業」の記載を 省略。

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15 歳以 上 就業 者 の夜 間人 口 と昼 間 人口 の乖 離 は125,710人(夜間人口の21.1%)であり、同人 数分の職場を県内で供給できていないという見方 もできる。また、常住地と従業地による産業別就 業 者 数 を 比 較 す る と 、「 卸 売 業 、 小 売 業 」 で 25,594 人分、「製造業」 で 26,902人分、「 情報通 信業」 で8,623人 分、「学術 研究 、専門 ・技 術サ ービス業」で8,235人分の供給不足となっている。 2.県外就業者数が大きく減少 奈良県内で働き場所を提供できていなくても、 県外で働いた雇用所得を県内へ持ち帰ってくれて いる と 肯定 的に 見 るこ と も可 能 であ る。 但 し、 2010年 の県外 就業者 数を 05年 と比較 すると 、男 性は15,062人減少(11.2%減:05年134,864人)、 女性は2,984人減 少(5.8%減:同 51,176人)し ている。県外就業者数の減少は、「県外からの所 得」の減少に直結する問題でもあり、県内経済へ の影響は大きいと言える。 男女別年齢階層別県外就業率をみると、男性は 40~59歳で 40%前後と高い。女性は25~ 29歳が 34%と最も高く、次いで20~24歳と30~ 34歳で 約29%と高く、35歳以降は低下傾向にある。 奈良 県 は 県外 就 業 率 ( 28.4% ) が 全国 で 最も 高く、その理由が時々話題になる。ただ、「(県外 を含む)他市区町村での就業率」で近隣他府県と 比較する と、奈 良県58.3%は 大阪府 59.9% とほ ぼ同じで あり、 京都府 51.0% 、兵庫 県49.8 %と も大差はない。時間距離の視点で考えると、奈良 の県外就業率の高さは特異とは言えないだろう。 行政が地域を分析する場合、行政区画として都 道府県がよく用いられるが、奈良県から大阪府下 への通勤者にとっては、県外かどうかは意識 され ず、単に企業が通勤圏内にあるかどうかを考える だけである。道州制の議論が一部でなされており、 住民視点の地域分析も必要ではないだろうか。 43.8 43.4 51.0 59.9 49.8 58.3 28.4 8.3 10.8 11.6 5.4 13.6 28.4 6.6 0 20 40 60 80 全国 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 他市区町村での就業率・県外就業率 他市区町村での就業率 県外就業率 (%) 資料:総務省統計局 「国勢調査報告」 35.0 19.8 26.9 30.3 33.7 36.8 39.8 41.2 39.4 39.5 36.8 27.3 19.6 13.1 12.3 8.9 19.3 19.1 28.6 34.0 28.9 22.6 17.7 14.7 13.7 13.3 11.2 8.8 7.3 5.6 3.8 3.4 0 10 20 30 40 50 総数 15~19歳 20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳 50~54歳 55~59歳 60~64歳 65~69歳 70~74歳 75~79歳 80~84歳 85歳以上 奈良県の男女別年齢階層別県外就業率 男性 女性 (%) 資料:総務省統計局 「国勢調査報告」

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1.日本の将来推計人口(2012年1月推計) 国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来 推計人口(2012年1月推計)」〔出生中位(死亡中 位)推計〕によると、日本の人口は 2010年の1億 2,806万人から、2030年に1億1,662万人となり、 2048年には 1億人を割って9,913万人、 2060年に は8,674万人になるものと推計されている。 すなわち、2060年までの50年間で人口は4,132 万人(2010年比32.3%)の減少が見込まれる。 2060年迄の50年間に年少人口(0~14歳人口) は2010年の1,684万人から791万人へと893万人の 減 少 ( 47.0 % 減 )、 生 産 年 齢 人 口 ( 15 ~ 64 歳 人 口)は8,173万人から4,418万人へと3,755万人の 減少( 同54.1% 減) が見 込ま れる 。 一 方、 老年 人口(65歳以 上人口)は 2,948万人 から3,464万 人へと516万人増加(同17.5%増)する。 2.奈良県の将来推計人口(2007年5月推計) 国勢調 査で は2005~ 10 年に かけ て既に 38 道府 県で人口減少がみられたが、「都道府県別将来推 計人口」(2007年 5月推計)によると、2025~ 30 年にかけては全都道府県で人口が減少する。

