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Microsoft Word - コメント依頼文ー修正6.8.09doc.doc

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としまして、「膵仮性嚢胞の内視鏡治療ガイドライン」の作成を行って参りまし た。作成には藤田保健衛生大学第二病院の乾和郎教授を中心にワーキンググル ープを立ち上げ、多くの討論を重ねて作成作業を進め、このたび最終案を提案 することになりました。本ガイドラインは日本膵臓学会との共同事業として機 関誌「膵臓」への掲載が予定されています。つきましては、会員の皆様には最 終案にお目通しいただき、本ガイドラインに関しまして忌憚のない御意見をお 寄せ頂きたく、お願い申し上げます。 宛先: 「厚生労働科学研究補助金 難治性疾患克服研究事業 難治性膵疾患に関する調査研究班」事務局 [email protected] 期日: 平成 21 年 7 月 6 日 厚生労働省難治性膵疾患に関する調査研究班 研究代表者: 東北大学大学院消化器病態学分野 下瀬川徹

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膵仮性嚢胞の内視鏡治療ガイドライン

1 2 作成委員 3 乾 和郎、入澤篤志、大原弘隆、廣岡芳樹、藤田直孝、宮川宏之、佐田尚宏 4 研究統括 5 下瀬川 徹 6 7 Ⅰ.疾患概念と病態 8 1.膵仮性嚢胞とは? (乾 和郎) 9 2.臨床症状は? (乾 和郎) 10 3.どんな合併症があるか? (入澤篤志) 11 4.自然治癒はあるか? (入澤篤志) 12 Ⅱ.診断 13 1.血液検査は有用か? (入澤篤志) 14 2.超音波検査は有用か? (入澤篤志) 15 3.CT 検査は有用か? (入澤篤志) 16 4.MRI・MRCP は有用か? (宮川宏之) 17 5.ERCP は有用か (宮川宏之) 18 6.EUS は有用か? (宮川宏之) 19 Ⅲ.治療 20 1.どのような症例を治療するか? (藤田直孝) 21 2.治療法にはどのような方法があるか?その選択は? (藤田直孝) 22 3.内視鏡的治療 23 A-1.経消化管的治療の適応は? (藤田直孝) 24 A-2.経消化管的治療の手技は? (廣岡芳樹) 25 A-3.経消化管的治療の成績は? (廣岡芳樹) 26 A-4.経消化管的治療の偶発症は? (廣岡芳樹) 27 A-5.経消化管的治療の予後は? (廣岡芳樹) 28 B-1.経乳頭的治療の適応は? (藤田直孝) 29 B-2.経乳頭的治療の手技は? (大原弘隆) 30 B-3.経乳頭的治療の成績は? (大原弘隆) 31 B-4.経乳頭的治療の偶発症は? (大原弘隆) 32 B-5.経乳頭的治療の予後は? (大原弘隆) 33 4.外科的治療 34 4-1.外科的治療の適応は? (藤田直孝・佐田尚宏) 35 4-2.外科的治療の手技は? (佐田尚宏) 36 4-3.外科的治療の成績は? (佐田尚宏) 37 4-4.外科的治療の偶発症は? (佐田尚宏) 38 4-5.外科的治療の予後は? (佐田尚宏) 39

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Ⅰ.疾患概念と病態 1 1.膵仮性嚢胞とは? 2 3 膵嚢胞とは、膵内あるいは膵周囲に形成された中空の構造で、壁に囲まれた 4 内腔に、膵液、粘液、血液などの内容物を容れたものをさすが、嚢胞壁内腔面 5 に上皮細胞を認めないものを仮性嚢胞と呼ぶ。 6 7 解説 8 一般に、嚢胞壁内腔面の上皮細胞の存在の有無で真性嚢胞と仮性嚢胞に分類 9 される。一方、病理組織学的には腫瘍性嚢胞と非腫瘍性嚢胞に分類される。腫 10 瘍性嚢胞には漿液性嚢胞腫瘍、粘液性嚢胞腫瘍、膵管内乳頭状粘液性腫瘍、な 11 どが含まれ、非腫瘍性嚢胞には仮性嚢胞、先天性嚢胞、貯留嚢胞が含まれる。 12 仮性嚢胞は膵炎や外傷により膵管が破綻し、膵液や壊死物質が貯留して形成 13 される。なお、膵液の貯留した仮性嚢胞と膵壊死が液状化した膵膿瘍とは臨床 14 経過や治療への反応性が異なるという意見があるが、両者の区別が困難なこと 15 もあり、ここでは広い意味で壊死物質を含むものも仮性嚢胞として取り扱うこ 16 ととする。嚢胞壁は周囲組織から成り、厚さはさまざまで、単房または多房性 17 を呈する。慢性膵炎に伴うものでは、びまん性主膵管拡張、分枝膵管拡張、膵 18 石症などの所見を認めることが多い。 19 臨床的には自然史や治療方針が異なる、急性仮性嚢胞と慢性仮性嚢胞に分け 20 られる 1)―3)。すなわち、急性仮性嚢胞(acute pseudocyst)は、急性膵炎に続発 21 した仮性嚢胞で、急性膵炎の発症から 4 週以上を経過して形成されるものをい 22 う。慢性仮性嚢胞(chronic pseudocyst)は、慢性膵炎に合併し、確実な壁をも 23 ち、先行する急性膵炎発作を認めないものとされる。なお、慢性膵炎の急性増 24 悪に続発する仮性嚢胞は、急性仮性嚢胞に含められることが多い4) 25 急性膵炎後に滲出液が貯留する頻度は約 40%で、最終的には約 10%で嚢胞が形 26 成されるとの報告がある5)。慢性膵炎における膵仮性嚢胞の頻度は 30%程度と報 27 告されている6),7)。慢性膵炎の成因別にみると、アルコール性慢性膵炎では非ア 28 ルコール性慢性膵炎と比べて仮性嚢胞の合併率が有意に高いとされている8) 29 30 31 2.臨床症状は? 32 33 膵仮性嚢胞の症状としては、腹痛、悪心・嘔吐、腹部腫瘤、黄疸、体重減少、 34 消化管出血などがあげられる。 35 36 解説 37 画像診断が今ほど普及していなかった頃には、腹痛などの症状がきっかけで 38 膵仮性嚢胞と診断されることが多かった。しかしながら、現在では無症状で偶 39 然に発見されることも多くなっている。 40

