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樹木年輪中の金属元素の分布と抽出挙動

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Academic year: 2021

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(1)樹木年輪中の 金属元素の分布と 抽出挙動 栄子 " 、 ・松本. 中村. 靖子 ",. .. 吉井. Dis 甘ibu 廿 on and eX廿ョ c 廿 on behavioro 町lnU 皿 hngS EikoN. ㎜咄 U. Ⅶ黙 UMOTO. Yasuko. Ⅰ. me. めかり 接廿. ",. elementS. in. andYukah YOSHII. , 1:自然環境講座、 "2 教育学部小学校教員養成課程化学専攻、 "3 ユ学院大学応用化学科. 1. 緒言 樹木が水とともに 取り込んだ金属元素の 一部を年輪中に 蓄積しているならば、 年輪の金属元素 の分析により、 その過去の生育土壌環境に 関する長期間にわたる 情報を得ることが 可能と考え. も. れる。 一方、 酸性雨の降下は 土壌敵中の金属イオン 濃度を変化させ、 その変化は年輪中に 金属元 素の変動として 記録される可能性があ る。 しかし、 この場合、 その金属元素が 年輪間を移動しな いことが条件となり、 その金属元素の 特定が重要であ る。 本研究では、 土壌環境の変化を 年輪中に記録すると 考えられる金属元素を 特定するため、 まず 水や 酸 抽出に 26 年輪試料からの 金属の溶出に 及ぼす抽出条件及び 年輪試料中の 全金属量を測定 するための 灰北 条件などを検討した。. 2. 実験 2, 1. 年輪試料及び 年輪粉砕試料の 調製. 厚さ 27mm. 、 幅 55mm. の板状に切り 出された樹齢約 200 年のスギ、 半径 79.gmm 、 樹齢約 40 年. の ミズナラ、 半径 74.5mm. 、 樹齢約 30 年のヒノキ及び 半径 156.6mrrL 、 樹齢約 15 年のサクラの 年. 輪試料を用いた。 スギの場合は 樹皮側から 20 年 づつ 、 ミズ ナラ の場合は樹皮側から ヒノキの場合は 最樹皮例 10 年、 その後は. 5. 年 づつ 、 サクラは 4 年 づ つに昇降 九 のこ盤で分割粉砕. し 、 孔径 63 が m のふるいに集め、 年輪粉砕試料. 2. 2. 10 年 づつ、. ( 以下、. 粉砕試料と記す. ). とした。. 水による粉砕試料からの 金属の抽出. 粉砕試料 0 509 をビーカ一に 採り、 蒸留水 20 血を加えてマグネティックスターラ 一で 1 時間か ・. き 混ぜた後、. メンブランフィルターを 用いて吸引 ろ 過した。 ろ過 後のビーカーを 蒸留水 5m1 で洗. 浄し、 洗浄液も先の. ろ. 液に加え、 水 抽出試料 液 とした。 フィルター上の 粉砕試料は蒸留水 20 冊. で ビーカ一に移し、 同様に抽出・ ろ過 操作を繰り返した。 得られた 水 抽出試料 液 中の金属をフ レーム原子 吸光 光度 法. ( 以下、. ICP と記す ) で定量した。. AAS. と記す ) あ るいは高周波結合プラズマ 発光分光 法. ( 以下、.

