進
流
南
山
聲
明
の
科
學
的
意
義
公
山
貴
光
第
一
編
世
界
の
四
習
階
第
一
章
純
正
調
に
つ
い
て
一、
純
正
調
音
階
と
卒
均
牽
音
階
純
正
調
音
階
と
は
歌
が
上
手
に
な
れ
ば、
誰
し
も
出
す
こ
と
の
出
來
る
調
子
で
あ
る
が、
此
の
歌
を
音
の
固
定
し
だ
樂
器
で
現
は
そ
う
と
し
て
も
出
來
な
い
の
で、
幾
分
そ
れ
に
似
せ
て
作
つ
だ
の
が
オ
ル
ガ
ン、
ビ
ア
ノ
の
李
均
率
晋
階
で
あ
る。
例
へ
ば
二
重
の
宮
か
ら
三
重
の
宮
ま
で
の
音
を
十
二
律
に
合
せ、
こ
れ
を
李
均
に
割
り
あ
て
だ
如
き
を
李
均
率
と
言
ふ。
一
一、
純
正
調
音
階
の
共
蓮
黙
純
正
調
は
大
全
音
と
小
全
音
と
全
音
階
的
孚
昔
よ
り
成
り
立
つ
て
居
て、.
必
す
大
全
音
が
三
個、.
小
全
音
が
二
個、
全
者
階
的
雫
音
が
二
個
と
言
ふ
原
則
を
出
る
事
は
な
い。 三、 大 全 昔 と は 何 か 一聲 明 で 言 ふ 一 律 は 孚 音 と 呼 ば れ て ゐ る が、 二 律 郎 ち 二 青、 此 の 二 者 で も 大 き い 二 者 と 小 さ い 二 者 と あ つ て、 大 き い 二 音 を 大 全 音 と 名 付 け、 絃 の 長 さ の 八 分 の M を 押 へ て 八 分 の 七 の 長 さ の 間 で 振 動 し て 音 が 出 る の と、 こ れ を 離 し て 出 す 音 と の 異 を い ふ。 四、 小 全 音 と は 何 か 南 掬 溝 流 聲 明 の 科 學 的 意 義 九 五南 山 進 流 聲 明 の 科 學 的 出昼 義 九 六 同 む 二 菅 で も 小 さ い 方 の 二 蕎 を 小 全 音 と い ふ。 此 れ は 絃 を 張 つ て 九 分 の 一 の 長 さ の 所 を 押 へ て 九 分 の 八 の 部 分 を 鳴 ら し、 又 押 へ だ 所 を 離 し て 鳴 ら し、、 其 の 音 の 異 ひ を 小 全 音 と い ふ。 五 弾 全 音 階 的 雫 昔 と は 何 か 全 音 階 的 雫 音 と 言 ふ の は 聲 明 の 晶 律 の 事 で あ る が 湘同 じ く 坐 ・音 と 言 ふ て も 一二 蓮 り の 孚 音 が あ つ て、 此 の 全 音 階 的 雫 音 ば、 全 曹 階 を 構 成 す る 場 合 に 使 は れ る か ら か く 名 付 け ら れ る。 先 づ 絃 を は り 渡 し、 全 盤 の 長 き の 十 五 分 の 一 の 所 を 押 へ て 十 五 分 の 十 四 の 粒 を 弾 じ て 鳴 ら し、 更 に 手 を 放 し て 鳴 ら せ ば 音 の 異 ひ が 全 昔 階 的 の 雫 音 に な る の 六、 喝二 種 類 の 宇 音 と は 何 か 一 は 大 全 音 の 孚 音、 二 は 小 全 音 の 宇 音、 三 は 全 音 階 的 宇 音 で あ る。 さ き に 大 全 音 は 八 分 の 一 の 所 を 押 へ る と 述 べ だ が、 此 の 雫 音 ば 八 分 の 扇、 を 二る に 割 つ だ 十 六 分 の、 繭 の 所 を 押 へ て 鳴 ら す 音 と、 こ れ を 離 し て な ら す 昔 の 違 ひ を、 大 全 音 の 孚 昔 と 言 ひ 湘 小 全 音 の 掌 音 は 九 分 の 一 を 二 つ に 割 つ だ 十 八 分 の 一 の 所 を 押 へ て な ら す 音 と、 こ れ を 離 し て 鳴 ら す 音 の 異 ひ を 言 ふ。 七、 純 正 調 の 科 學 的 基 礎
大
全
音
紗1
一8
三
個
小
全
音
絃1
百
二
個
全
孚
音
絃
三
15
二
個
杢
音
階
大 孚 督 粒1 16 六 個 小 宇 音 絃 1 一18 四 個 嵐十
二
宇
音
以
上
の
五
種
類
の
書
に
よ
つ
て
純
正
調
は
形
造
ら
れ
て
ゐ
る。
第
二
章
西
洋
の
純
正
調
一、
西
洋
純
査
調
二
書
階
と
其
特
徴
西
洋
の
純
正
調
は
二
つ
あ
つ
て、
長
音
階
と
短
音
階
と
あ
る
が、
長
短
と
言
つ
て
も
長、
い
と
か
短
い
と
か
の
意
味
﹁
ば
全
然
な
い。
長
音
階
男
性
的、
喜、
朗
か、
明
い
短
音
階
女
性
的、
悲、
憂
馨、
暗
い
と
言
つ
だ
様
な
戚
じ
を
表
す。
二、
西
洋
の
長
音
階
小
學
校
の
唱
歌
は
大
抵
此
の
長
音
階
を
使
つ
て
居
る
か
ら.
