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多自然型の護岸工法の機能維持管理システム  に関する研究 

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Academic year: 2022

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多自然型の護岸工法の機能維持管理システム  に関する研究 

STUDY ON FUNCTIONAL MANAGEMENT SYSTEM OF NATURE-ORIENTED REVETMENT PROTECTION WORKS

竹内義幸*1・西川宗一郎*2・長野紀章*3・北川照晃*4・木内  啓*1

by Yoshiyuki Takeuchi, Soichiro Nishikawa, Noriaki Nagano, Teruaki Kitagawa and Hiroshi Kiuchi

1.はじめに   

 

  洪水,高潮等による災害の発生を防止,あるいは被 害を最小限とするため,堤防,護岸等の河川管理施設 が整備されてきた.しかし,これら施設の維持管理の 現状は,その機能維持の確認を目的とした巡視・点検 が中心である.今後は,施設の劣化・老朽化診断,機  能補修などを含めた予防的対応で,河川管理施設の計 画的な維持管理がより必要となってくる. 

建設白書(2000 年版)によれば,公共投資総額に占め る維持・補修費の割合は,2025 年には4〜5割程度と 欧米諸国並みの比率(図−1 参照)を占め,新規投資と ほぼ同額となると試算されている. 

今後,堤防,護岸等の河川施設も,資産増加ととも に,維持管理負担の増大を避け,初期段階での軽微な 予防的な補修で,施設の機能低下を遅らせ,全面改築 の頻度を軽減し,結果として,河川施設の総コストを 軽減する必要がある.限られたコストの中で,治水安 全性を確保し,さらに,河川の動植物の生息・生育環 境の保全・復元,景観保全,改善へのニーズ等,環境 面からの要請に対しても,その機能の維持及び耐久性 

               

図−1  欧州諸国の維持系投資額の比率(1991 年)1)   

の向上を図ることも極めて重要である. 

本研究は,中国地方整備局管内での 8 河川 27 箇所で の多自然型の護岸施工事例の現場検証を通して,維持 管理,補修の内容,レベル,時期を客観的に評価でき る指標を検討し,現場での点検・補修および施設の更 新,整備への実用化を目指した. 

    

2.多自然型護岸施設の維持管理の現状の課題・維 持管理の方向性 

   

(1)  多自然型の護岸施設の維持管理の現状課題   

設置された護岸は,時間の経過,洪水の発生等で機 能低下していく.機能保全のための維持管理行為が必 要であるが,護岸の破壊が原因して堤内災害に結びつ くということが希であることで,ほとんどの護岸は,

設置後治水機能としての安全性の点検・照査が実施さ れず補修もされていない.破壊に対しては,災害復旧 工事で対処しているのが実態である. 

キーワード:多自然型護岸,維持管理,環境評価

*1  正会員  (株)建設技術研究所  大阪支社  河川部    (〒540-0008  大阪市中央区大手前 1 丁目 2-15) 

*2  正会員  国土交通省  中国地方整備局中国技術事務所 

(〒736-0082  広島市安芸区船越南 2-8-1) 

*3          (株)建設技術研究所  大阪支社  環境都市部

(〒540-0008  大阪市中央区大手前 1 丁目 2-15)

*4  正会員  (株)建設技術研究所  中国支社  技術部    (〒730-0013  広島市中区八丁堀 2 丁目 31) 

0 20 40 60

ドイ イタリア フランス イギリス スペイン オラ スイ スウェ オーリア デンマーク フィンランド ベル ノルウェー アイルラン

維持・補修投資額/建設投資額)

(2)

とくに,設置後の環境機能については,多自然型川 づくりの目標の達成度合いの評価,覆土の流出・植生 回復不良等に対する機能回復・補修は,治水機能の復 旧よりも,さらに低い実施状況にある. 

                 

写真-1  覆土流出による環境機能劣化の事例   

(2)多自然型の護岸施設の維持管理の方向性   

多自然型の護岸の諸機能のうち,治水機能,親水機 能は,必要とされる性能,仕様が,計画・設計論とし て体系化されつつある.2)3) 

しかし,生態系保全・復元機能,景観機能は,計画・

設計段階で予め予測するには不確実な事象であり,次 に示すような動的な河川環境下では,当初の目標が達 成できない場合がある. 