(2) 52. 中村栄子. 2. 3. 松本靖子. 吉井めかり. 酸による粉砕試料からの 金属の抽出. 水抽出. 5. 回終了後のフィルター 上の粉砕試料を 塩酸 (0.lmoI/1) 20 市Ⅰに より ビーカ一に移し、. 2.2 と同様にⅠ時間かき 混ぜた後、 吸引 ろ 過した。 ビーカーを蒸留水 5m1 で洗浄し、 洗浄液も先の ろ. 液に加え、 酸 抽出試料 液 とした。 フィルター上の 粉砕試料を蒸留水 20mI で ビ 一ヵ一に移し、. 時間かき混ぜた 後、 吸引 ろ 過した。 同様に 加えて 酸 抽出後の水抽出試料 液. ビ 一ヵ一 な 蒸留水. 1. 5m1 で洗浄し、 洗浄液も先の ろ 液に. とした。 酸 抽出試料液及び 酸 抽出後の水抽出試料敵中の 金属を. 2,2 と同様に定量した。 2. 4. 応化・ 酸 分解. 酸 抽出後のフィルター 上の粉砕試料を nlo 「で 3 時間乾燥させた 後、 るつぼに移し 550C の 電 気 畑中で. 3. 時間応化した。 又 、 水抽出、 酸抽出を行っていない 粉砕試料 0 59 をるつぼに採り、 同 ・. 様に灰化した。 得られた灰を 硝酸 (lmol/1) l0mI に溶解させ、 灰化・ 酸 分解試料 液 とした。 れるの試料敵中の 金属を 2.2 と同様に定量した。. 金属 量. ( 以下、. 残量と記す. ). こ. 前者では、 水、 酸抽出後粉砕試料に 残っている. が、 後者では粉砕試料中の 全含有量. ( 以下、. 含有量. と 記す ). が測定. 可能と考えられる。 2. 5. AAS 及び lCP による金属の 定 且. 2.2 ∼ 2.4 で得られた試料敵中の 金属を AAS 及び ICP で定量した。 なお、 対象金属としては スギ やモ 2 年輪中の主要金属との 報告がみられるナトリウム、 とした。 AAS. カリウム、 マグネシウム、 カルシウム. ではアセチレン -空気フレームを 用い、 ナトリウム 589.0nm 、 カリウム 766.5nm 、 マ. グネ シウム 285.2nm 、 カルシウム 422.7nm におけるそれぞれの 原子 吸 光を測定した。 ICP では高 周波出力 1.2kW 、. ト一 チ 観測高 15mITL 、 クーラントガス、 プラズマガス、 キャリアガスの 流量 14 、. 1.2、 1.01/m ㎞の条件で、 ナトリウム 588.995nm 、 カリウム 766.49血皿 、 マグネシウム 279.553nm 、 カルシウム 393.366nm におけるそれぞれの 発光強度を測定した。 なお、 スギの粉砕試料の 場合は. AAS で、 その他の粉砕試料の 場合は ICP で定量を行った。. 3. 結果及び考察 3. 1 水 抽出による粉砕試料からの 金属の溶出 各粉砕試料を 用い、 水による抽出を 繰り返したところ、 ナトリウム、 カリウム、 マグネシウム、 カルシウムのいずれの 金属でも となった。 水に. よ. 3. 、 4 回以上の抽出で、 水 抽出試料 液 中の各金属濃度はほぼ 一定. る抽出を 4 回以上行. う. ことに 2. 0. 水溶性の金属の 大部分が抽出されると 考え、. 水によ る抽出を 5 回繰り返すこととした。 3. 2. 段抽出による 粉砕試料からの 金属の溶出. 水 抽出後の粉砕試料に 2.3の操作を行って 得た 酸 抽出試料 液 と酸抽出後の. 水抽出試料敵中との. 金属濃度を比較したところ、 後者の濃度が 前者に比べて 十分に低かったことから 酸による抽出は Ⅰ. 回 とした。. 3. 3. 粉砕試料の灰北条件. スギ の粉砕試料を 用い、 灰化の温度と 時間を検討した。 灰 化は灰の色及び酸 分解銭瘡 価した。 その結果を表. 1. によ. り. 評. に示す。 t.

