樹木年輪中の金属元素の分布と抽出挙動
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(2) 52. 中村栄子. 2. 3. 松本靖子. 吉井めかり. 酸による粉砕試料からの 金属の抽出. 水抽出. 5. 回終了後のフィルター 上の粉砕試料を 塩酸 (0.lmoI/1) 20 市Ⅰに より ビーカ一に移し、. 2.2 と同様にⅠ時間かき 混ぜた後、 吸引 ろ 過した。 ビーカーを蒸留水 5m1 で洗浄し、 洗浄液も先の ろ. 液に加え、 酸 抽出試料 液 とした。 フィルター上の 粉砕試料を蒸留水 20mI で ビ 一ヵ一に移し、. 時間かき混ぜた 後、 吸引 ろ 過した。 同様に 加えて 酸 抽出後の水抽出試料 液. ビ 一ヵ一 な 蒸留水. 1. 5m1 で洗浄し、 洗浄液も先の ろ 液に. とした。 酸 抽出試料液及び 酸 抽出後の水抽出試料敵中の 金属を. 2,2 と同様に定量した。 2. 4. 応化・ 酸 分解. 酸 抽出後のフィルター 上の粉砕試料を nlo 「で 3 時間乾燥させた 後、 るつぼに移し 550C の 電 気 畑中で. 3. 時間応化した。 又 、 水抽出、 酸抽出を行っていない 粉砕試料 0 59 をるつぼに採り、 同 ・. 様に灰化した。 得られた灰を 硝酸 (lmol/1) l0mI に溶解させ、 灰化・ 酸 分解試料 液 とした。 れるの試料敵中の 金属を 2.2 と同様に定量した。. 金属 量. ( 以下、. 残量と記す. ). こ. 前者では、 水、 酸抽出後粉砕試料に 残っている. が、 後者では粉砕試料中の 全含有量. ( 以下、. 含有量. と 記す ). が測定. 可能と考えられる。 2. 5. AAS 及び lCP による金属の 定 且. 2.2 ∼ 2.4 で得られた試料敵中の 金属を AAS 及び ICP で定量した。 なお、 対象金属としては スギ やモ 2 年輪中の主要金属との 報告がみられるナトリウム、 とした。 AAS. カリウム、 マグネシウム、 カルシウム. ではアセチレン -空気フレームを 用い、 ナトリウム 589.0nm 、 カリウム 766.5nm 、 マ. グネ シウム 285.2nm 、 カルシウム 422.7nm におけるそれぞれの 原子 吸 光を測定した。 ICP では高 周波出力 1.2kW 、. ト一 チ 観測高 15mITL 、 クーラントガス、 プラズマガス、 キャリアガスの 流量 14 、. 1.2、 1.01/m ㎞の条件で、 ナトリウム 588.995nm 、 カリウム 766.49血皿 、 マグネシウム 279.553nm 、 カルシウム 393.366nm におけるそれぞれの 発光強度を測定した。 なお、 スギの粉砕試料の 場合は. AAS で、 その他の粉砕試料の 場合は ICP で定量を行った。. 3. 結果及び考察 3. 1 水 抽出による粉砕試料からの 金属の溶出 各粉砕試料を 用い、 水による抽出を 繰り返したところ、 ナトリウム、 カリウム、 マグネシウム、 カルシウムのいずれの 金属でも となった。 水に. よ. 3. 、 4 回以上の抽出で、 水 抽出試料 液 中の各金属濃度はほぼ 一定. る抽出を 4 回以上行. う. ことに 2. 0. 水溶性の金属の 大部分が抽出されると 考え、. 水によ る抽出を 5 回繰り返すこととした。 3. 2. 段抽出による 粉砕試料からの 金属の溶出. 水 抽出後の粉砕試料に 2.3の操作を行って 得た 酸 抽出試料 液 と酸抽出後の. 水抽出試料敵中との. 金属濃度を比較したところ、 後者の濃度が 前者に比べて 十分に低かったことから 酸による抽出は Ⅰ. 回 とした。. 3. 3. 粉砕試料の灰北条件. スギ の粉砕試料を 用い、 灰化の温度と 時間を検討した。 灰 化は灰の色及び酸 分解銭瘡 価した。 その結果を表. 1. によ. り. 評. に示す。 t.