小
學
稜
の
生
徒
が
歌
つ
て
居
る
歌
で、
朗
な
明
る
い
も
の
で
あ
れ
ば
皆
長
音
階
と
解
鐸
し
て
間
違
ひ
は
な
い。
純
正
調
と
し
て
は
此 の 様 な 配 婁 に な つ て ゐ て 1 に は じ ま つ て 1 に 終 乃 の が 多 い が、 偶 に は 5 に 始 ま つ だ り、 5 に 終 つ だ り す る 事 も あ る。 三、 西 洋 の 短 音 階 短 音 階 は 心 を 淋 し く す る と 言 ふ て、 小 學 綾 で は あ ま り 使 つ て 居 な い が、 そ れ で も 十 の 歌 の 内 に は 二、 三 個 必 す あ る。 子 供 が 唱 つ て ゐ る 唱 歌 の 中 で 悲 し み を 帯 び て ゐ る も の は 短 音 階 で あ る か ら、 其 の 積 り で 聞 く と 興 味 が 深 い。 此 れ は 純 正 調 と し て の 配 合 に な つ て ゐ て、 主 に 6 か ら 始 ま つ て 6 に 終 る の が 多 い が、 3 か ら 始 ま つ だ り 3 に 終 っ だ り す る 事 も あ る。 四、 長 音 階 に 主 と し て 使 は れ る 音 長 音 階 は 主 に を 用 ゐ て、 4 は 5 の 導 き の 音、 7 は1 の 導 ぴ き の 音 と し て 使 は れ、 て 居 る が、 進 ん だ 曲 に な る と 4 も ク も 濁 立 し て 來 る。 而 し そ ん な 曲 に な つ て も 力 は 矢 張 ゆ 1 2 3 5 6 に か か つ て 居 り、 長 音 階 の 戚 じ 南 山 進 流 聲 明 の 科 學 的 意 義 九 七南 山 瀦 流 聲 明 の 科 學 的 意 義 九 八 は 小 全 音 二 つ と 大 全 音 一 つ で 充 分 表 し て 居 る か に 見 え る。 五、 短 音 階 に 主 と し て 使 は れ る 音 短 音 階 に 於 て は 此 の 音 を 盛 ん に 使 つ て 居 る。 蓋 し 短 音 階 の 悲 し み は 主 に 全 音 階 的 雫 音 を 多 く 使 ふ 所 に あ る と 信 ぜ ら れ る。 2 の 音 は 進 ん で 來 る と 出 る が、 5 は 仲 々 出 來 な い。 此 れ は 6 か ら 5 に 下 る 場 合 は
大
全
音
が
二
つ
綾
く
か
ら、
籐
程
進 ん だ 人 で な や と 出 來 す、 其 の だ め に 5 を 孚 音 あ げ て #5 と 6 の 間 を 大 孚 音 と し て、 幾 分 易 い 様 に 工 風 せ ら れ る 場 合 が 多 い。 第 三 章 東 洋 の 純 正 調 一、 東 洋 の 二 音 階 と 其 特 徴 東 洋 の 純 正 調 は 呂 と 律 で あ る が、 此 の 呂 と 律 を 氣 分 で 以 て 聞 き 分 け る 場 合、 呂 荘 嚴、 雄 大、 勇 氣、 男、 陽 律 上 品、 繊 細、 貞 淑、 女、 陰 の 異 ひ の あ る こ と が 明 瞭 に 戚 じ ら れ る。 二、 呂 の 音 階 現 在 此 の 尊 い 呂 が 段 か 忘 れ ら れ て、 聲 明 と 譲 曲 に 残 つ て ゐ る の み と 言 つ て も 差 支 へ が な い の は、 誠 に 残 念 と 言 つ て も 術 足 鉦 な い 残 念 で、 昔 か ら の 民 謡 の 中 に は 良 い 呂 の 歌 も あ つ だ で あ ら う が、 近 來 あ ま り 聞 く 事 が 出 來 漁 の は ど う し だ こ と か。 此 の 純 正 調 的 基 礎 は右 の 様 な 工 合 に な つ て ゐ る c 三、 律 り 音 階 律 り 者 樂 は 呂 よ り は る か に 多 く、 長 唄、 清 元、 常 盤 津、 或 ひ は 琵 琶、 御 詠 歌 等 皆 律 的 攣 化 を 表 し て 居 る。 純 正 調 と し て は の 排 列 と な つ て ゐ る。 四、 呂 に 主 と し て 使 ふ 音 呂 に 於 て 最 も 多 く 使 ふ 音 は を 使 ひ、 攣 徴 ・ 礎 宮 の 小 全 音 や、 全 音 階 的 孚 音 は そ ん な に 鯨 計 は 使 つ て ゐ な い。 呂 の 持 つ 荘 巖 雄 大 の 氣 分 は、 大 全 音 の 持 つ 戚 化 の 力 と 思 は れ る。 五、 律 に 主 と し て 使 ふ 者 律 に 於 て は 右 り 音 が 最 も 多 く 使 は れ る。 上 品、 繊 組、 貞 淑 の 奥 床 し さ は、 殆 ん ど 此 の 大 全 音 二 個 と 小 全 音 一 個 よ う 出 る と 言 つ て よ い 。 猶 悲 し み の 氣 分 を 強 く 出 す に は、 宮 と 揚 朋 と の 聞 の 小 全 音 を 使 ひ 曝 明 る 昧 を 出 す だ め に は、 揚 商 南 山 大進 流 聲 明 の 科 學 的 意 義 九 九
南 山 濫 流 聲 明 の 科 學 的 意 義 一 〇 〇 と 角 の 間 の 大 全 音 を 使 ひ、 全 音 階 的 孚 音 は 商 朋 を ソ ソ て 揚 商 揚 朋 と し て 使 ふ 場 合 が 多 い。 第 四 章 純 正 調 の 精 神 に 及 醸 す 影 響 一、 動 物 と 純 正 調 純 正 調 の 歌 は、 魂 を 振 は し、 精 神 に 直 ち に 影 響 を 與 へ る も の で あ つ て、 動 物 に 於 て も そ の 戚 受 性 は 明 ら か に 有 り、 小 鳥 の 噂 り は 上 手 に な お 程 純 正 調 を 表 ば す。 音 樂 を 練 習 し 始 め る と、 小 鳥 が 庭 に 來 て 門 生 懸 命 願 る 事 は 往 々 経 験 す る 所 で あ り、 或 は 犬 の 中 に 純 正 調 の 音 樂 を 聞 い て 嬉 し さ の た め に 吠 え る の が 居 る。 二、 短 音 階 純 正 調 非 常 な 悲 し み を 表 は す が、 此 の 悲 し み は 西 洋 の 人 が 人 前 も 揮 か ら す 泣 き 叫 ぷ 様 な 悲 し み. 