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仮性嚢胞の患者の 70-90%に腹痛がみられるとされている9),10)。97 例の検討で 1 は、腹痛 72%、悪心・嘔吐 38%、発熱 7%、腫瘤 6%、腹水 5%、黄疸 3%、体重減少 2 3%、出血1%、偶然の発見 4%であったとの報告がある11)。嚢胞が巨大であると、 3 嚢胞による圧迫症状として、嘔吐(十二指腸)、黄疸(胆管)、急性膵炎(膵管)、 4 イレウス(大腸)12)などがみられる。それ以外に、感染、破裂、門脈あるいは脾 5 静脈の閉塞による門脈圧亢進症などの重篤な合併症 5)による症状がある。 6 Hemosuccus pancreaticus は嚢胞内への出血により、主膵管を介して消化管出 7 血を認める現象である。その症状としては、腹部腫瘤の急激な増大、腫瘤の血 8 管雑音聴取、消化管出血、ヘマトクリット値の急激な低下、などが知られてい 9 る13) 10 11 12 3.どんな合併症があるか? 13 14 膵仮性嚢胞の合併症には、感染、閉塞、破裂・穿通、出血がある。慢性膵炎 15 急性増悪に合併する急性仮性嚢胞のほうが合併症をきたしやすく、大きさが 6cm 16 を超える場合はその発生頻度が高くなる。 17 18 解説 19 慢性膵炎に伴う膵仮性嚢胞には、慢性膵炎急性増悪に続発して壊死組織や血 20 液・滲出液などが線維性被膜で被包化されて形成されるものと、膵管狭窄や膵 21 石などによる膵液うっ滞が嚢胞を形成するものがある2),4)。この病態の違いによ 22 り、合併症の発生頻度には差がみられ、慢性膵炎後急性増悪での仮性嚢胞は壁 23 の脆弱性や周囲の炎症性変化により合併症を来しやすい4) 24 合併症の発生頻度は、慢性膵炎に限った数値は明らかではないが、経過観察 25 例の 30-50%で重大な合併症が発生したとの報告がある14),15)。また、その発生率 26 は仮性嚢胞形成からの期間にも依存するとされる。特に急性仮性嚢胞において 27 は、発生後 6 週間を超えた嚢胞では自然消退は期待できず合併症発生率も高い 28 ことが報告 14)されている。一方、合併症発生は嚢胞の診断がついてから 5 週間 29 以内であったという報告16)もあり、合併症発生時期を一概には言えない。また、 30 嚢胞形成期間とは特に関係なく嚢胞径が 6cm を超える場合には自然消退の可能 31 性は低くなり合併症の発生が増えるとの報告17)もある。 32 膵仮性嚢胞の合併症は大きく 4 つ、すなわち、感染、閉塞、破裂・穿通、出 33 血に分類される。 34 1)感染:嚢胞内感染をきたすことがある。一般には慢性膵炎急性増悪後の 35 仮性嚢胞に起こることが多い 17)。膵管狭窄などにより形成された慢性仮性嚢胞 36 では感染をきたすことはまれである。 37 2)閉塞:嚢胞により消化管や胆道の閉塞を起こすことがある 18)。消化管閉 38 塞としては一般的には胃・十二指腸が多いが、まれに下部消化管閉塞も起こす 39 こともある 19)。胆道閉塞では黄疸を来す 20)。また、まれではあるが下大静脈の 40

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狭窄を来し下腿浮腫の原因となる場合もある21) 1 3)破裂・穿通:腹腔内への破裂、消化管や周囲臓器(肝臓や脾臓)への穿 2 通が報告されている 22),23)。嚢胞内の膵酵素により消化管壁の脆弱化を招き消化 3 管に穿通する症例はまれではない。この場合は消化管に内瘻化されたこととな 4 り結果的に治癒した症例も報告されている 24)。また、腹腔内や胸腔内への破裂 5 により、膵性胸腹水をきたすことがある25)。門脈への穿破26)も報告されている。 6 4)出血:嚢胞内出血に関しては、嚢胞壁の血管破綻によるもの、または周 7 囲への炎症波及による周囲動脈の破綻や嚢胞周囲に仮性動脈瘤が形成され嚢胞 8 内へ穿破することで嚢胞出血をきたすものなどがあげられる 27)-29)。この仮性動 9 脈瘤は、膵管や胆管、まれには腹腔内に出血をきたすこともある。また、嚢胞 10 そのものが脾静脈を圧排閉塞させ左側門脈圧亢進症を来し消化管静脈瘤の原因 11 となることがある30) 12 13 14 4.自然治癒はあるか? 15 16 慢性膵炎急性増悪に続発して形成される仮性嚢胞では嚢胞径が 6cm 以下であ 17 れば自然治癒が期待できる。しかし、膵管狭窄や膵石などによる膵液うっ滞に 18 よる仮性嚢胞では自然治癒はほぼ期待できない。 19 20 解説 21 一般的な膵仮性嚢胞の自然消退率は 4-60%と報告によって大きな幅がある 22 14),17),31)32)。慢性膵炎に伴う膵仮性嚢胞には、慢性膵炎急性増悪に続発して形成 23 されるものと、膵管狭窄や膵石などによる膵液うっ滞が嚢胞を形成するものが 24 あるが、これまでの自然消退に関する報告は前者に対するものが多く、嚢胞形 25 成からの期間および嚢胞の大きさから検討されている。 26 嚢胞発生から 6 週間以内では 40%に自然消退が認められ合併症発生率も 20%程 27 であったが、12 週を超えたものでは消退例はなく合併症発生率も 67%であった 28 との報告 14)がある。長期間では嚢胞壁が成熟することが自然消退率の低下に関 29 連しているとも考えられている 31),33)。一方、偶発症発生がなく長期間経過を見 30 ることができた非手術症例での自然消退は 60%程度に見られたとの報告がある 31 17),32)。これらの報告では嚢胞の径と合併症に関連した手術施行率を検討し、径 32 6cm 以下の嚢胞であれば自然消退を期待して合併症発生に十分注意しながら経 33 過観察が可能としている。他には、4cm 以下の嚢胞であれば診断後 24 週以内に 34 は自然消退がみられたとの報告 34)もある。また、自然消退についての言及はな 35 いが、急性・慢性膵仮性嚢胞は問わず対象症例の約 40%では保存的に経過観察が 36 可能であったとの報告があるが、慢性膵炎に関連した仮性嚢胞では、合併症な 37 どにより何らかの治療を必要とした期間は平均 13 週で、平均嚢胞径は 7cm とし 38 ている 35)。なお、膵管狭窄や膵石などによる膵液うっ滞が成因の嚢胞において 39 は、自然消退はほとんど期待できないと考えられている36) 40

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慢性膵炎に合併した膵仮性嚢胞の自然消退に関しては一定の見解は得られて 1 いないが、これまでの報告を総合的に考慮すると、膵仮性嚢胞の自然消退は嚢 2 胞径が 6cm 以下であれば出現してから長期間経過してもその可能性はあるもの 3 の、偶発症発生の観点からは嚢胞発生から 6 週間以上経過した 6cm を超える膵 4 仮性嚢胞、および膵管狭窄や膵石などによる膵液うっ滞が成因の嚢胞に対して 5 は、自然消退を期待せず何らかの治療を行う必要性が伺える。 6 本来の意味からの自然治癒ではないが、合併症として起こった消化管への穿 7 通が嚢胞内容の自然ドレナージ効果をもたらし、自然消退がみられる場合もあ 8 る15),24) 9 10 11 Ⅱ.診断 12 1.血液検査は有用か? 13 14 膵仮性嚢胞に特徴的な血液検査所見はない。 15 16 解説 17 膵仮性嚢胞症例では血清アミラーゼ値が上昇していることが多い 37),38)が、嚢 18 胞存在の有無による血清アミラーゼ値に差はみられない 31),39)。慢性膵炎急性増 19 悪に続発する仮性嚢胞では、膵炎の結果として血清膵酵素(アミラーゼやリパ 20 ーゼなど)が上昇するが、この上昇が仮性嚢胞の存在診断や質的診断には直接 21 的に結び付かない。また、膵管狭窄や膵石などによる膵液うっ滞による仮性嚢 22 胞では、慢性膵炎の状態が安定していれば必ずしも膵酵素上昇はみられない。 23 慢性膵炎非代償期では膵酵素はむしろ低値を示すこともある。 24 膵仮性嚢胞に伴う合併症診断においては、前述した感染、閉塞、破裂・穿通、 25 出血といった病態に関連する血液検査は有用である 31)。また、膵仮性嚢胞の治 26 療適応を考えた際には、その嚢胞が腫瘍性嚢胞か否かの診断は重要となる。こ 27 の際には腫瘍マーカー(CA19-9、CEA など)の検査は画像診断の一助となる40) 28 29 30 2.超音波検査は有用か? 31 32 膵仮性嚢胞の存在診断としては有用であり、急性仮性嚢胞においては経時的 33 変化を追うことが質的診断にも役立つ場合がある。また、感染や出血などの合 34 併症の治療適応を判断する一助となる。 35 36 解説 37 超音波検査は膵仮性嚢胞の存在診断として簡便で有用である31),34),41)。この際、 38 膵仮性嚢胞の成因により超音波所見に差がみられる。慢性膵炎急性増悪に続発 39 する仮性嚢胞では多彩な像を呈する。隔壁構造や嚢胞内部には壊死物質や血液 40