日本・奈良県の将来推計人口

104.4 100.9 97.2 97.0 96.4 90.8 88.7 87.9 86.6 86.5 85.9 85.8 85.7 85.7 85.5 84.0 83.9 83.7 83.6 83.5 83.2 82.4 82.2 82.2 82.0 81.8 81.5 80.6 80.2 79.2 79.2 79.1 79.1 78.9 78.4 77.7 77.1 76.8 76.8 76.1 75.5 75.1 74.9 74.7 73.9 73.1 71.2 68.3 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0 110.0 沖縄 東京 滋賀 神奈川 愛知 千葉 埼玉 福岡 全国 栃木 京都 兵庫 三重 岡山 静岡 宮城 群馬 大阪 岐阜 山梨 広島 茨城 福井 佐賀 熊本 石川 鳥取 長野 大分 香川 鹿児島 富山 宮崎 福島 北海道 奈良 新潟 徳島 愛媛 山形 長崎 岩手 高知 島根 山口 青森 和歌山 秋田 2035年の都道府県別推計人口の指数 (2005年=100とした場合) 資料:国立社会保障・人口問題研究所 「都道府県別将来推計人口」 (2007年5月推計) 16,839 14,568 12,039 10,732 9,387 7,912 81,735 73,408 67,730 57,866 50,013 44,183 29,484 36,124 36,849 38,678 37,676 34,642 13.1 11.7 10.3 10.0 9.7 9.1 63.8 59.2 58.1 53.9 51.5 50.9 23.0 29.1 31.6 36.1 38.8 39.9 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 日本の将来推計人口:出生中位(死亡中位)推計 65歳以上 15~64歳 0~14歳 0~14歳の割合(右目盛) 15~64歳の割合(右目盛) 65歳以上の割合(右目盛) 資料:国立社会保障・人口問題研究所 「日本の将来推計人口(2012年1月推計)」 (千人) (%) (年)

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2035 年時 点で 2005 年 と比 べて 人 口が 増え るの は、沖縄県と東京都の 2都県だけである。05年の 人口を100とした場合の人口指数でみると、奈良 県は77.7と約3/4の水準にまで減少する(減少率 22.3%は全国13位)。 奈良県人口は、1997年5月推計では2020年まで 増加するとみられていたが、2002年3月推計以降、 推計人 口の 減少 スピ ード が速 まっ て い る〔 2010 年実績との乖離率は全国1位:-10.4%、2007年5 月 推 計 と 97 年 5 月 推 計 と の 乖 離 率 も 全 国 1 位 : -22.2%〕。東日本大震災の影響等で2010年国勢調 査を基準にした都道府県別将来推計人口は未だ公 表されていないが、奈良県の人口推移は同じよう な傾向が続くと思われる。 3.一般世帯数の将来推計(2009年12月推計) 2010 年国 勢 調査 を基 準 にし た将 来 推計 が未 公 表のため 、2009年12月 推計に より奈 良県の 将来 推計を 確認 して おく と、 2030 年の 一般 世帯 数は 2005年比8.8%減少(減少率は全国12位)となっ ている。奈良県以上に減少率の高い地域は、和歌 山県や東北・九州・四国などの人口減少率の高い 県が多い。世帯数の減少はマーケットの縮小に直 結する問題であり、企業は注視が必要である。 20.7 10.0 9.9 9.1 7.9 -1.9 -4.5 -4.8 -8.8 -10.2 -10.8 -11.2 -11.4 -11.6 -11.9 -13.1 -13.3 -15.1 -15.4 -15.7 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 沖縄 滋賀 東京 愛知 神奈川 兵庫 大阪 京都 奈良 宮崎 北海道 島根 青森 長崎 愛媛 鹿児島 高知 秋田 山口 和歌山 2030年の主要都府県別一般世帯数の将来 推計〔2005年からの増減率〕 資料:国立社会保障・人口問題 研究所「世帯数の将来推 計(都道府県別推計)」 (2009年12月推計) (%) *近畿各府県および増加率5% 以上と減少率10%以上の都 府県を掲載。 1,431 1,479 1,525 1,564 1,589 1,598 1,594 1,443 1,451 1,448 1,433 1,407 1,370 1,325 1,421 1,389 1,349 1,298 1,240 1,175 1,104 1,000 1,100 1,200 1,300 1,400 1,500 1,600 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 奈良県の将来推計人口の変化と実績 1997年5月推計 2002年3月推計 2007年5月推計 ■=各年の実績 実績:1,401 (千人) (年) 資料:総務省統計局「国勢調査報告」、国立社会 保障・人口問題研究所「都道府県別将来推 計人口」(2007年5月推計) 都道府県別将来推計人口と実績 *1997年5月推計と2010年実績との乖離率   の昇順〔上位10県+近畿他府県等〕 (千人、%) 1997年 5月推計 実績 乖離 率 1997年 5月推計 2007年5 月推計 乖離 率 1 奈 良 1,564 1,401 -10.4 1,594 1,240 -22.2 2 山 梨 948 863 -9.0 962 802 -16.6 3 茨 城 3,230 2,970 -8.1 3,289 2,690 -18.2 4 埼 玉 7,718 7,195 -6.8 8,074 6,752 -16.4 5 和歌山 1,065 1,002 -5.9 980 846 -13.7 6 宮 城 2,495 2,348 -5.9 2,519 2,158 -14.3 7 福 島 2,148 2,029 -5.5 2,036 1,821 -10.6 8 長 野 2,272 2,152 -5.3 2,199 1,941 -11.7 9 三 重 1,947 1,855 -4.7 1,913 1,725 -9.8 10 滋 賀 1,475 1,411 -4.4 1,585 1,388 -12.4 17 兵 庫 5,772 5,588 -3.2 5,620 5,193 -7.6 - 全 国 127,623 128,057 0.3 120,913 119,270 -1.4 42 京 都 2,611 2,636 1.0 2,434 2,459 1.0 46 大 阪 8,307 8,865 6.7 7,270 8,072 11.0 47 東 京 10,906 13,159 20.7 9,407 13,047 38.7 2010年 2025年 資料:総務省統計局「国勢調査報告」、国立社会保障・人口問題研究所     「都道府県別将来推計人口」(2007年5月推計)