或 ひ は 子 供 が 悲 し ん で 泣 き 叫 ぷ 様 な 安 つ ぼ さ が あ る。 露 骨 に 悲 し み を 表 は し て ゐ る 黙 は 良 い 所 と 言 は ね ば な、 る ま い が、 こ ん な 歌 ば か り 唱 つ て ゐ る と 子 供 の 性 質 が 暗 く な つ て 仕 舞 ふ と 言 ふ の で、 學 綾 で は 鯨 り 使 は な い ゆ け れ ど も 子 供 は 人 間 の 野 猶 時 代 を 再 現 し て 可 成 り 悪 戯 を す る の で あ る が、 最 も 原 始 的 な 短 音 階 で 常 に 心 を 和 ら げ る こ と が 最 も 必 要 で は な い か と 思 ふ。 三、 長 音 階 純 正 調 此 の 音 階 を 使 つ だ 音 樂 は 朗 ら か で は あ る が、 西 洋 人 が 恰 も 物 質 文 明 を 喜 び、 本 能 に 生 き る の を 喜 こ ん で 居 る 榛 な、 叉 子 供 が 朗 ら か に 遊 ん で ゐ る 様 な も の で、 其 慮 に 深 み も な け れ ば 落 付 き も な い、 と も す る と 肩 を 怒 ら し て 歩 く 書 生 の 風 を 戚 じ る 音 階 で あ る。 四、 律 音 階 純 正 調 此 の 音 階 を 使 つ だ 音 樂 聲 樂 は、 悲 し み を 表 し て も 決 し て 前 後 も な く 泣 き く つ れ る と 言 ふ 襟 な も の で は な く、 心 に 悲 し ん で も 姿 に は 顯 は さ な い 程 の し つ か う し だ 所 が あ り、 大 家 の お 嬢 様 が 淑 や か に
立 居 振 舞 を す る 如 き 戚 じ が あ る。 今 ま で の 月 本 帰 入 を 育 て だ の ば 此 の 律 音 階 純 正 調 に ょ っ て 出 來 た の で あ る と 言 つ て 遇 言 で は な い。 五、 呂 音 階 純 正 調 呂 を 以 て 歌 は れ て ゐ る 音 樂 は、 律 の 繊 細 な 動 き と は 亦 異 つ て、 實 に 勇 ま し い 落 付 い た 荘 嚴 味 が 戚 じ ら れ る。 喜 び を 表 し て も 決 し て 自 分 丈 け 樂 し め ば よ い と 言 ふ 様 な も の で な く、 自 分 は 兎 に 角 と し て 入 を 喜 ば し め る 程 の 意 味 を 持 つ て 犠 牲 的 の 荘 嚴 さ を 顯 は し、 日 本 人 の 大 和 魂 は 此 の 呂 音 階 純 正 調 か ら 養 は れ て ゐ る 事 を 深 く 戚 ぜ す に は 居 ら れ な い。 六、 殻 耳 聞 {縁 轡 兄韮 見 薩 佛 と 四 孟 欝 階 以 上 西 洋 の 一 三 巳 階 と 東 洋 の 二 音 階 と 在 る 事 を 述 べ た が、 聲 聞. 縁 畳、 菩 薩、 佛 の 精 紳 内 容 と 四 音 階 の 精 神 内 容 と は、 良 ぐ 似 て ゐ る 黙 が 有 る の で、 こ れ を 配 當 し て 見 よ う。 七、 醸 音 階 鑑 賞 の 順 序 子 供 の 時 に は 呂 律 の 歌 は 仲 々 味 ひ 得 ら れ る も の で な い。 よ ぐ 子 供 の 好 く 歌 は 第 一 番 に 短 音 階 で あ る。 短 音 階 の 歌 を ぐ ん く と 歌 は し、 其 れ に 厭 き る と 大 き く な る に 随 つ て 長 音 階 の 歌 を 好 ん で 來 る。 青 年 慮 女 時 代 と な つ て 長 音 階 に 厭 き る と 其 麗 で 律 の 歌 を 好 ん で 來 る が、 一二 十 か ら 先 に な つ て 律 の 歌 に も 物 足 り な さ を 威 じ て 來 た 所 で 呂 の 最 も 曾 い 黙 が 理 解 さ れ る よ う に な る、 け れ 共 こ れ は、 大 髄 の 標 準 を 示 し だ も の で あ る。 八、 四 音 階 併 用 の こ と 思 ふ に 西 洋 の 二 音 階 ば か り で は 困 り 東 洋 の 二 音 階 ば か り で は あ ま、 り に 高 爾 す ぎ る。 此 の 四 音 階 を 南 山 携 流 聲 明 の 科 學 的 意 義 一 〇 一
南 山 進 流 聲 明 の 科 學 的 意 義 一 〇 二 併 せ て は じ め て、 完 全 な 音 樂 敏 育 が 出 來 る と 信 巻 ら れ る。 短 音 階 と か 長 音 階 に よ つ て、 相 當 小 さ い 時 か ら 音 樂 的 に 訓 練 さ れ た 人 が、 律 と 呂 に 長 年 み つ ち り 研 究 す る と 非 常 に 宜 い 結 果 を 招 來 す る。、 矢 張 り 音 樂 敏 育 の 順 序 は 一、 短 音 階 幼 年 時 代 二、 長 音 階 少 年 時 代 三、 律 音 階 青 年 時 代 四、 呂 音 階 肚 年 時 代 が 最 も 正 し い。 九、 畠 音 階 の 復 興 音 樂 の 最 高 と も 言 ふ 可 き も の は 實 に 呂 で あ る。 然 も 在 る べ き 呂 の 音 樂、 呂 の 歌 が 影 を ひ そ め て ゐ る こ と は 慨 嘆 に 堪 へ の。 殊 に 眞 言 宗 に は 世 界 に 比 類 が な い で あ ら う と 思 は れ る 南 山 進 流 の 雄 大 な 呂 曲 が あ り、 新 義 眞 言 の 盤 明 が 濃 厚 な 律 曲 に 成 れ る に 反 し て、 昔 か ら な る 呂 の 曲 調 を 守 つ て ゐ る。 誠 に 尊 い 宗 教 音 樂 で な け れ ば な ら の。 此 れ を 復 興 す る は 唯 聲 明 の 科 學 的 研 究 を 外 に し て 出 來 る こ と で は な い。 そ し て 出 來 る だ け 正 し い 聲 明 を 唱 へ る こ と に 努 め な く て は な ら な い。 第 二 編 吾 程 認 識 論 第 一 章 一昔 程 認 識 と は 何 か 一、 修 業 な く し て 純 正 調 が 出 來 る か 何 等 ・の 修 業 せ す し て 純 正 調 音 階 が 出 來 る な ら ば 別 に 我 々 は 苦 勢 は な い。 け れ ど 長 い 間 苦 勢 に 苦 勢 を 重 ね て は じ め て 純 正 調 が 理 解 さ れ る の で、 そ れ は 自 一分 の 持 つ て 居 る 珠 を 見 出 す 所 の 苦 勢 で あ る と 言 は ね ば な ら な い。 誰 し も 純 正 調 を 持 つ て 居 る で あ ら う が、 其 の 珠 が 見 出 さ れ て 立 派 に 使 へ る 様 に な る 迄 に は、 長 い 間 の 苦 心 を 要 す る。