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などの存在を反映した内部エコーが観察されることが多い。また、脂肪壊死に 1 より産生された脂肪酸とカルシウムの結合による鹸化物質が析出し結石様のエ 2 コーを呈することもある 42)。このような所見を念頭に超音波検査で経時的変化 3 をみることは質的診断に役立つ場合もある。 4 一方、膵管狭窄や膵石などによる膵液うっ滞による仮性嚢胞は、多くは単房 5 であり感染を伴わない限り内部はほぼ無エコーに観察される。この際に嚢胞壁 6 近傍の膵石の存在を確認することは診断の一助となる。また、出血や感染など 7 が合併した場合は嚢胞内部エコーの変化や嚢胞径増大が見られるため合併症に 8 対する治療適応を判断する一助となる43) 9 膵仮性嚢胞の質的診断においては、腫瘍性嚢胞との鑑別が重要 44)となるが、 10 スポンジ様の漿液性嚢胞腺腫やブドウ房状の典型的な分枝型 IPMN などを除き、 11 通常の超音波検査だけでの鑑別は困難である 45)。また、膵癌による膵液うっ滞 12 が原因となる嚢胞も存在するため、比較的単房性の無エコーを呈する嚢胞を見 13 た際には、その乳頭側の詳細な観察が必要である。 14 15 16 3.CT 検査は有用か? 17 18 膵仮性嚢胞の存在診断・質的診断において有用性が高い。また、各種合併症 19 の治療適応を判断するために重要な検査である。 20 21 解説 22 CT 検査は超音波検査に比してより客観的に嚢胞を観察でき、造影 CT による血 23 行動態も評価できるため、存在診断のみならず質的診断にも有用性が高い46)-48) 24 大きさや局在、壁肥厚程度などについても経時的な観察が可能である 17),34),49) 25 超音波所見と同様に、膵仮性嚢胞の成因により CT 画像に差がみられる。慢性膵 26 炎急性増悪に続発する仮性嚢胞では急性膵炎後の仮性嚢胞同様に膵周囲にはび 27 こる様に存在することも多く、多房性を呈することもある(図1)。嚢胞内部に 28 は壊死物質や血液などの存在を反映し様々な吸収濃度で観察されるが実際に壊 29 死物質なのか血液なのかの質的診断までは困難である。したがって、造影 CT で 30 も仮性嚢胞か壊死物質を含んだ膵膿瘍(膵壊死性病変)かの鑑別診断は困難であ 31 る。また、嚢胞形成初期では嚢胞周囲の脂肪織濃度上昇もみられることがある。 32 経時的に膵周囲の fluid collection が被包化され膵仮性嚢胞が形成される過程 33 が超音波検査に比してより客観的に観察される16),50) 34 一方、膵管狭窄や膵石などによる膵液うっ滞による仮性嚢胞は、多くは単房 35 で被膜と境界明瞭に隔されており、感染を伴わない限りはほぼ均一な低吸収域 36 に観察される(図2)。この際に嚢胞壁近傍の膵石の存在を確認することは診断 37 の一助となる。また、いずれの成因においても、造影 CT では嚢胞壁は均一に造 38 影され嚢胞内容物とのコントラストがより明瞭化する。 39 CT 検査は合併症診断においても有用である。特に出血に関する合併症診断(嚢 40

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胞内出血や仮性動脈瘤、脾静脈閉塞による左側門脈圧亢進症など)において造 1 影 CT の有用性は高い。 2 膵仮性嚢胞の質的診断において腫瘍性嚢胞との鑑別が重要となるが、超音波 3 検査に比して CT では腫瘍性嚢胞との鑑別診断能が高い84)。しかし、超音波検査 4 同様に通常の CT 画像のみでの鑑別は困難な場合も多い45),51)。近年は MDCT が発 5 達してきており膵癌に伴う嚢胞や嚢胞性膵腫瘍との鑑別に有用である。 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 図1.膵体尾部仮性嚢胞の造影 CT 像。 図2.膵頭部仮性嚢胞の造影 18 内部は不均一で隔壁様構造も認める。 CT 像。壁の一部に石灰化を認める。 19 20 21 4.MRI・MRCP は有用か? 22 23 MRI・MRCP は、膵管と嚢胞の情報が同時に得られ膵仮性嚢胞の診断に有用であ 24 る。 25 26 解説 27 MRI・MRCP は低侵襲であり、嚢胞と膵管像の描出が同時に可能なことから CT 28 と ERCP の両者を行うのとほぼ同等の情報が得られる。MRCP による正常な主膵管 29 の画像評価は、感度 98 %、特異度 94 %とされている52)。さらに、MRCP では主膵 30 管と拡張した分枝が描出され、同時に仮性嚢胞の描出能は高い53) 31 MRI では嚢胞内の信号により内容物の性状が推定できる。すなわち、漿液性で 32 は T1 強調像で低信号、T2 強調像で著明な高信号を呈する。粘液では粘稠度と蛋 33 白濃度が上昇するほど T1 強調像での信号強度が高く、T2 強調像での信号強度が 34 低下する傾向にある 54)。出血を伴う場合、急性期では T1 強調像で低信号、T2 35 強調像で高信号を呈するが、亜急性期から慢性期では T1 強調像で高信号、T2 強 36 調像で著明な高信号を示すようになり、陳旧期には T1、T2 強調像ともに低信号 37 を呈する。内容物に sludge が含まれる場合には T1,T2 強調像でともに低信号を 38 呈し、液体との境界に niveau を呈する55)。さらに、MRI では縦隔内に進展した 39 膵仮性嚢胞の診断もでき、瘻孔が描出できる場合もある56) 40