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4.県内市町村別の将来推計人口(2008年12月推計) 「日 本の 市 区町 村別 将 来推 計人 口 (2008年 12 月推計)」により2035年の奈良県内の市町村別将 来推計人口を確認しておく。 *市町村 別推 計結果 は、全 市町 村につ いて過 去5 年間 における人口変動が将来も持続するものとして推計 されて いる ため、 この 5年 間に 団地 造成等 によ り急 激な人口増加があった場合には、将来人口が過大に 推計されることがある。 2005年の人口を100とした場合の人口指数でみ ると、2035年の 奈良県 人口は 77.7に まで減 少す るが、市町村別の増減状況には大きな違いがある。 県全体の77.7を上回るのは8市町で、香芝市が 122.0 と 最 も 高 く 、 次 い で 広 陵 町 97.0 、 上 牧 町 90.9と 続い てい る。 一方 、 同 数値 を下 回る のは 31市 町村で 、川上 村が 34.6と 最も低 く、次 いで 東吉野村36.6、天川村41.9、吉野町 44.6と続く 。 市部 に 限 ると 御 所 市が 57.7と 最 も 低く 、 次い で宇陀市59.3、五條市59.5と続いている。 人口減少に伴い、行政の効率化・安定化のため には、市町村合併の推進も不可欠となってくる。 なお 、2005~ 10年 の人 口 増減 を 市町 村別 にみ ると、香芝市6.0%増、生駒市3.9%増など6市町 で増加、 野迫川 村29.5 %減、 黒滝村 21.9% 減な ど33市町村で減少となっている。 2010年・奈良県人口の増減率〔2005年比〕       *2005年比増減率の昇順 (人、%) 市町村 2010年人口 05年比増減率 市町村 2010年人口 05年比増減率 1 野迫川村 524 -29.5 21 大淀町 19,176 -4.5 2 黒滝村 840 -21.9 22 三宅町 7,440 -4.2 3 川上村 1,643 -19.7 23 安堵町 7,929 -4.0 4 東吉野村 2,143 -17.8 24 大和高田市 68,451 -3.3 5 上北山村 683 -14.8 25 高取町 7,657 -3.2 6 下北山村 1,039 -14.3 26 大和郡山市 89,023 -2.9 7 曽爾村 1,895 -13.6 27 天理市 69,178 -2.8 8 吉野町 8,642 -13.4 28 平群町 19,727 -2.8 9 天川村 1,572 -12.7 29 田原本町 32,121 -2.7 10 御杖村 2,102 -11.2 30 王寺町 22,182 -2.5 11 山添村 4,107 -10.6 31 桜井市 60,146 -1.6 12 下市町 7,020 -9.3 32 奈良市 366,591 -0.9 13 宇陀市 34,227 -7.9 33 斑鳩町 27,734 -0.3 14 五條市 34,460 -7.8 34 橿原市 125,605 0.7 15 明日香村 5,856 -7.7 35 広陵町 33,070 0.8 16 十津川村 4,107 -6.4 36 三郷町 23,440 1.6 17 御所市 30,287 -6.2 37 葛城市 35,859 2.5 18 川西町 8,653 -5.7 38 生駒市 118,113 3.9 19 上牧町 23,728 -4.9 39 香芝市 75,227 6.0 20 河合町 18,531 -4.7 資料:総務省統計局「国勢調査報告」 77.7 77.1 69.1 73.9 80.7 83.0 71.7 59.5 57.7 83.9 122.0 81.4 59.3 54.9 72.2 71.6 72.0 70.3 72.9 68.1 83.8 52.9 49.2 69.1 58.9 90.9 68.3 97.0 68.7 44.6 75.3 49.3 47.1 41.9 50.5 49.0 55.8 60.7 34.6 36.6 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 120.0 140.0 奈良県 奈良市 大和高田市 大和郡山市 天理市 橿原市 櫻井市 五條市 御所市 生駒市 香芝市 葛城市 宇陀市 山添村 平群町 三郷町 斑鳩町 安堵町 川西町 三宅町 田原本町 曽爾村 御杖村 高取町 明日香村 上牧町 王寺町 広陵町 河合町 吉野町 大淀町 下市町 黒滝村 天川村 野迫川村 十津川村 下北山村 上北山村 川上村 東吉野村 2035年の市町村別人口の指数 (2005年=100とした場合) 資料:国立社会保障・人口問題 研究所「日本の市区町村 別将来推計人口」 (2008年12月推計)

