複式学級における国語科授業の改善に関する研究
―小学校高学年を中心に―
著者 上谷 順三郎
雑誌名 鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要. 特別号
巻 5
ページ 115‑124
別言語のタイトル A Study of Japanese Language Teaching in Multi‑grade Classes ―Improvement in the Primary Education―
URL http://hdl.handle.net/10232/8949
複 式 学 級 に お け る 国 語 科 授 業 の 改 善 に 関 す る 研 究
― 小 学 校 高 学 年 を 中 心 に ― 上 谷 順 三 郎
A Study of Japanese Language Teaching in Multi-grade Classes
―Improvement in the Primary Education―
KAMITANI Junsaburo
は じ め に
『 鹿 児 島 大 学 教 育 学 部 教 育 実 践 研 究 紀 要 特 別 号 3 号 』( 平 成 19 年 3 月 23 日 発 行 )で は 文 学 教 材 の 指 導 法 を 中 心 に 考 察 し 、 本 研 究 紀 要 特 別 号 4 号 ( 平 成 20 年 3 月 15 日 発 行 ) で は 説 明 的 文 章 教 材 の 指 導 法 を 中 心 に 報 告 し た 。
本 稿 で は 、 小 学 校 高 学 年 ( 第 5 学 年 ・ 第 6 学 年 ) を 中 心 に 、 複 式 学 級 に お け る 国 語 科 授 業 改 善 の 案 や 事 例 を 報 告 す る 。 内 容 は 以 下 の と お り で あ る 。
Ⅰ 教 科 書 教 材 の 内 容 を 報 告 ・ 紹 介 し よ う ( 鹿 児 島 県 西 之 表 市 立 住 吉 小 学 校 )
Ⅱ 鹿 児 島 県 奄 美 市 立 緑 が 丘 小 学 校
Ⅲ 詩 を 味 わ お う ( 鹿 児 島 県 霧 島 市 立 向 花 小 学 校 )
Ⅰ 教 科 書 教 材 の 内 容 を 報 告 ・ 紹 介 し よ う ( 鹿 児 島 県 西 之 表 市 立 住 吉 小 学 校 )
複 式 だ か ら で き る 「 国 語 」 授 業 、 2 学 年 の ま と ま り や 単 元 の つ な が り を 生 か す 授 業 、 一 人 の 時 間 を 充 実 さ せ る 授 業 を 目 指 し て 構 想 し た 。 本 研 究 紀 要 特 別 号 4 号 で 試 み た 「 教 科 書 教 材 文 の 書 き 換 え ・ 書 き 足 し ( 中 学 校 )」 の 小 学 校 高 学 年 版 で も あ る 。
平 成 20 年 6 月 30 日 ( 月 ) 14:05-14:50 鹿 児 島 県 西 之 表 市 立 住 吉 小 学 校 校 長 : 飛 松 博 之
5 年 : 6 名 6 年 : 7 名 担 任 : 福 永 正 之 授 業 者 : 上 谷 順 三 郎
1 単 元
教 科 書 教 材 の 内 容 を 報 告 ・ 紹 介 し よ う
教 材 :「 千 年 の 釘 に い ど む 」( 内 藤 誠 吾 : 光 村 図 書 5 年 上 ) 「 森 へ 」( 星 野 道 夫 : 光 村 図 書 6 年 上 )
2 目 標
( 1 ) 目 的 や 相 手 に 応 じ て 、 文 章 の 内 容 を 的 確 に 押 さ え な が ら 要 旨 を と ら え る こ と が で き る 。( 読 む こ と : ア )
( 2 ) 書 く 必 要 の あ る 事 柄 を 整 理 し て 書 く こ と が で き る 。( 書 く こ と : イ )
( 3 ) 自 分 の 意 図 が 分 か る よ う に 話 の 組 立 て を 工 夫 し な が ら 話 す こ と が で き る 。
( 話 す こ と ・ 聞 く こ と : ア )
3 評 価 規 準
( 1 ) 自 分 た ち が 学 習 し て い る 内 容 を 相 手 に わ か り や す く 伝 え よ う と し て い る 。