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1 2 3 図3.膵頭部仮性嚢胞の MRCP 像。胆管を取り巻く 4 ように増大し、下部胆管が狭窄している。 5 6 7 5.ERCP は有用か? 8 9 ERCP は膵管と交通のある嚢胞を直接造影でき、嚢胞内の腫瘤や粘液が透亮像 10 として描出できる。症例によっては診断と同時に治療を行うことができる。 11 12 解説 13 ERCP は膵管と交通のある嚢胞を直接造影でき、嚢胞内の腫瘤や粘液が透亮像 14 として描出できる。また、嚢胞内容物が膵管内や十二指腸への流出を確認でき 15 ることもある。ただし、膵管内乳頭状粘液性腫瘍のように嚢胞内容物が粘稠な 16 場合には描出できないことがある。ERCP による膵仮性嚢胞の描出率は 50-70%と 17 されている57)。交通がない場合でも大きな嚢胞では膵管の圧排や閉塞所見から、 18 膵管との位置関係が推測できる。また、ERCP では背景にある膵病変の確認がで 19 き,慢性膵炎に合併する場合には、主膵管狭窄や膵石症の診断が容易にできる 20 ため有用である58),59)。ERCP の手技を用いると管腔内超音波検査(IDUS)や膵管鏡 21 検査さらに生検や膵液細胞診が可能であり,膵嚢胞性病変の鑑別診断に有用で 22 ある60) 23 膵仮性嚢胞と診断された時に、最も重要なのは処置が必要であるかの判断で 24 ある。ERCP は膵仮性嚢胞の手術が必要な例において重要な情報をもたらす61) 25 内視鏡的ドレナージが必要な例では、ERCP に引き続き処置が行われる。 26 以上のように、ERCP は膵仮性嚢胞の診断に有用である。慢性膵炎急性増悪に 27 伴う急性仮性嚢胞の場合は他の画像診断を優先させた方がよい。一方、慢性仮 28 性嚢胞は結石などによる貯留嚢胞のことが多く ERCP が最優先される。 29 30

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1 2 3 図4.膵体部仮性嚢胞の ERCP 像。膵管造影にて 4 主膵管と交通する仮性嚢胞を認める。 5 6 7 6.EUS は有用か? 8 9 EUS は嚢胞壁の肥厚の程度、隔壁の有無や嚢胞内容物の性状や隆起の描出に優 10 れ、消化管との距離を明確にでき、また介在する構造物の有無を確認できるこ 11 とから膵仮性嚢胞の診断に有用である。 12 13 解説 14 EUS は消化管ガスや皮下脂肪の影響が少なく、腹部 US では困難な膵鈎部や 15 尾部の描出も可能であり、膵実質や膵管の観察が詳細にできるという利点があ 16 る。EUS による膵嚢胞の描出率は 98.8%とされる62) 17 EUS は解像力が優れており、US では描出できない慢性膵炎の軽度の変化まで 18 描出が可能であり、仮性嚢胞では実質の石灰化や慢性膵炎の膵管の不整拡張な 19 どが描出される 63)。また、嚢胞壁の肥厚の程度、隔壁の有無や嚢胞内容物の性 20 状や隆起の描出に優れている 64),66)。また、慢性仮性嚢胞の場合はその原因とな 21 る結石等の描出にも有用である。 22

EUS では細径の針による吸引細胞診、すなわち、FNA(fine needle aspiration) 23 が可能で、本邦ではあまり行われないが、欧米では嚢胞液の採取による診断に 24 応用されている63),64) 25 26 27 28 29 30

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1 2 3 図5.膵尾部仮性嚢胞の EUS 像。大きな 4 仮性嚢胞の内部に debris が認められる。 5 6 7 Ⅲ.治療 8 1.どのような症例を治療するか? 9 10 原則として腹痛、感染などの有症状例を治療対象とする。増大例、仮性動脈 11 瘤破裂などの危険が予想される場合も適応が検討される。腫瘍性病変に合併し 12 た仮性嚢胞も治療の対象である。 13 14 解説 15 仮性嚢胞はかなりの頻度で自然消退することが知られている(CQI-4 参照)。 16 無症候性の膵仮性嚢胞についても,75 例の検討17)において、36 例(48%)で経 17 過観察を行い、平均 1 年の観察期間の間に 36 例中 21 例(60%)で自然消失が得ら 18 れ、14 例で不変もしくは縮小が観察されたとされている。経過観察中、重篤な 19 合併症の発生も低率であることが知られるようになった 32),67)。このような自然 20 史が明らかになるにつれ、以前は大きさ(直径 6cm 以上)も適応の決定に用い 21 られていたが、大きさをもって適応を決定するという意見は減少している68),69) 22 文献上は 6 週間を経過してなお消失せず、腹痛、敗血症を含む感染、gastric 23 outlet syndrome、閉塞性黄疸などの症状を呈する例を治療対象とすると論じた 24 論文が多くを占める。感染を合併する場合には、より早い段階で介入が行われ 25 る。増大例、仮性動脈瘤破裂などの危険が予想される場合も治療的介入が考慮 26 される。 27 当然のことながら,まず,他の嚢胞性膵疾患と鑑別することが重要である。 28 29 30

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2.治療法にはどのような方法があるか?その選択は? 1 2 薬物療法、IVR(US/CT ガイド下経皮的ドレナージ)、内視鏡的治療、外科手術 3 がある。選択に関して確立されたコンセンサスはない。 4 5 解説 6 膵 仮 性 嚢 胞 の 薬 物 療 法 と し て ソ マ ト ス タ チ ン 誘 導 体 で あ る octreotide 7 acetate を用いた報告70), 71)がある。ごく少数例での報告で、さらなる検討が必 8 要である。 9 各治療法の比較試験の成績について報告がなく、エビデンスに基づいた治療 10 法の選択は困難な状況である。経皮的ドレナージは奏効率、偶発症、再発率か 11 らみて不十分な点がある72)ことから現在、第一選択とはしない傾向にある。感 12 染性嚢胞で、患者の状態が外科手術など他の方法に耐えられないような場合に 13 よい適応と考えられている。 14 内視鏡的治療と外科手術は手技的成功率、偶発症発生率、再発率からみて同 15 等の成績が報告されている73)-75)。経乳頭的ステンティング 30 例の検討76)では、 16 平均 15 ヶ月の経過観察期間で 26 例(87%)において嚢胞が消失し、残る 4 例と再 17 発した 3 例で外科的治療を要したとされている。侵襲性を考慮してまず内視鏡 18 的治療を行い、効果が不十分な場合に外科手術をすることが、ある程度受け入 19 れられているようである。両者を比較した RCT はなく、今後の検討が待たれる。 20 なお、急性壊死性膵炎後に合併する感染性膵仮性嚢胞や膵膿瘍には、感染性膵 21 壊死を伴うものがあり,壊死部はドレナージカテーテル留置のみでは除去され 22 ずに壊死物質除去手術を考慮することになるため、注意が必要である。 23 24 25 3.内視鏡的治療 26 A-1.経消化管的治療の適応は? 27 28 消化管壁との癒着が完成し、嚢胞壁が安定化した仮性嚢胞がよい適応である。 29 30 解説 31 消化管壁と仮性嚢胞が癒着している場合に、経胃もしくは経十二指腸的に内 32 視鏡的に仮性嚢胞をドレナージすることが可能である 73),77)。特に、慢性膵炎急 33 性増悪後の急性仮性嚢胞であれば網嚢が嚢胞腔となることが多くこの場合は胃 34 壁が嚢胞壁を形成するため経胃的ドレナージの良い適応である4)。消化管から密 35 着した部位を選択できない場合には、穿孔の危険があるので選択すべきでない。 36 次項の経乳頭的ドレナージの適応であっても、選択的膵管挿管ができない、仮 37 性嚢胞よりも頭部側の主膵管狭窄をガイドワイヤー、ドレナージカテーテルが 38 通過できない場合には経消化管的治療の適応となる。以前は消化管に明らかな 39 膨隆を形成していることが挙げられていたが、EUS の登場により、膨隆がなくと 40