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2010年の奈良県人口の年齢 3区分別割合は、年 少人口(0~14歳)が13.2%、生産年齢人口(15 ~ 64 歳 ) が 62.8 % 、 老 年 人 口 ( 65 歳 以 上 ) が 24.0 % と 、 全 国 平 均 ( 各 々 13.2 % 、 63.8 % 、 23.0% )と ほぼ 同じ 年齢 構成 にな って おり 、生 産年齢 人口で +1 ポイ ント、 老年 人口で - 1 ポイ ントの乖離となっている。 但し、2005年と比較すると老年人口は 4.0ポイ ント増加(埼玉県・千葉県も4.0ポイント増加、 全国2.8ポイント増加)、生産年齢人口は 3.3ポイ ント減少 (埼玉 県も 3.3ポイ ント減 少、全 国 2.3 ポイント減少)と、それぞれ全国最大の増加また は減少となっており、全国を上回るペースで少子 高齢化が進展していることがわかる。 2005 年 の国 勢 調 査を ベ ー スに し た 「都 道 府県 別将来推 計人口」(2007 年5 月推計) による と、 2035年の奈良県の年齢3区分別割合は、年少人口 が 9.1 % ( 全 国 40 位 )、 生 産 年 齢 人 口 が 54.1 % (同32位)、老年人口が36.8%(同12位)と見込 まれているが、今後公表される新しい推計でも少 子高齢化の更なる進展が予想される。 人口減少や高齢化の進展は、奈良県内の各市町 村でその状況は異なり、一つの市町村内において も各地域、コミュニティで異なっている。また、 農村や中山間地域に限らず、市街地の商店街など 市町村の中心部の地域等でも、高齢化の進んだ地 域は散 見さ れる 。2010年 国勢 調査 の小 地域 集計 で県 庁所 在地 の奈 良市 内で の 老 年人 口( 65 歳以 上)割合をみると、695地域(秘匿扱い等で計算 不 可 の 地 域 を 除 く ) の 中 で 60 % 以 上 が 5 地 域 、 50%台が13地域、40%台が55地域、30%台が175 地域となっており、30%以上の地域は 248地域、 全体の35.7%となっている。 1996年~ 2009年ま での関連 指標の動 き(1996 年=100)を みると、「生産 年齢人口 」は 1996年 の101 万6千人 をピーク に減少傾向 が続き 89.5と 約10ポイント減少しているが、「県内総生産(支 出側)」「県民総所得」「1人当たり県民所得」「県 外からの所得(純)」の4指標をみると更に減少幅 が大きくなっている。 とく に「 県外 から の所 得 ( 純) 」は 、団 塊の 世 代等の定年退職等により大阪府等での県外就業者 が減少したことが大きく影響し、落ち込みが大き くなっている。 奈良県の将来の生産年齢人口をみると、その割 合は2035年に 54.1%、 順位は全国 32位と 中間的 な位置に あるが 、実数 では 2005年 (94万人 )~ 15年に13万人減少し、2015~35年(59万8千人) の10 年ごと に約 10 万人ず つ減少 する と推計 され ており、関連指標への影響は大きいと言える 。