(3) 53. 樹木年輪中の 金属元素の分布と 抽出挙動. 表1 1. 温度. 粉砕試料の灰化温度と 時間. 時間 灰化. 灰の色. 2 時間応化. 酸 分解 残漕. 灰の色. 多い. 3. 酸 分解 残査. 多い. 時間 灰化. 灰の色. 酸 分解 残潜. 300 。C. 里、 @,,. 400 。C. 灰. やや多 い. 灰. 少ない. 灰. 少ない. 500 。C. 白. 虹し ,、 、 、. 白. 無 ,、 、 、 し. 白. 無し , .. 、. 600 。C. 白. 無し , 、、. 白. 無 ,… し. 白. 無し ,…. @ 里、 ,,. ・. 多い. 里、 @@@. 500@C 以上の灰化温度であ れば十分に灰化が 行われると考えられたので、 550 。C 、. 3. 時間を灰化. 条件とした。 3. 4. 水及び 酸 抽出により溶出する 金属. スギ の粉砕試料を 用い、 2.2 ∼ 2.4 の操作に従って 水及び 酸 抽出で溶出する 金属星、 水抽出、 酸. 抽出後の残量を 測定した。 ナトリウム、 カリウム、 マグネシウム、 カルシウムのそれぞれでの 結 果を図. 1 ∼. 4 に示す。 なお、 図中の横軸は、 粉砕試料を樹皮側から 20 年間ずっ分割したため、. そ. の中間竿で表示した。 又 、 2.2 一 2.4 の操作での含量を 全量として図に 示した。 図 1 、 2 に示され る よう. に、 粉砕試料 中 に含まれるナトリウム、. か ゥム はその大部分が 水に 2. がわかった。 一方、 マグネシウム、 カルシウムは. Ⅰ. 図 3、 4. 0. 抽出されること. に示されるように 全量と 酸 抽出で溶出. する量とがほぼ 一致し、 水では抽出されず、 酸で抽出されることがわかった。 水で 抽出されやすい 金属は年輪間を 移動し、 抽出されにくい 金属は年輪内に 固定されると 仮定す ると、 過去の生育土壌環境を 知るにはマバネシウムやカルシウムが. 適していると 考えられた。. 60 「(. O. 式 邨4 世. Ⅰ. ㏄㏄㏄. 功祐耳世奏簗坤も臣ピ. 50. 0. 50. 0. スギ年輪中のナトリウムの 抽出挙動. 図工. 0. :. 全量、 ●. :. 水 抽出での溶出量、. ハ : 酸 抽出での溶出量、 ロ : 水 抽出、. 酸抽出後の残量. 灰化・ 酸 分解 ). (水. 抽出、 酸抽出後の. O. 100. 年m. 50. 50. 50. 0. Ⅰ. ㏄ 2. 200.

(4) 54. 中村栄子. 松本靖子. 吉井めかり. 2㏄. 4㏄. 耳 な ]50. 硅 3㏄. 口弗. ヰ耳 い. 零 簗. 俺. 簗. 恩 2㏄ oo. 臣 Ⅰ. 50. 100. 0. 0 2㏄. 図. Ⅰ. 5O. 100. 50. 年m. O. 200. :. 全量、 ●. :. 灰化. ・. 図. (水. 100. 50. O. 4 スギ年輪中のカルシウムの 抽出挙動. 水 抽出での溶出量、. 酸 抽出での溶出量、 ロ 酸 抽出後の残量. 50. 年前. 3 スギ年輪中のマグネシウムの 抽出挙動 0. Ⅰ. :. 全量、 ●. 水 抽出、. :. 水 抽出での溶出量、. 酸 抽出での溶出量、 ロ. 抽出、 酸抽出後の. 酸 抽出後の残量. 酸 分解 ). 灰化. ・. (水. :. 水 抽出、. 抽出、 酸抽出後の. 酸 分解 ). 3. 5 各粉砕試料における 金属含有五の 年変化. スギ、 ミズナラ、 ヒノキ、 サクラの年輪中のナトリウム、 カリウム、 マグネシウム、 力 ルシウ ム 含有量の 年 変化を考察するため、 各粉砕試料を 直接応化・ 酸 分解して スギ は AAS で、 その他 は ICP で測定した結果を 図 5 ∼ 8 に示す。 いずれの粉砕試料でもかⅠ. ゥム 、 カルシウムの 含有量. が ナトリウムやマバネシウムの 含有量より多い 傾向が見られた。 又 、 ナトリウム、 マグネシウム の含有量の 年 変化は大きくないのに. 対し、 カリウム、 カルシウム含有量では 大きな年変化が. れた。 年 変化の大きいカリウム、 カルシウムの いると考えられるカルシウムが. 内、. 見ら. 水で抽出されにくいため 年輪内に固定されて. 過去の生育土壌環境をさぐる. 金属元素として 適していると 考え. も. れた。. 800. 16 ㏄. 眈 6㏄. 森Ⅰ 田. 甘 珪 治. 200. 時掛. Ⅰ. 下. Ⅰ. Ⅱ. 年 2㏄. ,穫. 0. 0 2㏄. Ⅰ. 50. 100. 50. 40. 年前. 図. 0. 5 スギ年輪中の 金属含有量の 年 変化 :. ナトリウム、 ム. 口 : マグネシウム、. :. カリウム、 カルシウム. 図. 6 0. 30. 20. 10. 年前. 0. ミズナラ年輪中の 金属含有量の 年 変化 :. ナトリウム、 ム. 口 : マグネシウム、. :. カリウム、 カルシウム.