二、 聞 く こ と と 認 識 あ の 人 は 歌 が 上 手 だ と か、 下 手 だ と か は、 殆 ん ど 誰 に も わ か る 所 で あ ら う。 然 ら ば 聞 い て 解 る 人 が 皆 音 秤 を 認 識 し て 居 る か と 言 ふ と 決 し て そ う で な 炉。 歌 の 上 手 下 手 が わ か る の は、 理 窟 は 解 ら な い が 下 手 の 様 に 威 じ、 上 手 の 様 に 戚 す る 丈 で、 何 慮 が 下 手 で 何 虚 が 上 手 と 言 ふ 事 は 多 く の 人 に は わ か ら な い。 そ れ で は 音 秘 を 認 識 し て ゐ る も の と は 云 へ な い。 自 分 で 唱 へ て 上 手 に 言 ひ 表 し、 そ れ を 入 が 聞 い て 魂 を 動 か す よ う に な つ て こ そ、 音 程 認 識 に 到 達 す る こ と が 出 來 た の で あ る。 三、 音 階 と 音 程 と の 遜 別 音 階 と は 普 通 に は 前 に 述 べ だ 純 正 調 音 階 を 指 す の で あ る が、 音 程 と は 音 と 昔 の 隔 り で、 音 階 は 五 或 は 七 の 音 か ら 出 來 て、 そ れ 良 身 が す で に ま と ま つ だ 節 を な し て ゐ る が、 音 程 は 一 律 二 律 三 律 四 律 乃 至 十 二 律 迄 り 膏 の 隔 り を 指 す 事 に な り、 從 つ て 音 階 認 識 は 五 或 ひ は 七 音 だ け 認 識 す れ ば 事 足 り る に 反 し. 音 程 認 識 は 十 二 律 何 時 如 何 な る 場 合 で も 慮 用 の 出 來 る 様 に 認 識 す る と 言 ふ 廣 い 意 味 を 持 っ て ゐ る。 四、 音 程 認 識 の 限 度 最 も 廣 い 意 味 で、 最 も 低 い 音 は 一 秒 間 に 十 六ハ 振 動 か ら 聞 え て、 最 も 高 い 音 は 一 秒 間 二 萬 (振 動 に 及 び、 そ れ 以 下 は 聞 く 事 が 出 來 の と さ れ て ゐ る。 此 の 間 聲 樂 に 使 は れ る の は 一 秒 間 八 十 一 振 動 か ら 一 千 三 十 五 振 動 ま で で あ る が、 十 二 律 の 音 程 を 認 識 す れ ば、 そ れ 以 上 低 い 音 に も そ れ 以 上 高 い 音 に も 癒 用 で き る こ と に な つ て ゐ る。 大 全 音 三 個 を 掌 音 つ つ に し て 大 孚 音 が 六 個、 小 全 音 二 個 を 孚 音 つ つ に し て 小 掌 音 が 四 個、 そ れ に 全 音 階 的 宇 音 一 一個 を 加 へ て 含 計 十 二 の 雫 音 が 出 來 る。 此 れ を 十 二 律 と 言 ふ 名 前 で 呼 慮 れ て ゐ る の で 南 山 進 流 聲 明 の 科 學 的 意 義 一 〇 三
南 山 進 流 聲 明 の 科 學 的 意 義 一 〇 四 あ る が、 音 軽 性認 識 の 限 度 は 結 局 此 の 十 二 音 認 識 の 外 に は 無 い と も 言 ひ 得 る。 而 し 四 音 階 に よ つ て 皆 大 半 音、 小 半 音、 全 半 音 の 位 置 が 異 ふ の で あ る か ら、 四 音 階 と し て は 四 十 八 音 認 識 を 要 求 せ ら る 可 き で、 な か く と 簡 軍 な こ と で は な い。 第 二 章 昔 程 認 識 の 階 段 一、 呂 音 階 の 五 音 呂 の 五 音 は 大 全 音 の 間 隔 で あ る か ら、 絃 の 長 さ の 八 分 の 一 の 音 さ へ 聞 き わ け る 入 で あ れ ば 誰 れ で も 唱 へ ら れ る。 呂 は 最 も 入 り 易 い け れ ど、 奥 へ 入 れ ば 入 る 灘 難 か し く な り、 妙 味 を 出 し て 來 る 音 樂 中 の 王 で あ
る。
二、
律
音
階
の
五
音
と
長
音
階
の
五
音
律
ま
長
音
階
は
共 に 大 全 音 と 小 全 音 で あ る か ら、 絃 の 八 分 の 一 と 九 舜 の 一 と を 聞 き わ け れ ば 純 正 調 が 出 る。 八 分 の 一 と 九 分 の 一 を 聞 き わ け る こ と は 即 ち 七 十 二 分 の 一 の 粒 の 音 を 聞 き わ け る 耳 を 要 す る。 三、 短 音 階 の 五 音 短 音 階 の 五 音 は 大 全 音 と 全 半 音 と よ り 成 り 立 つ て 居 る か ら、 絃 の 十 八 分 の 一 と 十 五 分 の 一 の 昔 を 聞 き わ け ね ば な ら の。 る れ に は 百 二 十 分 の 一 の 絃 の 音 が 聞 き わ け ら れ ね ば 純 正 調 は 出 來 の。 四、 四 音 階 七 音 の 認 識七 音 は 短 昔 階 ・長 音 階 ・呂 ・律 ・ 大 全 音。 小 全 音。 全 音 階 的 孚 音 を 具 へ て ゐ る か ら、 絃 の 長 さ の 八 分 の 一 の 音 と、 九 舜 の 一 の 音 と、 十 五 分 の 一 の 音 を 聞 き わ け ら れ ね ば 純 正 調 は 轟 の、 そ れ に は 粒 の 三 百 六 十 勢 の 一 の 音 が 聞 き わ け ら れ な く て は な ら の。 