少子高齢化が全国を上回るペースで進展

奈良県の稼ぐ力の弱体化が進む

85.3 70.8 81.8 79.1 89.5 70.0 75.0 80.0 85.0 90.0 95.0 100.0 105.0 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 奈良県の生産年齢人口・県外からの所得(純) 等の推移〔1996=100〕 県内総生産(支出側) 県外からの所得(純) 県民総所得 1人当たり県民所得 生産年齢人口 資料:総務省統計局「国勢調査報告」、奈良県 「奈良県県民経済計算」 (年)

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1.人口減少下での地域経済の活性化に向けて 全国で人口減少が進展する中、奈良県は全国を 上回るペースで人口減少が進むと推計されている。 奈良県の定住人口を維持・増大することは困難で あり、奈良県の経済規模も縮小は避けることがで きない。このような環境下で県民の生活水準を守 るためには、経済規模の維持・拡大を目指すので はなく、1人当たりの県内総生産や県民所得を増 やしていく対策の検討・実施が求められる。 2009年の1人当たり県民所得は2,408千円(1人 当たり国民所得2,660千円)で1996年比20.9%減 となっている。全国を100とした水準でみると、 1996年は100.7で全国を僅かに上回る水準であっ たが、2009年 は90.5と 約10ポ イント下回 って お り、奈良県の稼ぐ力が弱まってきている。 「1人当たり県民所得」(県民所得÷人口)は、 「①県内就業率(県内就業者数÷人口)」「②県民 分配率(県民所得÷県内総生産)」「③労働生産性 (県内総生産÷県内就業者数:就業者 1人当たり の付加価値(総生産))」の三つの構成要素から成 り立っているが、大企業の工場撤退・縮小などに より労働生産性が大きく低下したことが、1人当 たり県民所得の減少に大きく影響していることが わかる。 1人当たり県民所得の変化 (千円、%) 計算式 1996年 2009年 1人当たり 県民所得 県民所得÷人口 (a)×(b)×(c) 3,044 2,408 -20.9% ①県内就業率 (a) 県内就業者数 ÷人口 0.350 0.364 ②県民分配率 (b) 県民所得 ÷県内総生産 1.085 0.980 ③労働生産性 (c) 県内総生産 ÷県内就業者数 8,006 6,756 -15.6% *県民分配率:県外から流出入する所得の大きさを 示す。 2.労働力人口の確保、県内就業率の向上 (1)大きく減少する将来の労働力人口 労働力人口(労働投入量)の減少により県内総 生産の減少が懸念されており、労働力人口・就業 者数の確保が重要である。 *労働力人口(就業者及び完全失業者) 15歳以上人口のうち、働いている人と働く意思表 示(求職活動)をしている完全失業者の合計。 短期的には失業者の減少という視点が大事だが、 中長期的には大幅な労働力不足が懸念されている。 男女別5歳階級毎の労働力率が2010年から変化 しない と仮 定し て 試 算す ると 、2035年 の労 働力 人口は、2010年比約18万人減( 28.5%減)の 46 万人に なる見 込み。 年齢 別では 20 歳代・ 30 歳代 で9万人減、40歳代・50歳代で7万人減となる。 単に就業率(実際に働く人の割合)の増大を目 指す ので はな く、 労働 力率 (15歳 以上 人口 の中 の働こうとする人の割合)を引き上げることによ り、就業者数そのものを増やしていく努力、労働 力人口の掘り起こしが必要となる。 (2)高止まりする県外就業率の低減は困難 前述のとおり、奈良県では若者が県外に転出し、 男性の働き手が相対的に少ないのが現状だ。 奈良県は、相対的な地価の安さや居住環境の良 さから良質なベッドタウンとして発展してきたが、 企業誘致や産業育成等があまり進展せず、県外就 業率(2010年:男 性35.0%、 女性19.3% )は高 止まりし、全国で最も高い水準にある。また、県 内には大企業や成長の期待できるベンチャー企業 などが少ないために、引き続き、県外就業率は高 止まりすると予想される。 県内就業率の向上のためには、奈良県内での雇 用の場の創出・確保が不可欠であるが、奈良県内 に県外就業者約17万人の雇用を県内で 賄まかなえるほ どの産業基盤がないことから、県外就業者が多い