( 国 語 へ の 関 心 ・ 意 欲 ・ 態 度 )
( 2 ) 紹 介 す る の に 必 要 な 内 容 を 落 と さ ず に 読 ん で い る 。( 読 む 能 力 )
( 3 ) 聞 き 手 に と っ て わ か り や す い 語 句 を 選 ん だ り 、 文 章 を 構 成 し た り し て い る 。
( 言 語 に つ い て の 知 識 ・ 理 解 ・ 技 能 )
4 本 時 の 展 開
( 1 ) 学 習 の め あ て と 手 順 を 確 認 す る 。( 5 分 )
① 「 教 科 書 教 材 の 内 容 を わ か り や す く 伝 え よ う 」 を 板 書 す る 。 ② 学 習 手 順 を 示 す 。
・ 前 時 ま で の 学 習 内 容 を 上 谷 に 報 告 す る 。( 国 語 係 )
・ 自 分 た ち の 学 年 の 教 科 書 教 材 の 内 容 を 伝 え る 準 備 を す る 。 5 年 は 6 年 に 「 報 告 」 す る 、 6 年 は 5 年 に 「 紹 介 」 す る 。 ( 個 人 → グ ル ー プ : 5 年 、 6 年 と も 2 グ ル ー プ )
・ グ ル ー プ ご と に ワ ー ク シ ー ト ( 次 頁 参 照 ) に 発 表 内 容 を ま と め る 。 ・ 5 年 は 6 年 に 、 6 年 は 5 年 に 発 表 す る 。
・ 感 想 を 交 流 す る 。
( 2 ) 前 時 ま で の 学 習 内 容 を 上 谷 に 報 告 す る 。( 5 分 )
( 3 )自 分 た ち の 学 年 の 教 科 書 教 材 の 内 容 を 紹 介 す る 準 備 を し 、ワ ー ク シ ー ト に ま と め る 。
( 20 分 ) ・ ワ ー ク シ ー ト は 教 科 書 の も の ( 5 年 : 62 頁 、 6 年 : 67 頁 )
・ ま ず 個 人 で ( 10 分 )、 続 い て グ ル ー プ で ( 10 分 )
( 4 ) 5 年 は 6 年 に 「 報 告 」 し 、 6 年 は 5 年 に 「 紹 介 」 す る 。( 10 分 )
( 5 ) 感 想 を 交 流 す る 。( 5 分 )
・ 6 年 は 5 年 の 「 報 告 」 に 対 し て 、 既 に 学 習 し た も の と し て 感 想 を 述 べ る 。 ・ 5 年 は 6 年 の 「 紹 介 」 に 対 し て 、 来 年 学 習 し た い こ と を 述 べ る 。
教科書教材の内容をわかりやすく伝えよう(報告)
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筆者
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内容
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感想
教科書教材の内容をわかりやすく伝えよう(紹介)
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紹介
文
Ⅱ 鹿 児 島 県 奄 美 市 立 緑 が 丘 小 学 校
1 授 業 参 観 日 時 : 平 成 20 年 6 月 16 日 ( 月 ) 14:10-14:55
2 学 校 ・ 学 級 等 : 緑 が 丘 小 学 校 ( 校 長 : 室 之 園 晃 徳 ) 5 年 : 5 名 、 6 年 : 4 名
担 任 : 福 元 真 太 郎 3 単 元
5 年 : 要 旨 を と ら え よ う ( 光 村 図 書 5 上 「 サ ク ラ ソ ウ と ト ラ マ ル ハ ナ バ チ 」)
6 年 : 文 章 を 読 ん で 、 自 分 の 考 え を も と う ( 光 村 図 書 6 上 「 生 き 物 は つ な が り の 中 に 」)
4 本 時 ( 4/9) の 目 標 と 評 価 規 準 5 年 :
目 標 : サ ク ラ ソ ウ と ト ラ マ ル ハ ナ バ チ の 関 係 を 読 み 取 り 、 両 者 が 強 く 結 び つ い て い る こ と が わ か る 。
評 価 規 準 :