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も穿刺ドレナージが可能となっている。嚢胞内容に壊死物質の存在が疑われる 1 場合は奏功率が低下し、偶発症発生率が上昇するとして、外科手術の適応とさ 2 れてきた。近年このような例に対しても内視鏡的治療が試みられ 78)、嚢胞腔ま 3 で内視鏡を挿入し、内視鏡的に debridement を行うとする報告がみられている 4 79)。ただし、これらの報告例は熟練した内視鏡医による成績であり、普遍化には 5 慎重であるべきで、外科、時には放射線科のバックアップのもとに行う必要が 6 ある80) 7 8 9 A-2.経消化管的治療の手技は? 10 11 経消化管的内視鏡的ドレナージの方法には、内視鏡直視下ドレナージ EUS ガ 12 イド下嚢胞ドレナージがある。内視鏡直視下ドレナージでは術前に EUS にて嚢 13 胞を観察した後に行う方法もある。 14 15 解説 16 17 近年、EUS の普及に伴い EUS ガイド下嚢胞ドレナージの報告が多くなっている 18 81),82)。一般的に、カラードプラ機能を有する電子コンベックス走査型超音波内 19 視鏡が使用されている。消化管壁と嚢胞壁の間の可動性や穿刺経路の脈管の有 20 無を確認した後、超音波内視鏡のプローブ部と嚢胞内腔の距離が最短となる部 21 位で穿刺を行う83)。なお、EUS を用いない場合は CT にて仮性嚢胞周囲の脈管の 22 確認を行う。穿刺経路は嚢胞の存在部位により決定されるが、経胃的穿刺が選 23 択されるとの報告がある84) 24 穿刺針は通電針または非通電針が用いられる 85),86)。非通電針を使用する場合 25 は、穿刺を行った後に拡張を行う必要があり、拡張用カテーテルを用いる方法 26 と拡張用バルーンを用いる方法がある。通電針を使用すると非通電針に比して 27 最初の瘻孔径を大きく確保する事が可能となり、その後の拡張やステント挿入 28 を容易に行えるメリットがある 85),87)。ただし、出血の危険性が非通電針に比べ 29 ると高い。 30 症例により経鼻的ドレナージとして外瘻とするか、内瘻とするかを検討する。 31 嚢胞感染を来たしている症例や嚢胞内出血が認められる症例に対しては、嚢胞 32 内洗浄の観点から外瘻が選択される。造影にて嚢胞と膵管との交通が認められ、 33 排液が持続する場合には外瘻から内瘻に変更するが、一期的に内瘻と外瘻を同 34 時に行う場合もある。感染所見に乏しい症例や太い径のドレナージカテーテル 35 が挿入可能な症例は一期的な内瘻ドレナージを行う85) 36 37 38 39 40

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1 2 3 図 6a 4 5 6 図 6b 7 8 9

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図 6c 1 2 3 図 6d 4 5 図6.経消化管的嚢胞ドレナージ(外瘻)。 6 6a.造影 CT にて膵体部に嚢胞を認める。 7 6b.EUS ガイド下に嚢胞を穿刺したところの EUS 像。 8 6c.ガイドワイヤーに沿ってドレナージカテーテル 9 を嚢胞内に挿入しところの X 線造影像。 10 6d.ドレナージカテーテルを体外に誘導して外瘻とした。 11 12 13 14 図 7a 15 16

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1 図 7b 2 3 4 図7.経消化管的嚢胞ドレナージ(内瘻)。 5 7a.造影 CT にて膵尾部に嚢胞を認める。 6 7b.EUS ガイド下に嚢胞を穿刺し、ガイド 7 ワイヤーに沿って両ピッグテールステントを 8 嚢胞内に挿入した後の X 線像。 9 10 11 A-3.経消化管的治療の成績は? 12 13 経消化管的嚢胞ドレナージの成績は 65~85%と比較的良好な結果が報告され 14 ている。 15 16 解説 17 膵仮性嚢胞の内視鏡治療の成績については、内視鏡直視下ドレナージ、EUS ガ 18 イド下ドレナージ、経乳頭的アプローチを一括して報告されているものがほと 19 んどであるが、その成功率は 65~89%であった73),76),88)-94)。これら 3 つの手技に 20 ついて比較検討した報告によると、成功率に差がないとするものが多い95)-99) 21 内視鏡治療の成績については、嚢胞の成因を考慮していないものが多いが、 22 慢性仮性嚢胞が慢性膵炎急性増悪を含む急性仮性嚢胞に比して治療成績は良好 23 であったとの報告がある77) 24 25 26 A-4.経消化管的治療の偶発症は? 27 28 膵仮性嚢胞の内視鏡治療の偶発症として、出血、嚢胞感染、穿孔、ステント 29 迷入逸脱が主に挙げられる。頻度は低いが他臓器の誤穿刺の報告も認める。偶 30

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発症全体の発生頻度は 0~21.9%と幅がある。 1 2 解説 3 経乳頭的治療を含む膵仮性嚢胞に対する内視鏡治療の prospective study82) 4 では、各手技間の偶発症の発生頻度に有意差を認めていない。ドレナージにつ 5 いて EUS の併用の有無による比較試験98),99)が存在する。それによると、成功率 6 には差は認めず、偶発症は EUS を使用しない内視鏡直下ドレナージで出血を 1 7 例(1/30)で認めるのみであったとする報告98)と、出血を 3 例(3/99)、嚢胞感 8 染を 8 例、ステント迷入を 3 例であったとする報告99)がある。また、e-mail に 9 よる多数例のアンケートによるレビュー87)が存在する。そのアンケートによる 10 集計では出血 11.4%、穿孔 2.2%、感染 12.7%に認めた。それらは術者の経験数、 11 entry technique、EUS 使用の有無に関して有意差は認めず、死亡例の報告は認 12 めなかったとのことであった。文献的にみた経消化管的治療の偶発症の発生頻 13 度 は 、 出 血 (3.3 ~ 18.2%)80),82),87),89),91),98)-100) 、 嚢 胞 感 染 (0 ~ 14 17.9%)80),82),87),89),91),98)-100)、穿孔(0~5.8%)80),82),87),89),91),98)-100)、ステント迷入・逸 15 脱(3~5.8%)89),100)と報告されている。 16 通常の内視鏡を用いた経胃的穿刺によるドレナージ法では、基本的には嚢胞 17 に対してはブラインドでの穿刺となるため、15%を超える高い偶発症発生率が 18 報告されている101)。また、出血により手術治療を要したものが施行例中5%で 19 あったとの報告もある 75)。一方、EUS 画像をガイドとする穿刺ドレナージでは 20 11%程度の偶発症発生率が報告されている102)が、内視鏡的にコントロールができ 21 なかった出血は 1%以下としている。 22 経消化管的治療における穿刺方法(通電針を用いるか、非通電針を用いるか) 23 によっても偶発症発生には差がみられている。すなわち、双方の治療成功率に 24 は差が見られなかったものの、通電針の場合の出血率は 15.7%であった一方で、 25 非通電針では 4.6%の出血率であったとの報告103)がある。 26 27 28 A-5.経消化管的治療の予後は? 29 30 経消化管的治療全体の初回治療成功例における再発は稀であり、予後は良好 31 である。なお、内視鏡直視下ドレナージと EUS 下ドレナージで長期成績に有意 32 な差を認めていない。 33 経十二指腸的治療は経胃的治療よりも長期成績は良好である。 34 35 解説 36 膵仮性嚢胞に対する経消化管的治療全体での長期成功率は 62%から 92%と報告 37 82),91),104),105)されているが、慢性膵炎に伴う仮性嚢胞の初回治療成功例では平均 6 38 か月から 48 か月間の経過観察で再発は極めて稀とされている82),91),104),105) 39 内視鏡直下ドレナージと EUS ガイド下ドレナージを比較した報告では、成功 40

