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Academic year: 2022

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生殖系列の成立に必要な因子PRDM14の分子進化解析

著者 橋本 翔太

URL http://hdl.handle.net/10236/13629

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2014 年度 修士論文要旨

生殖系列の成立に必要な因子 PRDM14 の分子進化解析

関西学院大学大学院理工学研究科 生命科学専攻 関研究室 橋本翔太

高等生物の細胞は体細胞と生殖細胞の二種類に大きく分けることができる。体細胞は一度運 命決定を受けると他の細胞への分化能を失い、個体の死とともに朽ち果てるのに対し、生殖細 胞は次世代の個体形成を行うことで生物の連続性を維持している。生殖細胞の形成様式には、

卵に生殖細胞の運命決定因子が存在する ‘Preformation’ と初期胚において体細胞と生殖細胞の 両方に分化できる多能性細胞が形成され、外的誘導因子の作用により多能性細胞から生殖細胞 形成が誘導される ‘Epigenesis’ の 2 種類に分けられる。しかし、生物の進化系統樹の同じ節か ら別れた分岐において Preformation と Epigenesis が混在しているため、生殖細胞の形成様式は 進化の特定の段階で変化したのではないと考えられている。Epigenesis で生殖細胞を形成する哺 乳動物であるマウスにおいて、生殖細胞特異的遺伝子である Prdm14 を欠損させると生殖細胞 の形成が見られないことから、Prdm14 は生殖細胞形成に必須の遺伝子であることが明らかとな っている。本研究室の先行研究により、 マウス PRDM14 には、「転写制御活性」、「DNA 脱メ チル化誘導活性」、「多能性誘導・維持活性」の三つの主要な機能を持つことが明らかとなって いる。しかしながら、マウスとゼブラフィッシュ以外の種における PRDM14 の機能、発現部位、

またマウス PRDM14 の持つ主要な三つの機能がゼブラフィッシュ含めた他の種でも保存され ているかどうかは不明である。本研究の目的は大きく分けて次の3つである。(1)Prdm14 遺 伝子の進化的な出現時期の同定、(2)マウス Prdm14 の機能を完全に補完できる最も原始的な 生物由来オーソログの同定、(3)Prdm14 分子進化解析を利用してマウス PRDM14 の機能ド メインの同定。これら三つの目的のために本研究では、マウス ESCs に異なる生物種由来の

PRDM14 を ESCs に強制発現させ、マウス PRDM14 の主要な機能である「転写抑制制御」・

「DNA脱メチル化誘導」・「多能性誘導・維持活性」の機能補完実験を行った。その結果、ヒト、

ゼブラフィッシュの PRDM14 には「転写制御活性」、「DNA 脱メチル化活性」、「多能性維持・

再獲得活性」が確認できたのに対し、ウニの PRDM14 では三つの機能全て確認できなかった。

以上の結果から、マウス PRDM14 の主要な機能は、棘皮動物と硬骨魚類の共通祖先の段階では 獲得されておらず、棘皮動物と硬骨魚類の共通祖先から硬骨魚類に進化する過程で獲得された 可能性が考えられる。またマウス、ヒト、ゼブラフィッシュ、ウニ PRDM14 の配列比較を行っ たところ、マウス PRDM14 の機能に重要と考えられる候補領域の抽出に成功した。生殖細胞に おいて発現が観察されないゼブラフィッシュ PRDM14 がマウス PRDM14 の機能を完全に補

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完できたことから、硬骨魚類と哺乳類の共通祖先から哺乳類に進化する過程において、生殖細 胞特異的なPRDM14 の発現誘導機構を獲得した結果、生殖細胞の成立に重要な因子として適応 した可能性が推測できる。

参照

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