五、 四 音 階 の 九 音 認 識、 九 音 に な る と 大 全 音 の 孚 音 の 大 掌 音 と、 小 全 音 の 牢 音 の 小 孚 音 が 培 し て 豪 る、 邸 ち 絃 の 長 さ の 八 分 の 一 と 九 分 の 一 と 十 五 舜 の 一 と 十 六 分 の 一 と 十 八 分 の 一 の 音 を 聞 き わ け ら れ な け れ ば 純 正 調 は 出 な い。 そ れ に は 七 百 二 十 分 の 一 の 絃 の 音 を 聞 き わ け る 耳 を 必 用 と す る。 六、 十 二 律 の 認 識 十 二 音 を 全 部 完 全 に 唱 へ て 徐 裕 あ り、 氣 分 を 豊 か に 講 す だ め に は、 絃 の 長 き の 千 八 十 分 の 一 の 音 の 聞 き わ け が 田 來 ね ば な ら な い。 こ れ は 佛 敏 に 云 ふ 三 學 の 修 練 に よ つ て の み 到 達 し 得 る 境 地 で あ ら う。 第 三 章 書 程 認 識 の 精 棘 に 及 酸 ず 影 響 一、 五 音 認 識 時 代 小 學 校 の 子 供 は 殆 ん ど 五 音 の 歌 ば か り 習 つ て 居 る と 言 つ て 差 支 へ な い。 だ ま に 五 學 年 六 學 年 に な つ て 七 音 の 歌 が 出 て も、 と て も 完 全 に は 唱 へ 切 れ な い、 從 つ て 七 音 は 無 理 で 五 音 が よ い。 そ れ だ け 精 紳 歌 態 も 極 く 輩 純 で 考 へ は 淺 い。 考 へ の 極 く 淺 い 大 人 で、 丁 度 子 供 位 の 考 へ し か 持 つ て ゐ な い 入 に 歌 を 唱 え さ す と、 五 音 の 歌 し か 歌 へ な い よ う で あ る。 二 七 音 認 識 時 代 こ れ は 中 學 投、 女 學 校 時 代 に 完 成 さ る 可 き で、 な か な か 音 程 認 識 と 言 ふ も の は 易 し い も の で は な い。 五 年 間 を 費 し て も 入 に よ つ て は 七 音 を 認 識 し 得 な い も の さ へ あ る。 七 音 認 識 に 逡 す れ ば 物 の 考 へ 方 が 漸 く 綿 密 に な り、 稽 正 し く な つ て 來 る。 此 南 山 逡 流 聲 明 の 科 學 的 意 義 一 〇 五
南 山 進 流 聲 明 の 科 學 的 出思 義 一 〇 六 虚 に 一 人 の 青 年 が 居 り 或 は 娘 が 居 つ て、 七 音 の 歌 を う だ ふ 事 が 出 來 る 人 で あ る と、 必 す 其 の 精 神 状 態 は 物 の 考 へ 方 が 或 る 程 度 迄 正 し い と 断 定 し て 差 支 へ な い。 三、 九 音 認 識 時 代 此 れ は 學 稜 と し て は 高 等 學 稜、 大 學 校 な ど で 行 は る 可 き で、 盆 か 考 へ 方 の 正 し さ を 期 せ ね ば な ら の 此 れ ら の 學 校 と し て は、 今 後 此 の 方 面 に 眼 を 向 け る 可 き で あ ら う と 考 へ る。 此 の 所 に な る と 藝 の 奥 を 究 め 蓋 す 人 で あ つ て、 殆 ん ど 音 樂 專 門 者 で な く て は 到 達 轟 來 難 い 所 で も あ る。 此 慮 に 到 つ て 物 の 考 へ 方 を 見 る と、 殆 ん ど 間 進 な く て 精 密 を 極 め、 常 人 の 上 遙 か に 抽 ん で て 居 る。 四、 十 二 音 認 識 の 人 此 れ は 正 に 選 ば れ だ 内 の 選 ば れ た 人 で、 精 進 に 精 進 を 重 ね、 命 を 賭 し て 百 八 煩 惜 を 越 え る こ と に よ つ て 得 る 奪 い 賜 物 で、 此 れ を 以 て 呂 を 完 全 に 欝 へ 得 ら れ る な ら ば、 當 に 完 成 さ れ た 大 人 格 と 言 つ て 差 支 へ な い。 か く の 如 き 人 は 普 通 の 人 が 情 み 苦 し ん で 居 る 問 題 に 就 い て も、 そ の 原 因 を 明 瞭 に 察 知 し て 良 く 導 く 事 が 出 來 る で あ ら う。 第 三 編 三 密 修 業 に 於 け る 聲 明 の 位 置 第 一 章 三 密 修 業 一、 在 來 の 解 繹 に 樹 す る 疑 三 密 修 業 は、 手 に 印 契 を 結 ひ、 口 に 眞 言 を 欝 へ、 心 三 摩 地 に 住 す る 事 と 言 は れ、 誰 で も そ う す れ ば 三 密 が 構 成 さ れ る か の 様 に 考 へ ら れ だ の で あ る。 而 し そ ん な に し て も 誰 も 同 じ 様 に 速 疾 に 佛 果 は 成 就 さ れ な い。 そ ん な 所 か ら 疑 問 を 持 つ 人 も 多 か つ だ。 そ れ で は ど う す れ ば 三 密 の 修 業 が 完 成 さ れ る か と、 誰 し も 持 つ 疑 問 と 言 つ て 差 支 へ な い で あ ら う。
二、 三 業 と 三 密 三業 は 即 一二 密 で あ る。 こ れ を 予 の 立 場 で 解 す れ ば 次 の 如 く な る。 身 身 膿 業 動 作 の リ ズ ム 膿 得 一 秒 間-五 五 眞 言 口 精 神 業 音 波 の リ ズ ム 腱 得 一 秒 間 五 六-八 高 音 樂 意 羅 四業 光 波 の リ ズ ム 騰 得 一 秒 間 八 萬 1 無 限 観 法 以 上 の 如 く 解 さ れ る の で あ る。 三、 聲 明 は 音 樂 で あ る 聲 明 は 飾 を 重 ん す 可 き 音 樂 で あ つ て、 形 式 さ へ 似 て ゐ れ ば よ い と 云 ふ よ う な 姜 協 は 許 さ れ な い 嚴 密 な 宗 教 音 樂 で あ る。 昔 か ら 形 式 さ え 似 て 居 れ ば そ れ で よ い 様 に 考 へ て 居 る 人 が 多 い か も 知 れ な い が、 そ れ は 形 式 仁 調 し て の 認 識 が 甚 だ あ い ま い な の で あ つ て、 大 切 な も の は 嚴 密 な 形 式 と 嚴 密 な 音 調、 音 程 で な く て は な ら の。 