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率はそれぞれ 90-91%、89-95%であり、長期成績に有意な差を認めなかった。 1 経胃的治療と経十二指腸的治療との比較では長期成功率はそれぞれ 36-62%、 2 73-83%との報告があり、経十二指腸的治療は経胃的治療よりも長期成績が良好 3 であった73),88) 4 5 6 B.経乳頭的治療の適応は? 7 B-1.経乳頭的治療の適応は? 8 9 仮性嚢胞と主膵管の間に交通がある場合、仮性嚢胞の乳頭側主膵管に狭窄が 10 存在する場合が経乳頭的治療の適応と考えられている。 11 12 解説 13 経乳頭的ドレナージは仮性嚢胞と主膵管の交通が明らかな場合に考慮される。 14 仮性嚢胞の遠位(乳頭側)主膵管に狭窄がある場合には、これを越えてドレナ 15 ージカテーテルやステントを留置する必要がある73),95),106)。特に、結石等による 16 慢性仮性嚢胞は良い適応である。技術的には膵管への挿管に加え、嚢胞内や主 17 膵管狭窄部を越えてガイドワイヤーおよびドレナージカテーテルを誘導できる 18 ことが必要である。経乳頭的ステンティング 30 例の検討では、平均 15 ヶ月の 19 経過観察期間で 26 例(87%)において嚢胞が消失し、残る 4 例と再発した 3 例で 20 外科的治療を要したとされている 76)。経乳頭的ドレナージの利点は膵液瘻を形 21 成することがないこと、出血の危険がないことである。ステントの長期間の留 22 置により留置部膵管への影響が起こりうることが指摘されている。 23 24 25 B-2.経乳頭的治療の手技は? 26 27 嚢胞内または膵管狭窄や嚢胞との交通部を越えた上流膵管内にドレナージカ 28 テーテルを留置する。 29 嚢胞に感染を伴う場合には経鼻膵管ドレナージカテーテルによる外瘻法を選 30 択し、炎症消退後に内瘻法へ変更することが望ましい。 31 32 解説 33 膵仮性嚢胞に対する経乳頭的ドレナージは、CT および MRCP の情報を参考にし 34 て、ERCP の手技に準じて行う76),93),107)~113)。まず、膵管造影を行い、仮性嚢胞と 35 膵管の交通を確認するとともに、下流膵管の狭窄と膵石の有無・部位・程度を 36 把握する。次に、膵管内に深部挿管した造影用カテーテルを通してガイドワイ 37 ヤーを膵管内に挿入し、嚢胞との交通部を探る。この際使用するガイドワイヤ 38 ーは、親水性コーティングが施されたものが多く用いられている。 39 嚢胞内にガイドワイヤーが挿入された場合には、これを介して 5~8.5Fr.の経 40

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鼻膵管ドレナージカテーテル(外瘻法)、あるいは 5~10Fr.の膵管ステント(内 1 瘻法)を留置する。嚢胞内にガイドワイヤーが挿入できない場合には、膵管狭 2 窄や嚢胞との交通部を越えた上流膵管内に経鼻膵管ドレナージカテーテル、ま 3 たは 5~10Fr.のストレート型膵管ステントを留置する。慢性膵炎では、膵管や 4 嚢胞と膵管の交通部には狭窄や膵石が存在することが多いため、必要に応じて 5 ダイレーターや拡張用バルーンカテーテルを用いてステント挿入経路を確保す 6 る。ドレナージカテーテルを留置する位置については、治療成績から可能な限 7 り嚢胞内に留置すべきであると報告されている 76)。一方、嚢胞との交通部より 8 下流の主膵管に狭窄がある場合には狭窄を越えた上流の主膵管内に留置し、狭 9 窄がない症例では嚢胞内に留置すべきであるとする報告もある93) 10 一般に、ドレナージ効果を判定するため最初は外瘻法を選択し、その後内瘻 11 法に交換することが多い111),113)。特に、嚢胞に感染や debris を伴う場合には、 12 まず嚢胞内を洗浄することも可能である外瘻法を選択し、炎症消退後に内瘻法 13 へ変更することが望まれる76) 14 ドレナージ期間については、嚢胞内にドレナージカテーテルが留置できた場 15 合には、嚢胞が消失する 1 週間前後でカテーテル抜去可能であるが、膵管狭窄 16 が残る症例では膵管ステント留置を追加する必要がある110)。一方、長期間のス 17 テント留置は、膵管の形態的変化や膵実質に炎症性変化を起こすことが報告さ 18 れているため、嚢胞や膵管狭窄が改善されていれば、可能な限り早期にステン 19 トを抜去すべきである94) 20 21 22 23 24 25 26 27 図 8a 28

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1 図 8b 2 3 図 8c 4 5 6 図 8.経乳頭的嚢胞ドレナージ。8a.造影 CT にて膵尾部に多発する嚢胞を認め 7 る。8b.ERCP にて体部主膵管の圧排像と膵尾部に嚢胞が造影される。8c,ドレ 8 ナージカテーテルが経乳頭的に主膵管から嚢胞内に挿入されている。 9 10 11 B-3.経乳頭的治療の成績は? 12 13 経乳頭的ドレナージの手技上の成功率は 69~100%、有効率は 58~88%と比較 14 的良好である。ただし、膵尾部の嚢胞では、膵頭・体部の仮性嚢胞と比較して 15 有効性が低い。 16 17 解説 18

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慢性膵炎の膵仮性嚢胞に対する経乳頭的ドレナージの手技上の成功率は 69~ 1 100%と比較的良好な成績が報告されている 76),92)-96),111),114)~116)。不成功となる原 2 因として、膵管内の多数の膵石、慢性膵炎による膵管の強い狭窄や屈曲などが 3 挙げられている115)。嚢胞内腔へのドレナージカテーテル留置成功率については、 4 30 例中 12 例(40%)で可能であったと報告されている76) 5 比較的多数例での経乳頭的ドレナージの嚢胞の消失・縮小や症状の改善など 6 の有効性に関する報告は、経消化管的治療例を含む全体の成績として報告され 7 ているものが多い。その中で経乳頭的ドレナージの有効率は 58~88%と報告され 8 ている 76),92)-96),111),114)~116)。経乳頭的治療が有効となる要因として、膵頭・体部 9 の嚢胞では有効な症例が多いが、膵尾部ではドレナージ効果が乏しいことが多 10 いとされている111)。また、ドレナージカテーテルを膵管内に留置した 18 例では 11 有効例は 12 例(67%)のみであったが、嚢胞内に留置した 12 例では 11 例(92%) 12 に有効であり、ドレナージカテーテルは可能な限り嚢胞内に留置すべきである 13 と報告されている76)。一方、8 例の多発性の仮性嚢胞症例において、嚢胞と膵管 14 の交通部より上流の主膵管内にドレナージカテーテルを留置した結果、7 例 15 (88%)に有効であったとの報告がある116) 16 慢性膵炎の仮性嚢胞に対する経乳頭的治療の報告の多くは少数例での検討で 17 ある。今後さらに多数例の検討により、経乳頭的ドレナージの有効性がより明 18 らかにされることが望まれる。 19 20 21 B-4.経乳頭的治療の偶発症は? 22 23 経乳頭的ドレナージの偶発症は 0~15%と報告され、死亡例の報告はみられず、 24 比較的安全な手技である。 25 26 解説 27 膵仮性嚢胞に対する経乳頭的ドレナージの偶発症は 0~15%と報告されている 28 76),92)-96),111),116),117)。死亡例の報告はみられず、比較的安全に施行できるものと考 29 えられる。 30 早期の偶発症としては、急性膵炎76),92),93)、前処置として施行した膵管口切開 31 による出血 94)、仮性嚢胞胆管瘻 76)、嚢胞内感染 96), 118)などが報告されている。 32 急性膵炎は比較的軽症のものが多く、保存的治療により軽快し、膵管口切開に 33 よる出血は止血術、仮性嚢胞胆管瘻は内視鏡的胆道ドレナージにより改善して 34 いる。嚢胞内感染は内瘻化した症例や不成功例にみられ、外瘻法への変更や経 35 皮的または経消化管的ドレナージ、手術療法など他の治療法が追加されている 36 ことが多い。 37 後期偶発症としては、ステント閉塞による膿瘍形成 92)、ステント留置部の膵 38 管閉塞76)、ステントの迷入94), 95)などが報告されている。ステント閉塞を予防す 39 るためには定期的なステント交換が必要である107)。また、ステントによる膵管 40

