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通電した水中における金属イオンの挙動に関する研究

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Academic year: 2022

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(1)Ⅶ-56. 第37回土木学会関東支部技術研究発表会. 通電した水中における金属イオンの挙動に関する研究 群馬工業高等専門学校 群馬高専環境都市工学科 1.はじめに 電気化学的方法を用いた水質改善に関する研究で は、水に電気を流すと、pHや電気伝導度が低下する ことが明らかになった。特に、電気伝導度の低下は水 中の金属イオンの減少によるものであると考えられ る。去年、水中の金属イオンと印加電圧との関係に関 する研究 1)が行われた。その結果、異なる供試水や 異なる通電条件においても、通電によって水中の多く のイオンの濃度が減少したことがわかった。特にナト リウム、カリウム、マグネシウムのイオン濃度の減少 量は大きかった。これらのイオン濃度の低下は、水中 の電気伝導度や pH の変化に影響を与えていると推測 できた。しかし、通電した水中に含まれているイオン の挙動については不明な点が残されている。去年の研 究から、減少したイオンはほとんど金属イオンである ことがわかり、陰極表面に物質が付着していたことが 確認されたが、その付着量及び成分分析は行われてい なかった。 本研究では、通電による水中の金属イオンの変化を 調べるとともに、電極に付着した物質の量および成分 についても分析することによって検討を行った。 2.実験装置および実験方法 2.1 実験装置 図 1 に、実験装置の概略を示す。本実験装置は、容量 が 1.5L のプラスチック製の水槽、直流安定化電源、2 枚の陰極および陽極からなっている。陰極としては、そ れぞれアルミ板、ステンレス板及びチタンメッシュ板の 3パターンを使用し、陽極としては全ての実験でチタン メッシュ板を用いた。電極板のサイズは全て 15×10cm とし、各電極板の間隔を 40mm とした。供試水として は、本校敷地内の合併浄化槽の流入水と処理水を用い、 それぞれの濾過水と未濾過水に通電した。 2.2 実験方法 本実験は、各々の供試水 1000ml に対して、5V、10V、 15V、20V の印加電圧で通電を行った。また、陽極有効 面積は 224cm2 であり、通電時間は 3 時間とした。各供 試水の原水および各々の実験条件下で通電処理したも のについては、pH、電気伝導度(EC)、懸濁物質(SS)、 金属イオンを測定した。pH は pH 計を用いて測定した。 電気伝導度は電気伝導度計を用いて測定した。懸濁物 質は、105℃で 24 時間乾燥させた濾紙を用いて全ての試 料水を 400ml 濾過し、それをさらに 105℃で 24 時間乾. 正会員 学生会員. 谷村 ○三浦. 嘉恵 祐佳. 燥させ、濾過前と濾過後の濾紙の質量の差を mg/l に換 算し測定した。イオン分析については、各試料水の濾過 水と未濾過水ともに行った。磁皿に各試料水 50ml を入 れ、それに硝酸 2ml を加えたものを 105℃で 10ml まで 加熱分解させた後、それに蒸留水を加え 50ml に定量し た。これを試料水として ICP 発光分光分析装置を用い て 23 元素について定量分析を行った。 陰極板に付着した物質についても、質量の測定と金属 イオン成分の分析を行った。付着物質の質量測定は、通 電前の陰極板の質量と、通電後の陰極板を自然乾燥させ た後の質量を測り、それらの差を陰極板付着物の質量と した。 また、陰極に付着した物質の成分分析については、質 量測定を終えた陰極板に付着していた物質の一部を削 り落とした。削り落とした付着物質を磁皿に入れ、これ に 4%の硝酸液 50ml を加え 105℃で加熱分解処理した. 図1. 実験装置概略図. 後、ICP 発光分光分析装置を用いて 23 元素について定 性分析を行った。 3. 実験結果および考察 3.1 陰極板の付着物質の質量 図 2 に、アルミニウム板陰極の付着物質の質量変化 を示す。図 2 に示したように、いずれの供試水を用い た場合においても、アルミニウム板陰極に付着した物 質の質量変化はほぼ同様なパターンで推移していた。 印加電圧 5V~10V では、印加電圧が高いほど付着物質 の質量が増加した。これは、水中の金属イオンが陰極 への付着の増加によるものであると考えられる。一方、 印加電圧 15V~20V では、印加電圧が高くなるにつれ. キーワード 電気化学的方法、付着物質、印加電圧、金属イオン 連絡先 〒371-8530 群馬県前橋市鳥羽町 580 群馬工業高等専門学校. TEL 027-254-9185 [email protected].