・河道内植生の成立要因と冠水,攪乱条件4) (流水に 伴う種子供給,土壌水分による発芽や成長,草本か ら木本への遷移,土砂の堆積や植生の流出の定着・

破壊の現象等)

図−2  護岸の機能・安全性の維持管理のイメージ5)   

・施設供用後の河床洗掘,河岸侵食・堆積,流路の変 化等による河道・河岸形状の変化 

護岸の維持管理システムを考える上では,この施工 完了時からの不確実性のある事象も含めた川づくりの 目標達成度を,図−2 に示す時間の経過と護岸機能の 低下・劣化,消失レベルを点検・評価し,設置場の要 求性能に見合った維持管理を実施していく明快な評価 指標の確立が必要である. 

   

3.多自然型の護岸の客観的な評価項目の検討 

   

護岸の整備効果を把握する目的の事前・事後調査が 実施される現場はあるが,定期的・継続的にモニタリ ングされている現場は少なく,数回の調査で必ずしも 整備効果を適確に把握するための客観的な指標とは言 えない. 

そこで,本研究では,環境機能を景観と自然環境に 分解し,本稿では,後者の生物の生息・生育場として の物理環境基盤に着目し,表−1 に示す時間軸での回 復過程を取り入れた評価項目を抽出した.そこで,多 自然型川づくりの目標のひとつに,植生回復が多いこ と,河川環境の復元・再生を考える上で A)自然の攪乱,

B)流域の連続性,C)河床形態の多様性の3つ要素 6)が 重要であることから,これらの総合的な視点を踏まえ,

植生回復,遷移の時間軸を考慮した評価項目を選定し た. 

 

  評価内容

A ①緑被率 緑被率により人工構造物における植生の回復状況を定量的に判断し、

生物種の初期的な 侵入・定着の程度を評価する

②木本と草本の割合(植生)および主

な樹種 木本と草本の割合とその種の特性から生物多様性の回復、生息環境の

回復の程度を評価する

A ③植生の回復程度 植生の回復程度から読みとれる回復段階の位置づけと施工後の時間経 過との比較により、植生遷移の停滞・偏向要因の有無を把握し、植生遷 移の正常さを評価する

④低水敷・高水敷の凹凸による河原 の多様性(横断的な入り組み)

護岸の横断的な入り組みにより土壌の乾湿程度や水際部の水深の変化 および水位(年間Max,Ave,Min)の関係の比較により護岸状態を判断し、生 物の生息に適した方向への環境基盤条件の変化の程度を評価する

⑤抽水植物および水草の有無および

種類

抽水植物および水草の有無および生育種の特性から生物の水域と陸域 の環境傾度に対応した有機的な連続性が保たれて いるかを判断し、環 境条件に対応した環境の平衡状態の維持・安定化の程度を評価する

⑥水際の多様性(平面的な入り組

み)

平面的な 入り組みにより流速の変化が生じることにより、多様な生物の 生息環境が存在するか判断し、生物の生息に適した方向への環境基盤 条件の変化の程度を評価する

C ⑦河床材の大きさの変化 河床材の大きさに変化が存在することが、底生動物の多様な生息環境 にあるとして判断し、生物の生息に適した方向への環境基盤条件の変化 の程度を評価する

A ⑧付着藻類の有無と量 付着藻類を魚介類および微生物の餌量として捉え、その付着程度から魚 介類・微生物の初期的な侵入・定着の可能性の程度を評価する

A:自然の攪乱、B:流域の連続性、C:河床形態の多様性、◇:対象とする時間軸

総合的な評価項目 対象とする時間軸

施工時に おける 植生基盤

条件 植生の 初期的 な侵入と 定着

植生の平 衡状態の 維持・安 定化

評価基準の考え方

当初目標に対する達成度を把握する視点から一般的な回復過程に おける対象地域の達成状況を評価する

植生遷移の正常さを評価

植生の回復段階を評価する時間軸

表−1  自然環境機能の評価項目

計画・目標

向上

維持管理をした場合

抜本回復措置

時間

維持管理をしない場合 管理水準

抜本回復までの 期間延長

(3)

4.環境機能の評価結果   

 

表−1 で選定した評価項目に基づいて,客観性の高 いと判断される 5 段階の評価基準を設定し,現地事例 検証を実施した. 