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や膵実質の器質的変化を避けるために、ステント留置は必要最小限の期間とす 1 る119)。ステントの迷入には、ピッグテイル型やフラップ付きなどステントの形 2 状に注意する必要がある105),120) 3 4 5 B-5.経乳頭的治療の予後は? 6 7 膵仮性嚢胞の再発率は 0~12%と報告されており、主膵管狭窄や膵石に対する 8 適切な治療が嚢胞の再発予防に有効である。 9 10 解説 11 経乳頭的治療後における膵仮性嚢胞の再発率は 0~12%と報告されている 12 76),93)-96),107),111)115),116) 13 経乳頭的ドレナージにより改善した膵仮性嚢胞(26 例)の平均観察期間 15 ヶ 14 月での再発率は 12%で、経消化管的治療例の再発率(18%)より低率であったと 15 報告されているが 76)、その要因として主膵管のドレナージが良好になったこと 16 が挙げられている。また、主膵管の狭窄や膵石に対する適切な治療が嚢胞の再 17 発予防に有効であるとの報告もある107) 18 平均観察期間 37 ヶ月において経乳頭的治療が有効となる要因の検討では、主 19 膵管狭窄の存在、嚢胞が膵頭部に存在すること、嚢胞径が 6cm 以上であること、 20 および発生後 6 ヶ月以内であることが良好な予後と関連すると報告されている 21 93)。一方、経消化管的治療例を含めて平均観察期間 32 ヶ月での予後を、飲酒の 22 有無、嚢胞の数と大きさ、主膵管との交通の有無、主膵管狭窄の有無での比較 23 検討 94)では、非飲酒例、単発の嚢胞例、主膵管狭窄例でやや良好な傾向がみら 24 れたが、症例数が十分ではなく統計学的に有意な差は認めなかったと報告され 25 ている。 26 慢性膵炎は大小の膵炎発作を繰り返し、しだいに膵線維化が進行して内外分 27 泌が低下する非可逆性の難治性炎症性疾患である。膵仮性嚢胞はその合併症の 28 一つであるため、禁酒をはじめ基本的な治療を行うと同時に、長期にわたる注 29 意深い経過観察が必要である。 30 31 32 4.外科的治療 33 4-1.外科的治療の適応は? 34 35 保存的治療および内視鏡的治療の非奏功例、内視鏡的治療の不適格例が外科 36 的治療の適応である。内視鏡的治療の不適格例とは、出血・感染などを合併し 37 た症例、解剖学的に内視鏡的治療が困難な有症状例、静脈瘤が存在する有症状 38 例、悪性疾患が考慮される症例などである。 39 内瘻術は嚢胞壁が消化管壁との吻合に耐えることができ、嚢胞内容が感染し 40

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ていない場合に,外瘻術は嚢胞壁が未成熟な場合、感染嚢胞、一般状態不良な 1 患者に対して行われる。 2 切除術は悪性腫瘍の合併が考えられる場合、局在などから内瘻術・外瘻術が 3 不可能な場合に行われる。 4 5 解説 6 膵仮性嚢胞の治療に関して、保存的治療、内視鏡的治療、外科的治療を比較 7 した無作為試験、前向き試験は存在しない。そのため膵仮性嚢胞の治療は、成 8 因、大きさ、症状、随伴所見などにより、個別に検討する必要がある。 9 無症状症例は治療の対象にならないが、有症状で自然消退が期待できない例 10 には、まず侵襲の少ない内視鏡的治療を考慮する(自然消退についてはⅠ―4 11 を参照のこと)。積極的治療の対象になるのは「large(大きな)」「persistent 12 (持続する)」「complicated(合併症のある)」症例である。内視鏡的嚢胞ドレ 13 ナージ治療の不適格例は、出血・感染などを合併した症例、胃・十二指腸と嚢 14 胞の距離がある症例、静脈瘤が存在する症例、悪性疾患が考慮される症例など 15 で、これらの症例が外科的治療の適応になる121-123) 16 切除術の適応となる仮性嚢胞は、尾部病変で他の方法でのアプローチが困難 17 かつ(体)尾部切除が容易な場合、出血例などが挙げられる。通常、切除術は周 18 辺臓器との癒着が高度で困難なことが多い。 19 外瘻術は嚢胞壁が未成熟で吻合に適さない場合、感染嚢胞、一般状態不良で 20 長時間の手術に耐術困難な患者に対して適応される124)。これに対し,内瘻術は 21 嚢胞壁が安定し,消化管壁との吻合に耐えられるような感染のない仮性嚢胞が 22 適応とされる。腹腔鏡的ドレナージ、内視鏡的ドレナージに関する報告を各々 23 19、25 文献を集めて成績を集計した報告75)では、両者ともに安全な治療法であ 24 ると結論付けているが、長期的な成績に関するデータが不足していることも指 25 摘している。 26 近年では内視鏡的ドレナージでも壊死物質を含む嚢胞や感染性嚢胞に対して 27 アプローチする報告も見られており79),今後、適応が変化する可能性がある。 28 29 30 4-2.外科的治療の手技は? 31 32 原則的に内瘻術が行われるが、外瘻術・切除術が適応になる症例もある。 33 低侵襲を考慮した腹腔鏡下手術も治療の選択肢となる。 34 慢性膵炎由来の膵仮性嚢胞では、膵管減圧術のみ行うこともある。 35 36 解説 37 膵仮性嚢胞の治療は従来外科的治療のみが選択しうる唯一の手段であったが、 38 内視鏡的治療の進歩、腹腔鏡下手術の出現で大きく変貌した。しかし外科的治 39 療の果たす役割はいまだ大きく、その gold standard は内瘻術(嚢胞胃吻合術、 40