(3) 53. 樹木年輪中の 金属元素の分布と 抽出挙動. 表1 1. 温度. 粉砕試料の灰化温度と 時間. 時間 灰化. 灰の色. 2 時間応化. 酸 分解 残漕. 灰の色. 多い. 3. 酸 分解 残査. 多い. 時間 灰化. 灰の色. 酸 分解 残潜. 300 。C. 里、 @,,. 400 。C. 灰. やや多 い. 灰. 少ない. 灰. 少ない. 500 。C. 白. 虹し ,、 、 、. 白. 無 ,、 、 、 し. 白. 無し , .. 、. 600 。C. 白. 無し , 、、. 白. 無 ,… し. 白. 無し ,…. @ 里、 ,,. ・. 多い. 里、 @@@. 500@C 以上の灰化温度であ れば十分に灰化が 行われると考えられたので、 550 。C 、. 3. 時間を灰化. 条件とした。 3. 4. 水及び 酸 抽出により溶出する 金属. スギ の粉砕試料を 用い、 2.2 ∼ 2.4 の操作に従って 水及び 酸 抽出で溶出する 金属星、 水抽出、 酸. 抽出後の残量を 測定した。 ナトリウム、 カリウム、 マグネシウム、 カルシウムのそれぞれでの 結 果を図. 1 ∼. 4 に示す。 なお、 図中の横軸は、 粉砕試料を樹皮側から 20 年間ずっ分割したため、. そ. の中間竿で表示した。 又 、 2.2 一 2.4 の操作での含量を 全量として図に 示した。 図 1 、 2 に示され る よう. に、 粉砕試料 中 に含まれるナトリウム、. か ゥム はその大部分が 水に 2. がわかった。 一方、 マグネシウム、 カルシウムは. Ⅰ. 図 3、 4. 0. 抽出されること. に示されるように 全量と 酸 抽出で溶出. する量とがほぼ 一致し、 水では抽出されず、 酸で抽出されることがわかった。 水で 抽出されやすい 金属は年輪間を 移動し、 抽出されにくい 金属は年輪内に 固定されると 仮定す ると、 過去の生育土壌環境を 知るにはマバネシウムやカルシウムが. 適していると 考えられた。. 60 「(. O. 式 邨4 世. Ⅰ. ㏄㏄㏄. 功祐耳世奏簗坤も臣ピ. 50. 0. 50. 0. スギ年輪中のナトリウムの 抽出挙動. 図工. 0. :. 全量、 ●. :. 水 抽出での溶出量、. ハ : 酸 抽出での溶出量、 ロ : 水 抽出、. 酸抽出後の残量. 灰化・ 酸 分解 ). (水. 抽出、 酸抽出後の. O. 100. 年m. 50. 50. 50. 0. Ⅰ. ㏄ 2. 200.