四、 聲 明 は 十 二 律 よ り 成 る 例 へ ば 如 來 唄 は 十 音、 初 段 散 花 九 音、 樹 揚 八 音、 四 智 梵 語 九 音、 佛 名 十 音、 理 趣 経 十 一 音 物 伽 陀 に は 十 二 音 の も の も あ つ て、 最 も 難 か し い 十 二 律 ま で の 音 を 認 識 す る 事 が 出 來 る 樵 に な つ て ゐ る。 音 程 認 識 論 に 述 べ だ 様 な 最 も 難 か し い 十 二 音 の 音 程 認 識 が 出 來 る。 か く の 如 き 組 織 が 南 山 進 流 の 啓 明 に は 完 備 し て 居 る。 世 界 聾 樂 で 斯 く 完 備 さ れ て ゐ る も の は 外 に は な い と 思 は れ る。 五、 聲 明 は 修 業 す べ き も の な り 聲 明 が 修 業 す べ き も の で あ る 事 は、 聲 明 業 と 言 ふ 名 目 で も 此 れ を 表 し て 居 る。 然 る に 實 際 上 で は 聲 明 は 輕 視 さ れ て ゐ る。 習 ふ 方 で 五 音 位 の 認 識 し か 出 來 て ゐ す。 敏 へ る 方 で 揚 朋 揚 商、 攣 徴 鍵 宮 の 猶 を 出 し て 為 わ か る わ け が な く、 修 業 し な け れ ば 南 山 進 流 聲 明 の 科 學 的 意 義 一 〇 七
南 山 灘 流 聲 明 の 科 學 的 意 義 一 〇 八 揚 朋 揚 商、 猶 徴 猶 宮 は 途 に 忘 れ ら れ て 次 か に 傳 へ ら れ る。 今 日 で は 此 れ ら 七 音 を 完 全 に 出 し 得 お 聲 明 家 が あ る か ど う か。 音 程 認 識 の ・上 か ら、 七 音 の 純 正 調 を 認 識 し て ゐ る 聲 明 家 が 居 る か ど う か 疑 問 で あ る。 六、 聲 明 の 臓 落 修 業 を 忘 れ た 聲 明 が 瞳 落 す る の は 當 然 で あ る。 豊 意 師 の 如 き は 五 音 博 士 を 作 り て 此 れ を 獲 し、 更 に ﹁ ユ リ ﹂ ・﹁ イロ 官 ﹂ の﹁ ッ ヤ ﹂・﹁ ユ ル グ ﹂ 名 ハ ル ﹂ ・﹁ マ ワ ス ﹂ ・﹁ ヨ コ オ ロ シ ﹂ ・﹁ ﹂打 ((村 ﹂。 ﹁ イ ・ ロ モ ー3 り ﹂ な ど と 舌 口 ふ 音 程 上 の 猶 期 を 言 葉 で 註 し て 獲 し だ。 修 行 せ ん と せ ば そ の 目 標 は こ れ ら の 中 に 見 出 さ れ る。 聲 明 講 傳 の 場 合 で も 昔 か ら ﹁ 先 づ 師 だ る 者 は 全 身 を 直 く 居 し て、 爾 手 を 正 し く 外 縛 し、 始 に 五 音 初 二 三 重 十 一 位 を 幾 度 も 吟 ぜ し め、 能 く 十 一 位 の 分 齊 階 級 を 了 解 せ し め て ﹂ と あ る。 如 何 に 音 階 を 重 ん じ だ か を 示 し て 居 る が、 今 日 聲 明 家 と 言 は れ る 人 々 の 内 に 此 れ を 實 行 さ れ て ゐ る 入 が あ ら う か。 叉 呂 と 律 の 初 二 三 重 十 一 位 を 薦 へ 分 け て 登 聲 し 得 る 聲 閉 家 が あ る で あ ら う か。 七、 佛 敢 藝 術 と し て の 復 値 す べ て の 法 曾 法 式 は、 聲 明 が 無 く て は 成 り 立 だ ぬ 程 に 盤 賄 は 大 切 で あ る。 そ れ だ け 佛 敢 藝 術 と し て の 債 値 は 實 に 偉 大 と 云 は ね ば な ら の。 あ ら ゆ る 法 式 に 於 て 音 樂 が な く て は 式 に な ら ぬ の で あ る が、 あ ら ゆ る 宗 激 の 上 に 讐 え て ゐ る 秘 密 漱 の 持 つ 南 寅 遜 流 聲 明 の、 法 式 法 舎 上 に 於 け る 蕪 巌 さ も、 佛 敢 藝 徳 的 内 容 に 於 て あ ら ゆ る 宗 敢 音 樂 の 上 に 春 臨 し て ゐ る。 只 今 日 は そ の 珠 も 寳 の 持 へち 腐 れ の 如 き 凱 を 呈 し て ゐ る に 過 ぎ な い。 第 四 編 南 山 進 流 聲 明 呂 律 の 實 際 第 一 章 呂 律 の 共 蓮 黙、
一 、 大 全 音 の 一 致
宮
商
の
間、
徴
朋
の
間
は
呂
律
も
共
に
大
全
音
で、
其
外
朋
宮
の
間
は
共
に
小
全
音
之
全
音
階
的
半
音、
商 徴 の 間 は ど ち ら も 大 全 音 と 小 全 音 と 全 音 階 的 宇 音 で、 孚 音 の 位 置 が 異 ふ ば か り に な つ て 居 る 。 二、 徴 朋 の 間 大 全 音 強 調 呂 律 共 に 徴 の 博 士 に は 非 常 に ユ リ が 多 い。 呂 は 小 石 を 並 べ だ る が 如 く、 律 は 細 か に ユ ツ テ 居 る の で あ る が ハ ユ リ ば 一 音 の 差 で 徴 朋 の 間 の 大 全 音 を 動 か し て ゐ る。 こ れ に よ つ て 如 何 に 此 の 大 全 音 を 強 調 し 様 と し だ か や 知 ら れ る, 何 故 こ れ を 強 調 す る 必 要 が 有 つ た か と 言 ふ と、 此 の 所 が 呂 律 共 に 大 黒 柱 に 相 當 す る か ら で、 西 洋 長 音 階 の 大 黒 柱 も 1、 短 音 階 の 大 黒 柱 も 6 で あ る が. 不 思 議 に も 呂 の 徴 が-で あ り、 律 の 徴 が 6 で あ る 黙 よ く 似 て ゐ る。 三、 宮 商 の 間 大 全 音 強 調 宮 の 博 士 の 所 に、 呂 は ﹁ ウ ル ハ シ ク 粗 ク ユ ル 例 ヘ バ 石 ヲ 並 ベ タ ル ガ 如 シ ﹂、 律 ハ ﹁ ス グ シ 但 シ 事 ニ 随 テ 半 由 ア リ 半 由 ト ハ 直 音 ノ 末 ヲ 動 カ ス ナ リ ﹂ と あ つ て 少 し く 由 る 様 に な つ て ゐ る が、 こ れ は 宮 と 商 と の 間 の 大 全 音 を 揺 つ て、 此 の 大 全 音 を 徴 朋 の 大 全 音 の 次 に 強 調 し て ゐ る。 