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嚢胞十二指腸吻合術、嚢胞空腸吻合術)である121)。 嚢胞胃吻合術と嚢胞空腸吻 1 合術の優劣に関してはいまだ議論があり、確定した見解は得られていない。嚢 2 胞胃吻合術は、手技が単純であり、手術時間が短く、術後感染の頻度が低いと 3 する報告がある一方、嚢胞空腸吻合術に比べ術後出血の頻度が高いとする報告 4 もある121) 5 外瘻術は主に感染合併症例、嚢胞壁の菲薄な症例に行われ、多くは急性膵炎 6 由来の膵仮性嚢胞が適応となる 11),121),125),126)。しかし外瘻術が行われる症例は、 7 感染性膵壊死症例や膵膿瘍症例であり、いわゆる膵仮性嚢胞ではないことが多 8 い点は注意すべきである.切除術(膵体尾部切除術、幽門輪温存膵頭十二指腸 9 切除術、十二指腸温存膵頭切除術など)は、仮性動脈瘤合併例、出血例、胆道 10 狭窄(閉塞)例、十二指腸狭窄例、多発小嚢胞例、悪性疾患合併例など限られ 11 た症例に行われる11),121),123),125)-128) 12 近年膵領域でも適応されるようになった腹腔鏡下手術で、膵仮性嚢胞に対す 13 る内瘻術(嚢胞胃吻合術、嚢胞空腸吻合術)、外瘻術が行われることがあり、通 14 常の開腹術と同等の治療成績とされている125),75),129),130).また鏡視下に胃内から 15 吻合を作成する胃内手術も報告されている129) 16 17 18 4-3.外科的治療の成績は? 19 20 開腹術では嚢胞空腸吻合術が行われる頻度が高く、合併症率 13.6-18.9%、死 21 亡率 0-2.5%とされている。 22 腹腔鏡下手術では嚢胞胃吻合術が施行される頻度が高く、合併症率 4.8-8.3%、 23 死亡率 0%とされている。 24 25 解説 26 開腹術に関するレビュー121)では、手術方法は嚢胞胃吻合術 107 件、嚢胞十二 27 指腸吻合術 28 件、嚢胞空腸吻合術 186 件で、奏効率がそれぞれ 90%、100%、92%、 28 全体の合併症率 16%、死亡率 2.5%であった。同時期の内視鏡的治療成績は、17 29 件(466 例)のケースシリーズのレビューで合併症率 13.3%、外科治療を要した 30 症例 15.4%、死亡率 0.2%と報告されている。ただし、症例の背景が異なるため、 31 これらを単純に比較することはできない。急性膵炎後の膵仮性嚢胞 72 例のケー 32 スシリーズでは、12 例が保存的に軽快、15 例に内視鏡的治療、10 例に経皮ドレ 33 ナージ、37 例に外科的治療(内瘻術 35 例、切除術 2 例)が行われた128)。外科 34 的治療の成績は合併症率 18.9%、死亡率 0%で、成因により治療成績が異なる可 35 能性を示唆している128)。また、膵仮性嚢胞 253 例のケースシリーズでは、慢性 36 膵炎による膵仮性嚢胞 103 例に対して 56 例に膵管空腸吻合術+嚢胞ドレナージ 37 (内瘻術)を、47 例に膵管空腸吻合術のみを行い、合併症率 13.6%、再手術率 38 0%、死亡率 0%と良好な手術成績から、膵仮性嚢胞に対する治療としては膵管減 39 圧術のみで十分であるとしている122) 40

(25)

腹腔鏡下手術に関するケースシリーズのレビュー75)では、10 件 104 例(嚢胞 1 胃吻合術 78 例、嚢胞空腸吻合術 11 例、嚢胞十二指腸吻合術 1 例、外瘻術 13 例) 2 のを行い、合併症率 4.8%、再発率 1.9%、死亡率 0%と報告されている。最近の報 3 告125)では、膵仮性嚢胞手術 108 例(腹腔鏡下嚢胞胃吻合術 90 例、腹腔鏡下嚢胞 4 空腸吻合術 8 例、腹腔鏡下外瘻術 8 例、開腹嚢胞胃吻合術 2 例)で、合併症率 5 は全体で 8.3%(腹腔鏡下嚢胞空腸吻合術 2.2%、腹腔鏡下嚢胞空腸吻合術 1.3%、 6 腹腔鏡下外瘻術 75%)、再発率 0.9%、死亡率 0%とされている。ただし、症例の背 7 景が異なるため、これらの成績も単純に比較することはできない。 8 9 10 4-4.外科的治療の偶発症は? 11 12 術式にかかわらず最も注意すべき偶発症・合併症は出血である。 13 術後合併症としては、出血、腹腔内感染、腹腔内膿瘍、膵瘻の頻度が高く、 14 外瘻術では膵外瘻(膵液排出遷延)の頻度が高い。 15 16 解説 17 外科的治療の偶発症・合併症で最も重要なのは出血である。膵仮性嚢胞症例 18 では炎症による門脈狭窄(閉塞)、脾静脈狭窄(閉塞)で側副血行路の発達した 19 症例、仮性動脈瘤を合併する症例がみられ、術中操作に術中超音波検査を用い 20 るなど十分な注意が必要である。術後出血は、吻合部出血、潰瘍形成、仮性動 21 脈瘤形成などにより起こり、その頻度は開腹手術で 4.5-10.8%と報告され、慢性 22 膵炎由来のものより急性膵炎由来の膵仮性嚢胞で多い傾向にある 11),121),126)-128) 23 膵管空腸吻合術 103 例のシリーズ 122)では術後出血はなく、腹腔鏡下手術では 24 1.8-1.9%の術後出血率が報告されている75),125) 25 その他の術後合併症としては、腹腔内感染、腹腔内膿瘍、膵瘻の頻度が高く、 26 腸閉塞、消化管瘻形成、肺合併症などが報告されている11)),75),121),122),125)-128)。腹 27 腔鏡下外瘻術において膵外瘻(膵液排出遷延)、感染の頻度が高いという報告が 28 ある125) 29 30 31 4-5.外科的治療の予後は? 32 33 外科的治療後の膵仮性嚢胞再発率は開腹術で 2.6-18.8%、腹腔鏡下手術で 34 0.9-1.9%と報告されている。 35 外科的治療後 4.8-11 年の経過観察で 10.7-38%の症例が死亡している。 36 37 解説 38 開腹術に関するレビュー121)によると、手術別にみた膵仮性嚢胞再発率は全体 39 で 8.6%(嚢胞胃吻合術 12.2%、嚢胞十二指腸吻合術 0%、嚢胞空腸吻合術 8.3%) 40

(26)

であった。なお、再発率に関しては、急性膵炎由来と慢性膵炎由来で大きな差 1 はなく、2.6-18.8%と報告されている 11),121),126)-128)。膵管空腸吻合術 103 例のシ 2 リーズ122)では再発症例はなく、腹腔鏡下手術では 0.9-1.9%の再発率が報告され 3 ている75),125) 4 外科的治療を受けた 112 例を平均 4.8 年追跡したケースシリーズ 127)では 12 5 例(10.7%)が死亡しており、55 例を平均 11 年間追跡したケースシリーズ 131) 6 では、21 例(38%)が死亡したとされている。慢性膵炎症例の平均余命は健常者 7 より短いことが知られている。厚生労働省難治性疾患克服研究事業で 1994 年行 8 われた慢性膵炎全国調査では、2006 年予後調査を行い追跡可能であった 703 例 9 中 265 例(36.4%)が死亡しており132)、外科的治療の影響というよりは慢性膵炎 10 の病態を反映していると考えられる。 11

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図 6c 1  2  3  図 6d 4  5  図6.経消化管的嚢胞ドレナージ(外瘻) 。 6  6a.造影 CT にて膵体部に嚢胞を認める。 7  6b.EUS ガイド下に嚢胞を穿刺したところの EUS 像。 8  6c.ガイドワイヤーに沿ってドレナージカテーテル 9  を嚢胞内に挿入しところの X 線造影像。 10  6d.ドレナージカテーテルを体外に誘導して外瘻とした。 11  12  13  14  図 7a 15  16

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