検証事例護岸のうち,多自然型の護岸としての採用 事例が多い空石張り護岸,マット型護岸,覆土護岸に ついて,表−2 に示す自然環境機能の適用を実施した. 

 

(1)空石張り護岸の場合   

空張り巨石護岸は,植生の生育基盤としての環境機 能を発揮しにくいことが確認できた.とくに,直径 50cm,

厚さ 1m を上回る護岸の場合,背後の土壌との連続性が 遮断され,根茎の発達,水分供給が期待できない(写 真−2,図−3 参照). 

巨石護岸を施工する際は,流水に対する力学的な安 定粒径と併せて,背後との連続性の確保,巨石間隙へ の覆土充填(水締め)を併用した覆土工で,植生の生育 基盤を回復していく必要がある. 

 

(2) マット型護岸の場合 

自然石,擬石等をネットに接着したマット型護岸 は,水際河岸での適用性が高いことにより,いずれの 現場も植生の生育基盤の早期回復が確認できた(写真

−3,図−3 参照).凹凸の複雑な護岸構造は,躯体の 間隙率も高く,施工時の覆土,洪水の運搬土砂の捕捉 効果が高いためである. 

                   

写真−2  吉井川・空石張り護岸   

 

         

図−3  吉井川・空石張り護岸と江の川・マット型護岸 の環境機能対比 

               

写真−3 江の川・マット型護岸(自然石使用)   

評価項目 評価点 評価基準

+2 緑被率が75%以上で面的に植物の侵入がみられる  0 緑被率は25〜75%でまとまりをもって植物の侵入がみられ

-2 緑被率が25%未満で植物の侵入は孤立的でまとまりがない +2 木本種の割合が高く、植生遷移が進んでおり、構成種の自

然性も高い

 0 木本種の割合が高いが、ニセアカシア,アカメガシワ,ヌルデ などその構成種の自然性は低い

-2 植物がほとんど生育しておらず、植生遷移が進んでいない

+2

施工後の時間経過に応じた植生遷移の進行がみられ、植 生基盤の未定着や帰化植物等の単一種の独占的繁茂と いった植生遷移阻害因子がみられない

 0 施工後の時間経過に応じた植生遷移の進行がみられるも のの何らかの植生遷移阻害因子がみられる

-2 施工後一定の時間経過があるにもかかわらず植生の定着 がみられない

+2 多くの凹凸が生じ、止水域,クリーク等の多様な環境が形成 されている

 0 凹凸はみられるものの顕著な環境の変化はみられない -2 凹凸はなく平坦であり環境の変化が著しく乏しい +2 陸域から水域へ連続的な植物の推移が発達してみられる  0 陸域から水域へ連続的な植物の推移がみられる -2 抽水植物,水草はみられず、それらが生育する条件が欠如

している

+2 平面的な入り組みが多様で流速の変化,土砂の堆積を促し 多様な環境が形成されている

 0 平面的な入り組みがわずかにみられるものの、環境の変化 は小さい

-2 水際部は直線的であり画一的な環境となっている +2 多様な河床材がみられ、多様な環境が形成されている  0 河床材の大きさに変化はみられるが、その程度は小さい -2 河床材は単調で画一的な環境となっている +2 付着藻類が石面に密生するなど豊富である  0 付着藻類の生育がみられる

-2 付着藻類はみられない

⑤抽水植物お よび水草の有 無および種類

⑥水際の多様 性(平面的な 入り組み)

⑦河床材の大 きさの変化

⑧付着藻類の 有無と量

④低水敷・高 水敷の凹凸に よる河原の多 様性(横断的 な入り組み)

③植生の回復 程度

②木本と草本 の割合(植生)

および主な樹

①緑被率

表−2  自然環境機能の評価基準 

-2 -1 0 1 2 緑被率

木本と草本の割合

植生の回復度

河原の多様性 抽水性植物の有無

水際の多様性 河床材のバラツキ

付着藻類の有無

マット型護岸 空石張り護岸

(4)

-2 -1 0 1 2 緑被率

木本と草本の割合

植生の回復度

河原の多様性

抽水性植物の有無 水際の多様性

河床材のバラツキ 付着藻類の有無

夏季 冬季

(3) 覆土護岸の場合 

覆土は,植生生育基盤の早期回復が主な目標である が,施工から数年経過しても外来植物が優占している 箇所は,生態的にもマイナスの評価が得られた.川本 来の在来種の復元を達成するには,現場条件(冠水条件,

平水位との比高等)に応じ,計画段階での工夫が必要で ある.