何 故 か と 言 ふ と 大 黒 柱 に 次 で 大 切 な 中 堅 柱 で、 西 洋 長 音 階 の 5、 短 音 階 の 3 が 矢 張 り 中 堅 柱 で あ 南 山 進 流 聲 明 の 科 學 的 意 義 一 〇 九南 山 進 流 聲 明 の 科 學 的 意 義 一 一 ○ 添 が、 不 思 議 に も 呂 の 宮 が 5 の 下 の 4 に 當 り、 律 の 宮 が 3 の 下 の 2 に 當 つ て ゐ る。 第 二 章 呂 律 登 聲 法 一、 一 位 の 猶 に 呂 律 は 存 在 せ. す 一 昔 を 出 し て 此 の 聲 は 呂 か 律 か と 問 ふ 様 な 入 が 居 れ ば、 こ の 質 問 は 問 違 つ て 居 る と 言 は ね ば な ら の。 又 同 様 に 一 音 を 出 し て 此 れ は 宮 か 商 か と 言 ふ 様 な 間 も あ る 可 き も の で な い。 一 定 の 聲 を 出 し て 黄 無 調 か 盤 渉 調 か 双 調 か と 言 ふ 事 は 有 り 得 る。 何 故 な ら ば、 呂 律 或 ひ は 宮 商 角 徴 朋 は 相 婁 的 の も の で、 一 定 の 一 音 で は 比 較 に な ら な い し、 一 越 調 李 調 と 言 ふ 如 き 調 子 は 絶 婁 的 で 音 波 の 波 動 の 数 ま で 定 め ら れ て ゐ る か ら、 こ れ を 廣 別 し 判 し 得 る。 二、 呂 律 調 子 の 標 準 呂 律 調 子 の 標 準 は 何 調 子 に 定 め ら れ て 居 る か と 言 へ ば、 大 山 公 淳 師 の 説 の 如 く 黄 無 調 で、 ど の 聲 明 本 で も 大 抵 は じ め に 十 五 折 博 士 の 圖 が あ る が、 あ れ は 黄 無 調 を 以 て 表 さ れ て ゐ る。 黄 (無 調 三 重 の 宮 一 秒 間 の 振 動 数 は 日 本 雅 樂 の 方 で 四 三 七 振 動 で あ る が、 西 洋 の 音 樂 の 標 準 は A で、 此 の 振 動 藪 二 秒 間 四 三 五 振 動 に 定 め ら れ て ゐ る。 大 古 は 東 洋 の 人 は 西 洋 の 事 が わ か ら す、 西 洋 の 人 は 東 洋 の 事 が わ か ら な か つ だ で あ ら う が、 殆 ん ど 爾 者 此 の 黙 に 一 致 し て ゐ る 事 は 不 思 議 に 威 せ す に は 居 ら れ な い。 三、 呂 律 の 氣 分 を 出 す 事 呂 の 方 は 裕 へ て ゐ る 内、 自 然 雄 大 に 荘 嚴 に 拍 子 の 如 き も 大 い に 融 通 さ れ て 來、 律 は 繊 細 な 箇 廻 し と な り、 華 や か に な り 拍 子 の 方 は あ ま り 融 通 さ れ な い。 此 れ を 意 識 的 に つ と め る 問 は 眞 の 呂 律 は 表 れ な い。 眞 に 呂 律 の 氣 分 を 出 す に は 拍 子 の 方 を 相 婁 鍛 錬 し、 音 程 の 方 は 絃 の 七 百 二 十 分 の 一 の 音 を 聞 き わ け る 梶 度 に 修 養 せ ば 可 能 と な る。 四、 音 樂 家 は 誰 で も 呂 律 が 出 來 る か
音 樂 家 と 言 ふ と、 普 蓮 西 洋 音 樂 の 實 際 に 遙 じ だ 人 を 指 す の で あ る が、 西 洋 音 樂 長 音 階 短 音 階 ば か り し て ゐ だ 人 に 呂 律 を や ら し て も、 全 然 出 來 る も の で は な い。 そ れ は 同 じ 純 正 調 で も 大 全 音 小 全 音 の 位 置 が 異 ふ ば か り で な く、 す べ て 純 正 調 の 聞 き わ け は 氣 分 を も つ て 緻 密 に 聞 き わ け て 行 か ね ば 出 來 の の に、 そ の 氣 分 が 調 つ て 居 ら の。 此 れ ら の 人 も 呂 律 の 修 業 に 五 年 間 位 を 費 せ は、 其 味 は ひ が 出 て 來 る で あ ら う。 五、 盤. 明 家 は 西 洋 音 樂 を 知 ら な く て も よ い か 短 音 階、 長 音 階、 律、 呂 と 進 ん で こ そ、 深 刻 な 呂 律 を 表 は す こ と が 出 來 る け れ ど も、 西 洋 音 階 の 素 養 の な い 人 が 呂 律 を 表 は す に は ど う も 深 刻 さ が 出 な い。 兎 角 日 本 音 樂 ば か り で は、 三 絃 で も、 琴 で も、 尺 八 で も、 音 の 認 識 が 非 常 に 粗 雑 で、 其 黙 西 洋 樂 器 で 修 練 し だ 人 は、 音 程 認 識 が 實 に 緻 密 で あ る。 勿 論 三 絃、 琴、 尺 八 の 如 き は 樂 器 と し て は 不 完 全 で、 日 本 樂 器 の 中 で 一 番 完 登 な も の と 言 へ ば 三 絃 を 塞 げ ね ば な ら の 程 貧 弱 な の で あ る か ら、 樂 器 な ど は 西 洋 の 樂 器 の 完 全 な も の を 大 い に 取 入 れ て 使 ふ 可 き で あ ら う。 其 れ と 同 時 に 聲 明 家 は 何 か 完 全 な 樂 器 に よ つ て 演 奏 出 來 る 腕 を 持 ち、 縫 界 の 四 音 階 に 通 じ て ゐ な く て は な ら の。 第 三 章 大 全 晋 の 認 識 に 留 慧 し て ゐ る 聲 明 一、 何 故 大 全 音 が 大 切 か 大 全 音 認 識 は 最 も 易 い と 同 時 に 最 も 難 か し く、 初 め で あ り 終 り で あ り、 入 り 易 く し て 奥 深 く、 進 め ば 進 む 程 味 が 出 て 來 る。 こ れ が 大 全 音 の 特 徴 と 信 せ ら れ る。 音 樂 の 内 最 も 健 全 最 も 嚴 正 な る も の は 大 全 音 で あ つ て, こ れ こ そ 大 日 如 來 の 内 誰 を 表 は す 唯 -の 絶 樹 藝 術 で あ り、 郎 身 成 佛 の 大 切 な 道 南 山 進 流 聲 明 の 科 學 的 意 義 一 一 一