(4) 54. 中村栄子. 松本靖子. 吉井めかり. 2㏄. 4㏄. 耳 な ]50. 硅 3㏄. 口弗. ヰ耳 い. 零 簗. 俺. 簗. 恩 2㏄ oo. 臣 Ⅰ. 50. 100. 0. 0 2㏄. 図. Ⅰ. 5O. 100. 50. 年m. O. 200. :. 全量、 ●. :. 灰化. ・. 図. (水. 100. 50. O. 4 スギ年輪中のカルシウムの 抽出挙動. 水 抽出での溶出量、. 酸 抽出での溶出量、 ロ 酸 抽出後の残量. 50. 年前. 3 スギ年輪中のマグネシウムの 抽出挙動 0. Ⅰ. :. 全量、 ●. 水 抽出、. :. 水 抽出での溶出量、. 酸 抽出での溶出量、 ロ. 抽出、 酸抽出後の. 酸 抽出後の残量. 酸 分解 ). 灰化. ・. (水. :. 水 抽出、. 抽出、 酸抽出後の. 酸 分解 ). 3. 5 各粉砕試料における 金属含有五の 年変化. スギ、 ミズナラ、 ヒノキ、 サクラの年輪中のナトリウム、 カリウム、 マグネシウム、 力 ルシウ ム 含有量の 年 変化を考察するため、 各粉砕試料を 直接応化・ 酸 分解して スギ は AAS で、 その他 は ICP で測定した結果を 図 5 ∼ 8 に示す。 いずれの粉砕試料でもかⅠ. ゥム 、 カルシウムの 含有量. が ナトリウムやマバネシウムの 含有量より多い 傾向が見られた。 又 、 ナトリウム、 マグネシウム の含有量の 年 変化は大きくないのに. 対し、 カリウム、 カルシウム含有量では 大きな年変化が. れた。 年 変化の大きいカリウム、 カルシウムの いると考えられるカルシウムが. 内、. 見ら. 水で抽出されにくいため 年輪内に固定されて. 過去の生育土壌環境をさぐる. 金属元素として 適していると 考え. も. れた。. 800. 16 ㏄. 眈 6㏄. 森Ⅰ 田. 甘 珪 治. 200. 時掛. Ⅰ. 下. Ⅰ. Ⅱ. 年 2㏄. ,穫. 0. 0 2㏄. Ⅰ. 50. 100. 50. 40. 年前. 図. 0. 5 スギ年輪中の 金属含有量の 年 変化 :. ナトリウム、 ム. 口 : マグネシウム、. :. カリウム、 カルシウム. 図. 6 0. 30. 20. 10. 年前. 0. ミズナラ年輪中の 金属含有量の 年 変化 :. ナトリウム、 ム. 口 : マグネシウム、. :. カリウム、 カルシウム.
(5) 樹木年輪中の 金属元素の分布と 抽出挙動. 8㏄. 55. ]2 ㏄. め珪. ま. %世お 8㏄. 零. Ⅰ ュ 打. ミ. 抽 2㏄. 400. 埋. 佃 2㏄ O 30. 図. 7. 20. 年m. Ⅰ. 0. O Ⅰ. ヒノキ年輪中の 金属含有量の 年 変化. 図. 5. 8. Ⅰ. 0. 年前. 5. 0. サクラ年輪中の 金属含有量の 年 変化. 0 : ナトリウム、 ム : カリウム、. 0 : ナトリウム、 ム : カリウム、. 口 : マグネシウム、. 口 : マグネシウム、 ● : カルシウム. カルシウム. 4. 結言 年輪粉砕試料中に 含まれる主要な 金属元素のうち、 ナトリウムやカリウムは 水によって抽出さ れやすく、 年輪間を移動していると 考えられた。 一方、 マグネシウムやカルシウムは 水ではほと んど抽出されず、 酸によって大部分が 抽出されることから、 年輪内に固定されていると 考えられ、 含有量の 年 変化が大きかったカルシウムを. 用いれば、 過去の生育土壌環境環の 情報が得られると. 考えられた。. 謝辞 研究を進めるのに 際し、 スギの年輪試料 及 年輪に関する 文献などを元神奈川県森林研究所の 水. 漬研究員から 提供していただいた。 粉砕試料の調製は 本学部技術教育講座矢田茂樹教授にお. 世話になった。 ここに深くお 礼を申し上げる。 この研究は横浜国立大学平成. 9. 年度教育改善推進費によった。 参考文献. 1) 百鳥別手、 高島良正、 小池正実、 今泉幸男、 原田達郎 2) 百 鳥 別手 : 環境と測定技術、 18 、 59-70 (1991). :. 分析化学、 43 、 891-895 (1994). 3) 環境庁大気保全局大気規制課監修、 溝口 次 大編著「酸性雨の 科学と対策」 (1994). 鈴.
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