人口減少・高齢化に関する一考察

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状況は解決しがたい構造問題となっている。 また、業種別の賃金水準をみると、大阪府は奈 良県 より も約20 %高 い水 準に あり 、雇 用環 境面 でも奈良県は劣勢であり、県内企業での就業者数 の増大は難しいと考える。 一方、県民所得の増大という観点からすれば、 労働生産性の高い県外で働いて高い所得を奈良県 に還元してくれることの意義も認める必要がある。 【県民の奈良県内での就業意向は?】 当研究所が2010年8月に実施したネットユーザ ー 対 象 の 「 奈 良 県 経 済 に 関 す る 県 民 意 識 調 査 」 (以下「県民意識調査」という)によると、「県外 よりも県内の企業で働きたい」という考え方につ いて肯定 意見35.8%、 否定意 見33.5 %と、 肯定 と否定はほぼ拮抗している。 県外へ通勤・通学している人だけでみると、半 数が「県外よりも県内企業で働きたい」という考 え方について否定的(県内就業を希望しない)で ある。ただ、 4人に 1人( 23.6%) は肯定意 見で あり、雇用条件の良い企業が県内に増えれば、県 内へのシフトも期待できる余地はあると考える。 【女性・高齢者の労働力率・就業率の向上】 以上の観点から、本格的な人口減少に伴い、県 内の中小企業では雇用(とくに働き盛りの男性) の確保が県外企業以上に厳しくなると予想される。 県内企業の就業者の確保に向けて、女性や高齢 者の働きやすい職場環境づくりを推進し、新しい 労働力の確保に努めていかなければならない。 女性向けには「働きながら子育てできる環境の 整備促進」「企業側の意識・制度改革の促進 」な どを積極的に進める必要がある。また、高齢者向 けには「再雇用、雇用延長等 」のほか、「県内外 の大手企業を定年退職した人材の有効活用」によ り高齢者の技能・ノウハウの有効活用や成長余力 のある企業の支援などが期待される。 35歳以上の女性の労働力率上昇が課題 2010年の労働力率(15歳以上人口に占める労働 力人口の割合) は男性 70.5%( 95年 77.2%)、 女 性43.4 %(同 40.8% )・男 女とも 全国平 均(男 性 73.8 % : 95 年 78.8 % 、 女 性 49.6 % : 95 年 49.1%)を下回り、女性は最下位となっている。 1995年の労働力率と比較すると、奈良県男性は 全国より低下幅が大きく、奈良県女性は全国より 上昇幅が大きくなっている。 女性の年齢階層別労働力率は、結婚、出産、育 児等のライフステージによって影響を受け、 25~ 29歳と 45~ 49歳の 2つのピ ークを持つ M字型を な すという特徴がある。 奈良県女性の場合、全ての年齢階層で全国平均 を下回っており、特に35~64歳未満の各年齢階層 での乖離が大きい。一方、20~29歳は全国とほぼ 遜色のない水準になっている。 女性の労働力率向上には、子供を抱える年代で ある35歳以上の女性が働きやすい職場、働きたい と思うような職場の提供が不可欠である。 12.7 69.4 60.4 42.0 46.7 54.1 55.2 51.5 43.1 29.3 11.5 15.4 70.4 78.7 69.4 68.0 72.5 75.8 73.2 63.9 47.5 14.9 13.8 66.4 77.0 64.4 60.2 65.1 68.4 64.3 52.4 36.1 11.6 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 15~ 19 20~ 24 25~ 29 30~ 34 35~ 39 40~ 44 45~ 49 50~ 54 55~ 59 60~ 64 65歳 以上 全国・奈良県の女性の労働力率 〔1995年・2010年〕 全国・1995年 奈良県・1995年 全国・2010年 奈良県・2010年 資料:総務省統計局「国勢調査報告」 (%)