(2) Ⅶ-56. 第37回土木学会関東支部技術研究発表会. 付着物質の質量が減少した。特に、流入水のろ過水を 図 3 に、各々供試水におけるアルミニウム濃度の変 化を示す。図 3 からわかるように、印加電圧 15~20V では、流入水未ろ過水および処理水未ろ過水を用いた 実験における水中アルミニウム濃度が急激的に増えた ことがわかる。これは、この時の水のpH は約 5 前後. 50. 付着物質の質量(mg). 用いた実験では付着物質の質量増加量は最も低かった。. 流入水-未ろ過 処理水-未ろ過. 40 30 20 10 0. であったため、アルミニウム板陰極からアルミニウム. 0. が溶け出したことによるものであると考えられる。 図 4 に、ステンレス板陰極の付着物質の質量変化を 示す。印加電圧 5~10V では、いずれの供試水を用い. 流入水-ろ過 処理水-ろ過. 5. 10. 15. 20. 25. 印加電圧(V). 図 2 アルミニウム板陰極の付着物質の質量変化. た実験においても、印加電圧が高くなるにつれ付着物 70. の違いによって付着物質の質量の増加量も異なってい. 60. アルミニウム濃度(mg/l). 質の質量が増加した。印加電圧 15~20V では、供試水 た。流入水未ろ過水および処理水未ろ過水を用いた実 験では、水中における鉄の濃度がやや増加傾向が見ら れた。これは、高い印加電圧の場合、水質の変化によ ってステンレス陰極板からわずかながらイオンの溶出. 流入水ー未ろ過 流入水-ろ過 処理水-未ろ過 処理水-ろ過. 50 40 30 20 10. があったと考えられる。. 0. 図 5 に、チタン板陰極の付着物質の質量変化を示す。. 0. 5. 10. 図 5 に示したように、印加電圧が高くなるにつれ付着. 15. 20. 25. 印加電圧(V). 図3. 物質の質量が増加したことがわかった。この場合での. 水中アルミニウム濃度の変化. 付着物質の質量の増加量はステンレスを用いた場合と 50. ほぼ同程度であり、アルミニウムを用いた場合に比べ 3.2. 付着物質の質量(mg). 少なかった。 付着物質の成分. 陰極板に付着した物質の成分分析を行った結果、陰 極板の材質によって変動があるものの、およそ Mg50%、 Ca30%、Si10%、Na4%、K4%、Zn1%、その他 1%で. 流入水-未ろ過 処理水-未ろ過. 40. 流入水-ろ過 処理水-ろ過. 30 20 10. あった。 3.3. 0. 水中のイオン成分. 0. 5. 水中のイオンについて定量分析を行った結果、水中 見られた。中では、Mg の減少が一番顕著であった。 4.まとめ 本研究では、異なる材質の陰極を用いて実験を行い、 陰極板への付着物の質量・成分および水中におけるイ オン成分の分析によって、通電した水中における金属 イオンの挙動について検討を行った。以下の知見が得 られた。 いずれの材質の陰極を用いた実験においても、印加 電圧が高くなるにつれ陰極への付着物質の質量が増加 した。アルミニウム板を陰極として用いた場合では、 付着物質の質量が最も大きかった。 アルミニウム板およびステンレス板を陰極として使 用した場合、通電処理することによってpHが低下し、 陰極板からイオンの溶出があったが、チタン板を陰極 とした場合では、イオンの溶出は見られなかった。 一方、付着物質の中では Mg の割合が最も大きく、 水中の Mg の減少量も多かった。. 15. 20. 25. 印加電圧(V). 図4. ステンレス板陰極の付着物質の質量変化 50. 付着物質の質量(mg). におけるイオンのほとんどが通電によって減少傾向が. 10. 流入水-未ろ過 処理水-未ろ過. 流入水-ろ過 処理水-ろ過. 40 30 20 10 0 0. 5. 10. 15. 20. 25. 印加電圧(V). 図5. チタン板陰極の付着物質の質量変化. 参考文献 1)谷村嘉恵:通電処理による電気伝導度および金属イオンへの影響、 第 46 回環境工学研究フォーラム講演集 97-99、2009..

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