受 粉 の た め の サ ク ラ ソ ウ の 工 夫 と ト ラ マ ル ハ ナ バ チ の 役 割 を 理 解 し て い る 。 お た が い に ぴ っ た り の よ い 協 力 者 で あ る と い う 両 者 の 関 係 を 読 み 取 っ て い る 。 6 年 :
目 標 : 段 落 ご と に 内 容 を 読 み 取 っ て 、 要 約 す る こ と が で き る 。 評 価 規 準 :
ポ イ ン ト と な る 言 葉 や 文 章 を 見 つ け て い る 。
キ ー ワ ー ド を 中 心 文 を も と に 、 段 落 を 2 文 以 内 に ま と め て い る 。
5 授 業 の 視 点
( 1 ) 写 真 、 図 、 コ ン ピ ュ ー タ 等 の メ デ ィ ア を 活 用 し た 文 章 構 成 の 理 解 指 導
( 2 ) モ デ ル 文 を 提 示 し た 意 見 文 の 指 導 ( 6 年 )
( 3 ) 異 学 年 に 向 け た 意 見 発 表 会
Ⅲ 詩 を 味 わ お う ( 鹿 児 島 県 霧 島 市 立 向 花 小 学 校 )
複 式 学 級 で は な い が 、本 研 究 紀 要 特 別 号 3 号 で 展 開 し た 詩 の 授 業 を 参 考 に し て 、子 ど も た ち の 自 作 の 詩 の 発 表 会 を 行 っ た も の で あ る 。
平 成 21 年 3 月 5 日 ( 木 ) 11:40-12:25 鹿 児 島 県 霧 島 市 立 向 花 小 学 校 校 長 : 田 中 耕 一 郎 6 年 2 組 : 30 名 ( 欠 席 1 名 )
担 任 : 永 田 洋 一 授 業 者 : 上 谷 順 三 郎
1 単 元
詩 を 味 わ お う ― 友 だ ち の 詩 を 音 読 紹 介 す る ―
2 評 価 規 準
( 1 ) 友 だ ち の 詩 を 理 解 し わ か り や す く 表 現 し よ う と し て い る 。 ( 国 語 へ の 関 心 ・ 意 欲 ・ 態 度 )
( 2 ) 友 だ ち の 詩 の よ さ を 理 解 し て い る 。( 読 む 能 力 )
( 3 ) 友 だ ち の 詩 の 大 事 だ と 思 う と こ ろ を 表 現 を 意 識 し て 音 読 し て い る 。( 読 む 能 力 )
( 4 ) 大 事 だ と 思 う と こ ろ や 音 読 の 仕 方 に つ い て わ か り や す く 説 明 し て い る 。( 話 す 能 力 )
( 5 ) 詩 の 形 式 的 特 徴 を 理 解 し て い る 。( 言 語 に つ い て の 知 識 ・ 理 解 ・ 技 能 )
3 展 開
( 1 ) 自 己 紹 介 : 本 時 の 授 業 へ の 思 い に つ い て も ふ れ る 。
( 2 ) 本 時 の 計 画 紹 介 : ( こ こ ま で で 5 分 * 実 際 は 1 0 分 )
友 だ ち と 2 人 で 組 ん で 、 お 互 い の 詩 を み ん な の 前 で 紹 介 ・ 音 読 す る 。 ① 大 事 だ と 思 っ た と こ ろ ~ 具 体 的 な 言 葉 を 示 す
② 音 読 の 工 夫 ~ 強 く ・ 弱 く 、 速 く ・ 遅 く 、 大 き く ・ 小 さ く 、 間 の あ け 方
イ ン ト ネ ー シ ョ ン ( 上 げ る ・ 下 げ る ) 、 ア ク セ ン ト 、 漢 字 の 読 み ( 作 品 を よ く 見 て : 文 字 の 大 き さ ・ 強 さ 、 句 読 点 、 字 ・ 行 間 、 余 白 )
( 3 ) 音 読 紹 介 の 準 備 ( 1 0 分 * 実 際 は 5 分 強 )
① 隣 同 士 で 組 む 。
・ ま ず は 一 人 で 相 手 の 詩 を 読 み 、 ど う 紹 介 す る か を 考 え る 。 ・ 次 に 、 相 手 に 紹 介 の 仕 方 を 事 前 に 説 明 す る 。
・ 最 後 に 、 音 読 の 練 習 を す る 。
( 4 ) 発 表 ( 3 0 分 * 実 際 は 2 0 分 ) ① 2 人 ず つ 前 に 出 る 。
・ 「 ○ ○ さ ん ・ く ん の 詩 を 紹 介 し ま す 。 」 ・ 大 事 だ と 思 っ た と こ ろ は ○ ○ で す 。