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(3)奈良県の居住地としての魅力が低下? 奈良県は、県外からの転入者が多く、居住地は 奈良県に移ったが、通勤、消費行動は県外のまま という“奈良府民”が多数存在している。 県民意識調査によると、奈良県での居住年数は 「生ま れた 時か らず っと 住ん でい る」 が 39.0% となっているが、「奈良県に移り住んでから20年 未満」が27.2%(うち10年未満 12.9%)、「同 20 年以上」が33.9%と、全体の6割が自分の世代で 奈良県に移り住んだと回答している。 また、前述のように奈良県民の県内移動率は全 国平均を大きく下回っているが、県民意識調査で 転居するとした場合の転居先について聞いた結果、 県民の3割が「県内よりも大阪や京都、神戸等の 方が良い」としている。居住地、勤務地としての 奈良県の魅力を高める工夫・努力が必要である。 同調 査 は70歳 以 上の 回答 者 数が 少 ない ため に 断定はできないが、県外からの転入者の多さは、 奈良県民の意識・行動特性を考察するうえで 注意 しなければならないポイントである。 3.労働生産性の向上、付加価値の創出・増大 県内総生産、すなわち付加価値額(生産額-原 材料費-減価償却費)は、利益や従業員の給料等 で構成されるものであり、付加価値を高めないと 県内での雇用を増やすこともできない。付加価値 の新たな創出、県内への取り込み等が重要となる。 (1)付加価値を「新たに創る」 県内外の大学等研究機関との産学連携の促進、 企業と大学等との橋渡し役やマーケティングを担 う人財の育成・確保などにより、新たな付加価値 の創出に取り組む企業を積極的に支援することが 望まれる。また官民が連携して、価格がある程度 高くても売れるような魅力的な商品づくり、ブラ ンド価値の創出、情報発信に努めることも大切だ。 (2)付加価値を「奈良県内に落とす」 産業は、農業や製造業等の「域外市場型産業」 (地域外からお金を稼ぐ産業)と商業やサービス 業等の「域内市場型産業」( 地域内でお金を回す 産 業 ) に 大 き く 区 分 で き る 。 人 口 減 少 下 で は 、 「域外市場型産業」の育成・強化が重要となる。 更に、生産に必要な原材料の県内自給率を高め る(付加価値の流出を削減する)努力が不可欠だ。 県内取引のネットワーク強化に向けて、民間レベ ルの取組みだけでなく、行政においても縦割りを 越えた積極的な施策が期待される。 通常、原材料の付加価値よりも製品の付加価値 の方が大きいため、県内のメーカーで県内産の原 材料を加工し、製品として売る比率を上げること で付加価値を高めることが可能となる。 第1次産業とこれに関連する第2次、第3次産業 (加工・販売等)に係る事業の融合等により地域 ビジネスの展開と新たな業態の創出を行う、 6次 産業化の取組みはこの考え方を実践するものであ り、奈良県内においても積極的な推進が望まれる。 (3)海外市場への積極 的な展開とその 支援の強化 国内・県内の人口は減少するが、海外に目を向 ければアジア地域での市場拡大が期待できる。製 品の輸出だけでなく、サービスの輸出も可能だ。 4.人口減少の問題意識等の共有から 奈良県の人口減少に対する認識度について、 県 民 意 識 調 査 で 図 表 を 示 し な が ら 確 認 し た 結 果 、 12.9 14.3 33.9 8.6 30.4 0 20 40 奈良県に移り住んでから10年未満 奈良県に移り住んでから10~20年未満 奈良県に移り住んでから20年以上 生まれた時からずっと住んでいる (親の世代の時に奈良県へ移り住んだ) 生まれた時からずっと住んでいる(2世代 以上前から奈良県に住んでいる) (%) 「奈良県経済に関する県民意識調査」の 回答者(ネットユーザー)の居住年数