南 山 進 流 聲 明 の 科 學 的 意 義 一 二 一 案 内 で あ ら ね ば な ら の 。 四 音 階 の 五 音 に し て も 、 最 も 下 段 の 短 音 階 は 二 個 の 半 音 を 最 も 多 く 使 ひ 、 大 全 音 一 個 に よ つ て 締 め ら れ て ゐ る が 、 其 の 次 の 段 の 長 音 階 は こ 個 の 小 全 音 を 使 つ て 、 大 全 音 一 個 で 統 御 し 、 第 三 段 に 昇 つ て 律 と な る と 小 全 音 が 一 個 と な り 、 大 全 音 二 個 あ り 、 堅 實 性 を 増 し 、 最 上 段 の 呂 は 三 個 共 大 全 音 で 、 其 の 極 致 を 示 し て ゐ る 。 二 、 呂 の 氣 分 と 大 全 音 呂 は 殆 ん ど 大 全 音 を 使 つ て ゐ て 、 小 全 音 は 籐 程 少 な い 、 殆 ん ど 使 つ て な い と 言 つ て も よ い 位 で 、 呂 の 小 全 一音 は 角 と 猶 薇 の 間 、 朋 と 墾 宮 の 間 の 二 ケ 所 で あ る け れ 共 、 ﹁ 四 波 羅 蜜 讃 ﹂ の ﹁ 帝 ﹂ 字 の 所 に ﹁ 呂 ﹂ と 註 の あ る 所 は 僅 か に 角 と 礎 徴 の 間 の 小 全 音 ・ が 現 は れ 、 ﹁ 三 禮 ﹂ の ﹁ 僧 ﹂ の 宇 の ﹁ 鍵 宮 ﹂ の 註 あ る 所 の み 朋 墾 宮 の 小 全 音 が 出 る 位 で あ ら う と 思 ふ 。 徴 と 朋 の 間 を 由 り 、 宮 と 商 の 問 を 少 し 由 り 、 大 全 音 を 強 調 す る 事 は す で に 述 べ だ が 、 四 智 梵 語 、 大 日 讃 、 不 動 讃 に は 、 共 に 商 角 の 大 全 音 を 由 つ て 強 調 し て ゐ る こ と は 、 亦 大 切 な 事 と 言 は ね ば な ら の 。 三 、 律 に は 出 來 る 丈 け 大 全 音 を 用 ゐ る 律 も 呂 と 同 じ く 、 徽 朋 の 間 を 由 り 宮 商 の 間 を 宇 由 と し て 、 大 全 音 を 強 調 し て ゐ る 事 は 前 に 述 べ だ 所 で あ る が 、 律 特 有 の 氣 分 は 時 々 鵠 る 小 全 音 に よ つ て 繊 細 に 華 美 に 表 現 せ ら れ て 來 る 。 律 の 小 全 音 は 角 徴 の 間 と 揚 朋 と 宮 の 間 で 、 呂 攣 音 曲 の 散 花 に
於 て 畠 が 途 中 で 律 に 猶 音 す る と 同 時 に、 角 徴 の ユ ヅ が 出 て 小 全 音 を 強 調 す る 故、 實 に あ ざ や か に 猶 音 の 氣 分 を 味 は う 事 が 出 來 る 様 に な つ て ゐ る。 梵 音、 錫 杖、 調 揚 の 如 き 律 曲 に あ る 宮 の ツ ヤ は 宮 と 揚 朋 の 間 の 小 全 音 を 使 ふ わ け で、 律 に 多 く 出 る イ ロ モ ー3 ソ は 殆 ん ど 角 徴 の 問 を 動 い て、 小 全 音 を 生 か し て ゐ る。 而 し あ く ま で も 大 全 音 が 絶 樹 的 に 多 く 活 躍 し て、 堅 實 性 を 完 全 に 保 つ て ゐ る の で あ る。 四、 中 曲 に 於 け る 大 全 音 小 全 音 の 使 ひ わ け 中 曲 に 於 て 飽 く 迄 大 全 音 を 用 ゐ、 小 全 音 を 副 へ て 十 二 律 認 識 に 進 ま し め ん と し て ゐ る 黙 は 實 に 露 妙 で 細 か い 所 は 藪 限 り が な い か ら、 最 も 普 遍 的 な 叡 の を 爆 げ て 見 る と、 由 り オ ソ は 徴 の 上 を ユ ッ テ 朋 と の 間 大 全 音 を 出 し、 直 ち に 下 り て 角 の 上 で 徴 角 の 間 の 小 全 音 を ユ ル 事 に な つ て ゐ る が、 伽 陀 の 突 由 は 反 婁 に 徴 角 の 間 の 小 全 音 を 動 か し て 知 由 し、 後 直 ち に 徴 の ユ リ と な つ て 徴 朋 の 間 の 大 全 音 で 落 ち つ け る 事 に な つ て ゐ る。 ユ ソ 下 り は 大 全 音 の 後 小 全 昔、 知 由 は 小 全 音 の 後 大 全 昔 と、 中 曲 特 有 の 呂 律 の 特 徴 を 一 つ に し だ 檬 な 巧 み な 便 ひ わ け を し て ゐ る。 要 す る に 大 全 音 を 非 常 に 多 く 使 用 し て. 如 何 に こ れ を 尊 重 し だ か が 威 せ し め ら れ る。 第 五 編 結 論 世 界 の 四 音 階 に 於 け る 呂 律 の 位 遣、 音 程 認 識 が 物 の 考 へ 方 を 正 し く 導 く 黙 を 明 ら か に し、 實 験 的 科 學 的 方 面 よ り 三 密 修 業 を 再 認 識 し て 聲 明 の 重 大 な る 事 を 想 起 し、 南 山 進 流 聲 明 が 比 類 な ー 勝 れ た る 黙 を 強 調 し だ。 日 本 精 紳 作 興 の 盤 は 佛 激 復 興 の 聲 と な り て 進 ん で ゐ る。 そ の 佛 激 の 中、 弘 法 大 師 の 残 さ れ た 秘 密 教 の 中 に 南 山 進 流 聲 明 が、 佛 敏 聲 樂 の 王 座 と し て 南 山 進 流 聲 明 の 科 學 的 意 義 一 二 二
南 山 遽 流 聲 明 の 科 學 的 意 義 一 一 四 存 し て ゐ る。 予 は 末 輩 乍 ら 大 山 公 淳 師 と 共 に 諸 先 徳 の 導 き を 受 け、 猶 明 に 精 進 す る 事 幾 年、 科 學 的 研 究 は 完 成 さ れ、 此 の 珠 玉 を も つ て 無 限 の 法 樂 を 得 ん と す る 人 に は 何 時 で 為 資 料 を 提 供 し 得 る こ と の 寓 來 る 事 を 附 記 す る。