(5) 樹木年輪中の 金属元素の分布と 抽出挙動. 8㏄. 55. ]2 ㏄. め珪. ま. %世お 8㏄. 零. Ⅰ ュ 打. ミ. 抽 2㏄. 400. 埋. 佃 2㏄ O 30. 図. 7. 20. 年m. Ⅰ. 0. O Ⅰ. ヒノキ年輪中の 金属含有量の 年 変化. 図. 5. 8. Ⅰ. 0. 年前. 5. 0. サクラ年輪中の 金属含有量の 年 変化. 0 : ナトリウム、 ム : カリウム、. 0 : ナトリウム、 ム : カリウム、. 口 : マグネシウム、. 口 : マグネシウム、 ● : カルシウム. カルシウム. 4. 結言 年輪粉砕試料中に 含まれる主要な 金属元素のうち、 ナトリウムやカリウムは 水によって抽出さ れやすく、 年輪間を移動していると 考えられた。 一方、 マグネシウムやカルシウムは 水ではほと んど抽出されず、 酸によって大部分が 抽出されることから、 年輪内に固定されていると 考えられ、 含有量の 年 変化が大きかったカルシウムを. 用いれば、 過去の生育土壌環境環の 情報が得られると. 考えられた。. 謝辞 研究を進めるのに 際し、 スギの年輪試料 及 年輪に関する 文献などを元神奈川県森林研究所の 水. 漬研究員から 提供していただいた。 粉砕試料の調製は 本学部技術教育講座矢田茂樹教授にお. 世話になった。 ここに深くお 礼を申し上げる。 この研究は横浜国立大学平成. 9. 年度教育改善推進費によった。 参考文献. 1) 百鳥別手、 高島良正、 小池正実、 今泉幸男、 原田達郎 2) 百 鳥 別手 : 環境と測定技術、 18 、 59-70 (1991). :. 分析化学、 43 、 891-895 (1994). 3) 環境庁大気保全局大気規制課監修、 溝口 次 大編著「酸性雨の 科学と対策」 (1994). 鈴.

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表  1  粉砕試料の灰化温度と  時間  1  時間 灰化  2 時間応化  3  時間 灰化  温度  灰  の  色  酸 分解 残漕  灰 の 色  酸 分解 残査  灰 の 色  酸 分解 残潜  300  。 C  里、 @ , ,  多  い  @  里、 , ,  多  い  里、 @ @ @  多い  400  。 C  灰  やや多  い  灰  少ない  灰  少ない  500  。 C  白  虹し ,、 、  、  白  無 ,、 、  、  し  白  無し ,  .. 、  6

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