• 検索結果がありません。

著者 岡下 修己

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "著者 岡下 修己"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

PRDMI14による始原生殖細胞特異的なエピゲノム調 節とその機能

著者 岡下 修己

URL http://hdl.handle.net/10236/13542

(2)

2014 年度 博士論文要旨

PRDM14 による始原生殖細胞特異的なエピゲノム調節とその機能

関西学院大学大学院理工学研究科 生命科学専攻 関研究室 岡下 修己

生殖細胞は特殊化した機能を持つ精子・卵子へ分化するにも関わらず、受精後、次世代の全細胞を生み 出せる多能性を有している。近年、多能性幹細胞であるiPS細胞の解析により、多能性を消失した細胞が 多能性を再獲得するためには、それを保証する「多能性関連遺伝子の発現誘導」と「エピゲノム情報の再 編成」が重要であることが明らかとなった。生殖細胞の起源である始原生殖細胞(PGC)は中胚葉への分化 誘導を受けた多能性を保証する転写因子群(多能性関連遺伝子)陰性のエピブラストから出現した後、多能 性関連遺伝子を誘導し、潜在的多能性を獲得する。遺伝子欠損マウスの解析から、PGC特異的に発現する 転写因子PRDM14がPGC形成過程で起こる潜在的多能性の獲得とゲノムワイドなエピゲノム情報の再編 成(DNA脱メチル化)に必須であることが明らかとなった。しかし、PRDM14によるそれらの制御機構は未 解明のままであった。本研究はPRDM14による(1)DNA脱メチル化機構と(2, 3)多能性獲得・維持機構の解 明を目的とし、PRDM14によるDNA脱メチル化と多能性制御の関係を分子レベルで検証した。

(1) PRDM14による脱メチル化機構の解明

PRDM14は新規DNAメチル化酵素であるDnmt3bの転写を直接抑制することが明らかとなっていた。し かし、Dnmt3b欠損ES細胞にPRM14を高発現させるとDNAの脱メチル化が促進されることから、PRDM14 はDnmt3bの転写抑制だけでなく、別の経路も介してDNA脱メチル化を誘導している可能性が示唆された。

近年、ヒドロキシメチル化酵素であるTETファミリーを介した能動的DNA脱メチル化機構の存在が明ら かになったことから、PRDM14によるDNA脱メチル化にTETを介した能動的DNA脱メチル化機構が関与 しているのか解析を行った。ES細胞にPRDM14を発現誘導したところ、PRDM14の発現上昇に伴い、生殖 細胞特異的遺伝子、多能性関連遺伝子、ゲノム刷り込み遺伝子領域において速やかなメチル化シトシン の減少及び一過的なヒドロキシメチル化シトシンの上昇が観察された。さらに、PRDM14によるDNA脱メ

(3)

チル化はTet1/Tet2をノックダウンしたES細胞において抑制されていたことから、PRDM14はDnmt3bの転 写抑制だけでなく、TET1/TET2を介した能動的DNA脱メチル化経路を促進することで脱メチル化を行っ ていることが明らかになった。

(2) PRDM14による多能性維持機構の解明

マウスES(mES)細胞の多能性及び未分化性はサイトカインである白血病阻止因子(LIF)による多能性関 連遺伝子ネットワークの維持により保証されている。mES細胞をLIF非存在下で培養すると、多能性関連 遺伝子ネットワークが維持できなくなり、mES細胞は分化する。mES細胞に始原生殖細胞と同等のPrdm14 を発現させ、LIF非存在下で培養したところ、Klf2、Nanogなど多くの多能性関連遺伝子の発現が高く維持 されており、長期にわたりES細胞としての性質を維持することができた。一方、Tet1/Tet2をノックダウン または能動的DNA脱メチル化経路において重要な役割を果たす塩基除去修復(BER)を阻害することで、

PRDM14による多能性維持が観察できなくなった。以上の結果より、PRDM14は多能性関連遺伝子の発現 を維持することでLIF非依存的にES細胞の多能性を維持しており、PRDM14による多能性維持には、

TET1/TET2-BER経路を介した能動的DNA脱メチル化が重要な役割を果していることが明らかとなった。

また、その多能性維持に関わるPRDM14の機能領域を解析したところ、PRDM14のN末端領域及びPRドメ インが重要であることも明らかとなった。

(3) PRDM14による多能性獲得機構の解明

ES細胞はActivin、bFGF存在下での培養によりエピブラスト様細胞(EpiLC)に分化させることができる。

この多能性を消失したEpiLCにPRDM14を発現誘導したところ、Klf2、Nanogなど多くの多能性関連遺伝子 の発現上昇と分化関連遺伝子の発現減少が観察された。さらにPRDM14を発現誘導したEpiLCをES細胞培 養条件下に移した結果、PRDM14を発現していない場合に比べES細胞様のコロニーが多く観察された。以 上の結果より、PRDM14は多能性関連遺伝子の発現を誘導することでES細胞への脱分化を行っている可 能性が示唆された。また、TET1/TET2はPRDM14による多能性関連遺伝子の発現誘導にも関わっており、

Tet1/Tet2をノックダウンしたEpiLCではPRDM14によるES細胞への脱分化が阻害されたことから、

TET1/TET2はPRDM14による潜在的多能性獲得にも重要な役割を果てしていることが明らかとなった。

参照

関連したドキュメント

我々多細胞生物の体を構成する細胞は大きく体細胞と生殖細胞の 2 種類に分けられ

転写因子 E2F は、がん抑制因子 RB が結合することによって抑制されている。増殖刺激によって活性化さ れたサイクリン依存性キナーゼ (CDK) により RB が不活性化されると、

その結果、がん細胞特異的な E2F により活性化される ARF プロモーターは、既存のがん細胞 特異的なプロモーターである E2F1

節足動物に広く感染する細胞内共生細菌ボルバキ アは,宿主の雌化,雄殺し,細胞質不和合性といっ

自己複製能 (多分化能を維持した増殖) 多分化能 (組織の構築に必要な細胞の供給) 組織幹細胞

用語解説 注1)ベクター

マウス ES 細胞の未分化性維持における Klf 転写因子群の役割 は じ め

①アンドロゲン感受性前立腺癌細胞LNCaPはアンドロゲン10nMDHT(生理的