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「全く知らなかった」が 44.6%、「奈良県人口が 全国平均を大幅に上回って減少するとは知らなか った」が33.5%と、ほぼ8割の県民が人口減少に 対して認識が無かったと回答している。 人口減少時代に対処していくための取組みの第 一歩は、認識の共有から始まる。奈良県の現状を 県民に分かりやすく伝え、問題意識の共有化、対 策検討への県民参加を促進してくべきである。 5.県民から支持されるまちづくりを推進 少子高齢化は、国や地方自治体において税収の 伸び悩み、税収減を引き起こす。特に、奈良県は 製造業をはじめ県経済の中核を担う大きな法人が 少なく、個人所得からの税収に依存する割合が高 いため、少子高齢化の影響はより深刻になる。 国レベルも含め少子化対策を強化して人口減少 を緩和する努力は必要であるが、それ以上に人口 や産業が減少することを前提としたまちづくりを 考えていく必要がある。 県民意識調査では、将来的な人口減少に備えた 対策として、県民の多くが「地域産業の活性化に よる雇 用機 会の 増大 」 64.9% や「 積極 的な 企業 誘致」52.4%を期待している。一方、県民の約4 人に1人が「行財政改革を推進し、効率的な行政 運営を実現する」28.5%、「人口減少に見合うよ う、公 共事 業の 支出 を削 減す る」 25.3 %と の要 望を持っており、行財政改革の一層の推進が期待 されるところである。 人口が 3/4や 1/2に 減少 して も、 同じ インフ ラ (道路や下水道など)を維持しようとすれば、1 人当たりコストは大幅に増大する。人口減少局面 では、厳しい財政制約のなかで最低限の都市機能 をいかに維持していくかが課題となる。 そのためには公共施設やサービスを最大限活用 するための「選択と集中」が大切だ。例えば、小 中学校の福祉施設への転用促進、行政サービスの 提供メニューの見直し、受益者負担の増大等も必 要となる。また、赤字運営の公共施設については 住民の意見を反映しながら、それらの閉鎖や利用 形態の見直しなども欠かせない。 公共事業においても少子高齢化を意識した投資 配分の傾斜が一層求められる。さらに、行政サー ビスの提供についても、民間企業や民間非営利団 体の活用を可能な限り促進していくことも有効だ。 6.地域住民の意見・パワーを活かす 人口が一定数以下になると、スーパー等の商業 施設が成り立たなくなり、地域から商業施設が消 えていくことにもなりかねない。実際、既に一部 地域では「買い物難民」発生の兆候が見られる。 一方、工場や事業所の閉鎖・撤退も、地域経済 に大きな影響を及ぼす。県内の下請け中心の中小 企業は、特定先への依存度を引下げ、取引先の分 散化や自社製品の開発・販売などを探る取組みを 強化していくことが必要となる。 県民意識調査では、約7割の県民は「奈良県は、 変化を嫌う傾向がある(閉鎖的・保守的)」と考 えているが、一方で約7割の県民が「奈良県は、 もっと新しいことに取り組むべきである」「奈良 県を良くすることに貢献したい」と考えている。 政治の不作為を嘆いてばかりいても状況は改善 しない。民間企業は、互いに連携・協力して生き 残り策を検討することも必要だ。暮らしの改善に 向けては、NPO等の民間活力を利用し、地域住民 の意見・パワーを最大限に活かす方策を考えてい くべきだ。その過程で真の意味での“奈良県民” になることができると信じたい。 (島田清彦) 【参考】高付加価値産業の育成、移輸出型産業の活性化 による県外マネーの獲得、観光振興による交流人口増大 と 消 費単 価向 上 など 、県 内産 業 の活 性化 の 6つ の視 座 に ついて、ナント経済月報2011年10月号の特集「統計デー タから見た奈良県の産業構造」にて解説しています。

参照

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