・ そ こ を ○ ○ ( み ん な に わ か っ て も ら う 、 強 調 す る ) た め に 、 ○ ○ の よ う な 工 夫 を し て 読 み ま す 。
( 5 ) 感 想 の 記 述
・ ( 4 ) の 感 想 を ノ ー ト に 書 く 。 ( 読 ん で も ら っ て 。 読 ん で み て 。 聞 い て み て 。 )
( 6 ) ま と め ( * 5 分 オ ー バ ー )
・ 上 谷 編 の ア ン ソ ロ ジ ー ( 別 資 料 参 照 ) の 紹 介 と 配 付
【資料】詩集「向花小・6 年 2 組の伝説 2009」
私たちと木
伝説を作ること それはあきらめないこと それはくじけないこと それは木のように すくすく育ち 成長すること 名物
国分の名物
「たばこの花」
向花小六の二の名物
「伝説」
がんばれ
「がんばれ」の一声で 生まれた 私
「がんばれ」の一声で つくれた友達
「がんばれ」の一声で ケンカも終わる
いろんな人に支えられて 生きてきた
だけど一番大切な物は 絆
四月のころは棒のように 曲げたらすぐに折れる だけど今のぼくたちは たとえることのできない 固いもので
つながっている
ノート
わたしのノートは まっ白だった。
でも今はまっ黒だ。
あるところにはもうやめろ。
あるところにはでていけ。
あるところにはムリ、ムリ、ムリ。
あるところにはオープン参加。
あるところにはドンマイ。
あるところには気合いだー。
そして
あるところには十秒八三。
みんなで作った 伝説で。
めいろ
初めのころは 進んでも進んでも いき止まり と中であきらめた こわくなってにげていた でも今は
出口まで行く勇気と あきらめない気持ちを 持っているんだ 口
口は
悪いことを言ってしまう ごめんねの
ために
絆
みんなで作った宝物 それは
いつしか大きな大きな そんざいになっていた。
先生
先生は ぼくたちに いろんな ちえをくれる それを生かすか 生かさないかは 自分が 決めることだ 梅ぼし
この前まで 種なし梅だった わたし
今では しっかりと かんでもわれない 種がはいっているけど たこやき
まえまで ぼくらは たこやきの きじだった
今じゃたこを つつめる けれど
毎日
いろんな気持ちだった毎日 成長していく毎日 楽しい毎日
時間が早く感じる毎日 最高の一年だった 学校
勉強は きついけれども がんばれる ひるやすみ そして
また勉強また勉強 伝説
みんながいたから 三十人三十一脚、
ドッジボール大会、
色々な伝説が できたんだ。
橋
橋は支え合って できている ぼくたちは 支え合って 生きている
友だち
六年間 うれしいことが たくさんあったけど 一番うれしかったのは みんなと
「友達」になれたこと 教室
傷ついた時 泣いた時
そこに入れば いつも 仲間がいる
そこは いつも 心が あたたまる場所 シメ鯖
シメ鯖 このしめが 命
こういうなみだ
なみだというのは、
悲しんで、
くやしんで、
喜こんで
そういう時になみだを出す。
こういうなみだを また出してみたい。
あふれるもの
この一年で どれだけの汗と涙 どれだけの笑顔を こぼしたっけ でも今は 汗と涙と笑顔が 六年間の結晶だ 四つ葉
一つの葉っぱに喜び 一つの葉っぱに怒り 一つの葉っぱに笑い 一つの葉っぱに悲しみ 色々な気持ちがつまった 四つ葉。
でも 私は 四つ葉じゃ たりない。
旅立ち
バックの中に 今までの事 全てつめこんで 荷作りは終わった。
さあ 行こう 新たな旅立ち 待っている。
太陽
わたしたちは 色々な太陽を 集めてきた
仲間
一人より 二人 二人より 三人 三人より やっぱり 三十人がいい 31 人の笑顔
いつも笑顔
くやしいとき、うれしいとき、
31 人は、いつも笑顔 ドッジボール大会
昨日
ドッジボール大会があった。
みんなおにになった。
おめん
ありがとう 福がうまれる ケンカした オニが出てくる なくした こさめがふる みんながいると 花がさく
笑顔つもって花になる
カッチ、カッチ、カッチ 時間はどんどんへってゆく 時間がたつたび笑顔はどんどん ふえていく
さいごには 花がさく 涙のち伝説
汗と心 歓喜の叫び 涙 涙 きっと笑顔 その道きっと伝説となりし 魂
いろいろな 魂があるけど 世界一なのは あなたたちの 魂です。