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気質とエフォートフルコントロールが攻撃性に及ぼす影響

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Academic year: 2022

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人間科学研究 Vol. 26,Supplement(2013)

修士論文要旨

 近年では,攻撃性や攻撃行動に影響を与える要因である 気質や自己制御の個人差を,遺伝子や脳波レベルといった 神経心理学的アプローチから攻撃行動をはじめとする反社 会的行動を理解しようとする試みが多数行われている(た とえば,原田ら,2009)。気質の一部が神経伝達物質との関 連性を見出し,精神疾患に対する高い予測妥当性を示した こ と で 注 目 さ れ て い るCloninger理 論 に お け る 気 質

(temperament)のうち新奇性追求(新奇事象を好み、単 調な状況を回避するといった行動活性系の特性)と損害回 避(抑制的で,嫌悪状況を回避する傾向が強い行動抑制系 の特性)が問題行動に関連があるとされる(Cloninger,

1987)。

 エフォートフルコントロール(Effort Contorol: EC)と は,「実行注意(executive attention)の効率を表す概念 で,非顕在的な反応を行うために顕在している反応を抑制 する能力」であると定義され(Rothbart&Bates, 1998),実 行注意は,Baddeley(2003)が提唱した中央実行系(central executive)に近い概念であり,行動の抑制や始発の制御 に関わっていると仮定されている(Rothbart, Ahadi &

Evans, 2000)。情動や思考,反応との間の葛藤をモニタリ ングし,問題解決に導く役割を果たすとされる(Rueda, Posner & Rothbart,2004)。Grayの行動抑制・行動賦活 システムの理論と異なり,実行の注意を能動的・意図的に 制御することが可能であると想定している。このことから,

攻撃性および攻撃行動に関して,気質レベルの要因とECと いった能力レベルの要因の2つが関わっている可能性が考 えられ,本研究では,気質とECが攻撃性に及ぼす影響を検 討することとした。

【方 法】

対象者:関東圏にある4年制大学の学生136名。(男性54名,

女性82名:平均年齢19.99歳)

調査方法:個別自記入形式の質問紙調査で実施された。

調査内容:①日本語版TCI-125項目版(Temperament and Character Inventory(以下,TCI;木島ら,1996)

②成人用エフォート・コントロール尺度日本語版(山形ら,

2009)③Buss & Perryの攻撃性質問紙 日本語版(安藤 ら,1999)

【結果と考察】

 気質タイプ(新奇性追求,損害回避)とEC(行動抑制の 制御,行動始発の制御,注意の制御)を要因とする2要因 分散分析を行った結果,いずれも交互作用効果が示されず,

主効果のみが見られた。新奇性追求と攻撃性全般および短 気と身体的攻撃が高まることが示されたことから新奇性追 求のレベルが高いほど,攻撃性に対する脆弱性があること が示された(Figure1)。損害回避と攻撃性における短気

(情動)と敵意(認知)との関連が示されたことから,新奇 性追求(高群)―攻撃性(高群)と損害回避(高群)―攻 撃性(高群)の2つのタイプの者が混在している可能性が あると考えられる。

 ECの注意の制御において,注意の制御が高い者ほど,言 語的攻撃が低いことが認められた。攻撃性のある者は反す う傾向にあると認識されていることから(e.g, Caprara et al.,1994)反すうによって,最終的に怒り感情や敵意が高 まり,攻撃行動に至ることが考えられる。したがって,怒 りや敵意のコントロール,さらに攻撃行動の減少を目的と する介入において,注意コントロールの重要性が示唆され る。

Figure 1

気質とエフォートフルコントロールが攻撃性に及ぼす影響

Effects of temperaments and effortful control on aggression

堀内 恵子(Keiko Horiuchi)  指導:菅野 純

45 50 55 60 65 70

低群 高群

攻撃性

新奇性追求

参照

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