写真−4,図−4には,江の川の事例を示す.ただし,

同じ現場でも夏と冬の調査では,植生生育の季節変動 により,評価結果が異なる点にも留意して,計画,施 工を実施する必要のあることが分かった.

           

図−4  江の川・覆土護岸の季節による評価の違い   

             

写真−4(a)  江の川・覆土護岸(夏調査)   

           

写真−4(b)  江の川・覆土護岸(冬調査)   

 

5.今後の課題   

 

今後の施設整備は,性能仕様へと大きく転換すると

考えられる.個々の施設特性に応じた耐用年数を設定 することで,新設時の建設費だけでなく,供用後の維 持管理費,補修費の LCC (Life Cycle  Cost)などをト ータルに資産管理(assets management)していく考え方 が重要となる. 

とくに,多自然型の護岸は,施工完了時が完成では なく,いわゆる「見試し」の技術である.川づくりの 目標達成度を施設機能,性能として客観的に評価し,

その劣化レベルに応じた補修の優先順位も判断できる 維持管理システムの実用化が急務である.  

本研究では,中国地方整備局管内での 8 河川 27 箇所 での事例検証を通じて,治水機能・環境機能の評価指 標(案)の有効性を検証できた.また,護岸の計画・設 計当初の目標,要求される諸機能のデータベース化し,

供用後の目的の達成度合い,機能低下防止等を点検・

補修及び施設の更新,整備を目的とした護岸機能の診 断支援システム(案)も構築した. 

今後,モデル河川での適用を通じてシステムの汎用 性検証,改良と機能追加を進めていく予定である.

謝辞 

本研究は,国土交通省中国技術事務所御委託の業務 成果について報告したものです.また,現地調査およ び事例収集に際し,各現場事務所には各種データのご 提供をいただきました.ここに記して謝意を表します. 

   

参考文献 

1)現国土交通省編:建設白書 2000 年版−活力と美しい環境 を創造し,安全を支える国土づくり・まちづくりへの挑戦

−,ぎょうせい.2000. 

2)山本晃一編著:護岸・水制の計画・設計,一歩先そして一 歩手前,山海堂,2003. 

3)(財)リバーフロント整備センター編著:川の親水プラン とデザイン,山海堂,1995. 

4)(財)リバーフロント整備センター編:河川植生の基礎知 識,(財)リバーフロント整備センター,2000. 

5)山本晃一:河道の維持管理,河道の維持管理勉強会,東北 地方整備局河川部,2003.

6)玉井信行:多自然型川づくりから自然復元へ,(社)日本河 川協会,河川(No.664),2001. 

参照

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就学前教育段階 0.00 0.50 1.00 デンマーク ルクセンブルク アイスランド スウェーデン スペイン フランス スロベニア チリ ハンガリー

ノルウェー コスタリカ アイスランド デンマーク ベルギー スウェーデン フィンランド イスラエル ニュージーランド オーストリア カナダ フランス スイス

法人名 英語名 取扱商品

4 F H 1 オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、 ドイツ、

家族構成別及び就労状況別の子どもの貧困不% 全体の 貧阿率 % オーストラリア オーストリア ベルギー カナダ チェコ デンマーク

エストニア ラトヴィア ▼クロアチア ▼ブルガリア ▼チェコ リトアニア ルクセンブルク アイルランド ▼デンマーク ▼スウェーデン ▼ルーマニア マルタ オランダ

(参考)米国 ●ルクセンブルク ブルガリア ●リトアニア ×□●スペイン □●フランス ●ラトヴィア ●スロヴァキア チェコ ×●アイルランド ユーロ圏 デンマーク

デンマーク ●キプロス ●ドイツ 英国 ●イタリア ●アイルランド ●ユーロ圏 ●スロヴァキア ●ポルトガル ●マルタ EU ●ベルギー ●スペイン ●ラトヴィア